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JP3716398B2 - アレーアンテナによる到来方向推定方法及び該方法を用いたds−cdma受信装置 - Google Patents

アレーアンテナによる到来方向推定方法及び該方法を用いたds−cdma受信装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、DS−CDMA(Direct Sequence Code Division Multiple Access ;直接スペクトル拡散符号分割多元接続)方式に於いて、希望信号の到来方向を推定するアレーアンテナによる到来方向推定方法及び該方法を用いたDS−CDMA受信装置に関する。
【0002】
DS−CDMA通信システムの基地局に於いて、アレーアンテナを用いて受信し、アレーアンテナ素子による受信信号により希望信号の到来方向を推定し、この到来方向に指向性ビームを形成するようにして送受信することにより、干渉の低減及びアンテナ利得の増加による送信電力の低減を図ることができる。その場合の希望信号の到来方向を正確に推定することが要望される。
【0003】
【従来の技術】
図7はアレーアンテナを用いた基地局の受信装置の説明図であり、DS−CDMA通信システムの基地局に於ける受信部の要部を示し、71−0〜71−(M−1)は受信アンテナを構成するアレーアンテナ素子、72−0〜72−(K−1)は受信処理部、73−0〜73−(M−1)は逆拡散部、74はビームフォーミング部、75はチャネル受信部、76は到来方向推定部、77はビームフォーマを示す。
【0004】
チャネル対応の受信処理部72−0〜72−(K−1)には、アレーアンテナ素子71−0〜71−(M−1)の受信信号r(0) 〜r(M-1) が入力される。又受信処理部72−0は、拡散符号C0 を入力する逆拡散部73−0〜73−(M−1)により受信信号の逆拡散処理を行い、各逆拡散出力信号x(0) 〜x(M-1) を、ビームフォーミング部74の到来方向推定部76とビームフォーマ77とに入力する。到来方向推定部76は、隣接アンテナ素子による受信信号間の相互相関関数を基に希望信号の到来方向を推定する。
【0005】
ビームフォーマ77は、到来方向推定部76の到来方向の推定による重み係数を逆拡散出力信号x(0) 〜x(M-1) に乗算して合成出力するもので、その出力信号をチャネル受信部75に入力する。従って、チャネル0〜K−1対応の受信処理部72−0〜72−(K−1)から受信データを送出する。
【0006】
図8は従来例の到来方向推定部を有するビームフォーミング部の説明図であり、受信アンテナを4アレーアンテナ素子により構成した場合を示し、74はビームフォーミング部、76は到来方向推定部、77はビームフォーマ、78−0〜78−3は乗算器、79は加算器(Σ)である。
【0007】
4個のアンテナ素子71−0〜71−3(図1参照)による受信信号x(0) (n)〜x(3) (n)を到来方向推定部76とビームフォーマ77とに入力し、到来方向推定部76は、希望信号の到来方向の推定によるビームフォーマ77への重み係数a0〜a3を出力する。又ビームフォーマ77は、この係数a0〜a3(複素数)をそれぞれ乗算器78−0〜78−3に入力し、受信信号x(0) (n)〜x(3) (n)に乗算し、位相を合わせた状態として加算器79により合成し、出力信号y(n)をチャネル受信部75(図7参照)に入力する。
【0008】
図9は従来例の到来方向推定部の説明図であり、76は到来方向推定部、81−0〜81−3は相関計算部、82は加算器(Σ)、83はアレー重み係数計算部である。又相関計算部81−0〜81−3は、下方に相関計算部81として示すように、乗算器84と平均化フィルタ85とを含み、乗算器84に、m番目とm+1番目との隣接アンテナ素子からの受信信号x(m) (n),x(m+1) (n)に入力する。この場合、一方を複素共役(*で示す)として入力し、隣接するアンテナ素子による受信信号間の複素共役積(ラグが零の相互相関関数)を求め、これを平均化フィルタ85により時間平均をとって、相互相関関数R(m) を出力する。
【0009】
m番目のアンテナ素子による(n−1)T≦t<nTに於ける受信信号r(m) (t)は、(1)式のように表すことができる。又(1)式中のi=0〜N−1についてのφi (m) は(2)式に示すものとなる。
【数1】
Figure 0003716398
