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通常モンスター(遊戯王OCG)

登録日:2017/01/31 Tue 14:13:32
更新日:2024/10/27 Sun 21:49:34
所要時間:約 20 分で読めます





通常モンスターとは遊戯王OCGにおけるモンスターカードの種類の1つ。
TCG用語ではバニラと呼ばれるカード群となる。

メインデッキに採用されるモンスターカードの内、特殊な効果や召喚条件を持たないものを指す。
カードフレームは黄土色をしている(そのため効果のないモンスターに使われるバニラという呼称が遊戯王プレイヤーにすぐ浸透した)。

アニメでは「通常モンスター」以外に「ノーマルモンスター」と呼ばれることも多い。


《ワイト/Skull Servant》
通常モンスター
星1/闇属性/アンデット族/攻 300/守 200
どこにでも出てくるガイコツのおばけ。
攻撃は弱いが集まると大変。

《エルフの剣士/Celtic Guardian》
通常モンスター
星4/地属性/戦士族/攻1400/守1200
剣術を学んだエルフ。素早い攻撃で敵を翻弄する。

《デーモンの召喚/Summoned Skull》
通常モンスター
星6/闇属性/悪魔族/攻2500/守1200
闇の力を使い、人の心を惑わすデーモン。
悪魔族ではかなり強力な力を誇る。

《ブラック・マジシャン/Dark Magician》
通常モンスター
星7/闇属性/魔法使い族/攻2500/守2100
魔法使いとしては、攻撃力・守備力ともに最高クラス。

《青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン/Blue-Eyes White Dragon》
通常モンスター
星8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
高い攻撃力を誇る伝説のドラゴン。
どんな相手でも粉砕する、その破壊力は計り知れない。


【概要】

その名の通り、最大の特徴は効果を持たないこと。
効果を持たないということはカード1枚での働きが攻撃・壁役・除去の囮程度、とごく限られてしまうということである。
《アヌビスの呪い》や《デモンズ・チェーン》といった効果モンスターに対してのみ妨害効果を発揮するカードもあるが、それらはカードパワーや汎用性の問題で現環境での使用率は高くない。
そのため一見すると効果を持たないのはデメリットでしかないが、通常モンスター専用、または「効果モンスター以外のモンスター」専用のサポートカードが数多く存在しているため、それらを使って戦うことになる。
というか、ヘタな効果持ちモンスターよりは通常モンスターの方がよっぽど扱いやすいカードと言える。
もちろん、後述する通り通常モンスター同士でのステータス勝負になるため新規カードが出るたびに一喜一憂するような形になる。

当然だが自身の効果で特殊召喚することはないので、フィールドに出すには1ターンに1度の通常召喚及びアドバンス召喚、他のカードの効果による特殊召喚が基本。

遊戯王OCGでは(ボスデュエルなどを除けば)唯一フレーバーテキストを持っているカードでもある。

効果のない融合モンスター儀式モンスターシンクロモンスターエクシーズモンスターリンクモンスターは存在しているが、
それらは通常モンスターとして扱われず、「効果モンスター以外のモンスター」という別の分類になるため対応するサポートカードは通常モンスターより少なくなりがち。

(効果のあるなしに関係なく)トークンや通常モンスターと指定されている罠モンスターは通常モンスターとして扱われる。

また、《始祖神鳥シムルグ》や所謂デュアルモンスターなど、特定の状況で通常モンスターとして扱う効果モンスターも存在する。




通常モンスターの歴史

第1期・通常モンスター最盛期

黎明期は効果モンスターがまったく存在せず、モンスターといえば通常モンスターが一般的だった。
それゆえモンスターはステータスが何よりも重視され、
攻撃力3000・守備力2500という最強のステータスを持つ《青眼の白龍》が最強とされていた。

なぜならこの当時OCGのルールは、
「レベル5以上も生贄なしで出せる『公式ルール』」と「生贄必要な『エキスパートルール』」の2種類があり、
前者ならばその《青眼の白龍》がポンと出てくる。
次点の上級モンスターはOCGもうひとつの顔・《ブラック・マジシャン》(攻撃力2500/守備力2100)だが、
ステータスが足りないので補助は必須。

よって公式ルールの場合、ゲームバランスは最悪に近かった。


公式大会ではもっぱらエキスパートルールが用いられていた。
デッキタイプはほとんど【スタンダード】という名のグッドスタッフ

当時の環境では除去が強力だったので、コストパフォーマンスの悪い最上級は使われず、
上級はレベル6で最強の攻撃力を持つ《デーモンの召喚》(攻撃力2500/守備力1200)単騎がほとんど。

《ヂェミナイ・エルフ》(攻撃力1900/守備力900)や《メカ・ハンター》(攻撃力1850/守備力800)など優秀な攻撃力を持つ下級モンスターが使われていたのだが、
これには上記以外のカードが単純に弱かったことが影響している。

以下に顕著な例を挙げよう。

《レオ・ウィザード》
通常モンスター
星5/地属性/魔法使い族/攻1350/守1200
黒いマントをはおった魔術師。
正体は言葉を話すシシ。

《ヂェミナイ・エルフ/Gemini Elf》
通常モンスター
星4/地属性/魔法使い族/攻1900/守 900
交互に攻撃を仕掛けてくる、エルフの双子姉妹。


第1期のモンスターは「(攻撃力+守備力)÷700=レベル(端数切り上げ)」となっていた。
※なお、《レオ・ウィザード》や《岩石の巨兵》などごく一部はこの計算式の例外になっている

しかし、《デーモンの召喚》がわんさかいる中、こんな下級にも劣る貧弱な上級に生贄を使っている余裕はない。
この2枚の比較は非常にひどい例だが、《デーモンの召喚》に勝てないならどの上級も似たり寄ったりである。
詳細はこちら参照。
そして《黒き森のウィッチ》が登場すると《デーモンの召喚》はさらに手に負えなくなった。

公式ルールもバランスが悪いが、エキスパートルールもそこまでバランスはよくなかったのである。


その他のモンスターに焦点を当ててみると、
ゲーム版の関係で生まれた色違いモンスターがあったりした(《クリボー》と《屋根裏の物の怪》など)。
ゲームによっては効果モンスターが一切存在しないものもあった。
また、名前やフレーバーテキストが自信過剰すぎるカードも多かった。

《二つの口を持つ闇の支配者/Two-Mouth Darkruler》
通常モンスター
星3/地属性/恐竜族/攻 900/守 700
口が二つある恐竜。
ツノに蓄電し、背中の口から放電する。

