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JP2023508670A - 感圧接着剤組成物 - Google Patents

感圧接着剤組成物 Download PDF

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JP2023508670A JP2022539126A JP2022539126A JP2023508670A JP 2023508670 A JP2023508670 A JP 2023508670A JP 2022539126 A JP2022539126 A JP 2022539126A JP 2022539126 A JP2022539126 A JP 2022539126A JP 2023508670 A JP2023508670 A JP 2023508670A
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Abstract

感圧接着剤(PSA)組成物は、(A)あらゆる溶媒の非存在下で、25℃で液体であるシリケート樹脂を含む。(A)シリケート樹脂は、1分子当たり平均して少なくとも1つのケイ素結合エチレン性不飽和基を含む。PSA組成物は、(B)1分子当たり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する有機ケイ素化合物を更に含む。加えて、PSA組成物は、(C)ヒドロシリル化反応触媒を含む。(A)シリケート樹脂は、あらゆる溶媒の非存在下で、PSA組成物に混和性である。PSA組成物を少なくとも部分的に硬化させて、PSAを得ることができる。
【選択図】なし

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年12月30日に出願された米国特許仮出願第62/955,126号の優先権及び全ての利点を主張するものであり、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
(発明の分野)
本開示は、概して、接着剤、より具体的には、シリケート樹脂を含む感圧接着剤組成物及び関連する方法に関する。
シリコーン組成物は、当技術分野において既知であり、非常に多くの産業及び最終用途において利用されている。1つのそのような最終用途は、接着剤である。例えば、シリコーン組成物は、感圧接着剤として利用することができる。
従来のシリコーン系感圧接着剤は、多くの場合、付加硬化性である。加えて、従来の感圧接着剤は、典型的には、粘着付与剤を含み、これは、シリコーン系感圧接着剤の場合、固体MQ樹脂であることが多い。そのようなシリコーン系感圧接着剤を配合するために、固体、例えば固体MQ樹脂は、溶媒中に溶解され、シリコーン系感圧接着剤の他の成分と組み合わせられ、溶媒は後で除去される。したがって、シリコーン系感圧接着剤が無溶媒であっても、そのような無溶媒シリコン系感圧接着剤は、依然として、典型的には溶媒で形成される。
感圧接着剤最小(pressure sensitive adhesive、PSA)組成物が開示される。PSA組成物は、(A)あらゆる溶媒の非存在下で、25℃で液体であるシリケート樹脂を含む。(A)シリケート樹脂は、1分子当たり平均して少なくとも1つのケイ素結合エチレン性不飽和基を含む。PSA組成物は、(B)1分子当たり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する有機ケイ素化合物を更に含む。加えて、PSA組成物は、(C)ヒドロシリル化反応触媒を含む。(A)シリケート樹脂は、あらゆる溶媒の非存在下で、PSA組成物に混和性である。PSA組成物を少なくとも部分的に硬化させて、PSAを得ることができる。
基材上に配置されたコーティングを含むコーティング基材を調製する方法、並びにその方法に従って形成されたコーティング基材が開示される。
感圧接着剤(PSA)組成物が開示される。PSA組成物は、(A)あらゆる溶媒の非存在下で、25℃で液体であるシリケート樹脂を含む。あるいは、(A)シリケート樹脂は、シリコーン樹脂とも称され得るが、(A)シリケート樹脂中の単位であるQシロキシ又はSiO4/2の存在を考慮したシリケート樹脂である。概して、シリコーン樹脂及び特にシリケート樹脂は、それらの三次元網目状構造のために25℃で固体である。固体シリコーン樹脂を加工する難しさを考慮して、シリコーン樹脂は、典型的には、溶媒中に溶解され、溶媒中に溶解された固体シリコーン樹脂、例えば脂肪族若しくは芳香族炭化水素溶媒を含むか、又はそれからなるシリコーン樹脂組成物として利用される。このようにして、シリコーン樹脂組成物は、25℃又は室温で液体であり、これにより、シリコーン樹脂組成物のより簡単な加工が可能になる。例えば、シリコーン樹脂組成物は、液体形態で、様々な最終用途のための他の成分又は組成物と組み合わせることができる。同様に、あらゆる溶媒の非存在下で、25℃で固体である従来のシリコーン樹脂は、液体シリコーンと容易に混和しない。このことは、シリコーン組成物を調製する場合、25℃で固体である従来のシリコーン樹脂は、有機溶媒の存在下で、液体シリコーン、例えば液体オルガノポリシロキサンと容易に混合又は可溶化することができないことを意味する。したがって、従来のシリコーン樹脂がシリコーン組成物中で利用される場合、有機溶媒は、典型的には、シリコーン組成物を形成する目的で必要とされ、その後、組成物の形態で又は硬化時に揮発する。
しかしながら、シリコーン組成物の1つの欠点は、溶媒が、典型的には、最終用途で除去されることである。例えば、シリコーン組成物を利用して、フィルム、コーティング又は物品を形成する場合、そのようなフィルム又は物品の形成時に、溶媒は、典型的には除去される。これは、例えば揮発を介して、溶媒を除去するために、追加の加工工程、並びにエネルギー及び関連コストを必要とする。
対照的に、(A)シリケート樹脂は、あらゆる溶媒の非存在下で、25℃で液体である。したがって、25℃で液体である(A)シリケート樹脂は、従来のシリコーン樹脂とは異なり、あらゆる溶媒、例えば有機溶媒の存在に起因しない。(A)シリケート樹脂は、いずれの溶媒又は担体ビヒクルも含まないシリケート樹脂からなる。更になお、(A)シリケート樹脂が、あらゆる溶媒の非存在下で、25℃で液体であるだけでなく、(A)シリケート樹脂は、典型的にいずれかのオルガノポリシロキサンが中で利用されるものを含むPSA組成物と混和性である。これにより、あらゆる溶媒、又はPSA組成物から溶媒を除去するための関連する加工ステップを必要とせずに、PSA組成物を容易に形成することが可能になる。
「液体」とは、(A)シリケート樹脂が25℃で流動性であり、及び/又はあらゆる溶媒の非存在下で、25℃で測定可能である粘度を有することを意味する。典型的には、(A)シリケート樹脂の粘度は、(A)シリケート樹脂の粘度に適切に選択されたスピンドルを備えるBrookfield LV DV-E粘度計を介して25℃で測定可能である。(A)シリケート樹脂の粘度は、特に、以下に記載されるように、その中に存在するM、D、T、及び/又はQシロキシ単位の含有量に基づいて変化し得る。しかしながら、本開示の目的では、(A)シリケート樹脂は、ガムが25℃で容易に測定することができる粘度を有しない場合でも、ガムが依然として流動性特性を有するため、ガムの形態であり得る。
特定の実施形態では、(A)シリケート樹脂は、平均式:
[W][X][Y][Z]
[式中、0<a<1、0<b<1、0≦c<1及び0<d<1であるが、但し、a+b+c+d=1である]を有する。下付き文字a、b、c、及びdは、(A)シリケート樹脂中のW、X、Y、及びZ単位のモル分率である。
(A)シリケート樹脂の上記の平均式において、[W]、[X]、[Y]、及び[Z]は、より一般的な命名法[M]、[D]、[T]、及び[Q]の代わりに利用される。当技術分野で理解されるように、Mシロキシ単位は、1つのシロキサン結合(即ち、-O-Si-)を含み、Dシロキシ単位は、2つのシロキサン結合を含み、Tシロキシ単位は、3つのシロキサン結合を含み、Qシロキシ単位は、4つのシロキサン結合を含む。
しかしながら、本開示の目的では、[W]は、シロキサン結合又はその前駆体であり得る1つの-Si-O-結合を含むシロキシ単位を示す。シロキサン結合の前駆体は、-Si-OZ結合であり、式中、Zは、独立して、H、アルキル基、又はK若しくはNaなどのカチオン、あるいはH又はアルキル基である。シラノール基及びアルコキシ基は、加水分解及び/又は縮合して、シロキサン結合を生じさせることができ、典型的にはほとんどのシリコーン樹脂中に元来存在する。シロキサン結合のそのような前駆体は、シリコーン樹脂をボディイング(bodying)することによって最小化することができ、これにより、水及び/又は副生成物としてのアルコールと更に縮合する。したがって、本開示の目的では、[W]は、[RSiO1/2][式中、各Rは独立して選択されたヒドロカルビル基である]を示す。
更に、本開示の目的では、[X]は、独立して、シロキサン結合又はその前駆体であり得る2つの-Si-O-結合を含むシロキシ単位を示す。したがって、本開示の目的では、[X]は、[RSiO1/2(OZ)]b’[RSiO2/2b’’[式中、各Rは独立して選択され、上記で定義され、0≦b’≦b、0≦b’’≦bであるが、但し、b’+b’’=bであり、各Zは、独立して、H、アルキル基、又はカチオンである]である。下付き文字b’及びb’’は、(A)シリケート樹脂の全体的な平均式に関して、それぞれ、下付き文字b’によって示される[X]シロキシ単位及び下付き文字b’’によって示される[X]シロキシ単位の相対モル分率を示し、b’及びb’’の合計はbに等しい。b’によって示される[X]シロキシ単位中には、1つのシロキサン結合及び1つのSi-OZ結合があり、下付き文字b’’によって示される[X]シロキシ単位中には、2つのシロキサン結合がある。
更に、本開示の目的では、[Y]は、独立して、シロキサン結合又はその前駆体であり得る3つの-Si-O-結合を含むシロキシ単位を示す。したがって、本開示の目的では、[Y]は、[RSi(OZ)c’3-c’/2][式中、各Rは独立して選択され、上記で定義され、c’は0~2の整数であり、(A)シリケート樹脂中の下付き文字cによって示される各Yシロキシ単位において独立して選択される]である。したがって、[Y]は、以下のシロキシ単位:[RSiO3/2]、[RSi(OZ)2/2]、及び/又は[RSi(OZ)1/2]の任意の組み合わせを示し得る。
更に、本開示の目的では、[Z]は、独立してシロキサン結合又はその前駆体であり得る4つの-Si-O-結合を含むシロキシ単位を示す。したがって、本開示の目的では、[Z]は、[Si(OZ)d’4-d’/2][式中、各Zは独立して選択され、上記で定義され、下付き文字d’は0~3の整数であり、(A)シリケート樹脂中の下付き文字dによって示される各シロキシ単位で独立して選択される]である。(A)シリケート樹脂は、下付き文字dによって示されるシロキシ単位を含んでもよく、式中、d’は0であり、d’は1であり、d’は2であり、d’は3である。[Z]によって表されるシロキシ単位は、1つ、2つ、3つ、又は4つのシロキサン結合を有してもよく、その残りはSi-OZである。したがって、[Z]は、以下のシロキシ単位:[SiO4/2]、[Si(OZ)O3/2]、[Si(OZ)2/2]、及び/又は[Si(OZ)1/2]の任意の組み合わせを示し得る。
ある特定の実施形態では、下付き文字aは、ゼロ超~0.9、あるいは0超~0.8、あるいは0超~0.7、あるいは0超~0.6、あるいは0超~0.5である。特定の実施形態では、下付き文字aは、0.10~0.50、あるいは0.15~0.40、あるいは0.2~0.4、あるいは0.25~0.35である。
これらの又は他の実施形態では、下付き文字bは、ゼロ超~0.9、あるいは0超~0.8、あるいは0超~0.7、あるいは0超~0.6、あるいは0超~0.5、あるいは0超~0.4である。特定の実施形態では、下付き文字bは、0.10~0.30、あるいは0.15~0.30、あるいは0.15~0.25である。下付き文字b’及びb’’は、[X]によって表される特定のシロキシ単位の相対量を定義する。上記のように、0≦b’≦b、0≦b’’≦bであり、但し、b’+b’’=bである。下付き文字b’が0であり得る一方で、下付き文字b’’はbであるか、又は下付き文字b’がbであり得る一方で、下付き文字b’’は0である。b’及びb’’によって示される両方のシロキシ単位が(A)シリケート樹脂中に存在する場合、0<b’<1であり、0<b’’<1であり、但し、b’+b’’=bである。
これらの又は他の実施形態では、下付き文字cは、0である。しかしながら、代替的な実施形態では、下付き文字cは、0超、例えば、ゼロ超~0.9、あるいは0超~0.8、あるいは0超~0.7、あるいは0超~0.6、あるいは0超~0.5、あるいは0超~0.4、あるいは0超~0.3、あるいは0超~0.2、あるいは0超~0.10、あるいは0超~0.08である。
これらの又は他の実施形態では、下付き文字dは、ゼロ超~0.9、あるいは0超~0.8、あるいは0超~0.7、あるいは0超~0.6である。あるいは、これらの又は他の実施形態では、dは、0.1~0.9、あるいは0.2~0.9、あるいは0.3~0.9、あるいは0.4~0.9である。特定の実施形態では、下付き文字dは、0.35~0.60、あるいは0.40~0.60、あるいは0.40~0.55、あるいは0.45~0.55である。
