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JP4396230B2 - 光学記録方法、光記録媒体製造用原盤および光記録媒体 - Google Patents

光学記録方法、光記録媒体製造用原盤および光記録媒体 Download PDF

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JP4396230B2 JP2003380120A JP2003380120A JP4396230B2 JP 4396230 B2 JP4396230 B2 JP 4396230B2 JP 2003380120 A JP2003380120 A JP 2003380120A JP 2003380120 A JP2003380120 A JP 2003380120A JP 4396230 B2 JP4396230 B2 JP 4396230B2
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Description

この発明は、例えば一面に形成されたフォトレジスト膜等に対してレーザ光を照射することにより、フォトレジスト膜等にレーザ光の照射軌跡に応じた記録パターンを形成(描画)する光学記録方法に関する。また、この発明は、光記録媒体にピットおよびグルーブを形成する際に用いて好適な光記録媒体製造用原盤に関する。さらに、この発明は、光学記録方法および光記録媒体原盤により作成された光記録媒体に関する。
光記録媒体は、CD(Compact Disc)等に代表される再生専用の光ディスク、MD(Mini Disc )等に代表されるプリフォーマットとしての離散的情報パターンやトラッキング用の案内溝(グルーブ)が予め形成された書き込み可能な光ディスクなど、各種のものが提案されている。
このような各種光ディスクの製造プロセスは、一般に、ピットやグルーブ等の所望の凹凸パターンに応じた表面形状を有する、いわゆるスタンパと呼ばれる金属原盤を作製する工程と、そのスタンパの表面形状をディスク基板上に転写する成形工程、さらに記録層や保護層を形成する成膜工程から構成されている。
原盤製造工程では、表面を研磨したガラス基板を洗浄、乾燥した後、このガラス基板上に感光材料であるフォトレジストを塗布し、そのフォトレジストに対してレーザ光を照射してピットやグルーブのパターンを露光する方法が一般的に行われている。この露光によってフォトレジストに形成された潜像を現像することにより、ピットやグルーブのパターンに応じた凹凸パターンがフォトレジストに形成され、さらにそれを金属表面に転写して、スタンパが形成される。このようなレーザ光による露光によって凹凸パターンを記録する方法では、サブミクロンのオーダーでパターンをフォトレジスト表面に転写することが求められる。
最近、DVD−RW(Digital Versatile Disc-rewritable)等の記録媒体の開発が目覚ましく、このような光記録媒体のピットやグルーブの形状をより高精度に制御する技術が望まれている。
この発明を適用できる光ディスクである、DVD−RWのフォーマットについて図1を参照して説明する。図1は、DVD−RWのフォーマットの一部を拡大して示したものであり、図1に向かって見て右側に向かう方向がディスク外周側に向かう方向であり、左側に向かう方向がディスク内周側に向かう方向である。また、図1は、模式的な図であり、トラックの本数は、実際の本数を示すものではない。
DVD−RWには、ディスク自体の情報としてTOC(Table of Contents)情報或いは所定周期のパルス信号等の情報が記録されるいわゆるリーダブルエンボスピット(Readable Embossed Pit、以下、REPと略す場合もある)1と、コピープロテクト情報等が記録
されるいわゆるアンリーダブルエンボスピット(Unreadable Embossed Pit、以下、UREと略す場合もある)2の2種類のピット領域と、データ記録領域であるウォブルグルーブ(Wobble Groove)3との3種の凹凸パターンを基板上に形成するようになされている。図1に示すように、DVD−RWのフォーマットには、上記のピットが形成された領域とウォブルグルーブとが混在することになる。
