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JP2002026787A - 無線受信装置 - Google Patents

無線受信装置

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Publication number
JP2002026787A
JP2002026787A JP2000207849A JP2000207849A JP2002026787A JP 2002026787 A JP2002026787 A JP 2002026787A JP 2000207849 A JP2000207849 A JP 2000207849A JP 2000207849 A JP2000207849 A JP 2000207849A JP 2002026787 A JP2002026787 A JP 2002026787A
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signal
matrix
user
weight
signal processing
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JP2000207849A
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Yoshitaka Hara
嘉孝 原
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Mitsubishi Electric Corp
YRP Mobile Telecommunications Key Technology Research Laboratories Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
YRP Mobile Telecommunications Key Technology Research Laboratories Co Ltd
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Publication date
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    • H04B7/04Diversity systems; Multi-antenna system, i.e. transmission or reception using multiple antennas using two or more spaced independent antennas
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    • H04B1/00Details of transmission systems, not covered by a single one of groups H04B3/00 - H04B13/00; Details of transmission systems not characterised by the medium used for transmission
    • H04B1/69Spread spectrum techniques
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 CDMAアダプティブアレーにおける演算量
を削減する。 【解決手段】 複数のアンテナ2a〜2dの受信信号x1
〜x4は、それぞれ、各ユーザ対応のアダプティブアレー
信号処理部3〜5に入力されるとともに、行列演算部6
に入力される。行列演算部6では各アンテナからの受信
信号x1〜x4の相関行列Φ0とその逆行列Φ0 -1を計算し、
各ユーザ対応のアダプティブアレー信号処理部3〜5に
供給する。各アダプティブアレー信号処理部では、前記
各受信信号x1〜x4を逆拡散して応答ベクトルUnを計算
し、前記逆行列Φ0 -1と応答ベクトルUnからウエイトベ
クトルWn'を計算して、各受信信号の逆拡散信号を重み
付け加算する。各信号処理部3〜5がRAKE受信機で
あるときには、前記逆行列Φ 0 -1を共通に使用して、各
タップ毎のウエイトを算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の端末が基地
局と通信を行う多重型無線通信システムにおける受信方
式に関するものであり、特に複数のユーザに対して個々
のアンテナパターンを形成する適応アンテナ技術に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】無線通信、特に移動通信では複数のユー
ザが1つの基地局を介して通信を行う。基地局では個々
の端末(ユーザ)の通信に対してチャネルを確保し、同
時に通信が行える環境設定をする。特に、最近ではこの
ような多重化技術として符号分割多元接続(CDMA)
方式が注目を集めている。このCDMA方式では、複数
のユーザにそれぞれ異なる拡散符号を用いることにより
多重化している。例えば、ユーザ1の伝送信号は次のよ
うに表される。 S(t)=α・c(t)・d(t)・exp(j2πft) (1) ここで、αは伝搬定数、c(t)は拡散符号、d(t)はデー
タ、fは搬送波周波数を表す。データは時間単位Tbご
とにその信号値を変更する。また、拡散符号c(t)は時間
Tcごとに符号値を変更し、G=Tb/Tc(≧1)を拡
散利得と呼ぶ。この拡散利得Gは通常整数値である。
【0003】このように、CDMA方式では、送信デー
タに拡散符号を乗じて送信する。拡散符号はユーザによ
って異なる。受信機では、拡散符号を識別するための整
合フィルタ(Matched filter:MF)が用意されてお
り、各整合フィルタによってユーザ識別を行う。ベース
バンド帯域におけるユーザ1用整合フィルタ通過後の出
力信号は、 Sout(t)=α・G・d(t) (2) で与えられる。このように、出力信号はデータ部分だけ
が検出される。
【0004】CDMA方式において複数ユーザが同時に
送信を行った場合の様子を図12に示す。本図におい
て、各ユーザ81、82、83は異なる拡散符号を有し
ている。受信機では、各ユーザに対応した整合フィルタ
が用意されている。ユーザ1用の整合フィルタ84を用
いた場合にはユーザ1の信号データ85が検出され、他
のユーザからの信号は微小な干渉となる。このように、
CDMA方式では、複数のユーザからの信号を同時に受
信できるが、拡散符号数、干渉量からそのユーザ数には
限界が生じる。しかし、最近の移動通信では加入者の急
激な増大に伴い、さらに多くのユーザの収容が必要とさ
れており、その対応策としてアダプティブアレーアンテ
ナを用いた受信機構成が考えられている。
【0005】図13はアダプティブアレーアンテナを用
いたCDMA方式の利用環境を示す図である。この図に
おいて、1は受信局の受信機、2は受信局に設けられた
複数のアンテナ、90、91、92は端末である。この
図に示すように、受信機1では個々の端末90、91、
92からの信号を複数のアンテナ2を用いて受信し、各
信号を重みづけを行った後合成する。この様子をアンテ
ナパターンとしてみると、端末90、91、92に対し
て個々に指向性ビーム93、94、95が形成された状
態となる。このように、信号到来方向に対応した指向性
ビームを形成することにより、各ユーザは互いに干渉を
及ぼしあうことなく、よい環境で信号受信を行うことが
できる。
【0006】このようなアダプティブアレーを用いたC
DMA受信機については、例えば、次の文献1〜3に記
載されている。 1.田中,樋口,佐和橋,安達,”DS-CDMA適応アレイ
アンテナダイバーシチの屋内伝送実験特性”,電子情報
通信学会, 無線通信システム研究会技術報告,RCS98-53,
pp.19-24, 1998-06. 2.田中,原田,佐和橋,安達,”DS-CDMAにおける適
応アンテナアレイダイバーシチ受信の屋外伝送実験”,
電子情報通信学会, 無線通信システム研究会技術報告,
RCS99-10, pp.19-24, 1999-04. 3.原田,田中,井原,佐和橋,安達,”W-CDMA下りリ
ンクにおける適応アンテナアレイ送信ダイバーシチの屋
外実験結果”,電子情報通信学会, 無線通信システム研
究会技術報告, RCS99-157, pp.115-121, 1999-11.
