AI(人工知能)研究の第一人者として知られ、2024年のノーベル物理学賞の受賞が決まったカナダ・トロント大のジェフリー・ヒントン名誉教授(76)が、10日の授賞式を前に読売新聞のインタビューに応じた。米国のトランプ次期大統領の就任で「安全なAIの開発が難しくなる」と述べ、安全性への取り組みが後退すると警鐘を鳴らした。AIの安全性確保のため、「開発企業が現在の30倍の規模で安全性の研究に投資する必要がある」と強調した。(カナダ・トロント 小林泰裕) 【ひと目でわかる図解】ヒントン氏の発言のポイント ヒントン氏は、AIの進化で偽情報や陰謀論の拡散が増大し、民主主義に対する脅威となっていると指摘した。トランプ氏は、バイデン政権が導入したAIの安全性に関する大統領令を廃止する方針を打ち出している。開発企業に政府との重要情報の共有などを義務付けたもので、「(トランプ氏は)AI企業に自由なルールづくり