『三省堂国語辞典 第六版』は、今の日本語を映し出す辞書です。新たにことばを追加するだけでなく、これまで載っていたことばの意味の変化もしっかりと捉えています。 『三国』が捉えたたくさんの意味変化のうち、有名なのは「世間ずれ」です。第二版(1974年)までは〈実社会で苦労をして わるがしこくなること。〉でしたが、第三版(1982年)から〈〔あやまって〕世間の動きとずれていること。〉という意味が入りました。 「世間ずれ」の意味が変わっていることは、それ以前にも指摘はあったものの、確証がありませんでした。『三国』の編集主幹だった見坊豪紀(けんぼう・ひでとし)は、数万ページの文章を読みあさった末、1974年、週刊誌で〈世間ずれした〔=今では古い〕テクニック〉という確実な例を発見しました。その時のうれしさを、見坊は「証拠おさえたァ、という感じ」と表現しています(『ことばのくずかご』)。今や、若い世代の