東日本大震災で津波による犠牲者を出し、家屋が流されるなど大きな被害を受けた茨城県の県北地域。福島第1原発事故による放射性物質の漏洩(ろうえい)が住民の不安をさらに高めている。一方、深刻な被害を受けた東北地方に比べ、全国的には被災地として認識されておらず支援も十分ではない。住民からは「見捨てられた」と声が漏れた。(前田明彦)関連記事被災者多数 辛苦を分かち合う覚悟を「別荘使って」申し出次々 栃木で避難…記事本文の続き ◆六角堂が消失 北茨城市大津町の大津漁港。茨城の冬の味覚、アンコウが揚がることでも知られている。だが、地震発生後の津波に襲われ、漁船や沿岸の家屋も押し流された。その後、住民が戻ると、津波が運んだ茶色の泥とがれきが道路を埋め尽くしていた。 近くには日本美術界の大家、岡倉天心が自ら設計した「六角堂」があったはずだが、津波で流され、今は土台だけが残る。太平洋の海の青色とのコントラスト