なお、Nはユーザ数、Ai は第iユーザ信号の受信振幅、ci (t)は第iユーザの拡散符号、τi は第iユーザの相対遅延、bi は第iユーザ送信シンボル、dはアンテナ素子間距離、θi は第iユーザ信号の到来角度、N(m) (t)は雑音信号、Tはシンボル長である。又説明の便宜上マルチパスを考慮しない。
【0010】
m番目のアンテナ素子による受信信号r(m) (t)を、第kユーザの拡散符号c(k) (t)で逆拡散を行った逆拡散出力信号x(k) (m) (n)は、(3)式に示すものとなる。なお、(3)式中のwij(n)は(4)式に示すものとなる。
【数2】
Figure 0003716398
【0011】
又図9に示す相関計算部81に於いて、m番目のアンテナ素子による受信シンボルx(m) (n)と、m+1番目のアンテナ素子による受信シンボルx(m+1) (n)との相関Rk (m) を(5)式により計算する。なお、<>印は平均化することを示し、(6)式は<>内を展開して示している。
【数3】
Figure 0003716398
【0012】
そして、相関Rk (m) を各アンテナ素子について平均をとり、隣接アンテナ素子間の相互相関関数Rk を(7)式に基づいて求める。ここで、Mはアンテナ素子数を示す。
【数4】
Figure 0003716398
【0013】
図9に於いては、相関計算部81−0〜81−2からの相関R(0) 〜R(2) を加算器82により加算する構成を示し、(7)式の〔1/(M−1)〕に関する計算機能を示していないが、(M−1)は固定値であるから、加算によって平均化した処理に相当することになる。
【0014】
又前述の(6)式の右辺第2項は無相関な信号であり、又|Wik(n)|が小さい値となる為、各ユーザの受信信号振幅Ai に大差が無ければ、平均化により右辺第1項の希望信号(第kユーザ)の位相差を抽出することができる。従って、(7)式による相互相関関数Rk を用い、その虚数部Im(Rk )と実数部Re(Rk )との比を基に、(8)式により、第kユーザの信号の到来角度θk を推定することができる。
【数5】
Figure 0003716398
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
前述の従来例の到来方向推定方法は、希望する信号の有無に拘らず、逆拡散処理後の信号中で最も強い信号の到来方向を推定することになる。従って、希望信号の受信振幅が小さい場合や、大きな干渉信号が存在する場合に、希望信号の正しい到来方向を推定することが困難となる。
【0016】
例えば、DS−CDMA通信システムに於いて、高速レートと低速レートとを含むマルチレート伝送を行う場合、高速レートの送信電力が大きいことから、低速レートのユーザの受信信号に対して、高速レートの受信信号が干渉信号となって、低速レートのユーザの希望信号に対する到来方向の推定が困難となる問題がある。
本発明は、拡散符号にシンボル長より長い周期の符号(ロングコード)を用いたDS−CDMA通信システムに於いて、干渉信号が存在する場合でも、希望信号の正しい到来方向の推定を可能とすることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明のアレーアンテナによる到来方向推定方法は、シンボル長より長い周期のロングコードにより拡散処理して送信するDS−CDMA通信システムに於いて、アレーアンテナによる受信信号を逆拡散した逆拡散出力信号を、既知シンボルにより逆変調した信号の中の隣接するアンテナ素子対応の信号間の零以外のラグの相互相関関数を求め、この相互相関関数を基に希望信号の到来方向を推定する過程を含むものである。
【0018】
又隣接するアンテナ素子対応の既知シンボルにより逆変調した信号間の零以外のラグの相互相関関数として、複数の異なるラグに於ける相互相関関数の平均値を用いる過程、又は隣接するアンテナ素子対応の逆変調出力信号間の零以外のラグとして、正の複数のラグと負の複数のラグとの双方を用いて相互相関関数を求める過程を含むことができる。又既知シンボルとして、パイロットシンボルを用いる過程或いは判定したデータを帰還して用いる過程を含むことができる。
【0019】
又本発明のDS−CDMA受信装置は、シンボル長より長い周期のロングコードにより拡散処理して送信するDS−CDMA通信システムに於けるDS−CDMA受信装置であって、アレーアンテナ素子1−1〜1−(M−1)による受信信号r(0) 〜r(M-1) を逆拡散する逆拡散部3−0〜3−(M−1)と、これらの逆拡散部3−0〜3−(M−1)からの逆拡散出力信号x(0) 〜x(M-1) を入力するビームフォーミング部4と、チャネル受信部5とを含み、ビームフォーミング部4は、逆拡散出力信号x(0) 〜x(M-1) を既知シンボルにより逆変調する逆変調部8と、この逆変調部8により変調成分を除去した信号を入力する到来方向推定部6と、この到来方向推定部6からの重み係数を逆拡散出力信号x(0) 〜x(M-1) に乗算して合成するビームフォーマとを備えている。
