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JP4195784B2 - 多段rake結合方法および装置 - Google Patents

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Description

【0002】
(発明の分野)
本発明は、通信方法および装置に関し、更に特定すれば、スペクトル拡散通信方法および装置に関する。
【0003】
(発明の背景)
ワイヤレス通信システムは、音声およびデータ通信を加入者に提供するために一般的に採用されている。例えば、AMPS、ETACS、NMT−450、およびNMT−900と命名されているシステムのように、アナログ・セルラ無線電話システムは、長年にわたり世界中で展開され成功を収めている。北アメリカ規格IS−54やヨーロッパ規格GSMに準拠するシステムのようなディジタル・セルラ無線電話システムは、1990年代初期からサービスが開始されている。更に最近になって、PCS(個人通信サービス)と広く呼ばれている多種多様のワイヤレス・ディジタル・サービスが導入された。これには、IS−136およびIS−95のような規格に準拠した高度ディジタル・セルラ・システム、DECT(ディジタル改良コードレス電話)のような低電力システム、およびCDPD(セルラ・ディジタル・パケット・データ)のようなデータ通信サービスが含まれる。これらおよびその他のシステムは、Gibsonが編集しCRC Pressが出版したThe Mobile Communications Handbook(移動通信ハンドブック)(1996年)に記載されている。
【0004】
図1は、典型的な地上セルラ無線電話通信システム20を示す。セルラ無線電話システム20は、基地局26が担当する複数のセル24と通信する1台以上の無線電話機(端末)22、および移動電話交換局(MTSO)28を含むことができる。図1には3つのセルだけを示すが、典型的なセルラ・ネットワークは数百個のセルを含む場合もあり、1カ所よりも多いMTSOを含む場合もあり、数千台の無線電話機を担当する場合もある。
【0005】
セル24は、一般に、通信システム20内のノードとして機能し、セル24を担当する基地局26を介して、無線電話機22およびMTSO28間でリンクが確立される。各セル24には、1つ以上の専用制御チャネルおよび1つ以上のトラフィック・チャネルが割り当てられている。制御チャネルは、セル識別およびページング情報を送信するために用いられる専用チャネルである。トラフィック・チャネルは、音声およびデータ情報を搬送する。セルラ・ネットワーク20を通じて、2台の移動端末22間、または移動端末と陸線電話機ユーザ32との間で、公衆電話交換網(PSTN)34を介してデュプレクス無線通信リンクを形成することができる。基地局26の機能は、セル24および移動端末22間の無線通信を処理することである。この容量内で、基地局26は、データおよび音声信号の中継局として機能する。
【0006】
図2に示すように、衛星42を用いて、従来の地上基地局が実行する機能と同様の機能を実行することができ、例えば、人口がまばらに散在している区域や、地形が凸凹で従来の陸線電話機や地上セルラ電話インフラストラクチャでは技術的および経済的に実用的でない区域に対応することができる。衛星無線電話システム40は、通例では、1機以上の衛星42を含み、1カ所以上の地球局44および端末23間でリレーまたはトランスポンダとして機能する。衛星は、二重リンク46を介して端末23および地球局44に無線電話通信を伝達する。一方、地球局44は公衆電話交換網34に接続することができ、衛星無線電話機間の通信、および衛星無線電話機と従来の地上セルラ無線電話機または陸線電話機との間の通信を可能にする。衛星無線電話システム40は、システムが担当する区域全体をカバーする単一のアンテナ・ビームを利用することができ、あるいは図示のように、衛星は、多数の極力重複しないビーム48を生成するように設計し、各ビームがシステムのサービス領域における異なる地理的カバレッジ区域50を担当するようにすることもできる。カバレッジ区域50は、図1の地上セルラ・システム20のセルと同様の機能を果たす。
【0007】
従来より、図1および図2に示すようなワイヤレス・システムのユーザにワイヤレス・サービスを提供するために、数種類のアクセス技法が用いられている。一般に、従来のアナログ・セルラ・システムは、周波数分割多元接続(FDMA)と呼ばれるシステムを採用して通信チャネルを作成し、離散周波数帯域がチャネルとして機能し、これを通じてセルラ端末がセルラ基地局と通信する。通例では、これらの帯域は、地理的に分離されているセルにおいて再利用され、システム容量を高めるようにしている。
【0008】
最近のディジタル・ワイヤレス・システムは、通例では、時分割多元接続(TDMA)および/または符号分割多元接続(CDMA)のような異なる多数のアクセス技法を利用して、スペクトル効率向上を図っている。TDMAシステムでは、GSMまたはIS−136規格に準拠するシステムのように、キャリアは連続するタイム・スロットに分割され、これらが多数のチャネルに割り当てられて、複数のチャネルを単一のキャリア上で多重化できるようにしている。CDMAシステムは、IS−95規格に準拠するシステムのように、チャネル容量の増大を図るために、「スペクトル拡散」技法を用いている。この場合、一意の拡散コード、即ち、元のデータ変調キャリアを、通信システムが動作する周波数スペクトルの広い部分にわたって拡散するコードによって変調することによってチャネルを規定する。
【0009】
従来のスペクトル拡散CDMA通信システムは、一般に、いわゆる「直接拡散」スペクトル拡散変調を用いている。直接拡散変調では、データ変調キャリアは、拡散コードまたはシーケンスによって直接変調され、その後に電力増幅器によって増幅され、通信媒体、例えば、空気インターフェースを通じて送信される。拡散コードは、通例では、チップ・レートで発生する「チップ」のシーケンスを含む。チップ・レートは、通例では、送信するデータのビット・レートよりも遥かに高い。
【0010】
かかるシステムの典型的な送信動作を図3に示す。異なるユーザからのデータ・ストリームは、エラー訂正コーディングまたはインターリービングのような種々の信号処理ステップを受け、ユーザ特定拡散コードおよび群特定スクランブリング・コードの組み合わせを用いて拡散される。ユーザからのコード化データ・ストリームは、次いで、結合され、キャリア変調を受け、複合信号として通信媒体内で送信される。一般に、CDMAシステムの性能は、異なるユーザ信号間の干渉によって制限される。拡散/逆拡散によってある程度の干渉抑制が得られるが、ユーザ数は一般に干渉によって制限される
【0011】
ユーザ・データ・ストリームの1つに対応する情報を復元するために、いわゆるRAKE受信機構造が一般的に用いられている。典型的なRAKE受信機では、受信した複合信号は、通例では、その受信機に割り当てられた特定の拡散シーケンスと相関付けられ、複数の時間オフセット相関を生成する。その各1つは、送信されるスペクトル拡散信号のエコーに対応する。次いで、重み付けして相関を結合する。即ち、それぞれの相関をそれぞれの重み係数と乗算し、次いで合計して判断統計を生成する。多段結合技法を含む、いくつかの結合技法が提案されている。多段結合技法では、それぞれのマルチパスからの逆拡散値を選択的に結合する。これは、1996年11月12日に Lomp に発行された米国特許第5,574,747号、および1998年2月25日に公開された Higashi et al. のヨーロッパ特許出願公開EP0825727号に記載されている通りである。