Rは、独立して選択されたヒドロカルビル基であり、Rのうちの少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つの平均は、独立して、(A)シリケート樹脂の各分子中のエチレン性不飽和基である。概して、Rに好適なヒドロカルビル基は独立して、直鎖状、分岐状、環状又はこれらの組み合わせであり得る。環状ヒドロカルビル基は、アリール基、及び飽和又は非共役環状基を包含する。環状ヒドロカルビル基は、独立して、単環式又は多環式であってもよい。直鎖状及び分岐状ヒドロカルビル基は、独立して、飽和であっても不飽和であってもよい。直鎖状及び環状ヒドロカルビル基の組み合わせの一例は、アラルキル基である。ヒドロカルビル基の全般的な例としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロカーボン基など、並びに誘導体、変形体、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好適なアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル、及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシル、ヘキサデシル、オクタデシル、並びに6~18個の炭素原子を有する分岐飽和炭化水素基が挙げられる。好適な非共役環状基の例としては、シクロブチル基、シクロヘキシル基、及びシシロヘプチル基が挙げられる。好適なアリール基の例としては、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、ベンジル、及びジメチルフェニルが挙げられる。好適なアルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、及びシクロヘキセニル基が挙げられる。好適な一価ハロゲン化炭化水素基(即ち、ハロ炭素基)の例としては、ハロゲン化アルキル基、アリール基、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ハロゲン化アルキル基の例としては、1つ以上の水素原子が、F又はClなどのハロゲン原子で置換された、上述のアルキル基が挙げられる。ハロゲン化アルキル基の具体例としては、フルオロメチル、2-フルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、4,4,4,3,3-ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3-ヘプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3-ノナフルオロヘキシル、及び8,8,8,7,7-ペンタフルオロオクチル、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2,3-ジフルオロシクロブチル、3,4-ジフルオロシクロヘキシル、及び3,4-ジフルオロ-5-メチルシクロヘプチル、クロロメチル、クロロプロピル、2-ジクロロシクロプロピル、及び2,3-ジクロロシクロペンチル基、並びにそれらの誘導体が挙げられる。ハロゲン化アリール基の例としては、1つ以上の水素原子が、F又はClなどのハロゲン原子で置換された、上述のアリール基が挙げられる。ハロゲン化アリール基の具体例としては、クロロベンジル基及びフルオロベンジル基が挙げられる。
特定の実施形態では、各Rは、1~32個、あるいは1~28個、あるいは1~24個、あるいは1~20個、あるいは1~16個、あるいは1~12個、あるいは1~8個、あるいは1~4個、あるいは1個の炭素原子を有するアルキル基から、及び2~32個、あるいは2~28個、あるいは2~24個、あるいは2~20個、あるいは2~16個、あるいは2~12個、あるいは2~8個、あるいは2~4個、あるいは2個の炭素原子を有するエチレン性不飽和基(即ち、アルケニル基及び/又はアルキニル基)から独立して選択される。「アルケニル」は、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する非環式の分岐又は非分岐の一価炭化水素基を意味する。その具体例としては、ビニル基、アリル基、及びヘキセニル基が挙げられる。「アルキニル」は、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有する非環式の分岐又は非分岐の一価炭化水素基を意味する。その具体例としては、エチニル、プロピニル、及びブチニル基が挙げられる。エチレン性不飽和基の様々な例としては、CH=CH-、CH=CHCH-、CH=CH(CH-、CH=CH(CH-、CH=C(CH)CH-、HC=C(CH)-、HC=C(CH)-、HC=C(CH)CH-、HC=CHCHCH-、HC=CHCHCHCH-、HC≡C-、HC≡CCH-、HC≡CCH(CH)-、HC≡CC(CH-、及びHC≡CC(CHCH-が挙げられる。典型的には、Rがエチレン性不飽和基である場合、エチレン性不飽和は、Rの末端である。当技術分野で理解されるように、エチレン系不飽和は、脂肪族不飽和と称され得る。
特定の実施形態では、下付き文字bによって示されるシロキシ単位のみが、エチレン系不飽和を有するR基を含む。これらの実施形態では、下付き文字a及びcによって示されるシロキシ単位のR基は、エチレン系不飽和を含まず、その具体例は、メチルである。ある特定の実施形態では、(A)シリケート樹脂は、下付き文字bによって示されるシロキシ単位として、ジメチルシロキシ単位及びメチルビニルシロキシ単位の両方を含む。他の実施形態では、(A)シリケート樹脂は、下付き文字bによって示されるシロキシ単位として、メチルビニルシロキシ単位を含むが、ジメチルシロキシ単位を含まない。そのようなシロキシ単位の相対量は、(A)シリケート樹脂の調製時に選択的に制御することができる。当技術分野で理解されるように、上に記述されたシロキシ単位は例示のみであり、メチルは他のヒドロカルビル基と置き換えられてもよく、ビニルは他のエチレン性不飽和基と置き換えられてもよい。
ある特定の実施形態では、(A)シリコーン樹脂は、各分子中のSiの総モル数に基づいて、12~80、あるいは15~70、あるいは15~60、あるいは15~50、あるいは15~40、あるいは15~30モルパーセントのSiOZ部分の含有量を有する。SiOZ部分の含有量は、29Si-NMRを介して計算することができる。特に、(A)シリケート樹脂中の以下のシロキシ単位のモル含有量が決定される。
W=RSiO1/2
X1=R(OZ)SiO1/2
X2=RSiO2/2
Y1=R(OZ)SiO1/2
Y2=R(OZ)SiO2/2
Y3=RSiO3/2
Z1=(OZ)SiO1/2
Z2=(OZ)SiO1/2
Z3=(OZ)SiO3/2
Z4=SiO4/2
モル%としてのケイ素原子に対するOZ含有量は、ラベルに対応するピーク下の積分面積に対応する式中の各ピークについてのラベルを用いて以下の式で計算することができる。
Figure 2023508670000001
これらの又は他の実施形態では、(A)シリケート樹脂は、0超~10、あるいは(A)シリケート樹脂の総重量に基づくものからのケイ素結合エチレン性不飽和基の重量パーセントを有する。ケイ素結合エチレン性不飽和基の重量パーセントは、(A)シリケート樹脂の粘度とは関係なく、これは、従来の固体シリコーン樹脂のケイ素結合エチレン性不飽和基の重量パーセントとは異なり、これは、液体オルガノポリシロキサンポリマー又はビヒクル中に分散された後のその粘度の関数である。したがって、ケイ素結合エチレン性不飽和基の重量パーセントは、例えば、(A)シリケート樹脂の粘度に影響を与えることなく、増加させることができる。ケイ素結合エチレン性不飽和基の重量パーセントは、以下に記載されるように、(A)シリケート樹脂の調製時に選択的に制御され得る。
これらの又は他の実施形態では、(A)シリケート樹脂中のケイ素結合エチレン性不飽和基の重量パーセントは、(A)シリケート樹脂の粘度とは関係なく選択的に制御され得る。対照的に、ケイ素結合エチレン性不飽和基を含む従来のシリコーン樹脂では、その含有量は粘度の関数であり、これにより、ある特定の粘度でケイ素結合エチレン性不飽和基の含有量を選択的に制御する能力が制限され、本質的にある特定の最終用途が制限される。様々な実施形態では、(A)シリケート樹脂は、1,000~100,000、あるいは1,000~50,000、あるいは1,000~10,000の重量平均分子量を有する。分子量は、ポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィ(gel permeation chromatography、GPC)を介して測定され得る。これらの又は他の実施形態では、(A)シリケート樹脂は、10~500,000、あるいは10~250,000、あるいは10~100,000cPの25℃での粘度を有する。粘度は、当技術分野で理解されるように、(A)シリケート樹脂の粘度に対して適切に選択されたスピンドルを備えるBrookfield LV DV-E粘度計を介して、25℃で測定することができる。(A)シリケート樹脂の調製時に、(A)シリケート樹脂の粘度及び分子量を制御することができる。他の実施形態では、(A)シリケート樹脂は、25℃でのガムであり、この場合、(A)シリケート樹脂は、25℃で容易に測定することができる粘度を有しないが、依然として流動性特性を有し、本開示の目的では液体とみなされる。
様々な実施形態では、シリケート樹脂は、MQ樹脂から調製され、ここで、Mは(RSiO3/2)シロキシ単位を示し、Qは(SiO4/2)シロキシ単位を示し、式中、Rはケイ素結合置換基を示す。そのようなMQ樹脂は当技術分野で知られ、溶媒中に配置されない限り、多くの場合固体(例えば、粉末又はフレーク)形態である。しかしながら、典型的には、当技術分野で利用される命名法では、Mシロキシ単位は、トリメチルシロキシ単位であるのに対して、MQ樹脂は、メチル基以外のヒドロカルビル基を含み得る。しかしながら、典型的には、MQ樹脂のMシロキシ単位は、トリメチルシロキシ単位である。
MQ樹脂は、式MQを有し得、式中、下付き文字nは、Qシロキシ単位のモル数を1に正規化した場合の、Mシロキシ単位とQシロキシ単位とのモル比を指す。nの値が大きいほど、MQ樹脂の架橋密度は低くなる。逆もまた当てはまり、これは、nの値が減少すると、Mシロキシ単位の数が減少し、したがって、より多くのQシロキシ単位が、Mシロキシ単位を介して終結することなく網目状になるためである。MQ樹脂の式がQシロキシ単位の含有量を1に正規化するという事実は、MQ樹脂が1つのQ単位のみを含むことを意味するものではない。典型的には、MQ樹脂は、共にクラスター化又は結合された複数のQシロキシ単位を含む。MQ樹脂は、ある特定の実施形態では、最大4重量パーセント、あるいは最大3重量パーセント、あるいは最大2重量パーセントのヒドロキシル基を含み得る。
特定の実施形態では、下付き文字nは、<1であり、例えば下付き文字nは、0.05~0.99、あるいは0.10~0.95、あるいは0.15~0.90、あるいは0.25~0.85、あるいは0.40~0.80である。これらの実施形態では、モル基準では、MQ樹脂中のMシロキシ単位よりもQシロキシ単位が多い。しかしながら、nは、>1、他の実施形態では、例えば、>1~6、あるいは>1~5、あるいは>1~4、あるいは>1~3、あるいは>1~2であり得る。
特定の実施形態では、MQ樹脂から(A)シリケート樹脂を調製するために、MQ樹脂を塩基触媒の存在下でシラン化合物と反応させる。シラン化合物は、典型的には、ケイ素結合エチレン性不飽和基及び2つのケイ素結合アルコキシ基を含む。ケイ素結合アルコキシ基は、独立して選択することができ、典型的には、1~10個、あるいは1~8個、あるいは1~6個、あるいは1~4個、あるいは1又は2個、あるいは1個の炭素原子を有する。例えば、ケイ素結合アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどであり得る。例えば、シラン化合物は、式RSi(OR)[式中、各Rは独立して選択され、アルコキシ基の一部ではない少なくとも1つのRはエチレン性不飽和基である]を有し得る。
(A)シリケート樹脂を調製する方法では、塩基触媒は、典型的には、MQ樹脂のシロキサン結合を典型的にはMシロキシ単位とQシロキシ単位との間で開裂して、SiOZ基[式中、Zは上記で定義されている]を得る。シラン化合物は、そこに組み込まれるSiOZ基と加水分解及び縮合することができる。シロキシ結合の開裂、及びシラン化合物に起因する直鎖状シロキシ単位を含めることの両方により、あらゆる溶媒の非存在下で、25℃で液体である(A)シリケート樹脂がもたらされる。
シラン化合物は、Dシロキシ単位、即ち[X]及び下付き文字bによって示されるものとして(A)シリケート樹脂に組み込まれるため、シラン化合物は、所望のDシロキシ単位に基づいて選択され得る。例えば、(A)シリケート樹脂がメチルビニルシロキシ単位を含む場合、シラン化合物は、メチルビニルジアルコキシシラン、例えばメチルビニルジメトキシシランである。(A)シリケート樹脂がジメチルシロキシ単位及びメチルビニルシロキシ単位を含む場合、シラン化合物は、ジメチルジメトキシシランと組み合わせたメチルビニルジメトキシシランを含み得る。したがって、シラン化合物は、同時に2つ以上の異なるシラン化合物を含み得る。
(A)シリケート樹脂中の下付き文字cが0超である場合の、ある特定の実施形態では、本方法は、3つの独立して選択されたケイ素結合アルコキシ基を有する第2のシラン化合物を更に含む。第2のシラン化合物は、下付き文字cによって示されるシロキシ単位として(A)シリケート樹脂に組み込まれる。第2のシラン化合物は、官能性であり、例えば、シリコン結合エチレン性不飽和基を含むか、又は非官能性、例えば、独立して選択された3つのケイ素結合アルコキシ基と組み合わせたアルキル基であり得る。
MQ樹脂と比較したとき、利用されるシラン化合物(及び任意選択的に第2のシラン化合物)の相対量は、(A)シリケート樹脂中の所望の下付き文字b(及び任意選択的に下付き文字c)の関数である。より多くのDシロキシ単位が所望される場合、その逆も同様に、より多くのシラン化合物が利用される。当業者は、この「発明を実施するための形態」を含む、本明細書の記載を考慮して、どのようにそのような内容物を選択的に制御するかを理解する。
MQ樹脂及びシラン化合物は、触媒の存在下で反応する。典型的には、触媒は、MQ樹脂とシラン化合物との間の反応が酸触媒反応又は塩基触媒反応のいずれかであるように、酸又は塩基である。典型的には、反応は、塩基触媒反応である。したがって、ある特定の実施形態では、触媒は、強酸触媒、強塩基触媒、及びそれらの組み合わせの群から選択され得る。強酸触媒は、トリフルオロメタンスルホン酸などであり得る。触媒は、典型的には、強塩基触媒である。典型的には、強塩基触媒はKOHであるが、ホスファゼン塩基触媒などの他の塩基触媒を利用することができる。