《ヨルムンガルド》
通常モンスター
星3/地属性/爬虫類族/攻1200/守 900
神話の世界に出てくるヘビ。非常に長い。



第2期・新エキスパートルールの導入

カードプールのさらなる増加でデッキに多様性が生まれた。
デビル・フランケン》+《青眼の究極竜》+《巨大化》の1キルコンボや、
《マハー・ヴァイロ》の低コスト高パワーなどがその筆頭である。

だが、《ブラッド・ヴォルス》(攻撃力1900/守備力1200)の登場で、
《ヂェミナイ・エルフ》とともに「1900ライン」という言葉が生まれるなど、
通常モンスターは相変わらずアタッカーとしての需要が高かった。

1900ライン+強力な効果持ちの《ニュート》もいたが、
入手困難制限カードだったのが相まってそこまで名を残すことはできなかった。
ちなみに、1900ラインという言葉が誕生した一方、デメリットアタッカーに革命をもたらした《ゴブリン突撃部隊》が誕生したのもこの第2期である。

《ブラッド・ヴォルス/Vorse Raider》
通常モンスター
星4/闇属性/獣戦士族/攻1900/守1200
悪行の限りを尽くし、それを喜びとしている魔獣人。
手にした斧は常に血塗られている。

一方、上級モンスターは《デーモンの召喚》の脇に《サイバティック・ワイバーン》が並んだ。
……のだが、中途半端に高い守備力(1600)が災いして「ウィッチでサーチできないからデーモンより使いにくい」とか言われたりもした。
しかし、罠カードを無効化する《人造人間-サイコ・ショッカー》が登場。
ゲームバランスが激化してきたことで《デーモンの召喚》の使用率も下がっていった。
《冥界の魔王 ハ・デス》《ヴァンパイア・ロード》《天空騎士パーシアス》《守護者スフィンクス》など強力な効果持ち上級モンスターも続々登場。
第1期のころは効果が役に立たないため必然的に「攻撃力>効果」になっていたが、このころから効果が攻撃力以上に重視されるようになっていった。



第3期~第6期 通常モンスター暗黒時代

第3期は言わずと知れた【カオス】全盛期。
《ヂェミナイ・エルフ》《ブラッド・ヴォルス》ら二大巨頭は《魔導戦士 ブレイカー》《怒れる類人猿》の登場で一気に追いやられた。
前者は魔法・罠を破壊できる1900ライン、後者はデメリット極薄の2000ラインで殴り倒されてしまう。

同じ通常モンスターにしても《デーモン・ソルジャー》(攻撃力1900/守備力1500)や《サファイアドラゴン》(攻撃力1900/1600)など守備力で上回るカードが登場。
くわえて、ワンサイドゲームで一気に勝負を決める【カオス】【サイエンカタパ】【現世と冥界の逆転】の発生により、【スタンダード】も立場が悪化。
【カオス】で闇・光属性の下級が使われることは多かったが、総じてデュエルの主役からは遠のいてしまった。

このころから《ガガギゴ》《凡骨の意地》などといったOCGの名脇役や、
おジャマ】【大革命】など「(当時は)絶望的に使いにくい通常モンスター」が収録され始める。


第4期では《サイバー・ドラゴン》《死霊騎士デスカリバー・ナイト》などさらに強力な効果モンスターが登場。
通常モンスターが復権することはなく、【カオス】の消滅で完全にお役御免となった。
《闇の量産工場》など有用な通常モンスターサポートもここから目立ってくるが、
そもそも環境レベルでは、通常モンスターが使われないのであまり関係ないことだった。
第5期になると下級には《ジェネティック・ワーウルフ》(攻撃力2000/守備力100)、
上級には《フロストザウルス》(攻撃力2600/守備力1700)と攻撃力のラインが塗り替えられる。

《ジェネティック・ワーウルフ/Gene-Warped Warwolf》
通常モンスター
星4/地属性/獣戦士族/攻2000/守 100
遺伝子操作により強化された人狼。
本来の優しき心は完全に破壊され、
闘う事でしか生きる事ができない体になってしまった。
その破壊力は計り知れない。

《フロストザウルス/Frostosaurus》
通常モンスター
星6/水属性/恐竜族/攻2600/守1700
鈍い神経と感性のお陰で、氷づけになりつつも氷河期を乗り越える
脅威の生命力を持つ。寒さには滅法強いぞ。

……が、「下級モンスターによる攻撃力のライン」自体が形骸化しており、もはやステータスに効果を上回る魅力はなかった。
通常モンスターとして扱う効果モンスター群【デュアル】も登場するがこの時期は鳴かず飛ばず。
デュアルのサポート用に作られたであろうカードはもっぱら別の目的のために使われる始末。

そして酷いのが《青眼の白龍》のせいで聖域化してしまった「最上級モンスターの攻撃力3000を超えることができない」という閉塞感。
ステータスが高いことが売りといわれているのに、原作の人気モンスターという理由だけで攻撃力3000に並ぶことすら許されない

ただ悪い話ばかりというわけでもない。
たとえば当時の攻撃力ラインとしてよく用いられていた帝やショッカーの2400を上回る「攻撃力2500」で何度も何度も殴りかかってくる《E・HERO ネオス》などは独自の強みを生むことになる。
そもそも「暗黒期」と説明されているこの時期だが、実際は正反対どころか通常モンスターにとって盛夏ともいえる時代だった。

もちろん現在のように特定の名称の通常モンスターを強化するテーマなどと比べればまったく戦えないが、逆に純粋にステータスに価値のある通常モンスターが、そのステータスを目当てにデッキに入る最後の時代でもあった。
早い話、攻撃力2000の《ジェネティック・ワーウルフ》(当時はろくなサポートがなかった)より攻撃力1900の《甲虫装甲騎士》(《デビルドーザー》のコストに使える)の方が需要があるという不思議な時代が訪れたのである。

当時がひどいデフレ環境だったというのはご存知の通りだが、そのおかげで通常モンスターが主体のデッキというのが相対的に成り立ちやすい時代だった。
つまり現在のように「デッキは組める!(相手の方がぶん回るのでまともに戦えない)」ということがなく、「ちゃんとぶん回れば相手を翻弄し、一蹴し、華麗に勝てる」という時代だったのだ。
「そりゃぶん回ればそうだろう」と言うなかれ、この時期はそもそもぶん回っても大して強くないデッキの方が多かったのだ。《精霊術師 ドリアード》 とか《ギルフォード・ザ・レジェンド》でどう戦えってんだ。

