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JPH08306080A - 情報記録媒体及びその成形型 - Google Patents

情報記録媒体及びその成形型

Info

Publication number
JPH08306080A
JPH08306080A JP7129258A JP12925895A JPH08306080A JP H08306080 A JPH08306080 A JP H08306080A JP 7129258 A JP7129258 A JP 7129258A JP 12925895 A JP12925895 A JP 12925895A JP H08306080 A JPH08306080 A JP H08306080A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
groove
width
guide groove
information recording
recording medium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7129258A
Other languages
English (en)
Inventor
Noriyuki Arakawa
宣之 荒川
Shin Masuhara
慎 増原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP7129258A priority Critical patent/JPH08306080A/ja
Publication of JPH08306080A publication Critical patent/JPH08306080A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 案内溝4とこの案内溝に隣接したランド部5
とを有し、案内溝4又は/及びランド部5に記録が行わ
れ、ランド部5の幅Lと案内溝4の幅Gとの比(L/
G)が0.47〜2.0 である光ディスク1。 【効果】 トラックピッチを狭くしても記録面の転写状
態が良好であり、高密度記録に十二分に対応でき、しか
も複製が容易かつ短期間に可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、情報記録媒体(例え
ば、書換え可能な光磁気ディスク)及びその成形型に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】レーザビームを用いて情報の書込み、消
去及び読出しを行うことができるいわゆる書換え可能の
光ディスクとして、MO(Magnet optical recording)
方式やMD(Mini disc)と称される光磁気ディスク又は
相変化型の消去可能ディスクでは、グルーブと称される
トラッキングをとるための案内溝が作り込まれており、
場合によっては信号ピット(例えばアドレスピット)も
形成されている。
【0003】これらの案内溝やピットは、それぞれの規
格で幅や深さが定められているが、ランド部の幅Lとグ
ルーブの幅Gとの比(L/G)はいずれのディスクでも
2.0を超え、ランド部を広くとっている。しかも、グル
ーブの深さはλ/7〜λ/9(λ:入射光の波長)であ
り、ピットの深さがλ/4であるのに比べて1/2程度
と浅くしている。
【0004】このように、ランド部を広くとるのは、デ
ィスクの作製時に複製用型として用いられるスタンパー
において、ランド部に対応する凹部(溝)を広くするこ
とによって、転写し易くするためである。また、グルー
ブを浅くするのは、転写性の問題もあるが、本来トラッ
キング用であるために浅くても(即ち、光出力が小さく
ても)差支えないとされているからである。
【0005】こうした光ディスクを複製するには、CD
(Compact disc)の複製条件と基本的には同じである
が、CDにはない書込み及び読出しの機能のために、規
格もさることながら、ディスク基板の複製には一層厳し
い条件が要求されている。
【0006】しかしながら、記録密度が増加した光ディ
スクでは、トラックピッチは 1.6μm以下と狭くなり、
ランド部又はグルーブのいずれかへの記録のみならず、
ランド部及びグルーブの両方へ記録することも行われて
いる。このような高密度ディスクでは、グルーブ深さが
上記した如くピットの半分程度と浅い形状であると、ト
ラッキング信号が十分に得られず、クロストークやジッ
ター等が生じ易いという問題がある。
【0007】これを避けるために、グルーブ深さをピッ
ト深さと同等にした場合には、トラックピッチの狭小化
に対応してランド部幅とグルーブ幅の比(L/G)を小
さくすると、ランド部に対応するスタンパーの凹部
(溝)の幅が小さくなってしまい、この凹部内に樹脂が
充填され難くなってランド部の転写性が不良となり易
い。これは、特に射出成形により転写する際に顕著に生
じる。
【0008】この転写不良の問題は、溶融樹脂が幅の狭
い深い溝には完全に充填しないために生じるが、これを
解決するには金型温度を高くして樹脂の流動性を高める
ことが考えられるが、単に金型温度を上げても転写を満
足に行えない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ラン
ド部又は/及び案内溝に記録を行う媒体として、トラッ
クピッチを狭くしても記録面の転写状態が良好であり、
高密度記録に十二分に対応でき、しかも複製が容易かつ
短期間に可能となる情報記録媒体(特に光ディスク等の
光学的情報記録媒体)と、その製造に使用される成形型
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の如き
問題の解決について鋭意検討を重ねた結果、ランド部と
案内溝の形状及びサイズについて両者間に特定の関係が
充たされれば、意外にも、トラックピッチの狭小化及び
記録の高密度化に十分に対応できると共に記録面の転写
状態が著しく向上することを見出し、本発明に到達した
ものである。
【0011】即ち、本発明は、案内溝とこの案内溝に隣
接したランド部とを有し、前記案内溝又は/及び前記ラ
ンド部に記録が行われる情報記録媒体において、前記ラ
ンド部の幅Lと前記案内溝の幅Gとの比(L/G)が0.
