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モンスターハンター ストーリーズ

【もんすたーはんたーすとーりーず】

ジャンル RPG
対応機種 ニンテンドー3DS
発売元 カプコン
開発元 マーベラス*1/カプコン
発売日 2016年10月8日
定価 パッケージ:5,800円
ダウンロード:5,546円(共に税別)
プレイ人数 1人(ローカル通信対戦時は2人)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
廉価版 Ver.1.2 更新版:2017年7月27日/3,990円
判定 良作
ポイント MHシリーズ初のRPG
低年齢層を意識したゲームデザイン
独特だが完成度の高い育成システム
一方戦闘や一部設定には賛否の意見も
モンスターハンターシリーズ


概要

カプコンの代表作の1つである『モンスターハンターシリーズ』の派生作品の1つであり、「同シリーズ初のRPG作品」と銘打って登場させた異色作。公式の推奨する略称は『MHST』。
MHX』に先駆けて発表がなされ、その後比較的長い開発期間を経たうえで発売が行なわれた。
発売前はMHシリーズとしてはあまりにもアニメ感が漂うキャラクターデザインや、先に発売されていた『MH4G』の賛否が激しかったこともあり、あまり期待はされていなかった。
しかし発売後は王道を貫くストーリーの完成度や斬新で爽快な戦闘システム、奥が深く中毒性の高い育成要素も相まって評判が好転した。


特徴

  • 所謂「ハンティングアクション」であるメインシリーズとは違い、主人公はハンターではなく「ライダー」と呼ばれる、モンスターと絆を結ぶ存在の一人である。
    • ライダーは「絆石」という特殊な石を常に身に着けており、これを用いることでモンスターと心を通わせ、「オトモン」として共に生活や戦闘を行なうことができる。
      • 具体的には、この絆石に戦闘時での行動で増減する絆ゲージを貯め、ライダーやオトモンのスキルはこの絆ゲージを消費して発動させる(オトモンの場合は、指示をした場合のみに消費)。
      • 絆ゲージは、オトモンと絆を深めるほど初期値が上がり、戦闘を有利に開始できる。
      • 絆石にはレベルが設定されており、絆石のレベルを超えるオトモンは連れ歩くことが出来ない(厩舎に所持することは可能)。絆石のレベルはストーリーを進めればイベントで上がっていく。
  • オトモンや敵となるモンスターは無印『MH』~『クロス』及び『MHP』~『P3』から選ばれている。
    • 完全オンライン制の『MHF』オリジナルのモンスターは登場しない。
  • 移動中はオトモンに乗る(「ライドオン」する)ことで「ライドアクション」と呼ばれる特殊な行動を取ることができる。道を塞ぐ岩を破壊したり、大空を自由自在に飛行したりなど、いずれもモンスターの力でなければできないようなことばかりであり、これらを使わないと進めない場所も多い。
  • 戦闘においては普段はライダーとオトモンが別々に行動をとるが、真っ向勝負に置いてパワー・テクニック・スピードの三すくみに勝ったり、オトモンとのダブルアクションを決めたり、特殊状況を制したりすることで絆ゲージを増やし、MAXにすることで戦闘中であってもライドオンすることが可能となる。
    • ライドオン状態では特技、アイテムの使用はできなくなるが、更に真っ向勝負に勝っていくことで絆レベルを最大3まで上げることができる。
      また、ライドオン状態では非常にド派手な演出と強力な威力を誇る必殺技、「絆技」が発動でき、これは絆レベルが高ければ高いほど威力も大きくなる。
      ただし、絆技を使う・ライドオン中にオトモンのHPが0になる・ライドオン中に真っ向勝負で2回負ける、のいずれかでライド解除してしまう。
  • 中盤からは「伝承の儀」によってモンスターを強化したり、使う属性を変えたりできる。
    • これに関しては詳しくは評価点で述べる。

