職あれば食あり 人は食べるために働くのか、それとも、働くから食べなければならなくなるのか。そんな素朴な疑問を解き明かすべく、さまざまな職業に従事する人々のランチと人生を追いかける。「職」と「食」の切っても切れない関係を解きほぐす、お仕事紹介ルポ。 バックナンバー一覧 山口瞳全集に収録されていた『世相講談』を読んでいて、次のような記述が目に留まった。 〈空前の「発明ブーム」であるという。特許庁では、一日に4冊から5冊の厚いパンフレットを発行する(日刊ですよ)。特許公報が3冊から4冊、実用新案が1冊で、いずれも毎日、約100件ずつが許可になる〉 驚いたことに、昭和32年には特許庁への出願件数が年間17万件で世界一位となり、この文章が書かれた昭和40年代前半にはそれが年間30万件にまで増加していた。 昨今もまた、発明ブームである。経済産業省のホームページにある特許行政年次報告書によると、2013