ピットの深さは、再生用の光の波長λに対しλ/4の深さとすることが望ましく、また、記録層や誘電体層などを成膜する際に、記録トラックに沿う方向とディスクの半径方向において埋め込まれることから、ある程度の深さが必要となる。一方、グルーブについては、例えば記録層を相変化材料より構成する場合は、その相変化信号が、グルーブを比較的浅くするとジッターが改善されることが分かってきた。このため、リーダブエンボスピット1は比較的深く、グルーブ3は比較的浅くするようになされている。
DVD−RWは複雑なフォーマットであり、多くの規格や特性を満足しなければならない。例えば、リーダブルエンボスピット1では、再生特性(ジッタ−≦8.0%)と充分なプッシュプル信号量(≧0.22)を得なければならない。また、記録領域であるウォブルグルーブ3の記録再生特性(記録ジッタ−≦8.0%)とウォブルグルーブの充分なプッシュプル信号量(≧0.22)を得なければならない。
下記の特許文献1では、深いU字形の半径方向の断面形状を持つリーダブルエンボスピット1とそれよりも浅いU字形の半径方向の断面形状を持つウォブルグルーブ3を形成することにより、上記規格や特性を満足させるのに充分なプッシュプル信号量を得ることができることが開示されている。
特開2002−22548号公報
しかし、DVD−RWの規格には、リーダブルエンボスピット1のプッシュプル信号量と半径25mmの位置におけるウォブルグルーブのプッシュプル信号量との比(EPPr1)を3dB以下とする規格を満たすため、ピットのプッシュプル信号量を安定的に大きくする必要があり、また、リーダブルエンボスピット1の再生特性も得なければならない。アンリーダブルエンボスピットも充分なプッシュプル信号量とピットの信号再生を行わなくてはいけない。
さらに、DVD−R、DVD−RWでは、隣接するグルーブ間のランドにプリピットを設けたランドプリピットフォーマットが採用されている。ランドプリピット(Land Pre-Pit、以下、LPPと略す場合もある)は、ディスク半径方向に2分割された受光素子の差信号を読み取ることで検出される。このランドプリピットを形成する方法として、グルーブを形成するためのレーザビームを使用する方法が提案されている。
すなわち、グルーブを形成するためのレーザビームをランドプリピットを形成すべき位置でディスク一時的に外周側に変位させることによってランドプリピットを形成することができる。図1において、参照符号4がこのようにグルーブを台形状に変化させることで形成された台形状のウォブルグルーブを示す。台形状のウォブルグルーブ4によるアドレス情報の再生を行うために、充分なLPP信号振幅量を得て、PI(Parity Inner-code) エラーを満足するLPP形状を実現しなければならない。
この発明の目的は、リーダブルエンボスピットの深さおよび幅の最適化、アンリーダブルエンボスピットの形状の最適化、LPPの形状の最適化により、DVD−RWのような高密度光ディスクの規格を充たすことを容易にする記録方法、光記録媒体製造用原盤および光記録媒体を提供することである。
上述の課題を解決するために、この発明の第1の態様は、
基板上に溝状のグルーブと、円周方向に離散的に配置形成された複数個のピットとからなる第1および第2のエンボスピットと、ウォブリングされるグルーブと関連して形成された第3の台形状のウォブルグルーブとが形成された相変化光記録媒体の製造用原盤を作成するための光学記録方法であって、
相変化光記録媒体の第3の台形状のウォブルグルーブは、グルーブの一部を突出させて形成された台形ウォブルの構成とされ、
第3のウォブルの底辺の長さが、6T−11Tであり、
第3のウォブルの深さが、記録領域グルーブ部深さの−3nmから+4nmであり、
第3のウォブルの振幅量/トラックピッチの比が16.5−27.7%であるように、相変化光記録媒体の製造用原盤を作成する光学記録方法である。
この発明の第2の態様は、
基板上に溝状のグルーブと、円周方向に離散的に配置形成された複数個のピットとからなる第1および第2のエンボスピットと、ウォブリングされるグルーブと関連して形成された第3の台形状のウォブルグルーブとが形成された相変化光記録媒体を製造するための相変化光記録媒体製造用原盤であって、
相変化光記録媒体の第3の台形状のウォブルグルーブは、グルーブの一部を突出させて形成された台形ピットの構成とされ、