ホスファゼン触媒は、概して少なくとも1つの-(N=P<)-単位(即ち、ホスファゼン単位)を含み、通常、最大10個のそのようなホスファゼン単位を有するオリゴマーであり、例えば、平均して1.5から最大5のホスファゼン単位を有する。ホスファゼン触媒は、例えば、クロロホスファゼン(ホスホニトリルクロリド)などのハロホスファゼン、酸素含有ハロホスファゼン、ホスファゼニウム塩などのホスファゼンのイオン性誘導体、特にパークロロオリゴホスファゼニウム塩などのハロゲン化ホスホニトリルのイオン性誘導体、又はその部分的に加水分解された形態であり得る。
特定の実施形態では、触媒は、ホスファゼン塩基触媒を含む。ホスファゼン塩基触媒は、当技術分野で知られる任意のものであってもよいが、典型的には、以下の化学式
(R N)P=N)(R N)3-tP=NR
[式中、各Rは、水素原子、R、及びそれらの組み合わせの群から独立して選択され、tは1~3の整数である]を有する。RがRである場合、Rは、典型的には、1~20個、あるいは1~10個、あるいは1~4個の炭素原子を有するアルキル基である。任意の(R N)部分の2つのR基は、同じ窒素(N)原子に結合し、連結し、好ましくは5又は6個の環員を有する複素環を完成させることができる。
あるいは、ホスファゼン塩基触媒は塩であり得、以下の代替化学式
[((R N)P=N)(R N)3-tP=N(H)R[A]、又は
[((R N)P=N)(R N)4-sP][A
[式中、各Rは独立して選択され、上記で定義され、下付き文字tは上記で定義され、下付き文字sは1~4の整数であり、[A]はアニオンであり、典型的には、フルオリド、ヒドロキシド、シラノレート、アルコキシド、カーボネート、バイカーボネートの群から選択される]のうちの1つを有し得る。一実施形態では、ホスファゼン塩基は水酸化アミノホスファゼニウムである。
ある特定の実施形態では、MQ樹脂及びシラン化合物は、溶媒の存在下で、高温、例えば75~125℃で反応する。好適な溶媒は、炭化水素であってもよい。好適な炭化水素としては、芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、若しくはキシレン、及び/又は脂肪族炭化水素、例えばヘプタン、ヘキサン、若しくはオクタンが挙げられる。あるいは、溶媒は、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン、又は塩化メチレンであってもよい。酢酸などの中和剤を利用して、反応後に触媒を中和してもよい。当業者は、その選択及び反応条件の関数である、利用される触媒の触媒量を容易に決定することができる。得られた(A)シリケート樹脂は、従来の技術、例えばストリッピング又は他の揮発技術を介して反応生成物から単離又は回収することができる。
PSA組成物は、(B)1分子当たり平均して少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する有機ケイ素化合物を更に含む。(B)有機ケイ素化合物は、直鎖状、分岐状、部分的に分岐状、環状、樹脂状(即ち、三次元網目を有する)であるか、又は異なる構造の組み合わせを含み得る。(B)有機ケイ素化合物は、典型的には、架橋剤及び/又は鎖延長剤であり、(A)シリケート樹脂のエチレン性不飽和基と反応する。典型的には、(B)有機ケイ素化合物は、オルガノハイドロジェンシロキサンを含む。
(B)有機ケイ素化合物は、(B)有機ケイ素化合物が1分子当たり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を含む限り、M、D、T、及び/又はQシロキシ単位の任意の組み合わせを含み得る。これらのシロキシ単位を様々な様態で組み合わせて、環状、直鎖状、分岐状、及び/又は樹脂状(三次元網目状)の構造を形成することができる。(B)有機ケイ素化合物は、M、D、T、及び/又はQ単位の選択に依存して、モノマー、ポリマー、オリゴマー、直鎖状、分岐状、環状、及び/又は樹脂状であってもよい。
(B)有機ケイ素化合物は、上に記述されたシロキシ単位に関して、1分子当たり平均して少なくとも2つのケイ素結合水素原子を含むため、(B)有機ケイ素化合物は、任意選択的にケイ素結合水素原子を全く含まないシロキシ単位と組み合わせた、ケイ素結合水素原子を含む以下のシロキシ単位:(RHSiO1/2)、(RHSiO1/2)、(HSiO1/2)、(RHSiO2/2)、(HSiO2/2)及び/又は(HSiO3/2)[式中、Rは独立し選択され、上記で定義される]のいずれかを含み得る。
特定の実施形態では、(B)有機ケイ素化合物は、実質的に直鎖状、あるいは直鎖状のポリオルガノハイドロジェンシロキサンである。実質的に直鎖状又は直鎖状のポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、単位式:
(HR10 SiO1/2v’(HR10SiO2/2w’(R10 SiO2/2x’(R10 SiO1/2y’[式中、各R10は独立して選択された一価炭化水素基であり、下付き文字v’は0、1又は2であり、下付き文字w’は0又は1以上であり、下付き文字x’は0以上であり、下付き文字y’は0、1、又は2であり、但し、数量(v’+y’)=2、及び数量(v’+w’)≧2である]を有する。R10の一価炭化水素基は、Rの一価炭化水素基について上記のとおりであってもよい。数量(v’+w’+x’+y’)は、2~1,000であり得る。ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、
i)ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ポリ(ジメチル/メチルハイドロジェン)シロキサンコポリマー、
ii)ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、
iii)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチル/メチルハイドロジェン)シロキサンコポリマー、
iv)トリメチルシロキシ末端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、並びに/又は
v)i)、ii)、iii)、iv)、及びv)のうちの2つ以上の組み合わせによって例示される。好適なポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)から市販されている。
特定の一実施形態では、(B)有機ケイ素化合物は直鎖状であり、ペンダントケイ素結合水素原子を含む。これらの実施形態では、(B)有機ケイ素化合物は、平均式を有するジメチル、メチル水素ポリシロキサンであり得、
(CHSiO[(CHSiO]x’[(CH)HSiO]w’Si(CH
[式中、x’及びw’は、上に定義される]を有するジメチル,メチル-ハイドロジェンポリシロキサンであってもよい。当業者であれば、上の例示的な式において、ジメチルシロキシ単位及びメチルハイドロジェンシロキシ単位は、ランダム又はブロック形態で存在してもよく、任意のメチル基を、脂肪族不飽和を含まない任意の他の炭化水素基で置換してもよいことを理解する。
別の特定の実施形態では、(B)有機ケイ素化合物は、直鎖状であり、末端ケイ素結合水素原子を含む。これらの実施形態では、(B)有機ケイ素化合物は、平均式を有するSiH末端ジメチルポリシロキサンであり得、
H(CHSiO[(CHSiO]x’Si(CH
[式中、x’は上に定義したとおりである]を有するSiH末端ジメチルポリシロキサンであってもよい。SiH末端ジメチルポリシロキサンは、単独で、又は上記開示のジメチル,メチルハイドロジェンポリシロキサンとの組み合わせで利用され得る。混合物が利用される場合、混合物中の各オルガノハイドロジェンシロキサンの相対量は変化し得る。当業者であれば、上の例示的な式における任意のメチル基が、脂肪族不飽和を含まない任意の他の炭化水素基で置換されてもよいことを理解する。
あるいはなお、(B)有機ケイ素化合物は、ペンダント及び末端ケイ素結合水素原子の両方を含み得る。
更に別の特定の実施形態では、(B)有機ケイ素化合物は、式Hy’ 3-y’Si-(OSiR -(OSiRH)m’-OSiR 3-y’y’[式中、各Rはエチレン系不飽和を含まない独立して選択されたヒドロカルビル基であり、各y’は0又は1から独立して選択され、下付き文字m及びm’は各々0~1,000であり、但し、m及びm’が同時に0ではなく、m+m’が1~2,000、あるいは1~1,500、あるいは1~1,000である]を有する。
ある特定の実施形態では、(B)有機ケイ素化合物は、アルキルハイドロジェンシクロシロキサン又はアルキルハイドロジェンジアルキルシクロシロキサンコポリマーを含み得る。この種の好適なオルガノハイドロジェンシロキサンの具体例としては、(OSiMeH)、(OSiMeH)(OSiMeC13)、(OSiMeH)(OSiMeC13、及び(OSiMeH)(OSiMeC13[式中、Meはメチル(-CH)を表す]が挙げられる。
(B)有機ケイ素化合物に好適なオルガノハイドロジェンシロキサンの他の例は、1つの分子中に少なくとも2つのSiH含有シクロシロキサン環を有するものである。かかるオルガノハイドロジェンシロキサンは、各シロキサン環上に少なくとも1つのケイ素結合水素(silicon-bonded hydrogen、SiH)原子を有する、少なくとも2つのシクロシロキサン環を有する任意のオルガノポリシロキサンであってもよい。シクロシロキサン環は、少なくとも3つのシロキシ単位(すなわち、シロキサン環を形成するために必要な最少数)を含有し、環状構造を形成するMシロキシ単位、Dシロキシ単位、Tシロキシ単位、及び/又はQシロキシ単位の任意の組み合わせであってもよく、但し、各シロキサン環における、Mシロキシ単位、Dシロキシ単位、及び/又はTシロキシ単位であってもよい環状シロキシ単位のうちの少なくとも1つは、1つのSiH単位を含む。これらのシロキシ単位は、それぞれ、その他の置換基がメチルである場合、MH、DH、及びTHシロキシ単位として表すことができる。
(B)有機ケイ素化合物は、構造、分子量、ケイ素原子に結合した一価基及びケイ素結合水素原子の含有量などの少なくとも1つの特性において異なる組み合わせ又は2つ以上の異なるオルガノハイドロジェンシロキサンを含み得る。PSA組成物は、(B)有機ケイ素化合物を、成分(B)中のケイ素結合水素原子の、成分(A)中のケイ素結合エチレン性不飽和基(及び存在する場合、他の成分のもの)に対するモル比が0.01:1~5:1、あるいは0.1~3:1、あるいは0.3~2:1、あるいは0.3~1:1の量で得られるような量で含み得る。
PSA組成物は、(C)ヒドロシリル化反応触媒を更に含む。(C)ヒドロシリル化反応触媒は限定されず、ヒドロシリル化反応を触媒するための任意の既知のヒドロシリル化反応触媒であってもよい。異なるヒドロシリル化反応触媒の組み合わせを利用してもよい。
特定の実施形態において、(C)ヒドロシリル化反応触媒は、第VIII族~第XI族遷移金属を含む。第VIII族~第XI族遷移金属には、最新のIUPAC命名法を参照する。第VIII族遷移金属は、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、及びハシウム(Hs)であり、第IX族遷移金属は、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、及びイリジウム(Ir)であり、第X族遷移金属は、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、及び白金(Pt)であり、第XI族遷移金属は、銅(Cu)、銀(Ag)、及び金(Au)である。これらの組み合わせ、これらの錯体(例えば、有機金属錯体)、及びこのような金属のその他の形態を、(C)ヒドロシリル化反応触媒として利用してもよい。
(C)ヒドロシリル化反応触媒に好適な触媒の追加の例としては、レニウム(Re)、モリブデン(Mo)、第IV族遷移金属(即ち、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、及び/又はハフニウム(Hf))、ランタニド、アクチニド、並びに第I族及び第II族の金属錯体(例えば、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、ストロンチウム(Sr)などを含むもの)が挙げられる。これらの組み合わせ、これらの錯体(例えば、有機金属錯体)、及びこのような金属のその他の形態を、(C)ヒドロシリル化反応触媒として利用してもよい。
(C)ヒドロシリル化反応触媒は、任意の好適な形態であってもよい。例えば、(C)ヒドロシリル化反応触媒は固体であってもよく、その例としては、白金系触媒、パラジウム系触媒、及び同様の貴金属系触媒、並びにまたニッケル系触媒が挙げられる。その具体例としては、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、コバルト、及び同様の元素、並びにまた白金-パラジウム、ニッケル-銅-クロム、ニッケル-銅-亜鉛、ニッケル-タングステン、ニッケル-モリブデン、及び複数の金属の組み合わせを含む同様の触媒が挙げられる。固体触媒の更なる例としては、Cu-Cr、Cu-Zn、Cu-Si、Cu-Fe-AI、Cu-Zn-Ti、及び同様の銅含有触媒などが挙げられる。
(C)ヒドロシリル化反応触媒は、固体担体中又は固体担体上に存在してもよい。担体の例としては、活性炭、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、ゼオライト、及びその他の無機粉末/粒子(例えば硫酸ナトリウム)などが挙げられる。(C)ヒドロシリル化反応触媒はまた、例えば、(C)ヒドロシリル化反応触媒を可溶化する溶媒、あるいは、単に(C)ヒドロシリル化反応触媒を担持しているが可溶化しないビヒクル中に付着させてもよい。このようなビヒクルは、当技術分野において既知である。
具体的な実施形態において、(C)ヒドロシリル化反応触媒は、白金を含む。これらの実施形態において、(C)ヒドロシリル化反応触媒は、例えば、白金黒、白金化合物(塩化白金酸、塩化白金酸六水和物、塩化白金酸と一価アルコールとの反応生成物、白金ビス(エチルアセトアセテート)、白金ビス(アセチルアセトネート)、白金クロライドなど)、及びこのような化合物のオレフィン又はオルガノポリシロキサンとの錯体、並びにマトリックス又はコアシェル型化合物内にマイクロカプセル化された白金化合物により例示される。マイクロカプセル化ヒドロシリル化触媒及びその調製方法はまた、米国特許第4,766,176号及び同第5,017,654号に例示されるように、当技術分野において既知であり、これらは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