たとえば有名な通常モンスターのサポートカードもこの時期に多く登場している他、《ビッグ・コアラ》のように当時特定種族でデッキを組む際に採用が考慮できるデカブツも目立ち始めた。
レベル4ドラゴン族の《サファイアドラゴン》、レベル4恐竜族《セイバーザウルス》、レベル4風属性鳥獣族の《バードマン》なんかは当時種族デッキで割と見かけたカードである。
他に選択肢がないというのもあるが、高攻撃力で癖のない運用ができ種族サポートを受けられるというだけで破格だったのだ。

さらに《大嵐》どころか、後に《サイクロン》すら制限カードになるほどのデフレ環境であり、《凡骨の意地》《同姓同名同盟》のようなデッキの軸となるカードを維持しやすかった。
加えて当時は通常召喚がゲームの軸になるので、ステータスが比較的高い上にどれもこれも似たり寄ったりな性能のモンスターを山積みにした金太郎飴的なデッキは、
「この手のカードはデッキに3枚しか積まれていない」という心理の裏を突くこともできた。ぶっ倒してもぶっ倒しても似たような奴が出てくるため、普通のデッキ構築論を殴りぬけることができたのだ。
リビングデッドの呼び声》(制限)と《正統なる血統》、ミラフォ(制限)と《ジャスティブレイク》のように似たような役割を持つカードが4枚以上入ることもあり、潤沢な手札やハマると強いサポートを軸に様々なデッキが登場してショップをにぎわせていた。
こんなもんが《凡骨の意地》で手札を潤しながらガンガン出てくるのである。《スキルドレイン》など本来の相手には刺さるようなカードがまるで刺さらないこともあり、非常に戦いづらい相手だった。

さらに《高等儀式術》の登場後は、レベル2、4、8の通常モンスターに非常に高い需要が生まれる。墓地肥やしをしながら強力なモンスターを展開できるこのカードは《デビルドーザー》《メガロック・ドラゴン》をはじめとした墓地肥やしギミックなどとの相性を見込まれ、
非常に多くの通常モンスターに特需を生んだ。特に《デビルドーザー》で昆虫族下級アタッカーが注目されるなど徐々に復権してくる。
これまで100円でも高かった《太古の壺》や《ネオバグ》が300円以上でも売れるようになったのだ。主にコストとしてではあるが、これらのレベルの通常モンスターが活躍を見せた時期でもある。
《フュージョン・ゲート》を利用して融合を繰り返していく【凡骨融合】、《E・HERO ネオス》を何度も何度もしつこく特殊召喚する【ネオスビート】など通常モンスターを軸にしたデッキも多く見受けられた。

通常モンスターを軸にしたローレベルデッキというのも忘れてはいけない。《下剋上の首飾り》や《同姓同名同盟》《人海戦術》などで他のデッキとはまったく異なる動きをする。
デッキの構築難易度が群を抜いて高く、しかも使いこなすのはおそらく当時の遊戯王で最も難しいが、使いこなしたそのデッキは「よくわかんないけどいつの間にか負けていた」という奇妙な動きを見せてくれた。
アニメの《もけもけ》や《おジャマ・イエロー》あたりが有名だが、他にも《異次元トレーナー》《弾圧される民》のように高い守備力を生かしたローレベルモンスターというのもあった。

この時期はテーマ「コクーン」を皮切りにまったくテキストを参照することがない効果モンスターというのも多く、彼らはバニラの方がましだったとすら酷評された。
この酷評は《停戦協定》などでダメージを受けるからではなく、「特定の種族・属性・レベルの通常モンスターが2~3種類いるだけで、組めるデッキの幅が大きく広がるから」だったのである。
後にシンクロエクシーズの登場によって利点が完全に吹き飛んでしまった通常モンスターだが、GX当時は普通のTCG的な意味で通常モンスターが活躍した最後の時代だった。
「特定の名称を持つカードをガチガチにサポートしていく」という現在とはまた違った価値観から生まれたデッキは、いろんな意味で当時にしかできない素朴で派手な動きを見せたものである。
《決戦の火蓋》の登場があと3ヶ月早ければ、最後にひと花咲かせてやれたのだが……。

+ 当時の自重文化に絡む話
そもそもこの時期の9割以上のデッキは、【カオス】【スタンダード】【黄泉帝】をはじめとしたガチデッキを前に何もできなくなる。
つまりアニメで推していたようなテーマデッキを用いて遊ぶ場合、こういったガチデッキを使うことをある程度自重して遊ばないと勝負自体が成り立たない。そのためガチとファンの住み分けが徹底されていた
かの有名な「はいはい、地砕き、地砕き……」は当時の遊戯王プレイヤーの大半が持っていた閉塞感を端的に示したネタであり、これに対して「《地砕き》されても痛くないデッキを組もう」と考えるか、「《地砕き》を自粛しよう」と考えるか、という差といえばわかりやすいかもしれない。
今なら前者の思考を取らない方がおかしいのだろうが、当時はそう言ってられないほどカードプールにろくなものがなかった。たとえばストラクチャーの看板モンスターを見ればわかるが、こんな出しにくいくせに除去耐性のないモンスターを軸にしているようなデッキで除去なんて許していたらまともに遊べない。
それこそデッキ改善案で「まずカードを40枚全部抜いてこちらのデッキをコピーしてください」がまかり通る。《地砕き》をはじめとした、環境に圧を与えるカードを許していては同じようなデッキしか使えなくなってしまう。そのためこれをプレイヤー側で対応するという文化があった。
これ自体はどんな対戦ゲームでも同じだった。当wikiの「厨ポケ」の編集履歴なんかを見てみればわかるが、かつてはそういった「使えば勝って当然」のようなものに頼らないことが美徳の……悪い言い方をすれば「そういうことを紳士協定で強いられる」時代でもあったのだ。
海外ですらそうだった。せっかく多種多様な駒を用意してもらっているのなら、それらを使えた方が楽しいに決まっているという考え方だ。
そして原作で特定のガチ戦術を否定するなんてこともまったく珍しくなく、遊戯王R3巻の城之内君の説教、デッキ破壊を全否定するエド、【お触れホルス】を倒す十代など様々な方法で「勝つだけがデュエルじゃない」という方法を売り出そうとしていた。

