JP5039250B2 - 多区分剥離コーティング組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の分岐シロキサンを含有する、シリコーンをベースとする多区分剥離コーティング組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シリコーンをベースとする剥離コーティングは、比較的接着性でない表面が必要とされる用途において有用である。片側のライナー、例えば、感圧接着性ラベル用の背面紙は、ラベルの接着特性に影響を与えることなく、ラベルを一時的に保持するのに、通常適合する。両側ライナー、例えば、両側の転写テープ用に差し込まれる紙は、保護及び両側の自己接着テープ又は接着性フィルムの望まれる巻き戻し特性を確実にするために、利用される。
【0003】
基板、例えば片側ライナーは、シリコーンをベースとする剥離コーティング組成物を、基板上に塗工し、続いてその組成物を、例えば熱によって開始させられるヒドロシリル化によって、架橋させることによって、コーティングされる。
【0004】
ヒドロシリル化によって架橋される、シリコーンをベースとする剥離コーティング組成物の基本的な成分は、以下の1)〜3)である。
1)アルケニル化されたポリジオルガノシロキサン、典型的には末端にアルケニル基を有する直鎖状の重合体、
2)アルケニル化されたポリジオルガノシロキサンを架橋させるように設計された、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン架橋剤、及び
3)前述の架橋反応に触媒作用を与えるための触媒。
【0005】
しばしば、第4の成分、即ち前もって必要な架橋温度以下で架橋を始めるのを防止するように設計された抑制剤もまた、組成物中に含有される。
3種類の必須成分及び任意の抑制剤からなる、シリコーンをベースとする剥離コーティング組成物は、プレミアム(premium)剥離コーティング組成物と一般的には呼ばれる。
【0006】
剥離コーティングからの剥離力のレベルを制御するために、シリコーンをベースとする剥離コーティング組成物では、剥離改質剤として一般的に知られている添加剤を含有することが、一般的な慣習である。剥離改質剤は、一般的には、プレミアム剥離コーティング組成物中のアルケニル化されたポリジオルガノシロキサンの割合を置き換えるのが通常である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
剥離コーティングの性能における向上は、例えば、架橋のし易さ、即ち比較的低温で架橋時間を減らすこと、基板へのコーティングの固着性、及び、剥離性能に関して、絶えず探されるべきである。剥離コーティングの開発の続行を特に必要にする1つの因子は、剥離コーティング組成物が塗工され、架橋される、例えばポリプロピレン、ポリエチレン及びポリエステル等の基板の数が増加しているからである。
【0008】
米国特許第4772515号明細書には、上記に議論されている3種類の必須構成成分を有する、シリコーン系剥離コーティング組成物が記載されており、その組成物では、ポリジオルガノシロキサンは、下記一般式からなる少なくとも2つの基を、単一の分子中に有する必要がある:
Rc(Rf)2SiO1/2((Rg)2SiO2/2)hRjSiO3/2
(式中、Rcは、アルケニル基であり、それぞれRf、Rg及びRjは、独立に、水素、ヒドロキシ又は一価の有機基であり、hは0又は1〜300(300を含む)の整数である。)
得られる剥離コーティング組成物は、3種類の構成成分を共に単に混合することによって製造される。
【0009】
米国特許第4774111号明細書には、ケイ素原子当り、平均で1〜3個のケイ素が結合した一価の炭化水素基又はハロ炭化水素基を有する有機ケイ素化合物からなる、シリコーンをベースとする剥離コーティング組成物が記載されている。これらの基のうち平均で少なくとも2つは、オレフィン性基であり、残りのケイ素の空位は、ケイ素原子に共に結合する、脂肪族不飽和を含まない、二価の基によって充足させられる。
【0010】
欧州公開特許第559575号公報には、3種類の必須構成成分、及び、4〜12の炭素原子を有する多数のエチレン性不飽和基を含有するシリコーンからなる付加構成成分を含有する、シリコーンをベースとする剥離組成物が記載されている。なお、この組成物において、シロキサン基の合計数の25〜90モル%はT単位である。
【0011】
明確にするために、M、D、T及びQ単位は、それぞれ実験式R3SiO1/2、R2SiO2/2、RSiO3/2及びSiO4/2からなる単位を表わす。なお、それぞれR基は、一価の置換基である。
【0012】
米国特許第5616672号明細書には、M、D及びT基からなり、1分子当り平均で少なくとも2つの分岐点を有する、実質的に分岐した架橋性のアルケニルシリコーンの使用が記載されている。これらの化合物は、剥離コーティング組成物において有用であると言われている。
【0013】