(C)ヒドロシリル化反応触媒として使用するのに好適なオルガノポリシロキサンの白金錯体としては、1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体が挙げられる。これらの錯体は、樹脂マトリックス中にマイクロカプセル化されていてもよい。あるいは、(C)ヒドロシリル化反応触媒は1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体を含んでもよい。(C)ヒドロシリル化反応触媒は、塩化白金酸を、ジビニルテトラメチルジシロキサンなどの脂肪族性不飽和有機ケイ素化合物、又はアルケン-白金-シリル錯体と反応させることを含む方法によって調製され得る。アルケン-白金-シリル錯体は、例えば、0.015モルの(COD)PtClを、0.045モルのCOD及び0.0612モルのHMeSiClと混合することによって調製され得る。
(C)ヒドロシリル化反応触媒はまた、又は代わりに、光活性化可能なヒドロシリル化反応触媒であり得、これは、照射及び/又は熱を介して硬化を開始し得る。光活性化可能ヒドロシリル化反応触媒は、特に、150~800ナノメートル(nanometer、nm)の波長を有する放射線に曝露すると、ヒドロシリル化反応を触媒することができる、任意のヒドロシリル化反応触媒であってもよい。
(C)ヒドロシリル化反応触媒に好適な光活性化可能なヒドロシリル化反応触媒の具体例としては、白金(II)ビス(2,4-ペンタンジオエート)、白金(II)ビス(2,4-ヘキサンジオエート)、白金(II)ビス(2,4-ヘプタンジオエート)、白金(II)ビス(1-フェニル-1,3-ブタンジオエート、白金(II)ビス(1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオエート)、白金(II)ビス(1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-2,4-ペンタンジオエート)などの白金(II)β-ジケトネート錯体、(Cp)トリメチル白金、(Cp)エチルジメチル白金、(Cp)トリエチル白金、(クロロ-Cp)トリメチル白金、及び(トリメチルシリル-Cp)トリメチル白金[式中、Cpがシクロペンタジエニルを表す]等、(η-シクロペンタジエニル)トリアルキル白金錯体、[Pt[CNNNOCH、Pt[p-CN-CNNNOC11、Pt[p-HCOCNNNOC11、Pt[p-CH(CH-CNNNOCH、1,5-シクロオクタジエンPt[p-CN-CNNNOC11、1,5-シクロオクタジエンPt[p-CHO-CNNNOCH、[(CP]Rh[p-CN-CNNNOC11]、及びPd[p-CH(CH-CNNNOCH[式中、xは1、3、5、11、又は17である]等のトリアゼンオキシド-遷移金属錯体、(η-1,5-シクロオクタジエニル)ジフェニル白金、(η-1,3,5,7-シクロオクタテトラエニル)ジフェニル白金、(η-2,5-ノルボラジエニル)ジフェニル白金、(η-1,5-シクロオクタジエニル)ビス-(4-ジメチルアミノフェニル)白金、(η-1,5-シクロオクタジエニル)ビス-(4-アセチルフェニル)白金、及び(η-1,5-シクロオクタジエニル)ビス-(4-トリフルオロメチルフェニル)白金等の、(η-ジオレフィン)(σ-アリール)白金錯体が挙げられるが、それらに限定されない。典型的には、光活性化可能ヒドロシリル化反応触媒は、Pt(II)β-ジケトネート錯体であり、より典型的には、触媒は、白金(II)ビス(2,4-ペンタンジオエート)である。
(C)ヒドロシリル化反応触媒は、触媒量、即ち、所望の条件でその硬化を促進するのに十分な量又は数量でPSA組成物中に存在する。ヒドロシリル化反応触媒は、単一ヒドロシリル化反応触媒、又は2種以上の異なるヒドロシリル化反応触媒を含む混合物とすることができる。
(C)ヒドロシリル化反応触媒の触媒量は、>0.01ppm~10,000ppmであり得、あるいは、>1,000ppm~5,000ppmであり得る。あるいは、(C)ヒドロシリル化反応触媒の典型的な触媒量は、0.1ppm~5000ppm、あるいは1ppm~2,000ppm、あるいは>0~1,000ppmである。あるいは、(C)ヒドロシリル化反応触媒の触媒量は、PSA組成物の総重量に基づいて、0.01ppm~1,000ppm、あるいは0.01ppm~100ppm、あるいは20ppm~200ppm、あるいは0.01ppm~50ppmの白金族金属であり得る。
ある特定の実施形態では、PSA組成物は、(D)1分子当たり平均して少なくとも2つのケイ素結合エチレン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサンを更に含む。ある特定の実施形態では、(D)オルガノポリシロキサンは、1分子当たり、末端脂肪族不飽和を有する平均して少なくとも2つのケイ素結合基を有する。この(D)オルガノポリシロキサンは、直鎖状、分岐状、部分的に分岐状、環状、樹脂状(即ち、三次元網目を有する)であるか、又は異なる構造の組み合わせを含み得る。ポリオルガノシロキサンは平均式R SiO(4-a)/2[式中、各Rは、一価炭化水素基又は一価ハロゲン化炭化水素基から独立して選択され、但し、各分子においてRの少なくとも2つは脂肪族不飽和を含み、下付き文字aは0<a≦3.2となるように選択される]を有する。Rに好適な一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基は、Rについて上述のとおりである。ポリオルガノシロキサンの上記の平均式は、代わりに(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2[式中、Rは上記で定義され、下付き文字b、c、d、及びeは各々独立して≧0~≦1であり、但し、数量(b+c+d+e)=1である]と表記され得る。当業者であれば、このようなM、D、T、及びQ単位、並びにそれらのモル分率が、上述の平均式中の下付き文字aにどのように影響するかを理解する。T単位(下付き文字dによって示される)、Q単位(下付き文字eによって示される)、又はその両方は、典型的には、ポリオルガノシロキサン樹脂中に存在し、一方、下付き文字cによって示されるD単位は、典型的には、ポリオルガノシロキサンポリマー中に存在する(及びまた、ポリオルガノシロキサン樹脂又は分岐状ポリオルガノシロキサン中に存在してもよい)。
あるいは、(D)オルガノポリシロキサンは、実質的に直鎖状であり得るか、あるいは直鎖状であり得る。実質的に直鎖状のオルガノポリシロキサンは、平均式R a’SiO(4-a’)/2[式中、各Rは上で定義したとおりであり、下付き文字a’は、1.9≦a’≦2.2となるように選択される]を有してもよい。
成分(D)の実質的に直鎖状のオルガノポリシロキサンは、25℃で、流動性の液体であり得るか、又は未硬化のゴムの形態を有し得る。実質的に直鎖状のオルガノポリシロキサンは、25℃で、10mPa・s~30,000,000mPa・s、あるいは10mPa・s~10,000mPa・s、あるいは100mPa・s~1,000,000mPa・s、あるいは100mPa・s~100,000mPa・sの粘度を有してもよい。粘度は、実質的に直鎖状のポリオルガノポリシロキサンの粘度に対して適切に選択されたスピンドル、すなわちRV-1~RV-7を備えるBrookfield LV DV-E粘度計を介して、25℃で測定することができる。典型的には、成分(D)は、成分(A)との混和性のために25℃での流動性液体である。
あるいは、(D)オルガノポリシロキサンが実質的に直鎖状又は直鎖状である場合、(D)オルガノポリシロキサンは平均単位式(R SiO1/2aa(RSiO2/2bb(R SiO2/2cc(R SiO1/2dd[式中、各Rは脂肪族不飽和を含まない独立して選択された一価炭化水素基、又は脂肪族不飽和を含まない一価ハロゲン化炭化水素基であり、各Rは、アルケニル及びアルキニルからなる群から独立して選択され、下付き文字aaは、0、1、又は2であり、下付き文字bbは0以上であり、下付き文字ccは1以上であり、下付き文字ddは、0、1、又は2であり、但し、数量(aa+dd)≧2、数量(aa+dd)=2であり、但し、数量(aa+bb+cc+dd)は、3~2,000である]を有してもよい。あるいは、下付き文字cc≧0である。あるいは、下付き文字bb≧2である。あるいは、数量(aa+dd)は、2~10、あるいは2~8、あるいは2~6である。あるいは、下付き文字ccは、0~1,000、あるいは1~500、あるいは1~200である。あるいは、下付き文字bbは、2~500、あるいは2~200、あるいは2~100である。
の一価炭化水素基は、1~6個の炭素原子を有するアルキル基、6~10個の炭素原子を有するアリール基、1~6個の炭素原子を有するハロゲン化アルキル基、6~10個の炭素原子を有するハロゲン化アリール基、7~12個の炭素原子を有するアラルキル基、又は7~12個の炭素原子を有するハロゲン化アラルキル基によって例示され、アルキル、アリール、及びハロゲン化アルキルは本明細書に記載のとおりである。あるいは、各Rはアルキル基である。あるいは、各Rは独立して、メチル、エチル又はプロピルである。Rの各例は、同一でも異なってもよい。あるいは、各Rはメチル基である。
の脂肪族不飽和を有する一価炭化水素基は、ヒドロシリル化反応することができる。Rに好適な脂肪族不飽和炭化水素基は、本明細書で定義され、ビニル、アリル、ブテニル、及びヘキセニルによって例示されるアルケニル基によって例示され、アルキニル基は、本明細書で定義され、エチニル及びプロピニルによって例示される。あるいは、各Rは、ビニル又はヘキセニルであってもよい。あるいは、各Rはビニル基である。(D)オルガノポリシロキサンのアルケニル又はアルキニル含有量は、(D)オルガノポリシロキサンの重量に基づいて、0.1%~1%、あるいは0.2%~0.5%であり得る。
(D)オルガノポリシロキサンが実質的に直鎖状であるか、あるいは直鎖状である場合、少なくとも2つの脂肪族不飽和基は、ペンダント位置、末端位置又はペンダント位置及び末端位置の両方でケイ素原子に結合し得る。ペンダントケイ素結合脂肪族不飽和基を有する(D)オルガノポリシロキサンの具体例として、出発物質A)は、平均単位式、
[(CHSiO1/2[(CHSiO2/2cc[(CH)ViSiO2/2bb[式中、下付き文字bb及びccは上述で定義したとおりであり、Viはビニル基を示す]を有してもよい。この平均式に関して、任意のメチル基が、異なる一価炭化水素基(アルキル又はアリールなど)で置換されてもよく、任意のビニル基が、異なる脂肪族不飽和一価炭化水素基(アリル又はヘキセニルなど)で置換されてもよい。あるいは、1分子当たり、平均少なくとも2つのケイ素結合脂肪族不飽和基を有するポリオルガノシロキサンの具体例として、(D)オルガノポリシロキサンは平均式Vi(CHSiO[(CHSiO]ccSi(CHVi[式中、下付き文字ccとViは上記で定義される]を有してもよい。ケイ素結合ビニル基で終端されたジメチルポリシロキサンは、単独で、又は(D)オルガノポリシロキサンとして直前に開示されたジメチル,メチル-ビニルポリシロキサンと組み合わせて使用され得る。この平均式に関して、任意のメチル基が、異なる一価炭化水素基で置換されてもよく、任意のビニル基が、任意の末端脂肪族不飽和一価炭化水素基で置換されてもよい。少なくとも2つのケイ素結合脂肪族不飽和基がペンダント及び末端の両方であり得るので、(D)オルガノポリシロキサンは、あるいは、平均単位式
[Vi(CHSiO1/2[(CHSiO2/2cc[(CH)ViSiO2/2bb[式中、下付き文字bb及びcc並びにViは上述で定義されている]を有してもよい。
(D)オルガノポリシロキサンが実質的に直鎖状のポリオルガノシロキサンである場合、(D)オルガノポリシロキサンは、両方の分子末端がジメチルビニルシロキシ基でキャップされたジメチルポリシロキサン、両方の分子末端がジメチルビニルシロキシ基でキャップされたメチルフェニルポリシロキサン、両方の分子末端がジメチルビニルシロキシ基でキャップされたメチルフェニルシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー、両方の分子末端がジメチルビニルシロキシ基でキャップされたメチルビニルシロキサンとメチルフェニルシロキサンとのコポリマー、両方の分子末端がジメチルビニルシロキシ基でキャップされたメチルビニルシロキサンとジフェニルシロキサンとのコポリマー、両方の分子末端がジメチルビニルシロキシ基でキャップされたメチルビニルシロキサンとメチルフェニルシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー、両方の分子末端がトリメチルシロキシ基でキャップされたメチルビニルシロキサンとメチルフェニルシロキサンとのコポリマー、両方の分子末端がトリメチルシロキシ基でキャップされたメチルビニルシロキサンとジフェニルシロキサンとのコポリマー、両方の分子末端がトリメチルシロキシ基でキャップされたメチルビニルシロキサンとメチルフェニルシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマーによって例示され得る。
あるいは、(D)オルガノポリシロキサンは、
i)ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
ii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
iii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、
iv)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
v)トリメチルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、
vi)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
vii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、