47〜2.0 であることを特徴とする情報記録媒体に係るも
のである。
【0012】本発明の情報記録媒体によれば、上記のラ
ンド部及び案内溝の幅の比(L/G)が0.47〜2.0 と特
定範囲に限定されることが、本発明の目的を達成する上
で必須不可欠である。このL/Gは0.50以上がよく、0.
60以上が更によく、1.80以下がよく、1.60以下が更によ
い。
【0013】これに反し、従来のようにL/Gが 2.0を
超えると、転写状態は良好ではあるが、ランド幅が大き
すぎて相対的にトラックピッチが拡大し、全体としての
記録容量が減少し、高密度記録に適さない。また、これ
とは逆に、L/Gが小さすぎると、特に0.47未満になる
と、高密度記録の点では良いが、複製時の転写不良によ
って記録面の転写状態が悪くなってしまう。
【0014】本発明の情報記録媒体においては、案内溝
がランド部の高さと同等の深さを有し、これらの案内溝
又はランド部の幅が0.35〜0.7 μmであることが、上記
した転写性を良好に保持する上で望ましい。
【0015】そして、案内溝が信号ピットと同等の深さ
に形成されていると、案内溝を十分に深くでき、そこか
らの光出力を大きくしてトラッキング信号等を良好にと
ることができ、クロストークやジッター等を防止するこ
とができる。
【0016】また、高密度記録のためにトラックピッチ
が 1.6μm以下であるのが望ましい。そして、記録面に
はグルーブと信号ピットとが混在するか或いはプリグル
ーブが存在しており、トラッキング信号等を十分にとる
ためにはグルーブ深さがλ/4〜λ/9(λ:入射光の
波長)であるのがよい。
【0017】本発明の情報記録媒体は、実際には光ディ
スクとして構成されるが、その作製(複製)時には溶融
樹脂のガラス転移点(Tg)が金型面側で低下して成形
され、それ以外の領域のTgよりも低くなる独得の層構
造をなしている。即ち、このような情報記録媒体は、案
内溝及びランド部が存在する側における表面領域のガラ
ス転移点が、前記表面領域以外の領域のガラス転移点よ
り低くなっている。
【0018】本発明はまた、本発明の情報記録媒体を製
造するのに使用される成形型として、前記ランド部に対
応する凹又は凸部の幅L’と前記案内溝に対応する凸又
は凹部の幅G’との比(L’/G’)が0.47〜2.0(好ま
しくは0.50以上、更には0.60以上がよく、また好ましく
は1.80以下、更には1.60以下がよい。)であることを特
徴とする、情報記録媒体(特に光ディスク)の成形型も
提供するものである。
【0019】この成形型においても、上記したと同様の
理由から、案内溝に対応する凸又は凹部が、ランド部に
対応する凹又は凸部の深さ又は高さと同等の高さ又は深
さで、0.35〜0.7 μmの幅に形成されていること、案内
溝に対応する凸又は凹部が、信号ピットに対応する凸又
は凹部と同等の高さ又は深さに形成されていることが望
ましい。
【0020】また、この成形型は、トラックピッチが
1.6μm以下であり、グルーブと信号ピットとが混在す
るか或いはプリグルーブが存在しており、グルーブ深さ
がλ/4〜λ/9(λ:入射光の波長)である情報記録
媒体を製造するのに使用されることが望ましい。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0022】図1〜図26は、本発明を光ディスクに適用
した各種の実施例を示すものである。
【0023】図1〜図4に示す光ディスク1は、例えば
MOやMD等の如く情報の書込み、消去及び読出しを行
える書換え可能なものであって、プラスチック等の光学
的に透明なディスク基板2の情報記録面3に、グルーブ
又はプリグルーブ(案内溝)4とランド部5とをディス
ク半径方向に交互に所定ピッチで形成されている。グル
ーブ4とは光入射側からみて凹部、ランド部5とは光入
射側からみて凸部になっている形状部分である(以下、
同様)。
【0024】そして、所定のランド部5には、深さλ/
4(λ:入射光6の波長)のアドレスピット7が形成さ
れており、グルーブ4はアドレスピット7と同等の深さ
に形成されている。
【0025】なお、図示省略したが、この光ディスク1
が光磁気ディスクとして構成される場合は、記録面3に
は、TbFeCo等の磁性膜、紫外線硬化樹脂の保護膜
が形成されている。
【0026】光磁気ディスクとしては、光磁気信号はグ
ルーブ4内又はランド部5に記録され、グルーブ4に沿
ってレーザビーム6を照射することにより、連続的にト
ラッキングサーボをかけながら記録又は再生等の操作を
行い得るようになっている。
