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JP5510058B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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JP5510058B2 JP2010115404A JP2010115404A JP5510058B2 JP 5510058 B2 JP5510058 B2 JP 5510058B2 JP 2010115404 A JP2010115404 A JP 2010115404A JP 2010115404 A JP2010115404 A JP 2010115404A JP 5510058 B2 JP5510058 B2 JP 5510058B2
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Description

本発明は、作像部及び熱定着部を備えた画像形成装置に関し、詳しくは複数の解像度やプロセススピード等を有し、それに対して異なる作像条件を有する画像形成装置に関する。
複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機等の画像形成装置には、紙などの記録媒体(転写材、用紙、シート状媒体ともいう)上に転写されて担持されている未定着画像を定着して複写物や印刷出力とするものがある。またこのとき、定着に用いられる装置(いわゆる定着装置)には一対のローラを対峙させて配置し、一方のローラを加熱ローラとして用い、他方のローラを記録媒体の加圧ローラとして用いる構成がある。この構成では加熱ローラと加圧ローラとの間のニップ部に記録媒体を挟持させて搬送しながら加熱ローラからの熱により、未定着画像を融着させて定着する(例えば、図3参照。)。
近年、プリンタの高解像化が進み、解像度1200dpi(dot per inch)のような高解像度モードが要求されているが、解像度を例えば、600dpiから1200dpiに高めるとすると、レーザビームプリンタのレーザ走査系のポリゴンミラーの回転数を2倍にする必要があり、通常、ポリゴンミラーは3万rpm以上の回転数が必要となるので、技術的、製造コスト的には不利となる。
このような不都合を解決するために、従来、例えば600dpiで22枚/分(プロセススピード(記録媒体の搬送速度(線速)、作像部における作像線速でもある)120mm/sec)のプリンタであれば、1200dpiモードの時にはプロセススピードを半分に切り替えて、1200dpiで11枚/分(プロセススピード60mm/sec)で動作させるという解像度、プロセススピード切り替えタイプのプリンタが提供されている。
このようなプロセススピード切り替え方式のプリンタにおいては、ポリゴンミラーの回転数は解像度に依らずに一定にできるため、レーザ走査系の技術的、製造コスト的不利は生じないが、例えば前述したように線速が120mm/sec、60mm/secと切り替えられる場合には、電子写真のプロセス条件の最適値が異なり、定着装置の定着設定温度(定着目標温度ともいう)を変える必要があり、同一の紙種に対しては線速が速い(120mm/sec)場合には加熱定着装置の定着設定温度を高く、線速が遅い(60mm/sec)場合には定着設定温度を低くする必要がある。
また、プリンタやコピア等の画像形成装置からの出力はカラー画像の割合が増加している。カラー画像の評価尺度のひとつとして定着されたトナー部の光沢度が挙げられる。一般的なビジネス文書の場合には光沢を低めにした画像(一般的には15%以下)が好まれるのに対し、写真画像やカタログ、パンフレットなど印刷物には高光沢(20%以上)が好まれる傾向もあり、出力画像の使用目的によって画像形成装置の使い分けが必要となる場合がある。
例えば紙上のトナー付着量を多めにし、高めの定着設定温度にして画像形成することにより高光沢画像を得ることができるが、常にこのような設定にしておくと、通常出力される、高光沢が必要でない画像に対してはトナーの使用量及び定着装置で付与される熱量が過多となり、エコロジーや省エネルギーの観点からも望ましくないため、必要とされる画像に応じてプロセス条件を切り替えることが(具体的には最小限のトナー付着量と熱量で画像を形成、定着できるように定着温度設定を切り替えることが)必要となる。
しかしながら、従来装置においては上述したように、作像条件の切り替えや作像線速が変化する際には定着設定温度を最適な設定値に切り替える必要がある。例えば、作像線速が速い場合は加熱定着装置の定着設定温度を高く、作像線速が遅い場合は定着設定温度を低くする必要があるが、これは作像線速を遅くすると、定着ニップでの用紙の通過時間が長くなるために、定着装置のニップ部の温度が高いままであると、記録媒体及び記録媒体上のトナー像に与える熱量が過多となり、ホットオフセットが発生したりや記録媒体のカール量が大きくなるからである。従って、このような異常が発生しないような温度に、定着部材の表面温度を下げてから定着プロセスを行う必要があるが、図3に示すような熱ローラ定着装置では定着装置の熱容量が大きいために、作像線速を遅くした後、定着装置の温度を高い設定温度から低い設定温度に低下するまで、かなりの待ち時間を必要とするという問題点があった。
また、作像線速は同じであっても作像条件の切り替えに伴い、定着装置の温度を高い設定温度から低い設定温度に切り替える際にも待ち時間を必要とするという問題点があった。
この問題に対し、特許文献1では、具備した送風装置により加熱ロールの強制冷却により、更に特許文献2では、具備した送風装置の風力を可変制御可能な制御装置を有し、作像線速等の変更に伴う定着温度設定の切り替え時、送風装置の風力を適宜切り替えて、特に冷却時には風力を強めることにより加熱定着ローラの冷却を行い、待ち時間を短縮する技術が提案されている。
しかしながら上述の先行技術においては、冷却装置により所定の設定温度まで定着装置を冷却しているため、定着装置に蓄熱された余分な熱量を全て無駄にすることとなり、また冷却装置の風力を強くするため、更に冷却装置駆動のためのエネルギーを消費することになるため、省エネルギーの観点から効率の悪い画像形成装置であった。
本発明は、以上の従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、作像条件が切り替えられる際などに、定着部材における温度低下の待ち時間の短縮を図るとともに、無駄に消費されるエネルギーを最小限に留める画像形成装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために提供する本発明は、以下の通りである。なお、カッコ内に本発明を実施するための形態において対応する部位、語句及び符号等を示す
〔1〕 画像出力の要求に対応して複数の作像条件(600dpiモード,1200dpiモード)から選択される一の作像条件に基づいて、記録媒体(シート状媒体P)に転写するための未定着トナー像を形成する作像部(作像装置21C、21Y、21M、21BK)と、前記作像部において設定される作像条件に対応して複数の定着目標温度(第一の定着目標温度T1,第二の定着目標温度T2)から選択される一の定着目標温度に加熱または冷却される定着部材(定着ベルト2,加熱ローラ43)及び該定着部材と圧接してニップ部(定着ニップ部)を形成する加圧部材(加圧ローラ5,45)を有し、前記ニップ部に前記未定着トナー像が転写された記録媒体を通過させて該未定着トナー像を前記記録媒体に定着させる熱定着部(定着装置1)と、を備え、前記作像部における作像条件の切替により、該作像部での作像線速が変化するとともに、前記熱定着部での前記記録媒体の搬送速度が変化し、所定の搬送速度に対応した第一の定着目標温度(第一の定着目標温度T1)から該第一の定着目標温度よりも温度が低く前記所定の搬送速度よりも遅い搬送速度に対応した第二の定着目標温度(第二の定着目標温度T2)に切り替える場合、前記定着部材が、前記第二の定着目標温度に出力予定の画像の種類(写真画像、線画画像)に基づいた可変の値である所定の差分温度(差分温度△TH,△TL,△TS)を加算した作像許可温度(作像許可温度T3)以下になった時に、前記作像部における作像開始を許可することを特徴とする画像形成装置(画像形成装置20、図1,図4,図5,図7,図8)。
〕 前記出力予定の画像が所定の光沢性が要求されないものであるときの前記所定の差分温度(差分温度△TL)は、前記出力予定の画像が所定の光沢性が要求されるものであるとき(差分温度△TH)よりも大であることを特徴とする前記〔〕に記載の画像形成装置(図5)。
〕 前記所定の差分温度は、前記出力予定の画像の一の作像についての出力枚数により可変であることを特徴とする前記〔〕または〔〕に記載の画像形成装置(図8)。
〕 前記所定の差分温度は、前記出力予定の画像のトナー付着量により可変であることを特徴とする前記〔〕〜〔〕のいずれかに記載の画像形成装置。
〕 画像出力の要求に対応して複数の作像条件(600dpiモード,1200dpiモード)から選択される一の作像条件に基づいて、記録媒体(シート状媒体P)に転写するための未定着トナー像を形成する作像部(作像装置21C、21Y、21M、21BK)と、前記作像部において設定される作像条件に対応して複数の定着目標温度(第一の定着目標温度T1,第二の定着目標温度T2)から選択される一の定着目標温度に加熱または冷却される定着部材(定着ベルト2,加熱ローラ43)及び該定着部材と圧接してニップ部(定着ニップ部)を形成する加圧部材(加圧ローラ5,45)を有し、前記ニップ部に前記未定着トナー像が転写された記録媒体を通過させて該未定着トナー像を前記記録媒体に定着させる熱定着部(定着装置1)と、を備え、前記作像部における作像条件の切替により、該作像部での作像線速が変化するとともに、前記熱定着部での前記記録媒体の搬送速度が変化し、所定の搬送速度に対応した第一の定着目標温度(第一の定着目標温度T1)から該第一の定着目標温度よりも温度が低く前記所定の搬送速度よりも遅い搬送速度に対応した第二の定着目標温度(第二の定着目標温度T2)に切り替える場合、切替前の作像条件による作像ジョブが終了し、次の作像ジョブの実行が可能となった作像可能時から出力予定の画像の種類(写真画像、線画画像)に基づいた可変の値である所定時間が経過した後に、前記作像部における作像開始を許可することを特徴とする画像形成装置(画像形成装置20、図1,図4,図5)。
〕 前記出力予定の画像が所定の光沢性が要求されないものであるときの前記所定時間は、前記出力予定の画像が所定の光沢性が要求されるものであるときよりも小であることを特徴とする前記〔〕に記載の画像形成装置。
〕 前記作像部における作像条件の切替に対応させて、第一の定着目標温度から該第一の定着目標温度よりも温度の低い第二の定着目標温度に切り替える場合、前記作像可能時から所定時間が経過する前であっても前記第二の定着目標温度よりも所定の差分温度だけ高い作像許可温度以下になっていれば、前記作像部における作像開始を許可することを特徴とする前記〔〕または〔〕に記載の画像形成装置(図7)。
〕 前記定着部材、加圧部材の少なくても一方が、複数のローラに掛け回された無端状ベルト(定着ベルト2)であることを特徴とする前記〔1〕〜〔〕のいずれかに記載の画像形成装置(図2)。
本発明の画像形成装置によれば、熱定着部は少なくとも立ち上げ制御が終了しており、画像出力の要求に対応して作像部における作像動作が可能になった時に、定着部材の温度が前記定着目標温度よりも高い場合、前記定着部材が、定着目標温度に出力予定の画像の種類に基づいた可変の値である所定の差分温度を加算した作像許可温度以下になった時に、前記作像部における作像開始を許可することにより、出力画像の種類に応じた要求画像品質を満たしつつ、作像条件の切り替え時の待ち時間を短縮すると共にエネルギーの無駄を極力低減することが可能となる。