もちろんこういった遊ばせ方はプレイヤー間の対立を深めていく結果となり、他にも様々な暗い話がいくらでも出てきてしまう。
こういったことに「ストラクチャーデッキのガチ化」「ゲーム性の高速化」「アニメキャラがガチデッキを使用」などで対応していき、プレイヤーの文化の刷新を狙ったのが第5期末期以降の遊戯王だったのだ。
これはこれで《大寒波》3枚積みで特殊召喚やりたい放題という遊戯王の長い歴史の中でも最悪級の世紀末環境を生み出してしまったが、そうした嵐の日々を経て今の平和な遊戯王があるってわけ。
強いカードを心置きなく使えた方がゲームが楽しいのは間違いない。WRGP編以降は遊戯王5D'sに慣れ親しんだプレイヤーも多く、こうした文化はすっかり昔話になった。
そして時を同じくして他のゲーム、たとえばポケモンなども「厨ポケ、なんて言っているのは弱い奴のやっかみだ」という見方が強まるようになり、こうしたローカル禁止文化は次第に廃れていった。

というわけで少なくとも「通常モンスターの暗黒期」というのは、環境のTier1、それも【トランス】系のデッキのない清らかな環境以外にまったく興味がない人の言い方。
その見方だと別に通常モンスターに限らず9割以上のカードが暗黒期になるし、むしろそういう環境を嫌う人の方が声が大きかった時代である。
もちろんこういう遊ばせ方が暗黒期って意味なら分かるんだけどね。紳士協定というのはマナーにすぎないためすぐに喧嘩になる。あんまりいい時代ではなかったことだけ覚えておいていただきたい。

通常モンスターを軸にした戦略が取れる最大値という意味では、確かに暗黒期だっただろう。
しかし通常モンスターという分類全体でみればむしろ盛夏とすら言え、通常モンスターが様々なデッキに入った最後の時期でもある。
中には特に採用する理由のない《砦を守る翼竜》で原作の話で盛り上がったり、《半魚獣・フィッシャービースト》や《島亀》で昔話を賑わせたり。
そういった素朴なデッキと遭遇する率が高かったという意味では、むしろ今よりよほど通常モンスターが活躍していたともいえる。

この時期からテーマデッキがガチ化してくることになるが、テーマデッキの中に世界観を説明するための通常モンスターが1枚ほど入るようになる。最強のヴェノムモンスターこと《ヴェノム・コブラ》なんかは分かりやすい例。
その中でも【剣闘獣】の《剣闘獣アンダル》(攻撃力1900/守備力1500)は高いステータスから活躍する機会もあり、中には剣闘獣と縁のないデッキにも1枚含まれていることがあった。
コントロール奪取した剣闘獣から出そうという戦略であり、当時は非常に面白がられた。

そしてこの時期で忘れてはいけないのが《始祖神鳥シムルグ》。当時どころか現在でも類を見ない「手札でのみ通常モンスター扱いされる」カードで、どっかのだれかを救うためだけに作られたような不思議な効果。
ガチ環境だと見向きもされなかったが《凡骨の意地》との相性はかなりよく、《ウィンドフレーム》研究勢を中心に使用されたカードである。凡骨デッキの最後の意地を見せるには十分な性能を持っていた。そしてデッキから抜ける《ウィンドフレーム》


しかし《ダーク・アームド・ドラゴン》をはじめとした高ステータスの非常に特殊召喚しやすい制圧力の高いモンスターの登場で影が差し、攻撃力を全否定する《オネスト》の登場によって高攻撃力に何のメリットもなくなってしまう。
その上シンクロ召喚が導入され、上記カードらが弱体化してきた第6期で完全な冬の時代に戻ってしまった……というより、おそらく遊戯王の歴史の中で一番通常モンスターが冷え込んでいたのがこの時期だろう。
それどころか【凡骨融合】のように、融合デッキ絡みのルールが変更されたことでデッキ自体成り立たせるのが難しくなったものまであった。
もちろん完全に燃え尽きてはおらず、【デュアル】が強化されてきたことで《E・HERO アナザー・ネオス》に注目が集まり、【ネオスビート】が実戦的になったり、《伝説の白石》の登場で【青眼の白龍】の原型ができあがったりもした。
チューナーの通常モンスターもそこそこいたが(《ジェネクス・コントローラー》《ガード・オブ・フレムベル》など)【BF】を前にはなすすべもなかった。
といってもこの時期は一部のデッキ以外本当に人権がなかったというか、本当にまともに遊べなかったレベルで世紀末だったので仕方ないだろう。DDBが最速禁止で話題になったり、トリシュ3枚とかやってる時代だよ?通常モンスターでどう戦えというのだ。


第7期~第8期 傷だらけ大逆転

第7期ではエクシーズ召喚が導入された。
レスキューラビット》が非常に大きく、これにより下級通常モンスターの価値が一気に増した。
【レスキューラビット】は環境にも顔を出すようになり、【次元ラギア】や【ヴェルズラギア】といった派生デッキも産まれた。
相変わらずデッキの主役ではないが、環境デッキのキーパーツなのだから以前より大幅に価値は増したといえる。
また、【ジェムナイト】【聖刻】などの通常モンスターがデッキの中核を担うカテゴリも登場。
特に【聖刻】ではドラゴン族通常モンスターが大きく注目されるようになり、ドラゴン族の通常モンスターは

その他にも《ドラゴラド》《タンホイザーゲート》などで攻撃力の低さが着目され、絶版の貧弱通常モンスターにも活路が。
ずっと息をしていなかった上級モンスターも《ダイガスタ・エメラル》《王者の看破》などの登場で【バニラ蘇生】が使いやすくなっている。

第8期ではさらにパワーのある【征竜】などのカテゴリが登場するようになるが、完全に勢いを損なうことはなかった。
初代最強こと【青眼の白龍】も青眼龍轟臨で大幅な強化を見せ、
魔導書の神判」で超絶強化された【魔導】に「乙女」組み込んだ【青眼魔導】が環境に顔を出した。

この頃からはっちゃけたフレーバーテキストのカードが目立ち始める。

《ヴェルズ・ヘリオロープ/Evilswarm Heliotrope》
通常モンスター
星4/闇属性/岩石族/攻1950/守 650
ルメトモ ヲンエウユシ ツメハ イカハ
ンネヤジルナウコウス ノズルエヴンイ
イシマタノラレワ ルナクアヤジ テシニイスンユジ

《アレキサンドライドラゴン/Alexandrite Dragon》
通常モンスター
星4/光属性/ドラゴン族/攻2000/守 100
アレキサンドライトのウロコを持った、非常に珍しいドラゴン。
その美しいウロコは古の王の名を冠し、神秘の象徴とされる。
――それを手にした者は大いなる幸運を既につかんでいる事に気づいていない。

《バニーラ/Bunilla》
通常モンスター
星1/地属性/獣族/攻 150/守2050
甘いものがとっても大好きな甘党うさぎ。
世界一甘いと言われる甘糖人参を探し求め、
今日も明日もニンジンをかじりたい。


第9期~ お楽しみはこれからだ!

