以下では、本実施形態の分電盤1を戸建住宅で用いる場合について例示するが、この例に限らない。すなわち、本実施形態の分電盤1は、集合住宅の各住戸や、事務所、店舗等に用いてもよい。また、以下では、分電盤1が壁に取り付けられた状態での上下左右(図4における上下左右)を上下左右とし、壁に直交する方向を前後方向として説明するが、分電盤1を取り付ける向きを限定する趣旨ではない。
本実施形態の分電盤1は、図4に示すように、分電盤用キャビネット10と、主幹ブレーカ2と、複数の分岐ブレーカ3と、導電バー(図示せず)と、電流計測器(図示せず)と、計測ユニット6とを備えている。また、本実施形態の分電盤1は、第1通信アダプタ7(分電盤用内器)と、第2通信アダプタ8と、第3通信アダプタ9(通信アダプタ)とを備えている。なお、本実施形態の分電盤1は、その最小限の構成として分電盤用キャビネット10と、主幹ブレーカ2と、複数の分岐ブレーカ3と、導電バー(図示せず)と、電流計測器(図示せず)とを備えていればよい。したがって、本実施形態の分電盤1が、計測ユニット6や第1通信アダプタ7、第2通信アダプタ8、第3通信アダプタ9を備えるか否かは任意である。
分電盤用キャビネット10は、キャビネット本体11を備えている。キャビネット本体11は、前面が開口した箱状に形成されている。キャビネット本体11は、住宅の壁等に取り付けて使用される。キャビネット本体11は、その内部に少なくとも主幹ブレーカ2、複数の分岐ブレーカ3、導電バー、電流計測器を収納する空間を有している。また、本実施形態の分電盤1では、キャビネット本体11は、計測ユニット6や、第1通信アダプタ7、第2通信アダプタ8、第3通信アダプタ9を収納する空間も有している。
また、キャビネット本体11は、前後方向に貫通する窓孔12を有しており、この窓孔12を通して壁裏からキャビネット本体11の内部に配線を引き込むことが可能である。なお、キャビネット本体11の前面には、開閉可能な蓋(図示せず)が取り付けられる。この蓋は、分電盤用キャビネット10に含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
主幹ブレーカ2は、一次側端子21と、二次側端子(図示せず)とを備えている。主幹ブレーカ2は、キャビネット本体11の中央から見て左下寄りに取り付けられている。一次側端子21には、系統電源(商用電源)の単相三線式の引き込み線(図示せず)が電気的に接続される。二次側端子には、導電バーが電気的に接続される。導電バーは、導電部材により左右方向に長い長尺板状に形成されている。本実施形態の分電盤1は、配電方式として単相三線式を想定しているので、中性極(N相)用と、第1電圧極(L1相)用と、第2電圧極(L2相)用との3本の導電バーを有している。これら3本の導電バーは、主幹ブレーカ2の右側に配置され、キャビネット本体11に固定されている。
各分岐ブレーカ3は、中性極の導電バー(図示せず)の上側と下側とに分かれて、それぞれ複数個ずつ(図4の例では、上側が11個、下側が11個)左右方向に並ぶように配置されている。各分岐ブレーカ3は、それぞれ一次側端子(図示せず)と、二次側端子(図示せず)とを備えている。一次側端子には導電バーが電気的に接続される。また、二次側端子には、複数の電路(図示せず)の各々が接続される。各分岐ブレーカ3の二次側端子に接続された電路には、例えば照明器具や給湯設備等の機器、コンセント(アウトレット)や壁スイッチ等の配線器具が負荷として1つ以上接続される。
各分岐ブレーカ3は、キャビネット本体11に取り付けられた状態において、一次側端子が導電バーと電気的に接続される。
本実施形態の分電盤1では、分岐ブレーカ3は、導電バーの上側に取り付けられたときに中性極及び第1電圧極に電気的に接続され、下側に取り付けられたときに中性極及び第2電圧極に電気的に接続される。
電流計測器(図示せず)は、各分岐ブレーカ3に各々接続された負荷(電路)を流れる電流(以下、「負荷電流」と称する)を計測するように構成されている。
計測ユニット6は、図4に示すように、主幹ブレーカ2の下側に取り付けられていて、電流計測器と電気的に接続されている。計測ユニット6は、複数の電路の各々の線間電圧を計測し、線間電圧のデータを電圧信号として電流計測器へ出力する機能を有している。
