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JP2011255336A - 触媒担持担体の製造方法および電極触媒の製造方法 - Google Patents

触媒担持担体の製造方法および電極触媒の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】触媒金属の活性が高く、さらに酸素還元活性の高い触媒担持担体の製造方法と得られた触媒担持担体を使用する電極触媒の製造方法を提供する。
【解決手段】導電性担体1を窒素ドープして窒素2を導電性担体表面に結合させて第1の中間粉末10”を製造する第1の工程、第1の中間粉末10”に触媒金属3を担持させて第2の中間粉末10’を製造する第2の工程、第2の中間粉末10’を窒素ドープして触媒担持担体10を製造する第3の工程、からなる触媒担持担体の製造方法である。
【選択図】図3

Description

本発明は、燃料電池用の電極触媒を形成する触媒担持担体の製造方法と、この方法で製造された触媒担持担体を使用してなる電極触媒の製造方法に関するものである。
固体高分子型燃料電池の燃料電池セルは、イオン透過性の電解質膜と、該電解質膜を挟持するアノード側およびカソード側の各電極触媒層(電極触媒)と、から膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)を成し、各電極触媒層の外側にガス流れの促進と集電効率を高めるためのガス拡散層(GDL)が設けられて電極体(MEGA:MEAとGDLの接合体)を成し、このガス拡散層の外側にセパレータが配されて燃料電池セルが形成されている。実際には、これらの燃料電池セルが発電性能に応じた基数だけ積層され、燃料電池スタックが形成されることになる。
上記する従来の触媒層の形成方法は、たとえば、テフロンシート(テフロン:登録商標、デュポン社)等の基材表面に、触媒を担持した触媒担持担体、高分子電解質(アイオノマ)、分散溶媒を含んだ触媒溶液(触媒インク)を塗工し、次いで該触媒溶液表面をホットプレート等で乾燥させること(湿式塗工法)で触媒層が形成されている。なお、この塗工作業においては、スプレーで塗布する方法やドクターブレードを使用する方法などがある。
ところで、燃料電池の発電性能向上の重要な要素である、電極触媒の効率もしくは活性を上げるべく、これを電極触媒の製造方法からのアプローチで達成せんとする技術が種々公開されており、たとえば、特許文献1,2に開示の触媒の製造方法を挙げることができる。これらの製造方法はいずれも、触媒活性を高めるべく、炭素材料(ホウ素を含有してもよい)の表面に熱処理して窒素原子をドーピングし、次いで、白金等の触媒金属を担持させて触媒担持担体を得るものである。
上記特許文献1,2では、これらの製造方法によって触媒活性が向上するとしているが、本発明者等の検証によれば、同様の製造方法にて窒素ドープカーボンからなる担体を製造し、その上に白金を担持して得られた触媒担持担体は、白金担持のない窒素ドープカーボンよりも活性が低下し得るとの知見が得られている。
これは、窒素ドープカーボンの酸素還元活性サイトである窒素元素に白金が優先的に担持されてしまい、結果として窒素ドープカーボンの活性サイトを潰してしまうからである。
特開2009−125693号公報 特開2007−311026号公報
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、導電性担体表面に窒素ドープして触媒担持担体を得る方法に関し、触媒金属の活性が高く、さらに酸素還元活性の高い触媒担持担体を製造することのできる触媒担持担体の製造方法と、この方法にて得られた触媒担持担体を使用する電極触媒の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による触媒担持担体の製造方法は、炭素系粉末からなる導電性担体を窒素ドープして窒素を導電性担体表面に結合させて第1の中間粉末を製造する第1の工程、前記第1の中間粉末に触媒金属を担持させて第2の中間粉末を製造する第2の工程、前記第2の中間粉末を窒素ドープして触媒担持担体を製造する第3の工程、からなるものである。
