夜、一緒に過ごした人たちと別れるとき、電話を切るとき、「おやすみなさい」と一言伝えるのが好きだ。 「ばいばい」「またね」最後に「おやすみなさい」。 だいたい21時を過ぎたころになると「おやすみなさい」と言っても違和感がなくなる。実家から掛かってきた電話を切る場合は、20時でも「おやすみなさい」と言うことがある(その時間、街灯がほぼない実家の周囲はすでに真っ暗) おそらく、うちの母が誰かと別れるたび、電話を切るたび「おやすみなさい」と言っているのを傍で聞いていたからだと思う。「おやすみなさい」と声を掛けられる人は、親しい人に限られる。仕事の人には言わないし、付き合いが浅い人にもあまり言わない。寝る前のあいさつだから、その人の暮らしの一部になっている気がする。 今日、たくさんの人で賑わう駅で、友達と別れる女性が告げた「おやすみなさい」のひとことがすっと耳に入ってきて、なんだか嬉しくなった。ばい