なお、本実施形態の電流計測器は、複数の電路の各々の瞬時電力を演算する機能を有しているが、瞬時電力を演算する機能を有する必要はなく、少なくとも複数の電路の各々を流れる負荷電流を計測する機能を有していればよい。本実施形態の電流計測器が電流を計測する機能のみを有している場合は、計測ユニット6が複数の電路の各々の瞬時電力を演算する構成であればよい。
本実施形態の分電盤1では、計測ユニット6は、何れかの分岐ブレーカ3の二次側端子に接続されている。そして、計測ユニット6は、当該分岐ブレーカ3を介して電力が供給されている。また、計測ユニット6は、第1通信アダプタ7とも電気的に接続されている。そして、計測ユニット6は、瞬時電力を各電路の計測データとして第1通信アダプタ7に出力し、且つ電源用の電力を第1通信アダプタ7に供給する。なお、計測ユニット6は、導電バーから直接、電源用の電力の供給を受ける構成でもよい。
ところで、本実施形態の分電盤1では、複数の分岐ブレーカ3の他に、二次連系ブレーカ100が導電バーに電気的に接続されている。二次連系ブレーカ100は、3P3E(極数3、素子数3)で、左右方向の寸法が分岐ブレーカ3の複数個分(3個分)の大きさのブレーカである。二次連系ブレーカ100は、電力系統への逆潮流が許容されていない第1分散電源(図示せず)に電気的に接続される。第1分散電源としては、例えば燃料電池(図示せず)やガス発電装置(図示せず)、蓄電装置等がある。
二次連系ブレーカ100は、分岐ブレーカ3と同様に、一次側端子(図示せず)と、二次側端子101とを備えている。一次側端子には、導電バーが電気的に接続され、二次側端子101には、第1分散電源が電気的に接続される。つまり、二次連系ブレーカ100は、主幹ブレーカ2の二次側と、第1分散電源との間に電気的に接続される。このため、二次連系ブレーカ100は、例えば系統電源からの電力供給が停止したときや、系統電源または第1分散電源に異常が生じたとき等に、第1分散電源を電力系統から切り離す(解列する)ように動作する。なお、本実施形態の分電盤1が、二次連系ブレーカ100を備えるか否かは任意である。
また、本実施形態の分電盤1は、キャビネット本体11における主幹ブレーカ2の左側に、一次連系ブレーカ(図示せず)が取り付けられるスペースを有している。本実施形態の分電盤1では、図4に示すように、当該スペースにおいて、支持台13をキャビネット本体11に取り付けている。そして、一次連系ブレーカは、この支持台13に取り付けられる。
一次連系ブレーカは、3P3E(極数3、素子数3)で、左右方向の寸法が分岐ブレーカ3の複数個分(3個分)の大きさのブレーカである。一次連系ブレーカは、電力系統への逆潮流が許容されている第2分散電源(図示せず)に電気的に接続される。第2分散電源としては、例えば太陽光発電装置等がある。
一次連系ブレーカは、一次側端子(図示せず)と、二次側端子(図示せず)とを備えている。一次側端子には、主幹ブレーカ2の一次側端子21が電気的に接続される。二次側端子には、第2分散電源が電気的に接続される。つまり、一次連系ブレーカは、主幹ブレーカ2の一次側と、第2分散電源との間に電気的に接続される。このため、一次連系ブレーカは、例えば系統電源からの電力供給が停止したときや、系統電源または第2分散電源に異常が生じたとき等に、第2分散電源を電力系統から切り離す(解列する)ように動作する。なお、本実施形態の分電盤1が、一次連系ブレーカを備えるか否かは任意である。
第1通信アダプタ7は、コントローラ(電気機器)(図示せず)との間で通信する機能を有している。コントローラは、HEMS(Home Energy Management System)用のコントローラであり、HEMSに対応する機器(図示せず)の制御を行うように構成されている。機器は、消費電力の管理対象であれば足り、例えば、太陽光発電装置、蓄電装置、燃料電池、電気自動車、エアコン、照明器具、給湯装置、冷蔵庫、テレビ受像機等を含む。勿論、機器をこれらの機器に限定する趣旨ではない。なお、第1通信アダプタ7は、コントローラに相当する機能を有していてもよい。これにより第1通信アダプタ7は、複数の電路の各々での消費電力に基づいて機器を制御することができる。