本発明に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。 本発明の画像形成装置に適用可能なベルト方式の定着装置の構成を示す断面図である。 本発明の画像形成装置に適用可能なローラ方式の定着装置の構成を示す断面図である。 本発明の画像形成装置において、作像モードを600dpiモードから1200dpiモードに切替えて連続的に画像出力した場合の定着部材表面の温度プロフィール(1)である。 本発明の画像形成装置において、作像モードを600dpiモードから1200dpiモードに切替えて連続的に画像出力した場合の定着部材表面の温度プロフィール(2)である。 本発明の画像形成装置において、装置立ち上げ制御終了後に作像モードを1200dpiモードとして画像出力した場合の定着部材表面の温度プロフィールである。 本発明の画像形成装置における作像制御のフローチャート例である。 本発明の画像形成装置において、作像モードを600dpiモードから1200dpiモードに切替えて連続的に画像出力した場合の定着部材表面の温度プロフィール(3)である。 本発明の画像形成装置における定着部材表面温度と画像光沢度の関係を示す図である。 本発明の画像形成装置における定着部材表面温度とトナー付着量ごとの画像光沢度の関係を示す図である。
以下に、本発明に係る画像形成装置の構成について説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の構成を示す断面概略図である。
図1に示す画像形成装置は、フルカラー画像を形成可能な複写機あるいはプリンタとして用いられるものである。また画像形成装置には、この他に、受信した画像信号に基づき上述した複写機およびプリンタと同様な画像形成処理が可能なファクシミリ装置がある。なお、画像形成装置には、上述したカラー画像を対象とするだけでなく、単一色の画像を対象とする装置も勿論含まれる。
図1において、画像形成装置20は、次に挙げる各装置を備えている。すなわち、原稿画像に応じた各色毎の画像を形成する作像部である作像装置21C、21Y、21M、21BKと、各作像装置21C、21Y、21M、21BKに対向して配置された転写装置22と、各作像装置21C、21Y、21M、21BKと転写装置22とが対向する転写領域に各種シート状媒体を供給するシート状媒体供給手段としての手差しトレイ23と、給紙カセット24と、手差しトレイ23,給紙カセット24から搬送されてきたシート状媒体を作像装置21C、21Y、21M、21BKによる作像のタイミングに合わせて供給するレジストローラ30と、転写領域において転写後のシート状媒体を定着する熱定着部である定着装置1である。なお、画像形成装置20は、装置内で転写装置22を斜めに延在させてあるので、水平方向での転写装置22の占有スペースを小さくすることが出来る。
画像形成装置20は、一般にコピー等に用いられる普通紙(以下単に普通紙という)と、OHPシートや、カード、ハガキといった90K紙、坪量約100g/m相当以上の厚紙や、封筒等の、用紙よりも熱容量が大きないわゆる特殊シート(以下単に特殊シートという)との何れをもシート状媒体として用いることが可能である。
両面作像モードが選択された場合には、第一面定着終了後に定着装置1から排出されたシート状媒体は両面反転ユニット31、両面搬送ユニット32を経由して再度レジストローラ30へと送られ、第二面の作像に供される。
各作像装置21C、21Y、21M、21BKは、それぞれシアン、イエロー、マゼンタ、ブラックの各色の現像を行うものであり、用いるトナーの色が異なるが、その構成が同様であるから、作像装置21Cの構成を各作像装置21C、21Y、21M、21BKの代表例として説明する。
作像装置21Cは、静電潜像担持体としての感光体ドラム25C、感光体ドラム25Cの回転方向Aに沿って順に配置されている帯電装置27C、現像装置26C、クリーニング装置28Cを有し、帯電装置27Cと現像装置26Cとの間で露光部29からの露光光を受ける周知の構成が用いられる。そして、感光体ドラム25C上で、所定の作像条件で作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)がおこなわれて、感光体ドラム25C上にシアン色の未定着トナー像が形成され、ついで転写工程により該未定着トナー像の転写が行われ、クリーニング工程により感光体ドラム25Cのクリーニングが行われることになる。なお静電潜像担持体としては、ドラム状の他に、ベルト状とする場合もある。
感光体ドラム25C、25Y、25M、25BKは、不図示の駆動モータによって図1中の時計方向に回転駆動される。そして、それぞれに付属の帯電装置の位置で、感光体ドラム25C、25Y、25M、25BKの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム25C、25Y、25M、25BKの表面は、露光部29から発せられた露光光の照射位置に達して、この位置での露光走査によって各色に対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
その後、感光体ドラム25C、25Y、25M、25BKの表面は、それぞれに付属された現像装置との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、各色のトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム25C、25Y、25M、25BKの表面は、転写装置22の転写ベルト及び転写バイアスローラとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム25C、25Y、25M、25BK上のトナー像が搬送されてきた転写ベルト上のシート状媒体Pに順次各色のトナー像が重ねて転写されカラーの未定着トナー像が形成される(転写工程である。)。このとき、感光体ドラム25C、25Y、25M、25BK上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
その後、感光体ドラム25C、25Y、25M、25BKの表面は、それぞれに付属されたクリーニング部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム25C、25Y、25M、25BK上に残存した未転写トナーがクリーニング部のクリーニングブレードによって機械的に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム25C、25Y、25M、25BKの表面は、それぞれに付属された不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム25C、25Y、25M、25BK上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム25C、25Y、25M、25BK上でおこなわれる、一連の作像プロセス及び転写プロセスが終了する。
ここで、転写ニップの位置に搬送されたシート状媒体Pは、画像形成装置20の下方に配設された給紙部である給紙カセット24から、給紙ローラやレジストローラ30等を経由して搬送されたものである。詳しくは、給紙カセット24には、転写紙等のシート状媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラが回転駆動されると、一番上のシート状媒体Pがレジストローラ30のローラ間に向けて給送される。ついで、レジストローラ30に搬送されたシート状媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ30のローラニップの位置で一旦停止する。そして、作像装置21C、21Y、21M、21BKの作像(トナー像形成)にタイミングを合わせて、レジストローラ30が回転駆動されて、シート状媒体Pが転写ニップに向けて搬送される。こうして、シート状媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。
その後、カラー画像が転写されたシート状媒体Pは、定着装置1の位置に搬送される。定着装置1では、所定の温度に加熱された定着部材に加圧部材を圧接させて定着ニップ部が形成されており、この定着ニップ部をシート状媒体Pが通過して熱と圧力を受けることにより、表面に転写された未定着のカラートナー像がシート状媒体P上に定着される。ついで画像定着後のシート状媒体Pは装置外へと排出される。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
図2は、画像形成装置20に適用可能なベルト方式の定着装置の一例を示す断面図である。図2に示すように、定着装置1は、当接してシート状媒体P上のトナーを定着するための無端状の定着ベルト2と、定着ベルト2が張架される加熱ローラ3及び定着ローラ4と、定着ベルト2を介して定着ローラ4を押圧して定着ニップ部を形成する加圧ローラ5と、加熱ローラ3,加圧ローラ5の内部に備えられたヒータ6,7と、定着ベルト2,加圧ローラ5に対向して配置されそれぞれの温度を検知する温度検知手段としてのサーミスタ8とを有している。
ここで、定着ベルト2は、バネなどの図示しない弾性体により定着ベルト2内側からテンションローラ120を付勢されることにより、定着ベルト2に適当な所定の張力を与えるようになっている。
定着ローラ4は、芯金9と、この芯金9を被覆する耐熱多孔質層の弾性体層10とを有する。定着ローラ4は、バネなどの図示しない弾性体により加圧ローラ5に圧接する向きに付勢されている。符号12は定着されるシート状媒体Pを定着ニップ部に向けて案内するガイドを示している。
加熱ローラ3、加圧ローラ5の内部に備えられたヒータ6、7の容量は、(1)定着ベルト2の熱容量が加圧ローラ5に比べて低いこと、(2)コールドスタート時に加圧ローラ5はヒータ7だけでなく定着ベルト2表面から加圧ローラ5表面を加熱することにより立ち上がり時間の短縮が図れること、等の理由から、ヒータ7に比べヒータ6の方が容量が大きく構成されている。本構成ではヒータ6は1100[W]、ヒータ7は200[W](共に100[V]印加時)のものを用いている。
定着分離爪11は定着ニップ部より下流側に位置付けられ、先端部を定着ベルト2の外周面に押し当てられている。そして、シート状媒体Pが定着ベルト2の外周面に貼り付いても、シート状媒体Pの搬送に伴い定着ベルト2の外周面とシート状媒体Pとの間に定着分離爪が入り込むことによりシート状媒体Pを定着ベルト2から分離させ、定着ベルト2へのシート状媒体Pの巻き付きが防止される。
また、定着ベルト2とトナーとの離型性向上を目的として、シリコーンオイルを定着ベルト2表面に塗布する構成とするとよい。ここでは微量にオイル塗布を行う媒体として微量塗布ローラ121を用いる。微量塗布ローラ121は、芯金の周りにシリコーンオイルを含浸させたスポンジ状の発泡体を具備し、その外周に微細な孔のある半透膜を一重、もしくは二重に巻いた構成となっており、発泡体のシリコーンオイルが半透膜を通してしみ出し、対向する部材に微量のオイルを塗布する部材である。この際、上記微量塗布ローラ121の表層膜は、ペーパージャム時などにトナーが付着した際に、微量塗布ローラ121表面にトナーが固着しないように、離型性の良い材質を採用している。微量塗布ローラ121表面にトナーが固着すると、オイルがしみ出す微孔が塞がれてしまい、オイル塗布が出来なくなるためである。ここでは表層膜に離型性優先した材料としてゴアテックス膜を用いるとよい。
