【ヒューストン(米テキサス州)=勝田敏彦】宇宙誕生の「ビッグバン」直後の高温・高密度状態を再現する世界最大・最強の粒子加速器LHCで11月30日、陽子の加速エネルギーが世界最高を記録した。2001年から米国の加速器テバトロンが持っていた記録を塗り替え、「世界最強」となった。 加速エネルギーは加速器の性能を測る重要な指標。スイス・フランス国境にあり、欧州合同原子核研究機関(CERN)が運営するLHCは今回、1.18兆電子ボルトを記録した。テバトロンの記録は0.98兆電子ボルトだった。 LHCでは来年、3.5兆電子ボルトまで上げ、質量の起源とされる「ヒッグス粒子」探しなどの実験に入る。 日本では粒子加速器などを使う巨大基礎科学は「仕分け」で厳しい目が向けられているが、米欧は「基礎中の基礎」ともいえる素粒子物理学で、ノーベル賞級の発見を競っている。LHCは暖房需要で電気料金が高い冬季の運転