評価点

  • シナリオは王道そのもの
    • 詳しくはネタバレになってしまうため簡単に触れるが、「人とモンスターとの共存」をテーマにしたストーリー展開は実に王道で分かりやすく、エンディングやその後に至るまで丁寧に描かれている。
    • 「主人公がハンターではない」という点も重要。ハンター以外から見た世界観の描写もしっかり行なわれており、シリーズをやり込んできた人であっても新鮮な気持ちで楽しむことができる。
  • 魅力的な登場人物たち
    • RPGと言うこともあり、登場人物に関しても本編とは比べ物にならないほどに深い描写がなされている。
      • 主人公のメインオトモンとなるリオレウスの「レウス」は、ゲーム序盤での悲劇や再会時の描写が非常にこだわった内容に描かれており、ストーリー上においてもまさに「もう一人の主人公」と言っていいほどの活躍をする。単純に能力が優秀なこともあり、戦闘面においても大きな問題はほとんどない。
      • 主人公の相棒である「ナビルー」は基本的にはお調子者だが、友情を大切にする熱血な一面も持ち、後述するように外見で判断していた多くのプレイヤーを驚かせた。また、彼のストーリー中や戦闘中におけるアドバイスは役に立つものが多く、結果的にプレイヤーの助けにもなっている。
      • 幼馴染の「リリア」と「シュヴァル」は主人公と行動を共にする場面こそ少ないものの、主人公とは別方面での活躍が描かれストーリーにも深く関わる。二人の年相応の心理描写や行動の背景などもよく描かれており、不自然な描写などは特に見当たらない。
      • 他にも、主人公とは別の地方出身のライダーの少女「アユリア」やライダーに憧れる少年「デブリ」、不思議な力を持った謎のアイルーたち「ナンバーズ」など、魅力的な人物が多い。
  • 独自の戦闘システムや育成要素
    • 「モンスターの行動を見極めて的確な行動を選択する」という、『モンハン』の基本的な流れは、RPGとなっても全く変わらない。
      • 的確な行動を取れれば絆ゲージが増え、こちらが更に有利に戦える。モンスターによって得意な行動が設定されており、それを覚えれば有利に戦闘を運ぶことができる。
      • 逆に不利な行動を取れば絆ゲージはあまり増えず、反動で受けるダメージも増え、こちらもジリ貧になってしまう。
      • 取れる行動も「常に真っ向勝負勝利を狙っていく」「真っ向勝負で負けることはない行動を取り続けて安全策を取る」など様々な戦略を取ることが可能。
      • ほとんどのモンスターは単に「行いやすい行動」が設定されているだけでなく、大まかな行動パターンが存在している。何度も戦うことで行動パターンを覚え、より良い行動選択をしていくという点に関しては、たとえRPGであっても本編と全く同じと言ってもいい。
    • 的確な行動を取って戦闘を行うことで戦闘が「評価される」。評価が良いと戦闘後の報酬が増えるため、良い戦闘を心がけるモチベーションも上がる。
  • モンスターの動きなどは本家シリーズを踏襲している。
    • デフォルメされたデザインながら動きはちゃんとしており、待機中はもちろんの事リオレイアの「毒スパイク(サマーソルト)」、クルペッコの歌、ティガレックスの「岩飛ばし」など、ほとんどの特技を本家そのままの動きで繰り出してくれる。
    • 大技を繰り出した次のターンはダウンして無防備になり、ダウン中に攻撃すると落し物を落とすなどMHのシステムをそのままターン制に落とし込んだ場面も見られる。
    • SE関連や大まかなUIも本家と同じものが用いられているため、意外とプレイ中の違和感は少ない。
  • 派手な演出の「絆技」
    • ライドオン状態で使える絆技は威力もさることながらそれぞれの技を使った時の演出も作り込まれている。
      • アプトノスやイャンクックなどのほのぼのとした物からリオレウスやリオレイアなどの派手でカッコいい物、ブラキディオスやイビルジョーの突っ込み所満載の物等様々。
      • 伝承の儀によってメインの属性が変わっている場合、それによって炎の演出が氷の演出に変わったりするなど細かいところまで凝っている。
  • 無限の可能性が広がる「遺伝子システム」と「伝承の儀」
    • オトモン達はそれぞれ遺伝子を持っており、それによって使える技や能力が変わってくる。
    • 遺伝子は3×3の9個の穴で表されており、1マス1マスに各遺伝子が埋め込まれている形になっている。
      • 遺伝子の穴はロックされていたり、なにも入っていない場合もある。
