日本政府が提供した、英製薬大手アストラゼネカ製のワクチン124万回分が台湾に到着したのは、6月4日のこと。これを受け、台南市の黄偉哲(こういてつ)市長も同日、「すでに市内800人の日本人はリスト化されている」として、在台湾の日本人に優先的に接種する方針と明らかにした。 しかし、台湾に駐在している日系企業社員は表情を曇らし、こう語る。 「アストラゼネカ製のワクチンには副反応についての深刻な症例報告があります。当然、こちらの日本人社会からは、まるで“毒見役”だという声が上がりました」 アストラゼネカ製ワクチンにおける副反応については、さまざまな報道がある。6月10日、ニュースサイト『スプートニク』によると、アストラゼネカ製ワクチンを投与した人の中に軽度の血液凝固障害が起き、それが原因で出血するケースがあることを英国人研究者らが発見したという。調査結果は『ネイチャー・メディスン』誌に掲載されてい