第1通信アダプタ7とコントローラとの間の通信方式は、例えば920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)や、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の電波を媒体とした無線通信であってもよい。第1通信アダプタ7とコントローラとの間の通信における通信プロトコルは、例えばEthernet(登録商標)、ECHONET(登録商標) Lite等を用いてよい。なお、本実施形態の第1通信アダプタ7は、電波を媒体とした無線通信を行うように構成されているが、無線通信及び有線通信(例えば有線LAN(Local Area Network)等)の両方の通信を行うことができるように構成されていてもよい。
第1通信アダプタ7はさらに、計測ユニット6と電流計測器とが出力した計測データを演算する演算部(図示せず)を有していて、演算結果(例えば瞬時電力を所定時間に亘って積算した結果等)をコントローラに送信する。
第1通信アダプタ7は、分電盤1において、上から順に第2通信アダプタ8、第1通信アダプタ7、第3通信アダプタ9となるようにキャビネット本体11に取り付けられている。また、第2通信アダプタ8と第1通信アダプタ7と第3通信アダプタ9とは、キャビネット本体11の中央から見て左側に取り付けられていて、分電盤用キャビネット10の左側面に近い位置に配置されている。すなわち第1通信アダプタ7は、主幹ブレーカ2及び計測ユニット6の左側に配置されている。
第2通信アダプタ8は、第1通信アダプタ7と機械的に結合され、且つ電気的に接続される。本実施形態の分電盤1では、第1通信アダプタ7と第2通信アダプタ8とは、各々の一部が前後方向に重なった状態で、基板対基板(board to board)接続によって接続される。第2通信アダプタ8と電力メータとの間の通信方式は、例えば920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)等の無線通信であってもよい。その他、第2通信アダプタ8と電力メータとの間の通信方式は、有線LANや電力線搬送通信(PLC:Power Line Communications)等の有線通信であってもよい。
第2通信アダプタ8は、電力メータ(図示せず)との間で通信する機能を有している。電力メータは、所謂スマートメータであって、需要家(facility)での使用電力量を計測し、配電線に接続されているコンセントレータ(図示せず)との間で通信を行うことにより、遠隔検針を可能にするように構成されている。また、電力メータは、第2通信アダプタ8との間で通信することにより、計量値(使用電力量)や要請情報等を第2通信アダプタ8に送信することができる。なお、要請情報とは、電力供給事業者等が運営するサーバから需要家に向けて送信される電力の消費を抑制するための要請である。
ここで、第2通信アダプタ8は、電力メータから受信した計量値を第1通信アダプタ7へ送信するように構成されていることが望ましい。この場合、第1通信アダプタ7との間で通信するコントローラ(図示せず)は、計量値を用いて機器を制御するように構成されていてもよい。この構成では、コントローラは、電力メータから送信される計量値に基づいて機器を制御することができる。
第3通信アダプタ9は、太陽光発電装置(図示せず)、蓄電装置(図示せず)、電気自動車に電気的に接続される電力変換装置(図示せず)の少なくとも1つとの間で通信する機能を有している。なお、電力変換装置は、分電盤1側から電気自動車への単方向充電を行うための電力変換の他、双方向に電力変換を行うことで電気自動車の蓄電池の充電と放電との両方に用いられる構成であってもよい。また、第3通信アダプタ9は、ガスメータ(図示せず)と水道メータ(図示せず)との少なくとも一方との通信機能を有している。ガスメータや水道メータは使用量に応じたパルス信号を出力する。第3通信アダプタ9は、ガスメータや水道メータからパルス信号を受信し、予め決められている1パルス当たりの使用量の換算値(換算レート)を用いて、使用量に換算する。