【0012】
従来のRAKE受信技法は、一般に、干渉を白色ノイズとして扱っている。更に最近になって提案された技法には、干渉の「白色化」によって、ある程度の干渉打ち消しを図ったものがある。かかる技法の例は、 Monk et al.の“A Noise Whitening Approach to Multiple Access Noise Rejection-Part I: Theory and Background”(多元接続ノイズ除去に対するノイズ白色化手法−第1部:理論および背景)、 IEEE Journal on Selected Areas in Communications, vol. 12, pp., 817-827 (1994年6月)、Monk et al.の“A Noise Whitening Approach to Multiple Access Noise Rejection-Part II: Implementation Issues”(多元接続ノイズ除去に対するノイズ白色化手法−第2部−実施の問題)、IEEE Journal on Selected Areas in Communications, vol. 14, pp.1488-1499 (1996年10月)、Klein の“Data Detection Algorithms Specifically Designed for the Downlink of CDMA Mobile Radio Systems”(CDMA移動無線システムのダウンリンクに特別に設計したデータ検出アルゴリズム)、 1997 IEEE Vehicular Technology Conference, Phoenix AZ(1997年5月4〜7日); Dent et al.の米国特許第5,572,552号(1996年11月5日発行)、およびBottomley の“Optimizing the Rake Receiver for Demodulation of Downlink CDMA Signals”(ダウンリンクCDMA信号の復調のためのRAKE受信機の最適化)、 Proceedings of the 43rd IEEE Vehicular Technology Conference, Secaucus NJ (1993年5月18〜20日)に記載されている。
【0013】
あいにく、これらの手法は実際の受信機に実施するには非常に複雑でしかも困難な可能性がある。白色化手法は、RAKEフィンガの数が受信信号内の解明可能なマルチパスの数を大きく上回る場合には劇的な利得が得られることが多く、したがって、かかる手法によってもたらされる性能利得(performance gain)を得るには、複雑な受信機の設計が必要となる場合がある。この複雑性は、端末が同時に多数の基地局から信号を受信しているソフト・ハンドオフの状況では更に増幅される可能性がある。加えて、広帯域幅の次世代CDMAシステムでは、広帯域CDMA(WCDMA)およびcdma2000のように、マルチパス数の増大により、更に一層複雑な受信機の設計が必要になる可能性がある。
【0014】
(発明の概要)
前述に鑑み、本発明の目的は、通信媒体内で送信されるスペクトル拡散信号が表す情報を復元する、改良された方法および装置を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、通信媒体内で送信される他のスペクトル拡散信号からの干渉を補償することができ、スペクトル拡散信号が表す情報を復元する、改良された方法およびシステムを提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、従来の干渉抑制技法よりも複雑度を抑えた受信機の動作およびアーキテクチャを用いて実施可能な、スペクトル拡散信号からの情報を復元する、改良された方法およびシステムを提供することである。
【0017】
これらおよびその他の目的、特徴ならびに利点は、本発明によれば、スペクトル拡散信号を含む複合信号を所望の拡散シーケンスと相関付け、得られた相関に多段結合プロセスを適用し、相関の各群を結合して中間結合値を生成し、次いで複合信号における相関欠損を補償するようにこれらを結合する方法および装置によって得ることができる。第1結合段は、好ましくは従来からのRAKE結合プロセスであり、チャネル推定値にしたがって相関を結合する。第2結合段は、マルチユーザ干渉およびその他の相関欠損を打ち消すために、多数の異なる技法を用いることができ、その技法には明示的計算技法、干渉除去結合(IRC)、または適応的技法が含まれる。多段手法を用いると、より複雑な干渉打ち消し結合動作において結合されるフィンガ・エレメントの数を削減することにより、潜在的な複雑さの低減がもたらされる。また、多段手法は、混合結合技法にも適している。
【0018】
特に、本発明の態様によれば、通信媒体内で送信するスペクトル拡散信号内にエンコードされている情報を復元する。スペクトル拡散信号を含む複合信号を通信媒体から受信し、拡散シーケンスと相関付けて時間オフセット相関を発生する。相関の第1および第2群それぞれを、例えば、推定チャネル係数にしたがって結合し、第1および第2結合値をそれぞれ生成する。次に、複合信号における相関欠損を補償するように、第1および第2結合値を結合し、送信スペクトル拡散信号内の推定情報を発生する。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、推定欠損相関と、直前の結合動作を反映する複合チャネル応答とに基づいて、第1および第2結合値を結合する。複合チャネル応答および欠損相関を推定し、重み係数を発生するために用いることができ、重み係数を用いて、第1および第2結合値を結合する。また、重み係数は、推定複合チャネル応答、推定欠損相関、および以前に決定した重み係数から繰り返し発生することも可能である。本発明の別の実施形態によれば、第2結合段によって発生した結合値の、パイロット・シンボル値またはデコード・シンボル値のような基準値に対する比較に基づいて適応的に推定した重み係数にしたがって、第1および第2結合値を結合する。
【0020】
本発明の別の態様によれば、複合信号に含まれるスペクトル拡散信号内にエンコードされている情報を復元する装置は、複合信号を拡散シーケンスと相関付け、時間オフセット相関を発生するように動作する相関部を含む。多段コンバイナは、相関部に応答し、相関の各群を結合して各中間結合値を求め、更に複合信号内の相関欠損を補償するように中間結合値を結合し、送信スペクトル拡散信号内の情報を推定するように動作する。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、多段コンバイナは、相関部に応答して、相関の第1群を結合し第1結合値を生成する第1コンバイナを含む。第2コンバイナは、相関部に応答し、相関の第2群を結合して第2結合値を生成する。第3コンバイナは、第1コンバイナおよび第2コンバイナに応答し、複合信号内の相関欠損を補償するように第1および第2結合値を結合し、送信スペクトル拡散信号内の情報の推定値を発生するように動作する。
【0022】
第1および第2コンバイナは、例えば、チャネル係数推定値を用いて、スペクトル拡散信号を受信したチャネルの効果を補償するように、相関の第1および第2群を結合することができる。第3コンバイナは、推定欠損相関と、第1および第2コンバイナの効果を反映する複合チャネル応答とに基づいて、例えば、推定複合チャネル応答および推定欠損相関から決定した重み係数を用いて、第1および第2値を結合するように動作する。あるいは、第3コンバイナは、適応的に推定した重み係数にしたがって、第1および第2値を結合してもよい。