米国特許第5063254号明細書には、片方の末端でアクリル系末端基に結合し、かつ、その他の末端で架橋したMTQ部分に結合した繰り返し単位を25〜1000有する、直鎖状ポリジオルガノシロキサン鎖からなるポリシロキサンが記載されている。なお、T及びQ単位に対するM単位の比M/(T+Q)は、0.55〜0.75である。M及び/又はT単位はまた、(メタ)アクリルレート基を含有し得る。ポリシロキサンは、ポッティング(potting)コーティング及びコンフォーマル(conformal)コーティングにおいて有用性を有する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の見地による多区分剥離コーティング組成物(以下、「剥離コーティング組成物」と略すことがある)は、次の4部分を含むものであり、
第1の部分は、20〜250の重合度を有し、且つ下記i)〜iii)からなる分岐シロキサン:
i)一般式(SiO4/2)からなる1又はそれ以上のQ単位、
ii)一般式Rb 2SiO2/2からなるD単位15〜995、なお単位i)及びii)は、いかなる適当な組み合わせで内部結合していてもよい、
iii)一般式RaRb 2SiO1/2からなるM単位
(式中、それぞれのRa置換基は、炭素原子を1〜6有するアルキル基、炭素原子を1〜6有するアルケニル基、及び、炭素原子を1〜6有するアルキニル基からなる群から選択され、分岐シロキサン中の少なくとも3つのRa置換基が、アルケニル又はアルキニル単位であり、それぞれのRb置換基は、炭素原子を1〜6有するアルキル基、炭素原子2〜6のアルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アクリレート基、及び、メタクリレート基からなる群から選択される。)、及び
iv)ヒドロシリル化抑制剤からなり、
第2の部分は、シリコーン系剥離改質剤及びヒドロシリル化抑制剤からなり、
第3の部分は、前記分岐シロキサンと架橋剤との間の反応に触媒作用を与えるヒドロシリル化触媒からなり、及び
第4の部分は、組成物中のSi−H基の合計数と組成物中の脂肪族不飽和炭化水素基の合計数との比が0.9:1〜3:1である様な量のオルガノハイドロジェンポリシロキサン架橋剤からなる。
【0015】
本発明の第2の見地による多区分剥離コーティング組成物(以下、「剥離コーティング組成物」と略すことがある)は、次の3部分を含むものであり、
第1の部分は、20〜250の重合度を有し、且つ下記i)〜iii)からなる分岐シロキサン:
i)一般式SiO4/2からなる1又はそれ以上のQ単位;
ii)一般式Rb 2SiO2/2からなる15〜995のD単位、なお単位i)及びii)はいかなる適当な組み合わせで内部結合していてもよい;
iii)一般式RaRb 2SiO1/2からなるM単位;
(式中、それぞれのRa置換基は、炭素原子を1〜6有するアルキル基、炭素原子を1〜6有するアルケニル基、及び炭素原子を1〜6有するアルキニル基からなる群から選択され、分岐シロキサン中の少なくとも3個のRa置換基はアルケニル又はアルキニル単位であり、それぞれのRb置換基は、炭素原子を1〜6有するアルキル基、炭素原子を2〜6有するアルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アクリレート基、及びメタクリレート基からなる群から選択される);及びヒドロシリル化触媒からなり、
第2の部分は、シリコーン系剥離改質剤及びヒドロシリル化触媒からなり、及び
第3の部分は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン架橋剤及びヒドロシリル化抑制剤からなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
好ましくは、脂肪族不飽和炭化水素基は、アルケニル基又はアルキニル基の何れか一方である。
好ましくは、Ra置換基の少なくとも50%が、アルケニル基である。最も好ましくはそれぞれのRa置換基がアルケニル基である。
それぞれのアルケニル基は、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル及びヘキセニル基から選択され得るが、ビニル(vi)及びヘキセニル(hex)基から選択されるのが好ましい。
分岐シロキサンは最も好ましくは、4つの(Rb 2SiO2/2)n鎖に結合した少なくとも1つのQ単位からなり、例えば、下記一般式を有し得る。
【0017】
【化3】
【0018】
(式中、それぞれのnは、独立に1〜100である。)
好ましくは、それぞれのRb置換基は、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシル基であり、好ましくはメチル基及びエチル基であるが、最も好ましくは、メチル基である。従って、本発明に用いられる分岐シロキサン中に、一般式SiO4/2鎖からなる単一の単位のみが存在する場合、分岐シロキサンは、実質的に下記一般式を有し得る(式中、それぞれのnは、それぞれのRa置換基がビニル基であり、かつ、それぞれのRb置換基がメチル基である場合、独立に1〜100である)。
【0019】
【化4】
【0020】
分岐シロキサンの大きさを考慮して、分岐シロキサン中に存在する非常に少数のシロキサン単位(好ましくは1%未満)は、一般式RbSiO3/2からなる単位であり得り(式中、Rbは、これまでに定義される通りである。)、生じ得ることが可能であることを、理解すべきである。好ましくは、本発明に用いられる分岐シロキサンは、25℃で、50mm2/s〜10000mm2/sの粘度を有しており、より好ましくは粘度は、50〜1000mm2/sである。
【0021】
