The Wonderful 101: Remastered
【ざ わんだふる わんおーわん りますたーど】
ジャンル
|
ユナイト・アクション
|
|
|
対応機種
|
Nintendo Switch プレイステーション4 Windows (Steam)
|
発売・開発元
|
プラチナゲームズ
|
発売日
|
2020年6月11日
|
定価
|
パッケージ: 4,980円 ダウンロード: 3,980円(いずれも税抜)
|
レーティング
|
CERO:B(12才以上対象)
|
判定
|
良作
|
ポイント
|
『ピクミン』とは似て非なるスタイリッシュアクション ヒーローものとしてお約束ながらも熱いストーリー展開
|
概要
ヒーロー達100人がユナイト(合体)し、様々な武器などに変形して戦うWiiU向けアクションゲーム『The Wonderful 101』のマイナーチェンジ版。
原作はのちにメーカーが自虐ネタにするほど難易度が尖っていたが、本作ではライトゲーマー向けの調整が加えられたモードも登場している。
ちなみにゲーム内の組織名は「ワンダフル・ワンダブルオー(100)」であり、ゲームタイトルにある「101」人目の隊員は、プレイヤーを意味している。
特徴
-
ワイプ表示されるウィンドウに図形を描くことで、それぞれのリーダー的なヒーローの能力を基調とした武器に変形して戦う。
-
これらは集結したヒーローの数によって効果が異なり、いかにヒーロー達のダメージを避けて相手にコンボを決めていくかが重要となる。
-
原作発売当時は『ピクミン』に似ているとして比較されたが、ピクミンが主に役割を分担するゲームなのに対し、こちらは力を1つに結集してギミックを動かすのが基本の群像アクションゲームである。
-
演出に従って所定のユナイト・モーフを繰り出す、Aボタンを連打するといったQTEが随所に配置されている。
-
が、やるべきことは明示されており、操作も直感的で、失敗しても少しHPが減るだけで直前からリトライできる。そして失敗しても専用のやられギャグムービーが挿入され、楽しむことができる。
-
原作になかった追加コンテンツが2種配信されている。
-
2021年6月に追加された無料DLCの「タイムアタック」は、その名の通り各ステージのクリア時間を競うモード。会話イベントはスキップされ、戦いだけをこなす。なお、クラウドファンディングにより集めた資金で開発されている。
-
同年8月に追加された有料DLCの「ザ・プリンス・ヴォークン」では、敵を繰り出す「エネミーユナイト」能力が追加される。上述のタイムアタックにも対応。
評価点
-
HD画質を活かした、光沢にこだわった美麗なグラフィック。
-
カメラワークには映画的な演出も組み込まれており、プレイを盛り上げる。
-
キャラクターの個性が強烈。
-
アメコミ風ながら、やや日本の戦隊ヒーロー的な空気も漂わせてあり、その奇妙なマッチングによるシュールさは見ていて楽しい。
-
ワンダ・レッド以下メインキャラクター以外はイベント中で喋ることこそ無いものの、ユニークでシュールなメンバーが揃っている。イベントには反映されないが操作キャラクターとして選ぶことも可能。
-
100人の隊員全員にプロフィールとヒーローとしての活動内容、そして専用のロゴまで用意されている。仲間にした隊員なら、モデルとプロフィール、そしてツッコミ所満載の解説を個別に閲覧することができる。
-
このテイストは敵も同じで、各ミッションを通じてシリアスに、稀にギャグも交えて味方に絡んでくる。特に味方と同等またはそれ以上の性能で幾度と無く襲い掛かってくるライバルキャラの印象は強い。
-
「図形を描く」斬新なゲーム性。
-
プレイヤーキャラは7人のリーダーが持つ固有の能力を活かしたもの(拳・剣・銃・鞭etc)に変身するため、スティック操作で直接図形を描く。
-
オリジナル版の時点ではWii U GamePadを活用したゲームは多数あったが、ゲームパッドの画面無しでもプレイできるのは珍しかった。
-
神谷英樹が手がけた、ゲームらしい爽快感や戦略性のあるゲーム性。
-
ユナイト・モーフを次々とチェンジして空中コンボを決めるのはかなり楽しく、コンボ数を多く決めることで評価もあがる。
-
状況や相手によって有効なユナイト・モーフは異なるため、使い分けも重要となってくる。正面から拳で殴っても装甲でダメージを軽減されるためハンマーで叩いて衝撃力を与えるなど。個人的にお気に入り・使い込んでいるユナイト・モーフでゴリ押しすることは難しい。
-
操作キャラによるユナイト・モーフだけではなく、自律攻撃するユナイト・モーフを作り出す「マルチ・ユナイト・モーフ」システムがあり、攻撃のバリエーションは多い。
-
また、ユナイト・モーフだけではなく、神谷ゲーらしく回避や受身のシステムも充実しており、さらにそれらを拡張することで周囲の敵だけを一定時間スロー状態にする「ヒーロー・タイム」などを発動することができ一層プレイヤーが有利になる。
-
ケレン味あるステージ展開
-
各ステージは一本道であり、基本的には雑魚敵を倒すことで進行していくが、その間に挿入される各種演出・イベントが熱い。新タイプのヒーロー加入イベント、崩れ落ちるビルからの脱出、何故か野球のようなゲームが始まるなど、プレイヤーを飽きさせない演出がちりばめられている。
-
やりごたえのある難易度。
-