【0007】また、アダプティブアレーアルゴリズムに
ついて現在までに多くのアルゴリズムが提案されている
が、 4.大鐘,小川,”アダプティブアレーと移動通信 (I
I)”電子情報通信学会誌、Vol.82 No.1 pp55-61 1999-1 に記載されているように、SMI(Sample Matrix Inve
rsion)アルゴリズム、RLS(Recursive Least Squar
es)アルゴリズム、LMS(Least Mean Square)アル
ゴリズムなどがよく用いられている。ここで、SMIア
ルゴリズムとRLSアルゴリズムは、いずれも入力信号
の相関行列の演算を行うものであり、収束速度は高速で
あるが、演算量は大きく、LMSアルゴリズムは演算量
は少ないものの収束速度が遅いという性質がある。な
お、上述した文献1〜3に記載されたものは、いずれ
も、LMSアルゴリズムを用いている。
【0008】次に、このようなアダプティブアレーを用
いたCDMAマルチユーザ受信機構成について説明を行
うが、ここでは、SMIアルゴリズムを用いるものとす
る。図14は受信機1の概略構成を示す図であり、図中
100〜102は各ユーザ(ユーザ1〜N)対応に設け
られたアダプティブアレー信号処理部を表している。図
15は任意のユーザnのアダプティブアレー信号処理部
110の詳細を示す図であり、図中111はユーザn用
整合フィルタ、112はアダプティブアレーウエイト計
算部、113はウエイト乗算部、114は信号合成部、
115はユーザnの出力信号zを表す。図16はアダプ
ティブアレーウエイト計算部112におけるウエイト計
算手順を表している。
【0009】図14に示されるように、複数のアンテナ
2で受信された各信号x1,x2,x3,x4は個々のユーザに
対応するアダプティブアレー信号処理部100〜102
に入力される。各ユーザのアダプティブアレー信号処理
部100〜102は完全に独立に構成され、各ユーザの
信号処理は同じアルゴリズムを用いて構成される。ここ
では、任意のユーザnのアダプティブアレー信号処理部
の詳細を図15〜図16を用いて説明する。図15にお
いて各アンテナからの受信信号x1,x2,x3,x4はそれぞ
れユーザn用整合フィルタ111に入力され、ここでこ
のユーザnの拡散符号を用いて逆拡散される(図16の
ステップS41)。なお、図示していないが、受信信号
x1,x2,x3,x4は、各アンテナからの受信信号を周波数
変換後同期検波して得られる複素ベースバンド信号であ
り、同相成分を実数部、直交成分を虚数部とする複素数
で表される。整合フィルタ111からの各逆拡散出力y
1,y2,y3,y4に対し、アダプティブアレーウエイト計
算部112では相関行列Φnの計算(ステップS4
2)、および応答ベクトルUnの計算を行い(ステップ
S43)、これらに基づいてウエイトベクトルWnを計
算する(ステップS44)。
【0010】相関行列Φnは、次に示される計算式で与
えられる。
【数1】 ここで、E{ }は数多くのデータサンプルに対する平均
化を表し、*は共役を表している。行列要素は各整合フ
ィルタ111からの信号に関するアンテナ間相関を表し
ており、各データサンプルに対して平均化処理が行われ
ている。通常、平均化処理は無線伝搬環境の変化の少な
い時間内で行われ、伝搬環境が変化した場合には、相関
行列Φnの値が更新される。一方、応答ベクトルUnは出
力y1,y2,y3,y4のデータに含まれる参照信号を利用し
て求めることができる。具体的には、データ内に含まれ
る参照信号に対応する整合フィルタを用意し、信号y1,
y2,y3,y4を入力する。その出力u1,u2,u3,u4をベク
トル要素とすることによって応答ベクトルUnを計算で
きる。
【数2】 このように計算された相関行列Φnと応答ベクトルUnを
用いると、アダプティブアレーウエイトベクトルWn
は、 Wn=Φn-1・Un (5) と表すことができる。本ウエイトベクトルは合成出力の
信号品質を最も良くする値であることが知られており、
理論的に最適なウエイトベクトルといえる。アダプティ
ブアレー信号処理部110では、ウエイト乗算部113
で、このようにして計算されたウエイトベクトルWnの
各要素を信号y1,y2,y3,y4に乗じ、合成器114で合
成することによって合成出力z115を得ることができ
る。
【0011】また、CDMA方式はRAKE受信を使用
できることが特徴である。そこで、CDMAの特徴であ
るRAKE受信を用いた場合のユーザnに対応するアダ
プティブアレー信号処理部の構成を図17に示す。図1
7において、120は第1タップ(第1到来パスに対
応)に相当するRAKE受信機構成部、121、122
はそれぞれ第2,3タップ(第2、第3の到来パスに対
応)に相当するRAKE受信機構成部を表しており、前
記複数のアンテナ2のそれぞれに対応して設けられたこ
のユーザnに対応する整合フィルタ123の対応するタ
ップからの逆拡散出力が入力されている。本来、CDM
Aでは、受信できる信号は第1到来パスに対して時間T
c以内のパスに限定されている。しかし、このようなR
AKE受信機を用いることにより、Tc以上の伝搬遅延
を有する遅延パスに対して、各遅延パスに対応した受信
機を構成することが可能であり、各遅延パスを独立に受
信することが可能となる。また、各遅延パスの受信出力
をタイミングを合わせて合成器127によって合成する
ことにより、遅延パスも有効に活用しつつ受信すること
が可能となる。
【0012】図17のアダプティブアレー信号処理部で
は、第1到来パスに対する信号処理部120に加えて、
遅延パスに対する信号処理部121、122を含んでい
る。各信号処理部120〜122には、各アンテナに対
応して設けられた整合フィルタ123からのそのパスに
対応する逆拡散出力が供給され、第1到来パス、第2の
到来パスあるいは第3の到来パスの受信信号に対して、
前記図15に示したアダプティブアレー信号処理部11
0と同様に、ウエイト乗算部125においてウエイト演
算部124で算出されたウエイトベクトルを乗算し、合
成器126で合成することにより、そのパスの受信信号
の合成出力を得ている。そして、各パスに対して合成さ
れた信号はさらに合成器127においてすべて合成され
