このコーナーは、時事通信社の関係団体で、(一社)内外情勢調査会の会員企業がお薦めする各社の商品を掲載します。内外情勢調査会は1954年の設立で、ほぼ毎月、全国100以上の都市で会食付きの会員制講演会事業を展開しています。会員は、企業経営者や中央省庁・自治体の首脳ら6500人。東京の会合には、首相や閣僚、日銀総裁なども登壇することが知られています。
2005年の合併で、全国花火競技大会「大曲の花火」でも知られる大曲市と仙北郡6町1村の旧市名と旧郡名の頭文字をとって命名され誕生した秋田県内陸南部にある大仙市。
その大仙市に本社と工場を構える1920(大正9)年創業の東北醤油株式会社の倉庫には、主力商品の「万能つゆ 味どうらくの里」(以下、味どうらくの里)と「万能白つゆ かくし味」(以下、かくし味)が所狭しと積み上げられ、出荷を待っている。
中でも「味どうらくの里」は、79年5月の発売以来、秋田県や山形県を中心に地道な営業活動で売り上げを伸ばし、秋田県では「一家に1本は常備している」といわれるほど。近年では、全国放送のテレビ番組でも取り上げられるなど、和・洋・中のどんな料理にも合う「万能つゆ」として、全国での知名度も急速に高まってきている。
「味どうらくの里」誕生のきっかけ
今から45年前に「味どうらくの里」を造ったのは、東北醤油株式会社代表取締役社長の佐竹宏明氏。大学卒業後、栃木県内の会計事務所で企業の経営指導の仕事をしていたが、78年、妻の実家であり、みそとしょうゆを造っていた東北醤油の経営を立て直すため、同社に入社した。30歳の時だった。
「当時は年商が7200万円で、利益はわずか20万円。みそとしょうゆの販売だけでは、まさに立ち行かない状況でした」と振り返る。
その時、しょうゆを造っている会社で経営を改善するなら、うどんやそばに使う「つゆ」を造ることを当時の顧問先の人たちに勧められた。その言葉をきっかけに、顧問先のそば屋のご主人の指導の下、新式醸造(混合醸造)ではなく、香りの豊かな本醸造しょうゆを用いた「味どうらくの里」を開発する。
しょうゆには、アミノ酸などを調合して造る新式醸造と、時間をかけてじっくりと熟成させ、うま味を引き出して造る本醸造があるが、「当時、東北醤油はもちろん、秋田県内では本醸造しょうゆを造っているメーカーはなく、『つゆ』の原料となるしょうゆを新式醸造から本醸造へと変更しようにも入手できずに困っていました。そこで、県外のしょうゆメーカーに協力いただき、原料を本醸造しょうゆに替えた『つゆ』を一から作り直しました」
だが、心血を注ぎ何度も試作を重ねながら完成させた「味どうらくの里」は、発売当初、全く売れずに多額の借金を抱えることに。そこで、地元の方々に「味どうらくの里」を使った料理を直接食べてもらう試食販売に切り替え、サンプル20万本を配布した。それでも一向に売れる気配はなく、ついに金融機関から融資を断られ、佐竹氏は社内でも孤立するようになったという。
しかし、つゆとしてだけでなく、煮物や納豆のたれなどにも合うことから「万能つゆ」としての用途をPRしながら、同時に味の改良も続けた。その結果、発売から4年後には「味どうらくの里」の売り上げは1億円を突破。同社の売上高の8割超を占める主力商品へと育っていった。さらに、素材にしょうゆの色がつかず、料理で食材の色彩を楽しんでもらえるよう、白しょうゆベースの「かくし味」も発売。現在、「味どうらくの里」や「かくし味」はインターネット経由で全国から多数の注文が寄せられるヒット商品へと成長を遂げている。
簡単、便利な万能つゆ 特徴は甘め味わいと濃縮5倍
「味どうらくの里」は、しょうゆ本来の香りとコクに加えて、かつおだしの風味がふんわりと香る秋田県発の万能調味料だが、他社の麺つゆと比べると少し甘めの味わいが特徴だ。また、一般的な麺つゆは、濃縮2倍か濃縮3倍のものが多く、塩分濃度も10%程度が主流だが、「味どうらくの里」は、濃縮5倍で塩分濃度は12%。そのため、保存性が高く、そのまましょうゆ代わりとしても使う人も多い。
例えば、これからの季節に「味どうらくの里」をシンプルに味わうなら、ぶっかけうどんなどがおすすめ。うどんをパッケージに記載された時間通りにゆで、冷水でよくもみ洗いをした後、お好みの具材を乗せ、希釈せずにかけるだけだ。
さらに色のつかない「味どうらくの里」ともいえる「かくし味」は、色を薄く仕上げた本醸造しょうゆに、かつおだしを合わせた濃縮5倍の万能白つゆ。だしの効いた琥珀(こはく)色の「かくし味」を薄めて煮物、吸い物、麺つゆに使ったり、浅漬け、まぜご飯、みそ汁などには薄めず使うことで、素材の色合いを生かしつつ、料理の味を調えてくれる。
また、東北醤油では、消費者から商品を使ったレシピを募り、「口福(こうふく)レシピ」というタイトルで、「味どうらくの里」をはじめとした自社製品を使ったレシピをホームページやSNSで公開中だ。
佐竹氏は「しょうゆと同じ使い方をしても、しょうゆよりも摂取する塩分が少なくて済むので、口福レシピを活用していただき、健康志向の人にもっと使ってもらいたい」とも話す。
時代とともに、その時々に好まれる味を追求し、長く愛されるふるさと(秋田)の味を造り続ける東北醤油の「味どうらくの里」をぜひ、お試しあれ。
東北醤油株式会社
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