ホームレスの家。なんとも矛盾した言葉だが、そうとしか言えないものがある。その素材から別名「段ボールハウス」とか「ブルーシートハウス」とかよばれるものだ。 ぼくは以前からホームレスの家の造形に興味があった。街で容易に手に入る素材を使って、防寒機能とちょっぴりのプライバシー保護機能を持たせつつできあがった造形は、いわゆる建築で言う様式と縁遠いものだが、それでもある一定のパターンが見られるようになる。それが面白い。思えば本来の様式の原点とはこういうものなのだと思う。 とか、それっぽいことを言ってみたが、そういうことはどうでもよくて、例によってただただ造形のみに焦点を当ててホームレスの家を鑑賞してみようと思う(と思って取材し始めたのですが、最後その造形の違いに思わぬ秘密が隠されていたことを知るのでありました)。 (text by 大山 顕) ■ホームレスの家に宿る個性 ホームレスの家には住んでいる