【0027】この場合、サーボ信号は、レーザビーム6
が照射されるグルーブ4とランド部5との戻り光量の差
に基づいて得ている。このため、グルーブ4とランド部
5の形状は、本来の記録信号とサーボ信号とが十分に得
られるような形になっている。
【0028】ここに示されたプリグルーブ入り光ディス
クの規格としては、具体的には次の通りであってよい。 MO:ISO/IEC 10089 (130mm),ISO/IE
C 10090 (3.5インチ) MD:レインボーブック
【0029】ここで注目すべきことは、本発明に基づい
て、ランド部5の幅Lとグルーブ4の幅Gとの比(L/
G)が0.47〜2.0 と特定範囲に設定されていることであ
る。この場合の「幅」とは、図4に明示するように、
(逆)台形状の凹部又は凸部の上底と下底との和の1/
2、即ち、L又はG=(W1 +W2 )/2の平均値とす
る(以下、同様)。
【0030】このように、L/Gを特定範囲に設定する
ことによって、次の如き顕著な効果を得ることができ
る。
【0031】(1)ランド部5又はグルーブ4への記録
において、トラックピッチを狭めても(特に 1.6μm以
下と小さくしても)、十分な転写が得られ、信号圧縮技
術との組み合わせにより5〜6倍の記録密度を達成でき
る。
【0032】(2)これまでの光ディスクのピットやグ
ルーブが凸形状のスタンパーでしか成形できなかった
が、凹形状のスタンパーでも支障なしに成形できること
になり、各トラックが個別に分離されたディスクリート
トラック型のハードディスクメディア等への転用が可能
となる。
【0033】(3)CD等のROMディスクの高密度化
のみならず、これまではメタルマスターかスタンパーで
のみ可能であったのに対し、マザースタンパーでの成形
も可能となり、納期短縮等の効果を期待できる。CDで
は、スタンパーの複製で大量生産が可能となる。
【0034】次に、これらの効果を図5〜図9に示すデ
ィスク製造プロセスに沿って更に詳細に説明する。
【0035】まず、図5(A)のように、ガラス原板8
の表面にフォトレジスト9をスピンコート法等で一様に
塗布した後、カッティングシステムによって例えばHe
−Cdレーザからのカッティングビームをカッティング
信号で変調し、変調されたビームをフォトレジスト9に
選択的に照射し、更に現像処理を経て、所定のパターン
にフォトレジスト9を残す。こうして原盤(マスター)
を作製する。
【0036】即ち、残されたレジスト9において、凸部
9aが上記したランド部5に、凹部9bが上記したグル
ーブ4に対応している。そして、凸部9aには、上記し
たアドレスピット7に対応したピット9cが形成され
る。
【0037】次いで、図示は省略したが、フォトレジス
ト9を含む全面に無電解めっき、真空蒸着法又はスパッ
タ法によって金属膜を被着する。この金属膜は、レジス
トの凹凸形状に追随した凹凸形状を呈している。
【0038】次いで、図5(A)に一点鎖線で示すよう
に全面に電気めっきをかけ、例えばニッケルめっき層10
を被着する。そして、このめっき層を剥離して図5
(B)に示すメタルマスター10を作製する。このメタル
マスター10は、その凹凸面には、グルーブ4とランド部
5及びピット7にそれぞれ対応した凸部10a、凹部10
b、10cが形成されたものである。
【0039】次いで、図5(B)に一点鎖線で示すよう
に全面に電気めっきをかけ、例えばニッケルめっき層11
を被着する。そして、このめっき層を剥離して図5
(C)に示すマザースタンパー11を作製する。このマザ
ースタンパー11は、その凹凸面には、グルーブ4とラン
ド部5及びピット7にそれぞれ対応した凹部11a、凸部
11b、11cが形成されたものである。
【0040】次いで、図5(C)に一点鎖線で示すよう
に全面に電気めっきをかけ、例えばニッケルめっき層12
を被着する。そして、このめっき層を剥離して図6
(A)に示すスタンパー12を作製する。このスタンパー
12は、その凹凸面には、グルーブ4とランド部5及びピ
ット7にそれぞれ対応した凸部12a、凹部12b、12cが
形成されたものである。
【0041】次いで、図6(A)に一点鎖線で示すよう
にスタンパー12の凹凸面上に所定の樹脂2を射出成形
(又はプレス成形)した後、図6(B)に示すように剥
離してディスク基板2を作製する。この基板2は、図1
及び図2に示したものであり、グルーブ4とランド部5
及びピット7がそれぞれスタンパー12から転写によって
形成されている。
【0042】そして、図示省略したが、必要に応じて、
ディスク基板2の転写凹凸面に磁性膜、保護膜、反射膜
等を積層し、光ディスク1を完成する。