    • 遺伝子にはスキルと属性と3竦みのタイプや属性攻撃力のデータ等が設定されていて、縦・横・斜めに遺伝子をそろえるとビンゴ成立となり能力にボーナスが付く。
      • 遺伝子の属性と3竦みがバラバラでも「なんでもビンゴ」のボーナスが付く。
      • 同じ属性や3竦みを2列以上揃えてもビンゴボーナスは1列分しか付かない(なんでもビンゴも1列のみ)。
  • ビンゴを狙ったり、ある属性の攻撃力を極めたり、毒や麻痺などの耐性をつけたりするために利用することになるのが、「伝承の儀」である。
    • 伝承の儀によってオトモンからほかのオトモンへ遺伝子を移すことができたり(遺伝子を渡した方のオトモンはいなくなる)、ロックされた遺伝子を「○○種の目覚め」というアイテムを使って使用可能な状態にしたりできる。
    • これによってオトモンを強化するだけでなくリオレウスに雷ブレスを使わせたり、リオレイアにボルボロスの技である泥つぶてを使わせたりとオリジナリティーあふれるモンスターも作れる。
    • 伝承の儀で受け継いだ遺伝子によってメインの属性が変わった場合、モンスターの体の色が変わったりもする。
  • これらの方法で作成した自慢のオトモンはすれちがい通信に登録することで、他プレイヤーへ対戦相手として配信することができる。
  • 気合の入ったコラボレーション関連
    • MHシリーズは他社とのコラボに積極的という特徴があるが、それは本作においても例外ではない。本作では装備関連でのコラボだけでなく、オトモンに関しても一部のものは「特別なオトモン」という特殊な仕様を伴った個体を加えることが可能になっている。
      • 熊本県とのコラボでは、同県のマスコットキャラクターである「くまモン」を元にした特殊なアオアシラ「くまアシラ」が、『ゼルダの伝説シリーズ』とのコラボでは同シリーズにおける主人公リンクの馬「エポナ」が、そして3DSソフト『パズドラクロス 神の章/龍の章』とのコラボでは同作に登場する「クレナイゴウカミ」がオトモンとして参戦している。
      • いずれもコラボ元の要素を尊重した特別な特技を覚え、尚且つ専用の絆技まで用意されているなど、本家MHよりもさらに気合の入ったコラボレーションになっている。
      • その他、買った店によって各小売店やネット通販ごとに特別なオトモンが手に入るという内容の早期購入特典キャンペーンも実施されていた。
  • クリア後のやりこみ要素もきちんと備えている。
+ ネタバレのため折り畳み
  • 敵モンスターが強くなる『上位』が解禁される。
    • クリア後、MAPに『上位の巣』が配置されるようになり、より良い素材や上位モンスターと対峙可能になる。上位限定のオトモンも存在する。
    • その他通常MAPでもクルペッコのモンスター呼び候補に上位イビルジョーが追加されたり、通常戦闘に乱入してくる。
  • 上位モンスターと連戦する『蜃気楼の塔』が解禁される。
    • 部屋に鎮座するモンスターに勝つことで上の階層に進める。
    • 鎮座するモンスターはいずれも上位であり、大型モンスターが2体以上同時に出現することも多い。
    • 特定階層毎にご褒美のアイテムやタマゴが入手出来、ここでないと入手できないオトモンも存在する*2
  • 長期的に続くアップデート
    • 対戦要素を除けば一人用のRPGである本作だが、発売後も1年以上に渡りアップデートが続けられるという、長いサポート体制も特徴。
    • 細かい不具合や対戦バランスの改善と言ったものに加え、2度にわたって大型アップデートが実施された。もちろん無料。
      • どちらのアップデートも本作のアニメ版『RIDE ON』との関連を強く意識した内容になっている。後述のようにアニメが予定より長期に渡って放送されたため、その内容に原作側である本作の方が合わせるような形になっている。
    • 1度目の大型アップデート(Ver.1.2.0)では、対戦バランスの改善やオトモンの追加に加え、主人公の見た目をアニメ版オリジナルキャラクターを含む別キャラの見た目に変わる装備が手に入ったり、DL専用のサブクエストでなければ手に入らないモンスターのタマゴが低確率で通常のモンスターの巣でも入手ができるようになった。
      • なおこのアップデートに伴い、「Ver.1.2.0」が最初から導入されている本作の新パッケージも発売された。
    • 2度目の大型アップデート(Ver.1.3.0)は、オトモン厩舎の拡張や新たなアニメ版オリジナルキャラのなりきり装備に加えて、クリア後に行けるダンジョンの内容が大幅に進化した。

