YUMENIKKI -DREAM DIARY-
【ゆめにっき どりーむだいありー】
ジャンル
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夢探索アドベンチャー
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対応機種
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Windows 7/8/10 Nintendo Switch
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発売元
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PLAYISM
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開発元
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Active gaming media/Esquada/角川ゲームス
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発売日
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【Win】2018年2月23日 【Switch】2019年2月21日
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定価
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1,980円(税込)
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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5箇所
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レーティング
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CERO:C(15歳以上対象)
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判定
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なし
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ポイント
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フリーゲームが原作 原作よりアクションホラー要素が濃くなった 夢の世界を彷徨う以外の目的に乏しい
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ゆめにっきシリーズ Steam版/YUMENIKKI -DREAM DIARY- ※原作は同人ゲームのため執筆・取扱不可
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概要
ツクールシリーズの一作、『RPGツクール2003』を用いて製作された2004年の個人制作のフリーゲーム『ゆめにっき』が原作。
フリーゲームブーム絶頂期を代表する作品のひとつであり、その独特な世界観で多くのファンを生み出した。
本作は、原作者のききやま氏の許諾・協力・全面監修の元、その世界観を元に3Dで制作されたものである。
公式にはリメイクではなくリイマジンと銘打たれており、世界観こそ元にしているものの原作からゲーム性が変貌している。
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何かしらの事情で部屋から出られない少女が主人公。
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外の世界に行けない代わりに、彼女はベッドに入り夢の中の世界を冒険する。
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システム
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ゲームに明確な目的は存在しないが、3Dで描かれる夢の世界の果てにあるアイテムを回収していくことが大まかな目的。
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ベッドに入ると夢の世界に行き、夢の世界で頬をつねる(下方向キー長押し)と現実世界に戻る。
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最初は歩く(走る)、ジャンプするしかできないが、夢の世界で拾ったアイテムによってできることが増加していく。
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包丁を拾うと向いている物体を傷つけられるようになり、傘を拾うと雨を降らせたりジャンプの飛距離が増加する。
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体力という概念は無い。攻撃してくる存在に触れると基本はやられてしまい少し前の場所からリスタートとなる。
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『INSIDE』をオマージュしたような、一発死罠に溢れたアクション重視のエリアもある。
評価点
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3Dで楽しめるゆめにっきの世界
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フリゲ版の2D世界を、3Dで上手にリメイクし美しい遠景とすることに成功している。
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原作のロケーションとして存在していた不気味な桟橋、下水道、砂漠、ピンク色の浅瀬などが再現されている。
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原作では、ナスカの地上絵のような不思議なイラストが背景で流れていくような美術演出があったが、これも本作で再現されている。
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原作でおなじみのキャラ(鳥人間・ウボァ・キュッキュ君等。すべてファンの間での通称)が3Dで再現されている。
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原作のエンディングで起きたとある出来事が、本作のオープニングの演出として再現されている。
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ゲーム性が高くなっている。
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ほぼゲーム性が無く不思議な世界を散策するだけだったフリゲ版と異なり、本作はそこそこ難易度の高い2Dアクションのシーンが多い。
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アクションシーンの出来自体は悪くなく、技術と頭をつかうことで、切り抜けられるように作られている。
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独自の世界観にだけ浸るということが出来なくなった側面はあるが、基本的には本作の評価点として挙げられるだろう。
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シンプルな操作性
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原則移動とジャンプが基本。敵に触れても一発死してすぐリスタートという仕様なのでとっつきやすい。1本道構造をしている地形も多いので道に迷いにくい。
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アイテムを集めることで、できるアクションを増やしていける側面があるので収集要素にやりがいを見出せる。
賛否両論点
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ゲームの目的を見つけにくい
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先に進む・アイテムを入手する、といった行動に関してヒントがゲーム中に提示されず、攻略サイトのお世話になりやすい。
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夢の世界はそれなりに広く彷徨っているだけでは飽きてしまうだろうが、現実の世界ではおよそ想像もつかないような物体が転がっており、こういった夢の世界のギミックを楽しめる人は楽しめる。
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BGM・音響効果が特にない
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現実世界でつけている夢日記を開くと、しっとりとしたピアノで本作のメインテーマが流れるくらい。
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それ以外の場面では、不気味な重低音がひたすらロングトーンされている曲が挿入されるくらい。
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一応、エンディングもあるにはあるのだが暗転してエンドロールを流すだけといった味気ないもの。多くを語らない世界観を壊さないためなのかもしれないが…。
問題点
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3Dグラフィックの描写力
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主人公の外見やモーションの質があまり良くない。主人公の少女を敢えて無個性にする狙いがあったのかもしれないが、顔のポリゴン数が少なくのっぺりとした印象でありPS2時代相当の出来。
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カメラもキャラの立ち位置にしたがってスクロールするだけであり、プレイヤーが任意に動かすことが出来ない。
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バラック集落にて毛玉のような敵から逃げる場面があるのだが、カメラアングルの固定のせいで敵との距離感がつかみにくい。
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マップ・ギミックの縮小化
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フリーゲーム版では非常に広大な範囲を冒険できたのだが、本作ではその全てを再現できていない。原作では、とりあえず歩き回っていてもゲームとして成立するくらいの膨大さがあったものの、本作は行き詰った途端に楽しむのが難しくなる。
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フリーゲーム版のマップの床や物体は、上を歩くと音が鳴ったり包丁で突いたときにいろいろなリアクションが返ってきたのだが、本作にはほとんどそういったギミックが無い。
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フリーゲーム版は何の意味もないマップ、何の意味もないエフェクトが多数存在し、ゲーム進行上必須となる要素はごく限られていた。しかしそれこそが無秩序で混沌とした夢世界を再現し、主人公の心理状態の考察の材料にもなっていた。
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本作では「ゲーム的に意味のある」マップやアイテム、エフェクトだけに限定されており、ゲーム進行としてはわかりやすくなった反面、「夢世界を彷徨う」というフリーゲーム版の醍醐味が薄れてしまっている。
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謎解き・探索要素があること
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操作自体は楽だが、先に進むためには頭を使って謎を解かなくてはならない場面も多い。
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今歩いている道や足場がどこにつながっていくかといった地形把握力を持っているかどうかで、本作の難易度が左右される。
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原作と同じく、特定のアイテムを持っていないと進めないような場所がある。そういったアイテムをどこで入手できるかどうか推測するのはほぼ不可能。効率よく進めたいならネットの情報のお世話になるだろう。
総評
フリゲ版はだだっ広く、陰鬱で不思議な夢の世界を彷徨うコンセプトであり、本作も多かれ少なかれそういったゲーム性を受け継いではいる。
さらにアクションゲーム性が強くなったことで、原作とはまた違った方向性のゲームとして進化している。
ただし、夢の世界で脇道に逸れたようなプレイスタイルにはあまり対応しておらず、ゲームの進捗以外の楽しみに乏しいのが現状。
「リイマジン」と銘打たれた通り原作に無い新たな良さも存在するため、原作と併せてプレイしてみるのも良いだろう。
最終更新:2023年04月06日 10:56