【0020】
又逆変調部8は、既知シンボルとしてパイロットシンボル或いは判定出力データを帰還して用いる構成とすることができる。又到来方向推定部は、逆変調部8からの隣接アンテナ素子対応の信号の相互相関関数を求める相関計算部と、アレー重み係数計算部とを含み、ラグ零以外の複数のラグについての相互相関関数を求めて平均化し、それを基に到来方向を推定した結果の重み係数を出力することができる。その場合の複数のラグについての相互相関関数を第1,第2のシフトレジスタを設けることによって算出することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態のDS−CDMA受信装置の説明図であり、1−0〜1−(M−1)は受信アンテナを構成するM個のアレーアンテナ素子、2−0〜2−(K−1)はK個のチャネル対応の受信処理部、3−0〜3−(M−1)はM個の逆拡散部、4はビームフォーミング部、5はチャネル受信部、6は到来方向推定部、7はビームフォーマ、8は逆変調部を示す。受信処理部2−0〜2−(K−1)は同一の構成を有し、アレーアンテナ素子2−0〜2−(K−1)による受信信号が入力される。
【0022】
図1に於いては、拡散符号にシンボル長より長い周期の符号(ロングコード)を用いたDS−CDMA通信システムに於ける受信装置を示し、M個のアレーアンテナ素子1−0〜1−(M−1)による受信信号r(0) 〜r(M-1) を、それぞれ逆拡散部3−0〜3−(M−1)に入力し、例えば、受信処理部2−0に於いては、拡散符号C0 により逆拡散する。
【0023】
この場合、移動局等の送信装置は、ロングコードの拡散変調部を有するものであり、図2にその拡散変調部の一例を示す。同図に於いて、11,12,14〜17は乗算器(排他的論理和回路)、13はスクランブル変調部、18〜21は極性変換部、22,23は加算器を示す。
【0024】
データシンボルに対しては直交符号のショートコードSCiを乗算器11に於いて乗算して符号拡散し、パイロットシンボルに対しては直交符号のショートコードSCqを乗算器12に於いて乗算して符号拡散し、直交チャネル(I,Q)に振り分ける。
【0025】
又シンボル長より長い周期の直交符号のロングコードLCi,LCqも直交チャネル(I,Q)に振り分けて乗算器14〜17に入力する。例えば、ショートコードSCiにより符号拡散されたデータシンボルに、乗算器14に於いてロングコードLCiを乗算し、乗算器17に於いてロングコードLCqを乗算してスクランブル変調する。又ショートコードSCqにより符号拡散されたパイロットシンボルに、乗算器15に於いてロングコードLCqを乗算し、乗算器16に於いてロングコードLCiを乗算してスクランブル変調する。この場合のパイロットシンボルは、所定長のデータシンボル毎にそれより少ないシンボル数の既知のシンボルとして挿入して送信することができる。或いは、データシンボルに対して直交した位相でデータシンボルと共にパイロットシンボルを送信することもできる。
【0026】
各乗算器14〜17の出力信号を極性変換部18〜21に於いて、例えば、論理“0”を+1、論理1を−1に変換して、加算器22,23に入力する。加算器22は、極性変換部18の出力信号を+、極性変換部19の出力信号を−として加算する。即ち、減算処理を行う。又加算器23は、極性変換部20,21の出力信号を加算する。従って、加算器22,23の出力信号は+1,0,−1の3値の信号となる。この3値の信号は、図示を省略した無線送信部に於いて直交変調等を行って送信するものであり、ロングコードにより拡散変調された信号を送信することになる。
【0027】
本発明の実施の形態の図1に示すDS−CDMA受信装置の逆拡散部3−0〜3−(M−1)は、図2に示す拡散変調部の逆の処理を行うもので、例えば、図3に示す構成を有するものである。即ち、デスクランブル復調部31と、逆拡散部32〜35とを含み、デスクランブル復調部31は、乗算器36−1〜36−4と加算器37−1,37−2とを含む構成を有するものである。
【0028】
