音楽家の坂本龍一氏と、株式会社デジタルガレージの共同創業者でMITメディアラボ所長でもある伊藤穰一氏は、1990年代初めから交流を続ける旧知の間柄だ。現在は、坂本氏がニューヨーク、伊藤氏がボストンと、共に米国東海岸に拠点を置き活動している。音楽、インターネットと、専門領域は異なりながらも常に最先端の技術を追いかけてきた2人が、人工知能と人間の未来について語り合った。 (英語版はこちら English version is here) *** 伊藤穰一氏(以下、伊藤):人工知能が僕らの社会に与えるインパクトは大きい。そこでMITメディアラボでは、人工知能と倫理について研究を始めている。 坂本龍一氏(以下、坂本):個人的には、僕らが持っている「美」の意識、古代ギリシャで言うところの「真善美」を人工知能が判断できるのかに興味がある。仮にその答えが合っていたとしても、人工知能が本当にそれを認識でき