プレイヤーは自動で動くリフトに乗った状態で幻想的なステージを進んでいく。
青空が眩しく解放感のある場所だが、無機質な建物だらけでちょっと不気味さもあるな。
本当にコントローラーは最初から最後まで使わないので、両手はフリーで遊べるぞ。
ステージのあちこちにチェスのコマのような姿をした住人達が生活をしている。
トロフィーによると「ミンナ」という名前らしいが、
セリフを一切喋らないが目のようなパーツが付いてたり、デザインも細かく違っていたり、
口みたいな部分をパカパカと動かしていたりと、じっくり観察してみるとなかなか表情豊か。
建物の上からこちらを見ていたり、追いかけっこをしていたり、
最初は平和っぽい雰囲気だったのに段々と雲行きが怪しくなってきたりと、
物言わぬ「ミンナ」たちが何をしたいのか、この世界で何が起こっているのか、
動きを見ているだけでなんとなく分かるような作りになっている。
リフトが仕掛けのあるところまで移動すると止まってヘディングがスタート
道を塞ぐ扉を開くためにボールをターゲットにぶつけたり、
ブロックにボールをぶつけて道を作って住人に扉を開くためのスイッチを押させたり、
上手く狙いを付けて特定のスイッチだけを押したりといったギミックが次々に登場する。
ボールは右のキャラが頭の大砲から次々に発射するものを返していく。
プレイヤーの旅には常にこいつが同行するんだが、飛び跳ねてこちらを誘導したり、転んだり、
ボールをカウンターで当てるとダウンしたりとコミカルな動きで楽しませてくれるぜ。
左のPSVRを顔に付けたようなヤツは
ギミックの解き方のお手本を見せてくれるチュートリアルキャラ。
こいつにもよくお世話になる。
タイトルが「ヘディング工場」というだけあってヘディング部分はしっかり作られていて、
ボールを頭で弾いた時の「ポンッ!」という音や、狙い通りのところに当てられた時の感触、
何かを破壊した時に破片がガラガラと壊れるのが気持ち良い。
ギミックにまったく関係ない柱とか歯車とか、
「そこ壊れるの?!」って言いたくなるところがかなり豪快に壊れるのがいいんだわ。
ひたすらヘディングで何かを破壊するおまけステージとか欲しかった。
ヘディング工場の「ミンナ」達もボールを軽く当てるだけで崩れて破片になったり、
突然飛び降りて自殺したりする。この工場では命の価値が安いぜ……!
重さに関連したギミックでは邪魔な「ミンナ」を破壊しなければならない箇所もあるぞ!
先へ進むと空の時間が変化し、幻想的な光に照らされた工場は更に違った表情を見せる。
光の表現やたまに横切るカラフルな鳥など、とにかくステージが綺麗。
最終目的地である扉のデカさも素晴らしい。
ゲーム開始直後から遠くに見えているんだが、
あまりにもデカ過ぎて近づいても近づいても距離感が掴めない。
見え上げるほどデカく見えるところまで来てもまだまだステージが続く。
演出とステージが一体になった構成が上手い。
本作は何と言ってもエンディングが見事だったわ。
最初から最後までセリフやテキストが存在しなくて
キャラの動きを読み取ってプレイヤーが想像で補わないといけないからこそ、
プレイヤー自らの視点で進むVRだからこそのオチ。
エンディングは2種類あるんだけど、個人的にはバッドエンドの方が好み。
そんな本作だが、リフトがゆっくり動く移動シーンが小刻み過ぎてややテンポ悪いのが難点。
移動中にあちこちでやり取りしている「ミンナ」たちを観察したり、
入り組んだ建物を見たりは楽しいんだけど、
最初から最後まで景色に大きな変化が無いせいもあって続けて遊んでるとダレてくる。
ゲームバランスは悪くないが、
後半になってくると時間制限とワープゾーンを使った仕掛けが増えてくるのが少し面倒だった。
特にあの立体パズル辛かったぜ。
あと、このゲームは細かくオートセーブされるのでどこでやめても良いんだが、
そこら辺の説明が全然無いのはちょっと不親切かも。
とはいえ、テキストを使わないことにこだわっていてそこが長所だからここは難しい…!
最初の起動時に軽く注意書きを出すくらいはしても良かったかも。
コンプまでは3時間ほど。
移動のスローさとか物足りない部分はあったものの、
美しいステージと、まさにVRならではの作りだったゲーム部分と演出部分に満足だ。
いいボールだったぜ!