まず、「国語辞典はどう選んだらいいのか」という話から始めます。といっても、「こういう点に注意しましょう」と、いきなりチェック項目を並べることはしたくありません。それだと、多くの項目にチェックが入った辞書がいい辞書という錯覚を与えるおそれがあります。実際には、辞書はそんなふうに序列化できるものではありません。 それよりも、むしろ、案内者である私自身のことをお話ししていこうと思います。私だって、最初から国語辞典の選び方が分かっていたわけではありません。いくつかの辞書を使ううちに、何となく、「こういう点も大事だな」と、考えがまとまってきたのです。その過程をお話しします。 そこで、いきなりですが、話は1970年代の後半までさかのぼります。 当時、小学校高学年だった私には、「自分だけの国語辞典」というものはありませんでした。たまたま家にあった辞書を使っていました。 家には、少なくとも4種類の辞書があ