図2の定着装置1に示すように、一対のローラ(加熱ローラ3及び定着ローラ4)のうちで、加圧ローラ5と対峙する側の定着ローラ4と協働して定着ベルト2を駆動する加熱ローラ3には定着ベルト2の裏面側から加熱するための熱源(ヒータ6)が設けられ、加圧ローラ5にも定着ベルト2の表面を加熱するための熱源(ヒータ7)が設けられている。定着ベルト2はローラ(加熱ローラ3,加圧ローラ5)に比べて体積が小さく、熱容量が小さいので短時間の温度上昇が可能であり、上述した加熱ローラ3および加圧ローラ5のみを用いた構成に比べて始動時での温度立ち上がりが早いという利点がある。しかも、加圧ローラ5で熱源を加えることにより定着ベルト2の表裏両面で温度立ち上がりが早められるという利点も併せ持つ。
図3は、画像形成装置20に適用可能なローラ方式の定着装置の一例を示す断面図である。
図3に示すように、定着装置1は、定着ローラでもある加熱ローラ43と加圧ローラ45との間のニップ部にシート状媒体Pを挟持させて搬送しながら加熱ローラ43からの熱により、未定着画像を融着させて定着する定着装置である。
加熱ローラ43はアルミ製の芯金を厚さ20μ程度の非導電PFAで被覆し、トナーとの離型性を確保している。また、加熱ローラ43の内部に容量が1200[W](100[V]印加時)のヒータ46が設けられている。
加圧ローラ45は、芯金9と、この芯金9を被覆する発泡シリコーンゴムなどの耐熱多孔質層の弾性体層10と、弾性体層10を被覆する厚さ30〜50μの導電性PFAチューブを有する。また、加熱ローラ43表面の温度を検知する温度検知手段としてのサーミスタ8が加熱ローラ43に対向して配置されている。また、加圧ローラ45は、バネなどの図示しない弾性体により加熱ローラ43に圧接する向きに付勢され、定着ニップ部を形成している。
符号12は定着されるシート状媒体Pを定着ニップ部に向けて案内するガイドを示している。
定着分離爪11は定着ニップ部より下流側に位置付けられ、先端部を加熱ローラ43の外周面に押し当てられており、シート状媒体Pが加熱ローラ43の外周面に貼り付いても、シート状媒体Pの搬送に伴い加熱ローラ43の外周面とシート状媒体Pとの間に定着分離爪が入り込むことによりシート状媒体Pを加熱ローラ43から分離させ、加熱ローラ43へのシート状媒体Pの巻き付きが防止される。
なお、図2における定着ベルト2は、図3の加熱ローラ43に比べて体積が小さく、熱容量が小さいので短時間の温度上昇が可能であり、後述するダウンリロード時の温度下降が速いという利点がある。このため本発明のような制御温度を速やかに変化させたい場合にはローラ方式の定着装置に比べてベルト方式の定着装置がより適した方式である。
ここで、画像形成装置20は、カラー画像を複数の解像度、例えば普通解像度600dpiと高解像度1200dpiから選択される所定の解像度で形成することが可能である。また、それぞれの解像度に対応した複数の作像条件(作像モード)で前述した作像装置21C、21Y、21M、21BKにおける作像制御を行う。例えば、解像度600dpiの作像モード(600dpiモード)では、作像装置21C、21Y、21M、21BKにおける作像線速を120mm/secとして作像制御を行い、解像度1200dpiの作像モード(1200dpiモード)では、作像装置21C、21Y、21M、21BKにおける作像線速を600dpiモードのときの半分となる60mm/secとして作像制御を行う。なお、ここでいう作像制御とは、作像装置21C、21Y、21M、21BKにおける各機構部の制御、例えば感光体ドラム25C、25Y、25M、25BKの回転速度等のプロセススピードの制御である。また、作像線速とは、シート状媒体Pの搬送速度に対応するものであって、感光体ドラム25C、25Y、25M、25BKの回転速度である。
また、作像モードにより作像線速が変わるということはシート状媒体Pの搬送速度も変わるということであり、定着装置1では、定着部材を作像装置21C、21Y、21M、21BKにおいて設定される作像条件(作像モード)に対応して複数の定着目標温度から選択される一の定着目標温度に加熱または冷却している。例えば、シート状媒体Pが普通紙(秤量60〜80g/m)の場合、作像モードが600dpiモードのときには定着目標温度(第一の定着目標温度T1)を143℃とし、1200dpiモードのときには定着目標温度(第二の定着目標温度T2)を118℃とする。この設定温度は60〜80g/mの紙厚のシート状媒体Pに対してそれぞれの線速で最も安定した定着性及び光沢度が得られる温度である。すなわち定着目標温度を適宜設定することにより、作像条件(作像モード)が変わっても、シート状媒体Pにトナー像を確実に定着させるとともに、シート状媒体Pやトナー画像が過度に加熱され、シート状媒体Pがカールしたり画像光沢が要求されるレベルから外れたりすることを防止している。
なお、光沢度は、所定の光沢時計(例えば、ミノルタ社製 光沢度計 GM−60型(測定角=60°)により測定する。
ここで、画像形成装置20は、作像装置21C、21Y、21M、21BKにおける作像条件(作像モード)の切替(例えば、600dpiモードから1200dpiモードへの切替)に対応させて、第一の定着目標温度T1(例えば、143℃)から該第一の定着目標温度T1よりも温度の低い第二の定着目標温度T2(例えば、118℃)に切り替える場合、前記第二の定着目標温度T2よりも所定の差分温度△Tだけ高い作像許可温度T3(=T2+△T)以下になった時に、作像装置21C、21Y、21M、21BKにおける作像開始を許可する画像形成制御を行う。図4に、その例を示す。
図4は、図2に示した定着装置1を適用した画像形成装置20において、600dpiモード(線速120mm/sec)から1200dpiモード(線速60mm/sec)に切替えて連続的に画像出力した場合のサーミスタ8で検出された定着部材(定着ベルト2)表面の温度プロフィールである。なお、作像モードの切替は、画像形成装置20において1つの印刷ジョブが終了し、次の印刷ジョブに対応可能となった時(作像開始可能時)に行われる。
図4に示すように、600dpiモードの第一の定着目標温度T1は143℃であり、定着装置1の立ち上げ制御の後に、定着部材(定着ベルト2)の温度が所定時間内に複数回(少なくとも2回)143℃となったことが検知された後に600dpiモードでの作像が開始されている。
また、1200dpiモードの第二の定着目標温度T2は118℃であり、2つの作像モード間で25degの温度差を設けてある。そのため、定着装置1ではヒータ6による定着ベルト2の加熱が停止され、非加熱状態で定着ベルト2を空回転させて定着ベルト2が所定温度に低下する(以下、ダウンリロードと記載する)のを待つ待機状態となる。そして原則として、定着部材(加熱ローラ43)の温度が118℃まで下った後に1200dpiモードでの作像が開始されるべきであるが、ここでは定着部材(加熱ローラ43)の表面温度が第二の定着目標温度T2に所定の差分温度△T(ここでは△T=+15deg)を加えた温度以下、つまり118+15=133℃以下になることが1200dpiモードでの作像許可条件となっている。そのため、この条件にてダウンリロードに要する時間は約90secであり、オペレーターはこの時間中、出力を待つことになる。
ここで、仮に1200dpiモードの作像条件(線速)に切り替えた後に、ダウンリロードを待つことなく引き続き600dpiモードの第一の定着目標温度T1である143℃で作像を行った場合、定着装置1でトナー像に付与される熱量が過多となり、出力される画像がトナーの溶けすぎによるホットオフセット画像となる。ホットオフセット画像は画像表面の凹凸が顕著になり、光沢ムラ等が顕在化する好ましくない画像であるが、定着性については問題のない画像である。
写真画像やカタログ、パンフレットなど印刷物には高光沢が好まれるのに対し、ビジネス文書の場合には光沢を低めにした画像が好まれる傾向があり、特にテキスト文字等の線画のみで構成されるビジネス文書や線画であるが高解像度画像が要求されるバーコード画像に対しては十分な定着性が確保されていれば、ホットオフセットによる低光沢画像であっても実用上の問題はない。この場合、定着装置1でシート状媒体Pに付与される熱量の過多の程度が過ぎると該シート状媒体Pのカール量が大きくなり問題であるが、定着ベルト2が最低限シート状媒体Pにカールが発生しない上限温度以下であれば、実使用上問題のない画像が出力可能となる。
そこで、本発明の画像形成装置20では、前記所定の差分温度△Tを、出力予定の画像の種類に基づいた可変の値とする。
(画像種類1)
すなわち、例えば図2に示した定着装置1を適用した画像形成装置20において、1200dpiモード(線速60mm/sec)で秤量60〜80g/mのシート状媒体Pに画像出力する場合、写真画像やカタログ、パンフレットなどの印刷物用途のような定着性及び所定の光沢性(一定の高光沢)が要求されるときには、定着ベルト2の作像許可温度がホットオフセットが発生しない温度となるような差分温度△Tの値(例えば、△T=+15deg)とする。この場合、作像許可温度T3=118+15=133℃となり、前述の通り、ダウンリロードのための待機時間は90secとなる(図4)。
(画像種類2)
一方、テキスト文字等の線画のみで構成されるビジネス文書や線画であるが高解像度画像が要求されるバーコード画像などの印刷物用途のような定着性は要求されるが所定の光沢性が要求されないときには、定着性及び所定の光沢性(一定の高光沢)が要求される場合よりも差分温度△Tを大とし、好ましくは定着ベルト2の作像許可温度がシート状媒体Pにカールが発生しない温度となるような差分温度△Tの値とする。これは、図1に示した画像形成装置、図2に示した定着装置、1200dpiモード(線速60mm/sec)にて画像出力した場合、60〜80g/mの紙厚のシート状媒体Pに対してカールが発生しないために必要な温度は145℃以下であることがわかっていることから、差分温度△T=+25degとする。なおこのとき、145−118=27degであるが、定着ベルト2の温度変動やサーミスタ8の検出精度を考慮して2degほど余裕を見ている。この場合、作像許可温度T3=118+25=143℃となり、600dpiモードの画像出力終了時点で定着ベルト2の温度が143℃となっていることから、ダウンリロードのための待機時間は0sec、すなわち直ちに1200dpiモードの作像を開始することが可能となる(図5)。
つまり、出力要求された画像がビジネス文書であると判断されれば、ダウンリロードに要する約90secを待つことなく、作像開始可能時から直ちに作像許可を行っても実用上、問題のない画像を出力することが可能であり、作像の待ち時間を短縮すると共にエネルギーの無駄を極力、低減することが可能となる。逆に、出力要求された画像が写真画像やカタログ、パンフレットなど高光沢が好まれる画像であると判断されれば、図4に示したようなダウンリロード時間を経て、所望の高画質画像を得ることが可能である。
また、図6に示すように、図2に示した定着装置1を適用した画像形成装置20において、定着装置1の立ち上げ制御終了後に、1200dpiモード(線速60mm/sec)の画像出力を行う場合であって、出力予定の画像に前記画像種類2のように、定着性は要求されるが所定の光沢性が要求されないときには、作像許可温度T3=143℃となり、ダウンリロードのための待機時間は18secとなる。
なお、ここまでは、定着目標温度を高い設定温度から低い設定温度に切り替える際の作像許可条件を、出力予定の画像の種類(作像予定の画像情報)により可変とする定着部材(定着ベルト2,加熱ローラ43)の温度であることを前提に説明してきたが、これに限定されるものではない。例えば、前記作像許可条件を出力予定の画像の種類(作像予定の画像情報)により可変とする、作像開始可能時からの経過時間とするとよい。すなわち、作像装置21C、21Y、21M、21BKにおける作像条件の切替に対応させて、第一の定着目標温度T1から第二の定着目標温度T2に切り替える場合、切替前の作像条件による作像ジョブが終了し、次の作像ジョブの実行が可能となった作像可能時(作像開始可能時)から出力予定の画像の種類に基づいた可変の値である所定時間が経過した後に、前記作像装置21C、21Y、21M、21BKにおける作像開始を許可する。なお、前記出力予定の画像が所定の光沢性が要求されないものであるときの前記所定時間は、前記出力予定の画像が所定の光沢性が要求されるものであるときよりも小である。