第3通信アダプタ9は、第1通信アダプタ7と機械的に結合され、且つ電気的に接続される。本実施形態の分電盤1では、第1通信アダプタ7と第3通信アダプタ9とは、各々の一部が前後方向に重なった状態で、基板対基板(board to board)接続によって接続される。
第3通信アダプタ9は、計測ユニット6に電気的に接続されているケーブル(図示せず)のコネクタ部分が接続される第2コネクタ91を有する。第2コネクタ91は、コネクタ部分が着脱自在に接続されるレセプタクルコネクタで構成されている。計測ユニット6は、このケーブルを介して第3通信アダプタ9に電力を供給している。
第3通信アダプタ9と太陽光発電装置、蓄電装置、電力変換装置との間の通信方式は、例えばRS−485等の有線通信とする。なお、第3通信アダプタ9は、例えば貯湯型の給湯装置(エコキュート(登録商標))等と通信可能であってもよい。また、第3通信アダプタ9とガスメータ、水道メータとの間の通信方式は、有線通信とする。但し、第3通信アダプタ9とガスメータ、水道メータとの間の通信方式は、有線通信に限らず、無線通信であってもよい。
なお、本実施形態の分電盤1では、第3通信アダプタ9は、上記の2つの通信機能を有しているが、各々の通信機能を個別に有する2つのアダプタで構成されていてもよい。
ここで、第1通信アダプタ7の詳細について図1〜図3を参照して説明する。
第1通信アダプタ7は、図1に示すように、矩形箱状の器体70と、電波を送受信するための第1アンテナ71(アンテナ)及び第2アンテナ72(アンテナ)と、通信部73とを備えている。通信部73は、第1アンテナ71及び第2アンテナ72を介してコントローラとの間で電波を媒体として無線通信を行う。第1通信アダプタ7はさらに、基板74と、第1コネクタ75と、保持部76と、覆い部770とを備えている。
保持部76は、第3通信アダプタ9の第2コネクタ91と同じ形状のレセプタクルコネクタで構成されている。第3通信アダプタ9を備えていない構成の分電盤1において、第2コネクタ91に着脱自在に接続されるケーブルのコネクタ部分を保持部76に接続することで、そのケーブルを安定した状態で分電盤1内に収納することができる。
第1コネクタ75には、計測ユニット6に電気的に接続されているケーブル(図示せず)のコネクタ部分が接続される。計測ユニット6は、このケーブルを介して第1通信アダプタ7に電力を供給する。また計測ユニット6は、このケーブルを介して第1通信アダプタ7と通信可能に構成されている。本実施形態では、計測ユニット6と第1通信アダプタ7との間の通信規格として、例えば、シリアル通信を用いている。
第1コネクタ75と保持部76と第3コネクタ(図示せず)とは、第1通信アダプタ7の前面における下寄りの位置(第3通信アダプタ9の上側)に配置されている。第1コネクタ75と保持部76とは各々、図3に示すように下向きに配置されていて、対応するコネクタ(図示せず)を下方から着脱自在に接続できる。
例えば分電盤11が天井付近等のように床から高い位置に設置されていても、作業者は、第1通信アダプタ7の下方から第1コネクタ75又は保持部76に各々対応するコネクタを接続できるので、施工性が向上する。また、通信ケーブルの着脱が容易になると着脱時にコネクタ部分やコネクタの保持部分に加わるストレスが軽減されるので、コネクタ部分やコネクタの保持部分の耐久性が向上する。
覆い部770は、器体70の前面における下寄りの位置に形成されている。覆い部770については後述する。
基板74は、例えばプリント基板で構成されていて、第1アンテナ71及び第2アンテナ72と、外部装置(図示せず)と通信を行う通信部73とが実装されている状態で器体70の内側に収納されている。
第1アンテナ71と第2アンテナ72とは各々、金属製の棒を折り曲げて形成されたアンテナである。なお、第1アンテナ71と第2アンテナ72とは、金属製の棒を折り曲げて形成されることに限定されず、例えば平板状のアンテナ等、電波を送受信することができる適宜の構成でもよい。