賛否両論点

  • キャラデザやグラフィックはやや人を選ぶ部分が大きい
    • いつもの「リアル調な『MH』」を期待していた人からは、アニメ調のグラフィックに対し賛否の意見がみられる。
    • 特に、一般的なアイルーとはかけ離れた外見となっている「ナビルー」に関しては発売前から否定的な意見が目立っており、発売後も彼のデザイン故に手を出しにくいという声も一部聞かれる。ストーリー序盤では「主人公が最初に絆を結ぶ予定だったオトモンの卵を食べようとした」という、心証がいいとは言えない出会い方なのもそのような印象に拍車をかけている。
      • ただし、ナビルーの外見に関してはきちんとした事情が存在しているため、何の理由もないという訳ではない。また、ナビルー以外のアイルーの見た目はメインシリーズを踏襲しているため、「全てのアイルーの見た目がアレである」というのは誤解である。
    • モンスターのしぐさもアニメ調のグラフィックで描写されているのだが、本家モンハンのイメージを尊重しているのか感情で表情が変わることはなく動物的で、どこかいびつな雰囲気を漂わせている。
  • 戦闘システム
    • 上記の通り戦闘は三すくみの攻撃方法を選択するのだが、当然、相手が何を選ぶかは分からず、自身のオトモンの行動もランダム。
    • 一応、モンスターによって選択しやすい行動・選択しにくい行動はあるが、100%では無いため予想から外れることもある。その時にナビルーが「行動を見極めないと」というセリフを発するのだが、100%の行動では無いため見極めるにも限界がある。
      • 戦闘開始時にナビルーが出しやすい三すくみ傾向のヒントを言ってくれるが、すべてを語っているわけではないし、複数種のモンスターが現れた際にはどれについて話すかはランダム、バックアタックや不意打ちになった場合は「後ろを取ったぞ!」などしか言わず、過信はできない。アイテムの「双眼鏡」を使えば得意な三すくみ傾向が表示されるが、1番出しやすい一種しか書いておらず、複数の三すくみを出してくるモンスターに対応するのは難しい。
      • 総当りでパターンを確立しようにも、三すくみを外した際のデメリットが強すぎる(受けるダメージが増える、ライド解除の危機に陥るなど)ので、自力で調べるのは至難の業。
      • 三すくみで有利を取ることがシステム上重要であるため、運ゲーとなるこの点に不快感を覚える声も。元々MH自体がモンスターの行動を読み切り、確実な反撃を決めて攻略するゲーム性であるため、従来のMHからのプレイヤーは特にそう感じやすい。
      • また、主力オトモンの選択しやすい行動がボスの選択しやすい行動に対して不利になる場合、別のオトモンを育てるか、不利を前提にした厳しい戦いを強いられることになる。
      • もっとも、強敵に対して有利となる仲間を新しく育成することも、この手の育成ゲームでは決して不自然なことではないのだが。
    • 一方、3すくみのコマンドを選んでいくだけで戦闘が進むため、ゲームをあまりプレイしない人にもシンプルで分かりやすいという意見もある。
      • モンスターの取る行動にブレや偏りがある点は現実世界のジャンケンに近い。プレイヤー側の取った行動の偏りを学習しない点は、別個体のモンスターといった形でカモフラージュされている。
    • アニメ調のグラフィックからも、従来のMHとは異なった層もターゲットにしていると考えれば、とっつきやすさを重視したシステムとも言える。
      • 逆に言えば、『ドラクエ』や『ポケモン』のような王道RPGの戦闘システムを期待していたプレイヤーの第一印象としてはただの豪華なジャンケン程度と思われても仕方がないが、ある程度プレイしてモンスターの行動パターンを把握できれば本家モンハンの戦略性を上手く落としこんだ戦闘システムにまで印象が昇華されるため、そちらの層としてはスルメゲー評価にもなり得る。
