ザンキゼロ | スパイク・チュンソフト年齢バラバラの登場人物、文明の残骸、そして青空と水面のコントラストが素晴らしいメインビジュアル。
『ザンキゼロ』のレビュー行くぜ!
メーカー:スパイク・チュンソフト
機種:PS4/Vita用ソフト
ジャンル:ノンストップ残機サバイバルRPG
発売日:2018年7月5日
価格(税抜き) 7200円(PS4) 6800円(Vita)
『ダンガンロンパ』シリーズのスタッフが送る完全新作RPGである。
開発は『ロストヒーローズ』や初期の『世界樹の迷宮』などでお馴染みな、
個人的には『宇宙ホテル』も結構好きだった
ランカースが担当だ。
人類絶滅まで残り8人という状況下。
凄い勢いで成長して死んでも復活してクローン人間たちが、
崩壊した世界で謎を辿り「生き抜く」サバイバルRPGだ!
現在はセーブデータを本編に引き継げる体験版も配信中。
バランスの悪さやクセが強すぎるシステムなどでオススメはし辛いが……。
アイデアは面白いしキャラとストーリーは見事な内容だったぜ。
物語は新聞社で働く日暮ハルトがガレキ島という廃墟で目覚めるところから始まる。
何故ここにいるか思い出せないハルトは義手義足の少女、比良坂サチカの案内で、
自分と同じ境遇の人間が7人集められていることを知る。
そして謎のTV番組「エクステンドTV」の導きにより、
世界は既に滅亡していてここにいる8人が最後の人類であることと、
自分たちがクローン人間であることを知る。
クローン人間製造マシンである「エクステンドマシン」を完全にすれば
人類を再生することが出来ると告げられた8人は、
そのために各地の廃墟を探索することになる。
本当に人類は残り8人なのか。本当に人類は再生できるのか。
そもそもこのエクステンドTVは誰が作ったのか。謎多きサバイバルが始まる!
という内容だ。
残機、エクステンド(1UP)と昔のゲームを思わせる要素が散りばめられた作風。
内容はリアルタイムで進行する3DのダンジョンRPGになっていて、
ダンジョンでボーっとしていると敵が寄ってきて殴られまくるぞ。
8人パーティで戦う4人を選択し、通常攻撃に溜め攻撃、
一撃必殺の特殊能力であるクリオネを活用して戦っていく。
敵はヤギやサル、イノシシといった野生動物に、触手で攻撃をしてくる謎のクリーチャーなどなどだ。
ダンジョン内には様々な謎解きが用意されていて、
アイテムを置いたり投げたりすることで動かせる仕掛けも沢山ある。
製作的には『ダンジョンマスター』を意識したそうでここら辺もそうかな。
行動することで減るスタミナゲージがゼロになると体力が減っていく仕様なので、
回復できる食べ物や飲み物アイテムが必要になってくるし、
ストレスが溜まるとスタミナが減りやすくなるのでこちらの管理も大事。
食べると当然トイレに行きたくなるので、拠点やダンジョンにあるトイレの活用もいる。
トイレにいけないままだと漏らして臭くなってストレス爆発だ!
ダンジョン内にある素材アイテムを集めて拠点にある倉庫やトイレ、
工作室や調理場を拡張することで出来ることがどんどん増えていく。
装備アイテムもこれで作るので探索と拡張が極めて重要。
パーティのストレスや飲食に気を使いつつ廃墟を巡る。まさにサバイバルRPGだ!
ダンジョンは雰囲気作りが上手いし、あちこちに文明の残滓が残っていて調べる楽しみもある。
日記や手記を見つけることで舞台や物語の裏側をより深く知れる要素もあるし、
細かいテキスト量はかなりのボリュームになっているのがいいね。
また、クローン人間である登場キャラ達は、高速で成長して20日と経たずに寿命を迎えるようになっている。
ある程度行動した後にエリアを切り替えると時間が経過するようになっているぞ。
このダイナマイトぽっちゃりボディの真白ユマさんも……。
時間経過でババァに!