第1アンテナ71は、右突出部714と、左突出部715と、右突出部714と左突出部715との間にある長手部711とを有している。右突出部714は、基板74の前面における右上寄りの位置に配置されていて、左突出部715は、基板74の前面における左上寄りの位置に配置されている。右突出部714と左突出部715とは基板74の前面から前方に突き出るように配置されている(図2参照)。右突出部714は、上内側面701と左突出部715との間隔よりも、上内側面701と右突出部714との間隔が広くなるように配置されている。右突出部714と左突出部715とは各々基板74に実装されている通信部73に電気的に接続されている。
左突出部715の先端部分には、左突出部715の先端部分から上方に延びる左折曲部713が形成されている。右突出部714の先端部分には、右折曲部712が形成されている。右折曲部712は、右突出部714の先端部分から右側に延びている部分とその先端部分からさらに上方に延びている部分とで構成されていて、正面視がL字状に形成されている。左折曲部713の先端部分と右折曲部712の先端部分との間には、左折曲部713と右折曲部712とに連結した長手部711が形成されている。右折曲部712のうち上下方向に沿う部分は左折曲部713よりも長くなるように形成されていて、長手部711は、上内側面701の縁部分に沿うように配置されている。すなわち長手部711は、基板74の上寄りの位置に、左右方向に沿うように配置されている。
右折曲部712と左折曲部713とが第1アンテナ71に形成されていることにより、基板74の前面から突き出ている立ち上がり部分(右突出部714、左突出部715)よりも長手部711の方が上内側面701に近い位置に配置されている。また、右折曲部712が右突出部714の先端部分から右側に延びるように形成されているので、右折曲部712は右突出部714よりも器体70の右内側面に近い位置に配置されている。長手部711と右折曲部712とが各々、器体70の内側面に近い位置に配置されているので、第1アンテナ71は電波を送受信しやすくなっている。なお、右折曲部712と左折曲部713とは省略されてもよく、長手部711が上内側面701に沿うように形成されていればよい。また、本実施形態の右折曲部712は、右突出部714の先端部分から右側に延びるL字状に形成されているが、この形状に限定されず、例えば右突出部714の先端部分から右側に延びる部分は省略されていてもよい。
第2アンテナ72は、2つで1組の突出部723と、突出部723間にある長手部721とを有している。1組の突出部723は、基板74の前面における左上寄りの位置に、上下方向に並んだ状態で前方に突き出るように基板74に配置されている(図2参照)。1組の突出部723は基板74に実装されている通信部73に電気的に接続されている。1組の突出部723の先端部分には各々、突出部723の先端部分から左方に延びる折曲部722が形成されている。1組の折曲部722の先端部分の間に長手部721が形成されている。長手部721は左内側面702の縁部分に沿うように配置されている。すなわち長手部721は、基板74の左寄りの位置に、上下方向に沿うように配置されている。
1組の折曲部722が第2アンテナ72に形成されていることにより、第2アンテナ72は、左内側面702と折曲部722との間隔よりも、左内側面702と長手部721との間隔が狭くなるように基板74に配置されている。長手部721が器体70の内側面に近い位置に配置されているので、第2アンテナ72は電波を送受信しやすくなっている。なお、折曲部722は省略されてもよく、長手部721が左内側面702に沿うように形成されていればよい。
なお、第1アンテナ71及び第2アンテナ72の両端部分が、基板74に実装されている通信部73に電気的に接続されていなくてもよい。例えば第1アンテナ71の一端が通信部73に電気的に接続されていて、第1アンテナ71の他端が基板74から離れた位置に配置されていてもよい。基板74から離れた位置に配置された第1アンテナ71の他端は、通信部73に電気的に接続されていなくてもよい。本実施形態の第1アンテナ71は、一端が通信部73に電気的に接続されていて、他端は通信部73に電気的に接続されていない状態で基板74に固定されている。第1アンテナ71の両端を基板74に固定することにより、第1アンテナ71の他端が基板74から離れた位置に配置されている場合に比べて第1アンテナ71の形状を安定させた状態で基板74に第1アンテナ71を保持させることができる。
