天文学者のストリート(Rachel Street)はヴェラ・C・ルービン天文台の最近の計画会議に出席して,空恐ろしい思いがした。チリで建設中のこの新望遠鏡は月面に置いたゴルフボールが見えるほどの観測力を備え,3夜ごとに全天を撮影することになっている。主プロジェクトの「時空間レガシーサーベイ」は天の川銀河の地図を描き,太陽系天体の総目録を作り,宇宙で生じている不思議な閃光や爆発などの過渡現象を探る計画だ。だが空が偽物の星で埋め尽くされたら,この目的は達成できないだろう。スペースX社のスターリンクなど「衛星コンステレーション」と呼ばれる新たな衛星群は,天文学者が関心を寄せ人類が古来から称賛し思いをめぐらせてきた本物の天体の光をかき消してしまう恐れがある。 地球低軌道が通信衛星コンステレーションで埋まると太陽電池パネルの反射光や無線信号で多くの天体の観測が妨害されるため,天文学者は対応に苦慮して