マスタールール3の導入でペンデュラム召喚が誕生。
このころから「ペンデュラム効果を持つがモンスター効果は持たない通常モンスター」という掟破りのカードが登場し始める。

《クリフォート・ツール/Qliphort Scout》
ペンデュラム・通常モンスター
星5/地属性/機械族/攻1000/守2800
【Pスケール:青9/赤9】
(1):自分は「クリフォート」モンスターしか特殊召喚できない。
この効果は無効化されない。
(2):1ターンに1度、800LPを払って発動できる。
デッキから「クリフォート・ツール」以外の「クリフォート」カード1枚を手札に加える。
【モンスター情報】
システムをレプリカモードで起動する準備をしています...
C:\sophia\sefiroth.exe 実行中にエラーが発生しました。
次の不明な発行元からのプログラムを実行しようとしています。
C:\tierra\qliphoth.exe の実行を許可しますか? <Y/N>...[Y]
システムを自律モードで起動します。

そういったペンデュラムモンスターが核となる【クリフォート】【メタルフォーゼ】【イグナイト】といったカテゴリも登場し、環境に大きな影響を与えた。

さらに《幻煌龍 スパイラル》(攻撃力2900/守備力2900)《PSYフレーム・ドライバー》(攻撃力2500/守備力0)などデッキの核になる単純な通常モンスターや、
2000ラインにあたる《幻のグリフォン》《幻殻竜》(両方とも攻撃力2000/守備力0)などの下級アタッカー、【バニラペンデュラム】のサポーターであるドラコニアも登場している。

第10期の新マスタールールではリンクモンスターが登場。
調整のためにリンク素材に通常モンスターを使えないものもいるが、特殊召喚のしやすさからそうでないモンスターの素材としてお呼びのかかることもある。



代表的な通常モンスター・関連カード

通常モンスター

遊戯王という作品を象徴する名だたるモンスター2枚。
ブラック・マジシャン》は遊戯が、《青眼の白龍》は海馬が使うことが遥か古代から決められていた。
原作で《青眼の白龍》のステータスは「MAX」とも表記されていたが、OCGではより高い守備力を持つ通常モンスターが登場している。


原作出身で人気の高いカードだがステータス面で上記2枚に遅れを取り、専用サポートもなかなか増えなかった。
そのため「こんなのに全財産はたいた竜崎…」と読者の間ではネタにされてきた。
現在ではサポート自体はかなり増えたものの、依然としてデッキ構築難度は高め。


GX』の主人公・遊城十代の2代目切り札。
フレイム・ウィングマン? 4期で出番あったからいいじゃない!
こちらも多数のサポートカードが登場して、ネオスを軸としたデッキが組めるようになっている。


  • 《ランプの魔精・ラ・ジーン》(攻撃力1800/守備力1000)
原作よろしく《マジック・ランプ》とのコンボが有名な古豪。
あっちの効果に回数制限がないので、化ける可能性は秘めている。


ほとんどネタカード……かと思いきや現在では意外と侮れない存在に。
本体が貧弱でもキャラ性に注目され専用サポートが増えれば同時期の似たり寄ったりな連中との間に圧倒的な差がつくのである。


主に背景ストーリーで活動している者達。
こちらも融合やローレベルサポート等、使い道はそれなりにある。


  • 《デーモン・ビーバー》(攻撃力400/守備力600)
  • 《プチリュウ》(攻撃力600/守備力700)
  • 《D・ナポレオン》(攻撃力800/守備力400)
  • 《ハッピー・ラヴァー》(攻撃力800/守備力500)
霊使いの使い魔達で、全て霊使いよりレベルが低いレベル2のモンスター。
水属性は《ギゴバイト》で、炎属性だけは効果モンスターの《きつね火》。
炎属性レベル2通常モンスターという括りだと数が少ない上に《ファイヤー・アイ》以外は基本可愛くなかったし、そのおかげで《D・ナポレオン》は一つ目というアイデンティティが被らずに済んだ。
霊使いと力を合わせ成長した彼らは立派な効果モンスターとなっていく。


インセクター羽蛾が所持していることで有名なカード。
後に《ゴキポール》や《G・ボールパーク》といった昆虫族通常モンスターサポートが登場。
しかし専用サポートというわけではないため、《G戦隊 シャインブラック》や《カマキラー》がライバルとなる。


謎ステータス。
僅かな差で《カオスエンドマスター》に対応していない所が《モリンフェン》以上に悲惨。
ジャッジキルを狙える点を考慮しなければ最弱候補とも言える性能。


名前が《青眼の白龍》に似ているというだけでネタにされる弱小モンスター。ご丁寧にデュエルリンクスの海馬初期デッキにも混ざっている。
なお、青眼系のサポートカードは「ブルーアイズ」指定なので「ブルーアイ」なコイツは当然ながら対象外。


一部ではを差し置いて遊戯王OCG最強と噂されているカード。通称「モリンフェン様」。
《ヘルウェイ・パトロール》《カオスエンドマスター》《召喚師のスキル》《思い出のブランコ》《死者蘇生》などに対応しどこからでもやってくる。
禁止カードである《サイバーポッド》《メンタルマスター》《黒き森のウィッチ》などすら一方的に殴り倒すことが可能で、《フォース》を使えばほぼすべてのモンスターを破壊できる。

闇属性・悪魔族・通常モンスターなので《ダーク・アームド・ドラゴン》《始祖竜ワイアーム》《混沌帝龍-終焉の使者-》など強力なモンスターの素材にもなる。
自身のカードパワーのみに頼らず他カードに活躍の場を与える謙虚な姿勢は現代人も見習うべきではないだろうか。

禁止カード《強欲な壺》とほぼ同じ効果を持つ《凡人の施し》のデメリットを防げ、
同様に禁止カード《王宮の勅命》に匹敵するパワーの《砂塵の結界》や、制限カードである《ブラック・ホール》に近い効果の《ジャスティブレイク》にも対応と搦め手にも優れる。

さらに装備魔法かつ禁止カードの《強奪》《早すぎた埋葬》《蝶の短剣-エルマ》にも対応しているのだから、
謙虚さと同時に遠慮しないときは遠慮しない堂々とした姿勢を見せてくれる。
手札にさえあればフィールド完全リセットの《最終戦争》のコストにすら使うことが可能なのはあまりにも有名。

