偽善の偽である。“いつわり”だ。人の為というこの漢字を作った人も、その使用を認めた人も、世の中の「人のためと言いながら、自分の利益ばかり考えているニセモノ」をずいぶん見聞き、そして体験したんだろうなあと思う。私にはそんな洞察力がないので、この造語能力に、ただただ感心するばかりである。 20代の頃に『おかげさん』(相田みつを著・ダイヤモンド社)に収録されている言葉“人の為と書いていつわりと読むんだねえ”に出合って、我が意を得たりとばかりに、何度か得意になって受け売りしたことがあった。小さい頃から母に注意されるたびに、母が「あなたのために言っているのよ」とつけ加え、そのたびに心の中で「そうじゃない。お母さんは事あるごとに、あなたがそんなことをすればお母さんが笑われるのよと、言ってるじゃないか。つまり自分のために僕を叱っているんだ」という思いを口に出さずにいたからかもしれない。 しかし、30歳を
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