viii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、
ix)フェニル,メチル,ビニル-シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
x)ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
xi)ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
xii)ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリメチルヘキセニルシロキサン、
xiii)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
xiv)トリメチルシロキシ末端ポリメチルヘキセニルシロキサン
xv)ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
xvi)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)及び
xvii)これらの組み合わせからなる群から選択される、実質的に直鎖状、あるいは直鎖状のポリオルガノシロキサンを含み得る。
あるいは、(D)オルガノポリシロキサンは、樹脂状ポリオルガノシロキサンを含み得る。樹脂状ポリオルガノシロキサンは、平均式R a’’SiO(4-a’’)/2[式中、各Rは、上に定義したように独立して選択され、下付き文字a’’は、0.5≦a’’≦1.7となるように選択される]を有してもよい。
樹脂状ポリオルガノシロキサンは、分岐状又は三次元網目状の分子構造を有する。25℃で、樹脂状ポリオルガノシロキサンは、液体の形態であっても固体の形態であってもよい。あるいは、樹脂状ポリオルガノシロキサンは、T単位のみを含むポリオルガノシロキサン、T単位を他のシロキシ単位(例えば、M、D、及び/又はQシロキシ単位)と組み合わせて含むポリオルガノシロキサン、又はQ単位を他のシロキシ単位(すなわち、M、D、及び/又はTシロキシ単位)と組み合わせて含むポリオルガノシロキサンによって例示することができる。典型的には、樹脂状ポリオルガノシロキサンは、T単位及び/又はQ単位を含む。樹脂状ポリオルガノシロキサンの具体例としては、ビニル末端シルセスキオキサン(すなわち、T樹脂)及びビニル末端MDQ樹脂が挙げられる。
あるいは、(D)オルガノポリシロキサンは、分岐状シロキサン、シルセスキオキサン、又は分岐状シロキサン及びシルセスキオキサンの両方を含み得る。
(D)オルガノポリシロキサンが異なるオルガノポリシロキサンのブレンドを含む場合、ブレンドは物理的ブレンド又は混合物であり得る。例えば、(D)オルガノポリシロキサンが分岐状シロキサン及びシルセスキオキサンを含む場合、分岐状シロキサン及びシルセスキオキサンとは、PSA組成物中に存在する全ての成分の総重量に基づいて、分岐状シロキサンの量及びシルセスキオキサンを合わせた量が合計100重量部になるように、互いに対する量で存在する。分岐状シロキサンは、50~100重量部の量で存在してもよく、シルセスキオキサンは、0~50重量部の量で存在してもよい。あるいは、分岐状シロキサンは、50~90重量部の量で存在してもよく、シルセスキオキサンは、10~50重量部の量で存在してもよい。あるいは、分岐状シロキサンは、50~80重量部の量で存在してもよく、シルセスキオキサンは、20~50重量部の量で存在してもよい。あるいは、分岐状シロキサンは、50~76重量部の量で存在してもよく、シルセスキオキサンは、24~50重量部の量で存在してもよい。あるいは、分岐状シロキサンは、50~70重量部の量で存在してもよく、シルセスキオキサンは、30~50重量部の量で存在してもよい。
(D)オルガノポリシロキサンの分岐状シロキサンは、単位式(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(SiO4/2[式中、各Rは、独立して、脂肪族不飽和を含まない一価炭化水素基、又は脂肪族不飽和を含まない一価ハロゲン化炭化水素基であり、各Rはアルケニル基又はアルキニル基であり、どちらも上記のとおりであり、下付き文字p≧0、下付き文字q>0、15≧r≧995、下付き文字sは>0である]を有してもよい。
上述の単位式では、下付き文字p≧0である。下付き文字q>0である。あるいは、下付き文字q≧3である。下付き文字rは、15~995である。下付き文字s>0である。あるいは、下付き文字s≧1である。あるいは、下付き文字pについては、22≧p≧0、あるいは、20≧p≧0、あるいは、15≧p≧0、あるいは、10≧p≧0、あるいは、5≧p≧0である。あるいは、下付き文字qについては、22≧q>0、あるいは、22≧q≧4、あるいは、20≧q>0、あるいは、15≧q>1、あるいは、10≧q≧2、あるいは、15≧q≧4である。あるいは、下付き文字rについては、800≧r≧15、あるいは、400≧r≧15である。あるいは、下付き文字sについては、10≧s>0、あるいは、10≧s≧1、あるいは、5≧s>0、あるいは、s=1である。あるいは、下付き文字sは、1又は2である。あるいは、下付き文字s=1である場合、下付き文字pは0であってもよく、下付き文字qは4であってもよい。
分岐状シロキサンは、式(R SiO2/2[式中、各下付き文字mは独立して2~100である]の少なくとも2つのポリジオルガノシロキサン鎖を含み得る。あるいは、分岐状シロキサンは、式(R SiO2/2[式中、下付き文字oは、それぞれ独立して、1~100である]の4つのポリジオルガノシロキサン鎖に結合した式(SiO4/2)の少なくとも一単位を含んでもよい。あるいは、分岐状シロキサンは、式
Figure 2023508670000002
[式中、下付き文字uは、0又は1であり、各下付き文字tは、独立して、0~995、あるいは15~995、あるいは0~100であり、各Rは、上に記載したように、独立して選択された一価炭化水素基であり、各Rは、独立して選択された、脂肪族不飽和を含まない一価炭化水素基、又は脂肪族不飽和を含まない一価ハロゲン化炭化水素基であり、各Rは、上に記載したように、それぞれアルケニル及びアルキニルからなる群から独立して選択される]を有してもよい。好適な分岐状シロキサンは、米国特許第6,806,339号及び米国特許出願公開第2007/0289495号に開示されているものによって例示される。
特定の実施形態では、分岐状シロキサンは、式(R 3-ySiO1/2(RSiO2/2(SiO4/2)[式中、各Rはエチレン系不飽和を含まない独立して選択されたヒドロカルビル基であり、各RはR及びエチレン性不飽和基から独立して選択され、下付き文字yは下付き文字xによって示される各シロキシ単位において独立して選択され、1又は2であり、各々、下付き文字xは1.5~6であり、下付き文字zは3~1,000である]を有する。エチレン系不飽和基及びエチレン性不飽和基を含まないヒドロカルビル基の具体例は、Rについて上に記述されている。
シルセスキオキサンは単位式(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO3/2
[式中、R及びRは上記のとおりであり、下付き文字i≧0、下付き文字f>0、下付き文字gは15~995、下付き文字h>0である]を有してもよい。下付き文字iは、0~10であってもよい。あるいは、下付き文字iについて、12≧i≧0、あるいは、10≧i≧0、あるいは、7≧i≧0、あるいは、5≧i≧0、あるいは、3≧i≧0である。
あるいは、下付き文字f≧1である。あるいは、下付き文字f≧3である。あるいは、下付き文字fについて、12≧f>0、あるいは、12≧f≧3、あるいは、10≧f>0、あるいは、7≧f>1、あるいは、5≧f≧2、あるいは、7≧f≧3である。あるいは、下付き文字gについて、800≧g≧15、あるいは、400≧g≧15である。あるいは、下付き文字h≧1である。あるいは、下付き文字hは、1~10である。あるいは、下付き文字hについて、10≧h>0、あるいは、5≧h>0、あるいは、h=1である。あるいは、下付き文字hは、1~10であり、あるいは、下付き文字hは、1又は2である。あるいは、下付き文字h=1の場合、下付き文字fは3であってもよく、下付き文字iは0であってもよい。下付き文字fの値は、単位式(ii-II)のシルセスキオキサンが、シルセスキオキサンの重量に基づいて、0.1重量%~1重量%、あるいは0.2重量%~0.6重量%のアルケニル含有量を提供するのに十分であってもよい。好適なシルセスキオキサンは、米国特許第4,374,967号に開示されているものによって例示される。
(D)オルガノポリシロキサンは、構造、分子量、ケイ素原子に結合した一価基、及び脂肪族不飽和基の含有量などの少なくとも1つの特性が異なる組み合わせ又は2つ以上の異なるポリオルガノシロキサンを含み得る。PSA組成物は、(D)オルガノポリシロキサンを、PSA組成物の総重量に基づいて、60~99.5重量パーセント、あるいは60~98重量パーセント、あるいは60~95重量パーセント、あるいは70~95重量パーセント、あるいは75~95重量パーセントの量で含み得る。
ある特定の実施形態では、PSA組成物は、(E)抑制剤を更に含む。(E)抑制剤は、同じ出発物質を含有するが(E)抑制剤が省略された組成物と比較したとき、PSA組成物の反応速度又は硬化速度を変更するために使用され得る。(E)抑制剤は、メチルブチノール、エチニルシクロヘキサノール、ジメチルヘキシノール、及び3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ブチン-3-オール、1-プロピン-3-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、3-フェニル-1-ブチン-3-オール、4-エチル-1-オクチン-3-オール、及び1-エチニル-1-シクロヘキサノールなどのアセチレンアルコール、並びにそれらの組み合わせ;シクロアルケニルシロキサン、例えば1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラヘキセニルシクロテトラシロキサンによって例示されるメチルビニルシクロシロキサン、並びにこれらの組み合わせ;エン-イン化合物、例えば3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン;ベンゾトリアゾールなどのトリアゾール類;ホスフィン;メルカプタン;ヒドラジン;アミン、例えばテトラメチルエチレンジアミン;ジアルキルフマレート、ジアルケニルフマレート、ジアルコキシアルキルフマレート、マレエート、例えばジアリルマレエート;ニトリル;エーテル;一酸化炭素;アルケン、例えばシクロオクタジエン、ジビニルテトラメチルジシロキサン;アルコール、例えばベンジルアルコール;並びにこれらの組み合わせによって例示される。あるいは、(E)抑制剤は、アセチレンアルコール(例えば、1-エチニル-1-シクロヘキサノール)及びマレエート(例えば、ジアリルマレエート、ビスマレエート、又はn-プロピルマレエート)並びにそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る。
あるいは、(E)抑制剤は、シリル化アセチレン化合物であり得る。理論に束縛されるものではないが、シリル化アセチレン化合物を添加すると、シリル化アセチレン化合物を含有していない組成物又は上述したものなどの有機アセチレンアルコール抑制剤を含有する組成物のヒドロシリル化からの反応生成物と比較したとき、PSA組成物のヒドロシリル化反応から調製される反応生成物の黄変が低減すると考えられる。
シリル化アセチレン化合物は、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)トリメチルシラン、((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)トリメチルシラン、ビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルシラン、ビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)シランメチルビニルシラン、ビス((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)ジメチルシラン、メチル(トリス(1,1-ジメチル-2-プロピニルオキシ))シラン、メチル(トリス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ))シラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルフェニルシラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)トリエチルシラン、ビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)メチルトリフルオロプロピルシラン、(3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オキシ)トリメチルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジフェニルメチルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルフェニルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルビニルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジメチルビニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジフェニルメチルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)トリメチルシラン、及びこれらの組み合わせによって例示される。あるいは、(E)抑制剤は、メチル(トリス(1,1-ジメチル-2-プロピニルオキシ))シラン、((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)トリメチルシラン、又はそれらの組み合わせによって例示される。(E)抑制剤として有用なシリル化アセチレン化合物は、酸受容体の存在下でクロロシランと反応させることによって上記のアセチレンアルコールをシリル化するなど、当技術分野で知られる方法によって調製され得る。