    • 王道RPGのような絶対的なパワー差での思考停止のゴリ押しが効きにくい点、戦闘を有利に進めるにはモンスターの行動を見極める必要がある点などを踏まえると、本作の戦闘のコンセプトとしては「RPGになったモンハン」よりは「モンハンになったRPG」と言った方が適切と言える。
  • 資金が通常戦闘では入手出来ない。
    • 資金はサブクエストをクリアするか、戦闘で得た素材を売るかしなくてはならない。
    • サブクエストはターゲットを達成すれば一度に大金を入手できるが、一度でもターゲットを達成してしまうと、再度街や村のクエストボードまで行き受注しなおさなくてはならない。
    • 通常戦闘で資金が手に入らないというのはRPG作品としてはやや異例の仕様になっているため、この点に戸惑いを覚えたプレイヤーも多いようだ。
      • ただ、クエスト報酬や素材の売却で資金を得るというのは本編でも同様であるため、実際の所は意図的に仕様を合わせたのだろう。
      • また、「野生モンスターを倒したらお金が手に入る」というのはやや不自然な描写でもあるため、妥当な調整ではある。
  • 中盤にややショッキングな容姿・設定のモンスターが現れる。
    + ネタバレのため折り畳み
  • とある登場人物によって操られたモンスターが登場するのだが、その操るための装置が重苦しい拘束具で、本作のデフォルメされたグラフィックをしても中々に痛々しい。
  • モンスターが基本的には狩猟対象、すなわち「敵」であった原作と異なり、本作のモンスターは絆を結ぶ「仲間」でもある。
    • モンスターという存在に愛着が湧いている人にとっては、操られた末討伐されてしまうというこれらのモンスターの末路は心苦しいものがある。
    • ただし、このような描写があるからこそストーリーがより盛り上がり、プレイする側も主人公に感情移入しやすくなるという側面もある。
  • 中盤以降、ライダーがお荷物になりがち。
    • 本作ではHPとは別にライフが3点あり、ライフが残っている間(=2回まで)は戦闘中にHPが0になっても復活できるシステムになっている。これは原作でも基本的に3回死亡することでクエスト失敗になる要素を再現していると考えられる。
    • しかし、このライフはオトモンとライダーで共通であるため、耐久面に劣るライダーが足を引っ張りがち。
      • ある程度成長したオトモンのHPはライダーの倍以上になり、攻撃力・防御力共にライダーを上回る。シリーズ本編でも改造オトモアイルーに任せきりのハンターをオトモハンターなどと揶揄していることがあったが、あれほど極端では無いにせよステータス面ではどちらかといえばライダー側がオトモである。
      • オトモンの経験値獲得アイテムである「生肉寿司」系アイテムがライダーには使用不可なのも、オトモンとライダーの戦力差が開く原因の一つになっている。
      • そのため、強力なオトモンをよそにライダーに攻撃が集中しライフが枯渇…と言う、歯がゆい展開になることも少なくない。中にはドスジャギィのように、ライダーを意図的に集中攻撃する思考ルーチンの野生モンスターもいる。
      • なお、真っ向勝負で勝った場合でも軽減はされるものの、少しはダメージを受けてしまう。ライフを犠牲にHPを全回復させる荒療治もできるが、貴重なライフを削る以上リスクは非常に大きい。
    • 一方、元々MHの世界の大型モンスターは人間より遥かに強力な力を持つ存在であるため、それに倣ったステータス設定とも言える。
      • 通信対戦においては、いかにライダーを守りオトモンで攻撃をするか、あるいは意表をついてライダーも防御を捨てて攻撃に参加させるかなど、戦略性が問われることとなる。
    • よって中盤以降では「ライダーが対応できそうな小型モンスターはライダーも積極参戦」し「大型モンスター戦では、ライダーはスキルやアイテムによるオトモンの補助や絆ゲージの管理に徹する」というプレイスタイルが基本となる。