図示を省略した無線受信部に於いて受信して直交復調されたI,Qチャネルの受信信号は、デスクランブル復調部31に入力されて、ロングコードLCi,LCqによってデスクランブルされ、それぞれ逆拡散部32〜35に入力される。そして、逆拡散部32,33に於いて、ショートコードSCiにより逆拡散されて、I,QチャネルのデータシンボルDI ,DQ として出力される。又逆拡散部34,35に於いて、ショートコードSCqにより逆拡散されて、I,QチャネルのパイロットシンボルxI ,xQ として出力される。
【0029】
即ち、図1に示す逆拡散部3−0〜3−(M−1)は、逆拡散処理によりデータシンボルとパイロットシンボルとを出力する構成を有するものである。そして、本発明に於いては、既知のシンボルを用いて、到来方向推定の為の相互相関関数を求めるものであり、既知のシンボルとしては、前述のパイロットシンボルを用いることができるが、同様に、チャネル受信部5に於ける判定部に於いて判定したデータシンボルを逆変調部8に帰還して、既知のシンボルとして用いることができる。なお、図1に於いては、既知シンボルとしてパイロットシンボルを用いる場合を示す。
【0030】
逆拡散を行った信号xk (m) (n)を、第kユーザの既知の送信シンボルbk (n)により逆変調を行って、変調成分を除去したシンボルをzk (m) (n)とすると、(9)式に示すものとなり、これを展開すると、(10),(11)式に示すものとなる。又(11)式中のWij(n)は、(12)式に示すものである。
【数6】
Figure 0003716398
なお、Ak は第kユーザの受信振幅、ck (t)は第kユーザの拡散符号、τk ,τi は第k,第iユーザの相対遅延、N(m) (n)は雑音信号、Tはシンボル長を示す。
【0031】
又m番目のアンテナ素子対応の受信シンボルz(m) (n)と、m+1番目のアンテナ素子対応の受信シンボルの前後のLシンボルとの相関R(m) は、(13)式に示すように、−Lから+Lまでのラグ零を除く正負方向の2Lシンボル分の複素共役積の累算に(1/2L)を乗算して平均化したものとなる。なお、その累算記号Σの項は(14)式に示す。
【数7】
Figure 0003716398
【0032】
この(13),(14)式に於いては、零以外のラグ(時間遅延)の正のラグと負のラグとの両方を用い、且つ正負のラグのそれぞれLシンボル分について相関を求める場合を示す。なお、異なる複数のラグ(時間遅延)に於ける相互相関を求める場合に、正方向のみ或いは負方向のみの複数のラグのLシンボル分について相関を求めることができる。又正方向と負方向との異なるラグの異なる数のシンボル分について相関を求めることも可能である。
【0033】
前述のように、m番目のアンテナ素子対応の受信シンボルz(m) (n)と、これに対するm+1番目のアンテナ素子対応の受信シンボルz(m+1) (n)の零のラグ(時間遅延)以外の正負方向のそれぞれ異なるラグのLシンボル分について相関を求め、その相関を基に到来方向を推定するものであり、フェージング等による位相変動がある場合でも、その影響を受けにくくすることができる。
【0034】
そして、(13)によるR(m) の平均をとることにより、隣接アンテナ素子間の相互相関関数Rk を(15)式によって求め、この相互相関関数Rk を用いて第kユーザの到来角度θk を、前述の(8)式と同様の(16)式によって求めることができる。
【数8】
Figure 0003716398
【0035】
図4は本発明の実施の形態のビームフォーミング部の説明図であり、4個のアンテナ素子に対応した場合の構成を示し、4はビームフォーミング部、6は到来方向推定部、7はビームフォーマ、8は逆変調部、41〜44は乗算器、45は加算器(Σ)を示す。
【0036】
4個のアンテナ素子対応の逆拡散出力信号x(0) (n)〜x(3) (n)をビームフォーミング部4に入力し、逆変調部8に於いて前述の(10)式に示すように、パイロットシンボル等の既知の送信シンボルにより逆変調して、変調成分を除去した信号z0〜z3を出力する。この信号z0〜a3は、例えば、パイロットシンボルを受信した時に、逆拡散出力信号x(0) (n)〜x(3) (n)にパイロットシンボルを乗算するによって、パイロットシンボル成分を除く希望信号の搬送波に相当する信号が得られる。
【0037】
到来方向推定部6は、逆変調された信号z0〜z3を基に重み係数a0〜a3を計算してビームフォーマ7の乗算器41〜44に入力する。この到来方向推定部6は、図5に示すように、相関計算部51〜53と、加算器54(Σ)と、アレー重み係数計算部55とを含み、相関計算部51〜53は、図6に示すように、第1,第2のシフトレジスタ61,62と加算器(Σ)63と乗算器64と平均化フィルタ65とを備えている。