【0043】上記したディスク製造プロセスによって本
発明に基づく光ディスク1を作製するために、成形型と
してのスタンパー12において、ランド部5に対応した凹
部12bの幅L’とグルーブ4に対応した凸部12aの幅
G’との比(L’/G’)をディスク基板2でのL/G
に一致した0.47〜2.0 に設定している(図6(B)参
照)。ここでのL’及びG’の定義は、上記したL及び
Gと同様に、(逆)台形状の上底と下底との和の1/2
の平均値とする。
【0044】L’/G’が0.47〜2.0 に特定されたスタ
ンパー12を用いることによって、スタンパー12の凹部12
bが十分な幅を有している(L’/G’が0.47以上であ
る)ために、ランド部5の転写を良好に行える。
【0045】これは、図8に示すように、スタンパー12
を用いて射出成形等でディスク基板を成形する際、一点
鎖線で示す溶融樹脂13が各凸部12aを乗り越えて各凹部
12b内に十分に入り込むように流動し、凹部12bにおい
ても良好に転写し、ランド部5が忠実に形成されるため
である。なお、凸部12aや12dについては、成形時に樹
脂13中に突入することになるため、本質的にその形状は
転写し易いものであり、得られたグルーブ4やピット7
の形状(特に底部側)は忠実に再現される。
【0046】しかしながら、L’/G’が0.47未満であ
ってスタンパー12の凹部12bの幅が狭すぎると、図7
(A)に一点鎖線で示すように、狭い凹部12b内に樹脂
13が成形時の加圧によっても完全に充填されなくなる。
この結果、図7(A)のようにはディスク基板2が作製
されないで、図7(B)に示すように、得られたランド
部5の高さが低くなったり、そのエッジの形状がくずれ
易くなる。これでは、記録情報の読出しや書込みに支障
が生じてしまう。
【0047】このような問題が生じる原因は、図9に示
すように、流動する溶融樹脂13が幅の狭すぎる凹部12b
内に完全に入り込めなくなるからである。
【0048】上記したように、本発明に基づくディスク
基板2及びこれを用いた光ディスク1は、トラックピッ
チを 1.6μm以下と小さくして高密度化を図る場合で
も、上記のL/G=0.47〜2.0 という特定の関係を記録
面の凹凸形状に付与していることから、十分な転写形状
を有したものとなっており、また従来の5〜6倍の高記
録密度にも十分に対応できるものとなる。
【0049】また、グルーブ4の深さはランド部5の高
さ及びアドレスピット7の深さと同等としているので、
十分に深くなっており、そこからの光出力が大となり、
トラッキングサーボを良好に行うこともできる。
【0050】また、使用するスタンパー12の転写面の凹
凸形状、即ち、L’/G’=0.47〜2.0 の如き凹凸形状
は、スタンパー12以外のメタルマスター10やマザースタ
ンパー11においても同様に形成されている。従って、図
1及び図2、図6(B)に示したディスク基板2を複製
するには、上記したようにスタンパー12からの転写によ
って可能であるが、メタルマスター10からの転写で直接
成形することも勿論可能である。
【0051】なお、これまでの光ディスクでは、グルー
ブやピットはスタンパーの凸部の転写によって形成して
いたが、本発明に基づく上記のL’/G’の特定範囲を
充たしさえすれば、スタンパーの凹部も十分に転写でき
る。従って、そうした凹部の転写でグルーブやピット
(これらは図6(B)のものとは断面形状が逆とな
る。)を形成でき、また、ディスクリートトラック型の
ディスク等にも転用可能である。
【0052】この意味では、図5(C)に示したマザー
スタンパー11から直接ディスク基板を成形することがで
きる。この場合は、グルーブやピットは図6(B)とは
逆形状になるが、マザースタンパー11において、グルー
ブに対応する凸部11bの幅G’とランド部に対応する凹
部11aの幅L’とをL’/G’=0.47〜2.0 とすれば、
上記したと同様の理由から凹部11a内に樹脂が十分に充
填されるため、凹凸形状を良好に転写することができ
る。
【0053】このように、マザースタンパー11からの成
形が可能となるから、ディスク基板の作製に要する期間
を短縮でき、量産性が向上することになる。
【0054】図10及び図11は、他の光ディスク21を例示
するものである。
【0055】この例による光ディスク21は、CD等の高
密度ディスクとして、プラスチック等の光学的に透明な
ディスク基板22の情報記録面23に、グルーブ(案内溝)
24とランド部25とをディスク半径方向に交互に所定のピ
ッチで形成されている。アルミニウム等の光反射膜は図
