【ゔぁんきっしゅ】
新世代アクションシューティング『VANQUISH』
稲葉敦志氏と三上真司氏のタッグによる、「ハイスピード」&「ハイテンション」をテーマとした新感覚のシューティングアクション。低難易度もあって初心者への対応も万全の作品。
近未来を舞台としたSF設定は非常に良く練り込まれており、未来の科学技術や人口が100億を超えた地球で起こりうるだろう混乱や政治、人間模様等も非常に納得のできる出来映えとなっている。
また、キャラクターデザインは『デビルメイクライ』や『戦国BASARA』で知られる土林誠氏が担当している。
ゲームシステムそのものはいわゆるTPSだが、隠れ場所などから飛び出すカバーアクションや様々な近接戦闘のアクション、ブーストに加えて反射神経を鋭敏化することで周囲がゆっくり動いて見えるようになるARモードなど、非常にスピード感溢れるゲーム内容となっている。
どちらかと言えばシューター(射撃)よりだが前述の近接アクションも豊富で、その気になれば敵である大型戦闘ロボットと殴り合いをすることもできる。
また、サムの脇腹の光源の色を見てある程度の判断はできるものの、本ゲームは体力ゲージの様なものは存在しない。
短期間に大量の攻撃を受けると緊急ARモードに移行し、そこからさらにダメージを受けるとゲームオーバーとなる。
しばらくするとARモードが解除されてオーバーヒート状態(後述)を経て、ダメージを受けてない状態に戻るので、危険な状態に陥っても隠れるなり逃げ回るなりしていれば案外死ななかったりする。なお、緊急ARは任意で解除できない。
本作では、難易度をカジュアルオート(ARモード中は敵を自動で狙ってくれる)から選択することができ、ゲームの苦手な人でも容易にエンディングまで見ることができる。
一部大型の敵は弱点部位が存在しており、頭や手足などを狙って集中攻撃することで、本体へのダメージに加えて攻撃した部位を破壊することができる。時間の流れが遅くなるARモードがあるので、ヘッドショットなども狙いやすい。
ストーリーだけでなく、展開やオチもハリウッド映画的。
ネタバレになるので詳細は省くが、オープニングの大破壊シーンに始まり、どんでん返しやキャラクター同士のやり取り、そして敵組織の目的や行動、なによりエンディングのオチなど実にハリウッド。
また、全ての武器は「BLADEシステム」という統合兵装が変形したものという扱いなのだが、武器を変更すると一瞬で持ちかえるのではなく逐一変形モーションが入る。
+ | その一例。ネタバレ注意 |
かなりゲームと関係しないおふざけネタが多い。
爽快感溢れる内容、映画のような演出、非常に凝った設定…これ以外にも評価するべきポイントを数多く持つ、優秀な作品である。
しかし、『アンチャーテッド』『KILLZONE』『Halo』『Gears of War』と、似た特長を持つ強豪のライバルが、どうしても比較対象としてチラついてしまう。
また、マルチプレイに重きを置かれるFPS/TPSというジャンルでありながら、その方面は弱い。これらが評価に影響してか、残念ながら諸手を挙げての賛辞には至らなかった。
とは言え、そういった有名タイトル郡とは違った「本作ならでは」の長所も多く、興味があるならば、ぜひオススメしたい一作ではある。
*1 反面、奇抜さやゲーム性の難の為にあまり受け入れられなかった。
*2 いわゆるチャレンジモード。
*3 軍の目的を第一に考え、そのためには手段と犠牲を厭わない。しかしそれは勝利で死者を弔うため、というもの。
*4 ロシアの兵力は全て自律兵器ないしは遠隔操作であり、生身の人間は一切出てこない。
*5 怪人の攻撃を喫茶店の丸テーブルに隠れるだけで防御する主人公など。
*6 達成トロフィーの名前に「ゴッドハンド」の文字が…。
*7 『Gears of War』は猪突猛進な石炭列車とのこと。
*8 当時はFPS/TPSにマルチプレイヤーが存在するのは必須という風潮があった。FPS/TPSがシングルプレイのみでも評価されるようになるのは、本作の発売より数年先の話である。
*9 4K解像度対応はもちろん、フレームレートの制限解除、キーボード+マウスエイミングのPC-FPS仕様の操作が可能、日本語を含む6ヶ国語対応で「音声・字幕・UIの言語を独立して設定可能」など非常に多くの変更点がある。
*10 『Valkyria Chronicles』のタイトルで配信されている。しかし、こちらは残念ながらSteamでは「おま国」のため日本からの購入は不可。
*11 海外ではOneも発売されている。なお、両作品共に単体販売はされていない。