「身土不二」という言葉がある。「身と土は一つ。体のもととなる食料はその土地からとる」といった意味である。かつて自給自足の時代は、「食」=「農」で、その地で作られた農作物をその場で食べていた。 しかし、グローバル経済の進展とともに「食」と「農」の距離が三つの面から離れるようになった。第一に、産地と消費地の距離が離れたことである。これまで穀物の輸入は、主に米国のメキシコ湾からパナマ運河を経由して運んできたが、近年はブラジルやアルゼンチンから輸入する量が増えている。穀物輸送の遠距離化である。第二に、食品工業の発展に伴う現地加工で、付加価値面での距離が離れるようになった。第三に、冷凍技術の高まりにより、生産されてから消費者の口に入るまでの時間が離れるようになった。 問題は、これら三つの面で「食」と「農」の間が離れた結果、この間に多くの食品関連産業が介在し、巨大なブラックボックス化していることだ。特