今後、分岐シロキサン中のシロキサン単位の数は、重合度(DP)として呼ばれるであろう。
本発明に用いられる分岐シロキサンのDPは、20〜250である。
【0022】
分岐シロキサンの調製のための本発明による方法は、下記a)〜c)の工程からなる:
a)一般式(SiO4/2)(RaRb 2SiO1/2)4を有する化合物を、環状ポリジオルガノシロキサン及び/又は実質的に直鎖状のヒドロキシ末端のポリジオルガノシロキサンと混合する工程(式中、それぞれのRa置換基は、炭素原子を1〜6有するアルキル基、炭素原子を1〜6有するアルケニル基、及び、炭素原子を1〜6有するアルキニル基からなる群から選択され、それぞれのRb置換基は、炭素原子を1〜6有するアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アクリレート基、及び、メタクリレート基からなる群から選択される);
b)180℃までの温度下で、酸又はホスファゼン塩基触媒の存在下で、該混合物を反応させる工程;及び
c)該反応混合物を中和させる工程。
【0023】
好ましくは、それぞれの環状ポリジオルガノシロキサンは、3〜10のRb 2SiO2/2単位を含有するが、環状ポリジオルガノシロキサンは、3〜6のRb 2SiO2/2繰り返し単位を含有する、ポリジアルキルシロキサン環であるのが好ましい(式中、それぞれのRb置換基は、メチル基である)。生じる反応のタイプは、選択される触媒に依存して、酸又は塩基で触媒作用を及ぼされる平衡反応の何れか一方である。
【0024】
酸で触媒作用を及ぼされる平衡反応の場合、使用される酸触媒は、酸をベースとする平衡反応の触媒作用に適するいかなる触媒であってもよく、例えばトリフルオロメタンスルホン酸、酸クレー、例えばambelyst及び塩化ホスホニトリル触媒である。好ましい触媒はトリフルオロメタンスルホン酸である。
【0025】
塩基で触媒作用を及ぼされる平衡調製の場合、触媒は、いかなる適するホスファゼン塩基触媒であってもよく、例えば下記一般式からなるホスファゼン塩基である:
【0026】
【化5】
【0027】
(式中、R1は、それぞれの位置で同じであっても異なっていてもよいが、水素又は任意に置換された炭化水素基、好ましくはC1〜C4のアルキル基であるか、又は、同じN原子に結合している2つのR1基は、ヘテロ環、好ましくは5−又は6−員環を完全にするために結合し得る。R2は、水素又は任意に置換された炭化水素基、好ましくはC1〜C20のアルキル基、より好ましくはC1〜C10のアルキル基である。kは、1、2又は3、好ましくは2又は3である。lは、1、2、3又は4、好ましくは2、3又は4である。Aは、アニオン、好ましくは、フルオライド、ヒドロキサイド、シラノレート、アルコキシド、カーボネート、又はバイカーボネートである。)特に好ましくは、水酸化アミノホスファゼニウムである。
【0028】
酸で触媒作用を及ぼされる反応の場合、反応混合物は、75℃〜120℃の温度で維持されるのが好ましく、最も好ましくは反応混合物は、水共触媒の存在下で、80〜90℃の温度で維持される。塩基で触媒作用を及ぼされる平衡反応の場合、反応混合物は、120℃〜160℃の温度で維持されるのが好ましく、最も好ましくは反応混合物は、130℃〜150℃の温度で維持される。
【0029】
適当な中和剤が、利用され得て、その選択は、明らかに触媒の酸性又は塩基性の性質に依存し、例としては、塩基によって触媒作用を及ぼされる平衡反応では、ビスジメチルシリルホスホネートの使用が、酸によって触媒作用を及ぼされる平衡反応では、炭酸カルシウムが挙げられる。
【0030】
この方法で使用されるそれぞれの構成成分の量は、2つの因子、即ち分岐シロキサンの必要とされる重合度、及び、分岐シロキサン中に必要とされるアルケニル基の数に依存する。好ましくは、工程(a)の混合物中には、(SiO4/2)(RaRb 2SiO1/2)4が1.1〜22.1重量%、より好ましくは(SiO4/2)(RaRb 2SiO1/2)4が2.21〜11.04重量%、最も好ましくは3.45〜6.9重量%存在する。残りは、環状ポリジオルガノシロキサン及び/又は実質的に直鎖状のヒドロキシ末端のポリジオルガノシロキサンで、100重量%に構成される。
【0032】
オルガノハイドロジェンポリシロキサン架橋剤は、少なくとも3つのSi−H基を含有していなければならず、下記一般式を有していてもよい:
Rt 3SiO1/2((CH3)2SiO2/2)d(Rt 2SiO2/2)e)SiO1/2Rt 3
(式中それぞれのRtは、炭素原子を1〜4有するアルキル基又は水素であり得り、dは0又は整数であり、eはd+eが8〜100になる整数である)。代わりに、架橋剤は、一般式SiO4/2及びRq 3SiO1/2の単位からなる、MQ樹脂であってもよい(式中、少なくとも1つのRq置換基は水素原子であり、残りはアルキル基である)。
【0033】
好ましくは、剥離コーティング組成物中のSi−H基:アルケン基の合計量の比は、1.1:1〜2.5:1の範囲であり、最も好ましくはその範囲は1.2:1〜2:1である。
【0034】