【0023】
(好適な実施形態の詳細な説明)
これより、本発明の好適な実施形態を示す添付図面を参照しながら本発明について以下に更に詳しく説明する。しかしながら、本発明は多くの異なる形態でも具体化することができ、ここに明記する実施形態に限定するように解釈してはならない。逆に、これらの実施形態は、この開示を完全なものにするため、そして本発明の範囲を当業者に完全に伝達するために提示するのである。図面において、同様の番号は同様のエレメントを示すこととする。
【0024】
この論述は、ワイヤレス通信システムに関し、更に特定すれば、ワイヤレス符号分割多元接続(CDMA)システム、例えば、IS−95規格に準拠するシステムまたは広帯域CDMA(WCDMA、CDMA2000等)に準拠するシステムに関する。かかるワイヤレス通信システムでは、1つ以上のアンテナが、例えば、移動端末または基地局内に配置されている送信機が発生する電磁波形を放射する。波形は、無線伝搬環境において伝搬され、1つ以上のアンテナを介して受信機によって受信される。尚、この説明では無線環境を引用するが、本装置および方法は、有線通信および磁気記憶媒体からのデータの復元というような他の環境にも適用可能であることは理解されよう。
【0025】
本発明は、多数の結合段を用いることによって、複雑さを低減しても、干渉の抑制が達成可能であるという認識から生まれた。本発明の一実施形態では、チャネル係数にしたがって相関群を結合し、結合値を生成する。次に、結合値を再度結合し、例えば、複合チャネル応答および欠損相関(impairment correlation)から得られる重み係数または適応フィルタリング技法を用いて推定される重み係数を用いて、干渉の抑制を図る。
【0026】
図4は、本発明の一実施形態による多段RAKE受信機400であり、通信媒体から受信した複合信号r(t)からの所望の拡散シーケンスsdにしたがって送信されたスペクトル拡散信号が表す情報を復元する。例えば、受信機400は、複合信号r(t)を受信する手段、例えば、信号r(t)を増幅し、復号し、濾波し、受信信号r(t)のベースバンド・サンプルr(k)を生成するというような動作を実行する無線プロセッサ405である。相関部410は、ここでは相関器414a〜414Lのバンクにリンクされた遅延412a〜412Lのバンクとして示されており、遅延したベースバンド信号r(k)を所望の拡散シーケンスsdに相関付ける。尚、無線プロセッサ405は、種々の他の機能を実行することができ、相関部410は、移動相関器(sliding correlator)を用いたり、所望のシーケンスsdを遅延させ相関器414a〜414Lの後段に遅延412a〜412Lを置くことによる等して、別の形態でも実施可能であることは認められよう。
【0027】
相関部410によって生成される第1および第2相関群x0〜xi, xj〜xQのそれぞれは、第1および第2コンバイナ420a、420bのそれぞれにおいて結合される。ここでは、チャネル補償コンバイナとして示されており、チャネル推定器420によって推定されるチャネル係数clにしたがって、相関を結合する。ここで用いる場合、「チャネル補償」結合とは、概略的に、チャネル応答に一致させる動作を含むがこれに限定されない、チャネル係数の使用を含む結合動作を意味する。尚、チャネル推定器430は、多数の異なる方法でチャネル係数を推定することができ、例えば、パイロット・シンボル(例えば、パイロットまたは他のチャネルにおいて)、あるいは復元したデータ・シンボルによって推定してもよいことは認められよう。かかる技法は、当業者には公知であり、ここではこれ以上詳しく説明しない。
【0028】
第1および第2コンバイナ420a、420bによって生成された第1および第2結合値y0,y1は、第3コンバイナ450において結合される。ここでは、第3コンバイナは、相関欠損補償コンバイナとして示されており、重み係数発生器440によって発生した重み係数重み係数wにしたがって、第1および第2結合値y0,y1を結合する。以下で詳細に示すが、重み係数発生器440は、多数の異なる方法で重み係数wを発生することができ、推定複合チャネル応答および推定欠損相関からの明示的な計算による方法、または適応フィルタリング技法による方法を含む。第3コンバイナ450は、判断統計zを生成し、検出器460がこれを用いて、所望の拡散シーケンスsdに対応する情報、即ち、送信されたスペクトル拡散信号が元来表す情報を推定することができる。検出器460は、例えば、畳み込みデコーディングまたはターボ・デコーディングのような、ソフト判断デコーディングを実施することができる。
【0029】
尚、図4の受信機は、多数の異なる方法で実施可能であることは認められよう。この説明は、ワイヤレス通信システムの基地局と通信するように動作する移動端末またはその他の端末における受信機400の使用に言及するが、受信機400は、多数の別の形態でも実施可能であり、限定する訳ではないが、セルラ基地局送受信機、衛星送受信機、有線送受信機、およびその他の通信デバイスにおいて用いられる受信機を含む。相関部410、コンバイナ420a、420b,450、チャネル推定器430、重み係数発生器440、および検出器460は、例えば、特定用途集積回路(ASIC)、ディジタル信号プロセッサ(DSP)チップ、またはここに記載する処理機能を実行するように構成された他の処理デバイスを用いて実施することができる。また、一般には、受信機400のこれらおよびその他の構成部品は、特殊目的回路、ソフトウエア、あるいは特殊または汎用データ処理デバイス上で実行するファームウエア、またはこれらの組み合わせを用いて実施可能であることも理解されよう。
【0030】
IS−95システムの簡略化した2レイの例では、図4の相関部410のような相関部から生成される各相関群x0, x1およびx1, x2の相関x0, x1, x2は、以下のように表すことができる。
Figure 0004195784
Figure 0004195784
Figure 0004195784
【0031】
ここで、r(k)は受信信号のベースバンド・バージョンであり、s(k)は拡散シーケンスであり、W(k)は受信機に割り当てられたウォルシュ・シーケンスであり、p(k)は基地局が用いる複素スクランブリング・シーケンスである。説明を容易にするために、Nによる除算を含ませるが、実際にはこれを省略してもよい。第1および第2コンバイナは、図4の第1および第2コンバイナ420a、420bのラインに沿って、以下の式で与えられる第1第2結合出力y0, y1を生成する。
Figure 0004195784
Figure 0004195784
【0032】
ここで、
Figure 0004195784
および
Figure 0004195784
は、タイミングがx0およびx1に対応するレイと関連する複素チャネル係数推定値である。x2と関連するチャネル係数は0である。したがって、(4)および(5)は、双方のコンバイナにおいて同じチャネル係数が用いられているという点で、移動RAKE受信機(sliding RAKE receiver)を記述していると解釈することができる。
【0033】
次に、図4のコンバイナ450のような、重み付けコンバイナにおいて重み係数w0, w1にしたがって第1および第2結合値y0, y1を結合し、以下の式で表される判断統計zを求める。
Figure 0004195784
