本記事では、『電車でGO!』と『電車でGO!2』のワンダースワン版、ゲームボーイカラー版を扱います。
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『電車でGO!』のアーケード版、PlayStation版、Windows版については「電車でGO!」をご覧ください。
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『電車でGO!2』のPlayStation版については「電車でGO!2 高速編」をご覧ください。
電車でGO!/電車でGO!2 (WS)
【でんしゃでごー/でんしゃでごーつー】
ジャンル
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シミュレーター
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対応機種
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ワンダースワン
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発売元
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サイバーフロント
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開発元
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タイトー
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発売日
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初代
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1999年3月4日
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2
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1999年10月7日
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定価
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4,180円
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セーブデータ
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1個
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判定
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劣化ゲー
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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無茶ながらも本気を出した移植 コマ送りが粗過ぎる 衝撃のエンディング
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電車でGO!シリーズ
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概要 (WS)
大ヒットを記録した鉄道運転シミュレーションゲーム『電車でGO!』の移植版。PlayStation、Windows、ゲームボーイカラー、ワンダースワンの各ハードで展開されたが、本記事ではワンダースワン版について扱う。
ゲーム内容 (WS)
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初代・『2』ともPS版と同じダイヤ(初代4ダイヤ、『2』10ダイヤ)をプレイする。ゲームルールおよび各ダイヤの詳細については当該記事を参照されたい。
評価点 (WS)
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ワンダースワンでなんとか再現しようと、かなり頑張っている意匠が随所に見られる。
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グラフィックは後述の粗もあるものの、WSとしては比較的高い水準。対向車両やホーム形状等もPS版ほぼそのままに作り込まれており、相当なこだわりを感じる。
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初級最初の停車駅である馬堀駅を見てみると、対向列車のキハ58はもちろん、ホームのカーブ、跨線橋、さらにはホーム手前の注意喚起の看板までもが正確に移植されている。
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音声はPS版のものをできる限り使用している。タイトルコールから踏切の音、モーター(エンジン)音まで、質は落ちるがよく再現されたサウンドが聴ける。
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ただし初代では電車でもエンジン音になっているというミスがあった。
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隠し警笛は「作業員マークが表示されている時に警笛を鳴らすとボーナスになる」ことで再現。
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GBC版のようなゲームルールの省略やUIの劣化もなく、携帯機としてはかなり高い移植度を実現できている。
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エンディングは中年親父が電車ごっこしながらテーマソングを踊るというものになっており、かなりシュール。
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これは電GOのTVCMがモチーフとみて間違いないだろう。ただし親父が1人抹消されている。
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何気にWSでボイス付きのテーマ曲が聴けるのはかなり凄いことである。
問題点 (WS)
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難易度はやはり高め。
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本作は元々の難しさに加えて下記のような操作のやりにくさもあり、停車時のボーナス点を取るのが難しい。
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速度感覚が非常に掴みにくい
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コマ送りが極めて粗く、5mで1フレームとなっている。このため、停車間際の微妙な位置関係の把握が不可能。
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レールのジョイント音が明らかに現実より多い。短尺レールだとしても1.5~2.0倍のスピードに相当する数が鳴っている。
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鉄ちゃんが相変わらず挑発的な態度をとってくる。
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ピースサインこそないが、コンティニューしなかった際の変顔は健在。
総評 (WS)
カクカクな運転映像や分かりづらいサウンドなど無視できない問題点はあるものの、ゲームシステムそのものやグラフィック面での劣化は小さく、シリーズのツボはしっかりおさえた作品である。ボイスやテーマソングが収録されるなど、雰囲気を尊重する気概も感じられる。
当時の感覚で見ても、電GOを手軽に遊びたいなら十分おすすめできる。
電車でGO!/電車でGO!2 (GBC)
【でんしゃでごー/でんしゃでごーつー】
ジャンル
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シミュレーター
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対応機種
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ゲームボーイカラー
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発売元
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サイバーフロント
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開発元
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タイトー アイ・ティー・エル
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発売日
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初代
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1999年12月10日
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2
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2000年12月8日
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定価
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初代
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4,620円
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2