適するヒドロシリル化触媒としては、例えば白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム及びインジウム等の第VIII族の金属からなる錯体、又は、化合物等が挙げられる。好ましい触媒は、塩化白金酸、白金アセチルアセトナート等の白金化合物又は錯体、例えばエチレン、プロピレン、オルガノビニルシロキサン及びスチレン等の不飽和化合物と白金ハライドの錯体、ヘキサメチルジ白金、PtCl2・PtCl3及びPt(CN)3である。代わりに、この触媒は、ロジウム錯体、例えばRhCl3(Bu2S)3であってもよい。
【0035】
この組成物は、予め決められた温度以下でコーティング組成物が架橋するのを防止するのに適合する、1又はそれ以上の抑制剤を含有する。抑制剤は、コーティング組成物自身の機能に対して本質的ではないが、抑制剤がないと、一旦3種類の必須構成成分が共に混合されると、触媒は、周囲温度でシリコーンをベースとする剥離コーティング組成物の架橋を開始させ得る/触媒作用を及ぼし得るということを、理解すべきである。
【0036】
適する抑制剤の例としては、エチレン性又は芳香族不飽和アミド、アセチレン系化合物、エチレン系不飽和イソシアネート、オレフィン性シロキサン、不飽和炭化水素ジエステル、共役エン−イン、ハイドロパーオキサイド、ニトリル及びジアジリジン等が挙げられ、特定の例としては、メチルブチノール、ジメチルヘキシノール、又は、エチニルシクロヘキサノール、トリメチル(3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オキシ)シラン、マレイン酸エステル、例えばビス(2−メトキシ−1−メチルエチル)マレイン酸エステル、フマル酸エステル、例えばジエチルフマル酸エステル、又は、フマル酸エステル/アルコール混合物(なお、アルコールは例えば、ベンジルアルコール、又は、1−オクタノールである)、及び、エテニルシクロヘキシル−1−オール等が挙げられる。
【0037】
好ましくは、本発明の剥離コーティング組成物の粘度は、25℃で、50mm2/s〜10000mm2/sであり、より好ましくは粘度は、分岐シロキサンが基板をコーティングするのに適する粘度である様に、50〜1000mm2/sである。粘度が50mm2/sより低い場合は、分岐シロキサンを含有する剥離コーティング組成物によって、基板表面を湿らせてしまうという問題が生じ得る。次いで、粘度が10000mm2/sより高い場合は、分岐シロキサンを含有する剥離コーティング組成物は、本発明の用途で使用するには粘度が高すぎる。
【0038】
剥離コーティング組成物は、25℃で少なくとも50mm2/sの粘度を有する、ジアルキルアルケニルシリル末端のポリジオルガノシロキサンを更に含んでいてもよい。中でも、ジメチルビニルシリル末端の、又は、ジメチルヘキセニルシリル末端のポリジメチルシロキサンが好ましい。
【0039】
本発明の剥離コーティング組成物は、シリコーン系剥離改質剤をさらに含む。また、反応性希釈剤、接着促進剤、溶媒、香料、保存剤、及び、フィラー、例えばシリカ、石英及び白亜等の他の構成成分も含むことができる。
【0040】
適当なシリコーン系剥離改質剤であれば、いかなるものも利用され得て、例えば、1又はそれ以上のアルケニル化されたシリコーン樹脂、アルケニル化されたポリジオルガノシロキサン、炭素原子を12〜30有する1又はそれ以上の第一級アルケン、及び少なくとも炭素原子を10有する1又はそれ以上の分岐したアルケン等が挙げられる。
【0041】
浴寿命延長剤が、室温で架橋反応を抑制するのに充分な量存在していてもよい。例としては、1又はそれ以上の第1級又は第2級アルコール基、例えば、炭素原子が10未満の脂肪族及び芳香族アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、フェノール及びシクロヘキサノール、カルボン酸及び環状エーテル等が挙げられる。
更には、この組成物はまた、直鎖状のアルケニルジアルキルシリル末端のポリジオルガノシロキサンを含有していてもよい。
【0042】
剥離コーティング組成物は、無溶媒、溶媒中、又は、水中油型エマルジョンの部分として、塗工され得る。
本発明のコーティング組成物は、紙及びフィルム等の様々な基板上に剥離目的のために使用され得る。フィルムは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、延伸ポリプロピレン、又は、二軸延伸ポリプロピレンフィルムであり得る。
【0043】
低温で架橋し得る剥離コーティング組成物は、長期間の固着に劣る傾向があることは、よく知られている。本発明の剥離コーティング組成物は、比較的低温で架橋し、また、長期間の固着特性にも優れていることが、見出された。低温での架橋が優れているので、ラベル上の接着剤などの接着剤への、シリコーンの移行も最小限であり、それによって次いで接着剤の強度を維持するという利点が提供される。高い架橋温度が剥離コーティング組成物に必要とされる場合、基板自身の品質に問題が生じ、それによってフィルムが収縮するか又は脆くなり、次いでそれは剥離コーティング組成物の架橋後に、基板の再加湿が顕著に低いことが要求されることを意味する。
【0044】
本発明の剥離コーティング組成物は、別々の部分として調製される。各部分は、組成物がコーティングとして塗工されるべき時に、混合される。必須成分に関して、このキットは下記の何れか一方を含有し得る:分岐シロキサン及び抑制剤からなる第1の部分、剥離改質剤及び抑制剤からなる第2の部分、触媒からなる第3の部分、並びに、架橋剤からなる第4の部分、又は、分岐シロキサン及び触媒からなる第1の部分、剥離改質剤及び触媒からなる第2の部分、並びに、架橋剤及び抑制剤からなる第3の部分。
