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本ページでは『Shizuku』とその続編『Shizuku Memory』を紹介する。判定はともに「良作」。



Shizuku

【しずく】

ジャンル パズル
対応機種 ニンテンドー3DS
メディア ダウンロード
発売元 フライハイワークス
開発元 Fallen Tree Games
発売日 2014年6月25日
定価 300円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
セーブデータ 1個
判定 良作
ポイント 小粒ながらボリュームはある
リラックスして取り組める内容

概要

  • 全112面から成るパズル集。制限時間はない。
  • 雨の古屋の窓についた水滴を操作し、パールと呼ばれる粒状のアイテムを全て集めるのが目的。

システム

ゲームの流れ

  • パズルが以下のように区画分けされている。
  • 1962年-1,2,3
  • 1964年-1,2,3
  • 1967年-1,2,3
  • 1970年-1,2,3
  • 1972年-1,2,3
  • 1974年-1,2,3
  • 1975年-1,2,3
    • 一区画に4つパズルが収録されており、4つのうち、3つをクリアすると次の区画が解放されて遊べるようになる。
      • 1962年-1→1962年-2→1962年-3→1964年-1→…の順に解放される。
    • 各区画の4つのステージを全てクリアすると額縁の色が銀色に変化し、4つとも最短手順でクリアすると金色に変化する。
    • 上記の21の区画全ての額縁を銀色以上にすると、隠しステージとして「1962年-4」「1964年-4」「1967年-4」「1970年-4」「1972年-4」「1974年-4」「1975年-4」が解放される。

基本部分

  • パズル面の特徴
    • 各面は2次元平面であり、碁盤目状のマスで区切られている。
    • 碁盤目状のルールに従い、さまざまな物体が置かれてパズル用の面を形成する。
    • 画面端が反対側の端とループしている。たとえば物体が画面下側に移動していきフェードアウトすると、今度は上側から再出現してまた下側に移動してくるような挙動を取る。
  • Shizuku
    • 面におかれている、青い水滴状の物体。
    • 本作でプレイヤーが唯一能動的に動かせるギミック。
    • 上下左右のどれかの方向に動かすことが可能で、一度動き出すと壁に当たるまで直進し続ける。
    • Shizukuは静止しているもののみ操作可能であり、壁に全くぶつからないような方向に動かしてしまうと、上記のループが無限に起こり続けて操作不能になる。
    • 面によっては、複数のShizukuが配置されていることがある。Aボタンを押すごとに動かすShizukuを変えることができる。Shizukuに別のShizukuをぶつけると、1つにまとまってしまう。
  • パール
    • 各面で散らばっている小さい真珠のようなアイテム。Shizukuで接触することで回収が可能。
    • すべて集めることでその面はクリアとなる。白いパールと金色のパールの2種類がある。

障害物

  • 触れたShizukuを破壊してしまうもの、Shizuku等の通せんぼをするタイプの2つに分けられる。
+ 詳細
  • スパイク
    • 特定の方向にトゲを生やしたブロック。Shizukuがトゲのある側から接触すると消滅してしまう。
    • 木製と鉄製があり、木製はShizukuをぶつけることで押して動かすことが可能。鉄製のスパイクは押して動かせないが、トゲが生えていない面にShizukuが着地すれば、方向転換のための足場として使える。
    • ステージ内にスパイクの方向を変えるレバーがある場合は、Shizukuをレバーの上を通過させることでスパイクの向きを変えることができる。また、全方向にトゲをはやしたフルスパイクもある。
  • 毒のShizuku
    • 赤いShizuku。プレイヤーは操作することができない。
    • プレイヤーが操作するShizukuで接触すると、相殺して両方とも消える。上記の木製のスパイクを動かしていき、毒のShizukuだけトゲでつぶすことも可能。
  • カップルブロック
    • 「♂」あるいは「♀」と書いてあるブロック。押して動かすことが可能で、カップルブロックを他のカップルブロックにぶつけると2個ともが消滅する。
    • あえて消さず足場として使ったり、Shizukuの進路調節のために使わなくてはならないケースも存在する。
  • 金色のブロック
    • 通常時は壁として機能するが、「金色の」パールに触れて金色になったShizukuがぶつかると消滅させられる。
    • 金色のブロックを1個分破壊したShizukuは金色から青色にもどる。
  • クローズゲート
    • 緑色の点のようなブロック。Shizukuやスパイクといった動かせるブロックが一回通ると、通常のブロックと化し通過不可能となる。
    • Shizukuで木製スパイクを押しながらクローズゲートの上を通ろうとすると、木製スパイクだけ通過し、Shizukuは足止めされる。
  • ワープリング
    • 必ず2個が1対となって存在するリング。
    • Shizukuや動かせる物体がどちらか片方のリングに入ると、相方のリングのもとにワープして排出される。
    • 物体の移動する向きはワープによって変わったりしない。
    • ワープリング自体を動かすことは不可能。
    • ワープできる回数は無制限。Shizukuに限らずカップルブロックや木製スパイクもワープさせることができる。
  • Shizukuを任意の方向に動かすたびに1手としてカウントされ、クリアまでに要した手数がカウント(最大999手まで)されている。
    • 最短手でクリアすると、その旨が記録される。
  • ジュエル
    • 各面に1つずつ隠されている宝石。
    • 通常のブロックに3回Shizukuで体当たりする、金色のブロックを破壊する、ステージ上に最初から配置されているものにShizukuで触れるなどの方法で入手できる。
  • 実績
    • プレイ中に様々な条件を満たすと実績として記録される。全38+α種類用意されている。
    • 各ステージを最短手数でクリアする、スパイクに何回か刺さる、ステージ内の宝石を全て集めるなど、種類は様々。実績はタイトル画面の「Progress」からいつでも確認可能。