【0038】
到来方向推定部6は、図9に示す従来例と類似しているが、その相関計算部の構成が相違するものである。即ち、本発明の実施の形態に於ける相関計算部は、第1のシフトレジスタ61にm番目のアンテナ素子に対応する逆変調出力信号z(m) (n)を入力し、第2のシフトレジスタ62にm+1番目のアンテナ素子に対応する逆変調出力信号z(m+1) (n)を入力する。この第2のシフトレジスタ62のラグ零に相当するシンボル以外の正負方向にそれぞれLシンボル分を加算器63により加算し、乗算器64に入力する。
【0039】
従って、乗算器64により、第1のシフトレジスタ61を介したm番目のアンテナ素子に対応する逆変調出力信号z(m) (n)と、第2のシフトレジスタ62の中央のラグ零以外の正負方向のLシンボル分のm+1番目のアンテナ素子に対応する逆変調出力信号z(m+1) (n)との複素共役積を求め、この出力信号を平均化フィルタ65により平均化する。即ち、(17)式によって相関R(m) を求めることができる。又(18)式は累算記号Σの項を展開したものであり、(17)式の相関R(m) を各アンテナ素子について平均をとり、隣接アンテナ素子間の相互相関関数Rk を(19)式によって求めることができる。
【数9】
Figure 0003716398
【0040】
図5に於いては、相関計算部51〜53の出力信号R(0) 〜R(2) を、加算器54によって加算しているが、(19)式の〔1/(M−1)〕は、アレーアンテナ素子数に従って平均化するものであり、このアレーアンテナ素子数が予め定まっているから、図5に於いては〔1/(M−1)〕の演算処理機能を含めていないものである。
【0041】
(19)式による相互相関関数Rk を用いて、(20)式により第kユーザの到来角度θk を求める。
【数10】
Figure 0003716398
即ち、相互相関関数Rk の虚数部Im(Rk )と実数部Re(Rk )との比を基に到来角度θk を求めることができる。
【0042】
ビームフォーマ7に加える重み係数ak (m) は、(21)式により求めることができ、それによるビームフォーマ7の出力信号yk,D (n),yk,P (n)は(22)式に示すものとなる。
【数11】
Figure 0003716398
【0043】
即ち、図4に於いて、到来方向推定部6からの重み係数a(0) 〜a(3) は、(21)式により求めることができるもので、ビームフォーマ7の乗算器41〜44にそれぞれ入力して逆拡散出力信号x(0) (n)〜x(3) (n)に乗算すると、重み係数a(0) 〜a(3) は、相互相関関数Rk の複素共役に相当するから、加算器45により、推定到来方向の位相に合わせて逆拡散出力信号x(0) (n)〜x(3) (n)を、m=0からm=M−1まで、即ち、アレーアンテナ素子1−0〜1−(M−1)対応に合成して出力し、チャネル受信部5(図1参照)に入力してチャネル対応のデータ及びパイロットを復調出力することができる。
【0044】
本発明は前述の実施の形態にのみ限定されるものではなく、種々付加変更することができるものであり、到来方向推定部6等の演算機能は、例えば、ディジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)等の演算機能によって実現することも可能であり、又他の機能についても同様にプロセッサの処理機能によって実現することも可能である。又チャネル間の干渉を除去する干渉キャンセラ等を設けることも可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、拡散符号にシンボル長より長い周期の符号(ロングコード)を用いたDS−CDMA通信システムに於いて、アレーアンテナ素子1−0〜1−(M−1)対応の逆拡散出力信号を、既知のシンボルで逆変調し、その逆変調出力信号を用いて、隣接アンテナ素子対応の逆変調出力信号間の零以外のラグ(時間遅延)の相互相関関数を求め、この相互相関関数を基に希望信号の到来方向を推定するものであり、希望信号の受信レベルが低い場合や、干渉信号レベルが高い場合に於いても、希望信号の到来方向を精度良く推定することができる利点がある。従って、アレーアンテナによるアンテナ利得の増加と共に、干渉除去が可能となり、送信電力の低減が可能となる。
【0046】