【0045】
本発明の剥離コーティング組成物は、下記の剥離改質剤組成物をさらに含むことができる。この剥離改質剤組成物は、上記に記載される通りの分岐シロキサン、及び、下記成分から選択される少なくとも1つの付加成分を含有し得る。
i)アルケニル化されたシリコーン樹脂
ii)アルケニル化されたポリジオルガノシロキサン、及び、
iii)炭素原子を14〜30有する1又はそれ以上の第一級アルケン、及び、
iv)少なくとも炭素原子を10有する1又はそれ以上の分岐したアルケン
【0046】
アルケニル化されたシリコーン樹脂(i)は、最も好ましくは少なくとも1つのアルケニル化されたMQ樹脂であり(式中、M基は、一般式R2 3SiO1/2を有する)、典型的にはトリアルキルシロキシ及び/又はジアルキルアルケニルシロキシ基である。アルケニル基は、シクロヘキセニル、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、及び、ヘキセニルからなる群から選択され得る。最も好ましくは、アルケニル基は、ビニル又はヘキセニル基である。アルキル基は、いかなる適するアルキル基であってもよいが、最も好ましくはメチル基である。Q基は、一般式SiO4/2からなる基であり、これらのM及びQ基は、適当な比率で存在し得る。
【0047】
アルケニル化されたポリジオルガノシロキサンは、一般式R3SiO2/2の単位からなるアルケニルジアルキルシリル末端のポリジオルガノシロキサンであるのが好ましい(式中、それぞれのR基は、炭素原子を1〜6有するアルキル基であるか、又は、1つのR基は定義される通りのアルキル基であり、1つは炭素原子を1〜6有するアルケニル基、好ましくはビニル又はヘキセニル基である)。
【0048】
その又はそれぞれの第1級アルケン(iii)は、例えばテトラデセン及びオクタデセン等の、炭素原子を10〜30含有するいかなる第1級アルケンであってもよい。
その又はそれぞれの分岐したアルケン(iv)は、例えば下記一般式からなる1又はそれ以上の分岐したアルケン等の、いかなる1又はそれ以上の適する分岐したアルケンであってもよい。
【0049】
【化6】
【0050】
(式中、メチレン基のnの数及び分岐したアルキル基のmの数は、その鎖の中でランダムに配置させられており、n及びmは独立に、0又は1〜20の整数であり、x、z及びそれぞれのyは独立に、1〜12の整数である。)
好ましくは、それぞれのアルケン中の炭素原子の合計数は、少なくとも20である。例えば上記の成分(iii)等の実質的に直鎖状のアルケンを含有する剥離改質剤は、コーティングの架橋過程でスモーキング(smoking)を起こす傾向があることに注目すべきである。成分(iii)を、成分(iv)によって例示される通りの分岐したアルケンで置き換えることによって、大幅にこの問題が減ることを見出した。
【0051】
この様な剥離改質剤は好ましくは、本発明による分岐シロキサン25〜85重量%からなり、残りは、成分(i)、(ii)、(iii)又は(iv)の1又はそれ以上から構成される。
【0052】
本発明による剥離改質剤を使用する1つの利点は、実質的に直鎖状のアルケンの少なくとも1部を分岐シロキサンで置き換えることによって、架橋過程でしばしば見られるスモーキングの影響が、顕著に低下することである。従来技術の剥離改質剤では通常、得られる抽出可能な物質の量は、増加、時には顕著に増加するのに対して、抽出可能な物質の量、即ち未架橋のシロキサンの量は、改質されていない剥離コーティングから得られる抽出可能な物質の量と比較して、同じ量に維持されるか、又は、更に低下することもまた、見出した。
【0053】
上記に記載される通り、剥離改質剤組成物は、本発明による剥離コーティング組成物に混合されていもよいし、又は、その代わりにアルケニル化されたポリオルガノシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン架橋剤、及び効果的な量のヒドロシリル化触媒からなる剥離コーティング組成物に混合されてもよい。
【0054】
本発明をより明らかにし得るために、ここで以下に幾つかの詳細な例を示す。実施例1、2及び3には、本発明に用いられる分岐シロキサンの調製方法が記載されている。下記実施例で測定された全ての粘度は、25℃で測定されたことに注目すべきである。
【0055】
【実施例】
実施例1
(Vi(CH3)2SiO1/2)4(SiO4/2):(21.6g)(式中、Viはビニル基を表わす)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(592g)及びトリフルオロメタンスルホン酸(1.2g)を、反応容器に装填した。反応混合物を80〜90℃の温度で、6時間撹拌した。次いで、得られた混合物を室温まで冷却した。炭酸カルシウム(1.0g)を添加し、混合物を更に3時間撹拌し、それに続いて濾過のために置いた。最後に、反応混合物を約150℃の温度、40ミリバールの圧力で、2時間ストリッピングした。
生成物の最終粘度は、270mm2/sであり、重合度は160で、ビニル基の重量%は0.83%であると測定された。
【0056】
実施例2