このようにしても、作像の待ち時間を短縮すると共にエネルギーの無駄を極力、低減することが可能となる。
また、前記作像許可条件を、出力予定の画像の種類(作像予定の画像情報)により可変とする定着部材(定着ベルト2,加熱ローラ43)の温度、出力予定の画像の種類(作像予定の画像情報)により可変とする作像開始可能時からの経過時間のいずれかに、所定条件により切り替えるようにしてもよい。
このとき、前記作像許可条件をプリンタコントローラ等からの画像情報を基に切り替えることが望ましいが、ユーザーのオペレーションパネル等による設定変更により切り替えるようにしてもよい。あるいは、前記作像許可条件を、(i)作像開始可能時から所定の時間が経過するか、(ii)定着部材表面温度が所定の作像許可温度T3以下になるか。のいずれか速い方という設定にしておけば、ユーザーは最短の待ち時間で所望の画像を高画質で得ることが可能となり、前手順の影響を更に受けにくい制御にすることが可能である。
図7に、本発明の画像形成装置における作像制御のフローチャート例を示す。なお、ここでは、画像形成装置20において少なくとも定着装置1の立ち上げ制御が終了し、作像装置21C、21Y、21M、21BKにおける作像動作開始が可能となっていることを前提としている。また、この制御は画像形成装置20の制御部(不図示)が行う。
(S1) 作像要求(画像出力の要求)がなされると、制御部は、出力予定の画像の種類が画質優先の写真画像(所定の光沢性が要求されるもの)であるか、ダウンリロード時間短縮優先の線画画像(所定の光沢性が要求されないもの)であるかを判断する。
(S2) ここで、出力予定の画像が写真画像であれば、定着部材(定着ベルト2,加熱ローラ43)が所定の作像許可温度T3(=定着目標温度+差分温度△T(15deg))以下になるまでダウンリロード動作を行い、所定の作像許可温度T3以下となった時点で作像を許可する。
(S3) 逆に、出力予定の画像が線画画像であれば、作像開始可能時から所定時間が経過したかを判断する。なお、このときの所定時間は、写真画像のときよりも小である(短い)。
所定時間が経過している場合(S3のYes)、作像が許可される。
(S4) 所定時間が経過していない場合(S3のNo)、定着部材(定着ベルト2,加熱ローラ43)が所定の作像許可温度T3(=定着目標温度+△T(25deg))以下であるかを判断する。このとき、定着部材の温度が所定の作像許可温度T3以下であれば作像が許可される(S4のYes))が、所定の作像許可温度T3より高い温度であれば(S4のNo))、ステップS3(所定時間が経過しているかの判断)に戻される。
ステップS3及びステップS4により、最短のダウンリロード時間で作像が開始され、切り替え時の待ち時間を短縮すると共にエネルギーの無駄を極力、低減することが可能となる。
ところで、図4における所定の差分温度△Tは、前記出力予定の画像の一の作像についての出力枚数により可変であることが好ましい。この考え方を図8,図9に基づいて説明する。
図8は、1200dpiモードでの作像許可条件である作像許可温度T3を、第二の定着目標温度T2(=118℃)に所定の差分温度△T(=20deg)を加算して、138℃とした場合の定着部材表面の温度プロフィールである。
この作像許可条件(作像許可温度T3=138℃)に設定した場合、作像開始可能時からダウンリロードに要する時間(待機時間)は約40secである。図4に示すように、1200dpiモードでのデフォルトの作像許可条件(作像許可温度T3)は133℃であり、ダウンリロードに要する時間(待機時間)は約90secであるが、作像許可条件に関係する差分温度△Tを差分温度△Tよりも5deg大きくすることにより、画像出力までのオペレーターの待ち時間を半分以下に短縮することが可能である。
ここで、1200dpiモードでの通紙1枚目の定着部材表面の温度を見ると、作像許可条件として作像許可温度T3=133℃の場合(図4)では127℃であるのに対し、作像許可温度T3=138℃の場合(図8)では132℃と5deg高い状態でシート状媒体Pが定着ニップ部を通過している。
図9に、画像形成装置20と後述するトナー(以下、本トナーと記載)との組み合わせにて、線速60mm/sec、74g/mの紙厚のシート状媒体P上に0.8[mg/cm]のトナーを付着させた場合の定着部材表面温度と光沢度の関係を示す。この場合、本トナーは高光沢/低光沢のコントロールが可能であるという特徴を有するが、130℃付近で変曲点があることから、画像形成装置20との組み合わせでは連続通紙中の定着部材表面温度が130℃以上と130℃より低い温度が混在すると光沢度のばらつきが大きくなり、帳合いした場合などにはページ間の光沢度差が発生して好ましくない作像条件となる。
しかしながら、作像許可条件として作像許可温度T3=138℃の場合(図8)、1200dpiモードでの通紙2枚目の定着部材表面の温度は126℃まで下がり、作像許可温度T3=133℃の場合(図4)での1200dpiでの通紙1枚目の定着部材表面温度とほぼ同等になる。つまり、作像許可温度T3=138℃の場合では通紙1枚目だけが高光沢度画像として出力されることになり、言い換えれば出力枚数が1枚の場合には光沢度は高めであるが、出力までの待ち時間が短縮され、連続印刷時のような光沢度のばらつき、もしくは光沢度のリピート変動は顕在化しない。このように光沢度のリピートが顕在化しない所定の出力枚数以下の作像要求がなされた場合には、差分温度△Tを大きくして作像を許可することにより、ダウンリロード時間が短縮され、作像条件切り替え時の待ち時間を短縮すると共にエネルギーの無駄を極力、低減することが可能となる。なお、このとき規定される出力枚数は画像形成装置20における定着条件、トナー等により変動する。
また、前記所定の差分温度△Tは、前記出力予定の画像のトナー付着量により可変であることが好ましい。
図10は、シート状媒体P上のトナー付着量を変化させた場合の、定着部材表面温度と光沢度の関係を示したグラフである。本画像形成装置20において、シート状媒体P上のトナー付着量が0.8[mg/cm](図中、○のプロットに対応)である条件は、2色以上のトナーが重ね合わされた、いわゆる画質を優先したカラー画像でのトナー付着量である。また、同じカラー画像であっても、画質よりトナー消費量低減を優先する「トナーセーブモード」の場合にはシート状媒体P上のトナー付着量を0.6[mg/cm]程度(図中、△のプロットに対応)に低減でき、更に単色画像の場合にはシート状媒体P上のトナー付着量は0.4[mg/cm](図中、×のプロットに対応)が上限となる。
図10に示すように、シート状媒体P上のトナー付着量が0.4〜0.6[mg/cm]程度の場合(図中、△、×のプロット)には、温度に対する光沢度の変化も0.5[%/deg]程度であり、シート状媒体P上のトナー付着量が0.8[mg/cm](図中、○のプロット)のような変曲点はないため、シート状媒体Pにカールが発生しないような定着部材表面温度(例えば145℃以下)であれば作像しても差し支えがない。
本画像形成装置20では、コピアモードの場合にはスキャナで読みとった画像情報等により、プリンタモードの場合にはパソコン等から送られた出力画像情報等により、出力画像の最大トナー付着量情報が得られるので、該付着量情報を基に、前記所定の差分温度△Tを切り替えればよい。このように光沢度のリピートが顕在化しないトナー付着量条件での作像要求がなされた場合には、第二の定着目標温度T2に加える差分温度△Tを大きくして作像を許可することにより、ダウンリロード時間が短縮され、作像条件切り替え時の待ち時間を短縮すると共にエネルギーの無駄を極力、低減することが可能となる。
なお画像形成装置20は、作像モードをフルカラーモード、単色モード、トナーセーブモード等に切り替える機構を有しており、作像モードを切り替えることによりシート状媒体P上の最大トナー付着量が変化することから、特に解像度の切り替えに加えて作像モードを切り替える場合に本発明を適用可能であり、更に効果的な制御となる。
また画像形成装置20においては、シート状媒体P上のドット構成を所望の構成に最適化する画像処理モードを文字モード、写真モード、文字/写真混在モード等に切り替える機構を有しており、画像処理モードを切り替えることによりシート状媒体P上の最大トナー付着量が変化することから、特に解像度の切り替えに加えて画像処理モードを切り替える場合に本発明を適用可能であり、更に効果的な制御となる。
尚、上記した線速、定着目標温度、差分温度は装置固有の値であるが、適用する装置の構成及びトナーの特性値を鑑み、本発明に最適な設定値を実験等から求めることにより本発明を適用することが可能となる。
以下、本発明で用いるトナー(以下、本件トナー)について詳述する。
本件トナーは従来の粉砕トナーに対し、透明性および彩度(鮮やかさ、光沢)にすぐれた高品質の画像を与えるとともに、粉体流動性、耐ホットオフセット性、帯電安定性、および転写性にすぐれたトナーである。しかしながら熱に対する溶け始めがやや遅いという特徴を持っている。具体的には溶け始めの代用特性である流出開始温度が従来の粉砕型トナーが86±2℃であるのに対し、92±1℃とやや高めになっている。このため第一面に予熱処理を行うことがトナー層全体をより均一に溶解し、トナー表面の平滑性を向上させ、光沢度を高く制御するために有効な手段となっている。
トナーの流出開始温度(Tfb)はフローテスターを用いて測定することが出来る。フローテスターとしては、例えば島津製作所製の高架式フローテスターCFT500D型がある。このフローテスターのフローカーブから流出開始温度を読み取ることができる。なお、このフローテスターの測定条件例は以下の通りである。
・荷重:5kg/cm
・昇温速度:3.0℃/min
・ダイ口径:1.00mm
・ダイ長さ:10.0mm
本件トナーは有機溶媒中に変性ポリエステル系樹脂から成るプレポリマー、該プレポリマーと伸長または架橋する化合物、およびトナー組成分を溶解または分散させ、該溶解または分散物を水系媒体中で架橋反応および/または伸長反応させ、得られた分散液から溶媒を除去することにより得られたトナーである。ここで、「および/または」と言う表現は、「少なくともいずれか一方」の意味で用いている。
従来から電子写真法や静電記録法を利用した画像形成装置を用いることにより、静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。例えば、電子写真法においては、画像情報は、帯電工程に続く露光工程により感光体上に静電潜像とされた後、現像剤で顕像化され、次いで転写工程および定着工程を経て画像情報が再生される。この場合、現像剤としては、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる一成分現像剤と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤とがある。
このような現像剤に用いられる電子写真用トナーは、通常、熱可塑性樹脂を、顔料、必要に応じてワックス等の離型剤や帯電制御剤と共に溶融混練した後、微粉砕し、更に分級する混練粉砕法により製造されている。このようにして得られるトナーには、必要ならば、流動性やクリーニング性を改善するために、無機または有機の微粒子をトナー粒子表面に添加することが行なわれている。
通常の混練粉砕法により得られるトナーは、一般的には、不定形で、その粒径分布はブロードで、流動性が低く、転写性が低く、定着エネルギーが高く、トナー粒子間で帯電量が不均一で、帯電安定性が低いと言う問題点があった。さらに、このようなトナーから得られる画像は、その画質が未だ不満足のものであった。