どこまでも自重しない強さながらなんと無制限カード!
KONMAI七つの大罪の一つにモリンフェンに一切の制限がないことが挙げられる。
《カオスエンド・ルーラー -開闢と終焉の支配者-》がOCG化しないのはモリンフェン様の存在が大きいからだろう。

しかし絶版ゆえにOCG初心者が入手するのはあまりにも難しい。
これは希少価値を高めなければOCGのバランスが崩壊してしまうことを悟ったKONMAIがとった苦肉の策だがモリンフェン様を前にはそんなこと関係ない。

……でも環境に顔を見せていないのはどうしてだろうね。


  • 《シーホース》(攻撃力1350/攻撃力1600)
初期に登場した中途半端なステータスの上級モンスターの1体。

シーホースとは「タツノオトシゴ」の事だが日本語名でシーホース、英語名でTatsunootoshigoと言う逆転した名前や「上半身が馬で下半身が魚」という、
どう見てもタツノオトシゴじゃないぶっちゃけキモいイラスト、名前を直訳すると「海馬」になるなど、ネタ要素がたっぷりある。

極め付けはニコニコ動画での某動画シリーズでの意外な活躍。
それをネタとしたとある公式デッキの収録カードとしてこのカードが使われたため、今ではモリンフェン様と並び、人気の高いカードである。


レベル5・水属性のバニラ達。
カードイラスト関連のストーリーやパロディネタなど性能以外の部分が語られることが多い。
しかし、《伝説の都 アトランティス》があればリリースなしで2600以上の攻撃力を発揮できるので意外と強力。
単体では《ダイナミスト・スピノス》に劣るが《召喚師のスキル》や《闇の量産工場》などを活用する手もある。

  • 《ネオバグ》(攻撃力1800/守備力1700)
  • 《大くしゃみのカバザウルス》(攻撃力1700/守備力1500)
それぞれもとは種族デッキの主力だったが、後により攻撃力の高い《甲虫装甲騎士》や《セイバーザウルス》が登場したことで立場を失っていた。
しかし、デミズドーザーや《エヴォルカイザー・ラギア》の登場で再び注目され、環境次第で2番手でも復権する可能性があるという好例となった。
なお現在ではさらに打点の高い《メガロスマッシャーX》や《G戦隊 シャインブラック》が存在する。
カバザウルスは水属性のため《バハムート・シャーク》と使い分けるなら2番手になれるが、ネオバグは属性での差別化ができないため完全に3番手となる。

  • 《ブロッカー》(攻撃力850/守備力1800)
  • 《カッター・ロボ》(攻撃力1000/守備力1300)
《レスキューラビット》に加えて《ドラゴラド》にも対応し《ブラック・ガーデン》とも相性の良い優良素材モンスターとして主にシンクロ召喚最盛期に【機械族】で重宝されたモンスター。
基本的にはその名に恥じない守備力を持ち《落とし穴》で破壊されないブロッカーがより優先的に採用された。
カテゴリに属さない低ステータスのバニラも戦術次第で活躍の余地があるという好例。

  • 《ガーゴイル・パワード》(攻撃力1600/守備1200)
  • 《クレイジー・フィッシュ》(攻撃力1600/守備力1200)
  • 《シャイン・アビス》(攻撃力1600/守備力1800)
  • 機械軍曹》(攻撃力1600/守備力1800)

攻撃力1600というのは戦闘で頼れない上に従来のリクルーターに対応しない不遇さがあったが、現在はサポートカードにより微妙な数値にも独自のメリットを見出すことも可能。
《サンダー・ハンド》の召喚条件を満たし《ブラック・ガーデン》ではトークン2体分で蘇生でき、攻撃力より守備力が高いモンスターの場合は《ブロークン・ブロッカー》にも対応する。

  • 《プリズマン》(攻撃力800/守備力1000)
E・HERO プリズマー》やキン肉マンに登場する同名の超人との繋がりでネタにされる初期の通常モンスター。
しかし、光属性・岩石族の通常モンスターのためジェムナイトとの親和性が高く、単なるネタに留まらない存在。

  • 《クリフォート・ツール》(攻撃力1000/守備力2800)
カテゴリ単位で非常に独特なフレーバーテキストをしていることで有名。
このカードは地味にエクゾディアパーツ以来の通常モンスターの制限カード経験者。

  • 《PSYフレーム・ドライバー》(攻撃力2500/守備力0)
手札誘発モンスターであるPSYフレームギアたちを利用する上で必須なモンスター。
特に《PSYフレームギア・γ》は規制を受けるレベルで強力なので、必然的にこのカードも採用率は高め。
一方でこれ自体はただの上級通常モンスターなので、手札にこられると嫌がられる宿命にある。
一応、攻撃力は低くないのでフィールド上のモンスターを墓地に送るためアドバンス召喚されたり、手札コストとして使われたりすることもあるが、専用デッキではない限り事故に近い。



通常モンスターのサポートカード


効果モンスター・魔法・罠

  • 《究極封印神エグゾディオス》
エクゾディアシリーズの1枚。墓地の通常モンスターの数×1000ポイントの攻撃力となる。
召喚するのも簡単な上に1体あたりの上昇値が高いので、通常モンスターと絡める場合は本来の特殊勝利の効果をすっ飛ばして、
下記の《高等儀式術》で墓地に通常モンスターを貯めて、打点を上げて殴ると言う用法がよく使われる。
一番の役目は墓地のモンスターをデッキに戻したり、ランク10のエクシーズ素材とか言っちゃあいけねぇ


通常モンスター同士を融合させるだけでなんとびっくり。
かなりの耐性を持つ驚異的なカード。


  • 《蒼眼の銀龍》
デザイン的には《青眼の白龍》と組み合わせることを想定したカードだが効果は通常モンスター全般とドラゴン族モンスター全般に対応している。
スタンバイフェイズごとと遅めとはいえ毎ターン墓地から通常モンスターを出せるのは素直に強い。出してから次のターン終了時までは耐性を持つので大抵一度は効果を使える。


通常モンスターを特殊召喚して一気にエクシーズ召喚に繋げるモンスター達。
特に低攻撃力や低守備力を指定する下記2枚は弱小バニラの可能性を広げ、《タンホイザーゲート》とのコンボで高ランクのエクシーズモンスターを呼べる。
とは言え、基本的には《暗黒界の番兵 レンジ》や《E・HEROクレイマン》等、攻守のどちらかや他のカテゴリサポートにも恵まれたカードが優先される。
攻守が半端なカードの中では《ブラック・ボンバー》にも対応する《ブロッカー》や《カッター・ロボ》等がかなり恵まれた存在と言える。


