ガールズ&パンツァーは華道や茶道と並んで
戦車で戦う「戦車道」なる競技が乙女の嗜みとされる世界を舞台にしたアニメ!
舞台は女子校!可愛い女の子がたくさん出て来て戦車に乗って試合をする!
トンデモ設定満載でイロモノっぽいが、話自体は主人公の導きで新参の弱小学園が全国大会に出場して
個性豊かな強豪校達と激戦を繰り広げるというド王道のスポ根ノリで
そこら辺が広く受け入れられた理由の1つだろうなあ。
CGで描かれた見応えのある戦車戦に、魅力的な登場キャラ達。
超チート性能の自動車部とか戦車ドリフトとか色々突っ込み所は多いがそこも含めて楽しい1作で、
それをゲーム化したものが本作だ。ジャンルはアクションシューティングになるかな。
モードはTVアニメのストーリーにそって進んでいくストーリーミッション。
キャラを自由に選択して戦えるフリーバトル、
ありえない組み合わせの強敵を相手に戦い抜く難易度の高いチャレンジミッション。
この3つがメインとなる。
後はキャラ図鑑や戦車の3Dモデルや一度見た一枚絵&会話を閲覧できるギャラリーとかだね。
操作方法は左スティックで戦車の移動、右スティックで照準操作、
Lボタンでスコープを除いての狙撃モード、Rボタンで主砲発射、△ボタンでゲージを消費してザッピングだ。
キーコンフィグや上下反転設定は出来ないので根性で慣れるしかない!
△ボタンでのザッピングはゲージを消費して
一時的に自分以外のチームが操作可能になる必殺技的なシステム。
ザッピング中は攻撃力大幅アップ、防御力大幅アップ、HP自然回復という、、
理屈はまったく分からないが凄まじいパワーアップをする。
遊んだプレイヤーから「西住流憑依術」とか言われてたのは笑った。
これが西住流……!
ゲージは時間経過でも少しずつ回復するが、敵戦車に砲撃を当てると大きく回復するのでそっちの方が重要。
ゲームとしてはかなりシンプルな内容でとにかく「接近して避けて撃て!」というプレイになる。
敵に接近すればするほど大ダメージで照準が赤く光ればクリティカルという仕様で、
遠距離攻撃ではロクにダメージが与えられないため、バトルのメインは超・超近距離戦!
密着状態で敵の周りを旋回しながらひたすらに撃つべし撃つべし!
もはや格闘戦である。
まったくリアルではないが、TV版でも接近戦が多かったし、
ガルパンのゲームで戦車の挙動や性能差をリアルにするとゲームにならなくなるのでこの方向性でいいと思う。
敵に一撃!敵の砲塔がこちらを向く前に動き回って射線をズラして弾を避ける!
敵が次弾を装填する間に一撃食らわして逃げる!
と、割とTV版っぽい動きが出来るのが楽しい。
TV版の再現ミッションをクリアしていくストーリーミッションは
練習試合から黒森峰との決勝戦までTV版の試合をすべて収録だ。
すべて収録っていうか全12話のTVアニメで5試合しかしてないから全部収録してもらわないと困るんですけども!
幕間の会話デモはほぼダイジェストだが、TVアニメの絵を使ってフルボイスになっている。
条件を満たしていけば主役であるあんこうチーム以外からの視点でのプレイが可能だし、
TV版で負けた場面で勝ってみたり、
TV版ではすぐやられたチームを活躍させるなどちょっとしたif展開もアリだ。
西住殿が「○○作戦です!」とか言ってるのをガン無視して敵を殲滅することも可能だし、
逆に珍妙な作戦名を叫びながら敵を真正面から殲滅する西住殿、というのも可能だ。
これが西住流……!
当然ながら戦車は性能や砲塔の稼動範囲がそれぞれ違うため、
III突を使うとカバさんチームが原作で言っていた
「回る砲塔が欲しい」というセリフが
言葉ではなく自分の体で身を持って実感できるッ!旋回しながらの砲撃が出来ないから辛いッ!