【0034】
ここで、Re{}は複素引数の実部を示す。判断統計は、例えば、ビット値(例えば、判断統計の符号に基づいて)を決定したり、あるいは後続のデコーディングのためにソフト値を与えるために用いることができる。
【0035】
(明示的な重み係数の決定)
本発明の第1実施形態によれば、重み係数発生器440によって発生する重み係数wを決定するには、最初にチャネル応答、および干渉するスペクトル拡散信号(例えば、同じ基地局または近隣の基地局からの信号)のパワーや熱ノイズを推定する。次に、チャネル応答推定値および所望の拡散シーケンスsdの統計的特性を用いて、「複合」チャネル(インパルス)応答hを決定する。これは、送信端上の送信パルス形状フィルタおよび/またはその他のエレメントの効果、ならびに通信媒体、無線処理エレメント、および第1、第2コンバイナ420a、420bの効果を反映する。チャネル応答推定値およびパワー推定値を用いて、全欠損相関Rを決定する。全欠損相関Rは、自己セル干渉、他セル干渉、および熱ノイズに帰することができるそれぞれの成分を含み、全欠損相関マトリクスRが得られる。次に、複合チャネル応答hおよび全欠損相関Rを用いて重み係数wを計算する。重み係数wを導出する際、拡散シーケンスの統計的特性を考慮に入れる。更に特定すれば、拡散シーケンス、およびこれらが関連する送信スペクトル拡散信号に関係する情報を用いて、重み係数wを明示的に計算する。重み係数2は、例えば、遅延412a〜412Lやチャネル推定値における大きな変更のときに、間欠的に計算することができる。
【0036】
1組の第1段コンバイナ(例えば、図4のコンバイナ420a、420b)が与えられると、重み付けコンバイナ450において用いられる最適結合重みは、次のように表すことができる。
Figure 0004195784
ここで、hは複合チャネル応答であり、送信フィルタ、媒体、受信フィルタ、および第1段コンバイナ応答を含み、Rは欠損相関マトリクスである。
【0037】
更に、複合チャネル応答hは次の式で与えられることも示すことができる。
Figure 0004195784
ここで、clおよびτlは媒体応答c(t)
Figure 0004195784
に関係し、Lはマルチパスの数であり、Nは拡散係数であり、Tcはチップ期間であり、Rp(t)はチップ波形の自己相関関数であり、C(m)は以下のように定義される拡散シーケンスの非周期的自己相関関数である。
Figure 0004195784
ここで、s(n)は拡散シーケンスのn番目のチップである。
複雑さを低減するためには、従来のチャネル推定を用いて式(8)の一部を推定することができ、必ずしもパルス形状および拡散コード情報を使わなくても済む。
【0038】
欠損相関マトリクスRは、3つの項に分解することができる。
Figure 0004195784
ここで、RISI, RMUI, およびRnは、それぞれ、シンボル間干渉、マルチユーザ(例えば、セル内)干渉、および添加白色ノイズである。
【0039】
Rのこれらの成分は、以下の式によって計算することができる。
Figure 0004195784
Figure 0004195784
Figure 0004195784
【0040】
ここで、γIはマルチユーザ干渉対信号パワー比であり、γNはノイズ対信号パワー比である。(12)における変数αは、{1,1}上の値を取り、直交拡散(orthogonal spreading)を用いる場合α=1であり、一方疑似ランダム拡散を用いる場合α=0である。種々の組み合わせ(d1, d2以外の組み合わせを含む)を考慮することによって、欠損相関マトリクスRの全要素を得ることができる(iにおける無限加算は、重要な項のみを含むように、例えば、i=−1、0、1だけで打ち切ることができる。前述の式から、受信機が、(1)チャネル・インパルス応答c(t)、(2)チップ波形の自己相関関数Rp(t)、(3)干渉対信号比(γI)、(4)ノイズ対信号比γN、および(5)拡散シーケンスの非周期的自己相関関数C(m)の知識を有していれば、重み係数wを明示的に計算することができる。
【0041】
多くの用途では、マルチユーザ干渉はシンボル間干渉よりも遥かに強い。したがって、欠損相関Rマトリクスは、以下の式で近似することができる。
Figure 0004195784
この場合、これらの項は、共通倍率、比率γI、γNにおける信号パワーSを含む。この項は省略できるので、干渉パワーIおよびノイズ・パワーのみを推定すればよい。あるいは、信号パワーを推定し、比率γI、γNを推定するために用いることもできる。
【0042】
更に、実際には、非周期的自己相関関数C(m)のような関数はシンボル毎に変化するのが通例であるので、これを算出するのはやっかいな場合もある。重み算出の複雑さを軽減するために、代わりに、以下の式で与えられる平均非周期的自己相関関数
Figure 0004195784
を用いることができる。
Figure 0004195784
式(14)および(15)用いると、式(11)〜(13)を大幅に簡略化することができる。
【0043】
ハンドオフの状況では、各基地局からのマルチユーザ信号の結果としての干渉は、チャネル応答によってそれ自体の方法で着色されており、マルチユーザ干渉成分RMUIは以下の式で算出することができる。
Figure 0004195784
【0044】
ここで、上付き文字kは、基地局にインデックスを付けるために用いられ、k=1は所望のスペクトル拡散信号を送信する基地局に対応する。通例では、直交拡散を用いる場合aαI=1であり、一方k≠1ではαk=0である。このような手法は、送信機ダイバシティと共に用いることもでき、その場合2つの送信信号が同じ場所から発するが、多数の空間的ダイバース・アンテナおよび/または偏波ダイバース・アンテナから発する。
【0045】
図5は、本発明の一実施形態による重み係数発生器440’を一例として示す。重み係数発生器440’は、非周期的自己相関関数C(m)の値を決定する、非周期的自己相関算出部520を含む。チャネル推定器430によって与えられるチャネル・タップ係数clおよび周期的自己相関関数C(m)の値が、複合チャネル応答算出部530に供給され、所望の拡散シーケンスの統計的特性、即ち、所望の拡散シーケンスの自己相関Rp(t)に基づいて、式(8)を用いて複合チャネル応答hを算出する。
【0046】
また、重み係数発生器440’は欠損相関算出部540も含み、式(10)または(14)にしたがって欠損相関Rを計算する。欠損相関算出部540は、各パワー比推定値γI、γNを供給するパワー推定器542を含む。これらは、それぞれ、マルチユーザ干渉相関算出部546およびノイズ相関算出部548に供給され、式(12)および(13)にしたがってマルチユーザ干渉相関成分RMUIおよびノイズ相関成分RNをそれぞれ計算する。シンボル間干渉相関算出部544が、シンボル間干渉相関成分RISIを算出する。シンボル間干渉欠損相関成分RMUI、マルチユーザ干渉相関成分RNおよびノイズ相関成分RISIは、加算器549によって加算されて欠損相関Rが得られ、これを複合チャネル応答hと共に用いて、重み係数算出部550において重み係数wを発生する。
【0047】
尚、図5に示す装置は、先に示唆した行に沿って変更してもよいことは理解されよう。例えば、非周期的自己相関算出部520を除去し、平均非周期的自己相関
Figure 0004195784
を、非周期自己相関C(m)算出値と置換してもよい。これは、先に式(15)、(13)および(8)を参照しながら説明した通りである。また、式(14)を参照しながら説明した行に沿って、シンボル間干渉欠損相関算出部544も除去してもよい。