示省略した。
【0056】そして、所定のランド部5には、深さλ/
4又はλ/6(λ:入射光6の波長)の信号ピット27が
形成されており、グルーブ24はピット27と同等の深さに
形成されている。
【0057】記録信号はピット27として記録され、グル
ーブ24に沿ってレーザビーム6を照射することにより、
連続的にトラッキングサーボをかけながら再生操作を行
い得るようになっている。この場合、サーボ信号は、レ
ーザビーム6が照射されるグルーブ24とランド部25との
戻り光量の差に基づいて得ている。
【0058】ここに示されたCDの規格は、CD Recor
dable :オレンジブックであってよい。
【0059】ここで注目すべきことは、本発明に基づい
て、ランド部25の幅Lとグルーブ24の幅Gとの比(L/
G)が0.47〜2.0 と特定範囲に設定されていることであ
る。
【0060】このように、L/Gを特定範囲に設定する
ことによって、上述した例と同様の顕著な効果を得るこ
とができる。
【0061】図12には、光ディスク21を成形する際に使
用するスタンパー32を示す。このスタンパー32には、光
ディスク21のグルーブ24に対応する凸部32aと、ランド
部25に対応する凹部32bと、ピット27に対応する凸部32
dとがそれぞれ形成されている。
【0062】そして、凹部32bの幅L’と凸部32aの幅
G’との比(L’/G’)が0.47〜2.0 に設定されてお
り、スタンパー32から転写されたディスク基板22のラン
ド部25の幅Lとグルーブ24の幅Gとの比がL/G=0.47
〜2.0 となる。
【0063】この場合も、スタンパー32においてL’/
G’が上記範囲に特定されているため、転写時に溶融樹
脂が凹部32b内に十分に充填されることになる。ピット
27となる凸部32d間は凹部32bに連なる凹部32eが存在
しているので、この凹部32eを通しても樹脂が流動し、
凹部32e内にも十分に充填されると共に、凹部32bへス
ムーズに入り込むことができる。こうして、良好な転写
を再現性良く行うことができる。
【0064】これに反し、上記のL’/G’が小さすぎ
て0.47未満となれば、図13に示すように凹部32bの幅が
狭くなりすぎ、図7で述べたと同様の理由から凹部32b
内への樹脂の充填量が不足し、転写不良が生じる。
【0065】次に、本実施例による光ディスクを具体例
について更に詳細に説明する。
【0066】例1 図1〜図4に示した如き光ディスクの製造において、マ
スターカッティング時(図5(A))に、ランドとグル
ーブの幅比(L’/G’)を変化させた各種スタンパー
が得られるようにカッティングを行い、これらのスタン
パーを用いて射出成形により各種ディスク基板を成形し
た。ディスク基板の成形条件は次の通りであり、下記の
表1にディスク半径方向での中心からの位置におけるラ
ンド幅/グルーブ幅(L/G)を示す。
【0067】 <ディスク成形条件> 樹脂:帝人化成社製のAD−9000TG (光ディスクグレード、熱可塑性ポリカーボネート系、ガラス転移点 147℃) 射出成形機:日精樹脂社製のCD30E3ASE(光ディスク仕様) 樹脂溶融温度 345 ℃ ディスク冷却時間 16秒 金型表面温度 128 ℃〜133 ℃(可変)
【0068】 *L/G(=L’/G’)
【0069】そして、成形されたディスク基板につい
て、走査型トンネル顕微鏡(以下、STMと称する。)
によってランド部の形状を観察し、そこでの転写高さ
(スタンパーの凹部への樹脂の充填量に相当)を測定し
た。結果を図14に示す(但し、スタンパーの凹部の深さ
は80nm)。
【0070】これによれば、STMでの測定のバラツキ
を5〜6%分考慮しても、ランド幅/グルーブ幅の比
(L/G)が特に 0.5未満であると、転写が著しく劣化
するのに対し、L/Gが特に 0.5以上、更には 0.6以上
になると、転写量が増大し、転写性が向上することが分
かる。
【0071】このように、L/Gが転写性を左右するこ
とは、本発明者によりはじめて見出されたものであり、
L/Gが 0.5付近で転写量が大きく変化するという意外
な事実が判明したのである。転写量は95%以上(スタン
パーの凹部深さ80nmに対し76nm以上)がよいので、L/
Gが特に0.50以上、更には0.60以上であることが望まし
い。
【0072】また、金型(スタンパー)温度(金型表面
温度:以下、同様)も転写性に影響を与えることも確認
された。即ち、図14に示すように、金型温度を上げると
転写は改善される傾向があり、金型温度を高くして転写
性を向上させることができる。この場合は、L/G≧0.
