演説の後に被爆者の森重昭さんと抱き合うオバマ米大統領=5月27日午後6時8分、広島市中区の平和記念公園(鳥越瑞絵撮影) タブーを破ることは、どんな場合でも難しい。しかし、大きな願望と執念があれば、それもやがて可能となる。私は、米オバマ大統領の広島訪問というあり得ない出来事を見て、そのことを実感した。それは、そこに至るまでに多くの人の努力があったことを多少なりとも知っていたからである。私は翌日の新聞にこのオバマ氏広島訪問の「舞台裏」がどこまで報じられるか期待していた。 しかし、残念ながらどの新聞にも、「真相」は書かれていなかった。オバマ氏訪問が決まってから、ほぼ1カ月の余裕があり、ケリー国務長官の広島での慰霊碑への献花からは46日の期間があったにもかかわらず、である。 私は、予想を遥(はる)かに超える17分間のスピーチを終えたオバマ大統領が坪井直さん(91)、森重昭さん(79)という2人の被