本発明の触媒担持担体の製造方法では、まず、カーボン等の炭素系粉末からなる導電性担体に触媒金属を担持させる前後で窒素ドープをおこなうことにより、触媒金属を担持させる前の窒素ドープによって導電性担体の表面に窒素(もしくは窒素元素)を結合させて(たとえばC−N結合)いわゆる窒素ドープカーボンを製造し、これに触媒金属を担持させる。この段階で、触媒金属は炭素よりも窒素に担持され易く、窒素が触媒金属に担持されることで、その活性サイトが失われてしまい、このことは、窒素ドープカーボンの有する酸素還元活性作用が損なわれることを意味する。
そこで、本発明の製造方法では、たとえば窒素ドープカーボンに対して触媒金属を担持させた後に、あらためて窒素ドープ処理をおこなうことにより、導電性担体の表面に窒素を結合させることができ、その酸素還元活性作用を高めるようにしたものである。
また、最初の窒素ドープ処理にて導電性担体表面に結合された窒素に触媒金属が担持されることにより、窒素の酸素還元活性作用は損なわれるものの、窒素と触媒金属の相互作用によって触媒金属の活性は高められる。
したがって、本発明の製造方法によれば、導電性担体表面に結合する窒素とこれに担持される触媒金属によってこの触媒金属の活性が高められ、さらに、導電性担体表面に結合する窒素であって触媒金属が担持されていない窒素によってその酸素還元活性作用が高められることになる。
なお、上記する窒素ドープ処理としては、導電性担体や第2の中間粉末をアンモニア雰囲気下で所定時間熱処理する方法などを挙げることができる。
上記方法で得られた触媒担持担体を使用し、この触媒担持担体と、高分子電解質を分散溶媒に投入し、攪拌して触媒溶液(触媒インク)を生成する。そして、生成された触媒溶液は、電解質膜やガス拡散層等の基材にたとえば塗工ブレードにて層状に引き伸ばされて塗膜が形成され、温風乾燥炉等で乾燥することで、アノード側およびカソード側の触媒層(触媒電極)が形成される。なお、上記する本発明の製造方法で得られた導電性担体からなる電極触媒はその酸素還元活性作用に優れていることから、膜電極接合体のカソード側の電極触媒にのみ適用されてもよく、この場合には、アノード側の電極触媒には通常一般の触媒担持担体(導電性担体表面に触媒金属が担持されたもの)が使用できる。
既述するように、本発明の製造方法にて得られた触媒担持担体を使用して触媒インクを生成し、これを使用して得られた電極触媒を有する燃料電池セルは、従来製法による電極触媒を有する燃料電池セルに比してその発電性能が高い。このことは、発電に寄与する触媒の酸素還元活性が高いこと、および、窒素と触媒金属の相互作用によって触媒活性が高められていることを示すものである。
本発明の導電性担体の製造方法、この方法で得られた導電性担体を使用してなる電極触媒の製造方法で得られた電極触媒を有する燃料電池は、上記のごとき効果を奏するものであることから、近時その生産が拡大しており、車載機器に一層の高性能を要求している電気自動車やハイブリッド車用の燃料電池に好適である。
以上の説明から理解できるように、本発明の触媒担持担体の製造方法と、この方法にて得られた触媒担持担体を使用してなる電極触媒の製造方法によれば、導電性担体に触媒金属を担持させる前後で窒素ドープをおこなうことにより、導電性担体表面に結合する窒素とこれに担持される触媒金属によってこの触媒金属の活性が高められ、さらに、導電性担体表面に結合する窒素であって触媒金属が担持されていない窒素によってその酸素還元活性作用が高められることにより、燃料電池の発電性能の向上に寄与するものとなる。
(a)は、本発明の触媒担持担体の製造方法の第1の工程を説明した模式図であり、(b)は、第1の工程で得られた第1の中間粉末を示す模式図である。 (a)は、本発明の触媒担持担体の製造方法の第2の工程を説明した模式図であり、(b)は、第2の工程で得られた第2の中間粉末を示す模式図である。 (a)は、本発明の触媒担持担体の製造方法の第3の工程を説明した模式図であり、(b)は、第3の工程で得られた触媒担持担体を示す模式図である。
以下、図1〜3を参照して本発明の触媒担持担体の製造方法を概説する。
図1a、図2a、図3aは順に、本発明の触媒担持担体の製造方法の第1の工程、第2の工程および第3の工程をそれぞれ説明した模式図であり、図1b、図2b、図3bは順に、第1の工程で得られた第1の中間粉末を示す模式図、第2の工程で得られた第2の中間粉末を示す模式図および第3の工程で得られた触媒担持担体を示す模式図である。