60で転写量の安定性が増す。
【0073】但し、ディスク表面では、樹脂のオリゴマ
ー(低分子量成分)が浸出するため、樹脂本来のガラス
転移点(147℃)は 130〜135 ℃に低下している。
【0074】図15及び図16には、種類の異なるポリカー
ボネート樹脂について、オリゴマー量(重量%)がディ
スク基板2の表面領域のうち、20μm以下、特に10μm
以下の厚み領域2aにおいて急に増えることが示され、
また、それに対応して表面領域2aのガラス転移点Tg
が低下していることが示されている(横軸は対数目
盛)。なお、図6(B)においても、そうした低Tgの
表面領域2aが転写時に生じた状態を破線で示した。
【0075】このように、ディスク基板2の表面領域2
aのTgは、金型温度を図14のようにした場合には金型
温度とほぼ同じになる。このため、ピットやグルーブが
変形し易くなる。従って、金型温度の妥当な上限は、樹
脂のガラス転移点Tgに対応して 130℃近傍(Tgより
低い)とすると、転写を良好にする上でランド/グルー
ブの幅比(L/G)は 0.5付近が下限となり、 0.5以上
とするのが望ましいことが分かる。
【0076】なお、図20(A)は、本発明に基づくディ
スク基板を 130℃の金型温度で成形したときの転写面の
SEM(走査電子顕微鏡)写真を示し、転写が良好であ
ることが分かる。図20(B)は、金型温度を 120℃とし
て成形したディスク基板の転写面のSEM写真を示す
が、ランド高さが低くて転写量が不足しているが、これ
は金型温度が低いからであると思われる。
【0077】また、図21には、上述したSTMによる転
写面の観察像を示し、凸部がランド部、凹部がグルーブ
に相当する。図22、図23、図24、図25及び図26は、L/
Gを種々に変えた場合のSTM像(断面)をそれぞれ示
すが、L/Gが大きい方がランド部の形状は良好となる
が、L/Gが小さく、図26のような場合(L/G=0.3
7)ではランド部の形状、特にその上面の平坦度がくず
れてしまう。
【0078】例2 例1と同様に、ランド部とグルーブ部の幅比(L’/
G’)が各々異なるスタンパーとして例1のものよりも
グルーブ(凹部)を40nm深くしたスタンパーを作成し、
下記に示す2種類のディスク材料を用い、例1と同様に
して対応するディスク基板を射出成形した。ディスク基
板の成形条件は次の通りであり、下記の表2にディスク
半径方向での中心からの位置におけるランド幅/グルー
ブ幅(L/G)を示す。
【0079】 樹脂:(1) ポリカーボネート樹脂 AD−9000TG (帝人化成社製、ガラス転移点 147℃) (2) ゼオネックス樹脂(オレフィン系) 280R (日本ゼオン社製、ガラス転移点 140℃)
【0080】 *L/G(=L’/G’)
【0081】そして、成形されたディスク基板につい
て、STMによってランド部の形状を観察し、そこでの
転写高さ(スタンパーの凹部への樹脂の充填量に相当)
を測定した。結果を図17及び図18に示す(但し、スタン
パーの凹部の深さは 120nm)。
【0082】これによれば、STMでの測定のバラツキ
を5〜6%分考慮しても、樹脂の種類に依らず、ランド
幅/グルーブ幅の比(L/G)が0.47未満であると、転
写が著しく劣化するのに対し、L/Gが0.47以上、特に
0.6以上になると、転写量が増大し、転写性が向上する
ことが分かる。
【0083】この場合も、金型温度を高くすると転写性
が向上し、L/G≧0.6 で転写量の安定性が増す。
【0084】例3 例2と同様のゼオネックス樹脂を用い、金型温度(115
℃)をガラス転移点よりも高くした以外は同様にして、
ディスク基板を成形した。このディスク基板についてS
TMによるランド部の転写を観察したところ、図19に示
す結果が得られた。
【0085】これによれば、樹脂溶融温度は、全般的に
転写性への寄与が低くなっている。
【0086】以上に示した各例から、射出成形によるグ
ルーブ転写(ランド部の成形)は、スタンパーのグルー
ブの溝深さの要因は少なく、グルーブ溝の幅に依存して
いることが明らかである。即ち、ランド幅/グルーブ幅
の比(L/G)が0.47未満では、転写量が著しく低下す
るので、L/Gは0.47以上とすべきである。
【0087】このように、L/Gが転写性を左右するこ
とは、本発明者によりはじめて見出されたものであり、
L/Gが0.47付近で転写量が大きく変化するという意外