【0048】
繰り返し手法を用いて、欠損相関Rの逆R-1を計算する必要性をなくし、重み係数wを決定することによって、重み係数wを決定する際に更なる簡略化を達成することができる。重み係数w、欠損相関マトリクスR、および複合チャネル応答hは、以下の形態の線形システムを形成する。
Figure 0004195784
ここで、A=R、x=w、およびb=hである。
【0049】
式(17)は線形システムを記述するので、線形システムを解く多数の技法のいずれでも、重みを求めるために用いることができる。好ましくは、マトリクスの反転を必要とせずに、既存の重みから新たな重み係数を計算することができる繰り返し技法を利用する。例えば、繰り返しガウス−ザイデル技法を用いてもよく、この場合重み係数wは次の式で算出する。
Figure 0004195784
【0050】
ここで、nはベクトルwおよびhの次元であり、rijは欠損相関マトリクスRの(i, j)番目の要素であり、kは繰り返し段である。初期状態では、従来のRAKE結合値に対応する重み係数を1にセットし、他の係数を0にセットすることができる。初期推定(前回の繰り返しまたは前回のシンボル期間におけるwの値)が正しい解に近い場合、1回または数回の繰り返しで、繰り返しは収束するはずである。算出したwi(k+1)を以下のように変更することによって、収束を加速することができる。
Figure 0004195784
【0051】
ここで、λは緩和パラメータである。1<λ≦2では、既収束システム(already convergent system)に対して収束の高速化が可能であり、通常の繰り返しが収束性でない場合、λ≦を用いると収束を得ることができる。線形システムの繰り返し解に対するこれらおよびその他の技法については、by Harris et al.のHandbook of Mathematics and Computer Science(数学およびコンピュータ科学ハンドブック) (Springer-Verlag出版、ニューヨーク、1998年)、pp.456-457に記載されている。
【0052】
再度図5を参照すると、パワー推定器542は干渉対信号比γIおよびノイズ対信号比γNを推定し、重み係数wの計算にこれらを用いる。前述のように、シンボル間干渉欠損相関成分RISIを無視することができるので、重み係数wの計算を行うには、干渉対信号比のノイズ対信号比に対する比率γI/γNを決定すれば十分と考えられる。γNを1のような何らかの基準値(nominal number)に設定する(干渉パワー対ノイズ・パワー比の推定と等価である)。
【0053】
ワイヤレス・セルラ通信システムでは、基地局(BS)は移動端末またはその他の端末に、送信中の全てのスペクトル拡散信号のパワー・レベルを通知することができる。すると、端末は従来からの手段を用いて簡単にその受信パワーを計算し、基地局情報を用いて、干渉の相対的受信パワーを判定することができる。そして、これらの干渉パワー推定値および全受信パワーの推定値(これも従来からの手段を用いて求めることができる)を用いて、ノイズ・パワーの推定値(即ち、他の干渉および熱ノイズのパワー)を得ることができる。
【0054】
しかしながら、基地局がパワー・レベル情報を送信しない場合であっても、どの拡散コードが現在用いられているか、端末に通知することができる。かかる情報を用いて、図6に示すパワー推定器542のような装置を用いると、干渉信号に対するパワー情報を決定することができる。受信複合信号のベースバンド・サンプルr(k)は、遅延610a〜610Lのバンクに通され、ベースバンド信号r(k)の遅延バージョンの各々は、ディスクランブラ620a〜620Lによってディスクランブルされ、高速ウォルシュ変換器630a〜630Lによって処理される。次に、最大比コンバイナ640によって、得られた相関情報を結合すると、結合値は各コード次元におけるエネルギを示す。干渉パワー推定器650が、実際のコード(所望のコード以外)が占める次元(dimension)におけるエネルギを算出し、ノイズ・パワー推定器660が、インアクティブなコードが占める次元におけるエネルギを算出する。
【0055】
アクティブなコードに関する情報が端末に提供されない場合、図6の装置は、例えば、最大比コンバイナ640の出力を二乗した値の大きさに対して閾値を適用することによって、どのコードがアクティブか検出するように、変更するとよい。インアクティブなコードに対する最大比コンバイナの出力を二乗した大きさをスムージングすると、白色ノイズ・パワーの推定値を得ることができる。干渉および所望の信号エコーからは多少のずれがある場合もあるが、これは除去することができる。アクティブなコードに対する最大比コンバイナ640の出力を二乗した大きさをスムージングすると、Ii+Nの推定値を得ることができる。ここで、Iiはi番目のユーザの干渉パワーであり、Nは白色ノイズ・パワーである。Nの推定値を用いると、Iiの推定値を得ることができ、これらを加算することによって、全干渉パワーの推定値を得ることができる。拡散シーケンスを検出し、特定の拡散コードに伴うパワーを推定する技法の一例が、2000年7月27に公開された、 Wang et al. のPCT公開国際出願第WO00/44106号に記載されている。重み係数を明示的に決定する前述の動作は、2001年1月4日に公開された Bottomley et al. のPCT公開国際出願第WO/0101595号に詳細に記載されている動作と同様である。
【0057】
干渉除去結合(IRC)による重み係数の決定
本発明の第2実施形態によれば、重み係数発生器440によって発生する重み係数wは、結合後複合チャネル応答を決定し、エラー・ベクトルをこれから発生し、これを用いて欠損相関を推定することによって決定される。
【0058】
図7を参照すると、重み係数発生器440”は結合後チャネル応答推定器710を含み、図4の第1および第2コンバイナ420a、420bによって行われる第1段階の結合を反映するチャネル応答hを計算する(結合後チャネル応答推定器710は、図5に示した複合チャネル応答算出部530と同様に動作することができる)。結合後チャネル応答hを、第1結合段が生成する結合値から減算し、エラー・ベクトルeを発生し、これを欠損相関推定器720に供給し、欠損相関Rを推定する。結合後チャネル応答hおよび欠損相関Rを重み係数推定器730に供給し、重み係数wを推定する。
【0059】
式(1)〜(6)に関して論じた2レイのレイに戻り、結合後チャネル応答hは、以下の式となるように、それ自体によって畳み込んだチャネル係数応答として表すことができる。
Figure 0004195784
Figure 0004195784
【0060】
ここで、h0, h1は結合後チャネル応答hの成分である。したがって、既知のまたは検出したシンボル
Figure 0004195784
について、エラー・ベクトルeの成分e0, e1は、次のようになる。
Figure 0004195784
Figure 0004195784
【0061】
シンボル
Figure 0004195784
は、既知(パイロット)であるかまたは推定することができる。ここではIS−95のパイロット・チャネルを用いると仮定した場合、
Figure 0004195784
となる。
欠損相関マトリクスRは、以下の式を用いて更新することができる。
Figure 0004195784
【0062】