  • 《ライカン・スロープ》
  • 《覚醒戦士 クーフーリン》
墓地の通常モンスターを利用して火力を上げる儀式モンスター達で、特に後述の《高等儀式術》と相性が良い。
しかし、素のステータスが貧弱で、上手くコンボに繋げてもそこまで火力が出るわけではないので使いづらい。
結局、《高等儀式術」関係なしに普通にステータスや効果が強力な儀式モンスターを使った方が無難。


ズシンカウンターが10個乗ったレベル1通常モンスターをリリースすることで特殊召喚できるモンスター。
場に出れば圧倒的な能力を発揮するが、正規の召喚条件を満たすのは困難極まりない、まさにロマンの塊。
というか普通に《終焉のカウントダウン》を使った方が早い。
実用性的にはほぼ《青天の霹靂》と《G・B・ハンター》とのコンボ専用。


  • 《ジェム・マーチャント》
対象が地属性の通常モンスターに限定され、攻撃力の上昇値も1000に固定された縮小版オネスト
元々地属性には攻撃力の高い通常モンスターが多く【凡骨ビート】等でも《ガイアパワー》が使われるほどである。
ただ、このカード自体は奇襲性こそ高いが、戦闘補助以外にも使える禁じられたシリーズの方が汎用性は高い。


  • 《ドラコネット》
召喚時に手札・デッキからレベル2以下の通常モンスターを守備表示で特殊召喚するモンスター。
リンク2に即座に繋げられ、自身がレベル3なのでチューナーをリクルートすればレベル4〜5のシンクロも可能ではあるが、正直地味な印象が拭えないカード。
…しかし、特殊召喚先の通常モンスターに《ギャラクシー・サーペント》に《守護竜ユスティア》と言ったドラゴン族のレベル2チューナーがいた事と、
レベル5シンクロに墓地の通常モンスターを蘇生させる《星遺物の守護竜》をサーチ可能で墓地に送られたら星杯モンスターをリクルート出来る《星杯の神子イヴ》がいた事、
星杯モンスターに墓地から除外する事で墓地の通常モンスターをリンクモンスターのリンク先に蘇生させる《星杯の守護竜》がいた事、
何より当時はあの《水晶機巧ーハリファイバー》が健在だった事により、
このカードの通常召喚から特殊召喚した通常モンスターを何度も蘇生させて大量にモンスターを並べて制圧するソリティアの初動カードとなる大躍進を遂げたため、一時期は制限カードに指定された事もあった。
後に主要な関連カードが投獄された事で釈放されたが、相性次第ではこんな淡白なカードでも規制対象になり得ると言う好例と言える。


通常モンスターをリリースした場合のみ召喚できるレベル6モンスター。
アドバンス召喚成功時に相手の表側モンスター全ての効果を無効にしつつ、墓地の通常モンスターと種族か属性が同じモンスター全てを除外する、と豪快な除去を放てる。
相手メインフェイズに手札から公開する事で「原石」モンスターのアドバンス召喚を行う効果があるので、相手ターンにもアドバンス召喚が可能なので妨害としても機能する。
「原石」魔法・罠には通常モンスターのカード名を宣言する事でその通常モンスターを守備表示で特殊召喚するカードが複数存在するため、リリース元の確保及び除去範囲の拡大がしやすい。
流行りのデッキをメタる組み合わせの種族・属性の通常モンスターを選ぶのもよし、それを無視してお気に入りの通常モンスターを選んで活躍させるのもよしと言うカードとなっている。誰が言ったか「好きな通常モンスター発表ドラゴン


  • 《リンク・スパイダー》
素材に通常モンスターを指定するリンク1。
手札の通常モンスターをリンク先に特殊召喚できる効果も持つので、通常モンスターの多いデッキでリンク2につなげやすい。
だが実態は通常モンスター扱いになりやすいトークンや罠モンスターを効果モンスターに変換するためだけの採用で、効果自体は使われないことがほとんど。


誰が呼んだか「城之内シリーズ」。
凡骨の意地》はドローしたカードが通常モンスターならもう1枚ドローできるカード。
優秀なドローソースになるもののそれが役に立つかは構築次第。

他の2枚も通常モンスターを利用したドローソースで、
普通の人間であり(初期手札やドローカードの)運に左右されることの多い彼をイメージした物になっている。


  • 古のルール
  • 《思い出のブランコ》
  • 《召喚師のスキル》
  • 《正統なる血統》
  • 《蘇りし魂》
  • 《黙する死者》
  • 《闇の量産工場》
  • 《ダイガスタ・エメラル》
通常モンスター専用サポートカード群。《闇の量産工場》以外は上級モンスター専用に近い。
昨今ではこれらに頼らずともなんとかなる場合が多いため影が薄いが役に立たないことはない。


  • 《トライワイトゾーン》
  • 《魔の試着部屋》
  • 《トライアングルパワー》
  • 《サウザンドエナジー》
  • 《弱肉一色》
  • 《下剋上の首飾り》
  • 《窮鼠の進撃》
低レベル通常モンスター用のサポートカード。使うなら通常モンスター軸の【ローレベル】。
1枚1枚はザコでもサポートを組み合わせれば威力は絶大なのがこのデッキの持ち味だったが、
最近では環境のインフレでエクストラから特殊召喚するための素材扱いが主になっている。
……それに頼らず【エクゾディア・ビート】みたいなデッキに走るのも決闘者の自由だ。
水属性軸なら《湿地草原》も絡めるとさらに爆発力が増す。


  • 《悪魔への貢物》
  • 《予想GUY》
  • 《苦渋の決断》
下級通常モンスター用サポートカード。
レベル4に対応するので、縛りがあるが強力なエクシーズモンスターなどが呼びやすい。


  • 《高等儀式術》
通常モンスターをデッキから墓地へ送って儀式素材にする儀式魔法。
単純な儀式魔法として使うのではなく、墓地肥やし用のカードという側面が強い。
1キルデッキの【デミスドーザー】で用いられたりした。


  • 《高尚儀式術》
こちらは逆に手札の通常モンスターをリリースしてデッキから儀式召喚できる。
この効果で出したモンスターは相手エンドフェイズにデッキに戻るので、それまでに活用したい。