(Vi(CH3)2SiO1/2)4(SiO4/2):(21.6g)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(370g)及びトリフルオロメタンスルホン酸(1.0g)を、反応容器に装填した。反応混合物を80〜90℃の温度で、6時間撹拌した。次いで、得られた混合物を室温まで冷却し、炭酸カルシウム(1.0g)を添加し、混合物を更に3時間撹拌し、それに続いて濾過のために置いた。最後に、反応混合物を約150℃の温度、40ミリバールの圧力で、2時間ストリッピングした。
生成物の最終粘度は、160mm2/sであり、重合度は100であると、測定された。ビニル基の重量%は1.32%であった。
【0057】
実施例3
(Vi(CH3)2SiO1/2)4(SiO4/2)(43.2g)、及び、オクタメチルシクロテトラシロキサン(592g)を、電動撹拌機、温度計プローブ、及び、還流コンデンサーが取付けられている反応フラスコに装填した。反応混合物を140℃まで加熱し、触媒のポリアミノホスファゼニウムヒドロキシド(0.2g)を添加した。30秒後に、試料を取り除き、試料の粘度を測定したところ、顕著な増加が見られた。次いで、反応混合物をビスジメチルシリルホスホナート(0.5g)を用いて中和し、80℃まで冷却した。低分子量成分を混合物からストリッピングし、最後に混合物を冷却させて濾過した。得られた生成物の重合度値は80であり、粘度は114mm2/sであった。
【0058】
実施例4
下記実施例は、組成物中に混合されたシロキサンにのみ違いがある、シリコーンをベースとする剥離コーティング組成物でコーティングされた、コロナ処理された延伸ポリプロピレン(OPP)、1軸延伸ポリプロピレン(MOPP)及びクラフト紙基板の選択に関する、剥離性能の比較研究を詳述するものである。それぞれのシリコーンをベースとする剥離コーティング組成物は、表1に示される通りのシロキサンを含有しており、白金触媒120ppm、Si−H基の合計数:脂肪族不飽和炭化水素基の合計数の比が、1.5:1となるのに充分な量の架橋剤、メチルブチノール抑制剤が全体の組成物の重量の0.12重量%混合されていた。
【0059】
それぞれの組成物を、室温(20℃)で、ブレードコーターを使用して、関連した基板に塗工し、次いで得られたコーティングを、100℃で、20秒間架橋させた。
得られたコーティングの架橋特性を、マイグレーション、しみ及びこすり落ちに関して評価した。マイグレーションは、架橋した剥離コーティング上に、粘着性の小片(セロテープ(登録商標))を置き、除去後にコーティングが粘着テープに移ったかどうかを確認することによって、測定される。しみは、架橋したコーティング上に指を押し付けて、しみの形態に目で見える模様があるかどうかを確認することによって、測定される。こすり落ちは、紙の前後に、10サイクル、指を激しくこすり付け、コーティングが損傷を受けるか、又は、除去されるかどうかを確認することによって、測定される。N/N/Nは、マイグレーションなし/しみなし及びこすり落ちなしを意味する。表1に関して、vi、hex、s、M及びTrは、それぞれビニル、ヘキセニル、僅かに(slight)、マイグレーション、及び、トレース(trace)を意味する。
【0060】
得られたコーティングの架橋特性は、架橋後のコーティング中の抽出可能な物質の割合を測定することによって、更に評価された。これは、Oxford Instruments社製のLabx3000X線蛍光スペクトロメーターを使用して、X線蛍光によって、架橋したコーティングを有する、標準的な大きさの基板の試料のコーティング重量をまず初めに測定することによって行なわれた。次いで、コーティングされた試料を、メチルイソブチルケトン溶媒からなる溶液中に置いて、コーティングマトリックスに架橋していないか、又は、基板に固着されていない、未反応のシロキサンを抽出した。予め決められた時間の後、試料を溶媒から取り出して、乾燥させ、再度重量を測定した。表1に示される抽出可能な物質の割合は、未反応のシリコーンを、コーティングから除去した後の、重量の損失割合である。それぞれの基板で、本発明の第1の見地の分岐シロキサンを含有する各試料では、使用された他の重合体と比較して、抽出可能な物質の割合が低めであるという結果が得られるということが、表1から注目されるであろう。アルケニルで末端をブロックされた「重合体」は、直鎖状のビニル/ヘキセニルジメチルシリル末端のポリジメチルシロキサンであった。アルケニルで末端をブロックされた、ペンダントの「重合体」は、鎖に対してあちこちにぶら下がったビニル基を有する、ビニルジメチルシリル末端のポリジメチルシロキサンである。T−分岐した「重合体」は、シロキサン側鎖を有するビニルジメチルシリル末端のポリジメチルシロキサンである。
【0061】
2つの代わりの架橋剤を使用した。それらは架橋剤1、即ち粘度が11mm2/sのトリメチル末端のメチルハイドロジェンシロキサン、及び、架橋剤2、即ち粘度が11mm2/sのジメチルハイドロジェン末端のメチルハイドロジェンシロキサンとして示されている。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
実施例5