第3のウォブルの底辺の長さが、6T−11Tであり、
第3のウォブルの深さが、記録領域グルーブ部深さの−3nmから+4nmであり、
第3のウォブルの振幅量/トラックピッチの比が16.5−27.7%である相変化光記録媒体製造用原盤である。
この発明の第3の態様は、
基板上に溝状のグルーブと、円周方向に離散的に配置形成された複数個のピットとからなる第1および第2のエンボスピットと、ウォブリングされるグルーブと関連して形成された第3の台形状のウォブルグルーブとが形成された相変化光記録媒体であって、
第3の台形状のウォブルグルーブは、グルーブの一部を突出させて形成された台形ピットの構成とされ、
第3のウォブルの底辺の長さが、6T−11Tであり、
第3のウォブルの深さが、記録領域グルーブ部深さの−3nmから+4nmであり、
第3のウォブルの振幅量/トラックピッチの比が16.5−27.7%である相変化光記録媒体である。
この発明では、リーダブルエンボスピットREPの深さおよび幅を最適化することにより、リーダブルエンボスピットの充分なプッシュプル信号量を得てEPPr1の基準を満たし、再生特性を満たすことが出来る。
アンリーダブルエンボスピットUREは、ピットの深さを最適化し、ピットのデューティー(割合)を大きくすることにより、充分なプッシュプル信号量とアンリーダブルエンボスピットの信号振幅を小さくすることができる。
さらに、ランドプリピットLPPによるアドレス情報の再生を行うために、台形ウォブルグルーブを用いている。台形ウォルブグルーブは光学記録装置において、1つの露光ビームのみを用いる光学系とすることができて、リーダブルエンボスピット、アンリーダブルエンボスピット、ランドプリピットおよびグルーブを一連の螺旋状の記録トラックに沿って形成することができる。台形ウォルブグルーブにおけるウォブル振幅量、台形ウォブルグルーブの形状を適切にすることにより充分なLPP信号振幅量を得て、LPPのアドレス情報再生および記録後のPIエラーを満足することができる。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。上述した光記録媒体を製造するには、光記録媒体の原盤となる光記録媒体製造用原盤を作製する必要があり、そのために光学的記録装置としてレーザカッティング装置が使用される。以下、光記録媒体製造用原盤の作製に使用されるレーザカッティング装置の一例について、図2を参照して詳細に示す。参照符号10がレーザカッティング装置の一例を全体として示す。
光記録媒体の製造プロセスにおいて、各所望の凹凸パターンを光記録媒体基板の表面に転写するための光記録媒体製造用原盤を形成するに際し、光源11から出射されたレーザビームが使用される。光源11としては、特に限定されるものではなく、適宜選択して使用されれば良いが、波長λが351nmのレーザ光を出射するKrレーザが使用される。
この光源11から出射されたレーザビームは、平行ビームのまま直進してミラーBS1で反射され、変調光学系OMに導かれる。変調光学系OMにおいて、集光レンズL1を用いて音響光学変調器(AOM:Acousto Optical Modulator )14に集光し、この音響光学変調器14により強度変調され発散したレーザ光は、レンズL2によって平行ビーム12になる。そして、変調光学系(OM)から出射された露光ビームは、ミラーM1によって反射され、移動光学テーブル15上に水平且つ平行に導かれる。
そして、変調光学系OMから出射され、ミラーM1によって反射され、移動光学テーブル15上に水平且つ平行に導かれた露光ビームは、偏向光学系ODによって光学偏向が施された上でミラーM2によって反射されて進行方向が90°曲げられた上で偏光ビームスプリッタPBSに入射される。
ここで、偏向光学系ODは、ウォブルグルーブのウォブルに対応するように、露光ビームに対して光学偏向を施すためのものである。すなわち、変調光学系OMから出射され偏向光学系ODに入射した露光ビームは、ウェッジプリズム47を介して音響光学偏向器(AOD:Acousto Optical Deflector)48に入射し、この音響光学偏向器48によって、所望する露光パターンに対応するように光学偏向が施される。
