出たな!! ツインビー
【でたな ついんびー】
ジャンル
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シューティング
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対応機種
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アーケード
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発売・開発元
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コナミ
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稼動開始日
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1991年2月20日
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判定
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なし
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ポイント
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アーケード版ツインビーシリーズの2作目 メルヘンチックに正当進化 みんなのアイドル「パステル」登場(ただし今作では名無し)
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ツインビーシリーズ
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概要
1991年にてコナミからアーケードにリリースされた、コミカル風味の縦スクロールシューティングゲーム『ツインビー』シリーズの1作。
アーケード作品としては『初代』から数えてシリーズ2作目、家庭用シリーズも含めると通算5作目にあたる作品となる。
本作のキャラクターデザインは当時コナミに在籍していたShuzilow.HA(濱川修二郎)氏が担当。後のシリーズにおいても担当を引き継ぐ事になる。
二人同時プレイ可能。全7ステージ・2周構成。
ストーリー
ドンブリ島から遠く離れた星、惑星メルにイーバ星人が侵略を開始した。
惑星の女王メローラ姫のSOS通信をキャッチした「ツインビー」「ウインビー」の2人は
自慢の戦闘機を駆り、惑星メルを救うべく旅立った。
ゲーム内容
初代からの変更点
基本的なルールは初代をほぼ踏襲しているが、以下の変更点が加えられている。
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新操作「ビッグショット」(溜め撃ち)が追加。及び、二人同時プレイ時の合体ショットの性能変化。
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新たなベルとして「黒ベル」「紫ベル」が追加。
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ミラクルボールの削除。その代理として「グインビー」が追加。
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スコアエクステンドによる1UPの削除。本作ではアイテム等を含めたエクステンド(残機追加)が全く発生しない。
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救急車による両手修復の機会が増えた。ステージクリアをする事でも両手修復する。
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プレイ人数を問わず、無制限に途中コンティニュー可能。
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エンドレスゲームではなくなり、2周目をクリアした時点でゲーム終了となる。
操作系統
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本作はレバーと2ボタン(対空ショット・対地ショット)を使用する。
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レバーで自機の八方向移動。
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対空ショットボタンで、射程制限のない直進型の"対空ショット"を放つ。対空敵・及びボス敵のみに有効。
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対空ショットボタンを押しっぱなしにし、画面下部の「パワーゲージ」が満タンになった状態で離すと溜め撃ち攻撃「ビッグショット」が放てる。
ビッグショットは"高攻撃力・広攻撃範囲・貫通性能"を併せ持った対空攻撃。溜めの危険性は伴うが、使用回数に制限はない。
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対地ショットボタンで、射程制限のある"対地ショット"を放つ。対地敵のみに有効。
対地ショットボタンを押すと着弾点にマークが表示され、対地ショットはそこへと投下される。
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二人同時プレイ限定で以下の操作が可能。
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お互いの自機が横に接した(手を繋いだ)状態で対空ショットボタンを押すと、横幅に広い"ツイン攻撃"が放てる。
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お互いの自機が縦に接した状態で対空ショットボタンを押すと、拡散ショットである"ガッチンコ攻撃"が放てる。
ベル
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ステージ中に浮遊している「雲」を撃つと、効果音と共に本作のメインアイテムである「ベル」が出現する。
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出現したベルをそのまま放置すると、放物線を描く感じで下位置へと落ちる。この時、ベルを対空ショットで撃ち込む事により、上位置へと押し上げられる。
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ベルは5発撃ち込む度に色が変化する。基本色は黄色だが、撃ち込む回数によって色が変わり、取得したベルの色によってアイテムの効力が変わってくる。
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ベルを限界まで撃ち込むと潰れてしまい、そこから更に撃つと敵である「ハチ」に変わってしまう。こいつを破壊すると多めのスコアボーナスが得られるが、再度ベルへと戻す手段はない。
また、ボス前になると画面上のベルが残り耐久値に関係なく潰れた(=撃つとハチ化する)状態となる。
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ベルを見逃がさずに連続取得すると、黄色ベルの入手スコアに倍率がかかる。最初は500点から始まり、最大で10,000点までのスコアボーナスとなる。
但し、一回でもベルを画面内から逃してしまう・もしくはベルがハチ化してしまうと、倍率が元に戻ってしまう。
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ベルの種類及び効果
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ベルの種類及び効果