まず、第1の工程では、管状炉Y1内に粉砕前の導電性担体1’(一般にカーボン)を収容し、この内部に流体連通する管路Kを介してアンモニアガス(アンモニア2’)と不活性ガスを管状炉Y1内に提供し(X1方向)、高温雰囲気下で残置することにより、アンモニア2’を窒素と水素に分離させ、粉砕前の導電性担体1’の表面に窒素2を結合させる(導電性担体1’が炭素の場合は、C−N結合にてNがCの表面に結合される)。
次いで、管状炉Y1からその表面に窒素2が結合された粉砕前の導電性担体1’を取り出し、これを粉砕して小寸法の導電性担体1として、図1bで示すように導電性担体1の表面に窒素2(もしくは窒素元素)が結合してなる第1の中間粉末10”が製造される。
次に、第1の工程で得られた第1の中間粉末10”を容器Y2内の分散溶媒内に投入し、さらに触媒金属塩3’を投入して十分に混合して溶液を得る(第2の工程)。
攪拌混合されてできる溶液を、加熱処理、もしくは、溶液内への還元剤の投入などによって触媒金属塩3’から触媒金属3を析出させると、この触媒金属3の多くは窒素2に還元担持され、残りは導電性担体1の表面に還元担持されて、図2bで示すような第2の中間粉末10’が得られる。
第2の中間粉末10’において、導電性担体1の表面に結合した窒素2とこれに担持する触媒金属3の相互作用により、触媒金属3の触媒活性は高められる。しかし、酸素還元活性作用を奏する窒素(活性サイト)が触媒金属の担持によって潰されてしまうために、第2の中間粉末10’の状態では触媒金属3の触媒活性が高められるに留まり、酸素還元活性作用を期待することはできない。
そこで、第2の工程で第2の中間粉末10’が得られたら、図3aで示すごとく、図1aで使用したのと同じ管状炉Y1内にこの第2の中間粉末10’を収容し、第1の工程と同様にアンモニアガス(アンモニア2’)と不活性ガスを管状炉Y1内に提供し(X1方向)、高温雰囲気下で残置する(第3の工程)。
高温雰囲気下で残置することにより、アンモニア2’が窒素と水素に分離され、第2の中間粉末10’の表面に窒素2が結合されて触媒担持担体10が得られる
この触媒担持担体10においては、導電性担体1の表面に結合した窒素2とこれに担持する触媒金属3の相互作用によって触媒金属3の触媒活性が高められることに加えて、窒素(活性サイト)が導電性担体1の表面に結合していることでさらに酸素還元活性作用を期待することもできる。
ここで、上記する導電性担体1としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーなどの炭素材料のほか、炭化ケイ素などに代表される炭素化合物などを挙げることができ、触媒金属塩3’を形成する触媒金属としては、たとえば、白金や白金合金、パラジウム、ロジウム、金、銀、オスミウム、イリジウムなどのうちのいずれか一種を使用することができ、好ましくは白金または白金合金を使用するのがよい。さらに、この白金合金としては、たとえば、白金と、アルミニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ガリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、バナジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、チタンおよび鉛のうちの少なくとも一種との合金を挙げることができる。
さらに、分散溶媒としては、水のほか、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル類、芳香族系あるいはハロゲン系の種々の溶媒を挙げることができ、さらには、これらを単独で、もしくは混合液として使用することができる。
製造された触媒担持担体10を、分散溶媒内に投入し、さらに、高分子電解質を投入して、超音波ホモジナイザー、ビーズミル、ボールミルなどを使用して攪拌等することにより、触媒溶液(触媒インク)が生成される。
この高分子電解質としては、プロトン伝導性ポリマーである、有機系の含フッ素高分子を骨格とするイオン交換樹脂、例えばパーフルオロカーボンスルフォン酸樹脂、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等のスルホン化プラスチック系電解質、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルケトン、スルホアルキル化ポリエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリスルホン、スルホアルキル化ポリスルフィド、スルホアルキル化ポリフェニレンなどのスルホアルキル化プラスチック系電解質などを挙げることができる。なお、市販素材としては、ナフィオン(Nafion)(登録商標、デュポン社製)やフレミオン(Flemion)(登録商標、旭硝子株式会社製)などを使用することができる。