ちゃんと年齢がグラフィックに反映されてイベントデモでもこのまま進行するぞ。
1からキャラモデルを作ってある幼児期に比べて、
顔をちょっと挿げ替えただけ感のある老年期のビジュアルはやや手抜き感あるが、
年寄りが似合うキャラと似合わないキャラがいること自体は結構好き。
ちなみにゲームを進めるとイベントを好きな年齢で見直せるモードが解禁されるので、
「あの会話デモ、超良かったけどビジュアルがババァで頭に入らなかったから見直したい…」
という要望にもバッチリ対応している。
探索で溜まるポイントを使用すれば、
老衰も含めて死んだキャラは拠点で何度も再生が可能だが、
子供時代からやり直しとなるので、パーティの年齢が目まぐるしく変わっていくのが面白い。
可愛いキャラがジジババになって悲しくなっていると、
老衰で死んで子供からやり直しになってまた可愛くなる。
年齢によってステータスや装備アイテム、持てるアイテムの総重量も変化する作り。
クローン人間で死んだら子供からやり直しではあるが引き継がれる要素もあって、
最重要なのが「シガバネ」という要素。
これは死因を耐性として克服していくシステムで、
例えばイノシシの攻撃で死ぬとイノシシの攻撃に強くなる。
熱攻撃で死ぬと熱攻撃に強く、落下ダメージで死ぬと落下ダメージに強くなる。
攻撃に強くなるだけでなく、他にもストレスが溜まり辛くなるとか、回復量アップするなど様々。
シガバネはネタっぽいものも含めて数十種類も存在するので、
死にながら進むことでキャラの強さがどんどん底上げされていくのだ。
また、レベルを上げてスキルを獲得すれば武器の扱いが上手くなったり、装備制限も緩和されていく。
ダンジョンを回って素材で拠点と装備を強化しつつ、レベルアップやシガバネでキャラも強くしていく。
これが楽しい作りだぜ。
ゲーム中に度々流れるエクステンドTVは
大昔のアニメっぽいテラシマショウ(CV:中尾隆聖)とミライ(CV:野沢雅子)の2人で進行。
人を喰ったような態度で下ネタやパロキャラを連発するノリ。
ショウくんの顔と服、どっかで見たことあるなぁ……!
恐らく、これも何かのパロディでしょう。だがその他一切の事は分かりません!
大御所声優をマスコット&案内役に起用して悪ノリをやらせるという
『ダンガンロンパ』のモノクマ(CV:大山のぶ代)と同じ枠である。
登場する廃墟は登場キャラに関連したものになっていて、
進んでいくこの番組で各キャラの過去が暴露されていく。
ちょっと下ネタがひどいところもあるが、2人のやり取りはなかなかクセになるぜ。
各ダンジョンを進むごとに苦悩と成長が描かれ、
掘り下げられていくメインキャラクターたちは8人とも本当に魅力的。
どんな時でも元気いっぱいの比良坂サチカは可愛いし、
ムードメーカーとして欠かせないポジションで、だからこそグッと来る場面がある三花絞リョウや
皮肉屋で憎まれ口ばかり叩いてるけど
終盤に行くほど良いキャラになっていく玖保田ゼンも味わい深い。
女性陣だと真白ユマのぽっちゃりっぷりと劇中で見せた決断が印象的だな。
どのキャラも過去がドン引きするほど暗いものばかりで遊んでいると胸が締め付けられる。
『ダンガンロンパ』シリーズにもえぐい話は色々あったが、
あちらよりもキャラと境遇が現実的なこともあってグッと生々しいぜ。
ストーリーは攻略するダンジョンに対応したキャラの視点で進行するので、
過去に恐怖する姿、過去に怯える姿、そして過去を乗り越える姿がしっかり描かれる。
平行して、サバイバル生活やエクステンドマシンに関する謎も少しずつ明らかになっていくので、
非常に続きが気になる作りになってるね。
拠点の「寝室」ではキャラ同士を2人ずつ同室で寝かせて好感度を上げたり
特別なパワーアップ効果を発生させる「ソイネマッチング」という、
身も蓋も無い言い方をすると公式カップリングシステムがあり、
好感度を上げていくと個別の会話イベントやCGが出るようになってるのも面白い。
このゲーム、復活に必要なポイントが余りまくるバランスなので、
最終的に好感度上げるために老衰するまで寝室に籠って関係を深め続けるという、
かなり退廃的なプレイになりますね……!