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「黄色ベル」…スコアアップの効果。上記の通り、連続取得するとスコア倍率がかかる。
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「青ベル」「黒ベル」…前者は自機のスピードアップ効果。後者はスピードダウン効果。
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「白ベル」…自機の対空ショットが攻撃判定の大きいツインショットになる。分身時ではない状態の3WAYとの併用不可。分身時限定で3WAYとの併用が可能。
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「緑ベル」…自機にトレースする形で動く分身(無敵オプション)を3機付け、自機と同じショットを放ってくれる。バリア・しっぽバリアの併用が可能。
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「赤ベル」…自機に特定回数のダメージを無効化してくれるバリアを付ける。分身との併用が可能。しっぽバリアとの併用は不可(紫ベルが出現しなくなる)。
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「紫ベル」…自機にトレースする形で動く"しっぽバリア"を3機付け、触れる事で対空敵ダメージ・及び敵弾をかき消してくれる。分身との併用が可能。バリアとの併用は不可で一度装備するとミスをするまで赤ベルが出現しなくなる。
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地上アイテム&グインビー
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ベルとはまた別のアイテムとして、地上の敵を"対地ショットで破壊する"事で「地上アイテム」が出現する。
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ベルとは違い、アイテムは固定配置される形となる。また、アイテム効力はベルとはまた別物である。
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グインビーも、地上アイテム取得で出現する。
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地上アイテムの種類及び効果
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地上アイテムの種類及び効果
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「フルーツ」
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スコアアップの効果。黄色ベルのそれとは違い、倍率によるスコア変動はない。
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「地上ベル」
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自機の対空ショットが3WAY弾になる。分身時ではない状態のツインとの併用不可。分身時限定でツインとの併用が可能。
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「☆」
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画面内にいる対空敵を全滅させる効果(対地敵には無効)。
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「チビグインビー」
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アイテムを取ると、ツインビー達の仲間「グインビー」が出現する。出現後のグインビーに接触すると、自機達と合体できる。
グインビーと合体すると、以下の特殊攻撃が可能となる。
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グインビーと共に対空・対地ショットを協力放出できる。これを利用すれば、通常の倍近くの範囲での攻撃が可能となる。但し、グインビー合体時は移動範囲が狭まるデメリットもある。
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二人同時プレイ時にて、お互いがグインビーを挟み込む形で接触させると、グインビーが画面内を飛び回りながら体当たりを仕掛ける「スペシャルグインビー攻撃」が出せる。
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手のダメージ
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本作の自機には「両手」が付いており、対空敵・ボス敵・敵弾に手が触れると片手が消失してしまう。
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両手すべてがなくなると、一切の対地ショットが放てなくなる。そのまま放置していると、対地敵の破壊はおろか、対地アイテム入手機会も逃してしまう。
両手消失後はステージ中に一回だけ「救急車」というお助けキャラが登場し、それに触れる事で両手を修復できる。
しかし、再び両手がなくなってしまうと、ステージ内においてはミスするまで二度と救急車は現れない。
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消失した手は「救急車に触れる」「ミスをする」「ステージクリアする」のいずれかの方法で完全修復される。ステージクリア後に両手を消失しても、救急車は再度現れる。
ミス条件
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残機制を採用しており、ミス後は一人プレイ時・二人同時プレイ時を問わずにその場で復活となる。残機がすべてなくなるとゲームオーバー。
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ミス条件は「バリア効果なし状態の自機本体・もしくは両手消失時の自機が対空敵・ボス敵・敵弾に触れる(共に一撃死)」。
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ミスすると、それまでに得ていたパワーアップ(スピードアップや分身など)は全て消滅する。
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グインビー側にもやられ判定があり、自機同様にミスしてしまうが、自機側はミスにはならない。
グインビー消滅後もミニグインビーアイテムは出現する。また、ステージクリア後もグインビーを合体させている場合は、次ステージにおいても合体状態が引き継がれる。
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ゲームオーバー後はプレイ人数を問わず、無制限の途中復活コンティニューが可能。
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コンティニュー後は救済ボーナスとして、バリアと3WAYの効果が付いた状態での復活ができる(初回自機のみ)。
特徴
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メルヘンチックな続編。
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本作は初代『ツインビー』を筆頭とした歴代シリーズと比べ、コミカルさ以上にメルヘンチックな一面が強調された作りとなっている。
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『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』など、ジブリアニメの影響を大きく受けたと思われるデザインが目立つ。この路線は後のシリーズ全般にも受け継がれる事となる。