一方、混練粉砕法による前記トナーの問題点を克服するために、重合法によるトナーの製造方法が提案されている。この方法は、粉砕工程が含まれていないため、そのトナーの製造には練り工程および粉砕工程が必要でなく、エネルギーの節約、生産時間の短縮、製品収率の向上等のコスト削減の寄与が大きい。また、このような重合法により得られる重合トナー粒子における粒度分布も、粉砕法によるトナーの粒度分布に比べてシャープな分布の形成が容易である上、ワックスの内包化も容易で、トナーの流動性を大きく向上させることもできる。また、球形トナーを得ることも容易である。
しかし、重合法によるトナーには未だ解消されていない課題も多い。重合法で得られるトナーは、重合過程において表面張力が作用するため、混練粉砕法に比較すると、粒子の真球度が高いものではあるが、そのトナー物性は未だ十分ではない。また、この方法ではトナーの形状をコントロール(異型化)することは容易でない。しかし、この方法は、帯電安定性、転写性については有利である。
重合法のうちで広く行われている懸濁重合法によるトナーの製造方法では、それに用いるバインダ(結着樹脂)用モノマーは人体に対して有害性のスチレンモノマーやアクリルモノマーに限られ、そして得られるトナーにはこれらの成分が含まれるため、環境上の問題がある。また、得られるトナーは、ワックスを内包化するため、トナーを実践に使用したときに、トナーの感光体への付着は低減されるものの、トナーの定着性については、ワックスが粒子界面状に存在する粉砕法に比べて、内包化されている分、ワックスがトナー表面に染み出にくく定着効率の悪いトナーとなる。したがって、重合トナーは、消費電力に対しては不利なトナーとなってしまう。さらに、重合トナーの場合、その定着性向上を図るためワックスを増量したり、ワックスの分散粒径を大きくすると、カラートナーとして用いる場合、そのカラー画像の透明性が悪化するため、OHPによるプレゼンテーション画像形成用トナーとして用いるには不適なものとなる。
重合トナーの製造法には、懸濁重合法の他、異型化が比較的可能な乳化重合法などもある。乳化重合法においても、そのモノマーはスチレンモノマーに限られる。この方法の場合も、その未反応モノマー分のトナー粒子からの完全除去や、乳化剤、分散剤のトナー粒子からの完全除去はむずかしく、トナーによる環境問題をも生じるようになってきている。
トナーの製造法として溶解懸濁法が知られている。この方法の場合、低温定着が可能なポリエステル樹脂を使用できるメリットはあるが、この方法の場合、低温定着性樹脂や着色剤を溶剤に溶解または分散する工程において高分子量成分を加えるため、液粘度が上がり生産性上の問題が発生するようになる。さらに、この溶解懸濁法においては、トナーの表面形状に関し、球形で且つ表面を凹凸形状にすることによりトナーのクリーニングの改善を図っているが、このようなトナーは規則性のない不定形トナーであるため、帯電安定性にかけ、さらに耐久性や離型性にも問題があり、満足すべきトナー品質は得られていない。
トナーの流動性改良、低温定着性改良、ホットオフセット性改良を目的に、トナーバインダとしてウレタン変性されたポリエステルの伸長反応物からなる実用球形度が0.90〜1.00の乾式トナーが提案されている。また、小粒径トナーとした場合の粉体流動性、転写性に優れるとともに、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れた乾式トナーが公開されている。これらのトナーの製造方法は、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーを水系媒体中でアミンと重付加反応させる高分子量化工程を含むものである。
しかしながら、前記のような重合法により得られる重合トナーの場合、顔料の分散が悪く、顔料はトナー中に不均一に分散しているために、このトナーにより得られた画像は、透明性が低く、彩度(鮮やかさ)に劣るという問題点を有するものであった。特に、前記トナーを用いてOHPシート上にカラー画像を形成した場合、その画像は暗い画像となる問題点を生じた。
上記の課題を解決するため、ポリエステル系樹脂をバインダとする電子写真用トナーにおいて、顔料系着色剤が高分散して、透明性および彩度(鮮やかさ、光沢)にすぐれた高品質の画像を与えるとともに、粉体流動性、耐ホットオフセット性、帯電安定性および転写性にすぐれた電子写真用トナーが提案された。
本発明の画像形成装置は、それらのトナーを用いることによってさらに、色再現、彩度、透明性に優れた画像を形成可能となる。
以下に上記トナーの構成およびその特徴部分を説明する。
(1)有機溶媒中に変性ポリエステル系樹脂から成るプレポリマー、該プレポリマーと伸長または架橋する化合物、およびトナー組成分を溶解または分散させて油性分散液とし、前記溶解または分散された分散物を水系媒体中で架橋反応および/または伸長反応させ、得られた分散液から溶媒を除去することにより得られたトナーが、該トナーの粒子中に分散された顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径で0.5μm以下であり、その個数平均径が0.7μm以上の個数割合が5個数%以下である。
以下の特徴部分は、(1)の構成に単独または複合で付加されるものである。
(2)前記着色剤の分散粒径が個数平均径で0.3μm以下であり、その個数平均径が0.5μm以上の個数割合が10個数%以下である。
(3)トナー粒子の重量平均粒径が3.0〜7.0μmであり、粒径分布が1.00≦Dv/Dn≦1.20(Dv:重量平均粒径、Dn:個数平均粒径)である。
(4)円形度が0.900〜0.960である。
(5)トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布において、その分子量2500〜10000の領域にメインピークが存在し、その数平均分子量が2500〜50000の範囲にある。
(6)トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のガラス転移点が40〜65℃であり、その酸価が1〜30mgKOH/gである。
(7)油性分散液が、アミンと非反応性のポリエステル系樹脂を溶解している。
(8)これらの構成、特徴を有するトナーをキャリアに混合させた現像剤。
なお、本件トナーは言うまでもなく、白黒用トナー、およびカラートナーとして応用可能なものである。
以下、本件トナーの詳細を説明する。
有機溶媒中に少なくとも、イソシアネート基を含有するポリエステル系プレポリマーAが溶解し、顔料系着色剤が分散し、離型剤が溶解ないし分散している油性分散液を水系媒体中に無機微粒子および/またはポリマー微粒子の存在下で分散させるとともに、この分散液中で該プレポリマーAをポリアミンおよび/または活性水素含有基を有するモノアミンBと反応させてウレア基を有するウレア変性ポリエステル系樹脂Cを形成させ、このウレア変性ポリエステル系樹脂Cを含む分散液からそれに含まれる液状媒体を除去することにより得られるものである。油性分散液に溶解または分散されている物を単に分散物と呼ぶ。
ウレア変性ポリエステル系樹脂Cにおいて、そのTgは40〜65℃、好ましくは45〜60℃である。その数平均分子量Mnは2500〜50000、好ましくは2500〜30000である。その重量平均分子量Mwは1万〜50万、好ましくは3万〜10万である。
このトナーは、該プレポリマーAと該アミンBとの反応によって高分子量化されたウレア結合を有するウレア変性ポリエステル系樹脂Cをバインダ樹脂として含む。そして、そのバインダ樹脂中には着色剤が高分散している。
前記トナーについて鋭意検討を重ねた結果、トナー粒子中に含まれる顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径を0.5μm以下に規定するとともに、その個数平均径が0.7μm以上の個数割合を5%以下にコントロールすることにより、低温定着性、帯電安定性および流動性にすぐれるとともに、高品質の画像を与え、特に、透明性の良い光沢性にすぐれたカラー画像を与えるトナーが得られることを見出した。
さらに検討した結果、該着色剤の分散粒径を個数平均径で0.3μm以下に規定するとともに、個数平均径が0.5μm以上の個数割合を10%以下にコントロールすることにより、さらに高品質のトナーが得られることを知見した。このようなトナーは、画像解像力にすぐれ、デジタル方式の現像装置用トナーとして好適なものとなる。特に、カラートナーの場合、解像力および透明性にすぐれ、色再現性の良い高品質のカラー画像を与える。
着色剤が均一に分散した前記トナーを得るには、トナーの製造条件に工夫を講ずることが必要であり、従来の製造条件では、前記した如き高品質のトナーを得ることはできない。
前記高品質トナーを得るには、プレポリマーA、着色剤および離型剤を含む油性分散液を形成させるに際し、該着色剤を粉砕する工程(湿式粉砕工程)を採用することが必要である。この場合の湿式粉砕工程を実施するための湿式粉砕装置としては、液体中で着色剤に衝撃力を与えて微粉砕し得る装置であればよく、任意のものを用いることができる。このようなものとしては、従来公知の各種の湿式粉砕装置、例えば、ボールミルやビーズミル等が挙げられる。
前記湿式粉砕工程において、その温度は5〜20℃、好ましくは15〜20℃である。前記湿式粉砕条件を調節することにより、トナー粒子中に含まれる着色剤の分散粒径および粒度分布を前記範囲にコントールすることができる。
前記湿式粉砕工程は、必要に応じ、反応後の分散液に対しても適用することができる。さらに、前記高品質トナーを得るには、樹脂中に着色剤を高濃度で分散させたマスターバッチ着色剤粒子を着色剤材料として有機溶媒中に添加し、攪拌分散させる方法を好ましく採用することができる。このマスターバッチ粒子を用いることにより、分散粒径の小さな着色剤が均一に分散した、透明性の良いカラー画像を与えるトナーを得ることができる。
このようなマスターバッチ着色剤粒子を好ましく製造するには、熱溶融性の樹脂と着色剤との混合物をその樹脂の溶融温度で高せん断力で混練し、得られた混練物を冷却固化し、この固化物を粉砕する。
前記樹脂としては、前記プレポリマーA由来のウレア変性ポリエステル系樹脂Cと混和性の良い熱可塑性樹脂が用いられ、ポリエステル系樹脂が好ましく用いられる。前記熱可塑性樹脂において、その軟化点は100〜200℃、好ましくは120〜160℃であり、その数平均分子量Mnは、2500〜5000、好ましくは2500〜30000である。
前記マスターバッチ着色剤粒子中の着色剤濃度は、10〜60重量%、好ましくは25〜55重量%である。
次に、トナー中の顔料系着色剤の分散粒径等のトナー物性の測定法について詳述する。
トナー中の着色剤の分散粒径および粒度分布を測定するには、トナーをエポキシ樹脂に包埋し、ミクロトームMT6000−XL(盟和商事)にてトナーを約100nmに超薄切片化した測定サンプルを用意する。
これを電子顕微鏡(日立製作所社製 H−9000NAR)を用いて加速電圧100kVにしてTEM写真を10000〜40000倍にて複数個撮影し、その画像情報をIMAGE ANALYZERの画像処理解析装置LUZEX IIIにて画像データに変換する。対象顔料系着色剤粒子は粒径にして0.1μm以上の粒径を有する粒子について無作為にサンプリングが300回を超えるまで測定を繰り返し、平均粒径と粒度(粒径)分布を求める。
