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修正内容は「総評の加筆」です。
旋光の輪舞
【せんこうのろんど】
ジャンル
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対戦シューティング
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対応機種
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アーケード(NAOMI)
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販売・開発元
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グレフ
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稼働開始日
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2005年
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判定
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良作
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ストーリー
宇宙暦1484年、人々はランダーと呼ばれる人型機械を用いていた。あるとき、旧型ランダーでカレル・ヴェルフェルと言う男がアーリア連邦の名家・鳴神家の後継者、鳴神ルキノを誘拐した。民間警察「GSO」アーリア連邦軍「SSS」二つの組織が彼を追う。そんな折、SSSのミカ小隊は謎の輸送作戦を指令される。その輸送物と誘拐事件、その関連性に気づきながらもミカはそれを受諾する。
概要
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対戦型2Dシューティング。8種類の個性豊かなキャラクター及び機体を選択でき、さらにそこから必殺技の挙動等が微妙に異なる2種類を選択できる。
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いわゆる体力ゲージである「アーマーゲージ」と特殊な攻撃を発動するために使う「チャージゲージ」の2つのゲージが存在する。
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二種類のショットボタンとアクションボタン(バリア及びダッシュに使用)の3ボタン+レバー操作。ショットはメインウエポンとサブウエポンに分かれており、サブウエポンは一定回数使用すると一定時間使用できなくなる。性能や回数、復帰時間はキャラによって違う。
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アクションボタン押しっぱなしでバリア。バリア中はショットの性能が変化する。さらに被弾ダメージを軽減し、動きも遅くなるので精密な移動が可能になる。
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弾幕技(格闘ゲームでの必殺技)はショットボタン同時押し(+レバー操作)で発動。チャージゲージを一定量消費する。
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相手が近くにいるときにショットボタンを押すと自動的に近接攻撃(格闘)を行う。ダメージが大きいことはもちろん、相手のチャージゲージを減少させる効果もある。
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本作最大の特徴にB.O.S.S.モードと言うシステムが挙げられる。秒数のカウントが一時停止し、操作機体が一時的に巨大ボスに変形(厳密には搭載だが)する。
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シューティングゲームの敵ボスを自分で操作しているような感覚。もちろん巨大ボスに相応しいド派手な攻撃が可能。
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使用回数に制限があり、試合開始時点で2回(回数はラウンド持ち越し)まで、以後はラウンド敗北につき1回増加。
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B.O.S.S.モードはチャージゲージ量によって体力・持続時間が変化する。ゲージが貯まっていれば長時間強力な攻撃を仕掛けられるが、ゲージが貯まっていない状態でB.O.S.S.モードを発動してもすぐに元に戻ってしまう。
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B.O.S.S.モード終了時、B.O.S.S.の残り体力と機体の体力の差に応じて機体の体力が回復する。なお、B.O.S.S.が破壊されると相手のチャージゲージが全回復する。
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体力ゲージが空になるとバニッシュ(残り1発で倒れる)状態になる。
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弾幕シューティングのように当り判定が見た目よりも小さくなり、回避しやすくなる。また、チャージゲージやサブウェポンの回復速度が上昇する。
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この状態でボスモードを発動させると専用のカットインが入ってFINAL B.O.S.S.モードとなり、発動時間が増加し特殊なF.B.O.S.S専用技が使えるようになる。なお、FINAL B.O.S.S.はラウンド中1回しか出せず、破壊されるとそのラウンドは敗北となる。また、B.O.S.S.モード終了時に体力が回復しない。