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「海と雲が広がる大地」というシリーズ共通の舞台背景はそのままに、各ステージ毎に「要塞がそびえる舞台」「暗闇に明かりが照らされる舞台」といったステージ背景が展開される。
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キャラクター性の強化。
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本作は過去作において"ほとんど"姿を見せなかった「ツインビー達のパイロット」が、ステージクリア後のミニイベントに登場する。
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ツインビーのパイロットは「T文字の青服を着た男の子」、ウインビーのパイロットは「W文字の赤服を着た女の子」という設定で、これも後シリーズで継続されている。
しかし、本作の時点では彼らの本名は付いていない。名前が付けられるのは本作の約2年半後に放送されたラジオドラマ『ツインビーPARADISE』からである。
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本作のツインビー・ウインビーは、過去シリーズ以上にポップで個性的なデザインで描かれている。
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過去シリーズのツインビー達は「両手が付いた飛行型戦闘機」という擬人化された容姿だったが、さほど強いデフォルメではなかった。
本作では「丸い機体に両手両足付き」という、さらにポップで擬人化の進んだデフォルメ色の濃いデザインになり、よりコミカルな容姿となった。
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過去シリーズにおける"単なる機体の色違い"といった印象を払拭し、本作においては「ツインビーは男の子チック、ウインビーは女の子チック」な個性付けがされている。
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当時のACシューティングとしては比較的珍しく、ストーリー設定を示すミニイベントが挟まれる。
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ゲーム開始後に「メローラ姫からツインビー達への助けを求める」イベントが、ステージクリア後はツインビー達の戦況(休息)のイベントが発生する。
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本作のイベント描写はほとんど"おまけ"レベルの演出でしかないが、これは次回シリーズにおいて強化がなされていく事になる。
評価点
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初代からの正当進化。
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基本的なゲームシステムは初代『ツインビー』のそれを継続しているが、本作ならではの新要素も多く取り入れられた。
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ビッグショット(溜め撃ち)を放てば、前方にいる"対空敵集団"や"硬い対空敵"を楽に倒す事ができる。これにより、初代よりは一方的な戦況不利に陥る心配が減った。
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グインビーを仲間にすれば大幅な火力を得られ、より多くの敵を倒しやすくなる。特にグインビー付きのビッグショットは、地上敵に超絶的ダメージをあたえられる程の威力を誇る。
しかし、グインビーと合体している最中は移動範囲が限られてしまう為、戦況によってはグインビーを見捨てる非道さも必要となろだろう。
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自機自体の性能も、分身とバリア系装備が正式に併用できるようになった上に、分身装備時には更にツイン砲と3wayの同時装備も可能となり、シリーズでもかなりの高性能である。
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他にも「しっぽバリアによる対空敵撃破・敵弾かき消しテクニック」「二人同時プレイ時のコンビネーションプレイ」といった要素もあり、初代以上にプレイバリエーションの幅が広がっている。
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連続ベル取得によるスコア稼ぎがやはり熱い。
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歴代シリーズ同様に、スコア倍率を継続した黄色ベル回収行動が熱い。
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黄色ベル連続取得で10,000点が凄まじい勢いで入ってくる様は爽快の一言。ベル以外でのスコア稼ぎの効率があまり良くない本作においては、ベルをどれだけ取得できるかがベストスコアの鍵となる。
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もちろん適当にプレイするだけでベルが取得できる程甘くはなく、「敵を倒し(かわし)ながらも、的確にベルを逃さず回収できる」プレイテクニックは必至である。
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さらに色鮮やかなグラフィック・BGM周り。
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当時としては性能の高い基板で製作されているだけあって、グラフィックの書き込みレベルは非常に高い。
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上記で述べた特色のあるステージ背景が非常に繊細に描かれ、シリーズの名に恥じない外見を表現している。どのステージも外れが全くない。
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2周目ではステージ背景のカラーが1周目と変化し、プレイヤーを飽きさせない工夫がみられる。
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当然ながらBGMのクオリティも素晴らしい。
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90年代のシューティングではごく当たり前ではあるが、各ステージの道中BGMはすべて専属のものが用意されている。ボス戦BGMはラスボス含め計3楽曲。
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特にステージ6(曲名「イーバの神殿」。優しさに溢れながらも、クライマックスを感じさせる壮大さも兼ね備えた楽曲。)とステージ7(曲名「霧のむこうのパラダイス」。クライマックスを迎えたプレイヤーのテンションを最高潮に盛り上げるイントロからメロディーが最終ステージに相応しい。)がファンの間では非常に有名。この曲を聴きたいが為にプレイする者も数多い。
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ボイス演出もより強化され、喋る機会が増した。
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「ステージスタート時」「自機の手ダメージ・救急車接触時」「自機・グインビーのミス時」「パワーアップベル取得時」「ミニイベント時」といった場面で可愛らしいボイスが入る。