第2アンテナ72についても同様に、第2アンテナ72の一端が通信部73に電気的に接続されていて、第2アンテナ72の他端が基板74から離れた位置に配置されていてもよい。なお、第2アンテナ72の両端についての説明は、上述した第1アンテナ71の両端についての説明と同様であるためその説明を省略する。
ここで、器体70内における第1アンテナ71及び第2アンテナ72の配置について説明するために、境界面780について説明する。
境界面780は、器体70の中心700から内側面までの距離を二等分する境界面である。境界面780は、器体70における上下左右の4つの内側面の各々に対向する境界面で構成されている。以下の説明では、境界面780のうち、上側の境界面を第1境界面781と定義し、左側の境界面を第2境界面782と定義する。また、器体70の上内側面701と第1境界面781との間の領域を第1領域791(領域)と定義し、器体70の左内側面702と第2境界面782との間の領域を第2領域792(領域)と定義する。
第1アンテナ71は、上内側面701の縁部分に沿うように第1領域791内に配置されている。第1領域791は、中心700から見て第3通信アダプタ9の反対側に位置する。すなわち第1アンテナ71は、器体70内において第3通信アダプタ9から離れた位置であって、且つ長手部711が左右方向に沿うように第1領域791内に配置されている。
第2アンテナ72は、左内側面702の縁部分に沿うように第2領域792内に配置されている。第2領域792は、中心700から見て計測ユニット6の反対側に位置する。すなわち第2アンテナ72は、器体70内において計測ユニット6に対して極力離れた第2領域792内に配置されていて、且つ長手部721が上下方向に沿うように配置されている。本実施形態の第2アンテナ72第2アンテナ72は、第2領域792内における上側部分に配置されていて、第2領域792内において計測ユニット6から離れた位置に配置されている。
左右方向に長い第1アンテナ71と上下方向に長い第2アンテナ72とでダイバーシティアンテナが形成されているので、電波が送受信されやすくなっている。第1アンテナ71及び第2アンテナ72は各々、通信部73に電気的に接続されていて、受信した電波に応じた電気信号を通信部73に出力し、通信部73から出力された電気信号に応じて電波を送信する。
通信部73は、ROM(図示せず)を内蔵しているマイクロコンピュータ(図示せず)等で構成されている。通信部73は、ROMから命令を読み込んでマイクロコンピュータに実行させることにより、各種動作を行う。通信部73は、分電盤1の外部に配置されている通信機器(図示せず)やコントローラと電波を媒体とする無線通信を行う。通信部73は、計測ユニット6から入力された計測データ(瞬時電力等)を送信する。また通信部73は、通信機器(図示せず)やコントローラから送信された制御データを受信し、分電盤1全体の制御を行う制御部(図示せず)に出力する。
第1通信アダプタ7は、演算部(図示せず)の演算結果(例えば瞬時電力値を積分した結果等)をコントローラに送信する。コントローラは、演算結果を用いて機器を制御するように構成されている。このため、コントローラは、複数の電路の各々の電力量に基づいて機器を制御することができる。
