RUNE
【るーん】
ジャンル
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カードアクションRPG
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対応機種
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ニンテンドーゲームキューブ
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メディア
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GC専用8cm光ディスク 1枚
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発売・開発元
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フロム・ソフトウェア
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発売日
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2002年4月25日
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定価
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6,800円(税別)
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プレイ人数
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1~2人
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判定
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スルメゲー
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ポイント
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一応GC初のRPG フロムらしい癖のあるゲーム性
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概要
GC最初のRPGを銘打たれて発売された作品。
世界観などは一見王道ファンタジー風だが、そこはフロム・ソフトウェアが手掛けているだけあって全体的に非常に癖のある仕上がりになっている。
ストーリー
人々がその異常に気付いたのは、小さな森が一つ消えたときである。
昨日まで森だったはずのその場所には、闇そのもののような黒い霧があった。
森の様子を知ろうと何人もの人間が霧の中へと分け入ったが、戻る者は一人としていなかった。
森の次は湖が、そしてその次には町が一つ…と消えていった。
残されたその場所には、全てを飲み込むような黒い霧が立ち込めているのみだった。
古き盟約に従い、互いに不干渉を続けてきた五人の王たちは数百年ぶりに一堂に会し、
この怪異について論じあったが、答えを持つ者はだれ一人いなかった。
人々は噂しあった。魔神が蘇ったのだと——。
そして今、五王国のひとつオランジュに危機が訪れようとしていた…。
システム
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プレイヤーはオランジュの姫、カティアとなってオランジュ王国に伝わる不思議な「鍵」の力を借りて黒い霧の謎を解く旅に出ることになる。
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CMなどでもプッシュされていた要素として、主人公であるカティアは全くの無力であり、一切の攻撃手段を持たないことが挙げられる。「RPG史上最弱の主人公」ともしばしば言われる。
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その代りカティアは「鍵」の力を借りて様々な魔物が封じられた「カード」を操って戦う事になる。「カード」と「魔物」は一対一の関係にあり、全ての魔物はカードとして登録できる一方、魔物として登場しないカードは存在しない。
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本作は「トレーディングカードゲーム+アクション+RPG」とでも言うような非常に独特なシステムを採用している。
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まずプレイヤーは手持ちのカードから30枚選び取ってデッキを組むことになる。なお、非常に珍しいことに同名カードの投入制限は一切無い。30枚全て同じカードでもOK。
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デッキを組んだら、マップから目的地を選びそのフィールドを攻略していくことになる。ちなみにラスボスを倒すまでは一度クリアしたフィールドの再挑戦は不可能になっている。
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フィールド内では与えられた目的達成を目指して歩き回ることになる。基本的にはランダムエンカウントで、敵に遭遇すると正方形にフィールドが区切られ移動範囲が制限される。フィールドの区切りまで歩けばカード一枚を犠牲に逃げることが可能。一部固定エンカウントのポイントもある。
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フィールド内には様々なギミックに加え、宝箱や中間地点であるデッキポイントがある。デッキポイントでは体力が回復する他、そのフィールド内で入手したカードに限りデッキに付け加えることが可能。
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また「赤妖精」と「青妖精」というキャラクターに遭遇することもある。赤妖精は特定ポイントに居て何かしら情報を与えてくれるお助けキャラ。別口で赤妖精に遭遇し連れて来た数に応じてご褒美がもらえる。
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青妖精はランダムに発生しカティアから逃げ回るボーナスキャラ。消えるまでに捕まえる事ができれば、一体毎に体力回復・カード復活・魔法石補充などの恩恵がいずれかランダムで一つ得られる。