ここで、Hは共役応答を示す。Rがエルミートであるので、対角線およびRの対角線外の三角形(off-diagonal triangle)の1つだけを決定すればよい。単一段階の結合を有するシステムに対してチャネル応答hおよび欠損相関Rを決定する前述の技法は、1998年10月2日に出願され、本発明の譲受人に譲渡されたBottomleyの米国特許出願第09/165,647号に詳しく記載されており、この言及によりその全体が本願にも含まれるものとする。前述の明示的な手法の場合と同様に、Rを反転し、これをhと乗算することによって、または欠損相関マトリクスRを反転する必要性をなくす繰り返し技法を用いることによって、重み係数wをhおよびRから決定することができる。
【0063】
端末の移動によって、または端末の環境における物体の以上によってマルチパス成分が現れたり消えたりするので、第1結合段の出力に対応して、欠損相関マトリクス内に急激な変化が生ずる可能性がある。かかる変化を追跡するためには、2000年4月13日に公開された前述の Bottomley のPCT公開国際出願第WO00/21208号に記載されているように、結合の第1段の前に、相関器の出力に関連する大きな欠損マトリクス相関を推定することが望ましい場合もある。この大型化した欠損相関マトリクスを、第1段結合重み係数(通例では、チャネル推定値)と共に用いると、第1ステップの結合の後の欠損相関マトリクスを決定することができる。基本的には、第2段の結合に必要な欠損相関マトリクス内の要素は、相関出力と関連がある欠損相関マトリクス内の要素の加重和である。重み係数は、第1段結合重み係数の積となる。
【0064】
適応フィルタリングによる重み係数の決定
あるいは、結合重み係数wは、適応フィルタリング技法を用いて「学習」することも可能である。初期の重み係数集合から開始して、後段結合(図4の第3コンバイナ430によって行われる結合)を、パイロット・チャネル相関から生成した結合値に適用し、既知のパイロット・チャネル値と比較する。次に、こうして発生したエラーを用いて、最少二乗(LMS)や回帰最少二乗(RLS)技法のような種々の公知の適応フィルタリング手法を用いて、更新重み係数を生成することができる。
【0065】
図8に示すように、本発明の一実施形態によれば、重み係数発生器440”’は、適応重み係数推定器810を含み、図4の第2段コンバイナ430への入力y,およびコンバイナの出力zの所望の応答との比較から発生したエラーeとに基づいて、重み係数wを適応的に推定する。一般に、値y,zは、既知のシンボルまたは推定したシンボル、例えば、パイロット・シンボルまたはデコードしたシンボルに対応する受信データから発生し、所望の応答が既知のシンボルまたは推定したシンボルを表す。適応重み係数推定器400”’は、例えば、LMSアルゴリズムを用いることによって、次のように重み係数wを更新することができる。
Figure 0004195784
ここで、μは適応ステップ・サイズであり、その値は試行錯誤によって決定することができる。
【0066】
最適なフィンガの配置
前述の実施形態について再度図4を参照すると、相関部410および重み係数発生器440では、最適なフィンガ・ロケーション(即ち、遅延値)を用いることが好ましい。種々の遅延最適化技法および評価基準を用いることができる。好ましい最適化メトリックは、次のように表すことができる。
Figure 0004195784
ここで、最適化は、Mを最大化する遅延を選択することによって達成される。
【0067】
多段結合動作の一例
図9および図10は、本発明の種々の態様による動作例を示すフローチャートである。尚、これらのフローチャートのブロック、およびこれらのフローチャートにおけるブロックの結合は、コンピュータ・プログラム命令によって実現することができ、コンピュータ、またはマイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ、ASIC、DSPチップまたは図4の受信機400を実施するために用いられるその他の処理回路のような、その他のプログラム可能なデータ処理装置上にコンピュータ・プログラム命令ロードし、実行することによって機械を生成し、コンピュータまたはその他のプログラム可能なデータ処理装置上で実行する命令が、フローチャートのブロックまたは複数のブロック内において指定された機能を実行する手段を形成することは理解されよう。また、コンピュータ・プログラム命令は、コンピュータまたはその他のプログラム可能なデータ処理装置上にロードし、コンピュータまたはその他のプログラム可能な装置上で一連の動作ステップを実行させて、コンピュータ実装プロセスを生成し、コンピュータまたはその他のプログラム可能な装置上で実行する命令が、フローチャートのブロックまたは複数のブロック内において指定された機能を実行するステップを設けるようにする。
【0068】
したがって、図9および図10のフローチャートのブロックは、指定された機能を実行する手段の組み合わせ、および指定された機能を実行するステップの組み合わせに対応する。また、図9および図10のフローチャートの各ブロック、ならびにその中にあるブロックの組み合わせは、特殊目的のハードウエアを用いたコンピュータ・システムによって実現し、このコンピュータ・システムが、指定された機能またはステップ、あるいは特殊目的ハードウエアおよびコンピュータ命令の組み合わせを実行することも理解されよう。
【0069】
図9は、本発明の一態様による通信媒体において送信するスペクトル拡散信号にエンコードした情報を推定する動作900の一例を示す。スペクトル拡散信号を含む複合信号は、通信媒体から受信される(ブロック910)。複合信号は、スペクトル拡散信号と関連する所望の拡散シーケンスと相関付けられ、複数の時間オフセット相関を生成する(ブロック920)。第1および第2相関群のそれぞれを、例えば、推定チャネル係数にしたがって結合し、スペクトル拡散信号を受信したチャネルの効果を補償した第1および第2結合値をそれぞれ生成する(ブロック930)。次に、複合信号における相関欠損(干渉およびノイズ)を補償するように第1および第2結合値を結合し、スペクトル拡散信号内の情報の推定値を生成する(ブロック940)。
【0070】
図10は、本発明の別の態様による、通信媒体において送信するスペクトル拡散信号にエンコードした情報を復元する動作1000の一例を示す。スペクトル拡散信号を含む複合信号が、通信媒体から受信される(ブロック1010)。スペクトル拡散信号と関連する所望の拡散シーケンスと複合信号を相関付け、複数の時間オフセット相関を生成する(ブロック1020)。相関からチャネル係数推定値を発生する(ブロック1030)。第1および第2相関群のそれぞれを推定チャネル係数にしたがって結合し、第1および第2結合値をそれぞれ生成する(ブロック1040)。推定複合チャネル応答および欠損相関から重み係数を発生する。あるいは前述のように適応的に発生する(ブロック1050)。次いで、重み係数にしたがって第1および第2結合値を結合し、スペクトル拡散信号内の情報を推定する(ブロック1060)。
【0071】
本発明にしたがって、前述した例示の実施形態および動作に対して多数の変形が利用可能であることは認められよう。前述の2000年4月13日に公開された Bottomley のPCT公開国際出願第WO00/21208号に記載されているように、図4の相関部410には種々の構成が利用可能であり、例えば、積分および減衰相関器(integrate-and-dump correlator)の各バンク、かかる相関器の単一バンク、移動相関器、または選択的に禁止した相関器を含む。また、種々のその他の重み係数計算技法も使用可能であり、多数の公知のアンテナ・アレイ処理技法が含まれる。例えば、欠損相関推定値を逆拡散相関推定値と置換し、欠損相関推定値を形成するときに、エラー・ベクトルeを相関値ベクトルxと置換してもよい。この手法は、干渉を打ち消すことができるが、かかる手法によって生成されるソフト判断統計は、後続の処理ステップではうまく動作しない場合もある。