る。合成器127での合成に際しては通常最大比合成方
式が用いられる。本信号合成によって遅延パスも有効に
活用した受信機構成がとられている。
【0013】このように従来方式では、個々のユーザに
対し、アダプティブアレー信号処理部においてアルゴリ
ズムを用いてウエイト計算を行い、アンテナ間の信号合
成を行う。また、RAKE受信機を用いる場合には、各
遅延パスに対応する信号処理回路ごとにアダプティブア
レー信号処理部が構成される。アダプティブアレーは、
空間的に見ると各ユーザに対して指向性ビームを形成し
ていることに相当する。すなわち、各ユーザは指向性ビ
ームを用いて他ユーザからの干渉を除去しつつ通信を行
うことが可能であり、多くの通信ユーザを収容するにあ
たって非常に有効な技術とされている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなアダプティブアレーを用いたCDMA受信機では、
ハードウエア負荷、計算量の多さが大きな問題となって
いる。特に、アダプティブアレーのウエイト計算を行う
にあたって必要とされる相関行列Φnの計算、及びその
逆行列Φn-1の演算量は大きく、移動通信においてアダ
プティブアレーを導入する場合における大きな障害とな
っている。例えば、ユーザ数をN、RAKEタップ数を
Kとすると、相関行列Φnの計算がN・K回、相関行列
Φnの逆行列演算がN・K回、ウエイト合成演算がN・
K回必要となる。また、このような大きな演算量は消費
電力の増大も招くため、運用コストの観点からも演算量
の削減が必須の課題とされている。さらに、LMSアル
ゴリズムを用いたアダプティブアレーでは、ウエイト収
束に長い時間を要し、その間良好な受信信号品質が得ら
れないという問題が生じる。また、無線通信では伝搬路
の変動が常時発生するため、その変動に追従する制御が
必要とされる。しかし、LMSアルゴリズムではウエイ
ト収束速度が遅いため、伝搬路の変動に十分追従できな
いという問題も生じる。
【0015】そこで本発明は、アダプティブアレーアン
テナを用いたCDMA方式における無線受信装置におい
て、相関行列演算やその逆行列演算などの演算量を削減
することを目的としている。また、アダプティブアレー
アンテナを用い、RAKE受信方式を採用した無線受信
装置において、相関行列演算、逆行列演算などの演算量
を削減することを目的としている。さらに、ウエイト収
束速度が速く、伝搬路の変動に追従することのできるア
ダプティブアレーアンテナを用いた無線受信装置を提供
することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の無線受信装置は、1又は複数のユーザから
送信される信号を受信するCDMA方式における無線受
信装置であって、複数のアンテナと、前記各アンテナか
らの受信信号間の相関行列を算出する行列演算手段と、
前記各ユーザ対応に設けられ、前記各アンテナからの受
信信号をそのユーザに割り当てられた拡散符号で逆拡散
した出力をウエイトを付けて合成する信号処理手段とを
有し、前記行列演算手段による演算結果を前記各ユーザ
対応に設けられた信号処理手段に対して共通に用いるよ
うにしたものである。また、前記行列演算手段は、さら
に前記相関行列の逆行列を算出するようになされてお
り、前記各ユーザ対応に設けられた信号処理手段は、前
記各アンテナからの受信信号をそのユーザの拡散符号で
逆拡散した出力と前記行列演算手段において算出された
前記相関行列の逆行列とに基づいて、ウエイトベクトル
を算出するウエイト演算部を有し、該ウエイト演算部で
算出したウエイトベクトルを用いて前記各アンテナから
の受信信号を逆拡散した出力を合成するようになされて
いるものである。さらに、前記行列演算手段は、さらに
前記相関行列の逆行列を算出するようになされており、
前記各ユーザ対応に設けられた信号処理手段は複数の到
来パスそれぞれに対応して設けられた信号処理部を有
し、該各ユーザの各到来パスに対応する信号処理部は、
その到来パスに関する前記各アンテナからの受信信号を
そのユーザの拡散符号で逆拡散した出力と前記行列演算
手段において算出された前記相関行列の逆行列とに基づ
いて、ウエイトベクトルを算出するウエイト演算部を有
し、該ウエイト演算部で算出したウエイトベクトルを用
いてその到来パスに関する前記各アンテナからの受信信
号を逆拡散した出力を合成するようになされているもの
である。さらにまた、前記ウエイト演算部は、SMIア
ルゴリズムあるいはRLSアルゴリズムを用いて前記ウ
エイトベクトルを算出するようになされているものであ
る。
【0017】さらにまた、前記行列演算手段は、さらに
前記相関行列の固有値および固有ベクトルを算出するよ
うになされており、前記複数のアンテナからの受信信号
を前記行列演算手段により算出された前記相関行列の固
有値および固有ベクトルを用いて変換する信号変換手段
を有し、前記各ユーザ対応に設けられた信号処理手段
は、前記信号変換手段で変換された信号をそのユーザに
割り当てられた拡散信号で逆拡散した出力を最大比合成
するようになされているものである。さらにまた、前記
行列演算手段は、さらに前記相関行列の固有値および固
有ベクトルを算出するようになされており、前記複数の
アンテナからの受信信号を前記行列演算手段により算出
された前記相関行列の固有値および固有ベクトルを用い
て変換する信号変換手段を有し、前記各ユーザ対応に設
けられた信号処理手段は複数の到来パスそれぞれに対応
して設けられた信号処理部を有し、該各ユーザの各到来
パスに対応する信号処理部は、前記信号変換手段で変換
された信号をその到来パスに関するそのユーザの拡散符
号で逆拡散した出力を最大比合成するようになされてい
るものである。さらにまた、前記信号変換手段は、その
出力の数がその入力の数よりも少なくなるように信号変
換を行うものである。さらにまた、上述した各場合にお
いて、前記各ユーザに割り当てられる拡散符号は、長周
期のロング符号とされているものである。
【0018】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)図1は本発
明の第1の実施の形態の概要を説明する最も基本的な図