ここで、音響光学偏向器48に使用される音響光学素子としては、例えば、酸化テルル(TeO2 )からなる音響光学素子が好適である。そして、音響光学偏向器48によって光学偏向が施された露光ビームは、ウェッジプリズム49を介して偏向光学系ODから出射される。
なお、ウェッジプリズム47,49は、音響光学偏向器48の音響光学素子の格子面に対してブラッグ条件を満たすように露光ビームが入射するようにするとともに、音響光学偏向器48によって露光ビームに対して光学偏向を施したとしてもビーム水平高さが変わらないようにするためのものである。換言すれば、ウェッジプリズム47、音響光学偏向器48およびウェッジプリズム49は、音響光学偏向器48の音響光学素子の格子面が第2の露光ビームに対してブラッグ条件を満たし、且つ、偏向光学系ODから出射される露光ビームのビーム水平高さが変わらないように配置される。
ここで、音響光学偏向器48には、当該音響光学偏向器48を駆動するための駆動用ドライバ50が取り付けられており、当該駆動用ドライバ50には、電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)51からの高周波信号がアドレス情報を含む制御信号により位相変調されて供給される。そして、フォトレジスト32の露光時には、所望する露光パターンに応じた信号が、電圧制御発振器51から駆動用ドライバ50に入力され、当該信号に応じて駆動用ドライバ50によって音響光学偏向器48が駆動され、これにより、第2の露光ビームに対して光学偏向が施される。
下記の数式1に示すように、ウォブル(偏向)周波数の空間周波数が記録ビームの半径より小さい周期で多重露光することでグルーブを幅広にすることができる。
v・1/f < D
ここでvは線速度、fはウォブル周波数、Dはガラス原盤上のビームスポット径を示している。
例えば、DVD−RWの場合 v=3.49m/s、D=200nmとすると、f>17.45MHzとなる。しかし、通常ウォブル(偏向)周波数は5MHz以下であるから、記録(Cutting)の線速度vを1/4にすると、v=(3.49/4.0=0.8725)m/s、D=200nmとすると、f>4.363MHzであるため、ウォブル(偏向)周波数は5MHzで充分に多重露光することが可能である。
具体的には、例えば、リーダブルエンボスピット、アンリーダブルエンボスピットの記録の場合は、線速度v=0.8725m/s、周波数(140.7/4.0=35.175)kHzにてグルーブをウォブルさせる。グルーブにクロック情報を付加するような場合には、例えば中心周波数が224MHzの高周波信号を周波数35.175kHzの制御信号を、電圧制御発振器51から駆動用ドライバ50に供給する。そして、この信号に応じて、駆動用ドライバ50によって音響光学偏向器48を駆動し、当該音響光学偏向器48の音響光学素子のブラッグ角を変化させ、これにより、周波数35.175kHzのウォブルに対応するように、第2の露光ビームに対して光学偏向を施す。
データ記録部のウォブルグルーブを記録する場合は、線速度v=0.8725m/s、周波数35.175kHzのウォブルクロック信号と5MHzの高周波重畳信号により多重露光する。その場合には、例えば中心周波数が224MHzの高周波信号を周波数35.175kHz+5MHzの制御信号を、電圧制御発振器51から駆動用ドライバ50に供給する。そして、この信号に応じて、駆動用ドライバ50によって音響光学偏向器48を駆動し、当該音響光学偏向器48の音響光学素子のブラッグ角を変化させ、これにより、周波数35.175kHz+5MHzのウォブルに対応するように、露光ビームに対して光学偏向を施す。5MHzの高周波重畳信号の多重露光することにより、ウォブルグルーブの幅を広くすることができる。
台形ウォブルグルーブLPPは、周波数35.175kHz+5MHzのウォブル信号にLPPの台形信号を重畳することにより得られる。
そして、このような偏向光学系ODによって、リーダブルエンボスピット、アンリーダブルエンボスピット、データ記録部のウォブルグルーブのウォブルに対応するように、光学偏向が施された第2の露光ビームが形成される。第2の露光ビームがウォブルミラーM2によって反射されて進行方向が90°曲げられた上で偏光ビームスプリッタPBSに入射する。露光ビームはPBSによって反射される。ここで、偏光ビームスプリッタPBSは、S偏光を反射し、P偏光を透過するようになされている。