PSA組成物中に存在する(E)抑制剤の量は、PSA組成物の所望のポットライフ、PSA組成物が一部分組成物であるか多液型組成物であるか、使用される特定の抑制剤、並びに成分(A)~(D)の選択及び量を含む様々な要因に依存する。しかしながら、存在する場合、(E)抑制剤の量は、PSA組成物の総重量に基づいて、0%~1%、あるいは0%~5%、あるいは0.001%~1%、あるいは0.01%~0.5%、あるいは0.0025%~0.025%であり得る。
ある特定の実施形態では、PSA組成物は、(F)接着促進剤を更に含む。好適な接着促進剤は、ビニルアルコキシシランとエポキシ官能性アルコキシシランとの反応生成物;ビニルアルコキシシランとエポキシ官能性アルコキシシランとの反応生成物;並びに1分子当たり少なくとも1個の脂肪族不飽和炭化水素基及び少なくとも1つの加水分解性基を有するポリオルガノシロキサンとエポキシ官能性アルコキシシランとの組み合わせ(例えば、物理的なブレンド及び/又は反応生成物)(例えば、ヒドロキシ末端ビニル官能性ポリジメチルシロキサンとグリシドキシプロピルトリメトキシシランとの組み合わせ)により例示される。あるいは、接着促進剤は、ポリオルガノシリケート樹脂を含んでもよい。好適な接着促進剤及びそれらの調製方法は、例えば、米国特許第9,562,149号、米国特許出願公開第2003/0088042号、同第2004/0254274号、及び同第2005/0038188号、並びに欧州特許第0 556 023号に開示されている。
好適な接着促進剤の更なる例としては、遷移金属キレート、アルコキシシラン等のハイドロカルボノオキシシラン、アルコキシシランとヒドロキシ官能性ポリオルガノシロキサンとの組み合わせ、又はこれらの組み合わせが挙げられる。(F)接着促進剤は、エポキシ基、アセトキシ基又はアクリレート基などの接着促進基を有する少なくとも1つの置換基を有するシランであり得る。接着促進基は、追加で又はあるいは、(C)ヒドロシリル化反応触媒に影響を与えない任意の加水分解性基であり得る。あるいは、(F)接着促進剤は、そのようなシランの部分縮合物、例えば、接着促進基を有するオルガノポリシロキサンを含み得る。あるいはなお、(F)接着促進剤は、アルコキシシランとヒドロキシ官能性ポリオルガノシロキサンとの組み合わせを含み得る。
あるいは、(F)接着促進剤は、不飽和又はエポキシ官能性化合物を含み得る。(F)接着促進剤は、不飽和又はエポキシ官能性アルコキシシランを含み得る。例えば、官能性アルコキシシランは、少なくとも1つの不飽和有機基又はエポキシ官能性有機基を含んでもよい。エポキシ官能性有機基は、3-グリシドキシプロピル及び(エポキシシクロヘキシル)エチルによって例示される。不飽和有機基は、3-メタクリロイルオキシプロピル、3-アクリロイルオキシプロピル、及び、ビニル、アリル、ヘキセニル、ウンデシレニル(undecylenyl)などの不飽和一価炭化水素基により例示される。不飽和化合物の一具体例は、ビニルトリアセトキシシランである。
好適なエポキシ官能性アルコキシシランの具体例としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジエトキシシラン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適な不飽和アルコキシシランの例としては、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、ウンデシレニルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
(F)接着促進剤はまた、これらの化合物のうちの1つ以上の反応生成物又は部分反応生成物を含んでもよい。例えば、特定の実施形態では、(F)接着促進剤は、ビニルトリアセトキシシランと3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの反応生成物又は部分反応生成物を含んでもよい。あるいは、又はそれに加えて、(F)接着促進剤は、アルコキシ又はアルケニル官能性シロキサンを含んでもよい。
あるいは、(F)接着促進剤は、上述のようなヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンの、エポキシ官能性アルコキシシランとの反応生成物などのエポキシ官能性シロキサン、又はヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンの、エポキシ官能性アルコキシシランとの物理的ブレンドを含んでもよい。(F)接着促進剤は、エポキシ官能性アルコキシシランとエポキシ官能性シロキサンとの組み合わせを含み得る。例えば、(F)接着促進剤は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランと、ヒドロキシ末端メチルビニルシロキサンの、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの反応生成物と、の混合物、又は3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランとヒドロキシ末端メチルビニルシロキサンとの混合物、又は3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランとヒドロキシ末端メチルビニル/ジメチルシロキサンコポリマーとの混合物によって例示される。
あるいは、(F)接着促進剤は、遷移金属キレートを含んでもよい。好適な遷移金属キレートとしては、チタネート、ジルコニウムアセチルアセトネート等のジルコネート、アルミニウムアセチルアセトネート等のアルミニウムキレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。あるいは、(F)接着促進剤は、遷移金属キレートとアルコキシシランとの組み合わせ(例えば、グリシドキシプロピルトリメトキシシランとアルミニウムキレート又はジルコニウムキレートとの組み合わせ)を含んでもよい。
PSA組成物中に存在する(F)接着促進剤の特定の量は、利用される場合、基材のタイプ及びプライマーが使用されるかどうかを含む様々な要因に依存する。ある特定の実施形態では、(F)接着促進剤は、成分(A)の100重量部当たり、0~2重量部の量でPSA組成物中に存在する。あるいは、(F)接着促進剤は、成分(A)の100重量部当たり、0.01~2重量部の量でPSA組成物中に存在する。
ある特定の実施形態では、PSA組成物は、(G)ビヒクルを更に含む。(G)ビヒクルは、典型的には、PSA組成物の成分を可溶化し、成分が可溶化する場合、(G)ビヒクルは、溶媒と称され得る。好適なビヒクルとしては、直鎖状及び環状の両方のシリコーン、有機油、有機溶媒、並びにこれらの混合物が挙げられる。(G)ビヒクルは必要ではないが、任意選択的に、PSA組成物を基材上に塗布するために利用され得る。
典型的には、(G)ビヒクルは、PSA組成物中に存在する場合、有機液体である。有機液体としては、油又は溶媒とみなされるものが挙げられる。有機液体としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、3つを超える炭素原子を有するアルコール、アルデヒド、ケトン、アミン、エステル、エーテル、グリコール、グリコールエーテル、ハロゲン化アルキル及びハロゲン化芳香族が挙げられるが、それらに限定されない。炭化水素は、イソドデカン、イソヘキサデカン、Isopar L(C11~C13)、Isopar H(C11~C12)、水素化ポリデセン、芳香族炭化水素、及びハロゲン化炭化水素を含む。エーテル及びエステルとしては、イソデシルネオペンタノエート、ネオペンチルグリコールヘプタノエート、グリコールジステアレート、ジカプリリルカーボネート、ジエチルヘキシルカーボネート、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、エチル-3エトキシプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、トリデシルネオペンタノエート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(propylene glycol methylether acetate、PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(propylene glycol methylether、PGME)、オクチルドデシルネオペンタノエート、ジイソブチルアジペート、ジイソプロピルアジペート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、オクチルエーテル、及びオクチルパルミテートが挙げられる。独立化合物又は(G)ビヒクルに対する配合成分として好適な追加の有機流体は、脂肪、油、脂肪酸、及び脂肪アルコールを含む。(G)ビヒクルはまた、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデアメチルヘプタシロキサン、ヘプタメチル-3-{(トリメチルシリル)オキシ)}トリシロキサン、ヘキサメチル-3,3,ビス{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサン ペンタメチル{(トリメチルシリル)オキシ}シクロトリシロキサン、並びにポリジメチルシロキサン、ポリエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、カプリリルメチコン、及びそれらの任意の混合物などの、25℃で1~1,000mm/秒の範囲の粘度を有する低粘度オルガノポリシロキサン又は揮発性メチルシロキサン又は揮発性エチルシロキサン又は揮発性メチルエチルシロキサンであり得る。
特定の実施形態では、(G)ビヒクルは、ポリアルキルシロキサン、テトラヒドロフラン、ミネラルスピリット;ナフサ;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、又はn-プロパノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトン等のケトン、ベンゼン、トルエン、又はキシレン等の芳香族炭化水素、ヘプタン、ヘキサン、又はオクタン等の脂肪族炭化水素、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、又はエチレングリコールn-ブチルエーテル等のグリコールエーテル、又はそれらの組み合わせから選択される。
(G)ビヒクルの量は、選択されたビヒクルのタイプ、及びPSA組成物中に存在する他の成分の量及びタイプを含む様々な要因に依存する。(G)ビヒクルは、例えば、混合及び送達を助けるために、PSA組成物の調製中に添加され得る。(G)ビヒクルの全部又は一部は、PSA組成物からPSAを調製する前及び/又はそれと同時に含む、PSA組成物が調製された後に任意選択的に除去され得る。しかしながら、典型的には、PSA組成物は、(G)ビヒクルを含まず、したがってPSA組成物は、無溶媒PSA組成物である。
PSA組成物は、任意選択的に、(H)ポリアルキルシロキサン樹脂を更に含み得る。ポリアルキルシロキサン樹脂は、基本的にM及びQシロキシ単位からなるMQ樹脂である。Mシロキシ単位は、シリコン又はアルキル基などの非官能性有機基に結合したエチレン系不飽和基を含み得る。
(H)ポリアルキルシロキサン樹脂は、平均して3~30モルパーセント、あるいは0.1~30モルパーセント、あるいは0.1~5モルパーセント、あるいは3~100モルパーセントのケイ素結合アルケニル基を含有し得る。(H)ポリアルキルシロキサン樹脂中のケイ素結合アルケニル基のモルパーセントは、(H)ポリアルキルシロキサン樹脂中のアルケニル基含有シロキサン単位のモル数の、(H)ポリアルキルシロキサン樹脂中のシロキシ単位の総モル数に対する比に100を乗算したものである。
そのような樹脂の調製方法は、当技術分野で周知である。例えば、樹脂は、少なくとも1つのアルケニル含有末端保護試薬を用いるDaudtらのシリカヒドロゾル封鎖プロセスにより生成された樹脂コポリマーを処理することにより調製され得る。Daudtらの方法は、米国特許第2,676,182号に開示されている。
典型的には、2%未満のケイ素結合ヒドロキシル基を含有する(H)ポリアルキルシロキサン樹脂は、Daudtらの生成物を、最終生成物中に3~30モルパーセントの不飽和有機基を提供するのに十分な量で、アルケニル基含有末端封鎖剤及び脂肪族不飽和を含まない末端封鎖剤と反応させることによって調製され得る。末端封鎖剤の例としては、限定されないが、シラザン、シロキサン、及びシランが挙げられる。好適な末端封鎖剤は、当技術分野において既知であり、米国特許第4,584,355号、同第4,591,622号及び同第4,585,836号に例示される。単一の末端封鎖剤又はこのような剤の混合物を使用して、樹脂を調製することができる。
例えば、反応性希釈剤、芳香剤、防腐剤、着色剤、染料、及び充填剤、例えば、シリカ、石英、カーボンブラック又はチョークを含む、他の任意選択成分がPSA組成物中に存在し得る。
PSA組成物を調製する方法もまた、提供される。本方法は、成分(A)~(C)を任意の任意選択成分と共に組み合わせて、PSA組成物を得ることを含む。典型的には、(A)シリケート樹脂は、PSA組成物及びその調製方法の両方が溶媒を含まないように、あらゆる溶媒の非存在下で直接PSA組成物中に配置される。しかしながら、成分は、任意の様態で及び任意の添加順序で、任意選択で撹拌又は他の混合を用いて、組み合わされ得る。(A)シリケート樹脂はPSA組成物と混和性又はそれに混和性であるため、溶媒は必要ではない。
PSA組成物は、周囲温度又は高温で、混合などの任意の簡便な手段によって成分を組み合わせることを含む方法により、調製することができる。(E)抑制剤は、(C)ヒドロシリル化反応触媒の前、例えばPSA組成物を高温で調製するとき、及び/又はPSA組成物を1液型組成物として調製するときに、添加してもよい。