であり、1はCDMA受信局の受信機、2a〜2dはア
ンテナ、3〜5は各ユーザに対応するアダプティブアレ
ー信号処理部、6は行列演算部を表す。なお、複数設け
られるアンテナの個数は任意であるが、ここでは2a〜
2dの4個のアンテナが設けられているものとする。図
2は行列演算部6における処理手順を表すフローチャー
トである。図3は任意のユーザnに対応するアダプティ
ブアレー信号処理部10の詳細を表す図であり、11は
このユーザnに対応する整合フィルタ、12はウエイト
演算部、13はウエイト乗算部、14は合成器を表す。
図4は前記アダプティブアレー信号処理部内のウエイト
演算部12で行われる演算の手順を表すフローチャート
である。以下では、図1〜図4を用いて本実施の形態に
ついて説明を行う。
【0019】本実施の形態では、相関行列に関する計算
を各ユーザの信号処理部3〜5の前段の行列演算部6で
行う。本方式では、行列演算部6は信号処理部3〜5の
前の段階であるため、各ユーザに対して共通である。行
列演算部6では次の式(6)に従って、相関行列Φ0
計算が行われる。
【数3】 ここで、E{ }は従来方式と同様、数多くのサンプルに
対する平均化を表し、*は共役を表す。すなわち、この
行列演算部6では、各アンテナ2a〜2dからの受信信
号x1,x2,x3,x4間の相関の時間平均を要素とする相関
行列Φ0を計算している。なお、受信信号x1〜x4は、前
述と同様に、複素ベースバンド信号である。
【0020】通常、受信機では複数のアンテナを用いて
信号を受信した後、ベースバンド帯域に変換するまでの
間にサンプリングが行われている。CDMAの場合には
ベースバンド帯域では、拡散符号の符号時間Tc単位あ
るいはそれ以下の時間単位で受信信号のサンプリングが
行われている。本実施の形態では相関行列Φ0の演算に
あたって時間Tcごとの信号に対し相関値の平均化を行
っても構わない。また、それよりも遅い時間間隔で行っ
ても構わない。例えば、データシンボル時間Tdごとに
信号の検出を行っても構わない。あるいは、不規則な時
間単位で相関値の平均化を行ってもよい。以下では、説
明の簡単化のため、データシンボル時間Tdごとに1
回、相関行列演算のための信号検出を行うものとする。
【0021】図2は行列演算部6で行われる処理手順を
表しており、まず上述の相関行列の計算が行われた後
(S11)、その逆行列Φ0 -1の計算が行われる(S1
2)。一方、各ユーザに対応するアダプティブアレー信
号処理部(図3)では、図4に示すフローチャートのよ
うに、まず従来手法と同じくウエイト演算部12におい
て応答ベクトルUnの検出を行う(S21)。すなわ
ち、各整合フィルタ11から出力される逆拡散出力y1,
y2,y3,y4内に含まれる参照信号を利用して応答ベクト
ルUnを求める。次に、前記共通に設けられている行列
演算部6において計算された相関行列Φ0の逆行列Φ0 -1
をウエイト演算部12に入力し(S22)、以下の式に
従ってウエイトベクトルWn’の計算を行なう(S2
3)。 Wn’=Φ0 -1・Un (7) そして、ウエイト乗算部13において、このように算出
したウエイトベクトルWn’の各要素と対応する整合フ
ィルタ11の出力y1,y2,y3,y4とを乗算し、合成器1
4で合成することにより、合成出力を得る。
【0022】このように、本実施の形態では、従来、整
合フィルタ通過後に各ユーザごとに行っていた相関行列
演算を整合フィルタ通過前に行い、各ユーザに対して演
算の共通化を行っている。相関行列演算の共通化によっ
て、ユーザ数Nのもとで同時に演算される相関行列及び
逆行列演算はそれぞれ1回のみとなる。従来方式では、
アダプティブアレーの構成に際して、相関行列演算N
回、逆行列演算N回が必要とされていたことを考えると
大幅な計算量の削減が可能となる。
【0023】なお、本実施の形態で計算されたウエイト
Wn’と従来方式において計算されたウエイト Wn=Φn-1・Un (5) は完全に同一のウエイトとはならない。しかし、その違
いは一般に小さい。以下ではこの性質について説明す
る。まず、複数のアンテナに入力される各ユーザの受信
信号ベクトルを Vn=[Vn1 Vn2 ... VnM] (n=1,...,N) (8) と表す。ここで、Nはユーザ数、Vnm(m=1,...,M)は
ユーザnのアンテナmでの変調成分を含まない受信レベ
ルを表す。このとき、整合フィルタ前段の行列演算部6
で計算される相関行列Φ0は次式で表されることが知ら
れている。
【数4】 ここで、Σは全てのユーザに対する総和を表している。
また、Hは行列の転置共役を表す。
【0024】一方、従来方式では相関行列Φnを各ユー
ザの整合フィルタ通過後に計算する。例えば、ユーザ1
に対する整合フィルタ通過後に計算を行なった相関行列
Φnは次式で表される。
【数5】 ここで、an はユーザ1の拡散符号とユーザnの拡散符
号の相関を表しており、次式で表される。 an =E{c1(t)・cn(t)} (11) ここで、E{ }は相関行列演算と同じ時間内での平均化
である。CDMA方式では、他ユーザ間の符号間相関a
n(n≧2)の値には若干のばらつきはあるものの、ほ
ぼ同一となる場合が多い。例えば、現在導入が検討され
ているW−CDMAでは各ユーザの拡散符号として符号
周期の非常に長いロング符号の利用が検討されている。
この符号を用いた場合には、各ユーザの拡散符号cn(t)
は十分なランダム性を有しており、E{ }の時間平均に
よって各ユーザの相関値はほぼ等しい値となる。
【0025】ここで、仮に他ユーザ間の符号間相関an
(n≧2)が完全に同一であるとする。この場合には、
Wn,Wn’はそれぞれ以下のように表される。
【数6】 ただし、上式において相関行列内の希望信号成分(n=
1)は、ウエイト値に何ら影響を与えないことが知られ
ているので、記述を省略した。式(12)と(13)に
おいて、ウエイトベクトルWnとWn’の違いはスカラー
のみであり、同一の方向を有する。ウエイト乗算にあた
っては、ウエイトベクトルのスカラーは特に意味を持た
ず、方向のみが重要となる。従って、WnとWn’は等価
なウエイトと見なすことができる。このように、ユーザ
間の拡散符号相関anが全て同一である場合には、Wn’