以上説明したように、第1通信アダプタ7(分電盤用内器)は、1乃至複数のアンテナ(第1アンテナ71、第2アンテナ72)と、通信部73と、器体70とを備えている。通信部73は、アンテナ(第1アンテナ71、第2アンテナ72)を介して、コントローラ(電気機器)との間で電波を媒体として無線通信を行う。器体70は、通信部73及びアンテナ(第1アンテナ71、第2アンテナ72)を収納している。少なくとも1つのアンテナ(本実施形態では第1アンテナ71)は、少なくともその一部が、器体70の中心700から内側面(上内側面701)までの距離を二等分する境界面(第1境界面781)と内側面(上内側面701)との間の領域内(第1領域791内)に配置されている。少なくとも1つのアンテナ(本実施形態では第2アンテナ72)は、少なくともその一部が、器体70の中心700から内側面(左内側面702)までの距離を二等分する境界面(第2境界面782)と内側面(左内側面702)との間の領域内(第2領域792内)に配置されている。その一部とは、少なくとも1つのアンテナの一部のことである。
第1アンテナ71は、第1通信アダプタ7の器体70の中心700から上内側面701までの距離を二等分する第1境界面781と上内側面701との間の第1領域791内に配置されている。第2アンテナ72は、第1通信アダプタ7の器体70の中心700から左内側面702までの距離を二等分する第2境界面782と左内側面702との間の第2領域792内に配置されている。第1アンテナ71と第2アンテナ72とが各々、他の分電盤用内器から極力離れた位置に配置されるように器体70をキャビネット本体11に取り付けることにより、通信部73が無線通信を行っても他の分電盤用内器から発生するノイズの影響を受けにくくなる。
分電盤1は、第1通信アダプタ7(分電盤用内器)と、第3通信アダプタ9(通信アダプタ)と、キャビネット本体11(分電盤用キャビネット)とを備えている。第3通信アダプタ9(通信アダプタ)は、コントローラ(電気機器)とは異なる外部装置(図示せず)との間で通信線を媒体として通信可能である。キャビネット本体11(分電盤用キャビネット)は、第3通信アダプタ9(通信アダプタ)及び第1通信アダプタ7(分電盤用内器)が取り付けられる。少なくとも1つのアンテナ(本実施形態では第1アンテナ71)は、少なくともその一部が、前記領域のうち、器体70の中心700から見て第3通信アダプタ9(通信アダプタ)と反対側の位置(本実施形態では第1領域791内)に配置されている。その一部とは、少なくとも1つのアンテナ(本実施形態では第1アンテナ71)の一部のことである。前記領域とは、器体70の中心700から内側面までの距離を二等分する境界面と内側面との間の領域である。
第1アンテナ71は、器体70の中心700から内側面までの距離を二等分する境界面と内側面との間の領域のうち、器体70の中心700から見て第3通信アダプタ9と反対側の第1領域791内に配置されている。第1アンテナ71が器体70内で第3通信アダプタ9に対して極力離れた位置に配置されているので、通信部73が無線通信を行っても第3通信アダプタ9から発生するノイズの影響を受けにくくなる。
分電盤1は、第1通信アダプタ7(分電盤用内器)と、主幹ブレーカ2と、複数の分岐ブレーカ3と、計測ユニット6(計測装置)と、キャビネット本体11(分電盤用キャビネット)とを備えている。複数の分岐ブレーカ3は、主幹ブレーカ2に電気的に接続されていて複数の電路に分岐させる。計測ユニット6(計測装置)は、複数の電路の各々について電力に関する値を計測値として計測する。キャビネット本体11(分電盤用キャビネット)は、主幹ブレーカ2、複数の分岐ブレーカ3、計測ユニット6(計測装置)、及び第1通信アダプタ7(分電盤用内器)が取り付けられる。少なくとも1つのアンテナ(本実施形態では第2アンテナ72)は、少なくともその一部が、前記領域のうち、器体70の中心から見て計測ユニット6(計測装置)と反対側の位置(本実施形態では第2領域792内)に配置されている。その一部とは、少なくとも1つのアンテナ(本実施形態では第2アンテナ72)の一部のことである。前記領域とは、器体70の中心700から内側面までの距離を二等分する境界面と内側面との間の領域である。
第2アンテナ72は、器体70の中心700から内側面までの距離を二等分する境界面と内側面との間の領域のうち、器体70の中心700から見て計測ユニット6と反対側の第2領域792内に配置されている。第2アンテナ72が器体70内で計測ユニット6に対して極力離れた位置に配置されているので、通信部73が無線通信を行っても計測ユニット6から発生するノイズの影響を受けにくくなる。