各ステージでは一区切りごとに、またステージクリア時には総評として5段階プレイ評価が与えられる。評価基準はクリアタイム・コンボポイント・受けたダメージ。要は「短時間で・有効な連続攻撃を叩き込み・ノーダメージで」クリアすればよい。
-
最高評価であるピュア プラチナを狙ったプレイはシビア。ほぼノーダメージでクリアを目指さなければならない。
-
残念ながら低評価をもらってしまったとしてもプレイの進行に支障は無い。
原作からの改善点
-
ライトユーザーに向けて幅広く難易度が調整された
-
特に「イージー」「ベリーイージー」の難度低下が顕著で、より簡単に遊びやすく調整されている。
原作では雑魚の一般戦闘員ですら相当な体力・火力があったが、本作ではこれらは数発で蹴散らすことができ、ある意味特撮モノらしい楽しみ方ができるようになった。
-
他にもステージ各所でヒントが追加されたり、救済措置とも言えるクリア後要素「ユナイト・ビッグ」バッテリー消費速度が緩和されたりとイージープレイヤーがノーマルに挑戦するためのレベルデザインに手が加えられている。
-
「ノーマル」以上の難易度はほぼ変更されていないため、ゲーマーの需要も損なっていない。
-
なお「ノーマル」の難易度説明が「普通」から「普通(当社比)」に変更されるというプチ自虐が追加されている。
-
ステージ内に隠された高難度ミニステージ「カクレーガ」のミスが、メインのステージリザルトにカウントされなくなった。
-
スキルの価値が明確になった
-
ユナイト・ガッツ、ユナイト・スプリングの実質無料化
-
必須スキルであるユナイト・ガッツ(防御スキル)、ユナイト・スプリング(回避スキル)が原作では店売りで、なおかつ購入をためらう程度に高価だった。本作ではこの2つがタダ同然の価格となり、必須スキルだということが明確になった。
-
特にユナイト・ガッツはオート防御やオート反撃に派生するため、ライト層の難易度調整にも一役買っている。
-
マルチユナイトの店売りスキル化
-
原作では初期スキルだったマルチユナイトがリマスター版では特別なスキルとして店売りになった。
-
このスキルは隊員数も武器種類も少ない序盤では真価を発揮せず、序盤に使っても実感が薄くそのまま存在を忘れてしまうプレイヤーも散見されたが、リマスター版ではゴージャスな演出とともに「同時に2つの武器を出せるぞ!」→「同時に3つの武器を出せるぞ!」→「同時に~~」→…といった具合に段階的に購入する形態に変更され、重要性を十分にアピールしている。
-
WiiU版で評価の高かった一部BGMのアレンジ
-
下記2曲がフルオーケストラ・アレンジで収録されている。
「戦え! ワンダフル・ワンダブルオー」
「形勢逆転」
賛否両論点
-
1ステージの長さ
-
1ステージのプレイ時間が概ね20分を超え、長丁場になりがち。ただし区切りが付くたびにオートセーブされ次回起動時はそこから再開できるため、やめたいがやめられないといった事態にはなりえない。
-
しかし高評価を目指すと前述した通りにシビアなプレイを求められるため、1ミスでそれまでの努力が水の泡ということになりかねない。
-
アメコミ・カートゥーン風のデザインでやや癖が強く、洋ゲーと勘違いして購入をためらったという声も多い。
-
作風自体は前述の通り日本の特撮っぽさがあり、内容を理解できていればこうした層も迷いなく購入できたと思われる。
問題点
-
個々のキャラが小さすぎて見づらい。
-
いつの間にか味方がやられているということもしばしばで、ヒーローの人数が知らぬ間に減っているということはよくある。
-
シビアな足場をジャンプで越えるようなステージもしばしばあり、操作キャラの位置が判り辛いせいで何度も落ちてしまうということも。
-
隠し要素を解放するのが難しい
-
楽に解放できるキャラもいるが、全キャラクターを出そうとすれば全難易度で全ステージをクリア、全ステージで最高評価を獲得、全ての収集要素を集める、全てのステージギミックを利用するなど労力が半端でない。
-
「全ステージを最高難易度でクリア」「〇〇で全球ホームラン」など困難な実績条件は、難易度が改善されたとはいえ本作でも残存している。
総評
斬新なゲーム性を親しみやすいギャグテイストに落とし込んだ、全般的によく作りこまれた良質な意欲作である。
原作はコアゲーマー向けも標榜していたが、本作では低難度モードを易化させつつ最高難易度は崩しておらず、初心者でもテクニックの向上を楽しむことができるようになっている。
無料ないし安価なDLCによる追加要素もあり、移植版から世界観を体験することもおすすめできる作品である。
余談
-
主題歌である『戦え! ワンダフル・ワンダブルオー』は公式ブログにて無料公開されているほか、カラオケ配信されており、歌うことができる。
-
WiiU版ではパブリッシャーが任天堂だったが、リマスター版はクラウドファンディングを経て、プラチナゲームズ自身がパブリッシャーとなっている。
そして、プラチナゲームズとしては初の自社パブリッシングタイトルでもある。
-
この手の任天堂販売作品の移植としては珍しくクラウドファンディングで予算を獲得して開発されているのは、自社製自信作を移植したいプラチナゲームズと任天堂の協議の末、「プラチナゲームズの自社パブリッシングならば」という落としどころで決着したため。
-
ただし、CFの返礼品がこのタイトルそのものだったことから、本作が欲しい人のほとんどはここから入手したためか、実際に発売してからの売り上げは少々寂しい結果になってしまった。
最終更新:2023年11月14日 16:32