そして、進行方向が同一方向となるように再合成されて偏光ビームスプリッタPBSから出射した露光ビームは、拡大レンズL3によって所定のビーム径とされた上でミラーM3によって反射されて対物レンズ54へと導かれる。この対物レンズ54によってフォトレジスト32上に集光される。これにより、フォトレジスト32が露光され、フォトレジスト32に潜像が形成されることとなる。
フォトレジスト32が塗布されているガラス基板31は、フォトレジスト32の全面にわたって所望のパターンでの露光がなされるように、図中矢印Mに示すように回転駆動装置によって回転駆動されるとともに、移動光学テーブル15によって平行移動される。この結果、露光ビームの照射軌跡に応じた潜像が、フォトレジスト32の全面にわたって形成される。
今回、対物レンズ54の開口数NAを0.9にした。音響光学変調器14の音響光学素子は酸化テルル(TeO2)を用いた。音響光学変調器14には、入力端子から信号がドライバ13を介して供給される。
図2の記録装置(カッティング装置)では、一つのレーザビームによってリーダブルエンボスピット、アンリーダブルエンボスピット、ランドプリピットグルーブに対応する露光パターンを形成するようになされている。すなわち、音響光学変調器14に供給されるのは、リーダブルエンボスピットを形成する場合は、EFM(Eight to Fourteen Modulation : 8−16変調)+信号であり、アンリーダブルエンボスピットを形成する場合は
、EFM+信号を一律に長くした変形EFM+信号であり、グルーブを形成する場合は、一定レベルのDC信号である。EFM+信号や変形EFM+信号によって、レーザ光が強度変調(ON/OFF)される。
上述した記録装置および記録方法において、1)リーダブルエンボスピットの形状では、深さはフォトレジストの厚さを変えることにより最適化が可能であり、リーダブルエンボスピット幅はフォトレジスト上の露光ビームを適切な径にすることにより最適化が可能である。
2)アンリーダブルエンボスピットの形状では、深さは露光ビームのパワー、ピットのデューティー(割合)は、後述する変形EFM+変調1とさらにその変形ピット信号を一律に長くする値を変えることにより最適化が可能である。
3)LPPの形状では、露光ビームのパワー、台形ウォブルグルーブLPPの振幅量、長さ、台形の形状により最適化が可能である。上述の方法により、DVD−RWに適切なフォーマットを提供できる。
次に、上述のような光記録装置、または記録方法を用いて評価用光ディスクを複数作製し、それらの評価を行った結果について説明する。
ガラス板面上に形成されたフォトレジスト表面を記録信号に応じて露光して、当該フォトレジストに記録信号(リーダブルエンボスピット、アンリーダブルエンボスピット、台形ウォブルグルーブ)を記録し,フォトレジストの厚さの異なる光ディスクA(75nm)、光ディスクB(80nm)、光ディスクC(85nm)を作成した。リーダブルエンボスピット幅は、光ディスクA(297nm)、光ディスクB(321nm)、光ディスクC(348nm)であった。
アンリーダブルエンボスピットは、データを読まないという前提から、ピットの負エッジを、RLL(Run Length Limited)バイオレンスとならない程度に調整して、デューティー(ピットの割合)を70%程度にまで改善した(変形EFM+変調)1を用いる。ピット長またはスペース長は、通常は、最短で3T、最長で11Tと規定されている。バイオレンスとならない程度とは、この規則を守ることを意味する。ここで、Tは、ディスクに記録されるディジタル信号の1クロック周期の長さである。例えば1T≒38nsecとさ
れる。ディスク上で、1T≒133nmとなる。
(変形EFM+変調)1は充分なプッシュプル信号量を得るために、変形EFM信号においてピットの割合がスペースに比較して小さいものに対して、ピットとスペースの割合を逆転させる処理である。例えば、3Tピット、8Tスペースの信号は、8Tピット、3Tスペースの信号に変換し、ピットの割合を多くする。また、10Tピット、6Tスペースの信号は、11Tピット、5Tスペースの信号に変換し、ピットの割合を多くする。