うさぎさんチームのM3も小回りが全然利かなくて、最初に操作した時は戦車放棄して逃げ出したくなったわ!
そこからSランク取るまでやり込んでいくうちに
徐々に操作に慣れていって効率よくダメージを与えられていくようになっていくのがまさに戦車道。
大洗のメンバーと一緒にプレイヤー自身も成長していくのである……!
ゲーム中の掛け合いはTVにはなかったオリジナルのセリフが多くて楽しいぜ。
「バレー選手の目をしている!」とノンナをスカウトしようとするバレー部とか
マウスに「ゲームだとここまで強くなかったんだけど…」とビビるアリクいさんチームとか。
もちろんTV版のセリフもしっかり収録されている。
平野綾の怪演が素晴らしかった錯乱するアリサや、うさぎさんチームの「ぶっ潰せー!」とかもバッチリ。
自動車部のチートっぷりも健在。
レオポンチームはTV版と同じく終盤からの参加だが、
ポルシェティーガーの性能はスピード以外最高レベルなのでザッピングしての砲撃が超・強力!
ゲームでも頼れる自動車部だぜ。
アマチュア無線は座ってろ。
BGMもTV版と同じものが使われていて、
プラウダ戦はちゃんとノンナの歌がBGMなのがありがたい。ガルパンはBGMも大事だからな。
マウスを狙い撃ちにするシーンや最後の一撃など、
ここぞというシーンではプレイヤーがスコープで狙撃するイベントが挟まったりするのもいいね。
原作が5試合しかない都合で1試合が複数のミッションに分けられており、
それがチームごとに存在するのでトータルでは数十ミッション。
1試合3~6分くらいで終わるとはいえ全ミッション全Sランクは結構骨だぜ。
フリーミッションと10の高難易度ミッションが待ち受けるチャレンジミッションでは
コストの範囲内で数十台の戦車を自由に選択して夢のドリームチームを編成可能。
一度はやりたい西住みほ&まほのチームをやってみたり、モブキャラだけのチームを作ってみたり。
全戦車で唯一の攻撃力SSレベルのマウスも編成可能だ。マウス複数のチームもOK!
聖グロリアーナvsプラウダとか、原作に無いバトルでも専用のボイス付き会話が発生するのが嬉しい。
使える戦車で最強なのは俺が遊んだ範囲だと、
攻撃力Sで他のステータスがすべてAのファイアフライかな。
マウスは強いけど被弾率がどうしても高くなってしまうので使うミッションを選ぶ。
初回特典のコードを使えばOVAに登場するP-40とアンチョビも参戦!
アンツィオ校から参戦してるのはアンチョビだけだが、
モブのキャラクターと組ませるとちゃんとOVA版を元にした会話をしてくれるのが凝った作り。
アンチョビ、結構苦労人キャラだったな……。
もちろん他校と戦う時のゲームオリジナルセリフもあるぜ!
ドゥーチェ!ドゥーチェ!
そんなわけでキャラとボイスは豊富で登場する戦車の数も多い。
原作の雰囲気もなかなか出ているが、
ゲームとしてはかなりざっくりした作りでキャラゲーとしても見過ごせない粗い部分も多い。
まず操作説明でもちょっと触れたが、右スティックで照準を操作するゲームなのに
オプションに上下反転設定とキーコンフィグが無いことだ。
おい、2014年のゲームだぞ!