生成された触媒溶液は、基材である電解質膜、ガス拡散層、支持フィルムのいずれか一種に塗工等され、温風乾燥、ホットプレス等されることによって基材表面に触媒層(電極触媒)が形成される。ここで、この電解質膜は、たとえば、スルホン酸基やカルボニル基を持つフッ素系イオン交換膜、置換フェニレンオキサイドやスルホン化ポリアリールエーテルケトン、スルホン化ポリアリールエーテルスルホン、スルホン化フェニレンスルファイドなどの非フッ素系のポリマーなどから形成されるものである。また、ガス拡散層は、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛及び膨張黒鉛等の炭素材やこれらのナノカーボン材料、ステンレススチール、モリブデン、チタン等から形成されるものである。さらに、支持フィルムは、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体フィルム、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体フィルム、ポリフッ化ビニリデンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどを挙げることができ、これらの素材からなるシートを2層以上積層して基材としてもよい。なお、市販素材としては、テフロンシート(テフロン:登録商標、デュポン社)などを使用することができる。
なお、図3bで示す触媒担持担体10は、酸素還元活性作用に優れたものであることより、この触媒担持担体10をカソード側の電極触媒の製造にのみ使用し、アノード側の電極触媒は、従来一般の触媒担持担体、すなわち導電性担体の表面に触媒金属が担持されたものを使用してもよい。
[発電性能実験とその結果]
本発明者等は、本発明の製造方法で得られた触媒担持担体を使用して触媒溶液を生成し、これを使用して形成された電極触媒(触媒層)を具備する燃料電池セル(実施例)と、従来の製造方法にて製造された電極触媒を具備する燃料電池セル(比較例1,2)を試作し、それらの発電性能比較をおこなった。
(実施例の触媒担持担体の製造方法)
本発明の製造方法にて触媒担持担体を得る具体的な内容を説明すると、市販の導電性担体であるケッチェンEC(ケッチェンブラックインターナショナル製)を石英の管状炉内に収容し、アンモニア400ccm、アルゴン200ccmの雰囲気にて600℃で3時間の熱処理をおこなった。この熱処理後のカーボンを粉砕し、5.0gを純粋1.2L(リットル)に加えて分散させ、この分散液に白金5.0gを含むヘキサヒドロキソ白金硝酸(白金塩、触媒金属塩)の溶液を滴下し、十分に攪拌した。そして、この溶液に0.1Nアンモニア約100mLを添加し、溶液pHを約10として水酸化物を形成し、カーボン表面に析出させ、さらに、エタノールを用いて90℃でヘキサヒドロキソ白金硝酸から白金を還元して分散液を濾過し、得られた粉末を100℃で10時間真空乾燥させた。この乾燥処理後の粉末に対し、アンモニア400ccm、アルゴン200ccmの雰囲気にて600℃で3時間の熱処理を再度おこなった。
(比較例1の触媒担持担体の製造方法)
一方、比較例1の触媒担持担体の製造に関し、ケッチェンECを石英の管状炉内に収容し、アンモニア400ccm、アルゴン200ccmの雰囲気にて600℃で3時間の熱処理をおこなった。この熱処理後のカーボンを粉砕し、5.0gを純粋1.2L(リットル)に加えて分散させ、この分散液に白金5.0gを含むヘキサヒドロキソ白金硝酸(白金塩、触媒金属塩)の溶液を滴下し、十分に攪拌した。そして、この溶液に0.1Nアンモニア約100mLを添加し、溶液pHを約10として水酸化物を形成し、カーボン表面に析出させ、さらに、エタノールを用いて90℃でヘキサヒドロキソ白金硝酸から白金を還元して分散液を濾過し、得られた粉末を100℃で10時間真空乾燥させた。そして、乾燥後の粉末を窒素雰囲気下、300℃で1時間熱処理をおこなって触媒担持担体を得た。すなわち、比較例1の製造方法は、触媒金属の担持前にのみ窒素ドープをおこなうものである。なお、この300℃で1時間の熱処理は、触媒白金の粒径を成長させて揃えるための処理であり、担持直後の小さな粒径の触媒白金の粒径を所望の大きさに成長させることで、その耐久性を高めることができる。この方法で得られた触媒担持担体粉末の白金担持密度は、廃液分析の結果、白金50質量%であった。