さらに、(変形EFM+変調)1の信号を一率に長くした(変形EFM+変調)2を用いることにより、デューティー(ピットの割合)を75%程度まで改善した。長くする量は、0,1T,1.5T,2Tの中から選ばれたものとされる。さらに、露光パワーを適切に変化させ、アンリーダブルエンボスピットの深さの異なる3種類の光ディスクを作成した。これは、光ディスクA(25nm)、光ディスクB(31nm)、光ディスクC(38nm)である。
記憶領域であるグルーブ部は、GR1(半径23.95−30mm)、GR2(半径30−35mm)、GR3(半径35−40mm)、GR4(半径40−45mm)、GR5(半径45−50mm)、GR6(半径50−58.6mm)の6ゾーンに分け、LPP形状を変化させた。LPP形状は、図1に示すように、台形ウォブルグルーブ4であり、台形の底辺(長い辺)の長さ6や深さ、ウォブル振幅量5を変化させた。例えばLPP形状を原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope )で測定した。
光ディスクAのLPP形状は、台形LPPウォブルグルーブの深さ26nm、LPPウォブル振幅量152nm、台形LPPウォブルの底辺の長さは、GR1は5T、GR2は6T、GR3は8T、GR4は10T、GR5は11T、GR6は12Tにした。記録領域であるグルーブ部の深さは25nmであった。台形ウォブルLPPの底辺長さ1330nm、上底長さ916nmであり、台形ウォブルの立ち上がり、立下りは200nm程度(1.5T)であった。
光ディスクBのLPP形状は、LPPウォブル振幅量151nm、台形LPPウォブルの底辺の長さは8T、台形LPPウォブルグルーブの深さは、GR1は20nm、GR2は22nm、GR3は25nm、GR4は27nm、GR5は29nm、GR6は31nmであった。記録領域であるグルーブ部の深さは25nmであった。
光ディスクCのLPP形状は、台形LPPウォブルの底辺の長さは8T、LPPウォブルグルーブの深さは25nm、LPPウォブル振幅量は、GRm、GR5は205nm、GR6は238nmであった。記録領域であるグルーブ部の深さは24nmであった。
続いてガラス板をフォトレジストが上部になるように現像機のターンテーブルに載置して、当該ガラス板を水平面に対して回転させる。この後、フォトレジスト上に現像液を滴下して、当該フォトレジストを現像処理する。これによりガラス板の信号形成面には記録信号に基づく凹凸パターンが形成される。かくして、ガラス板および当該ガラス板の信号形成面に形成された凹凸パターンでなる光ディスク原盤が作成される。
次いで光ディスク原盤の凹凸パターン上に無電界メッキ法等によりニッケル皮膜でなる導電化膜層を形成する。導電化膜層が形成された光ディスク原盤を電鋳装置に取り付け、電気メッキ法により導電化膜層上に300±5μm程度の厚さになるようにニッケルメッキ層を形成する。続いてニッケルメッキ層付きガラス板からニッケルメッキ層をカッター等で剥離し、そのニッケルメッキ層信号形成面におけるフォトレジストをアセトン等で洗浄し、3種類のスタンパA,スタンパB、スタンパCを作製する。
その3種類のスタンパを用いて、PC(ポリカーボネイト)の透明樹脂に成形を行い、微小な凹凸(信号に相当するピットやグルーブパタ−ン)が転写された3種類のPC成形基板を形成する。
次に成膜工程として、光記録媒体製造用原盤の表面形状が転写されてなるディスク基板上に記録層および保護層を形成する。具体的には例えば、先ず、ディスク基板の凹凸パターンが形成された面上に、SiN等からなる第1の誘電体膜と、GeSbTe合金等からなる相変化記録膜と、SiN等からなる第2の誘電体膜とをスパッタリングによって順次成膜し、更に、第2の誘電体膜上にAl等からなる光反射膜を成膜することにより、第1の誘電体膜、相変化記録膜、第2の誘電体膜および光反射膜からなる記録層を形成する。その後、記録層上に紫外線硬化樹脂をスピンコート法により塗布し、当該紫外線硬化樹脂に対して紫外線を照射し硬化させることにより、保護層を形成する。以上の工程により、DVD−RW相変化光ディスクA,B、Cが完成する。
光ディスクA、光ディスクB、光ディスクCを作製し、それらの評価を行った結果について説明する。DVD−RW標準評価機DDU−1000(レーザ波長λ;660nm、対物レンズの開口数NA;0.60の光ピックアップ)を用いて、以上のように作製した各光ディスクについて、リーダブルエンボスピットの信号特性、アンリーダブルエンボスピットの信号特性、ウォブルLPPの信号特性を評価した。トラッキングはプッシュプル信号を用いて行った。
