PLUS ALPHA
【ぷらすあるふぁ】
ジャンル
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シューティング
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対応機種
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アーケード(メガシステム1)
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発売・開発元
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ジャレコ
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稼働開始日
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1989年
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プレイ人数
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1人~2人(交代)
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レーティング
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CERO:A (全年齢対象) ※アーケードアーカイブス版より付与
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配信
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アーケードアーカイブス 【Switch】2020年4月16日/838円(税込) 【PS4】2020年4月30日/838円(税込)
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判定
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良作
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ポイント
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2人の少女を主人公としたSTG ファンシーでポップな世界観が特徴 比較的低めで取っつきやすい難易度
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概要
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1989年にジャレコが発売したアーケード用縦スクロールシューティングゲーム。支配された7つの国々を取り戻すため、少女戦士のセリアとルゥミィが戦闘機に乗り込んで戦う。
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ポップで明るいグラフィックと世界観、比較的低めの難易度など、シューティング初心者でも触れやすい作品へと仕上がっている。
特徴・システム
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1レバー+2ボタンで、1P側はセリアの操る変身戦闘機「パーマイン」を、2P側はルゥミィの操る変身戦闘機「プリル」を操作する。操作は一般的なボンバーシューティングと同じで、1ボタンでショットを撃ち、2ボタンで他のシューティングのボンバーに相当する「ハイパー」を発射する。ショットはステージ中のショットアップアイテムを取ったり、後述のプレゼントゲームで特定の絵柄を引き当てる事で最大7段階までパワーアップする。
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本作の自機は変身戦闘機の名の通り、ステージ中のアイテムを取る事で3つの形態に変身できる。アイテムは一定時間ごとに「P」→「J」→「H」→「P」…と切り替わる。
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自機の形態一覧
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プーペラ(プロペラ機)
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「P」の文字のアイテムを取ると変身。ショットは扇状に広がるワイドショット。ハイパーは自機の周りで大爆発を起こす。クセがなく非常に使いやすい。
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ジター(ジェット機)
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「J」の文字のアイテムを取ると変身。ショットはジグザグに飛ぶ波状型のショット。ハイパーは目の前を集中的に攻撃する極太な光線を放つ。やや使い所が限られる形態。
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ヘリポ(ヘリコプター)
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「H」の文字のアイテムを取ると変身。ショットは一度後方に飛び、それから前へと飛ぶショットを放つ。ハイパーは自機の前方にいる敵全てにダメージを与える広範囲なもの。局地的に役立つ事が多い。
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ステージ中に登場するカブラという敵編隊を倒すとアイテムを落とす。大きいカブラを倒すと変身アイテムやショットアップを、小さいカブラを倒すと得点アイテムを落とす。
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ステージをクリアした際、使わずに残しておいたハイパーの数だけプレゼントゲームをする事が可能。1ボタンまたは2ボタンを押す事でパネルを止め、揃った絵柄により1UP、ショットアップ、ハイパーの追加、スコアボーナスなどの恩恵を受ける事ができる。
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全7ステージの戻り復活制。2周目以降はステージ3からのループゲームとなる。
評価点
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ファンシーでポップ、そして可愛らしい世界観とグラフィック。