分電盤1は、第1通信アダプタ7(分電盤用内器)と、主幹ブレーカ2と、複数の分岐ブレーカ3と、キャビネット本体11(分電盤用キャビネット)とを備えている。複数の分岐ブレーカ3は、主幹ブレーカ2に電気的に接続されていて複数の電路に分岐させる。キャビネット本体11(分電盤用キャビネット)は、主幹ブレーカ2、複数の分岐ブレーカ3及び第1通信アダプタ7(分電盤用内器)が取り付けられる。少なくとも1つのアンテナ(本実施形態では第2アンテナ72)は、少なくとものその一部が、前記領域のうち、器体70の中心700から見て主幹ブレーカ2と反対側の位置(本実施形態では第2領域792内)に配置されている。その一部とは、少なくとも1つのアンテナ(本実施形態では第2アンテナ72)の一部のことである。前記領域とは、中心700から内側面までの距離を二等分する境界面と内側面との間の領域である。
第2アンテナ72は、器体70の中心700から内側面までの距離を二等分する境界面と内側面との間の領域のうち、器体70の中心700から見て主幹ブレーカ2と反対側の第2領域792内に配置されている。第2アンテナ72が器体70内で主幹ブレーカ2に対して極力離れた位置に配置されているので、通信部73が無線通信を行っても主幹ブレーカ2から発生するノイズの影響を受けにくくなる。
なお、本実施形態の第2アンテナ72は、アンテナ全体が第2領域792内に配置されているが、第2アンテナ72の少なくとも一部が第2領域792内に配置されていればよく、第2アンテナ72の一部が第2領域792外に配置されていてもよい。例えば第2アンテナ72が、器体70の前面に平行していて上下方向に長い平板状のアンテナで構成されている場合、平板の左右方向の幅寸法によっては、平板の右端部分が第2境界面782の右側(つまり第2領域792外)に配置される可能性がある。しかしながら、平板状のアンテナの右端部分を除く部分が第2領域792内に配置されていれば、平板状のアンテナを左内側面702に近い位置に配置できるので、第2アンテナ72を、計測ユニット6や主幹ブレーカ2から極力離れた位置に配置することができる。
同様に、本実施形態の第1アンテナ71は、アンテナ全体が第1領域791内に配置されているが、第1アンテナ71の少なくとも一部が第1領域791内に配置されていればよく、第1アンテナ71の一部が第1領域791外に配置されていてもよい。
本実施形態の第1アンテナ71は、第1通信アダプタ7の下側に第3通信アダプタ9が設けられているので上内側面701に近い位置に配置されているが、中心700から見て第3通信アダプタ9と反対側の内側面の近くに配置されていればよい。また第2アンテナ72は、第1通信アダプタ7の右側に計測ユニット6及び主幹ブレーカ2が設けられているので左内側面702に近い位置に配置されているが、中心700から見て計測ユニット6と反対側の内側面の近くに配置されていればよい。
本実施形態の第1通信アダプタ7は、長手方向の異なる2つのアンテナ(第1アンテナ71及び第2アンテナ72)を備えていてダイバーシティアンテナが構成されているが、ダイバーシティアンテナに限定される趣旨ではない。また、第1通信アダプタ7は、第1アンテナ71又は第2アンテナ72の何れか一方のみを備えていてもよい。さらに第1通信アダプタ7は、ダイバーシティアンテナを備えていることに限定されず、例えばダイポールアンテナ等の適宜のアンテナを備えていてもよい。
なお、本実施形態の第1通信アダプタ7は、無線通信を行うように構成されているが、第1通信アダプタ7は、無線通信の他にも通信線を媒体とする有線通信を行うように構成されていてもよい。第1通信アダプタ7が外部の通信機器(図示せず)と通信ケーブル(例えばLANケーブル等)(図示せず)を媒体とする有線通信を行うように構成されている場合には、覆い部770の内側に第3コネクタ(図示せず)が配置される。覆い部770は、器体70の前面における下寄りの位置形成されている(図4参照)。覆い部770の下側面には、第3コネクタが露出するように孔(図示せず)が形成される。第3コネクタは第1通信アダプタ7内の基板74に実装され、覆い部770の下方から孔を通された通信ケーブルが第3コネクタに接続される。