神経系とは膨大な神経細胞のネットワークである。走りたいと思ったら走れるのも、悲しい時に涙が出るのも、文章を読んで理解出来るのも、神経回路が正しく情報を伝えているお陰である。この回路が接続間違いをしていれば、体を思い通りに動かすことや、言葉を正しく理解するということが困難であるかも知れない。我々の神経系には何千億もの神経細胞が存在するといわれているが、この膨大な数の細胞が、間違いなく、正しい相手を選び正しい接続を形成するには、どのようなシステムが働いているのだろうか。 今回、伊藤祥子研修員(京都大学大学院生命科学研究科博士後期課程;高次構造形成研究グループ、竹市雅俊グループディレクター)は、マウス小脳の神経細胞を用いて、培養下でも神経細胞が生体と同様の相手を選択し、その相手とだけ正しい構造と機能をもったシナプス(神経細胞間の情報伝達部)を形成することを明らかにした。この研究はProc. Na