【0072】
本発明と共に種々のチャネル追跡手法を用いることもでき、Jamal et al.の"Adaptive MLSE Performance on the D-AMPS 1900 Channel"(D−AMPS1900チャネル上における適応MLSEの性能)、 IEEE Transactions on Vehicular Technology, vol. 46, pp. 634-641 (1997年8月)に記載されているようなLMS技法、KLMS技法、RLS技法、およびカルマン追跡技法を含む。ここではチップ間隔のレイ(chip-spaced ray)について説明したが、レイは一般に任意の間隔を有することができ、端数の間隔も含む。また、チャネル推定は、パイロット・シンボル間の内挿補間を用いて行うことも可能である。同様に、種々の欠損相関推定技法も使用可能である。例えば、欠損相関を追跡したり、あるいはパイロット・シンボル間で内挿補間することも可能である。
【0073】
また、チャネル推定は自動周波数補正(AFC)を含むこともできる。フィードフォワードAFCを、信号エコーに関連する各相関器に適用することができ、得られた位相推定値を用いて、チャネル推定値を回転することによって重み係数を形成する。これは、2000年4月13日に公開された Bottomley のPCT公開国際出願第WO99/31816号に記載されている通りである。電圧制御発振器のフィードバック補正は、周波数誤差推定値の組み合わせに基づくこともできる。
【0074】
また、他の結合方式も、本発明の範囲内において使用可能であることも認められよう。例えば、欠損補償第2結合段自体を多数の段階で、例えば、欠損相関推定値に基づいた第1結合段、および複合(結合後)チャネル応答に基づいた第2結合段というように実施してもよい。多数の受信アンテナを用いてもよい。
【0075】
また、変更した手法に従い、用いる欠損相関を、欠損相関推定値と固定値との組み合わせとしてもよい。これによって、従来の結合手法(固定値がコンバイナ応答と関連する相関マトリクスとなる)と、本発明による結合技法との間で切替を行う適切な機構を設けることができる。かかる混合手法は、適応推定値と既知の構造との間で切替を行うために用いることもできる。例えば、複合信号における干渉が非散乱性である場合、即ち、欠損が受信構造によってのみ着色される場合、欠損相関の固定成分は、ノイズ・パワーの推定値によって調整可能な、パルス形状自己相関のマトリクスとすることができる。「固定」成分は、適応ノイズ・パワー推定値によって調整するパルス形状自己相関マトリクスを用いて、適応的とすることも可能である。干渉の打ち消しは、固定または適応的倍率(scaling factor)を用いて、「正常な」RAKEコンバイナの出力により多く重み付けし、加算した「スライド」により少なく重み付けすることによって、「ソフト的に」オンまたはオフに切り替えることも可能である。
【0076】
パラメータ推定に対するマルチパス手法も、本発明と共に用いることができる。フレームに対応する逆拡散値を格納することができる。後段結合プロセスでは、エラー検出および/または訂正コード化を用いてエラーを検出し、検出に成功したシンボルを、チャネル推定、重み係数推定等のための基準値として用いることができる。マルチパス技法については、Dentの米国特許第5,673,291号に総合的に記載されている。
【0077】
図面および明細書において、本発明の典型的な好適な実施形態を開示し、具体的な用語を用いたが、これらは包括的および記述的な意味で用いたに過ぎず、限定の目的ではない。特許請求の範囲に明記したことをもって、本発明の範囲とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の地上セルラ通信システムを示す概略図。
【図2】 従来の衛星を用いたワイヤレス通信システムを示す概略図。
【図3】 従来のワイヤレス基地局を示す概略図。
【図4】 本発明の一実施形態による多段RAKE受信機を示す概略図。
【図5】 本発明の一実施形態による重み係数発生器を示す概略図。
【図6】 干渉スペクトル拡散信号の検出および/またはそのパワーの判定を行う装置を示す概略図。
【図7】 本発明の別の実施形態による重み係数発生器を示す概略図。
【図8】 本発明の別の実施形態による重み係数発生器を示す概略図。
【図9】 本発明の一実施形態にしたがって、スペクトル拡散信号が表す情報の推定値を発生する動作の一例を示すフローチャート。
【図10】 本発明の別の実施形態にしたがって、スペクトル拡散信号が表す情報の推定値を発生する動作の一例を示すフローチャート。

Claims (32)

  1. 通信媒体内で送信するスペクトル拡散信号内にエンコードされている情報を復元する方法であって、該方法は、前記通信媒体からスペクトル拡散信号を含む複合信号を受信するステップを含み、
    前記受信複合信号を拡散シーケンスと相関付け、時間オフセット相関を発生するステップと、
    前記相関の第1群を結合して第1結合値を生成するステップと、
    前記相関の第2群を結合して第2結合値を生成するステップと、
    前記相関の第1群を結合する前記ステップおよび前記相関の第2群を結合する前記ステップを反映する複合チャネル応答を推定するステップと、
    前記複合信号内における欠損相関を推定するステップと、
    前記推定複合チャネル応答および前記推定欠損相関から重み係数を発生するステップと、
    前記複合信号内における欠損相関を補償するように前記第1および第2結合値を結合し、前記送信スペクトル拡散信号内の情報の推定値を発生するステップと、
    から成り、
    前記第1および第2結合値を結合する前記ステップは、前記発生した重み係数にしたがって、前記第1および第2結合値を結合するステップを含むことを特徴とする方法。
  2. 請求項1記載の方法において、
    前記相関の第1群を結合するステップは、前記スペクトル拡散信号を受信したチャネルの効果を補償するように、前記相関の第1群を結合するステップを含み、
    前記相関の第2群を結合するステップは、前記スペクトル拡散信号を受信したチャネルの効果を補償するように、前記相関の第2群を結合するステップを含む方法。
  3. 請求項2記載の方法において、
    前記相関の第1群を結合するステップは、推定したチャネル係数にしたがって、前記相関の第1群を結合するステップを含み、
    前記相関の第2群を結合するステップは、推定したチャネル係数にしたがって、前記相関の第2群を結合するステップを含む方法。
  4. 請求項3記載の方法において、第1群を結合する前記ステップ、および第2群を結合する前記ステップが、前記チャネル数推定値を発生するステップの後に位置する方法。
  5. 請求項4記載の方法において、前記チャネル係数推定値を発生する前記ステップは、パイロット・チャネル、パイロット・シンボルまたはデコードしたシンボルの少なくとも1つから前記チャネル係数推定値を発生するステップを含む方法。
  6. 請求項記載の方法において、重み係数を発生する前記ステップは、前記推定複合チャネル応答、前記推定欠損相関、および以前に決定した重み係数から、繰り返し重み係数を発生するステップを含む方法。