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戦闘時はデッキからランダムに4枚、手札が補充される。使い切ったカードはそのフィールド内では恒久的に消失し、何らかの復帰手段を用いない限りフィールドから脱出するまで手元に戻ってくることは無い。つまり、デッキを使い切ると一切の戦闘手段を失うということ。こうなったら早くギブアップした方がよい。
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手札を使い切ったら自動的に山札から補充される。なお、次に補充されるカードは表示されているためある程度の戦略見通しは立てられる。
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カードを使用する際は「魔法石」というクリスタル状の物体を消費する。もちろん強力なカードほど消費魔法石量も多くなる。
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注意点として、魔法石は一切自動回復せず、魔物を攻撃した際ドロップする物を回収していかないとすぐに足りなくなる。つまり、魔法石が完全に無くなると攻撃手段もなくなり、魔法石の補充もできなくなるということ。
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一応、魔法石の代わりにHPを消費してカードを使うことも可能ではあるが、HPが一定値以下に減少するとカティア本人の動きが鈍くなるので本当の緊急手段である。
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魔法石は攻撃をヒットさせた相手の周りに散らばる物である為カティアが自分で拾いに行く必要が有り、消えるまでの時間もあまり長くない。敵に近寄らなければならない為あまり欲張ると、却ってピンチを招くことも……。
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カードには以下のような種類がある。
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武器型…カティアと共に魔物が現れ、攻撃して消える。基本的に複数回使用できるのが特徴で、コストパフォーマンスも良好なカードが揃っている。その代り相手に近づかなければならないデメリットを負わされてしまうものが多い(飛び道具タイプも存在するが)。
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召喚型…使用すると暗転し、魔物が現れ何かしらのアクションを取ってから消える。武器型と異なり使い捨て。攻撃型カードもあるが、「体力回復」「デッキ補充」など特殊効果を持った物も多い。
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自律型…使用すると魔物が現れ、自らの判断で行動を続ける。魔物それぞれに体力と防御力が設定されており、敵はカティアだけでなく自律型の魔物も敵とみなして攻撃する。
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勝手に動いて敵を攻撃してくれるカードの他、「その場に設置され近づいた敵に攻撃するトラップ型」「自身は攻撃しない代わりに特定属性を強化したり、何かしらの特殊効果を場にいる限り発揮し続けるタイプ」など様々な種類がある。体力が残っていれば、複数回の戦闘で使用できる。
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戦闘終了後は敵に止めを刺したカード及びデッキ内の全てのカードに経験値が入る。
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敵に止めを刺した場合、その敵に応じた経験値量が手に入り、それ以外のカードの場合戦闘中に手に入れた魔法石量がそのまま経験値になる。ただし、どれだけ経験値を溜めてもカードそのものは強くならない。これは後述の「骨董屋」で用いる。
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フィールド内での目的達成後はそのシナリオで受けたダメージや使ったカード枚数で評価が下され、籤の様な形でカードを引き最大3枚までランダムにカードを手に入れる事が出来る。このランダム籤引きのカードはフィールドボス及びそのフィールドでの主要敵で構成される。
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Rトリガー+手札ボタンで魔法石を消費して「キャプチャー」というアクションを取れる。これは目の前にまだクリーチャーが封印されてないいわば「ブランク」カードを投げつける攻撃技で、与えられるダメージ量は微少だがこれで敵に止めを刺すと、その敵をカードに封印できる。
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謎の老婆「グリディ」が経営する「骨董屋」ではカードを売買したり変化させたりコピーしたりできる。
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売買には「G(ゴールド)」が必要。ゴールドは「骨董屋でカードを売る」以外に入手手段が無いが、「骨董屋でカードを買う」以外の用途もない。
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カードの変化及びコピーには前述の「経験値」が一定量必要になる。
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カード毎にどのカードに変化させられるかは決まっている。もちろん強力なモンスターの封じられたカードにすればする程必要な経験値量は多くなる。
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カティアのHPや魔法石所持量は各地に封印された「鍵」をイベントで手に入れることで成長する。逆にこれ以外に成長手段は無い。
問題点
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とっつき難い。
上記システムを読めば分かる通り、「デッキの組み立て」と「戦闘でのカードの適切な使用」に加え、「カード運」が必要になってくるため、慣れるまではかなり苦労する。
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特に「カードを無駄遣いすると簡単に詰む」というのが初心者が最初に躓くポイント。フィールド内で手に入れたカード以外は補充できないというシステム上、雑魚戦だろうがリソース管理の気を抜けない。