光ディスクA,B、Cにおいて、リーダブルエンボスピット、アンリーダブルエンボスピット、LPPの信号特性評価を表1,表2,表3にそれぞれ示す。それぞれの表中の語句の意味は以下の通りである。
LPP Length・・・LPPの底辺の長さ [T]、LPP Depth・・・LPPの深さ [nm] 、LPP
WobbleAmp ・・・LPPウォブル振幅量 [nm] 、Zone・・・領域、RE:リーダブルエンボスピット、URE:アンリーダブルエンボスピット、GR:グルーブ、Radius・・・半径 [mm] 。
PP before ・・・プッシュプル信号量((0.22−0.44)の範囲が適正な範囲
Jitter・・・再生特性 [%](8.0%より小が適正)
LPPb・・・LPPウォブル振幅量/トラックピッチ(0.18−0.27が適正)
|EPPr1|・・・EPPr1の絶対値 [dB](3dBより小が適正)
|EPPr2|・・・UREのプッシュプル信号量と半径25mmにおけるウォブルグルー
ブのプッシュプル信号量との比(EPPr2)の絶対値 [dB](3dBより小が適正)
PI Err. av.・・・PIエラー(記録時のエラーの平均値)。
Figure 0004396230
Figure 0004396230
Figure 0004396230
光ディスクA,B、Cのすべてのリーダブルエンボスピットにおいて、再生ジッタ−および|EPPr1|が規格を満足し、安定したリーダブルエンボスピットの再生を実現した。リーダブルエンボスピット深さが75−85nmのとき、安定したリーダブルエンボスピットの再生を実現した。
光ディスクA,B、Cのすべてのアンリーダブルエンボスピットにおいて、|EPPr2|規格を満足し、安定したトラッキングを実現した。アンリーダブルエンボスピット深さが25−38nmのとき、|EPPr2|規格と安定したトラッキングを実現した。EFM+信号を一律に1.5T長くした場合、2.5T長くした場合も|EPPr2|規格と安定したトラッキングを実現した。また、すべてのアンリーダブルエンボスピットにおいてEFM+信号の再生は行なわれなかった。
光ディスクAのLPPの特性において、台形LPPウォブルの底辺の長さが、6T−11TまでLPPbおよびPIエラー規格を満足し、記録後も安定したLPPの再生を実現した。
光ディスクBのLPPの特性において、台形LPPウォブルグルーブの深さが22−29nmの場合、LPPbおよびPIエラー規格を満足し、記録後も安定したLPPの再生を実現した。記録領域であるグルーブ部の深さは25nmである。LPPウォブルグルーブの深さが、記録領域グルーブ部深さ(19nmから31nm)の−3nmから+4nmの時、記録後も安定したLPPの再生を実現した。
光ディスクCのLPPの特性において、LPPウォブル振幅量が122−205nmの場合、LPPbおよびPIエラー規格を満足し、記録後も安定したLPPの再生を実現した。
LPPウォブル振幅量をトラックピッチ740nmで規格化するとLPPウォブル振幅量/トラックピッチは、16.5−27.7%であった。(122nm/740nm=16.5%、205nm/740nm=27.7%)
この発明により、リーダブルエンボスピットの|EPPr1|規格および再生特性、アンリーダブルエンボスピットのトラッキングおよび再生不可、記録後の安定したLPP信号再生が可能なDVD- RW媒体を実現した。
この発明は、ピットとグルーブとランド部のLPPのフォーマットの光記録媒体、並びにその製造に使用される光記録媒体製造用原盤に対して広く適用可能であり、この発明による記録方法の適用の対象となる光記録媒体は、例えば、再生専用の光記録媒体、繰り返しデータの書き換えが可能な光記録媒体、或いはデータの追記は可能だが消去はできないような光記録媒体のいずれでもよい。
この発明は、上述したこの発明の実施形態等に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
この発明を適用できる光ディスクのフォーマットの一例を示す略線図である。 この発明に係る記憶媒体および記録媒体製造用原盤を作製する際に使用されるレーザカッティング装置の一例について、その光学系を示す略線図である。
