【さいこぶれいく】
カプコンを離れた『バイオハザード』の生みの親である三上真司氏が、Zenimax Media傘下にて興したデベロッパー「Tango Gameworks」によるTPS視点のサバイバルホラーゲーム。海外でのタイトル(原題)は『The Evil Within』となっている(*1)。
「サバイバルホラーへの原点回帰」を謳い、「国産初のAAAタイトル」「500万以上のセールスに見合う内容を持ったゲーム」などの自信満々な発言、発売前の宣伝などのビジュアルや実写PVで注目を集め、期待されると同時に不安視もされていた(*2)。
刑事セバスチャンと相棒のジョセフとキッドは、ある精神病院で起こった凄惨な大量死亡事件の現場に急行する。
他の警察官が次々と殺害されていくのを目撃したその時、セバスチャンは背後から何者かに襲われ、意識を失ってしまう。
目覚めるとそこは、現実と虚構が入り乱れ、得体の知れない化物が徘徊し、常に死と隣り合わせの狂気の世界だった。
セバスチャンは戦いながらも状況を理解していく。彼はいったいどこに迷い込んでしまったのか?
想像を絶する恐怖に直面し、生き延びるために戦う……セバスチャンは自らを狂気の世界へと陥れた強大な力の影に潜む謎を解き明かすため、恐怖に満ち溢れた旅に出るのだった。
チャプターの始めから難易度を下げてやり直せる
武器を取り損ねた後の手厚いフォロー
やり込み要素
強烈なビジュアル
オリジナリティが薄い
全容の把握が難解なストーリー
+ | さらに突っ込むなら |
不自然な演出・無理のある展開
即死要素多数の死に覚えゲー
強制戦闘の多さ
多種多様な武器を使いこなす敵
両極端な武器・アイテムの性能
命中率と当たり判定が理不尽
完成度の低いステルス要素
カメラワークが致命的に悪い
デバッグ不足や調整不足・最適化不足を感じさせる杜撰な作り
+ | 本作におけるバグの数々 |
予約特典DLC「ゴアモード」の描写規制
Win版の日本語未対応問題
既視感が強くオリジナリティに欠けるシステム・ビジュアル面、わかり辛いストーリー、劣悪なカメラと操作性、不自然な描写の数々、DLCに至るまで多数の問題点を抱えており、その完成度は決して高いとは言えない。
「サバイバルホラーへの原点回帰」「500万以上のセールスに見合う」という開発側の強気な発言と、それに全く見合わない方向性・クオリティも本作の低評価を後押ししており、各レビューサイトは大荒れ。
結果として、大手通販サイトAmazonでは発売一ヶ月足らずで僅か半額以下にまで値崩れし、「在庫ブレイク」という蔑称もつけられてしまった。
三上氏が謳った「(第8世代ハードにおける)国産初のAAAタイトル」の名に相応しい出来かと言われると大きな疑問が残る、色々と残念な作品である。
ただし、多数の粗はあれど「ホラーではなくハードコアシューターとして見れば、完成度は高く楽しめる」「敵配置を覚え、やりこむうちに楽しさが分かってくる」と評価する声も根強い。
とても万人向けとは言えないが、単純にクソゲーの一言で済ませるには惜しい部分があるのも事実である。
周回毎に縛りプレイをして遊べるくらいの実績解除もあるので、ダークな世界に浸りたい・高難度のシューティングに挑みたいという方は楽しめるだろう。
*1 Steamで配信されているWin版はこちらのタイトル。
*2 当時、PVの後半(具体的には、通称”貞子”と呼ばれるボスが出てくる場面)辺りから「何故か熱の冷める感覚がある」という意見が意外と多く見られた。
*3 あくまで敵の目線上にランタンの明かりがある場合なので、真後ろからステルス状態で近づいた場合は、自分の足元が明るくなったりしても感づくことがない。
*4 ボスや大型敵へのスニークキルは大ダメージ攻撃扱いで、一撃必殺とはならない。
*5 『2』のストーリーが本作の設定を最大限に活かしたものであり、それでいて難解ではないため。「先に『2』をプレイしてから本作を遊んだほうがストーリーを理解しやすい」といった声まである。
*6 トラバサミに引っかかっただけでも死ぬ。
*7 クリアまでに数百回死亡、というのも珍しくはない。
*8 ルヴィクによく似た服装のホーンテッドで、こちらを見つけると地面に沿って移動し追尾する飛び道具(即死効果付き)で攻撃してくる。
*9 フィールドに配置された瓶詰のものではなく、敵を倒したときにドロップするタイプのもの。
*10 実際は『サイコブレイク2』でディレクターを務めた、ジョン・ジョハナス氏が中心となって作られたもので三上氏はいわゆるオブザーバーとしての関与。