評価点

  • 直感的で本格的なパズル
    • ルールに関して覚えることはかなりあるが、それでもプレイヤーにもとめられる操作はShizukuを動かすだけでとっつきは楽。障害物やギミックの種類やパターンも多いので単調なゲームとはならならず、小粒ながらパズルとしての完成度はなかなかに高い。
    • パズル中にも、上画面でルールを反復的に説明してくれるので、ゲームの進め方が分からなくなるといった事態はない。
      • 本作中に登場するギミックも互いに独立しているわけではない。たとえばワープリングと木のスパイクとクローズゲートをShizukuの1手で同時に作動させて、面上の構造を大幅にひっくり返すようなことを求められる場合もある。
      • 金のブロック、カップルブロックも、ただ消せばいいだけではなく、消さずに利用する、消すタイミングを考えるなど、かなり頭を使わされることがある。
  • リトライ性の高さ
    • 本作では、動かせるShizukuがひとつもなくるといった「詰み」状態になりやすいゲーム構造ではあるが、下画面右上にある「→」ボタンをタッチすることですみやかに最初からやり直し出来る。
    • 制限時間もないので、じっくりと考えてプレイできる。
  • ボリューム
    • 価格300円の小粒なソフトながら、収録問題数は100以上と多め。
  • 美術的デザイン
    • 廃屋の窓にやさしく降りつける雨がモチーフのゲームデザインである。一つの区画をクリアすると雨が上がったような演出がなされるのも趣がある。
      • ゲームの進行には関係ないが、3DS本体を傾けると、上画面の付着した水滴の流れる方向が少しだけ変化するというギミックもある。
    • しとしとと降る雨音とリラックスできるBGMにより、落ち着いた雰囲気でプレイすることができる。
      • 自分で好きなものを選べるわけではないが、BGMも何種類か用意されている。

賛否両論点

  • 「一手戻す」が使えない
    • ゲームの難易度を不当に下げる事態にはつながってはいないものの、手数が多く必要な広大な面では、些細なミスのために最初からやり直さなくてはならない場合も多発する。
  • 難易度設計
    • 出題される問題は固定。
    • 図形的なセンスがある人は楽しめるだろうが、そうでない人が手を出すと意味も分からずShizukuを動かすだけのゲームになってしまう可能性はある。
    • 原則、今プレイしている面をクリアできないと先に進めないほかヒントの類もない。
    • クリアまで最短でも40手かかるようなボリュームが広大な面もある。そのようなところで最短手を目指そうとするとかなり骨は折れる。
    • Shizukuがスパイクや毒のShizukuに破壊されないようなルートを選択していれば、勝手にクリアできてしまうタイプのものもある。
  • やりこみ要素に関して
    • 最短手でクリアできたかどうか、ジュエルをあつめたかどうかの2つが主なやりこみ要素。
    • 最短手はパズルとしてはかなり頭を使う難易度もあり、本作のボリュームにも貢献してくれるかもしれない。
    • ジュエル回収に関しては若干作業になっているきらいはある。

問題点

  • 操作性に関して
    • 下画面の任意の場所をスライドするようにタッチしても「Shizukuを動かそうとした」と判定される。うっかり下画面をいじると誤爆しやすい。
    • ボタン操作の場合、Aボタンで動かすShizukuを変更することができるが、どのShizukuが動かす対象なのかが若干わかりにくく、プレイヤーが意図していない方のShizukuが動き出してしまう場合がある。
  • その他
    • ステージセレクト時、ロードが若干長い。クリアするといかなる条件下でも「次の面」を自動で遊ばせようとしてくる。
    • 各年の1~4のページを選択してみないことには、隠しジュエルを取得してあるステージとそうでないステージを識別できない。