本件トナーにおいて、その重量平均粒径(Dv)は3〜7μmであり、その個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00≦Dv/Dn≦1.20である。Dv/Dnをこのように規定することにより、高解像度、高画質のトナーを得ることが可能となる。また、より高品質の画像を得るには、トナーの重量平均粒径(Dv)を3〜7μmにし、個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)を1.00≦Dv/Dn≦1.20にし、且つ3μm以下の粒子を個数%で1〜10個数%にするのがよく、より好ましくは、重量平均粒径を3〜6μmにし、Dv/Dnを1.00≦Dv/Dn≦1.15にするのがよい。このようなトナーは、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、とりわけフルカラー複写機などに用いた場合に画像の光沢性に優れ、更に二成分現像剤においては、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナーの粒子径の変動が少なくなり、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
一般的には、トナーの粒子径は小さければ小さい程、高解像で高画質の画像を得る為に有利であると言われているが、逆に、転写性やクリーニング性に対しては不利である。また、本発明で規定した範囲よりもトナーの重量平均粒子径が小さい場合、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌においてキャリアの表面にトナーが融着して、キャリアの帯電能力を低下させる。一方、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着が発生しやすくなる。これらの現象は、トナー中の微粉の含有率が大きく関係し、特に3μm以下の粒子含有量が10%を超えると、トナーのキャリアへの付着が生じにくくなる上、高いレベルで帯電の安定性を図ることがむずかしくなる。
逆に、トナーの粒子径が本発明で規定した範囲よりも大きい場合には、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなる場合が多い。また、重量平均粒子径/個数平均粒子径が1.20よりも大きい場合も同様であることが明らかとなった。
トナーの平均粒径および粒度分布は、カーコールターカウンター法により測定される。トナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。本発明においてはコールターカウンターTA−II型を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科技研社製)と、PC9801パーソナルコンピューター(NEC製)とを接続し測定した。
次に、トナーの個数分布および体積分布の測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて形成した約1%NaCl水溶液である。例えば、ISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子の体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。本件トナーに係わる体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(Dv)と、その個数分布から求めた個数平均粒径(Dn)により、その比Dv/Dnを求めた。
トナーの耐ホットオフセット性に関しては、これまでにもバインダ樹脂の分子量分布の制御を含む様々な検討が行われてきた。低温定着性と耐ホットオフセット性という相反する性質の両立を図るための方法としては、分子量分布の広いバインダ樹脂を用いる方法や、分子量が数十万〜数百万の高分子量成分と、分子量が数千から数万の低分子量成分を含む少なくとも2つの分子量ピークを有する混合樹脂を用いる方法等がある。高分子量成分が架橋構造を持っているかまたはゲルの状態であると、ホットオフセットにはより効果的である。しかし、光沢性や透明性なども求められているフルカラートナーにおいては、高分子量成分の多量の導入は好ましくない。本発明の場合、トナーはウレア結合を有する高分子量のウレア変性ポリエステル系樹脂を含むことから、透明性や光沢性を満足しながら、耐ホットオフセット性をも達成することが可能になった。
本件トナー中に含まれるバインダ樹脂成分の分子量分布は、GPCにより以下のようにして測定される。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラム溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6重量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定操作を行う。
試料の分子量測定に当たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical Co.あるいは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×102、4×102、1.75×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いる。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
トナー中に含まれる前記バインダ成分の分子量分布におけるそのメインピーク分子量は、通常2500〜10000、好ましくは2500〜8000、さらに好ましくは2500〜6000である。分子量1000未満の成分の量が増えると耐熱保存性が悪化する傾向となる。一方、分子量30000以上の成分が増えると単純には低温定着性が低下傾向になるが、バランスコントロールでその低下を極力押さえることも可能である。分子量30000以上の成分の含有量は1%〜10%で、トナー材料により異なるが、好ましくは3〜6%である。1%未満では充分な耐ホットオフセット性が得られず、10%超では光沢性、透明性が悪化するようになる。
トナー中に含まれるバインダ樹脂のMnは2500〜50000で、Mw/Mnの値は10以下である。10を超えると、シャープメルト性に欠け、光沢性が損なわれる。
本件トナーの円形度は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(シスメックス(株)製)により計測される。
本件トナーにおいて、その平均円形度は0.900〜0.960であり、本件トナーは、特定の形状と形状の分布を有すことが重要である。平均円形度が0.900未満ではトナーは不定形の形状を示し、満足した転写性やチリのない高画質画像を与えない。不定形のトナー粒子は感光体等への平滑性媒体への接触点が多く、また突起先端部に電荷が集中することから、ファンデルワールス力や鏡像力が比較的球形な粒子よりも高い。そのため静電的な転写工程においては、不定形粒子と球形の粒子の混在したトナーでは球形の粒子が選択的に移動し、文字部やライン部画像抜けが起る。また、残されたトナーは次の現像工程のために除去しなければならず、クリーナ装置が必要であったり、トナーイールド(画像形成に使用されるトナーの割合)が低かったりする不具合点が生じる。粉砕トナーの円形度は本装置で計測した場合、通常0.910〜0.920である。
トナー形状(円形度)の計測方法としては、粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法が適当である。この手法では粒子の投影面積が得られるが、円形度は、この投影面積と面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値である。この値はフロー式粒子像分析装置FPIA−2000により平均円形度として計測した値である。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000〜1万個/μlとして前記装置によりトナーの形状およびトナーの形状分布を測定する。
本件トナーを製造する方法は、無機微粒子および/またはポリマー微粒子を含む水系媒体中に分散させたイソシアネート基含有ポリエステル系プレポリマーAをアミンBと反応させる高分子量化工程を含む。この場合、イソシアネート基を含有するポリエステル系プレポリマー(A)は、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(PIC)と反応させることによって得ることができる。この場合、ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
前記ポリオール(PO)としては、ジオール(DIO)および3価以上のポリオール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)の混合物が好ましい。
ジオール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコールなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上のポリオール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
前記ポリカルボン酸(PC)としては、ジカルボン酸(DIC)および3価以上のポリカルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)の混合物が好ましい。ジカルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(PO)と反応させてもよい。
ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
前記ポリイソシアネート(PIC)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
イソシアネート基を有するポリエステル系プレポリマーを得る場合、ポリイソシアネート(PIC)と活性水素を有するポリエステル系樹脂(PE)との比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]との当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステル系プレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、得られるウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
前記アミン(B)としては、ポリアミンおよび/または活性水素含有基を有するモノアミンが用いられる。この場合の活性水素含有基には、水酸基やメルカプト基が包含される。
このようなアミンには、2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。これらアミン(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
さらに、プレポリマーAとアミンBとを反応させる場合、必要により伸長停止剤を用いてポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、活性水素含有基を有しないモノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。その添加量は、生成するウレア変性ポリエステルに所望する分子量との関係で適宜選定される。
アミン(B)とイソシアネート基を有するプレポリマー(A)との比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン(B)中のアミノ基[NHx](xは1〜2の数を示す)の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