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その代わりに、初代にあった「SF風の渋いナレーションボイス」は完全に消滅し、完全なるコミカル・メルヘン路線の作風となった。これは後のシリーズでも受け継がれている。
問題点
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前作譲りの高難易度趣向。
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些細な事でもミスしてしまう、虚弱体質な自機の"もろさ"は相変わらず。
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自機のやられ判定の大きさはシリーズ譲りであり、気が付いたらミスしていたという事態は当たり前。その辺はシリーズの遺伝子を受け継いでいる模様。
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初代同様に地上敵の弾封じの概念がなく、至近距離からでも容赦なく弾を撃ってくる。
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グインビーとの合体は強力だが、グインビーが被弾すると画面手前(高空)に逃げるので、一瞬ではあるが視界が遮られてしまう。
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ミス後はパワーアップなしでの途中復活なのも厳しい。後半ステージや2周目プレイでミスしてしまうと、ほぼ確実に死亡フラグといっていい。
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更に残機のエクステンドが廃止され、残機を溜めてのゴリ押しもしにくくなっている。
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初代とは違い、両手修復の機会が増えているのは救い。ステージさえクリアすれば、次ステージにて完全修復されているのは親切な配慮。
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凶悪無慈悲な2周目プレイ。
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1周目の前半ステージの難易度はベルパワーアップの難しさも考慮してか敵の攻撃が穏やかで易しめだが、ステージ4からは劇的に難しくなってくる。特にステージ6からの難易度は、明らかに前ステージとは別次元の難しさに達している。
とはいえ1周目は極端に難しい場面はなく、敵のパターンの把握と練習次第できちんと先へ進むことができる絶妙なバランスである。
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しかし、本当の地獄は2周目からである。コナミシューティングのお約束の"撃ち返し弾"が追加されるのだが、本作のそれは敵撃破後も時間差で嵐の如く撃ち返し弾が降ってくる過酷さ。無闇な立ち回りではあっという間に追い込まれてしまい、その難易度は1周目とは比較にならない。攻略にはしっぽバリアを使いこなした上でのパターン構築が必須になる。
総評
初代の正当進化でありながらも本作ならではの要素も多く、まさしく「期待通りの続編」といって過言でない作品である。
ただし、難易度の高さも初代譲りなだけに、コミカルポップさを増した雰囲気と裏腹に、少々気軽に楽しみにくいのが残念なところである。
家庭用移植
本作の家庭用移植は多い為、「ソフト単体」と「オムニバス収録」の各分類に分けての紹介を行う。
ソフト単体としての移植
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X68000版 (1991年12月6日発売、コナミ)
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初移植作品。移植度は非常に高く、原作プレイヤーからの評判も上々であった。縦画面モードやMIDIに対応。
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PCエンジン Huカード版 (1992年2月28日発売、コナミ)
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家庭用ハードとしては初移植。容量の関係上、ステージ6が丸々カットされ、ボイスなどの演出も削除された。
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ステージ6が無くなった事で、道中BGM(「イーバの神殿」)も収録されていない。これに関しては、原作プレイヤーから批判が相次いだ。
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X68000版程に比べると大幅に劣るものの、ハードスペックを考慮すれば頑張っている移植度ではある。二人同時プレイやミニイベントは再現されている。
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うちミニイベントに関しては、一部原作とは違うものに差し替えられている。
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2007年9月18日からPCE版がバーチャルコンソール(Wii)にて配信開始。2010年6月16日からはゲームアーカイブスにて配信開始。
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アーケードアーカイブス(Switch/PS4)(2020年1月16日)
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アーケード版を忠実に移植。海外版『Bells&Whistles』も収録。
オムニバス収録としての移植
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『出たなツインビーヤッホー! DELUXE PACK』(プレイステーション / セガサターン、1995年9月29日発売、コナミ)
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AC版を収録。縦画面モードに対応していないが、移植度自体は良好。
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このソフトから2機種同時発売となる。
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『出たな!!』の方は、当時主流だったTVを横に割り当てた縦画面設定はできないので、アーケードとは幾分か画面構造に違和感があった。
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後作の『ヤッホー』はステージの切り替わりに若干のロードが入る(PS版はロード表示もされる)。また、AC版ではテキストのみだったエンディング会話がフルボイスとなっている。
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『ツインビーPORTABLE』(プレイステーション・ポータブル、2007年1月25日発売、コナミデジタルエンタテインメント)
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AC版を収録。縦画面モードに対応しており、上記『DELUXE PACK』以上に高い移植度を誇るが、二人同時プレイができない制限あり(自機選択は可能)。
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『Game Room』(Xbox360 / Windows、2010年12月01日配信開始、マイクロソフトゲームスタジオ)
最終更新:2024年02月19日 09:53