総評

小粒ながら100以上の面といった恵まれたボリュームを持つ作品。 制限時間がないので、ゆったりと優しい雨と古屋によるリラックス環境を楽しみつつも、複数のギミックが織り成す骨のあるパズルを楽しめる内容となっている。パズルが得意な人はギミックの挙動を楽しみながら最短手でのクリアにも挑戦してはいかがだろうか。


Shizuku Memory

【しずく めもりー】

ジャンル パズル
対応機種 ニンテンドー3DS
メディア ダウンロード
発売元 フライハイワークス
開発元 Fallen Tree Games
発売日 2015年4月22日
定価 300円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
セーブデータ 1個
判定 良作
ポイント ゲームルールの充実化

概要(Memory)

  • 『Shizuku』の続編。
  • ゲームの流れや根幹のルールは前作同様だが、新ギミックがいくつか追加されている(後述)。
  • パズルはChapter、Levelで区分けされており、全部で10個のChapterがある。10個目のChapterはクリア後のおまけ扱い。
    • 1つのChapterには4つのLevel、16面のパズルが配置されている。

システムなど

  • ストーリー要素
    • ゲームを進めていくと、老人男性によるモノローグが入るようになった。
    • その他演出として、ステージ開始時にほこりをかぶった箱をはたくようような演出が入る。

ルール

  • 前作『Shizuku』で適用されているルールは本作でも続投。スパイク、クローズゲート、ワープゲート等のギミックについては本作でも登場するので説明省略。
  • 以下1,2,3の条件を満たすと次の面に進める。
    • 複数条件がひとつの面に現れる場合もあり、その場合はすべての条件を満たさないと面をクリアしたことにならない。
  • 1:すべてのパールを集める
    • 前作でも存在したルール。
  • 2:すべてのLEDブロックを青に点灯する
    • LEDブロックは色の着いた豆電球のようなブロックである。LEDブロックがある面では、必ずどこかに1マスサイズの電源ブロックも存在する。
    • 電源ブロックにShizukuやその他物体をぶつけると、面にあるすべてのLEDブロックの点灯・消灯が切り替わる。
    • 点灯している状態のLEDブロックは、Shizukuが「隣接」することで色が変わる。
    • 青いShizukuで青く点灯し、金のパールを取って黄色くなったShizukuが隣接すると黄色く点灯する。消灯しているときにShizukuが近くを通っても色が変わらない。
    • 移動する毒のShizuku(後述ポイズンシャドウなど)が通ると赤く点灯する。
  • 3:ダイヤをすべて輝かせる
    • ダイヤが点在している面では、Shizukuが4方位に向かって射程無限の光を放つようになる。
    • この条件のとき、面に存在するダイヤをすべて同時に光で照らす必要がある。
      • 青いダイヤは青いShizukuの光で照らす必要があり、黄色いダイヤは黄色いShizukuの光で照らす必要がある。例は少ないが、赤いダイヤは毒のShizukuの光で照らす必要がある。
    • ダイヤはShizukuなどの物体が接触しても位置が変わらない。例外として、ブロックにおさまったダイヤはShizukuで押して動かすことが可能。
    • 光は壁にあたると止まり、また霧のかかっているエリアにも届かない。
      • 一度何かが通って作動したクローズゲートにも阻まれるほか、ワープゲートに照射すると光そのものがワープさせられる。

その他のギミック

  • アイスブロック
    • 氷のブロック。2マス分はなれた場所からShizukuをぶつけると破壊できる。またこのときアイスブロックと衝突したShizukuの動きも止まる。
    • アイスブロックの内部に包まれたスパイクなどは移動させることが不可能。また同様にパールやLEDブロックも作動できない。
    • アイスブロックに包まれているスパイクに対して、Shizukuが衝突するとアイスブロックだけが破壊される(Shizukuはこのとき破壊されない)。
  • バラ
    • 一輪のバラを上から見下ろしたかのようなデザインのブロック。
    • Shizukuやスパイクやカップルブロックといった何かしらの物体がぶつかるたびに、開花状態と閉花状態を切り替えるブロック。
    • 開花しているときは、4方向にトゲを向けるフルスパイクとして機能し、このときにShizukuがぶつかると消滅させつつ、閉花状態にもどる。
  • ポイズンシャドウ
    • Shizukuが動いた距離と同じだけ自律的に動く大きな毒のShizuku。進行ルートには法則性がある。
    • ポイズンシャドウにぶつかったShizukuは消滅させられるほか、逆にスパイクのトゲにぶつかるとポイズンシャドウの方が破壊される。
    • 氷のブロックや、破壊できない状態の金のブロックが進路上にあると、移動しなくなる。
    • 特定の条件下では、ポインズンシャドウそのものに金のパールをとらせて、金色のブロックを破壊させるように仕向けることも可能。
  • タイムキーパーステージ
    • 前作のジュエルの要領で、ブロックのどこかに「赤いワープゲート」が隠されているステージがある。
    • このワープゲートを発見して使うと、隠し面(タイムキーパーステージ)に寄り道ができる。
    • ゲームクリアのために、ここの面をクリアする義務はない。
    • このステージでは、どこかにタイムピースと呼ばれる隠しアイテムが存在する。入手方法は前作のジュエルと同様、どこかのブロックに3回Shizukuで体当たりする必要がある。

