登録日:2024/12/21 Sat 17:23:00
更新日:2024/12/21 Sat 22:31:02NEW!
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【概要】
あん肝、牡蠣、白子などの
プリン体を多く含む魚介類をふんだんに使った海鮮鍋。
あまりのプリン体含有量であるため、
食べると痛風になってしまいそう……だから「痛風鍋」と名付けられた。
不穏過ぎるネーミングもさることながら、見た目の凄まじいインパクトや高級食材をこれでもかとブチ込んだ豪快さ、一口ごとに背徳感も味わえる謎の中毒性から、各地でカルト的人気を集めている。
歴史はまだ浅く、2016年に
宮城県仙台市のとある居酒屋が常連客のリクエストに応え試作したものが発祥とされている。
その斬新過ぎる見た目から、メニュー化以降口コミやSNSに端を発する形でそのウワサが瞬く間に全国へ広がった。
今では全国各地域で新メニューとして痛風鍋を取り入れる居酒屋や料亭も続出し、方々で隠れた人気を集めている。
内臓系を主とした食材が盛られ、フツフツと煮えた鍋の様相は、人によっては見慣れていないと形容し難い凄まじさに見えるかもしれない。したがって、食べ応え以前に見た目からして好みが分かれやすい料理の一つ。
とはいえ、普段食べられる機会の少ない豪華食材が一堂に会する様は、まさに贅沢の一言に尽きる。
旨味たっぷり贅を尽くした痛風鍋、興味のある人はぜひ御賞味あれ。
◆食べても大丈夫?
※痛風の詳細は該当項目を参照。なお、ご自身の健康問題については専門の医療機関に相談してください。
前述の通り、痛風や高尿酸血症などの原因は、一部の食材に多く含まれるプリン体の過剰摂取とされる。
そんな高プリン体食材オールスターを結集し、「痛風になってください」と言わんばかりの料理なんて、たとえ一度きりでも食べるのは躊躇しそうなものだが、本当に食べても平気なのだろうか?
食事制限については個人の体質や健康状態、摂取量目安等の事情もあるため明確な答えを出すのは難しいが、現在のところ「痛風鍋が原因で痛風になってしまった!」というケースはほとんどない模様。
少なくとも普段プリン体の摂取量がオーバーしまくっているような食生活じゃなければ、たまの一度ぐらい味わったところでアウトということは、まずないと思ってもらっていいだろう。
不安な人は一度検診へ足を運んで尿酸値をチェックしてみるのも良し。
「痛風鍋」の命名も「痛風になりそう or なるかもしれない」程度のジョークめいた表現に過ぎない。肝心なのは普段の生活習慣で、ほどほどであれば過剰に警戒する必要はないのだ。そもそも食べ過ぎや常食が体に毒なのは痛風鍋に限らない。何においても嗜む程度が一番。
不健康そうな食材は大抵美味いというジンクスを逆手に取った、実に秀逸なネーミングである。
カロリー、糖質、タンパク、塩分etc……美味いだけなら良かったのにネ。
名前が名前だから仕方ないとはいえ不健康な要素ばかり注目されがちだが、別に痛風になりそうな食材しか使ってはダメというルールはない。つまり、他の多くの鍋料理と同様に、野菜やキノコを入れると多く採れるメリットもきちんと持ち併せている。
【食材】
食材以外で特に決まったルールはなくアレンジもさまざま。
スープは魚介との相性抜群な昆布出汁や
醤油ベースが主流だが、
味噌ベースやチゲ風などで出す店もあり、同じく好評を得ている。ご家庭で作る時でも好みの味付けや具材でOK。
以下には代表的な食材とせっかくなので各プリン体含有量(100gあたり・小数点以下四捨五入)を記述する(参考:公益財団法人 痛風・尿酸財団公式HP)。
◆定番
本家を含め、ほぼ全ての店で出される痛風鍋に採用されている。痛風鍋における三大食材とも呼ばれるとか。
●あん肝(104mg)
アンキモ、アンキモ、アンキモ!