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対戦では残り20秒から両者の体力が徐々に減っていく。
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ストーリーモードは敵B.O.S.Sを総計5回破壊することで、ラスボス戦とエンディングが変化する。
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ストーリーモードは点数表示されるため、1人プレイでもスコアアタックを楽しめるようになっている。
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対戦型2Dシューティングと述べたが、画面としてはステージ・フィールドを中心とした俯瞰による視点で戦闘が行われる。特定範囲を中心として二次元的に移動し、接近戦から遠距離戦まで存在する対戦ゲームとしては『ガチャポン戦士』(1~2及び後続SDガンダムシリーズ)、PC-6001mkII版『グロブダー』(対戦モード)等多数あるが、近年の作品で「直接撃ち合う」2D対戦STGは縦スクロールの『CHANGE AIR BLADE』や、本作と同じく近接・射撃・格闘・防御などを備えるものでは『サイキックフォース』シリーズなどしかなく全体的に希少である。
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余談だが、対戦シューティングの歴史は古く1975年の『ガンファイト』(タイトー)以前まで遡ることができるが、その本数は普通のSTGよりも遥かに少ない。間接的に攻撃を送り合うタイプとしては『ティンクルスタースプライツ』や、パズルゲームの範疇になるが『クォース』などが有名。
評価点
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BGMやグラフィックは評価が高く、キャラクター人気もある。
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BGMは元ZUNTATAのYack.こと渡部恭久氏が担当し、1キャラに2曲用意されている。また、家庭用では新曲が追加されている。
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男4人女4人だが、基本的に全員中性的なキャラデザインであるため初見でそれとわかる人間は少ない(ある意味短所とも言えるが)。特にツィーランは『GUILTY GEAR XX』のブリジットの再来と一部のプレイヤーを熱狂させた程。
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但し、キャラクターデザインについては瞳にハイライトのない所謂「死んだ目」が特徴的なため、やや賛否が分かれている。
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キャラクター一人ひとりへの熱の入れようは半端ではなく、カートリッジだけでなくカラーを変えるごとにイラストやF.B.O.S.S.発動時のカットインが変わるほどで、さらにバージョンアップ版(NEW.verやSP)や家庭用でも新規イラストを追加している。また、公式大会予選では参加者全員にポストカードが用意されていた。
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ボタン一つで移動(ダッシュ)と防御(バリア)の両方を行う操作性は良好。
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ダッシュにはメインウェポンをリロードするという特性があり、ダッシュ急停止(裏技的だがダッシュ攻撃中にも使える)を使って自在に攻撃・守備が展開できるようになると面白さがグッと広がる。
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同じ攻撃でもバリア中に撃つ、ダッシュ中に撃つことで性質が変わるため、少ないボタンで多彩な攻撃が行える。バリア中にレバー入力で機体の旋回が(遅いものの)できるため、相手の移動先を読んで攻撃を置くことも可能。
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レバー操作のみでの回避が困難な弾幕に対して、ダッシュで弾幕の外へ移動する、バリアで被弾を軽減する、無敵や敵弾相殺性能を持つ弾幕技で対処する等の対処法が複数あること、また、体力制のためある程度の被弾が許容されていることもあり、弾幕を避けることが苦手な人でも楽しめるように作られている。
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B.O.S.S発動により形勢が逆転することも多く、また、体力が少ない時はFINAL B.O.S.S.発動まで耐えられるかどうかも含めた読み合いになる。
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B.O.S.S.発動は、弾量増加による相手の体力削減や終了時の体力回復が見込める、戦局の仕切り直しという長所がある。
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一方、B.O.S.S.終了時にはチャージゲージが0になる、B.O.S.S.が破壊されると相手のチャージゲージが全回復するため戦局がかえって悪化する(例えば、直後に相手がカウンター攻撃としてB.O.S.S.発動)、F.B.O.S.S.が破壊されて敗北、というリスクもある。
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B.O.S.Sを発動された側は、B.O.S.Sを同時発動はできないものの、相手B.O.S.S本体破壊による形成逆転を狙うか、相手の体力を回復させない程度に削るか、ひたすら耐える(その後カウンターB.O.S.S.発動など)かを選択することになる。
