2012年、反町康治が松本山雅FCの新監督に就任した。松本はJFLからJ2に昇格し、反町は湘南ベルマーレの監督を退任した直後のタイミングだった。 前年のJリーグでは、柏レイソルがリーグ優勝を果たし、サガン鳥栖は初のJ1昇格を決めた。またベガルタ仙台が上位に食い込み、ガンバ大阪の新スタジアム建設が決定する。 サッカー(球技)専用スタジアムの熱量が、街と人を育んでいく――。 そんな時代の到来を感じさせるなか、アルウィン(長野県・松本平広域公園総合球技場)を本拠地にする松本は、'11年の観客動員最多1万1956人、また年間平均7461人というJFL新記録を作っていた。 「視界を遮るものがなく、柏より臨場感があるんじゃないか」とリサーチしていた反町は、一旦休息をとってEUROでも観に行くか……と考えていたが、「そんなことしていたら老け込んでしまうということだな」と、松本に引き寄せられるようにオファ