あるいは、例えば、PSA組成物を使用前に長期間保存する場合、PSA組成物は、多液型組成物として調製され得る。多液型組成物において、(C)ヒドロシリル化反応触媒は、典型的には、ケイ素結合水素原子を有する任意の出発物質、例えば(B)有機ケイ素化合物とは別個の部分に保存され、それらの部分はPSA組成物の使用直前に組み合わされる。例えば、2液型組成物は、混合などの任意の簡便な手段によって、(A)シリケート樹脂、(B)有機ケイ素化合物及び任意選択的に、上に記載された1つ以上の他の追加の出発物質を含む出発物質を組み合わせて基部を形成することによって調製され得る。硬化剤は、混合などの任意の簡便な手段によって、利用される場合成分(D)及び(C)ヒドロシリル化反応触媒並びに任意選択的に、上に記載された1つ以上の他の追加の出発物質を組み合わせることによって調製され得る。出発材料は、周囲温度又は高温で混合され得る。(E)抑制剤は、基部、硬化剤部、又は別個の追加部のうちの1つ以上に含まれてもよい。(F)接着促進剤は、使用される場合、基部に添加するか、又は別個の追加部分として添加され得る。(H)ポリアルキルシロキサン樹脂は、使用される場合、基部、硬化剤部、又は別個の追加部に添加され得る。2液型組成物が使用される場合、基部の量の、硬化剤部に対する重量比は、1:1~10:1の範囲とすることができる。PSA組成物は、ヒドロシリル化反応により硬化して感圧接着剤を形成する。ある特定の実施形態では、PSA組成物を硬化させることによって形成された感圧接着剤は、少なくともいくらかの粘着性を有し、これは、接触又は他の既知の方法によって容易に決定され得る。
上述の方法は、1つ以上の追加の工程を更に含んでもよい。上述のように調製されたPSA組成物を使用して、基材上に接着剤物品、例えば、感圧接着剤(上記のPSA組成物を硬化させることにより調製する)を形成してもよい。したがって、本方法は、PSA組成物を基材に塗布することを更に含んでもよい。
PSA組成物を基材に塗布することは、任意の簡便な手段によって実施することができる。例えば、感圧接着剤硬化型組成物は、グラビアコーター、オフセットコーター、オフセットグラビアコーター、ローラーコーター、リバースローラーコーター、エアナイフコーター又はカーテンコーターによって基材上に塗布することができる。
基材は、感圧接着剤硬化型組成物を硬化させて基材上に感圧接着剤を形成するのに使用される硬化条件(後述する)に耐えることができる任意の材料であり得る。例えば、120℃以上、あるいは150℃以上の温度での熱処理に耐えることができる、任意の基材が好適である。
好適な基材の具体例としては、クラフト紙、ポリエチレンコーティングクラフト紙(PEKコーティング紙)、感熱紙、普通紙等の紙基材;ポリアミド(polyamide、PA)などのポリマー基材;ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(polytrimethylene terephthalate、PTT)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate、PEN)、液晶ポリエステルなどのポリエステル;ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリブチレンなどのポリオレフィン;スチレン樹脂;ポリオキシメチレン(polyoxymethylene、POM);ポリカーボネート(polycarbonate、PC);ポリメチレンメタクリレート(polymethylenemethacrylate、PMMA);ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride、PVC);ポリフェニレンスルフィド(polyphenylene sulfide、PPS);ポリフェニレンエーテル(polyphenylene ether、PPE);ポリイミド(polyimide、PI);ポリアミドイミド(polyamideimide、PAI);ポリエーテルイミド(polyetherimide、PEI);ポリスルホン(polysulfone、PSU);ポリエーテルスルホン;ポリケトン(polyketone、PK);ポリエーテルケトン;ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol、PVA);ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone、PEEK);ポリエーテルケトンケトン(polyetherketoneketone、PEKK);ポリアリレート(polyarylate、PAR);ポリエーテルニトリル(polyethernitrile、PEN);フェノール樹脂;フェノキシ樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロハンなどのセルロース;ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素化樹脂;ポリスチレン型、ポリオレフィン型、ポリウレタン型、ポリエステル型、ポリアミド型、ポリブタジエン型、ポリイソプレン型、フルオロ型等の熱可塑性エラストマー;並びにこれらのコポリマー及び組み合わせが挙げられる。あるいは、基材は、アルミニウムホイル又は銅箔などの金属箔であり得る。基材の厚さは重要ではないが、厚さは、5マイクロメートル~300マイクロメートルの範囲であり得る。
基材への感圧接着剤の結合を改善するために、本方法は、任意選択的に、感圧接着剤組成物を塗布する前に基材を処理することを更に含み得る。基材の処理は、感圧接着剤組成物を基材に塗布する前に、プライマーを塗布すること、又は基材をコロナ放電処理、エッチング、若しくはプラズマ処理に供することなどの任意の簡便な手段により実施してもよい。
コーティング物品、例えば、保護フィルムなどの接着剤物品は、上述のPSA組成物を上述の基材上に塗布することにより調製され得る。本方法は、任意選択的に、硬化前及び/又は硬化中に、利用される場合、溶媒の全部又は一部を除去することを更に含んでもよい。溶媒の除去は、任意の簡便な手段、例えば、PSA組成物を完全には硬化させることなく溶媒を気化させる温度で加熱すること、例えば70℃~120℃、あるいは50℃~100℃、あるいは70℃~80℃の温度で、溶媒の全て又は一部を除去するのに十分な時間(例えば30秒間~1時間、あるいは1分間~5分間)加熱することにより実施することができる。次いで、本方法は、PSA組成物(乾燥工程が実施されるときに溶媒の一部又は全部を除去してもよい)を、PSA組成物を硬化させるのに十分な時間(例えば、30秒~1時間、あるいは1~5分)、室温又は140℃~220℃、あるいは150℃~220℃、あるいは160℃~200℃、及びあるいは165℃~180℃の温度で加熱することによって硬化させることを更に含む。これにより、基材上に感圧接着剤が形成される。乾燥及び/又は硬化は、基材をオーブン内に置くことによって実施することができる。基材に塗布されるPSA組成物の量は、特定の用途に依存するが、その量は、硬化後に感圧接着剤の厚さが、5マイクロメートル~200マイクロメートルであり得るのに十分な量であり得、保護フィルムの場合、その厚さは、10マイクロメートル~50マイクロメートル、あるいは20マイクロメートル~40マイクロメートル、あるいは30マイクロメートルであり得る。
本明細書に記載の方法は、任意に、例えば、接着剤物品の使用前の感圧接着剤を保護するために、基材の反対側の感圧接着剤に取り外し可能な剥離ライナーを塗布することを更に含んでもよい。
上記のように調製された接着剤物品(例えば、保護フィルム)は、低接着性、高接着安定性、及び/又は低移行性を有する保護フィルムとして、フレキシブルOLEDデバイス製作プロセスでの使用に適切である。
例えば、フレキシブルOLEDデバイスを製作するための方法は、基材の表面上にOLEDモジュール、例えば、基材の反対側のOLEDモジュールの表面上に不動態化層を形成し、本明細書に記載のように調製された保護フィルムをOLEDモジュールの反対側の不動態化層の表面に塗布することを含み得る。
接着剤物品とは別に、コーティング基材は、種々の最終用途に利用することができる。例えば、コーティング基材は、コーティング用途、包装用途、接着剤用途、繊維用途、布地又は織物用途、建築用途、輸送用途、エレクトロニクス用途、又は電気用途に利用することができる。しかし、硬化性組成物は、コーティング基材を調製する以外の最終用途、例えばシリコーンゴムなどの物品の調製に利用することができる。
以下の実施例は、本発明を例示することを意図しており、決して本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。実施例で利用される特定の成分を下の表1に記載し、続いて、実施例でも使用される特性決定及び評価の手順を記載する。
Figure 2023508670000003
核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance:NMR)スペクトル法
核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、CDCl溶媒を用いたVarian EX-400 5 MHz Mercuryスペクトロメータで入手した。H-NMR、13C-NMR及び29Si-NMRスペクトルの化学シフトを内部の溶媒共鳴に対して参照し、テトラメチルシランと比較して報告する。
ゲル浸透クロマトグラフィ(Gel Permeation Chromatography:GPC)
ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)分析は、示差屈折計、オンライン示差粘度計、低角度光散乱(LALS:15°及び90°の検出角度)、及びカラム(2 PL Gel Mixed C、Varian)から構成される三重検出器を備えたAgilent 1260 Infinity IIクロマトグラフ上で実施する。移動相として、トルエン(HPLC grade、Biosolve)を、流速1mL/分で使用する。
動的粘度(Dynamic Viscosity:DV)
動的粘度(DV)を、CPA-52Zスピンドルを備えたBrookfield DV-III Ultra Programmable粘度計で、0.5mLの体積の試料を用いて、25℃の温度で測定する。
X線蛍光(X-Ray Fluorescence、XRF)
X線蛍光(XRF)は、Oxford Instruments Lab-X3500ベンチトップXRFアナライザーで実施される。
SiOZ含有量
SiOZ部分の含有量は、29Si-NMRを介して計算することができる。特に、各(A)シリケート樹脂中の以下のシロキシ単位のモル含有量が決定される。
W=RSiO1/2
X1=R(OZ)SiO1/2
X2=RSiO2/2
Y1=R(OZ)SiO1/2
Y2=R(OZ)SiO2/2
Y3=RSiO3/2
Z1=(OZ)SiO1/2
Z2=(OZ)SiO1/2
Z3=(OZ)SiO3/2
Z4=SiO4/2
モル%としてのケイ素原子に対するOZ含有量は、ラベルに対応するピーク下の積分面積に対応する式中の各ピークについてのラベルを用いて以下の式で計算することができる。
Figure 2023508670000004
実施例におけるRは、メチル又はビニルであり得る。
接着性
剥離接着性(180°)を、PSTC-101標準に従って試験した。TMI剥離及び接着試験機を使用して、2ミルのポリエステルフィルム上にコーティングした接着剤の1インチ幅ストリップを、清潔なステンレス鋼又はガラスのパネルから12インチ/分で引っ張った。
粘着度
粘着度を、ASTM D2979に従って試験した。PT-1000プローブ粘着度試験機を使用して、2ミルのポリエステルフィルム上にコーティングした試料から粘着度測定値を取得した。滞留時間を1.0秒に設定した。様々なPSA組成物を評価する場合の初期粘着性を指接触によって決定した。
静的剪断(室温)
静的剪断を、ASTM D3654に従って試験した。1インチ×1インチの試料を清潔なステンレス鋼パネルに塗布した。試験を開始する前に、試料を室温で60分間放置した。60分後、パネルを剪断バンク装置に入れた。500グラムの重りを各試料から吊り下げ、タイマーをゼロにリセットした。破損するまでの時間を記録し、破損が発生しなかった場合、7日後に試験を停止した。
調製例1:シリケート樹脂(A1)
200gの溶媒1、続いて300gのMQ樹脂を、磁気撹拌棒を装備した2Lフラスコ内に配置した。109.0グラムのシラン化合物1及び0.30グラムの触媒をフラスコ内に配置した。窒素下で、フラスコの内容物を100℃で撹拌し、フラスコ内での反応の進行をGCを介して監視した。10時間後、フラスコの内容物を23℃まで冷却し、0.5グラムの中和剤をフラスコ内に配置して、触媒を中和した。フラスコ内の反応生成物を1ミクロンのフィルタに通して濾過して、透明な粘稠液体を得た。シリケート樹脂(A1)を、roto-vapを介した揮発性物質の除去を通して反応生成物から単離した。シリケート樹脂(A1)は、DVが25℃で39,000cPであり、重量平均分子量が2,969であり、各々がGPCを介して測定されるときに多分散度が1.46である無色の液体であった。(A1)シリケート樹脂は、23.5モル%のSiOZ含有量及び6.46重量%のビニル含有量を有していた。
調製例2:シリケート樹脂(A2)
200gの溶媒1、続いて300gのMQ樹脂を、磁気撹拌棒を装備した2Lフラスコ内に配置した。20.2グラムのシラン化合物1、80.6グラムのシラン化合物2及び0.30グラムの触媒をフラスコ内に配置した。窒素下で、フラスコの内容物を100℃で撹拌し、フラスコ内での反応の進行をGCを介して監視した。10時間後、フラスコの内容物を23℃まで冷却し、0.5グラムの中和剤をフラスコ内に配置して、触媒を中和した。フラスコ内の反応生成物を1ミクロンのフィルタに通して濾過して、透明な粘稠液体を得た。シリケート樹脂(A2)を、roto-vapを介した揮発性物質の除去を通して反応生成物から単離した。シリケート樹脂(A2)は、25℃で液体特性であり、重量平均分子量が4,329であり、各々がGPCを介して測定されるときに多分散度が1.55である無色のガムであった。(A2)シリケート樹脂は、15.5モル%のSiOZ含有量及び1.13重量%のビニル含有量を有していた。
調製例3:シリケート樹脂(A3)