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STGのボスのような巨大な機体を操作できる点も魅力のひとつといえるだろう。
問題点
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弾幕STGのなかなか弾が当たらない点も受け継いでいるため、時間内の勝負がつきにくく、また試合内容も地味。純粋なゲーム性に関してマニア向けになってしまった面は否めず、結果的に当時のアーケードにおける対戦格闘ゲームとしてはあまり受け入れられなかった。
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立ち回りも必須テクニックが多く、初心者にとっては独特な操作感に慣れるまでが辛い。その為か、一時的に市場を沸かせたとはいえ人気は局所的な(特にキャラクターに対する)評価に流れがちである。
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長所で触れた「ダッシュにはメインウェポンをリロードするという特性」や、ある程度のB.O.S.S対策など、テクニック以前の必須知識も要求されることが多い。
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武器や戦法がシンプルで派手さにも欠ける。アーケードで同時稼動していた他の格闘ゲームに比べて演出の美麗さは先行していたものの、その独特なシステムからか爽快感では特筆すべき点を持たなかった。
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演出面では他のゲームを突き放すものがあっただけに、よりキャラゲーの側面が大きいと揶揄されていた。
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B.O.S.Sシステムに関わる問題点。
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ボスの攻撃は素の状態では回避が困難な攻撃が多く、体力的に追い詰められたところでボスモードに入られるとほぼ負け。終盤、相手をバニッシュさせない(=F.B.O.S.S.を出させない)ために敢えて攻撃を控え、チャージゲージをある程度溜めてからB.O.S.S.発動で一気に相手を倒すという展開も見受けられた。
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お互いが同じタイミングでB.O.S.S.発動を狙った場合、B.O.S.S.発動の成否(ボタンの早押し合戦)だけで勝敗がほぼ確定する。
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B.O.S.Sを発動された側の対抗手段が、通常の立ち回り以外には、チャージゲージを全体の50%消費し、広範囲に敵弾を相殺できる「アンチフィールド」しかない。
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続編(DUO)では、ボスストックを消費することで発動できる、対B.O.S.S専用の特殊攻撃に変更された。
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一応、機体によってはチャージゲージの残量や相手のB.O.S.S.発動時間によってはバニッシュ状態からでも相手B.O.S.S.破壊が可能だが、チャージゲージや体力が十分あっても破壊困難な機体とボスの組み合わせがある。
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店舗で設定されたラウンド数が多いとB.O.S.Sの発動可能回数が不足気味になり、立ち回り方等の対戦バランスが通常設定時と変わってしまうことがある。
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これだけ美麗で滑らかなグラフィックに加え、透過も使われているにもかかわらず、戦闘エフェクトでは何故か点滅やちらつき等の古風なエフェクトが多用されており、局所的にマッチしていない部分が散見される。
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キャラクターバランスは比較的取れているほうだがペク・チャンポのAカートリッジ一強の傾向が強い。
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第一回公式関東大会本戦出場者16名のうち7名がチャンポAであった。
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チャンポAは一強というより、覚えることが少ない割に強いと言った類のキャラ。実際にはGSO組(チャンポA、櫻子A、ツィーランA)がそれぞれ違った方向に強さを持ち、上記大会でも櫻子Aが優勝している。
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NEW.verは間違ってもバランスが取れていると言えた状態ではなく、異常な誘導を持つS攻撃を筆頭にオールラウンドに隙がないチャンポA、防御性能が高い割に射撃・格闘能力も高いツィーランA、鉄壁の防御を持ちながら完全回避困難なサジタリウスを持ち、BOSSモードも対策されづらい櫻子Aの三強相手は詰みに近いダイヤが付くキャラが大量に居た。
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これらのキャラクターを含めた全体の調整がSP版で行われた。相性問題やキャラの強弱は残っているが、おおむねまともと呼べる範疇のバランスになった。