(比較例2の触媒担持担体の製造方法)
一方、比較例2の触媒担持担体の製造に関し、ケッチェンEC5.0gを純粋1.2L(リットル)に加えて分散させ、この分散液に白金5.0gを含むヘキサヒドロキソ白金硝酸(白金塩、触媒金属塩)の溶液を滴下し、十分に攪拌した。そして、この溶液に0.1Nアンモニア約100mLを添加し、溶液pHを約10として水酸化物を形成し、カーボン表面に析出させ、さらに、エタノールを用いて90℃でヘキサヒドロキソ白金硝酸から白金を還元して分散液を濾過し、得られた粉末を100℃で10時間真空乾燥させた。そして、乾燥後の粉末を窒素雰囲気下、300℃で1時間熱処理をおこなって触媒担持担体を得た。この乾燥処理後の粉末に対し、アンモニア400ccm、アルゴン200ccmの雰囲気にて600℃で3時間の熱処理をおこなった。すなわち、比較例2の製造方法は、触媒金属の担持後にのみ窒素ドープをおこなうものである。
上記する実施例の触媒担持担体、比較例1,2の触媒担持担体を使用して、以下、同様の方法で電極触媒を製造した。具体的には、それぞれ調整された触媒担持担体を蒸留水に加え、さらに、エタノールやエチレングリコールもしくはプロピレングリコールなどを加え、高分子電解質であるナフィオンをさらに加えた。
そして、上記溶液を十分に攪拌し、超音波照射やビーズミルなどによる分散処理をおこない、実施例、比較例1,2の触媒溶液(触媒インク)を生成した。
生成されたそれぞれの触媒インクをテフロン等の基材上に塗布し、乾燥させて電極触媒を得、これを電解質膜(ナフィオン)のアノード、カソードの両極にホットプレスによって熱圧着し、テフロンを剥がして膜電極接合体を得、これを用いて実施例および比較例1,2の燃料電池セルを試作した。
初期段階での触媒性能を比較するべく、初期電圧測定を次のように実施した。まず、燃料電池セルのセル温度を80℃に設定し、カソード側電極に加温バブラを通過させた加湿空気をRH40%、ストイキ比7.5で提供するとともに、アノード側電極に加温バブラを通過させた加湿水素をRH40%、ストイキ比7.5で提供し、電子負荷を用いて電流電圧特性(I−V特性)を測定した。なお、各電極の白金量は、ともに0.3mg/cmとしている。
実験の結果、比較例1の燃料電池セルの発電性能は0.784(V/(0.2A/cm))、比較例2の燃料電池セルの発電性能は0.783(V/(0.2A/cm))であったのに対して、実施例のそれは0.789(V/(0.2A/cm))であり、発電性能の向上が確認されている。この実験結果より、触媒担持担体の製造に際し、導電性担体に対して触媒金属を担持する前後で窒素ドープ処理をおこなうことで、触媒金属の活性と酸素還元活性の双方が高められた触媒担持担体が得られ、これが燃料電池セルの発電性能を向上させていることが実証された。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…導電性担体、1’…粉砕前の導電性担体、2…窒素(窒素元素)、2’…アンモニア、3…触媒金属(触媒)、3’…触媒金属塩、10…触媒担持担体、10’…第2の中間粉末、10”…第1の中間粉末

Claims (3)

  1. 炭素系粉末からなる導電性担体を窒素ドープして窒素を導電性担体表面に結合させて第1の中間粉末を製造する第1の工程、
    前記第1の中間粉末に触媒金属を担持させて第2の中間粉末を製造する第2の工程、
    前記第2の中間粉末を窒素ドープして触媒担持担体を製造する第3の工程、からなる触媒担持担体の製造方法。
  2. 前記窒素ドープがアンモニア雰囲気下で熱処理するものである請求項1に記載の触媒担持担体の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法で製造された触媒担持担体と高分子電解質を分散溶媒に投入し、攪拌して触媒溶液を生成する、電極触媒の製造方法。
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