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主人公を2人の少女に据え、グラフィックもカラフルな色合いとポップなものが多く、メカメカしい雰囲気のSFシューティング、硝煙の臭いが漂ってきそうなミリタリーシューティングとはまた違った、幻想的な雰囲気をプレイヤーに味わわせてくれる。
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各ステージの背景やステージ構成も、風車が印象的なステージ1から始まり、爽やかな海の広がるステージ2、花びらが舞い散り蜘蛛や蜂の中型機が登場する花畑のステージ3、氷像が特徴的な雰囲気を醸し出している雪原のステージ4、ややおどろおどろしい雰囲気の漂うステージ6など、各ステージの特徴をしっかり出しており、ファンシーでポップ、幻想的な世界観を形作っている。
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ステージ5をはじめ機械的な敵も沢山いるが、丸みの帯びたデザインでどこか可愛らしく、キュートな世界観を印象付けるのに一役買っている。
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特定のアイテムを取った時や、隠しキャラクターを出現させた時にはキャラクターボイスを発してくれる。これも可愛らしい雰囲気を出すのに一役買っている。「いぇいいぇーい」。
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比較的低めの難易度。
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ステージを進めていっても急激に難易度が上昇するといった事はなく、緩やかな難易度曲線を描いており、シューティング慣れしていないユーザーでも先に進みやすい。後述のステージ4ボスや、ステージ5の高速ミサイルを撃ってくる戦闘機など、初心者必殺の難所もあるが、それも数える程であり、意識して進めば十分乗り越える事が可能。
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ハイパー(ボンバー)はステージ開始時に3つ支給され、全部使い切ろうとも、また次のステージで3つ支給される。そのため難所での決めボムや緊急回避などにケチらず積極的にハイパーを使う事ができる。この点も難易度の低下に貢献している。
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ただしハイパーを4つ以上貯め込んでステージクリアしても、プレゼントゲームで強制的に使用させられるため、他のシューティングのようにボンバーを沢山貯め込んで難所で一気に使う、という事はできなくなっている。
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デフォルト設定でのスコアによるエクステンドがほぼ毎面のペースで発生するほどの緩さに加えてプレゼントゲームやたまに地上の敵から出現する1UPアイテムのおかげで残機を貯めやすく、残機が少なくなっても意外と粘れる事が多い。
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操作方法も、レバーとショットボタン、ボンバーボタンととても分かりやすい。ショットアップアイテムも、取り過ぎるとランクが上がるといった事も特にないため、ガンガン取っていって問題ない。以上のシンプルさも、初心者に「優しい」造りとなっている。
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ハイパーを使うとステージクリア後のプレゼントゲームができる回数が減るため、中級者から上級者ならハイパーを貯め込んでステージクリアするのもアリ。安定をとってステージ中でハイパーを使うか、はたまたボーナス目当てで貯め込むかという駆け引きが生まれる。
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ただしプレゼントゲームはボーナスが当たる確率は高くなく、またボーナスの内容もゲームクリアに必須なものではないので、初心者はプレゼントゲームを無視してハイパーを使い切っても何ら問題はない。
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豊富な隠し要素。
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アイテムキャリアであるカブラ編隊は、小さい方から倒すと100点台にしかならないフルーツアイテムを落とすのだが、大きい方を先に倒すと小カブラが1,000点台のマークアイテムに変わる。その差10倍。大カブラは若干耐久力があり、また編隊の動きもやや素早いので狙うのは中々難しいが、うまくいけば大幅なスコアアップとなる。隙を見て画面上部へいって大カブラに接射したり、大カブラのみを狙い撃ちするなどして小カブラが一気に大量のマークアイテムに変わった時は気持ちよく、スコア稼ぎがアツく楽しく、そして分かりやすい。
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各ステージには『ゼビウス』の「ソル」のような隠れキャラクターが存在し、自機が出現ポイントの上を通過すると少し顔を出し、その上を5回通過させれば5,000点となる。中には思わぬ所に隠れているものもあり、これらを探し出しスコアを伸ばす楽しさがある。設置箇所も比較的多く、何気なく自機を通過させたら意図せず見つけられる場合も。
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隠れキャラクターのグラフィックはステージ毎に異なる。地味に細かく作ってあり、また見た目でも楽しめる。
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特定箇所にハイパーを撃つと、ハイパーアイテムが2つ出現する箇所がある。基本的にノーヒントだが、知っていればハイパーを1つ多く取る事ができ、攻略がグッと楽になる。
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多和田吏氏によるBGM。どの曲も各ステージと雰囲気が合っており、また、前述のポップで可愛らしい世界観とも非常にマッチしている。
問題点
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ほぼプーペラ一択のゲームバランス。
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アイテムを取る事で3つの形態に変身できるのが本作の特徴だが、帯状のワイドショットが遠近ともに強く、周りの敵を攻撃し緊急回避にも秀でたハイパーを持つプーペラが非常に使い勝手がよく、他の2つの形態はほとんど使わない。