又隣接アンテナ素子対応の逆変調出力信号間の零以外のラグの正負方向の複数のシンボルについての相互相関関数を求めて平均化することにより、フェージング等による位相変動に対しても、希望信号の到来方向の推定程度を向上することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のDS−CDMA受信装置の説明図である。
【図2】送信装置の拡散変調部の説明図である。
【図3】本発明の実施の形態に於ける逆拡散部の説明図である。
【図4】本発明の実施の形態のビームフォーミング部の説明図である。
【図5】本発明の実施の形態の到来方向推定部の説明図である。
【図6】本発明の実施の形態の相関計算部の説明図である。
【図7】アレーアンテナを用いた基地局の受信装置の説明図である。
【図8】従来例の到来方向推定部を有するビームフォーミング部の説明図である。
【図9】従来例の到来方向推定部の説明図である。
【符号の説明】
1−0〜1−(M−1) アレーアンテナ素子
2−0〜2−(K−1) 受信処理部
3−0〜3−(M−1) 逆拡散部
4 ビームフォーミング部
5 チャネル受信部
6 到来方向推定部
7 ビームフォーマ
8 逆変調部

Claims (10)

  1. シンボル長より長い周期のロングコードにより拡散処理して送信するDS−CDMA通信システムに於いて、アレーアンテナによる受信信号を逆拡散し、該逆拡散出力信号を既知シンボルにより逆変調した信号の中の隣接するアンテナ素子に対応する信号間の零以外のラグの相互相関関数を求め、該相互相関関数を基に希望信号の到来方向を推定する過程を含む
    ことを特徴とするアレーアンテナによる到来方向推定方法。
  2. 前記隣接するアンテナ素子対応の前記逆変調した信号間の零以外のラグの相互相関関数として、複数の異なるラグに於ける相互相関関数の平均値を用いる過程を含むことを特徴とする請求項1記載のアレーアンテナによる到来方向推定方法。
  3. 前記隣接するアンテナ素子に対応の前記逆変調した信号間の前記零以外のラグとして、正のラグと負のラグとの双方を用いて、前記相互相関関数を求める過程を含むことを特徴とする請求項1記載のアレーアンテナによる到来方向推定方法。
  4. 前記受信信号を既知シンボルにより逆変調する既知シンボルとして、パイロットシンボルを用いる過程を含むことを特徴とする請求項1記載のアレーアンテナによる到来方向推定方法。
  5. 前記受信信号を既知のシンボルにより逆変調する既知シンボルとして、判定したデータを帰還して用いる過程を含むことを特徴とする請求項1記載のアレーアンテナによる到来方向推定方法。
  6. シンボル長より長い周期のロングコードにより拡散処理して送信するDS−CDMA通信システムに於けるDS−CDMA受信装置に於いて、
    アレーアンテナ素子による受信信号を逆拡散する逆拡散部と、
    該逆拡散部からの逆拡散出力信号を入力するビームフォーミング部と、
    該ビームフォーミング部からの出力信号を入力するチャネル受信部とを含み、
    前記ビームフォーミング部は、前記逆拡散出力信号を既知シンボルにより逆変調する逆変調部と、該逆変調部により変調成分を除去した信号を入力する到来方向推定部と、該到来方向推定部からの重み係数を乗算してアレーアンテナ素子対応の信号を合成して出力するビームフォーマとを有する
    ことを特徴とするDS−CDMA受信装置。
  7. 前記逆変調部は、前記逆拡散部からの逆拡散出力信号をパイロットシンボルにより逆変調する構成を備えたことを特徴とする請求項6記載のDS−CDMA受信装置。
  8. 前記逆変調部は、前記逆拡散部からの逆拡散出力信号を前記チャネル受信部に於ける判定出力データを帰還して逆変調する構成を備えたことを特徴とする請求項6記載のDS−CDMA受信装置。
  9. 前記到来方向推定部は、隣接アンテナ素子対応の前記逆変調部の出力信号間の相互相関を求める相関計算部と、該相関計算部による相互相関関数を基にビームフォーマに入力する重み係数を算出するアレー重み係数計算部とを含み、前記相関計算部は、ラグ零以外の正負の複数のラグの相互相関関数を求める構成を有することを特徴とする請求項6記載のDS−CDMA受信装置。
  10. 前記相関計算部は、前記逆変調部からの隣接アンテナ素子対応の出力信号を入力する第1,第2のシフトレジスタと、相関を求める乗算器と、平均化フィルタとを含み、前記第2のシフトレジスタは、前記第1のレジスタから前記乗算器に入力するシンボルに対してラグ零以外の正負の複数のシンボルを前記乗算器に入力する構成を有することを特徴とする請求項6又は9記載のDS−CDMA受信装置。
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