  • 《大熱波》
  • 《暴君の自暴自棄》
発動条件から構築を選ぶところはあるが効果モンスターの召喚・特殊召喚を封じるため、相手の動きに大きな制限をかけることができる。
効果モンスターメタの最高峰であるスキルドレイン制限化したので利用価値が上昇した。


  • 《天威無崩の地》
  • 《絶対魔法禁止区域》
通常モンスターに効果を受けない耐性を与えるカード。
前者はモンスター効果、後者は魔法カードの効果を受けなくできるが、フィールド魔法と永続魔法なので併用できない。
なお、両者ともに厳密には効果モンスター以外のモンスターをサポートするカードなので、通常モンスターに限らず効果を持たない儀式モンスターやシンクロモンスターなどにも適用できる。
上述の《馬の骨の対価》や《ダイガスタ・エメラル》も同様である。




通常モンスターを使ったデッキ

現在、通常モンスターのメリットとしては「豊富なサポートカードが存在すること」「メタカードが少ないこと」が挙げられる。
逆にデメリットとしては「効果を持たないためアドバンテージが得にくく、それら以外のカードへの依存性が高まること」「力負けする相手にはかなり不利になること」など。

青眼の白龍】【ブラック・マジシャン】【深紅眼の黒竜】【ネオスビート】などのデッキは通常モンスターサポート+専用サポートを合わせることで独特な動きを見せる。

それ以外のデッキを組むなら、豊富なサポートカードを活かすことが前提。
たとえば
  • 凡骨の意地》をドローソースに使った【凡骨ビート】【凡骨エクゾディア】【凡骨融合】
  • 《レスキューラビット》《ダイガスタ・エメラル》《予想GUY》などを活用した【レスキューラビット】【エクシーズ召喚】
  • ペンデュラムモンスターにサポートカードを合わせた【バニラペンデュラム】
  • 大量展開からシンクロやエクシーズを狙う【ローレベル】
などなどデッキ構築の幅は非常に広い。
反面それは勝てるようなデッキを作る難易度の高さにもつながっており、初心者には少々敷居が高いか。
効果を持たないのでシンプルかと思いきや、意外と頭を悩ませるのがバニラの魅力である。

ただし、初期通常モンスターのほとんどが絶版なことには注意したい。
「あッ! 《メガロック・ドラゴン》軸の【岩石族】組みたいのに《ポット・ザ・トリック》や《はにわ》がない!」なんてことは少なくないだろう。
カード資産の面でも少々敷居が高いので初期からのプレイヤーでないとわりと悩む。
特に再録経験も無いノーマルカードは、出回っている数が少ないため、相場も安定していない。
同じカードでも、貴重だからと妙に高額な場合もあったり、逆にショップのストレージで10円程度で売られていることもある。
また、完美品は非常に少ないため高値が付けられる。



原作・アニメでの通常モンスター

原作では《ホーリー・エルフ》が効果モンスターになっていたり、
《ビッグ・シールド・ガードナー》が通常モンスターになっていたりとOCGとは差異がある。

というか原作自体がわりと勢い重視の作風なのでツッコミ自体が野暮かもしれない。

エルフの剣士》《暗黒騎士ガイア》など原作出身のそこそこな立場の通常モンスターにはOCGでリメイクが与えられることが多く、
アニメではそちらが使用されることが多々あった。


DM』では終始多くのキャラクターが通常モンスターを使用している。
王国編あたりがそうだが、通常モンスターにも関わらず効果があるモンスターとか、通常モンスター体裁の融合モンスター(逆も然り)とかもあった。
また、OCGで効果モンスターになったがアニメでは通常モンスターというカード(《レクンガ》とかゴリラ語《ドリラゴ》)にはオリジナルのフレーバーテキストが描いてあったりした。

GX』になると減少傾向にあるが、【E・HERO】使いの十代明日香の【サイバー・ガール】に吹雪の【真紅眼の黒竜】など使い手はまだまだいた。
ただし、序盤の攻めや中盤の守備、またはネオスが活躍するとはいえ十代がメインとするのは融合モンスター、
明日香も【サイバー・エンジェル】、吹雪の切り札は《真紅眼の闇竜》だったりしたので待遇が極端によいわけでもなかった。

しかし、『5D's』にはカーリーの【占い魔女*1】やチーム太陽の弱小通常モンスター群くらいしかデュエルで使用されることがなくなる。
シェリーが使用したフルール・シンクロンはレベル4以下の通常モンスターを特殊召喚する効果を持っていたが、
OCGでは対象は「レベル2以下のモンスター」に変更されている(作中で特殊召喚されたレベル2通常モンスター《見習い騎士》はどちらの条件にも当てはまる)。
なんと本作からOCG化した通常モンスターは遊星がゴースト戦・謎のDホイーラー戦で使った《アンサイクラー》のみ。

さらに本作からアニメのデュエルが「効果・魔法・罠を駆使してのキーカードの高速召喚」が中心になっていったので、
当然ながら『ZEXAL』『ARC-V』にも使い手はいない(真澄ちゃんみたいにカテゴリの都合で使う人は一応いるが)。

の切り札が《ブラック・マジシャン》と聞いて遊矢が微妙そうな顔をしたのもむべなるかな。
ただし、『ARC-V』では融合・シンクロ・エクシーズ・ペンデュラムモンスターを通常モンスター扱いにする特殊な魔法カードが4枚出ていたりした。



……と思っていたら、『VRAINS』にて主人公の藤木遊作が《ビットロン》《デジトロン》という2体の通常モンスターを使用。特に《ビットロン》の方は2枚積んでいる。
更に通常モンスターを展開できる《ドラコネット》《リンク・スパイダー》を使用しており、「《ドラコネット》召喚→《ビットロン》をデッキから特殊召喚→《ビットロン》で《リンク・スパイダー》をリンク召喚→《リンク・スパイダー》の効果で手札から《ビットロン》(または《デジトロン》)召喚→さらなるリンク召喚へ…」と言う流れが劇中でも多用されている。主人公のソリティアに通常モンスターが積極的に使用されるのはかなり久しぶりである。

また、彼が正体を隠すために所持するダミーデッキは「ハーフデッキ 光」で、そちらにも通常モンスターが入っている(作中で確認出来たのは《魔法剣士ネオ》のみだが。)。


頭の中の知識を最適化し、追記欲に変えて編集するジェムナイトの上級戦士。
その無駄に長い内容で読者を圧倒するぞ。
しかし、その内容には限界を感じる事も多く、仲間たちへの追記修正要望を大切にしている。


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最終更新:2024年10月27日 21:49

*1 OCGでは全て効果モンスターに変更されている。