はWnと等価なウエイトとなる。また、ユーザ間の拡散
符号相関anにばらつきがある場合にはWn’はWnと完
全には一致しないが、Wnに近いウエイト値を持つ。こ
こでは、ユーザ1が希望信号である場合を対象に検討を
進めたが、他のユーザに対しても同様の性質が成り立
つ。
【0026】このように、本実施の形態で計算された各
ユーザのウエイトベクトルは、従来方式のアダプティブ
アレーのウエイトベクトルと非常に近い値となる。従っ
て、本発明では少ない演算量で最適状態に近いアダプテ
ィブアレーアンテナを構成することができる。また、前
述のように各ユーザの拡散符号として符号周期の非常に
長いロング符号が使用されている場合には、本発明のよ
うに整合フィルタ通過前に相関行列演算を行う方が、従
来技術のように整合フィルタ通過後に相関行列演算を行
う場合よりも演算の収束が速くなり、演算誤差が少なく
なるという効果がある。すなわち、整合フィルタの出力
には、他のユーザの拡散符号との相互相関が干渉成分と
して含まれるが、ロング符号を用いた場合にはそのレベ
ルは各シンボルに対して一定とはならない。従って、整
合フィルタ通過後に相関行列演算を行った場合には、相
関行列を求める演算の収束時間が長くなってしまう。こ
れに対し、本発明のように整合フィルタを通過する前に
相関行列演算を行う場合には、相互相関は発生せず、処
理周期内で干渉信号レベルは一定とみなすことができ
る。したがって、相関行列の収束が速くなり、誤差が少
なくなる。さらに、前述した従来技術において整合フィ
ルタ通過後に求めた相関行列には強い強度の希望信号成
分が含まれている。これはウエイトが完全に収束してい
る環境ではウエイトに何ら影響を与えないが、完全に収
束していない段階ではウエイト誤差を発生する要因とな
りうる。これに対して、本実施の形態の構成では相関行
列内に含まれる希望信号成分の強度は小さいため、ウエ
イト誤差を生じにくい。さらにまた、本実施の形態のよ
うに、整合フィルタ通過前に相関行列演算を行う場合に
は、その演算周期を1シンボル毎あるいは1チップ単位
など任意の周期で行うことが可能となる。従って、演算
周期を短くすればするほど収束時間を短くすることがで
きる。このように、本実施の形態によれば、演算量が少
なく済むだけではなく、ロング符号を使用した場合にお
いて良好な出力信号特性を得ること、および、任意の周
期で相関行列を演算することが可能となる。
【0027】本実施の形態では、アダプティブアレー信
号処理部10におけるウエイト計算において、応答ベク
トルUnはデータ内の参照信号をもとに算出した。本構
成によってより正確なウエイト計算が可能となるが、実
用段階では便宜的に整合フィルタ出力データの一部をそ
のままUnとして用いる構成も可能である。また、デー
タ区間ではデータを一度判定した判定値を参照信号に見
立てて、応答ベクトルを求めることも可能である。さら
に、応答ベクトルとして一部の値の小さい要素を0とみ
なして扱い、信号処理を行う構成も行うことが可能であ
る。さらにまた、従来手法の等利得合成法、選択合成法
と同様のウエイトを応答ベクトルとして用いることも可
能である。このように、必ずしも応答ベクトルは本実施
の形態で記述した方式に従わなくてもよい。
【0028】(第2の実施の形態)上述した第1の実施
の形態では、RAKE受信を行わない場合を扱った。次
に、RAKE受信を行う場合に適用した本発明の第2の
実施の形態について説明する。図5はCDMAの特徴で
あるRAKE受信と組み合わせた前記アダプティブアレ
ー信号処理部3〜5の内部構成を示す図である。なお、
これ以外の構成は、前記図1と同一である。図5におい
て、20は第1到来パスに対する信号処理部、21、2
2は第2、第3の到来パスに対する信号処理部であり、
各アンテナの受信信号とこのユーザnの拡散符号との相
関を検出する整合フィルタ23からそれぞれの到来パス
に対応するタップの逆拡散出力が入力されている。各信
号処理部20〜22は、いずれも同一の構成とされてお
り、図では第1到来パスに対する信号処理部20のみが
示されている。この信号処理部20は、前述と同様にウ
エイトベクトルWn’を算出するウエイト演算部24、
該算出されたウエイトベクトルWn’と前記整合フィル
タ23からのこのパスの逆拡散信号y1,y2,y3,y4との
乗算を行うウエイト乗算部25および各乗算部25の出
力を合成する合成器26を有している。ここで、前記ウ
エイト演算部24には、前記行列演算部6で算出された
相関行列Φ0の逆行列Φ0 -1が入力されており、本構成に
おいても、遅延タップを用いたRAKE受信機部に対し
て共通の相関行列の逆行列Φ0 -1を用いている。また、
応答ベクトルUnに関しては各遅延タップごとに個別に
計算されている。そして、各信号処理部20〜22で合
成された合成信号は、さらに、合成器27においてタイ
ミングを合わせて合成される。
【0029】このように、本実施の形態では、従来整合
フィルタ通過後に各ユーザ及び各遅延タップごとに行っ
ていた相関行列演算を整合フィルタ通過前に行い、各ユ
ーザ及び各遅延タップに対して演算の共通化を行ってい
る。このように相関行列演算を共通化することによっ
て、ユーザ数N、RAKEタップ数Kのもとで同時に演
算される相関行列及び相関行列の逆行列はそれぞれ1回
のみとなる。従来方式では、アダプティブアレーの構成
に際して、相関行列演算N・K回、逆行列演算N・K回
が必要とされていたことを考えると大幅な計算量の削減
が可能となる。なお、本実施の形態では、複数ユーザの
場合を例に取り上げたが、1ユーザ、RAKE受信機構
成の場合にも同様に相関行列演算を1回にすることがで
きる。
【0030】(第3の実施の形態)図6は本発明の第3
の実施の形態の概要を説明する最も基本的な図である。
この図において、1はCDMA受信局の受信機、2a〜
2dはアンテナ、30は行列演算部、31は信号変換
器、32〜34は各ユーザに対応する信号合成部を表
す。図7は行列演算部30における処理手順を表すフロ
ーチャート、図8は信号合成部の詳細を示す図である。
以下、図6〜図8を用いて本実施の形態について説明を
行う。
【0031】本実施の形態は、前述した第1の実施の形