な事実が判明したのである。但し、この幅比はあまり大
きいと、全体としてのディスクの記録容量が小さくなっ
てしまうので、 2.0以下(好ましくは1.80以下、更には
1.60以下)とすべきである。
【0088】なお、図17と図18のデータを比較すると、
ポリカーボネート樹脂とゼオネックス樹脂とでは、同一
金型温度(例えば 130℃)ではゼオネックス樹脂がラン
ド幅/グルーブ幅の比=0.47又はそれ未満でも転写して
いる。これは、ポリカーボネート樹脂とゼオネックス樹
脂の樹脂本来のガラス転移点が約10℃異なる(ポリカー
ボネート樹脂のTg=147 ℃、ゼオネックス樹脂のTg
=140 ℃)ためである。但し、機械特性であるSKEW
値(反り)は、CDのスペック(0.6度)を越えると光デ
ィスクとして使用できなのいで、これを考慮して、ガラ
ス転移点が低くて熱変形温度が相対的に下がりすぎない
ような種類の樹脂を選択することが望ましい。
【0089】一方、ランド(又はグルーブ)の幅は、下
記の表3に示すように、例1〜例3ともゾーン1〜9
(L/G=0.50又はL/G≧0.47)までは0.35μm以上
であり、ゾーン10(L/G<0.50、L/G<0.47)では
0.35μm以下である。
【0090】
【0091】ランド幅、即ちスタンパーの溝幅も重要な
要因であり、溝幅が狭いだけでも上述した理由から転写
は難しくなるので、ランド幅は0.35μm以上、 0.7μm
以下とするのがよく、この条件でL/G=0.47〜2.0 を
充たすことが望ましい。これは、フラットな板に彫られ
た幅狭の溝と幅広の溝とでは、粘性流体が浸入する量が
異なり、前者の方が浸入し難いためである。
【0092】以上、本発明を実施例について説明した
が、上述の実施例は本発明の技術的思想に基づいて更に
変形が可能である。
【0093】例えば、上述した幅比(L/G)を本発明
による範囲に設定した条件において、トラックピッチ
(望ましくは 1.6μm以下)を種々に変更したり、また
グルーブ深さについても、λ/4〜λ/9(λ:入射光
の波長)の範囲で変化させてよい。
【0094】また、光ディスクの成形型として、本発明
を適用できるものは、スタンパーに限らず、メタルマス
ターやマザースタンパーでもよい。
【0095】また、光ディスクの転写面は公知のよう
に、グルーブとピットが混在した上述の例をはじめ、プ
リグルーブが設けられたMO等に対応する形状を有して
いてよい。記録は、グルーブとランド部の少なくとも一
方に行うことができる。
【0096】
【発明の作用効果】本発明は上述した如く、ランド部の
幅Lと案内溝の幅Gとの比(L/G)を0.47〜2.0 と特
定しているので、ランド部又は/及びグルーブへの記録
において、トラックピッチを狭めても(特に 1.6μm以
下と小さくしても)、充分な転写が得られ、信号圧縮技
術との組み合わせにより高記録密度を達成できる。
【0097】また、凹形状の成形型でも支障なしに媒体
を作製できることになり、使用可能な型の範囲を広げる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく光ディスクの要部の破断拡大斜
視図である。
【図2】同光ディスクの要部の拡大断面図である。
【図3】同光ディスクの概略平面図である。
【図4】同光ディスクの記録面形状を説明するための概
略図である。
【図5】同光ディスクの基板の作製方法を工程順に示す
要部拡大断面図である。
【図6】同光ディスクの基板の作製方法を工程順に示す
要部拡大断面図である。
【図7】同光ディスクの基板の作製方法を転写不良状態
について示す要部拡大断面図である。
【図8】同光ディスクの基板の作製に用いるスタンパー
の要部の破断拡大斜視図及び断面図である。
【図9】同光ディスクの基板の作製に用いるスタンパー
の要部拡大断面図である。
【図10】本発明に基づく他の光ディスクの要部の破断拡
大斜視図である。
【図11】同光ディスクの要部の拡大断面図である。
【図12】同光ディスクの基板の作製に用いるスタンパー
の要部の破断拡大斜視図である。
【図13】同光ディスクの基板の作製に用いる他のスタン
パーの要部の破断拡大斜視図である。
【図14】光ディスクの基板のランド幅/グルーブ幅の比
(L/G)による転写性を示すグラフである。
【図15】同光ディスクの表面層の厚みとオリゴマー量と
の関係を示すグラフである。
【図16】同光ディスクの表面層の厚みとガラス転移点
