JP6772952B2 - 燃料電池電極用触媒層及び燃料電池 - Google Patents
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Description
(1)カーボン担体及び前記カーボン担体に担持されている金属触媒を含む金属担持触媒と、アイオノマーとを含有する燃料電池電極用触媒層であって、
カーボン担体中の細孔において、細孔径が5nm〜40nmである細孔の細孔容積が、4.5ml/g〜9.3ml/gであり、
カーボン担体とアイオノマーの重量比が、1:0.50〜1:0.85である、
前記燃料電池電極用触媒層。
(2)カーボン担体中の細孔において、細孔径が5nm〜40nmである細孔の細孔容積が、5.0ml/g〜8.0ml/gである、(1)に記載の燃料電池電極用触媒層。
(3)固体高分子電解質の両面にそれぞれ空気極と燃料極とを接合してなる膜電極接合体を具備する燃料電池であって、
前記空気極及び前記燃料極の少なくとも一方が、(1)又は(2)に記載の燃料電池電極用触媒層を含む、
前記燃料電池。
本明細書では、適宜図面を参照して本発明の特徴を説明する。図面では、明確化のために各部の寸法及び形状を誇張しており、実際の寸法及び形状を正確に描写してはいない。それ故、本発明の技術的範囲は、これら図面に表された各部の寸法及び形状に限定されるものではない。なお、本発明の燃料電池電極用触媒層及び燃料電池は、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者がおこない得る変更、改良などを施した種々の形態にて実施することができる。
空気極(カソード):O2+4H++4e−→2H2O
燃料極(アノード):2H2→4H++4e−
において触媒作用を示すものであれば限定されるものではなく、当該技術分野で公知の金属触媒を使用することができる。前記金属触媒には、例えば、以下に限定されないが、例えば、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスニウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウムなどの金属、又はそれらの合金、例えば白金コバルトなどがある。
カーボン担体中の細孔において、細孔径が5nm〜40nmである細孔の細孔容積が上記で規定した通りであるカーボン担体と、酸化状態である金属触媒前駆体とを、通常15℃〜30℃、好ましくは20℃〜25℃で、溶剤、例えば純水中に懸濁させて、懸濁液を得る。得られた懸濁液について、金属触媒前駆体を還元剤、例えばエタノールや水素化ホウ素ナトリウムなどにより、通常55℃〜95℃、好ましくは60℃〜90℃で、金属触媒に還元して、分散液を得る。得られた分散液をろ過し、得られたケーキを通常80℃〜100℃、好ましくは85℃〜95℃で、通常13時間〜17時間、好ましくは14時間〜16時間乾燥させて、粉末を得る。得られた粉末を、不活性雰囲気下、例えば窒素雰囲気下、通常600℃〜1000℃、好ましくは700℃〜900℃で、通常1時間〜6時間、好ましくは1時間〜3時間焼成して、金属担持触媒を得る。ここで、焼成は金属担持触媒の高温での使用における耐久性向上のために実施される。当該焼成は前記カーボン担体中の細孔において、細孔径が5nm〜40nmである細孔の細孔容積が変化しない範囲内で実施される。
(i)で得られた金属担持触媒とアイオノマーとを、上記で規定した通りのカーボン担体とアイオノマーの重量比になるように調整し、通常15℃〜30℃、好ましくは20℃〜25℃で、溶剤、例えば純水中に懸濁させて、懸濁液を得る。得られた懸濁液に、有機溶媒、例えばエタノールを加えて、さらに、公知の分散方法、例えば超音波分散を、通常5℃〜15℃、好ましくは5℃〜10℃で、通常30分間〜70分間、好ましくは50分間から60分間実施して、触媒インクを調製する。