あんこう鍋にも絶対欠かせない「海のフォアグラ」。
一般的なあんこう鍋を遥かに超えるボリュームの巨大なあん肝が太巻きみたいなノリで並べられた様は初めて見た時には驚愕すること間違いなし。
2,3切れで「もういいや」ってなるぐらい濃厚な味と、上品な口当たりをとくと召し上がれ。
●牡蠣(185mg)
海のフォアグラに続くは「海のミルク」。
プリン体だけでなく、グリコーゲンや亜鉛、カルシウムなど不足しがちな栄養素も満点。
普通の牡蠣鍋とは一風違ったクリーミーな風味をたっぷりと味わえる。
●白子(300mg)
外はプリプリ、中はトロトロ。口中に最上級の旨味と甘味がほとばしる多幸感を痛風鍋でも堪能あれ。
ただしプリン体の含有量も最上級なのを頭の片隅に入れておこう。
◆その他
お店によって個性溢れる様々なアレンジが楽しめるが、中でも多く見られる準レギュラー的食材をご紹介。
こちらも豪華な花形が揃い踏み、プリン体もマシマシ。三大食材だけでは物足りない人向け。
●イクラ(3.7mg)
魚卵ゆえにプリン体お化けと誤解されがちだが、実は魚卵の中でもかなり少ない(無いとは言っていない)のが特徴。それでも食材に選ばれやすいのは、そうした誤ったイメージを逆手に取った心憎い策略とも見て取れる。それより気を付けたいのは塩分やコレステロール値である。
高価なため量はさほど多く出されない場合が多いものの、中には中身が見えなくなるほど狂ったように盛る店もあるため、油断するべからず。
加熱すると白濁し見栄えが悪くなるため、後乗せで食べることが多い。
●ウニ(137mg)
カニと並ぶプリン体ミドル級の貴公子。どうせなら保存料のミョウバンを使っていない本格的な店を選ぼう。
●カニ(身:136mg/カニ味噌:152mg)
魚介類の中でも淡白で低カロリーな食材であることから注目されにくいが、実はカニの身も多くのプリン体を含んでいる。「なら……ね?」的なノリで鍋に入れちゃう店も多い。
ちなみにタラバガニだとズワイガニよりプリン体が抑えられる。
●エビ(195mg)
赤エビやクルマエビ、ボタンエビなど有頭殻付きで。やはり「顔」があると一層海鮮らしさが増す。
肉厚なエビはプリン体も激アツ!健康長寿の象徴が聞いて呆れるぜ!
●イカ(187mg)
高タンパク低カロリー、DHAやタウリンも豊富で酒も進む。これでプリン体さえ低けりゃよかったのに…。
●明太子(159mg)
スケトウダラのタラコ100gは大体1腹(2本)に相当。痛風鍋に力を入れている店では中でもビッグサイズの明太子を1人前で4〜5本ほどご提供!
ちなみに1日の摂取量目安は20〜30g(普通サイズの1/3本)とされているが、そんな理屈は痛風鍋の前では無用。食せ。
●ハマグリ(105mg)
アサリや牡蠣ほどではないがそこそこの含有量。そもそも貝類全般はプリン体が高めである。
牡蠣が食べられない人への配慮で代替品として用意している店もある。
●野菜類
寄せ鍋でも定番の白菜、もやしや春菊などを入れることが多い。特に濃い魚介出汁がよく染み込んだ白菜は病みつきになること間違いなし。
●キノコ類
椎茸、えのき茸など、こちらも一般的な鍋ものと同様。
●豆腐
鍋ときたらやっぱり豆腐も欠かせない。プリン体も少なめなので遠慮なく食べられる。
【その他】
- 中には痛風鍋の食べ放題を実施している店舗もある。あのこってりプリン体を擁する誘惑の食材をおかわりなど、想像するだけで足指がムズ痒くなりそうなものだが、我が身を犠牲にしてでも痛風鍋で腹を満たしたいという人は、一度は挑んでみるのも話のタネになるかもしれない。
- コンセプトの共通する料理として「痛風丼」がある。こちらは痛風鍋と同じ具材を丼飯に盛り付けた海鮮丼の一種である。痛風鍋の場合、水溶性のあるプリン体が汁に溶けるため(締めに雑炊などをしない限り)摂取量を抑えられるが、丼の場合生の食材をそのまま食べることになるため鍋より多量のプリン体を摂る可能性が高い。加えて白米もプリン体が多い食品であるため、必然的に摂取量も増える。
普通のウニ丼を俗にこう呼ぶ人もいる。
- とある料理店では、茶碗蒸しの上に白子、あん肝、ホタテ、牡蠣、エビ、ウニ、トビッコ等、さらにはキャビアまで乗せた「プリン体アラモード」なるメニューが存在する。器の中央で輝きを放つ魚卵や魚介が見た目にも鮮やかでゴージャスなので、痛風鍋の見た目がどうしても苦手という人はこちらがオススメ。
追記・修正よろしくお願いします。
- ネタだけで正直頼んだら後悔する率高い一品 -- 名無しさん (2024-12-21 19:39:27)
- アメリカで濃厚チョコレートケーキを「デビルズケーキ」といったりする(糖質脂質が半端ないので)のと同じ発想か -- 名無しさん (2024-12-21 20:27:07)
最終更新:2024年12月21日 22:31