下記試験は、コロナ処理された50ミクロンの1軸延伸ポリプロピレン基板上での、長時間にわたる、様々な架橋された剥離組成物コーティングの固着法における変形を示すために、使用された。コーティングは比較的低温の100℃で架橋されたこと、及び、比較組成物では、架橋も固着も充分ではなかったのに対して、本発明によるコーティングは、全2ヶ月の試験期間に渡って、高い固着インデックス(Anchorage Index)を維持したことに、注目すべきである。
【0065】
抽出可能な物質の測定手順は、実施例4に記載されるのと同じであった。固着インデックスの結果は、基板への架橋されたシリコーンコーティング系の固着又は接着強度を測定する。表3におけるそれぞれの結果では、関連するプレミアム剥離コーティングを用いてコーティングされた基板からなる同じ大きさの試料を切り出し、初期のコーティング重量(g/m2)、即ち基板の表面上にコーティングされたプレミアム剥離コーティングの量を、X線蛍光によって測定した。
【0066】
前述の試料は、平らなプラスチック円盤に固着され、3.2Kg重量の基準に対して合わされた。次いで、試料を、重量を下向きに圧力を掛けながら、試料のプレミアム剥離コーティングされた面を、フェルトの表面に接触させて、フェルトの下地の上に置いた。引き続いて、重量を測定された試料を、3m/分の予め設定された速度で、2度、フェルトの下地の30cmの長さを動かした。なお、それぞれの場合において、フェルトの下地の異なる部位を使用し、また試料のコーティングの重量を再度測定し、その後のコーティング重量(SUBSEQUENT COAT WEIGHT)として示した。
【0067】
表3に与えられた結果は、下記式によってそれぞれ測定される:
【0068】
【数1】
固着インデックス(%) = {その後のコーティング重量(SUBSEQUENT COAT WEIGHT)(g/m2)/初期コーティング重量(g/m2)}×100
【0069】
従って、固着インデックス(%)は、基板の表面に残っているプレミアム剥離コーティングの割合である。固着インデックス100%は、こすり落ちがないのと同等である。
【0070】
下記表の組成物は、平均で80のシロキサン単位(80DP Q)を含有する、本発明による分岐シロキサンからなり、比較例は、重合度(DP)が50の直鎖状ビニルジメチルシリル末端のポリジオルガノシロキサン、及び、重合度が150の直鎖状ビニルジメチルシリル末端の直鎖状ポリジオルガノシロキサンである。2つの代わりの架橋剤は、Si−H基:脂肪族不飽和炭化水素基の比が、2.0:1となる様な量の、これまでに使用されたX-linker 1、及び、X-linker 3、即ち粘度が20〜40mm2/sのトリメチルで末端がブロックされているハイドロジェンシロキサンであった。白金触媒120ppmが、全体の組成物の重量の0.12重量%のメチルブチノール抑制剤と共に、それぞれの試料中に含有されていた。
それぞれのケースにおける基板は、コロナ処理されたグラシン紙であった。分析されたそれぞれの試料の重合体及び架橋剤組成物を、下記表に示す。
【0071】
【表3】
【0072】
本発明の分岐した重合体を含有する、組成物A及びBを用いた、表3の固着インデックス試験の結果は、抽出可能な物質の値が低く、比較的高い固着インデックス%を維持している。DPが50の直鎖状ビニルジメチルシリル末端のポリジオルガノシロキサンからなる組成物C及びDは、抽出可能な物質の量は許容可能であるが、固着インデックスでは全体的に許容できない結果を示すのに対して、逆に比較的長鎖の150DPの直鎖状ビニルジメチルシリル末端のポリジオルガノシロキサンでは、抽出可能な物質の結果は悪く、固着インデックスの結果はよい。
【0073】
実施例6
本実施例では、本発明による分岐シロキサンは、剥離改質剤の部分として利用される。
【0074】
【表4】
【0075】
表4に示される重合体は、粘度が200mm2/sのジメチルビニルシリル末端のジメチルシロキサンである。重合体及び剥離改質剤に関して与えられた値は、重合体及び改質剤の合計の重量に対する重量%である。
組成物G及びHでは、剥離改質剤は、ジメチルビニルシロキシ及びトリメチルシロキシ末端のMQ樹脂70重量%、及び、オクタデセン及びテトラデセンの混合物30重量%からなる。実施例I及びJでは、存在するアルケンの50%は、DPが20の本発明による分岐シロキサンによって置き換えられる。適当量の白金をベースとする触媒もまた、組成物に混合された。
【0076】
それぞれの組成物の試料を、一片のグラシン紙上にコーティングし、30秒間150℃の温度で、架橋させた。
高速の剥離性能層間剥離試験(HSRPD)(g/50mm)もまた、接着性対照原料テープ源として、市販の積層体を使用して、測定された。HSRPDでは、コーティングされた紙は、23℃、相対湿度50%で、7日間、熟成させられた。架橋させられたコーティング上に、ホットメルト接着剤がコーティングされている高光沢白色原料(表4中のロールラベル)を当てることによって、積層体を調製した。積層体を、25kgの重量下、60℃の温度で、20時間熟成させて、シリコーンをベースとするコーティング上に接着剤を完全に湿潤させるのを確実にした。層間剥離は、これらのケースでは、様々な速度で、Instrumentors社製のZPE−1000高速剥離試験機を使用して行なわれた。
【0077】
【表5】
【0078】
