スケボーに乗って走り続けるビデオキッドを操作する見下ろし視点のアクションゲーム。
操作は移動、ジャンプ、ビデオ投げの3つがメインで、
画面左にある家のポストにビデオを投げ入れたり、
歩いている敵キャラをビデオで退治することでスコアが加算される。
ジャンプ中にキーを入力することでトリックを繰り出してボーナススコアを獲得することも出来るぞ。
ビデオ投げ連打で家の窓ガラスを割ったり通行人をノックアウトしたり、
車の屋根を踏み台にしてジャンプしたりとアクションが気持ち良い手触り。
ステージは地下パートがあったりはするものの長いものが1種類だけ。
1ミスでゲームオーバーでコンティニューは無し。1ステージ1発勝負の構成になっているぜ。
とにかくジャンプで敵や障害物を避けて恋人が待つゴールまで進みまくる!
単純明快な内容だが、何と言っても凄まじいのは散りばめられた80年代パロディの量。
走っている車や道を歩いているキャラはほぼすべてが何かのパロディというパロネタの洪水。
ネタが全部で何種類あるのか分からないレベルの密度で、
登場する敵は出現エリアがある程度決まってはいるものの、
基本的にはプレイする度にランダムで変化する。遊び度に違うパロネタが出てくるのだ。
何度かプレイしないと見れないキャラもいるし、
意外なキャラがいたりするからそっちに気を取られてしまうこともしばしば。
「ターミネーターだ!」って見ていたら車に激突して死んだシーン。
スクルージおじさん!スクルージおじさんじゃないか!
これだけでも面白いんだが、
ボスキャラかと思うようなデカいキャラもランダムで出てくることもあるから驚くわ。
まあどっちにしろ避けるだけなんだが、初見だとビックリしてやっぱりミスになったりする。
終盤のホラー映画ラッシュもニヤニヤしちゃったぜ。
軽快なメインテーマや細かい効果音など音周りもたまらん。
おっ、そっちは新聞配達か?お互い頑張ろうぜ!
落ちているコインなどを拾う事で溜めたお金を使ってコスチュームを買う要素も存在。
特にキャラ性能が変わったりはしないが、こちらも色々とネタ満載だぜ。
本作の素晴らしい点は、豊富なパロネタがアクションゲームとしての面白さにしっかり繋がっている所。
「パロネタが豊富=敵キャラや障害物の種類が多い」ということだし、
ランダム要素もあるから繰り返し遊んでいてもダレない。
それでいて難しい地形も一度コツさえ掴めば安定して突破出来るようになる。
この自分の上達がハッキリ分かるゲームバランスはかなり絶妙だと思うぜ。
ランダム要素があるとは言っても、繰り返しプレイしていれば終盤まで簡単に進めるようになる。
1プレイが短くて、やられてもすぐ再開出来るところも手軽で良し。
ちゃんと作品の雰囲気に合わせたドットのフォントにしてあるローカライズも褒めておきたい。
テキストがほとんどないゲームだが、ここが手抜きだったら雰囲気台無しだったぜ。
気になったところは、
終盤は何をすればいいか分からず死ぬタイプの初見殺しがいくつかあったところかなあ。
そこもやり方さえ分かればカンタンに突破できるんだけどね。
オプションが存在しない漢仕様で、BGM調整出来ないのは不便だった。
80年代ネタの詰め込みっぷりと作り込みが、
500円で1ステージのアクションゲームとしてはありえない密度。
主人公が「海賊ビデオ配達員」なのも色んな意味で納得だし、
アーケードスタイルのアクションゲームとしてもきっちり遊ばせてくれるぜ。
間違いなく楽しめる人を選ぶ作品だと思うが、500円は安すぎるくらい堪能させてもらった。
公式のPV見てピンと来たら即買いだぜ。
ちなみにクリアすると最終スコアが表示されるものの記録はされないし、
エンディングを見た後は何事も無かったかのように新しいゲームが始まるぞ。
美しい思い出は一瞬の輝きと共に過ぎ去っていく。
しかし、燃やした情熱は確かに胸の中に残っているのである。