  7. 請求項1記載の方法において、前記第1および第2結合値を結合する前記ステップは、重み係数にしたがって前記第1および第2結合値を結合して第3結合値を発生するステップを含み、前記第3結合値の基準値に対する比較に基づいて前記重み係数を適応的に推定する方法。
  8. 請求項1記載の方法において、前記相関付けを行うステップは、複数の積分および減衰相関器、移動相関器、または選択的禁止移動相関器の少なくとも1つを用いて相関付けを行うステップを含む方法。
  9. 請求項記載の方法において、前記相関付けを行うステップは、前記重み係数と前記複合チャネル応答との積に比例するメトリックを最適化する1組の時間遅延を用いて相関付けを行うステップを含む方法。
  10. 請求項1記載の方法において、
    前記相関の第1群を結合する前記ステップは、チャネル推定値にしたがって前記相関の第1群を結合し、第1結合値を生成するステップから成り、
    前記相関の第2群を結合する前記ステップは、チャネル推定値にしたがって前記相関の第2群を結合し、第2結合値を生成するステップから成る、
    方法。
  11. 請求項10記載の方法において、重み係数を発生する前記ステップは、前記推定複合チャネル応答、前記推定欠損相関、および以前に決定した重み係数から、繰り返し重み係数を発生するステップを含む方法。
  12. 請求項10記載の方法において、前記第1および第2結合値を結合する前記ステップは、前記第1および第2結合値を結合して第3結合値を発生するステップを含み、前記第3結合値の基準値に対する比較に基づいて前記重み係数を適応的に推定する方法。
  13. 請求項10記載の方法において、第1群を結合する前記ステップおよび第2群を結合する前記ステップは、前記チャネル推定値を発生するステップの後に位置する方法。
  14. 請求項13記載の方法において、チャネル推定値を発生する前記ステップは、パイロット・チャネル、パイロット・シンボル、またはデコードしたシンボルの少なくとも1つから前記チャネル推定値を発生するステップを含む方法。
  15. 請求項14記載の方法において、前記相関付けを行うステップは、複数の積分および減衰相関器、移動相関器、または選択的禁止移動相関器の少なくとも1つを用いて相関付けを行うステップを含む方法。
  16. 請求項10記載の方法において、前記相関付けを行うステップは、前記重み係数と前記複合チャネル応答との積に比例するメトリックを最適化する1組の時間遅延を用いて相関付けを行うステップを含む方法。
  17. 通信媒体内で送信するスペクトル拡散信号内にエンコードされている情報を復元する装置であって、該装置は、前記通信媒体からスペクトル拡散信号を含む複合信号を受信する手段を備え、更に、
    前記受信複合信号を拡散シーケンスと相関付けて時間オフセット相関を発生する手段と、
    前記相関付ける手段に応答し、前記相関の第1群を結合して第1結合値を生成する手段と、
    前記相関付ける手段に応答し、前記相関の第2群を結合して第2結合値を生成する手段と、
    前記相関の第1群を結合する前記手段および前記相関の第2群を結合する前記手段を反映する複合チャネル応答を推定する手段と、
    前記複合信号内の欠損相関を推定する手段と、
    前記推定複合チャネル応答および前記推定欠損相関から重み係数を発生する手段と、
    第1群を結合する前記手段および第2群を結合する前記手段に応答して、前記複合信号内の欠損相関を補償するように前記第1および第2結合値を結合し、前記送信スペクトル拡散信号における推定情報を発生する手段と、
    を備え
    前記第1および第2結合値を結合する前記手段は、前記発生した重み係数にしたがって前記第1および第2結合値を結合する手段を備えていることを特徴とする装置。
  18. 請求項17記載の装置において、
    前記相関の第1群を結合する前記手段は、前記スペクトル拡散信号を受信したチャネルの効果を補償するように、前記相関の第1群を結合する手段を備え、
    前記相関の第2群を結合する前記手段は、前記スペクトル拡散信号を受信したチャネルの効果を補償するように、前記相関の第2群を結合する手段を備えている装置。
  19. 請求項18記載の装置において、
    前記相関の第1群を結合する前記手段は、推定チャネル係数にしたがって前記相関の第1群を結合する手段を備え、
    前記相関の第2群を結合する前記手段は、推定チャネル係数にしたがって前記相関の第2群を結合する手段を備えている装置。
  20. 請求項19記載の装置であって、更に、前記チャネル係数推定値を発生する手段を備えている装置。
  21. 請求項20記載の装置において、前記チャネル係数推定値を発生する前記手段は、パイロット・チャネル、パイロット・シンボル、またはデコードしたシンボルの少なくとも1つから前記チャネル係数推定値を発生する手段を備えている装置。
  22. 請求項17記載の装置において、重み係数を発生する前記手段は、前記推定複合チャネル応答、前記推定欠損相関、および以前に決定した重み係数から繰り返し重み係数を発生する手段を備えている装置。
  23. 請求項17記載の装置において、前記第1および第2結合値を結合する前記手段は、重み係数にしたがって前記第1および第2結合値を結合して第3結合値を発生する手段を備え、更に、前記第3結合値の基準値に対する比較に基づいて、重み係数を適応的に推定する手段を備えている装置。
  24. 請求項17記載の装置において、前記相関付ける手段は、複数の積分および減衰相関器、移動相関器、または選択的禁止移動相関器の少なくとも1つを備えている装置。
  25. 請求項17記載の装置において、前記相関付ける手段は、前記重み係数と前記複合チャネル応答との積に比例するメトリックを最適化する1組の時間遅延を用いて相関付けを行う手段を備えている装置。
  26. 請求項17記載の装置において、
    前記相関の第1群を結合する前記手段は、チャネル推定値にしたがって前記相関の第1群を結合し、第1結合値を生成する手段から成り、
    前記相関の第2群を結合する前記手段は、チャネル推定値にしたがって前記相関の第2群を結合し、第2結合値を生成する手段から成る、
    装置。
  27. 請求項26記載の装置において、重み係数を発生する前記手段は、前記推定複合チャネル応答、前記推定欠損相関、および以前に決定した重み係数から繰り返し重み係数を発生する手段を備えている装置。
  28. 請求項26記載の装置において、前記第1および第2結合値を結合する前記手段は、前記第1および第2結合値を結合して第3結合値を発生する手段を備え、更に、前記第3結合値の基準値に対する比較に基づいて、重み係数を適応的に推定する手段を備えている装置。
  29. 請求項26記載の装置であって、更に、前記チャネル推定値を発生する手段を備えている装置。
  30. 請求項29記載の装置において、チャネル推定値を発生する前記手段は、パイロット・チャネル、パイロット・シンボル、またはデコードしたシンボルの少なくとも1つから前記チャネル係数推定値を発生する手段を備えている装置。
  31. 請求項26記載の装置において、前記相関付ける手段は、複数の積分および減衰相関器、移動相関器、または選択的禁止移動相関器の少なくとも1つを備えている装置。
  32. 請求項26記載の装置において、前記相関付ける手段は、前記重み係数と前記複合チャネル応答との積に比例するメトリックを最適化する1組の時間遅延を用いて相関付けを行う手段を備えている装置。
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