評価点(Memory)

  • 前作と関連する部分
    • リトライ性が高くすぐにやりなおし可能。制限時間もないので、じっくりと考えてプレイできる。
    • 価格300円の小粒なソフトながら、収録問題数は150以上と多め。前作と比べてボリュームが1.5倍程度に上がっている。
    • 落ち着ける雨のSEやピアノとチェロを主体としたBGMも備え付けられている。こちらが任意で選べるわけではないが、ステージごとにBGMが複数種類ある。
  • ギミックが良い意味で複雑化
    • 結局、Shizukuを動かせばいいという根幹は変わらないのでとっつき自体は楽である。
    • 多様なルールを楽しむことが可能となる。かもしれないが、前作の倍の種類のギミックが登場するので、それぞれがどんな挙動をするのかはきちんと考えて行動する必要がある。
    • ギミックも互いに独立しているとは限らず、相乗効果を考えて行動する必要がある。
      • 金のパールをShizukuに拾わせることで照らせるようになる黄色いダイヤが存在する一方で、LEDブロックに近づけてしまうと「黄色く点灯」させてしまうためにクリア条件を妨害してしまう、といった駆け引きがある。
      • クローズゲートは一度作動させてしまうと、Shizukuの光線をさえぎるようになってしまうので、どのクローズゲートを使わずに置いておくかも考える必要がある。
      • 終盤の「All in!」というパズル面では、いままでに登場したすべてのギミックがひとつの面にいっせいに登場する。難易度も高く本作の集大成ともいえるパズルとなっている。
  • 前作と同様のコツで解ける面はあるが、構造的に目に余る使いまわしも特に見られない。
  • ジュエルを回収状況が確認できるようになった。全てのジュエルを回収しきっていないChapter、Levelは、選択前の段階で判別できる。

賛否両論点(Memory)

  • タイムキーパーステージの存在
    • やりこみ要素、ゲームのボリュームアップに貢献している要素ではあるが、いまいち面倒くさい側面も持っている。
    • 入るには毎回入り口となる「ゲート」を見つけなくてはならない。クリアできずに中断した際も同様。一度見つけたタイムキーパーステージを遊びたい際に、いちいち入り口を見つける作業を通さなくては成らないので不便。
      • 入り口のゲートのある場所も記録されたりはしない。プレイヤー自身が覚えておく必要がある。

問題点(Memory)

  • 前作から共通の部分
    • ヒントの類が今作もなし。サイトの世話になるでもなければ、解法は自分で考えなくてはならない。
    • ゲーム開始時、チャプター選択時のロードが少々長い。
    • 最短手数を狙うやりこみ要素はあるものの、パズル面の構造は前作と同じく固定でランダム性はなく、覚えゲーとしての側面はある。
  • ポイズンシャドウのあるステージ
    • 動きに規則性はあるものの、結局Shizukuを動かしたらどのように移動するのか体で覚えていくしかなく、さすがに複雑すぎる感が否めない。
  • ゲーム中に、ルール説明してくれる機会が減少した
    • 新規ギミックが登場する面だと、そのギミックの動かし方の説明に終始してしまうようなケースもあるのだが、その他のステージでは簡単なテキストによるルール説明がなくなった。
    • 複雑ではないとはいえ、プレイヤー側が試行錯誤してルールを覚えなくてはならないケースが若干増えた。
  • ストーリーに特に意味はない。クリア後ももう一度内容を確認すること自体は可能だが。

総評(Memory)

ギミックを増量して順当に進化した本作。ギミックを増やしたことでルールは複雑、高難易度化した様相はみられるものの、とっつきやすさ自体は前作同様の水準を維持している。

最終更新:2022年05月21日 20:04