問題点

  • オトモンを持つことができる数が200頭までであり、少なく感じる。
    • 2017年11月に配信されたVer.1.3.0の更新にて400頭まで増やされている。
  • フィールドになかなか現れないモンスターが存在する。
    • 大まかな生息地はわかるのだが、そこに訪れても居ないことがある。装備品を作るときなど、いちいちマップを切り替えて戻ってを現れるまで繰り返すのは手間である。
      • クルペッコのモンスター呼びを使えば、マップを切り替えなくても良くなるが、戦闘開始時のオトモンはクルペッコに固定されてしまう。
  • オトモンにできるモンスターの種族に偏りがある。
    • 狭角種・牙竜種・古龍種は亜種を含めた2種類(実質1種類)、両生種・魚竜種に至っては1種類しかオトモンに出来ない。
      • ただし狭角種・牙竜種は、本編でも1種類しかいないため問題にはなっていない。
    • 甲殻種に至ってはオトモンにすらならず、甲虫種・蛇竜種は大型モンスターが登場しない。
  • オトモンが生まれた際に名前をつけることができるのだが、一度名前をつける、もしくは生まれた時に名付けなかった場合、後から名前を変更することができない。
    • 同じくモンスターにニックネームをつけられる『ポケットモンスター 赤・緑』では初代作品から後からニックネームを変えられる手段が用意されていたので、なおさらこの問題が目立つ。
  • 戦闘時に空を飛べるモンスター同士のバトルで発生することがあるイベント「飛行対決」ではLRボタンを交互に連打する必要があるが、3DSにおいて破損しやすい両ボタンを酷使することになってしまう。
  • 相変わらず壁際などのカメラワークが良くない。『MH3G』以降3DSのモンハン作品ではお馴染みとなっている周辺機器である拡張スライドパッドにも対応していない。
    • 一応LRボタンでカメラの左右回転はできるが、上下移動には十字ボタンを使う必要があるため、使いやすいとは言えない。
    • 拡張スライドパッドに対応していたら前述の飛行対決において本体LRボタンの保護にもつながったため惜しいところ。
  • 対戦要素を持つゲームではよくあることだが、発売当初は武器やオトモンによる強弱の差はやや激しかった。
    • よく槍玉に挙げられたのは、ジンオウガ亜種やラギアクルス亜種あたり。
      • 前者は連続龍撃が根性スキルをも貫通して大打撃を与えることができるため、龍耐性を高めていない場合ライダーが食らってしまえばほぼ生き残れない。
        後者はバランスブレイカーな特技こそないものの、能力が全体的に高くまとまっているため、これと言った隙がないかなりの強オトモンとされている。
    • 武器の方で言えば、「大剣と片手剣が強く、ハンマーと狩猟笛が弱い」という意見が多い。使える特技の有用さが大きく異なっているためである。
      • 武器種自体も全4種と大幅に削減されており、ランスやスラッシュアックス、ガンナー武器などリストラされてしまった武器のファンからは嘆きの声も聞かれた。
    • アップデートを経るに従い、この手のバランスブレイカーな戦術や強弱の格差は改善されてきている。
  • サブクエストの中には「依頼サブクエスト」という拠点にいるNPCから受注するものが存在し、条件を達成した後は受注したNPCの元に向かって報告しないとクリアにならないのだが、依頼主のNPCがどこにいるのかわかりづらい。