本製造方法においては、水系媒体中でイソシアネート基含有プレポリマーAとアミンBとを反応させる際に、該水系媒体中には、必要に応じ、アミンと非反応性のポリエステル系樹脂Dを存在させることができる。このポリエステル系樹脂Dにおいて、そのTgは35〜65℃、好ましくは45〜60℃であり、そのMnは2000〜10000、好ましくは2500〜8000である。このポリエステル系樹脂Dとしては、ウレア変性ポリエステル(UMPE)を用いることができるが、このポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
ウレア変性ポリエステル(UMPE)は、ワンショット法などの公知の方法により製造される。ウレア変性ポリエステル(UMPE)の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜50万、さらに好ましくは3万〜10万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。
本製造方法においては、必要に応じて用いる前記ウレア結合で変性されたポリエステル系樹脂(UMPE)は単独使用だけでなく、このものと共に、変性されていないポリエステル系樹脂(PE)をトナーバインダ成分として含有させることもできる。(PE)を併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、(UMPE)の単独使用の場合よりも好ましい。(PE)としては、前記(UMPE)のポリエステル成分と同様なポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物などが挙げられ、好ましいPEの分子量は(UMPE)の場合と同様である。また、(PE)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(UMPE)と(PE)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。したがって、(UMPE)のポリエステル成分と(PE)は類似の組成が好ましい。(PE)を含有させる場合の(UMPE)と(PE)の重量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、さらに好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。(UMPE)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
(PE)の水酸基価は5以上であることが好ましい。(PE)の酸価(mgKOH/g)は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには紙への定着時、紙とトナーの親和性がよく、低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性特に環境変動に対し悪化傾向がある。プレポリマーAとアミンBとの重付加反応においては酸価がふれると造粒工程でのぶれにつながり乳化における制御がむずかしくなる。
本件トナーにおいて、トナーバインダのガラス転移点(Tg)は通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満では耐熱性が悪化し65℃を超えると低温定着性が不十分となる。
本製造方法で用いる顔料系着色剤としては、従来公知の各種の顔料が使用できる。このようなものは、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン等、およびそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナー中、通常、1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
着色剤は前記したように、樹脂と複合化されたマスターバッチ着色剤粒子として用いることが好ましい。
マスターバッチの製造において着色剤とともに混練されるバインダ樹脂としては、先にあげた変性、未変性のポリエステル系樹脂の他に、ポリスチレン、テルペン樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独あるいは混合して使用される。
マスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練して得る事ができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いる事ができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も、着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
本件トナーには、トナーバインダ、着色剤とともに離型剤(ワックス)を含有させる。このワックスとしては従来公知の各種のものが使用できる。このようなものとしては、例えば、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素、カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。これらのうち好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、および、ジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。ワックスの融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点が40℃未満のワックスは耐熱保存性に悪影響を与え、160℃を超えるワックスは低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすい。また、ワックスの溶融粘度は、融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、さらに好ましくは10〜100cpsである。1000cpsを超えるワックスは、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果に乏しい。トナー中のワックスの含有量は、通常0〜40重量%であり、好ましくは3〜30重量%である。
本件トナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知の各種のものが使用できる。このようなものには、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物等が挙げられる。
本製造方法において荷電制御剤の使用量は、バインダ樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダ樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。これらの帯電制御剤、離型剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練する事もできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
本製造方法で得られた着色剤含有トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5mμ〜2μmであることが好ましく、特に5mμ〜500mμであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい.無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、窒化ケイ素などを挙げることができる。
この他、高分子系微粒子を用いることができる。このようなものとしては、ソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような外添剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においてもその流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルを好ましいものとして挙げることができる。
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。
次に、本件トナーの製造手順について詳述する。
先ず、油性分散液調製工程において、有機溶媒中に、イソシアネート基含有ポリエステル系プレポリマーAが溶解し、着色剤が分散し、離型剤が溶解ないし分散している油性分散液を調製する。
この油性分散液体は、それに含まれている着色剤を微粉砕し、均一分散させるために、これを、湿式粉砕工程において、湿式粉砕装置を用いて粉砕処理する。この場合、その粉砕処理時間は30〜120分程度である。
次に、前記のようにして得られた油性分散液は、これを、分散(乳化)工程において、水系媒体に無機微粒子および/またはポリマー微粒子の存在下で分散(乳化)させて水中油型の分散液(乳化液)を形成させるとともに、この分散液中でそれに含まれるイソシアネート基含有ポリエステル系プレポリマーAを、反応工程において、アミンBと反応させてウレア結合を有するウレア変性ポリエステル系樹脂Cを生成させる。
前記有機溶媒としては、ポリエステル系樹脂を溶解し、水に不溶であるか難溶もしくは微溶のものが用いられる。その沸点は、通常、60〜150℃、好ましくは70〜120℃である。このようなものとしては、例えば、酢酸エチルや、メチルエチルケトン等が挙げられる。
着色剤としては、前記したマスターバッチ着色剤粒子を用いることが好ましく、これによって、着色剤の均一分散を効率良く行うことができる。
本製造においては、有機溶媒には、補助成分として、アミンに対して非反応性のポリエステル系樹脂Dを溶解させるのが好ましい。また、このポリエステル系樹脂Dは、水系媒体に分散させることもできる。
油性分散液を水系媒体中に分散させる場合、その分散装置としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の分散機が適用できる。分散粒子の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。高温なほうが、分散液の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
油性分散液中に含まれるプレポリマーA、着色剤、離型剤およびポリエステル系樹脂D等のトナー固形物100部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー固形物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。2000重量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
湿式粉砕処理した油性液体をその処理後水系媒体中に分散させるまでの時間は、できるだけ短時間であることが好ましい。
水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
トナー固形物を含む油性相を水が含まれる液体(水系媒体)に乳化、分散するためには、分散剤として、各種の界面活性剤(乳化剤)を用いることができるが、このようなものとしては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸およびその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸および金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)およびその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸およびその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−l02、(タイキン工莱社製)、メガファックF−ll0、F−l20、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級もしくは二級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などが挙げられる。 商品名としてはサーフロンS−l21(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEFーl32(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