そんなわけでシステムはなかなか面白いしキャラも良いのだが、
まず戦闘が基本的に「敵を1発殴って1歩下がる」「あえて敵を殴らせてその隙を点いて殴る」という
ヒット&アウェイ以外出来ない単純なシステムになのが問題。
中盤まではまだ良いんだけど、それ以降は殴られると瀕死になるような攻撃力の高いザコ敵を相手に
やたら狭くて細長い場所で延々と戦わされるため非常にストレスが溜まる。
ザコ相手でも行き止まりに追い詰められるとパーティが半壊するバランスになってるのがまた辛い。
クリオネでの連続攻撃やシガバネでフォローは出来るものの、
8人パーティなので人数分の装備を作るのがかなり大変なこともあって、
それにしてもというくらい敵が強い。
キャラが死ぬと持っているアイテムをその場にすべてまき散らす仕様も面倒なだけだった。
狭い場所でキャラが一気に死ぬと表示数の関係でアイテムが消えることまである。
敵の強さに加えて謎解きの難易度もかなり高く、即死レベルのダメージを喰らうトラップがあったり、
普通の消耗品が扉を開けるカギになってたり、
別のダンジョンからアイテムを持ってこないといけないのもあったりでこちらもかなりだるかった。
ラストダンジョンはそれまでの総仕上げとでも言うべき絶句する面倒臭さで
敵がクソ強い、マップが広くて複雑、扉を開けるためのカギがマップ全体に散りばめられてある、
謎解きの難易度がゲーム中最高と、
あまりに辛くて設定で難易度を下げて挑んだがそれでも厳しいくらいの面倒臭さ。
構造上、マップの切り替えを頻繁にしないといけないのでキャラもどんどん年を取っていく。
デフォルトの難易度で挑んだらここだけで7~8時間くらいはかかるんじゃないか……?
色々と惜しい1本だったなあ。
この内容を「歯応えがある」と感じるか「面倒」と感じるかで評価がかなり分かれると思うが、
俺の場合、中盤からは徒労感と作業感の方が圧倒的に強かったぜ……。
とはいえ、辿り着いたあのエンディングはこのシステムとこの設定と、
このキャラクター達だからこそのもので文句無かったし、
ゲームとして目指したところは良かった。人類滅亡後の廃墟を巡る構成もツボ。
なかなかオススメはし辛いが、刺さる人には刺さる1本。
今だったら体験版が配信されているから、気になる人には試してもらいたいね。
※2018/8/2追記>Ver1.02 変更内容
>アイテムが床に置かれた際にロストしてしまった場合、ガレキ島の砂浜にポップする機能の追加
>一部チュートリアルの修正
>食材、素材、料理などスタックできる数を99に増加
>※武器や防具はできません。
>武器防具を全年齢で装備可に変更
>※本来の装備条件を満たしていない武器や防具は、攻撃力、守備力が1/4になります。
>「殴打の理解」「斬撃の理解」「刺突の理解」「投射の理解」「物分かり」のスキル効果を「年代に関わらず武器の攻撃力を100%発揮できる」に変更
>STAGE05以降の敵の体力を調整
>難易度Ⅰ~Ⅲのバランスの調整
>その他、不具合の修正及び調整ザンキゼロ | スパイク・チュンソフト 公式8月6日にアップデート。
これは……プレイ感覚全然変わる……!
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予算少なかったのかなあという気がしたかな