TPSやFPSをリバース操作(スティックを上に倒すと照準が下を向く)で遊んでる人は結構苦戦する。
ムービーや会話デモはスキップ可能だが、
会話デモはスキップ可能になるまで1~2秒掛かる&会話が細かく区切られてて一括スキップ出来ない。
地味な部分だが、繰り返し遊ぶ時には結構鬱陶しかったわ。
ダメージ計算が近・中・遠距離の3段階くらいでしか計算されておらず、部位破壊なども要素も存在しない。
側面を狙ったり履帯を狙ったりしてもダメージにほとんど変化が無い。
敵に与えられるダメージも全体的に小さい。そして敵CPUは突っ込んでくるだけのバカ。
なので、近距離で相手の周りをグルグル回りながらチマチマとHPを削る展開がほとんどなのはだるい。
リアルさよりゲームっぽさと原作っぽさを取る方向性そのものは肯定するが、これはちょっと作りが大雑把過ぎるぜよ。
敵CPUもバカだが味方CPUがバカなのも困る。
味方はザッピングしての操作は可能だが移動や戦術の指示などは一切不可能。
にも関わらず敵がまったくいない場所をフラフラしてるだけだったり、
逆に複数の敵に真正面から突っ込んだりとひどいものだ。
ザッピングで移動させるという方法もあるが、必殺技に近いのでここぞという時以外は使い辛い。
ザッピングで他の戦車を移動させてる間に、
自分の操作してた戦車が変な方向に移動してるというパターンも多い……。
これはそもそも全12話で5試合しかしてないアニメを
アクションゲーム化することに原因があったのかもしれないが、
操作するチームが違うとはいえ、同じようなミッションを何度もプレイすることになるので結構単調。
チームごとの掛け合いの種類が豊富なのはいいんだけどやっぱりつらい。
狙撃シーンなど部分部分はプレイヤーで操作が可能なものの、
盛り上がるシーンがほとんどアニメ流用ムービーで済まされているのも手抜きっぽさを感じるかなあ。
おかげでアリクイさんチームで決勝戦を勝ち進んでも途中のムービーにいなかったりする。
Sランクの条件が微妙に分かり辛いのも気になった。
撃破数、命中率、被弾率、貢献率などで判断するみたいなんだけど、
あっさり取れたりやたら難しかったりとどうも遊んでてピンと来なかった。
これはしょうがないといえばしょうないんだが、全体的にストーリーミッションが強引。
「ここでこの戦車が撃破されると話が進まなくなる」というシナリオの矛盾を回避するためか、
敵のHPをゼロにしても撃破扱いにならず
「撤退します!」と叫んで異常なスピードで画面外にすっ飛んでいくのが多い。
そして次のミッションでは何事も無かったかのように再登場、みたいな。
割りとクリア条件が無茶苦茶なミッションもあるね。
一番凄かったのはあんこうチームとレオポンチーム以外の最終ミッション。
大洗チームの残りの戦力で黒森峰の戦車すべてを破壊しろと来たもんだ。ムリだろ!
何故か倒したマウスもパワーアップして復活。おかしいだろ?!
まあこの無茶苦茶さと強引さと大盤振る舞いっぷりはゲームならではという感じで嫌いじゃない。
市街地で敵戦車の大部隊を相手に大暴れしてやったぜ!
キャラゲーとしてはそれなりに遊べるし、
大量のキャラに豊富なボイスにゲームだけの新規掛け合いも○。原作っぽさはそれなりに出ている。
ただし作りが雑な部分もかなり目立つので手放しにはオススメ出来ない……。
と、まあキャラゲーとしては可もなく不可もなくという評価になるかな。
部分的にはよく出来てるので、ガルパンのファンが値下がりしたのを買う分にはそれなりに楽しめると思う。
限定版にはTV本編終了後のあんこうチーム&各校の隊長が集まってトークをする
「朝まで生戦車!」を収録した特典DVDが付属。
アニメではなく、ギャルゲー風の画面で展開するフルボイスのボイスドラマになっているが、
本編では揃わなかったメンバーが集まって40分もトークをする豪華な内容だ。
ゲームの新規掛け合いも良かったがさすがにこのボリュームには勝てん。
恋愛トークなら任せろー!とドヤ顔するさおりんに、まほお姉ちゃんが感心するくだりは限界だと思った。
番組形式なので途中でファックスが届いたり、それを冷泉さんがぶっきらぼうに読み上げるのも可愛くていい。
最強戦車についての議論を交わしたり、それぞれの学園艦の話があったり。
とにかく盛り沢山でガルパンファンなら抱腹絶倒の1枚になっている。
このくだりは「あなた方には人の心が無いんですか!」って思いましたね……。
と、いうわけで買うなら限定版がオススメだぜ!