    • メニューには依頼主がいる拠点の名前しか表示されず、下画面のミニマップにも依頼主を示すマークが表示されないので、誰から受注したか忘れた場合には拠点を片っ端から探さなくてはならない。
  • 前述の通り、戦闘時のライドオン中は通常攻撃で真っ向勝負に勝って絆レベルを上げるか、絆技を発動する、逃走することしかできなくなるので、相手が無属性の特技しか使わずに真っ向勝負がなかなか発生しない状況になると退屈な戦闘になる。
  • 公式設定との矛盾
    • よく指摘されるのは、タマゴから生まれてくるモンスターが設定と食い違っているという点。ゲームシステムの都合上仕方ないところもあるが、どうしても気になってしまう人も多い。
      • ババコンガやベリオロスなどの公式設定において「胎生である」とされているモンスターであっても、例外なくタマゴから生まれてきてしまう。
      • また、ドスジャギィなどは「成長した雄個体がボスの座に就く」といった設定があるのだが、本作においてはタマゴから生まれた段階ですでに「ドス」ジャギィである。
      • バサルモスとグラビモスは幼体と成体の関係なのだが、本作においてはグラビモスはタマゴから生まれた段階ですでにグラビモスになっており、またバサルモスを育てていったらグラビモスに成長する、といった事は一切ない。早い話が、「本作では全く別の生物として扱われている」という訳である。これは、スクアギルとザボアザギルなどにも同じことが言える。
      • ディアブロス亜種は、繁殖期で警戒色に変色した雌の個体という設定だが、そのまま黒い状態でタマゴから生まれる。
      • ベリオロス亜種の頭部の赤みは「倒した獲物の血を塗り込むため」という設定だがこれもやはり無視されており、生まれた時から顔が赤い。これに関してはAC作品の『スピリッツ』の幼体の方ではきちんと描写されているため、尚更気になってしまう。
  • モンスターハンターの世界観では、ギルドの許可なくモンスターを大量に狩猟すると処罰の対象になってしまうが、そのような描写も見られない。
    • RPGという仕様上仕方ないといえばないが…
    • 一応本作の主人公はライダーでありハンターではない他、ギルドが管轄できない辺境の地のハンターにはこの制度は適用されない等の抜け穴はある。
    • 一応、ストーリーが進むとギルデカランのギルドマスターが主人公のモンスター討伐を特別に認めるという描写があるが、ハクム村のライダーたちをはじめ他のライダーに関してはどうなんだという突っ込み所も浮上する。
  • 本編ではモンスターの特技は、そのモンスターの体内器官により可能という生物的な設定を設けているが、遺伝子システムではこれらの設定は全く考慮されていない。
    • システムとしてはオトモンを好きにカスタマイズ出来たり、好みのモンスターを終盤まで実用できるようになる良いシステムだが、世界観設定を見るとやはり気になってしまう。
    • 一応、「モンスターには元々もっと大きな可能性があり、伝承と絆の力で出来なかったことができるようになる」「絆を結んだライダーと一緒でなくては開花した実力が発揮できないため、伝承を受けたオトモンを野に逃がしても問題はない」という理由付けはされているが、それでもやや苦しいものがある。
  • これらの矛盾は、本編の設定を本作用に再構成せずにそのまま持ってきてしまったことも一因と考えられる。
    • ただし、開発側からはこれらの意見を聞いたうえで「全てを設定通りにしてしまうとRPGとして面白くなくなってしまう」と言う発言がでた事から、どうしてもある程度の所で折り合いを付けなくてはならなかったのかもしれない。