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5,720円
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セーブデータ
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1個
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判定
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劣化ゲー
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ゲームバランスが不安定
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シリーズファンから不評
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ポイント
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さらに無理ゲー化 意味不明で困難な停止位置 GBC専用なのに景色が白黒
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概要 (GBC)
社会現象を巻き起こしたアーケードゲーム『電車でGO!』。勢いに乗って多数の機種で家庭用作品が製作され、このゲームボーイカラー版もそのひとつである。
ゲーム内容 (GBC)
ゲームシステムの詳細は原作記事参照。
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ゲームモードはアーケードモードとコレクションの2つ。コレクションは初代ではスタンプ、2では鉄道写真。そのため初代では資料閲覧が全てカットされていることになる。
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コレクションは運転評価でGreatを取ると獲得できる。
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運転ゲームでは初代・2ともにプレイステーション版の仕様をおおむね踏襲している。
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収録ダイヤも基本的に原作と同じだが、初代の隠し路線はPS版同様にカットされている。
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運転評価では駅構内再加速が減点されない。
問題点 (GBC)
据置機から携帯機への移植ということもあり、一定の劣化が発生するのは仕方ないだろう。しかし、本作はそれを考慮しても余りある改悪が多数存在する。
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停車がさらに無理ゲー化
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本作では正しい停止位置に止めるのが無理ゲーと評される。その理由は以下の通り。
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停止位置表示が画面上に出ない。このため目印になるものが一切なく、本当に勘だけで止めなければならない。
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停止位置ガイドが40m手前からしか表示されないので、直前まで距離感が掴めない。AC版や据置機版では100m手前から見えていた。
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合格範囲がやたら厳しく、初級路線でも1mのオーバーランで減点される。速度感を見誤ったら最後、ゲームオーバー一直線である。
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ブレーキの効きが不安定。高速域と低速域でブレーキの効きの違いが極端に大きく、コントロールが困難。
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停止位置が変な所にあり、ホームのど真ん中にあるものも(初代のみ)。原作とは違う場所なので、初見プレイヤーにもAC版プレイヤーにも分かりづらい。
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よって、ただでさえ覚えゲーだった原作が更にパターン化必須になってしまった。
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水増し感の強いコレクション要素
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初代では駅スタンプが貯まるという触れ込みだったが、絵柄は定形のコメントと駅名が書かれているだけ、という簡素なもの。名勝や観光地が描かれた、現実の駅スタンプのようなものを想像していると肩透かしを食らう。
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『2』では鉄道写真がもらえるようになるのだが、原作では全て最初から開放されていたもののためありがたみは依然薄い。
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しかも、ほとんど同じ写真の紙媒体「電車図鑑」がソフトに付属している。ますます要らない要素になってしまっている。
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鉄ちゃんのアドバイスがあまり役に立たないのもAC版から変わらず。
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GBCということを考慮してもグラフィックが手抜き。
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GBC専用なのに景色が白黒。どうしてそこの手を抜いてしまったのか…
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しかも原作にはなかった運転台の描写があるため、前方が非常に小さく見える。
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線路が全て単線で、複線が一切再現されていない。おまけに枕木とレールが異様に太く、「幼稚園児が書いた線路のよう」とも。
本作よりスペックが低いはずのWS版の方がよっぽど原作に忠実である。
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他の車両が全部221系(JR西日本の車両)になっている。
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運転評価の採点が明らかにおかしい
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最初の駅で大オーバーランしてゲームオーバーになったとしても75点取れてしまう。
評価点 (GBC)
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OPの質は高い。GBとは思えないレベルの3Dグラフィックやら実写映像やらがわんさか登場する。
特に『2』での鉄ちゃんのアニメーションは絶賛された。
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実際のゲーム中で、これと同程度のグラフィックが見られると思ってはいけない。
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「電車でGO!」と「出発進行」のボイスが収録されている(初代のみ)。
後者はもちろん棒読みだが。
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全路線をノーカットで収録(2のみ)。
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携帯機でありながら10ダイヤを完全に収録しており、ボリュームとしては低下していない。
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リメイク版の移植なので発車メロディーが収録されている(2のみ)。
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今となってはレトロな音声で駅メロが聴ける貴重なツールとなっている。
総評 (GBC)
グラフィックもゲーム性も酷いったらなく、シリーズファンからの期待に全く応えられていない代物。AC版の人気に便乗したと思われるが、据置機版を持っているならこの作品を購入する意味は全くないといっても過言ではない。
単体のゲームとしても理不尽に難易度が高く、やはりお勧めできるものではない。
その後の展開
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1999年10月21日にネオジオポケット(モノクロ・カラー両対応)で発売された『電車でGO!2 ONネオジオポケット』はAC版『高速編』ベースの移植となっている。
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GBC版と違いカラー専用ソフトではないのに、カラー本体で起動すれば景色がきちんと単色ではないカラー表示であり、動作も非常に滑らかと出来が良い移植となっている。
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なお、このNGP版『2』はWS版よりも後だが、GBC版初代よりも前に発売されている。
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流石に無理があると判断されたのか、以降シリーズ作品の携帯機移植は『ポケット』まで長きにわたり行われなかった。
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『ポケット』は『FINAL』のPSPへの移植なのだが、流石にこの頃になると携帯機の性能もかなり上がっていた。少なくともグラフィック面での劣化はほとんど見られない。
最終更新:2024年12月27日 09:10