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また、宝箱やイベントで入手したカードは、敗北や撤退でフィールドから抜けたとしても手元に残ってしまい再入手不可というのがまた曲者。つまり、次回挑戦時は補充できるカード量が少なくなってしまう。
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もっとも、「宝箱回収済みだから一直線にボスに向かえばOK」というステージもあるのでこの辺りは一概には言えないが。
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「一度クリアしたマップは一周クリアまで再挑戦不可」というのも地味に厄介。「稼ぎプレイをしよう」と思っても、現在詰まっているそのマップしかプレイできる場所がないので、単調になりがち。
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もっとも、上記システム上カティアのパラメーターは常に固定で、カードも「弱くて軽い」か「強くて重い」かなので「現在のカード資産で絶対にクリアできない」という事態はまず起こらないが。
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また、「パラメーター固定」かつ「過去のフィールドに戻れない」仕様上、ゲームが進んでも強くなった感に乏しいのもRPGとしては問題かもしれない。
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他にも「フィールド内の破壊可能オブジェクトをエンカウントしカードで攻撃しないと破壊出来ない」という物がある。
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他のRPG作品ならばフィールド内使用専用のアイテムや何らかのイベントフラグで撤去除去出来る様な物がいちいち戦闘に入らないと破壊出来無い上に破壊出来るかどうかも確認出来ない。
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よってアイテム取得の見落としやカードの無駄遣い、オブジェクト破壊中に敵の妨害を受けるなどの害を受けやすい。
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RPGとして見ると、ストーリーは「雑」の一言。
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フロムらしい「多くを語らない」系のシナリオだが、主人公が他人から言われた通りに右往左往し、気が付いたらラスボス戦……とでも言うような適当さである。
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カティアの内面描写がほとんどなく、再会した瞬間に死にかけている父王との最期の対話も父親が一方的に言いたいこと言って終わり。ラスボスにも「父親の仇」だともなんとも言わないため、どうにも感情移入しにくい。
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「この世界には大陸が二つある」らしいが、もう一個の大陸にはラストステージしかない。ラスボスが支配している大陸なのに、あっさり主人公が辿り着けてしまうなど防備がザルすぎである。
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文字通りのキーアイテムである「鍵」だが、ストーリーが進むにつれ次第に入手描写が適当になっていく。特に4つ目の鍵入手直後のフィールドで5つ目の鍵が手に入ってしまうというのは駆け足にも程がある。
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ライバルキャラであるはずのもう1人のカード使い「グロリア」だが、戦う機会もあまりなく、最後の最後でまとめて怒涛のように自分の生い立ちを語るせいで、やはり感情移入しにくい。
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「本当は善人キャラ」らしいが、それを匂わせる描写もあまりない。
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フィールドが暗い。世界観を表しているのかもしれないが、「敵がどこにいるのか」「何をしているのか」判り難い場所が多く、変なところで不意打ちを貰いがち。
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見下ろし視点型3Dゲームらしく視点移動は完備しているが、「左右90度単位」でしか動かせないという、同様に微妙に癖のある操作になっている。
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ミニマップ自体は有るがマップ内の方角を表す記号が無いため、戦闘終了時など「自分がどちらから来たのか」分からなくなる事もしばしば。
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ボリュームが薄い。ゲーム内のストーリー部分クリアまでのプレイ時間は10時間弱程。
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一応この後「各地を回ってカードを集める」という目的はできるので「ラスボスを倒せば終わり」というわけではない。というかカードゲーム的にはここからが本番ではあるのだが……。
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敵と味方を区別する記号は「敵には体力ゲージがある」だけなので、自律型を多く呼び出すとどれが敵なのか味方なのか判り難くなる。特に、画面下部分にいて体力ゲージが隠れてしまうクリーチャーは判別しづらい。
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クリーチャーがキモイ。というか主人公のカティアからして洋ゲーチックな濃いデザインであり、全体通しても「可愛い」系のキャラは赤妖精ぐらいしかいない。
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これを「プレイヤーに媚びない硬派な態度」と評価する向きも一応ある。とはいえ、本当に「怖い」「不気味」系のクリーチャーばかりなのでこの辺りは徹底している。「カッコイイ」キャラもあまりいない。