態と同じウエイトベクトルWn’および合成出力を得る
ことを目的としている。しかし、その回路構成は第1の
実施の形態とは異なっている。本実施の形態では、行列
演算部30において、まず相関行列Φ0の計算を行う
(図7のステップS31)。相関行列Φ0の定義および
計算手法は前述した第1の実施の形態と同一である。次
に、相関行列Φ0の固有値分解を行い、M個の固有値λm
と固有ベクトルem(m=1,...,M)を導出する(S3
2)。ここで、Mはアンテナ数である。アンテナ数と同
数の固有値、固有ベクトルを導くことが可能である。行
列演算部30では、導出された固有値λmを用いて、次
式の行列Λの計算を行う(S33)。
【数7】 このように計算された行列Λを用いて、信号変換器31
では各アンテナからの受信信号の変換を行う。この受信
信号の変換は次式に従って行われる。
【数8】 ここで、[x1 x2 .... xM]Tはアンテナからの受信信号で
あり、[x1' x2' ....xM']Tは信号変換器での変換出力で
ある。この信号変換はデジタルベースバンド信号のサン
プリング単位で行われる。
【0032】このように変換された信号は、各ユーザご
との信号合成部32〜34に入力される。ここでは、ユ
ーザnに対応する信号合成部(図8)の動作について説
明を行う。信号合成部40では、変換された各信号x
1',x2',x3',x4'は、それぞれ、ユーザnに対応する
整合フィルタ41に入力され、その出力としてユーザn
の逆拡散信号を得る。さらに、一般に広く用いられてい
る最大比合成法に従って、各ブランチの信号合成を行な
う。具体的には、ウエイト演算部42において、信号内
に挿入された参照信号を用いてユーザnの応答ベクトル
Unを検出し、該応答ベクトルUnをウエイトベクトルと
して、ウエイト乗算部43で逆拡散信号と乗算し合成器
44で信号合成を行う。このように各ユーザに対応する
信号合成部では、整合フィルタで自信号を検出した後、
ブランチ間で最大比合成を行う。
【0033】本実施の形態に従って計算された信号合成
出力の性質について説明を行う。ユーザnのアンテナ受
信信号ベクトルを Vn・s(t)=[Vn1 Vn2 ... VnM]・s(t) (16) とする。ここで、Vn1,...,VnMは変調信号を含まない
受信レベルである。また、s(t)は信号の変調成分を表
す。このとき、信号変換器31の出力はΛH・Vn・s(t)
で与えられる。また、整合フィルタ通過後に計算される
応答ベクトルUnは Un=β・ΛH・Vn (17) で与えられる。ここで、βは定数である。従って、信号
合成部40における信号の合成出力zは次式で与えられ
る。
【数9】 ここで、Hは行列の転置共役を表す。上式より、ユーザ
nに対する等価的なウエイトはΛ・ΛH・Vnと表され
る。ここで、Λは相関行列Φ0と次式の関係にあること
が一般に知られている。
【数10】 従って、ユーザnに対する等価的なウエイトはΦ0 -1
Vnで表され、前述した第1の実施の形態におけるウエ
イトと等しい。すなわち、本実施の形態は第1の実施の
形態と回路構成は異なるものの合成信号出力は同じ値と
なる。
【0034】本実施の形態では、信号変換器31は各ユ
ーザに対して共通であるため、ユーザ数が増加した場合
にも信号変換器の負荷は変わらない。また、相関行列を
利用した信号変換部と最大比合成による信号合成部に回
路構成が完全に分離されている。従って、従来より用い
られていた最大比合成受信機からアダプティブアレー受
信機への移行を行なう際に本実施の形態は効率的であ
る。すなわち、従来の信号合成部の前段に共通な信号変
換部(30および31)を取り付けることによって簡単
にアダプティブアレー受信機とすることができる。この
ように、本実施の形態では従来構成をそのまま利用でき
るという利点を有する。
【0035】なお、本実施の形態では信号合成部40に
おいて最大比合成法を用いる場合を取り上げたが、その
他の合成方法に対しても適用可能である。また、応答ベ
クトルUnはデータ内の参照信号をもとに算出したが、
第1の実施の形態と同様他の手法により応答ベクトルを
算出しても構わない。
【0036】(第4の実施の形態)上記第3の実施の形
態では、RAKE受信のない場合を扱った。次に、RA
KE受信を行う場合に適用した本発明の第4の実施の形
態について説明する。図9はCDMAの特徴であるRA
KE受信とアダプティブアレーを組み合わせた場合にお
ける前記信号合成部の構成を示す図である。これ以外の
構成は、前記図6と同様であり、本構成においても全て
のRAKE受信遅延タップに対して共通の信号変換器3
1を用いている。図9において、50、51および52
はそれぞれ第1到来パス、第2到来パスおよび第3到来
パスに対応する信号合成部であり、前記信号変換器31
からの出力x1'、x2'、x3'、x4'とこのユーザnの拡散符
号との相関を検出する整合フィルタ53の各パスに対応
するタップの逆拡散出力が供給され、それぞれのパスの
受信信号に対する最大比合成が行われている。ここで、
54はウエイト演算部、55はウエイト乗算部、56は
合成器であり、前記図8に関して説明したものと同様の
処理が行われる。各信号合成部50〜52からの合成信
号は、さらに、合成器57でタイミングを合わせて合成
されて合成出力が得られる。
【0037】このように、本実施の形態では、従来のR
AKE受信付き最大比合成受信機構成に対して信号変換
部を挿入することによって、アダプティブアレー受信機
への変更が可能となる。また、各ユーザ及び各遅延タッ
プに対して信号変換部における演算の共通化を行ってい
る。このような共通化によって、少ない演算量でアダプ
ティブアレー受信機を構成することが可能となる。
【0038】(第5の実施の形態)前述した第3の実施
の形態および第4の実施の形態では行列演算部30にお
いて相関行列Φ0を計算した後、その固有値λmと固有ベ
クトルemを計算し、行列Λの導出を行った。しかし、
固有値λmが雑音電力と同レベルの値である場合には、
固有ベクトルemに対応して得られる信号変換器31の
出力は雑音成分が主体となり、信号成分をほとんど含ん
でいないことが知られている。そこで、このような雑音
成分を出力しないようにしてウエイト演算の演算量を少