(ii)で調製した触媒インクを、通常15℃〜30℃、好ましくは20℃〜25℃で、公知の散布・付着・塗布方法、例えば重力、噴霧力、又は静電力を利用する方法、例えばアプリケーターを使用して、剥離可能な基材、例えばテフロンシートなどの上に塗布して、触媒層前駆体を形成する。基材上の触媒層前駆体を、公知の乾燥方法、例えば送風乾燥機を使用して、通常60℃〜90℃、好ましくは75℃〜85℃で、通常1分間〜10分間、好ましくは4分間〜6分間乾燥することによって、溶剤などの揮発性物質を除去して、触媒層を調製し、基材から触媒層を剥離することにより触媒層を得る。
得られた触媒層を、空気極及び/又は燃料極として使用し、固体高分子電解質膜を中心に、一方の面に空気極を配置し、もう片方の面に燃料極を配置して、層集合体を得る。ここで、空気極及び燃料極は、使用する金属触媒などを変更することにより、各電極に適応するように調製される。さらに、空気極及び燃料極それぞれの外側に、ガス拡散層を配置する。
得られたMEGAを単セルとして、複数組み合わせることによって燃料電池を製造する。
1−1.原材料
1−1−1.カーボン担体の原料
SN2A社製のYSカーボン(比表面積約110±10m2/g、純度99.5%以上、抵抗値0.5〜0.6オーム(Ω)
白金(Pt) (ジニトロアミン白金水溶液(Ptとして60重量%以上))
コバルト(Co) (硝酸コバルト水溶液(Coとして65重量%以上))
(i)SN2A社製のYSカーボンを、大気中において、1.5時間かけて510℃に昇温し、510℃で5時間維持して焼成することで、カーボン担体中の細孔において、細孔径が5nm〜40nmである細孔の細孔容量が3.5ml/gであるカーボン担体を調製した。ここで、カーボン担体中の細孔において、細孔径が5nm〜40nmである細孔の細孔容量は、カーボン担体を、真空下において、150℃の温度で、2時間以上保持することにより前処理した後に、島津製作所製TriStar3000型を使用して、BET多点法により求めた。
(ii)2000mlのビーカーに、0.1N濃度硝酸350gと、(i)で調製したカーボン担体20gとを添加し、25℃で、一昼夜撹拌混合して、懸濁液を得た。
(iii)(ii)で得られた懸濁液に、25℃で、白金前駆体として最終生成物の総重量に対して38重量%の白金担持量になる白金仕込量(5.72g)のジニトロアミン白金水溶液(Ptとして60重量%)を添加して、60〜90℃、3時間の条件で加熱した。
(iv)(iii)で得られた分散液を濾過して、得られたケーキを80℃で、15時間乾燥させて、粉末を得た。
(v)(iv)で得られた粉末を、アルゴン雰囲気下、800℃で、2時間焼成して、38重量%貴金属担持触媒Pt/Cを得た。
(vi)(v)で得られた38重量%貴金属担持触媒Pt/Cとカーボン担体の総重量に対して80倍の純水を添加し、25℃で、5分間撹拌混合して、懸濁液を得た。
(vii)(vi)で得られた懸濁液に、25℃で、コバルト前駆体として白金とコバルトのモル比が7:1になるように硝酸コバルト水溶液を添加して、コバルト前駆体を硝酸コバルトのコバルトに対して1〜6mol当量の水素化ホウ素ナトリウムを添加することによりコバルトに還元して、分散液を得た。
(viii)(vii)で得られた分散液を濾過して、得られたケーキを80℃で、15時間乾燥させて、粉末を得た。
(ix)(viii)で得られた粉末を、アルゴン雰囲気下、800℃で、2時間焼成して、40重量%貴金属担持触媒PtCo/Cを調製した。
(i)50mlのビーカーに、超純水8gと、(1)で調製した貴金属担持触媒PtCo/C 1gと、エタノール6gとを添加し、25℃で、5分間撹拌混合して、懸濁液を得た。
(ii)(i)で得られた懸濁液に、25℃で、アイオノマー溶液(交換量が1.11×10−3mol/gであるアイオノマーと溶媒とを含む10重量%溶液)を、アイオノマー固形分とカーボン担体の重量比(アイオノマー固形分/カーボン担体)が0.75になるように添加し、5〜10℃で、超音波分散を55分間実施して、混合液を得た。
(iii)(ii)で得られた混合液を、室温で、プライミクス社製薄膜旋回型高速ミキサー(フィルミクス)にて30m/sで15分間分散後、均一な触媒インクを調製した。
