新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が広がる中、治療薬として期待されている富士フイルムグループの抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」(一般名ファビピラビル、以下アビガン)の原薬供給の強化も進んでいる。2020年4月2日には、デンカが原料となるマロン酸ジエチルの生産を再開することを発表した他、同年4月16日にはカネカが原薬供給を行うことを発表している。 「アビガン」は、国内で抗インフルエンザウイルス薬として製造販売承認を取得している薬剤である。ウイルスのRNAポリメラーゼを選択的に阻害することでウイルスの増殖を防ぐメカニズムを持ち、インフルエンザウイルスと同種のRNAウイルスである新型コロナウイルスに対しても効果が期待されている。既に臨床研究や観察研究の枠組みの中で新型コロナウイルス感染症患者に対する投与が開始されている。これらに合わせて、日本政府は緊急経済対策の1つとして「アビ