(Tg)との関係を示すグラフである。
【図17】他の光ディスクの基板のランド幅/グルーブ幅
の比(L/G)による転写性を示すグラフである。
【図18】他の光ディスクの基板のランド幅/グルーブ幅
の比(L/G)による転写性を示すグラフである。
【図19】更に他の光ディスクの基板のランド幅/グルー
ブ幅の比(L/G)による樹脂溶融温度と転写性を示す
グラフである。
【図20】光ディスクの表面の転写状態を示すSEM写真
のスケッチ図である。
【図21】光ディスクの表面のSTM像である。
【図22】光ディスクの表面性を示すグラフである。
【図23】他の光ディスクの表面性を示すグラフである。
【図24】他の光ディスクの表面性を示すグラフである。
【図25】他の光ディスクの表面性を示すグラフである。
【図26】更に他の光ディスクの表面性を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1・・・光ディスク 2、22・・・基板 2a・・・表面領域 3、23・・・情報記録面 4、24・・・グルーブ 5、25・・・ランド部 6・・・入射光 7、27・・・アドレスピット 8・・・原盤(マスター) 9・・・フォトレジスト 9a、10a、11b、12a、12d、32a、32d・・・凸部 9b、9c、10b、10c、12b、12c、32b・・・凹部 10・・・メタルマスター 11・・・マザースタンパー 12、32・・・スタンパー 13・・・樹脂 G、G’・・・グルーブ幅 L、L’・・・ランド幅

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 案内溝とこの案内溝に隣接したランド部
    とを有し、前記案内溝又は/及び前記ランド部に記録が
    行われる情報記録媒体において、前記ランド部の幅Lと
    前記案内溝の幅Gとの比(L/G)が0.47〜2.0 である
    ことを特徴とする情報記録媒体。
  2. 【請求項2】 案内溝がランド部の高さと同等の深さを
    有し、これらの案内溝又はランド部の幅が0.35〜0.7 μ
    mである、請求項1に記載した情報記録媒体。
  3. 【請求項3】 案内溝が信号ピットと同等の深さに形成
    されている、請求項1に記載した情報記録媒体。
  4. 【請求項4】 トラックピッチが 1.6μm以下であり、
    グルーブと信号ピットとが混在するか或いはプリグルー
    ブが存在しており、グルーブ深さがλ/4〜λ/9
    (λ:入射光の波長)である、請求項1に記載した情報
    記録媒体。
  5. 【請求項5】 案内溝及びランド部が存在する側におけ
    る表面領域のガラス転移点が、前記表面領域以外の領域
    のガラス転移点より低い、請求項1に記載した情報記録
    媒体。
  6. 【請求項6】 光ディスクとして構成された、請求項1
    に記載した情報記録媒体。
  7. 【請求項7】 案内溝とこの案内溝に隣接したランド部
    とを有し、前記案内溝又は/及び前記ランド部に記録が
    行われる情報記録媒体を製造するのに使用される成形型
    において、前記ランド部に対応する凹又は凸部の幅L’
    と前記案内溝に対応する凸又は凹部の幅G’との比
    (L’/G’)が0.47〜2.0 であることを特徴とする、
    情報記録媒体の成形型。
  8. 【請求項8】 案内溝に対応する凸又は凹部が、ランド
    部に対応する凹又は凸部の深さ又は高さと同等の高さ又
    は深さで、0.35〜0.7 μmの幅に形成されている、請求
    項7に記載した成形型。
  9. 【請求項9】 案内溝に対応する凸又は凹部が、信号ピ
    ットに対応する凸又は凹部と同等の高さ又は深さに形成
    されている、請求項7に記載した成形型。
  10. 【請求項10】 トラックピッチが 1.6μm以下であり、
    グルーブと信号ピットとが混在するか或いはプリグルー
    ブが存在しており、グルーブ深さがλ/4〜λ/9
    (λ:入射光の波長)である情報記録媒体を製造するの
    に使用される、請求項1に記載した成形型。
  11. 【請求項11】 光ディスクを製造するのに使用される、
    請求項1に記載した成形型。
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