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一応、ハイパーの範囲が広範囲で、自機の後ろにも攻撃できるのでラスボスを地道に倒す場合など、ヘリポは局地的に役に立つ場面があるが、ジターに関してはほぼ使い道がない。
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変身アイテムは種類が切り替わりながら大きく蛇行するように画面下に降りてきて、取りたくない時や避けたい時などは非常に邪魔になる。変身アイテムの誤取得も本作ではよくあり、間違って取ってしまって攻略パターンが崩れるといった事もよく起こる。具合の悪い事に、ショットがフルパワーアップ状態だと、大カブラが落とすアイテムが全て変身アイテムとなる。
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ショットは最大7段階までパワーアップするが、各ステージのショットアップアイテムの登場数が少なめなため、プレゼントゲームでショットアップを引き損ねたりすると、ノーミスでもステージ5くらいまでショットパワーが最大にならないといった事が起こる。
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ただし、本作はショットパワーがアップしていなくても、致命的に困るという程の事はない。ミスしてショットパワーが初期に戻っても、ハイパーを使っていけば十分立て直す事も可能。
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前に述べたように比較的難易度の低い作品なのだが、ステージ1から「3WAY弾を連射してきてなおかつ撃破時に撃ち返しを放つ地上中型機」「多WAY弾を発射し高速突進もしてくる空中中型機」といった難敵が出現し、実はステージ1が結構難しい。その後のステージは前述したように緩やかな難易度曲線を描いているのだが、ステージ1で躓くプレイヤーも若干名いたと思われる。要するにこのゲーム、他のゲームと比較し「難易度曲線が最初は少し高めだが、その後はゆったりと上昇し、最高到達点もあまり高くない」というゲームなのである。
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この点は非常に惜しい事だと思われる。せっかく全体的に難易度が低いのに、ステージ1で挫けた初心者をふるいにかけてしまった感がある。
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前述のようにハイパーはステージクリアで補給されるので使い切っても問題なく、難所や難敵相手に使ってしまえばかなり楽に突破できるのだが、序盤からいきなりボンバーを撃ってしまうのは多くのプレイヤーにとってやや抵抗があったように思われる。
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シンクロ式連射装置を使っていると、画面書き換えに一致しない処理落ちに起因して、自機のショットが発射できない「弾詰まり」がよく発生する(ステージ5で顕著)。そのため、連射装置のみに頼り切るのは危険。
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安全地帯がほぼ必須のステージ4ボス。
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ステージ4ボス「FUMYURA」は、自身からはハイパーでもかき消せない3WAYの炎を吐き、画面上部からはこれまたハイパーでもかき消せない火山岩を降らせてくる。実は画面左下辺りに安全地帯があり、ここに入り込んでショットを撃ち続ければそのままボス撃破、ショットパワーが足りなくてもボス逃走まで粘れるのだが、これを知らないと残機を全て持っていかれる程、手ごわい。
総評
自機の形態がほぼプーペラ一択、最初のステージがやや難易度が高い等の問題点があるが、可愛らしい世界観やグラフィック、BGMがプレイヤーを引き付け、そしてシューティングゲーム初心者でも入り込みやすい難易度がプレイヤーを繋ぎ止め、中級者から上級者には各種ボーナスや隠しキャラクターの発見といった要素で楽しませているといえる本作。
分かりやすいシステム、ハイパーがステージ間で補給されるという救済、比較的低い難易度が初心者プレイヤーに嬉しい、「優しい」作品であると評価できる。
余談
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ステージ7、背景の窓の部分に「くそげ~」という文字が書いてある。…自虐か何かだろうか?
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もっとも、本作は前述したように決してクソゲーなのではなく、良作の部類なのであるが。
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なお、この部分にハイパーを撃ち込むと、ハイパーアイテムが2つ出る。
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本作の登場キャラクターのセリアとその愛機プーペラは、ジャレコ作品キャラが一堂に会するSTG『ゲーム天国』にも出演(CV:かないみか)。
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変身機能はオミットされているが、ワイドショットが遠近ともに便利な、扱いやすい機体へと仕上がっている。
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また、同作では客演キャラクターをやたら斜め上にキャラ付けしたり、無駄に個性的なオリキャラを登場させる特徴があるが、セリアは
周りが色物過ぎる所為で最も常識的な正統派キャラとなっている。むしろリーダー的存在のジェイナスが変人寄りなのと、セリア自身の性格も相俟って影の支配者とも呼ばれている。
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続編として、携帯電話アプリで『プラスベータ』(PLUS BETA)がリリースされていた。
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アイテムを取って3つの形態に変身するシステム、ボムの名前がハイパーと言う点は後年の同社作品『セカンドアース・グラティア』に受け継がれている。
移植
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アーケードアーカイブス(Switch/PS4)
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アーケードアーカイブスの1作品としてSwitch版は2020年4月16日に、PS4版は同年4月30日に配信。アーケードでの稼働から31年目にして家庭用初移植となった。
最終更新:2024年01月06日 05:57