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戦闘中はキャラクターが会話してストーリーが進むのだが、会話内容が大雑把過ぎて訳がわからない。
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キャラクター達が知ってて当然の知識をプレイヤーが持っているとは限らない。しかも会話中にボスモードを発動させると中断する。ステージ間ではなくステージ中に会話だけをストーリーとして導入したことによる弊害があらわれている。
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雑誌や設定資料集などの媒体無しでストーリーを理解するのは非常に困難。
その他
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今作は初期版(OLD.ver)、初期版を無償交換したバージョンアップ版(NEW.ver)、SP版の3つがあり、上記記事はNEW.verに基づいて作成されている。
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OLD.verはストーリーモードのみ。
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NEW.verは、ストーリーモードより難易度を下げてチュートリアルを付けたCPUモードの追加のほか、新規カラーが追加された。(画面左下に「NEW.ver」と表記されている)
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SP版は、Rev.Xで追加された要素である「弾幕技の1ボタン発動」や「体力を犠牲に各種性能を一時的に強化できるオーバードライブ」が実装され、1レバー5ボタンとなった。また、新規カラーが追加された。
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2006年7月に360で『旋光の輪舞 Rev.X(りびじょんえっくす)』として移植されている。グラフィック強化・台詞増加・追加BGM・ストーリーモード追加・回想モードなどのストーリー補完などがなされている。
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オンライン対戦もでき、キャラクターバランスにも調整が加わり、一強とされて来たペク・チャンポのAカートリッジが適度に弱体化して「そこそこ強い」に落ち着いている等、かなりの良調整と言える。
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パッチを当てないと真のラスボス「アンノウン」の耐久がおかしく、コンテニューを繰り返して敵耐久を下げないと制限時間以内に倒す事ができないと言うトンでも欠点があるが。
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パッチを当てない場合、上記のキャラクターバランスがかなり滅茶苦茶な状態になる。S攻撃中常にスーパーアーマーを纏いまともに攻撃が通らなくなるカレル、スコルピオが狂った火力+持続で篭城も対ボスも異常なレベルで併せ持つ櫻子、ダッシュ攻撃キャンセルが容易になりパンチバリアを出しながらダッシュMを繰り返すだけで被弾の恐れなく攻撃を垂れ流せるツィーランなど、全体的に異常なアッパー調整がされていた。パッチ前の対戦環境は世紀末と言って差し支えなく、本当に阿鼻叫喚だった。
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2009年に続編の『旋光の輪舞 Dis-United Order』(DUO)が登場している。
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癖のある前作のいい所も悪い所も受け継いだ、正統進化と言える続編。
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こちらもXbox360に移植された。
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パートナーシステムを採用するなどキャラクターこそ増えたが、キャラデザ、イラストレーターの曽我部修司が『ペルソナ3』『ペルソナ4』のコミカライズなどで売れっ子になり多忙となった(そのきっかけが本作である、と信じたいが)ためか、イラストは2種類、カットインは一部除きコンパチと、前作ほどの熱が入っていないのが残念な点。
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2017年にPS4/Steam向けに『旋光の輪舞2』が発表され、9月7日に発売された。『2』と銘打ってはいるが全体的には「DUOの大幅アップデート版」という内容。DLCで『重装機兵ヴァルケン』から主人公機である「ASS-177A Valken」が、『電脳戦機バーチャロン』からテムジンとフェイ・イェンが参戦している。
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アーケード版稼働から10年後の2015年、PS4で『幻想の輪舞』というタイトルが発売されている。
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同人界隈では一大勢力を築き上げている「東方Project」の世界観を使った本作の二次創作タイトルだが、メディアスケープ社の「Play,Doujin!」という「PS系列のハードで同人ベースのタイトルを発売する」という企画でこの作品が発売されることになったため、同人として黙認されてきた著作権の問題が顕著となった。
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これに対してグレフ側は和解に応じてライセンス許諾を行い、このタイトルは問題なく発売に至っている。
最終更新:2023年08月27日 12:32