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ありがちなことではあるが、カードバランスはあまり良くない。
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最初に手に入る自律型カードである「スケルトン」は攻撃力が絶望的に低過ぎて全くと言っていい程使い物にならない。一応大量の経験値をつぎ込む事で強力なカードに変化させる事もできるが、それ程の手間を掛けるメリットも薄い。
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召喚型カードである「ウェアウルフ」や「サスカッチ」は召喚後周囲一帯を薙ぎ払って攻撃するカード。しかし、攻撃範囲の狭さに対してモーションがもの凄く遅く、よほど鈍い相手でないとまず当たらない。対人戦での命中率は絶望的。
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一応これらのカードは前述のグロリアとの対決時に相手が使ってくるカードなので、「ハンデとして」弱い設定になっている可能性はある。
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自律型カードは「体力吸収」能力を持っている相手に殴られると、体力回復の餌にされてしまう事がある。それ以外の相手なら十分に実用的だが、よりにもよってラスボスが体力吸収能力持ちなので、あまり自律型を多く入れると却って戦闘が長引きがちである。
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一方強いカードの代表格としては「バンシー」など。
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発生が早く、前方遠距離を貫通する武器カードで、低コスト・高使用回数、更には体力吸収と非常に汎用性が高い。
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一応四竦みによる属性要素が有るが、ラスボス始め強大な敵キャラは大半が「属性間優劣を持たない」異属性という属性に設定されており、あまり活用される機会がない。
評価点
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とっつき辛くはあるものの、慣れれば独特なシステムを楽しめる。
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翻って言えば、「雑魚戦も考慮した上でどれだけ無駄なくボス敵までたどり着けるか」という他のRPGには無い独自の戦略を組み立てる必要に駆られることになる。「雑魚で使えるカード」「ボスで使えるカード」など、吟味の幅は広い。
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カード総数は105種類とあまり多くないが、その代りにカードのそれぞれは非常に個性的。モーション使い回しであっても、コストや威力で細かく差別化されており、カードを使い分ける楽しみがある。
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「じっくり考える」のではなく「状況を読んで自キャラも適切に動かしつつ素早く適切なカードを選び取る」という他のカードゲームには無い戦略も必要になる。
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「キャプチャー」は非常に使い辛いが、上手く嵌って強力な敵を捕獲できた時の爽快感は抜群。
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カードコレクションも楽しめる。
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「弱いカードも経験値を貯めれば強いカードに変化させることができる」というシステム上、弱いカードを使い込む楽しみもある。
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対人戦は熱い。
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上記の通り「使えるカード、使えないカード」の差は激しいものの、アクションと戦略が融合したハイレベルな戦いを楽しめる。
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システムの関係上、「遠距離カードハメ」は通用しない。どうあろうとも魔法石を手に入れないとカードは使えず、そしてその入手には敵に近づく必要があり、相手も回避行動が可能な為である。そのため、全体的なバランスは意外と良好。
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ゲーム中では敵カード使いと戦う機会があまり多くないのが残念である。
総評
とにかく「慣れるまで辛く、慣れた頃にはゲームが終わる」というアンバランスさが問題と思われる。
ただ、独特なゲームシステムに慣れてしまえば、他にはないアクション性・戦略性共に高いバトルが楽しめるユニークな作品であることは間違いない。
購入・プレイを検討する際は、全体的に「プレイヤーに媚びていない」かなり硬派なRPGであることだけは心得ておいてほしい。
余談
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続編として『RUNEII ~コルテンの鍵の秘密~』が発売された。
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システムが改善され、本作と比較してとっつきやすさが増している。
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また雑誌「ニンテンドードリーム」2003年6月6日号の付録として、『RUNEII』の体験版ディスクを手に入れることができた。
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主人公の衣服が製品版と異なり、天使をモチーフとしたオリジナルのものになっている。
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また本作のゲームエンジンはPS2用のコンバートやある程度の改良を施した上で同じフロム作のPS2ソフト「九怨」に採用されているらしい。
最終更新:2023年08月30日 15:40