総評

独自性を持ちつつ分かりやすく爽快感のある戦闘システムや高い完成度を誇る王道なストーリー、そして無限の可能性が広がる育成要素と、蓋を開けてみればRPG作品としては良作と言って差支えのない出来の内容であった。
何より、本編でも人気の高いモンスターを自身の仲間に加え、共にモンハンの世界観を冒険することができるという点に関しては、シリーズ全作を見渡しても本作でしかできない体験である。
ただ従来のシリーズ作との作風の違い故に一見とっつきにくいせいか、ナンバリング作品のようなゲームを望んでいた者からすれば大きなジャンル変更は批判の声も多く、本作に手を出さない人が続出した。公式設定の矛盾やバランスブレイカーとなる武器とモンスターにも問題は多かった。
このような路線の変更を受け入れられるモンハンシリーズ経験者にはもちろん、一風変わった育成型RPGを楽しみたい方にもお勧めできるゲームと言えよう。


余談

  • 本作は基本的に本編MHと直接的なつながりはないが、本編からのゲストキャラとして『わがままな第三王女』と『モン』、『ココット村の村長』*3が、クエスト依頼人という形で登場する。
  • 2017年までの売り上げは32万本。やはりガラッと変わった世界観やシステムで手は出せなかったのだろう。カプコンも決算短針の数値から見てあまり伸びなかった事を認めていた。

アニメ版

  • 本作に合わせてフジテレビ系列でアニメ版である『モンスターハンター ストーリーズ RIDE ON』が2016年10月2日から2018年4月1日まで放映された。
    • 当初の放映期間は1年間の予定であったが、好評につきアニメオリジナルストーリーである「ブラックライダーズ編」が追加され放映期間が半年間延長されている。
    • またVer.1.3.0のアップデートで追加されたエクストラダンジョン「双天の塔」にてブラックライダーズ編に登場するライダーたちと戦えるようにもなった。
    • なお、放送開始当初の番宣やポスター等では、「モンスターハンターシリーズ 初の アニメ化!」と、本番組以前に放送されていた『モンハン日記 ぽかぽかアイルー村』のフラッシュアニメ化作品『モンハン日記 ぎりぎりアイルー村』の存在がなかったことにされていた。もっとも、30分枠でのアニメ化という意味合いでは間違ってはいない。

関連商品

  • Android及びiOSにおいて、本作の関連アプリである『オトモンドロップ モンスターハンター ストーリーズ』と言うものが配信されている。内容は本作の要素を組み込んだパズルゲーム。
    • また、トレーディングカードゲームとして『モンスターハンター ストーリーズ RIDE ON カードゲーム』と言うものも展開されている。こちらはどちらかと言うとゲーム版ではなくアニメ版の設定を強く意識したカードゲームになっており、モンスターハンターシリーズにおけるカードゲームの第三弾に当たる。
    • さらに2020年2月19日にスマートフォンアプリのRPG作品として『モンスターハンター ライダーズ』が配信された。その名の通りモンスターライダーが話の主軸になっている上にそれ以外も今作の世界観に近い。

その後の展開

  • 2017年12月14日に『モンスターハンターダブルクロス モンスターハンター ストーリーズ Ver.1.2 更新版 ツインパック』が発売された。
  • Nintendo Switchでシリーズの続編『モンスターハンター ストーリーズ2 破滅の翼』が2021年7月9日に発売された。
    • 本作のキャラクターが再登場する中、MHW出身のモンスターも登場する。後にSteam版も配信。
  • 2024年6月14日に本作をSwitch/PS4/Win(Steam)へ移植したリマスター版が発売。
    • 日本語および英語のフルボイスでのセリフ新録や設定資料集・音楽鑑賞が追加される。
      また、上記『MHST2』のPS4版も同日発売となる。
最終更新:2024年06月14日 10:22

*1 公式サイトと任天堂の紹介ページには「カプコン」しか表記がない。

*2 限定オトモンに関しては、後にDLクエストで入手できるようにもなっている。

*3 後者二人は明確に個人名が出ているわけではないが、口調や依頼内容から本人と推測される