抽出可能な物質に関しては、分岐シロキサンを含有するコーティングに関する架橋は、プレミアム剥離コーティングと同レベルで残っているの対して、比較コーティングでは抽出可能な物質の値は、剥離改質剤の含有量が増加すると共に、直線的増加するということに、注目すべきである。更には、剥離改質剤組成物中のアルケンの含有量が減少すると、剥離力は維持されるが、架橋過程でスモーキングする影響が顕著に低下する。
【0079】
実施例7
下記実施例において、重合体、架橋剤、及び触媒は、実施例6におけるのと全く同じである。しかしながら、剥離改質剤は、組成物Kでは重合度が20の、ビニルジメチルシリル末端のポリジメチルシロキサン55重量%からなり、組成物Lでは、重合度が20の本発明による分岐シロキサンである。なお、両ケースにおいて、残りは、ジメチルビニルシロキシ及びトリメチルシロキシ末端のMQ樹脂45%である。
低速の剥離性能層間剥離試験(LSRPD)を、アクリル系接着剤を使用するTESA(登録商標)7475テープを使用して行なった。これらの試験のそれぞれにおいて、層間剥離は、0.3m/分の剥離速度で、Lloyd社製のInstruments L500 伸び計を使用して行なわれた。
【0080】
これらのケースにおいて、異なる基準が、異なる設定時間後の性能を試験するために使用された。Imm.(即座)/1日は、関連するコーティングが、架橋後即座に、TESA(登録商標)7475テープの小片と積層させられ、23℃、相対湿度50%で、更に1日間積層体を調節するのに引き続いて層間剥離が行なわれたことを意味する。同様に、Imm/7日は、積層は再度即座であったが、23℃、相対湿度50%で、7日間積層体を調節するのに引き続いて層間剥離が行なわれたことを意味する。7日/1日は、架橋7日後に積層が行なわれ、23℃、相対湿度50%で、更に1日間積層体を調節した後に、層間剥離が行なわれたことを意味する。最後に、7日/7日は、架橋7日後に積層が行なわれ、23℃、相対湿度50%で、更に7日間積層体を調節した後に、層間剥離が行なわれたことを意味する。
HSRPDの結果は、実施例6と全く同様の方法で、得られた。
【0081】
【表6】
【0082】
剥離改質剤重合体の全部を、本発明による分岐シロキサンで置き換える場合、抽出可能な物質の値は、プレミアム剥離コーティングと比較して、減少することに、注目すべきである。
Claims (6)
- 次の4部分を含む多区分剥離コーティング組成物であり、
第1の部分は、20〜250の重合度を有し、且つ下記i)〜iii)からなる分岐シロキサン:
i)一般式SiO4/2からなる1又はそれ以上のQ単位、
ii)一般式Rb 2SiO2/2からなるD単位15〜995、なお単位i)及びii)は、いかなる適当な組み合わせで内部結合していてもよい、
iii)一般式RaRb 2SiO1/2からなるM単位
(式中、それぞれのRa置換基は、炭素原子を1〜6有するアルキル基、炭素原子を1〜6有するアルケニル基、及び、炭素原子を1〜6有するアルキニル基からなる群から選択され、分岐シロキサン中の少なくとも3つのRa置換基が、アルケニル又はアルキニル単位であり、それぞれのRb置換基は、炭素原子を1〜6有するアルキル基、炭素原子2〜6のアルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アクリレート基、及び、メタクリレート基からなる群から選択される)、及び
iv)ヒドロシリル化抑制剤からなり、
第2の部分は、シリコーン系剥離改質剤及びヒドロシリル化抑制剤からなり、
第3の部分は、前記分岐シロキサンと架橋剤との間の反応に触媒作用を与えるヒドロシリル化触媒からなり、及び
第4の部分は、組成物中のSi−H基の合計数と組成物中の脂肪族不飽和炭化水素基の合計数との比が0.9:1〜3:1である様な量のオルガノハイドロジェンポリシロキサン架橋剤からなる。 - それぞれのRa置換基が、ビニル及びヘキセニル基から選択されるアルケニル基である、請求項1に記載の多区分剥離コーティング組成物。
- 次の3部分を含む多区分剥離コーティング組成物であり、
第1の部分は、20〜250の重合度を有し、且つ下記i)〜iii)からなる分岐シロキサン:
i)一般式SiO4/2からなる1又はそれ以上のQ単位;
ii)一般式Rb 2SiO2/2からなる15〜995のD単位、なお単位i)及びii)はいかなる適当な組み合わせで内部結合していてもよい;
iii)一般式RaRb 2SiO1/2からなるM単位;
(式中、それぞれのRa置換基は、炭素原子を1〜6有するアルキル基、炭素原子を1〜6有するアルケニル基、及び炭素原子を1〜6有するアルキニル基からなる群から選択され、分岐シロキサン中の少なくとも3個のRa置換基はアルケニル又はアルキニル単位であり、それぞれのRb置換基は、炭素原子を1〜6有するアルキル基、炭素原子を2〜6有するアルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アクリレート基、及びメタクリレート基からなる群から選択される);及びヒドロシリル化触媒からなり、
第2の部分は、シリコーン系剥離改質剤及びヒドロシリル化触媒からなり、及び
第3の部分は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン架橋剤及びヒドロシリル化抑制剤からなる。 - 少なくとも50%のRa置換基がアルケニル基である請求項4に記載の多区分剥離コーティング組成物。
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