符号の説明
1 リーダブルエンボスピット
2 アンリーダブルエンボスピット
3 グルーブ
4 台形状のウォブルグルーブ
5 LPPウォブル振幅量
6 台形LPPウォブルの底辺の長さ
10 レーザカッティング装置
11 光源
13 ドライバ
31 音響光学変調器(AOM)
32 フォトレジスト
47,49 ウェッジプリズム
51 電圧制御発振器(VCO)
54 対物レンズ
OM 変調光学系
M1、M2、M3 ミラー
L1、L2、L3, レンズ
BS1 ビームスプリッタ
PBS 偏光ビームスプリッタ

Claims (10)

  1. 基板上に溝状のグルーブと、円周方向に離散的に配置形成された複数個のピットとからなる第1および第2のエンボスピットと、ウォブリングされる上記グルーブと関連して形成された第3の台形状のウォブルグルーブとが形成された相変化光記録媒体の製造用原盤を作成するための光学記録方法であって、
    上記相変化光記録媒体の上記第3の台形状のウォブルグルーブは、上記グルーブの一部を突出させて形成された台形ウォブルの構成とされ、
    上記第3のウォブルの底辺の長さが、6T−11Tであり、
    上記第3のウォブルの深さが、記録領域グルーブ部深さの−3nmから+4nmであり、
    上記第3のウォブルの振幅量/トラックピッチの比が16.5−27.7%であるように、上記相変化光記録媒体の製造用原盤を作成する光学記録方法。
  2. 上記相変化光記録媒体の上記第1のエンボスピットの深さが75−85nmとなるように、上記相変化光記録媒体製造用原盤を作成する請求項1記載の光学記録方法。
  3. 上記相変化光記録媒体の上記第2のエンボスピットを形成する信号のデューティーを増加させ、さらに、上記信号が0から2Tの範囲内の所定の値で一率に長くなるように、上記相変化光記録媒体の製造用原盤を作成する請求項1記載の光学記録方法。
  4. 基板上に溝状のグルーブと、円周方向に離散的に配置形成された複数個のピットとからなる第1および第2のエンボスピットと、ウォブリングされる上記グルーブと関連して形成された第3の台形状のウォブルグルーブとが形成された相変化光記録媒体を製造するための相変化光記録媒体製造用原盤であって、
    上記相変化光記録媒体の上記第3の台形状のウォブルグルーブは、上記グルーブの一部を突出させて形成された台形ピットの構成とされ、
    上記第3のウォブルの底辺の長さが、6T−11Tであり、
    上記第3のウォブルの深さが、記録領域グルーブ部深さの−3nmから+4nmであり、
    上記第3のウォブルの振幅量/トラックピッチの比が16.5−27.7%である相変化光記録媒体製造用原盤。
  5. 上記相変化光記録媒体の上記第1のエンボスピットの深さが75−85nmである請求項4記載の相変化光記録媒体製造用原盤。
  6. 上記相変化光記録媒体の上記第2のエンボスピットを形成する信号のデューティーを増加させ、さらに、上記信号が0から2Tの範囲内の所定の値で一率に長くされた請求項4記載の相変化光記録媒体製造用原盤。
  7. 基板上に溝状のグルーブと、円周方向に離散的に配置形成された複数個のピットとからなる第1および第2のエンボスピットと、ウォブリングされる上記グルーブと関連して形成された第3の台形状のウォブルグルーブとが形成された相変化光記録媒体であって、
    上記第3の台形状のウォブルグルーブは、上記グルーブの一部を突出させて形成された台形ピットの構成とされ、
    上記第3のウォブルの底辺の長さが、6T−11Tであり、
    上記第3のウォブルの深さが、記録領域グルーブ部深さの−3nmから+4nmであり、
    上記第3のウォブルの振幅量/トラックピッチの比が16.5−27.7%である相変化光記録媒体。
  8. 上記第1のエンボスピットの深さが75−85nmである請求項7記載の相変化光記録媒体。
  9. 上記第2のエンボスピットを形成する信号のデューティーを増加させ、さらに、上記信号が0から2Tの範囲内の所定の値で一率に長くされた請求項7記載の相変化光記録媒体。
  10. 上記第2のエンボスピットの深さが25−38nmである請求項9記載の相変化光記録媒体。
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