(i)(2)で調製した触媒インクを、テフロンシート上に、膜厚が10μmになるように、ドクターブレードを使用して均一に塗布して、テフロンシート上に触媒層前駆体を得た。
(ii)(i)で得られたテフロンシート上の触媒層前駆体を、送風乾燥機を使用して、80℃で、5分間乾燥させて、テフロンシート上に触媒層を形成した。
(iii)テフロンシートから触媒層を剥離して、触媒層を調製した。
(i)空気極(カソード)として(3)で調製した触媒層を使用し、燃料極(アノード)として(1)において(vi)〜(ix)の工程を除き、(3)で調整した触媒層を使用し、空気極と燃料極の間に固体高分子電解質膜としてゴアセレクト(日本ゴア製)を配置して層集合体(空気極−固体高分子電解質膜−燃料極)を作製した。得られた層集合体をホットプレスにより140℃で180秒間圧着させて、MEAを調製した。
(ii)(i)で調製したMEAの両極側に、ガス拡散層としてトレカ(東レ製)を配置して層集合体(ガス拡散層−MEA−ガス拡散層)を作製した。得られた層集合体をホットプレスにより140℃で180秒間圧着させて、MEGAを調製した。
比較例1の(1)(i)において、SN2A社製のYSカーボンを、大気中において、1.5時間かけて550℃に昇温し、550℃で5時間維持して焼成することで、カーボン担体中の細孔において、細孔径が5nm〜40nmである細孔の細孔容量が12.8ml/gであるカーボン担体を調製し、その後調製したカーボン担体を使用した以外は、比較例1と同様にMEGAを調製した。
比較例1の(1)(i)において、SN2A社製のYSカーボンを、大気中において、1.5時間かけて520℃に昇温し、520℃で5時間維持して焼成することで、カーボン担体中の細孔において、細孔径が5nm〜40nmである細孔の細孔容量が4.5ml/gであるカーボン担体を調製し、その後調製したカーボン担体を使用した以外は、比較例1と同様にMEGAを調製した。
比較例1の(1)(i)において、SN2A社製のYSカーボンを、大気中において、1.5時間かけて530℃に昇温し、530℃で5時間維持して焼成することで、カーボン担体中の細孔において、細孔径が5nm〜40nmである細孔の細孔容量が7.0ml/gであるカーボン担体を調製し、その後調製したカーボン担体を使用した以外は、比較例1と同様にMEGAを調製した。
比較例1の(1)(i)において、SN2A社製のYSカーボンを、大気中において、1.5時間かけて540℃に昇温し、540℃で5時間維持して焼成することで、カーボン担体中の細孔において、細孔径が5nm〜40nmである細孔の細孔容量が9.3ml/gであるカーボン担体を調製し、その後調製したカーボン担体を使用した以外は、比較例1と同様にMEGAを調製した。
比較例1及び2並びに実施例1〜3で調製したMEGAについて、東陽テクニカ製の燃料電池評価システムを使用して、MEGAの温度を45℃に加熱した後に、カソード電極及びアノード電極に、55℃に加熱したバブラーを通過させた加湿空気(2ml/分)及び加湿水素(0.5ml/分)を供給することでI−V測定を実施し、165%相対湿度での、電流密度2.5A/cm2における電圧値を測定した。
Claims (2)
- カーボン担体及び前記カーボン担体に担持されている金属触媒を含む金属担持触媒と、アイオノマーとを含有する燃料電池電極用触媒層であって、
カーボン担体中の細孔において、細孔径が5nm〜40nmである細孔の細孔容積が、4.5ml/g〜9.3ml/gであり、
カーボン担体とアイオノマーの重量比が、1:0.50〜1:0.85である、
前記燃料電池電極用触媒層。 - 固体高分子電解質の両面にそれぞれ空気極と燃料極とを接合してなる膜電極接合体を具備する燃料電池であって、
前記空気極及び前記燃料極の少なくとも一方が、請求項1に記載の燃料電池電極用触媒層を含む、
前記燃料電池。
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