200gの溶媒1、続いて300gのMQ樹脂を、磁気撹拌棒を装備した2Lフラスコ内に配置した。10.4グラムのシラン化合物1、89.7グラムのシラン化合物2及び0.30グラムの触媒をフラスコ内に配置した。窒素下で、フラスコの内容物を100℃で撹拌し、フラスコ内での反応の進行をGCを介して監視した。10時間後、フラスコの内容物を23℃に冷却し、0.5グラムの中和剤をフラスコ内に配置して、触媒を中和した。フラスコ内の反応生成物を1ミクロンのフィルタに通して濾過して、透明な粘稠液体を得た。シリケート樹脂(A3)を、roto-vapを介した揮発性物質の除去を通して反応生成物から単離した。シリケート樹脂(A3)は、25℃で液体特性であり、重量平均分子量が5,397であり、各々がGPCを介して測定されるときに多分散度が1.70である無色のガムであった。(A3)シリケート樹脂は、14.35モル%のSiOZ含有量及び0.68重量%のビニル含有量を有していた。
調製例4:シリケート樹脂(A4)
200gの溶媒1、続いて300gのMQ樹脂を、磁気撹拌棒を装備した2Lフラスコ内に配置した。20.2グラムのシラン化合物1、131.1グラムのシラン化合物2及び0.30グラムの触媒をフラスコ内に配置した。窒素下で、フラスコの内容物を100℃で撹拌し、フラスコ内での反応の進行をGCを介して監視した。10時間後、フラスコの内容物を23℃に冷却し、0.5グラムの中和剤をフラスコ内に配置して、触媒を中和した。フラスコ内の反応生成物を1ミクロンのフィルタに通して濾過して、透明な粘稠液体を得た。シリケート樹脂(A4)を、roto-vapを介した揮発性物質の除去を通して反応生成物から単離した。シリケート樹脂(A4)は、DVが25℃で75,000cPであり、重量平均分子量が5,450である、各々がGPCを介して測定されるときに多分散度が1.7149である無色の液体であった。(A4)シリケート樹脂は、19.12モル%のSiOZ含有量及び1.12重量%のビニル含有量を有していた。
調製例5:シリケート樹脂(A5)
200gの溶媒1、続いて300gのMQ樹脂を、磁気撹拌棒を装備した2Lフラスコ内に配置した。20.2グラムのシラン化合物1、130.1グラムのシラン化合物2及び0.30グラムの触媒をフラスコ内に配置した。窒素下で、フラスコの内容物を100℃で撹拌し、フラスコ内での反応の進行をGCを介して監視した。10時間後、フラスコの内容物を23℃に冷却し、0.5グラムの中和剤をフラスコ内に配置して、触媒を中和した。フラスコ内の反応生成物を1ミクロンのフィルタに通して濾過して、透明な粘稠液体を得た。シリケート樹脂(A5)を、roto-vapを介した揮発性物質の除去を通して反応生成物から単離した。シリケート樹脂(A5)は、DVが25℃で9,500cPであり、重量平均分子量が7,380であり、各々がGPCを介して測定されるときに多分散度が1.90である無色の液体であった。(A5)シリケート樹脂は、25.33モル%のSiOZ含有量及び1.09重量%のビニル含有量を有していた。
調製例6:シリケート樹脂(A6)
200gの溶媒1、続いて300gのMQ樹脂を、磁気撹拌棒を装備した2Lフラスコ内に配置した。10.4グラムのシラン化合物1、139.2グラムのシラン化合物2及び0.30グラムの触媒をフラスコ内に配置した。窒素下で、フラスコの内容物を100℃で撹拌し、フラスコ内での反応の進行をGCを介して監視した。10時間後、フラスコの内容物を23℃に冷却し、0.5グラムの中和剤をフラスコ内に配置して、触媒を中和した。フラスコ内の反応生成物を1ミクロンのフィルタに通して濾過して、透明な粘稠液体を得た。シリケート樹脂(A6)を、roto-vapを介した揮発性物質の除去を通して反応生成物から単離した。シリケート樹脂(A6)は、DVが25℃で9,700cPであり、重量平均分子量が5,704であり、各々がGPCを介して測定されるときに多分散度が1.73である無色の液体であった。(A6)シリケート樹脂は、24.75モル%のSiOZ含有量及び0.45重量%のビニル含有量を有していた。
調製例7:シリケート樹脂(A7)
200gの溶媒1、続いて300gのMQ樹脂を、磁気撹拌棒を装備した2Lフラスコ内に配置した。3.8グラムのシラン化合物1、145.6グラムのシラン化合物2及び0.30グラムの触媒をフラスコ内に配置した。窒素下で、フラスコの内容物を100℃で撹拌し、フラスコ内での反応の進行をGCを介して監視した。10時間後、フラスコの内容物を23℃に冷却し、0.5グラムの中和剤をフラスコ内に配置して、触媒を中和した。フラスコ内の反応生成物を1ミクロンのフィルタに通して濾過して、透明な粘稠液体を得た。シリケート樹脂(A7)を、roto-vapを介した揮発性物質の除去を通して反応生成物から単離した。シリケート樹脂(A7)は、DVが25℃で9,900cPであり、重量平均分子量が5,820であり、各々がGPCを介して測定されるときに多分散度が1.76である無色の液体であった。(A7)シリケート樹脂は、25.35モル%のSiOZ含有量及び0.24重量%のビニル含有量を有していた。
スクリーニング実施例1~58
スクリーニング実施例1~58は、調製例1~7で調製されたシリケート樹脂を含むPSA組成物である。スクリーニング実施例1~58のPSA組成物を調製し、硬化させて、指接触評価を介した目視検査及び粘着性によってコーティングの外観を決定する。歯科用ミキサーカップ内のあらゆる溶媒の非存在下で、特定の(A)シリケート樹脂を特定の(B)有機ケイ素化合物と組み合わせて、試料を得ることによって、スクリーニング実施例1~58の各PSAを調製する。試料を、均質になるまで2,000rpmで2分間混合する。(E)抑制剤をカップに添加し、次いで試料をスパチュラで手動混合する。次いで、(C)触媒をカップに添加し、スパチュラで手動混合する。最後に、各試料を、均質になるまで2,000rpmで2分間、歯科用ミキサー上でもう一度混合する。目的の白金レベルは、50.0ppmであった。目的となる抑制剤/白金比は、20.0(モル/モル)であった。スクリーニング実施例1~58の各PSA組成物を、1.5ミルのコーティングバーを使用して、2ミル厚のポリエステル(PET)シートに上にコーティングした。次いで、各シートを150℃のオーブン内で5分間硬化させた。以下の表2~12は、スクリーニング実施例1~58のPSA組成物を調製するために利用したグラム単位の各成分の相対量を記述している。スクリーニング実施例1~58 スクリーニングされたPSA組成物からのPSAの更なる評価のための、成分の様々な相対的組み合わせ、SiH-Viモル比。
Figure 2023508670000005
Figure 2023508670000006
Figure 2023508670000007
Figure 2023508670000008
Figure 2023508670000009
Figure 2023508670000010
Figure 2023508670000011
Figure 2023508670000012
Figure 2023508670000013
Figure 2023508670000014
Figure 2023508670000015
比較例1~4
比較例1~4(C1~C4としてラベル付けした)は、比較PSA組成物である。以下の表13は、比較例1~4の比較PSA組成物を調製するために利用したグラム単位の各成分の相対量を記述している。
Figure 2023508670000016
実施例1~37及び比較例1~4並びにP1-P2:コーティング基材
実施例1~37及び比較例1~4のPSAを利用して、コーティング基材を調製する。コーティング基材は、基材上に配置した特定のスクリーニング実施例から形成されたPSAを含む。スクリーニング実施例における上記のようにコーティング基材を調製する。実施例では、実施例1は、スクリーニング実施例1に基づく。実施例2は、スクリーニング実施例2などに基づく。同じことが比較例1~4にも当てはまる。スクリーニング実施例38~58は、それから形成されたPSAの特性に関連して更に評価しなかった。比較例P1及びP2は、市販のPSAである。比較例P1は、キシレンとの溶媒交換を介して形成される無溶媒PSAである。比較例P2は、溶媒系PSAである。実施例1~37及び比較例1~4並びにP1/P2の各PSAの物理的特性を、上記のように測定した以下の表14~20に記述している。
Figure 2023508670000017
Figure 2023508670000018
Figure 2023508670000019
Figure 2023508670000020
Figure 2023508670000021
Figure 2023508670000022

Figure 2023508670000023
用語の定義及び使用
本明細書で使用される略語は、以下の表21の定義を有する。
Figure 2023508670000024
添付の特許請求の範囲は、「発明を実施するための形態」を表現するために、及びそこに記載される特定の化合物、組成物、又は方法に限定されず、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態間で異なり得ることを理解されたい。

Claims (14)

  1. 感圧接着剤(PSA)組成物であって、
    (A)あらゆる溶媒の非存在下で、25℃で液体であるシリケート樹脂であって、1分子当たり平均して少なくとも1つのケイ素結合エチレン性不飽和基を有する、シリケート樹脂と、
    (B)1分子当たり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する有機ケイ素化合物と、
    (C)ヒドロシリル化反応触媒と、を含み、
    前記(A)シリケート樹脂が、あらゆる溶媒の非存在下で、前記PSAに混和性である、感圧接着剤(PSA)組成物。
  2. (i)実質的にあらゆる溶媒の非存在下で形成されるか、(ii)あらゆる溶媒を実質的に含まないか、(iii)少なくともいくらかの粘着性を有するか、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、請求項1に記載のPSA組成物。
  3. 前記(A)シリケート樹脂が、平均式
    [W][X][Y][Z]
    [式中、0<a<1、0<b<1、0≦c<1、及び0<d<1であり、但し、a+b+c+d=1である]を有し、
    [W]が、[RSiO3/2][式中、各Rは独立して選択されたヒドロカルビル基である]であり、
    [X]が、[RSiO1/2(OZ)]b’[RSiO2/2b’’[式中、各Rは独立して選択され、上記で定義され、0≦b’≦b、0≦b’’≦bであり、但し、b’+b’’=bであり、各Zは、独立して、H、アルキル基、又はカチオンである]であり、
    [Y]が、[RSi(OZ)c’3-c’/2][式中、各Rは独立して選択され、各Zは独立して選択され、c’は0~2の整数であり、前記(A)シリケート樹脂の下付き文字cによって示される各シロキシ単位で独立して選択される]であり、
    [Z]が、[Si(OZ)d’4-d’/2][式中、各Zは独立して選択され、上記で定義され、下付き文字d’は0~3の整数であり、前記(A)シリケート樹脂中の下付き文字dによって示される各シロキシ単位で独立して選択され、
    但し、少なくとも1つのRがエチレン性不飽和基である]である、請求項1又は2に記載のPSA組成物。
  4. 下付き文字aが、0.2~0.4であり、下付き文字bが、0.1~0.3であり、下付き文字cが、0であり、下付き文字dが、0.4~0.6である、請求項3に記載のPSA組成物。
  5. 下付き文字aが、0.25~0.35であり、下付き文字bが、0.15~0.25であり、下付き文字cが、0であり、下付き文字dが、0.45~0.55である、請求項3に記載のPSA組成物。
  6. 前記(B)有機ケイ素化合物が、式Hy’ 3-y’Si-(OSiR -(OSiRH)m’-OSiR 3-y’y’[式中、各Rはエチレン性不飽和を含まない独立して選択されたヒドロカルビル基であり、各y’は独立して0又は1から選択され、下付き文字m及びm’は各々0~1,000であり、但し、m及びm’が同時に0ではなく、m+m’が1~1,000である]を有するオルガノハイドロジェンシロキサンを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のPSA組成物。
  7. (D)少なくとも2つのケイ素結合エチレン性不飽和基を含むオルガノポリシロキサンを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のPSA組成物。
  8. 成分(A)が、(i)各分子中のSiの総モル数に基づいて、12~80パーセントのSiOZ部分のモルパーセントを有し、Zが、独立して、H、アルキル基、若しくはカチオンから選択されるか、(ii)成分(A)の総重量に基づいて、0超~10のケイ素結合エチレン性不飽和基の重量パーセントを有するか、又は(iii)(i)及び(ii)の両方である、請求項1~7のいずれか一項に記載のPSA組成物。
  9. (E)反応抑制剤を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のPSA組成物。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載のPSA組成物を調製する方法であって、
    成分(A)、(B)、及び(C)を組み合わせて、PSA組成物を得ることを含む、方法。
  11. 前記(A)シリケート樹脂を固体シリケート樹脂から形成することを更に含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記方法が、あらゆる溶媒を含まず、成分(A)、(B)、及び(C)が、あらゆる溶媒の非存在下で組み合わされる、請求項10に記載の方法。
  13. コーティング基材であって、
    基材と、
    前記基材上に配置された請求項1~9のいずれか一項に記載のPSA組成物から形成されたコーティングと、を含む、コーティング基材。
  14. 前記コーティングが、前記PSA組成物を硬化させることによって形成される、請求項13に記載のコーティング基材。
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