なくした本発明の第5の実施の形態について、図10を
参照して説明する。図10は、この実施の形態における
行列演算部60および信号変換器61を示す図である。
本実施の形態では、値の小さい固有値、およびそれに対
応する固有ベクトルを要素から除外した行列Λ’を用い
て信号変換器61の処理を行う。例えば、固有値λ2
値が雑音レベルと同程度となるほど小さい場合には、行
列演算部60は、Λに代えて次式であらわすΛ’を信号
変換器61に出力する。
【数11】 上式では固有値λ2の値は小さいものとして行列要素か
ら除外されている。信号変換器61では次式に従って信
号の変換を行う。
【数12】 従って、信号変換器61の出力にはx2'は含まれず、出
力個数はM個よりも少なくなる。このように変換出力個
数を少なくすることによって、後段での信号合成処理負
荷を少なくすることが可能となる。この実施の形態は、
前記図8に示した実施の形態および前記図9に示した実
施の形態のいずれも場合にも適用することができる。
【0039】(第6の実施の形態)なお、上述した実施
の形態1および2ではSMIアルゴリズムを採用した場
合を例にとって説明したが、本発明は、RLSアルゴリ
ズムを採用した場合にも同様に適用することができる。
図11は、前述した第1の実施の形態にRLSアルゴリ
ズムを用いた場合の各ユーザに対するアダプティブアレ
ー信号処理部(図1におけるアダプティブアレー信号処
理部3〜5)の構成を示す図である。なお、これ以外の
構成は前記図1と同一であり、前述の場合と同様に、各
ユーザに対して共通に設けられた行列演算部6の出力を
用いるようにしている。
【0040】図11に示す任意のユーザnのアダプティ
ブアレー信号処理部70において、71は、図1に示し
た複数のアンテナ2a〜2dに対応して設けられた整合
フィルタであり、それぞれ対応するアンテナからの受信
信号x1〜x4をこのユーザnの拡散符号で逆拡散して信号
y1〜y4を出力する。72はRLSアルゴリズムにより前
記各整合フィルタ71からの逆拡散出力y1〜y4に対する
ウエイトベクトルW(m)を算出するウエイト演算部、7
3は前記ウエイト演算部72において算出されたウエイ
トベクトルW(m)の各要素を前記各整合フィルタ71か
らの逆拡散出力y1〜y4に乗算するウエイト乗算部、74
は各乗算部73の出力を加算する合成器である。
【0041】前記ウエイト演算部72には、前記各整合
フィルタ71からの逆拡散出力y1〜y4、前記行列演算部
6(図1)において演算された相関行列の逆行列
Φ0 -1、および、前記合成器74の出力(アダプティブ
合成信号)が入力され、RLSアルゴリズムによりウエ
イトベクトルを算出している。RLSアルゴリズムで
は、前記合成器74から出力されるアダプティブ合成信
号を用いて次式によりm=1, 2, ...と逐次的にウエイ
ト更新を行なう。
【数13】 ここで、W(m)=[w1,w2,w3,w4]Tはm回更新されたウエ
イトベクトルであり、Y(m)=[y1,y2,y3,y4]Tはm番目
のシンボルにおける逆拡散信号の値を表す。また、r
(m)はこのユーザnに対応する参照信号のm番目のシン
ボルの値を表す。
【0042】このように、本実施の形態では、RLSア
ルゴリズムにおける相関行列逆行列Φ0 -1を各ユーザ受
信機において共通化している。本構成により、RLSア
ルゴリズムにおいても相関行列逆行列を各ユーザの受信
機に対して共通化することが可能であり、演算量を削減
することが可能となる。なお、本実施の形態では、RL
Sアルゴリズムにおいて逆拡散信号ベクトルY(m)を用
いたが、Y(m)の代わりに逆拡散前のm番目の信号ベク
トルX(m)=[x1,x2,x3,x4]Tを用いてもアダプティブアレ
ーを構成することができる。この場合には、ユーザ間で
Φ0 -1・X(m)の値を共通化できるため、さらに演算量を
削減することが可能となる。また、前記第2の実施の形
態(図5)の場合にも、同様にRLSアルゴリズムを採
用することができる。なお、以上の説明において、アン
テナ数が4、RAKE受信におけるパス数が3として説
明したが、これは一例にすぎず、任意のアンテナ数およ
びパス数を採用することができることは明らかである。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
相関行列演算およびその逆行列演算を複数のユーザおよ
び遅延パスに対して共通化することができ、RAKE受
信におけるウエイト演算量および多ユーザ環境における
ウエイト演算量を削減することができる。また、整合フ
ィルタ通過前の信号に対して受信信号間相関行列を演算
しているため、拡散符号としてロング符号を用いた場合
であっても誤差の少ない出力信号を得ることができる。
さらに、希望信号成分の少ない相関行列を求めることに
よって、収束速度の速いウエイト演算を行うことができ
る。さらにまた、信号変換手段を用いた本発明によれ
ば、従来機器からのバージョンアップが容易にできる。
さらにまた、出力の数が入力の数よりも少なくなるよう
に信号変換を行う本発明によれば、より演算量を少なく
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態のアダプティブア
レーCDMA受信機の一構成例を示す図である。
【図2】 本発明の第1の実施の形態の行列演算部6の
処理手順を表すフローチャートである。
【図3】 本発明の第1の実施の形態のアダプティブア
レー信号処理部の構成を示す図である。
【図4】 本発明の第1の実施の形態のアダプティブア
レー信号処理部内のウエイト演算部12で行われる演算
手順を表すフローチャートである。
【図5】 本発明の第2の実施の形態のアダプティブア
レーCDMA受信機のアダプティブアレー信号処理部の
構成例を示す図である。
【図6】 本発明の第3の実施の形態のアダプティブア
レーCDMA受信機構成を示す図である。
【図7】 本発明の第3の実施の形態の行列演算部6の
処理手順を表すフローチャートである。
【図8】 本発明の第3の実施の形態の信号合成部の構
成を示す図である。
【図9】 本発明の第4の実施の形態のアダプティブア
レーCDMA受信機の信号合成部を示す図である。
【図10】 本発明の第5の実施の形態のアダプティブ
アレーCDMA受信機における行列演算部及び信号変換
部を示す図である。
【図11】 RLSアルゴリズムを用いた本発明の第6
の実施の形態のアダプティブアレー信号処理部の構成を
示す図である。
【図12】 一般的なCDMA伝送方式を表す図であ
る。
【図13】 アダプティブアレーを用いたCDMA方式
の利用環境を示す図である。
【図14】 従来方式におけるアダプティブアレーCD
MA受信機構成を示す図である。
【図15】 従来方式におけるアダプティブアレー信号
処理部を示す図である。
【図16】 従来方式におけるアダプティブアレー信号
処理部の処理手順を表す図である。
【図17】 従来方式におけるアダプティブアレーCD
MA受信機構成にRAKE受信機を負荷した場合の構成
図である。
【符号の説明】
1 受信機 2、2a、2b、2c、2d アンテナ 3、4、5、10 アダプティブアレー信号処理部 6、30 行列演算部 11、23、41、53 整合フィルタ 12、24、42、54 ウエイト演算部 13、25、43、55 ウエイト乗算部 14、26、27、44、56、57 合成器 20、21、22 信号処理部 31 信号変換部 32、33、34、40、50、51、52 信号合成
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5J021 AA05 AA11 DB02 DB03 EA02 EA04 EA07 FA13 FA32 GA02 HA05 5K022 EE01 5K059 CC03 CC04 DD32

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1又は複数のユーザから送信される信号
    を受信するCDMA方式における無線受信装置であっ
    て、 複数のアンテナと、 前記各アンテナからの受信信号間の相関行列を算出する
    行列演算手段と、 前記各ユーザ対応に設けられ、前記各アンテナからの受
    信信号をそのユーザに割り当てられた拡散符号で逆拡散
    した出力をウエイトを付けて合成する信号処理手段とを
    有し、 前記行列演算手段による演算結果を前記各ユーザ対応に
    設けられた信号処理手段に対して共通に用いるようにし
    たことを特徴とする無線受信装置。
  2. 【請求項2】 前記行列演算手段は、さらに前記相関行
    列の逆行列を算出するようになされており、 前記各ユーザ対応に設けられた信号処理手段は、前記各
    アンテナからの受信信号をそのユーザの拡散符号で逆拡
    散した出力と前記行列演算手段において算出された前記
    相関行列の逆行列とに基づいて、ウエイトベクトルを算
    出するウエイト演算部を有し、該ウエイト演算部で算出
    したウエイトベクトルを用いて前記各アンテナからの受
    信信号を逆拡散した出力を合成するようになされている
    ことを特徴とする請求項1記載の無線受信装置。
  3. 【請求項3】 前記行列演算手段は、さらに前記相関行
    列の逆行列を算出するようになされており、 前記各ユーザ対応に設けられた信号処理手段は複数の到
    来パスそれぞれに対応して設けられた信号処理部を有
    し、該各ユーザの各到来パスに対応する信号処理部は、
    その到来パスに関する前記各アンテナからの受信信号を
    そのユーザの拡散符号で逆拡散した出力と前記行列演算
    手段において算出された前記相関行列の逆行列とに基づ
    いて、ウエイトベクトルを算出するウエイト演算部を有
    し、該ウエイト演算部で算出したウエイトベクトルを用
    いてその到来パスに関する前記各アンテナからの受信信
    号を逆拡散した出力を合成するようになされていること
    を特徴とする請求項1記載の無線受信装置。
  4. 【請求項4】 前記ウエイト演算部は、SMIアルゴリ
    ズムを用いて前記ウエイトベクトルを算出することを特
    徴とする請求項2あるいは3に記載の無線受信装置。
  5. 【請求項5】 前記ウエイト演算部は、RLSアルゴリ
    ズムを用いて前記ウエイトベクトルを算出することを特
    徴とする請求項2あるいは3に記載の無線受信装置。
  6. 【請求項6】 前記行列演算手段は、さらに前記相関行
    列の固有値および固有ベクトルを算出するようになされ
    ており、前記複数のアンテナからの受信信号を前記行列
    演算手段により算出された前記相関行列の固有値および
    固有ベクトルを用いて変換する信号変換手段を有し、前
    記各ユーザ対応に設けられた信号処理手段は、前記信号
    変換手段で変換された信号をそのユーザに割り当てられ
    た拡散信号で逆拡散した出力を最大比合成するようにな
    されていることを特徴とする請求項1記載の無線受信装
    置。
  7. 【請求項7】 前記行列演算手段は、さらに前記相関行
    列の固有値および固有ベクトルを算出するようになされ
    ており、前記複数のアンテナからの受信信号を前記行列
    演算手段により算出された前記相関行列の固有値および
    固有ベクトルを用いて変換する信号変換手段を有し、前
    記各ユーザ対応に設けられた信号処理手段は複数の到来
    パスそれぞれに対応して設けられた信号処理部を有し、
    該各ユーザの各到来パスに対応する信号処理部は、前記
    信号変換手段で変換された信号をその到来パスに関する
    そのユーザの拡散符号で逆拡散した出力を最大比合成す
    るようになされていることを特徴とする請求項1記載の
    無線受信装置。
  8. 【請求項8】 前記信号変換手段は、その出力の数がそ
    の入力の数よりも少なくなるように信号変換を行うこと
    を特徴とする請求項6又は7記載の無線受信装置。
  9. 【請求項9】 前記各ユーザに割り当てられる拡散符号
    は、長周期のロング符号であることを特徴とする請求項
    1〜8のいずれかに記載の無線受信装置。
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