水系媒体中に存在させる無機微粒子としては、水に不溶ないし難溶の従来公知の各種の無機化合物が用いられる。このようなものとしては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなどが挙げられる。
水系媒体中に存在させるポリマー微粒子としては、水に不溶ないし難溶性の従来公知の各種のものが用いられる。このようなものとしては、炭化水素系樹脂、含フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等の疎水性高分子の微粒子が挙げられる。
前記微粒子の粒径は、通常、トナーの粒径よりも小さくなり、粒径均一性の観点から、粒径比[微粒子の体積平均粒径]/[トナーの体積平均粒径]の値が0.001〜0.3の範囲であるのが好ましい。かかる粒径比が、0.3より大きいと微粒子がトナーの表画に効率よく吸着しないため、得られるトナーの粒度分布が広くなる傾向がある。
微粒子の体積平均粒径は、所望の粒径のトナーを得るのに適した粒径になるように、上記粒径比の範囲で適宜調整することができる。例えば、体積平均粒子径5μmのトナーを得たい場合には、好ましくは0.0025〜1.5μm、特に好ましくは0.005〜1.0μmの範囲、10μmのトナーを得たい場合には、好ましくは0.005〜3μm、特に好ましくは0.05〜2μmである。
水系媒体中には、分散安定剤として、水系媒体中で高分子系保護コロイドを形成する各種の親水性高分子物質を存在させることができる。このような高分子物質において、それを構成するモノマー成分を示すと、以下のものを示すことができる。
アクリル酸、メタクリル酸などの酸類、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するビニルモノマー等。
本発明において好ましく用いることのできる他の高分子物質としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類が挙げられる。
本発明において、プレポリマーAとアミンBとの重付加反応後に得られた乳化分散液から、それに含まれる液状媒体を除去するためには、液状媒体除去工程において、系全体を徐々に昇温し、有機溶媒を蒸発除去する工程を含む方法を採用することができる。この有機溶媒の除去前の液攪拌の強さと有機溶媒の除去時間によりトナー円形度の制御が可能となる。ゆっくり脱溶媒することにより形状はより真球(円形度で表わすと0.980以上)になり攪拌を強く短時間に脱溶媒を行うことにより、凹凸状や不定形になり円形度で表わすと0.900〜0.950になる。水系媒体中に乳化分散させ、さらに反応させた後の乳化液を、脱液媒中に攪拌槽にて温度30〜50℃の強い攪拌力で攪拌しながら脱液媒を行うことにより、円形度の制御が可能で0.850〜0.990の範囲の形状制御が可能となる。これは造粒中に含有される酢酸エチル等の有機溶媒が急激に除去されることにより体積収縮が起ったものと考えられる。
前記液状媒体の除去は、乳化分散液を乾燥雰囲気中に噴霧して、有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成するとともに、水系分散剤を蒸発除去する方法を採用することも可能である。乳化分散液が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、好ましくは使用される最高沸点の液状媒体のその沸点以上の温度に加熱された各種気流が用いられる。スプレイドライア、ベルトドライア、ロータリーキルンなどの短時間の処理で高品質トナーが得られる。
反応後の分散液を、その反応後脱溶媒するまでの時間は、短時間であることが好ましいが、通常、25時間以内である。
なお、無機微粒子としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、そのリン酸カルシウム塩等の無機微粒子を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー粒子から無機微粒子を除去することができる。その他、酵素による分解操作によっても除去できる。
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、プレポリマーAとアミンBとの反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
さらに、反応後の分散液の粘度を低くするために、水系媒体中には、プレポリマーやウレア変性ポリエステルが可溶の溶剤を添加することもできる。溶剤を用いたほうが粒度分布がシャープになる点で好ましい。該溶剤は沸点が100℃未満の揮発性であることがその除去が容易である点から好ましい。該溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、などを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。プレポリマー(A)100部に対する溶剤の使用量は、通常0〜300部、好ましくは0〜100部、さらに好ましくは25〜70部である。溶剤を使用した場合は、プレポリマーAとアミンBとの反応後、常圧または減圧下にて加温してその溶剤を除去する。
プレポリマーAとアミンBとの反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
プレポリマーAとアミンBとの反応後の乳化分散液中のトナー粒子の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行うときには、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。この場合の分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行っても良いが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、または粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子、または粗粒子はウェットの状態でも構わない。
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
乾燥後のトナー粒子を、必要に応じての離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子などの異種粒子と混合して使用する場合、その混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって、トナー粒子表面でその異種粒子を固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
本件トナーを2成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良い。この現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部が好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。また、被覆材料としては、シリコーン樹脂、含フッ素樹脂等が使用できる。また、必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
また、本件トナーは、キャリアを使用しない1成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。
なお、これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
1 定着装置
2 定着ベルト
3,43 加熱ローラ
4 定着ローラ
5,45 加圧ローラ
6,7,46 ヒータ
8 サーミスタ
9 芯金
10 弾性体層
11 定着分離爪
12 ガイド
20 画像形成装置
21C,21Y,21M,21BK 作像装置
22 転写装置
23 手差しトレイ
24 給紙カセット
25C,25Y,25M,25BK 感光体ドラム
26C,26Y,26M,26BK 現像装置
27C 帯電装置
28C クリーニング装置
29 露光部
30 レジストローラ
31 両面反転ユニット
32 両面搬送ユニット
120 テンションローラ
121 微量塗布ローラ
122 オイル供給ローラ
P シート状媒体(記録媒体)
T1 第一の定着目標温度
T2 第二の定着目標温度
T3 作像許可温度
△T,△T,△T 差分温度
特開平7−306609号公報 特開2000−181275号公報

Claims (8)

  1. 画像出力の要求に対応して複数の作像条件から選択される一の作像条件に基づいて、記録媒体に転写するための未定着トナー像を形成する作像部と、
    前記作像部において設定される作像条件に対応して複数の定着目標温度から選択される一の定着目標温度に加熱または冷却される定着部材及び該定着部材と圧接してニップ部を形成する加圧部材を有し、前記ニップ部に前記未定着トナー像が転写された記録媒体を通過させて該未定着トナー像を前記記録媒体に定着させる熱定着部と、を備え、
    前記作像部における作像条件の切替により、該作像部での作像線速が変化するとともに、前記熱定着部での前記記録媒体の搬送速度が変化し、
    所定の搬送速度に対応した第一の定着目標温度から該第一の定着目標温度よりも温度が低く前記所定の搬送速度よりも遅い搬送速度に対応した第二の定着目標温度に切り替える場合、
    前記定着部材が、前記第二の定着目標温度に出力予定の画像の種類に基づいた可変の値である所定の差分温度を加算した作像許可温度以下になった時に、前記作像部における作像開始を許可することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記出力予定の画像が所定の光沢性が要求されないものであるときの前記所定の差分温度は、前記出力予定の画像が所定の光沢性が要求されるものであるときよりも大であることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
  3. 前記所定の差分温度は、前記出力予定の画像の一の作像についての出力枚数により可変であることを特徴とする請求項またはに記載の画像形成装置。
  4. 前記所定の差分温度は、前記出力予定の画像のトナー付着量により可変であることを特徴とする請求項のいずれかに記載の画像形成装置。
  5. 画像出力の要求に対応して複数の作像条件から選択される一の作像条件に基づいて、記録媒体に転写するための未定着トナー像を形成する作像部と、
    前記作像部において設定される作像条件に対応して複数の定着目標温度から選択される一の定着目標温度に加熱または冷却される定着部材及び該定着部材と圧接してニップ部を形成する加圧部材を有し、前記ニップ部に前記未定着トナー像が転写された記録媒体を通過させて該未定着トナー像を前記記録媒体に定着させる熱定着部と、を備え、
    前記作像部における作像条件の切替により、該作像部での作像線速が変化するとともに、前記熱定着部での前記記録媒体の搬送速度が変化し、
    所定の搬送速度に対応した第一の定着目標温度から該第一の定着目標温度よりも温度が低く前記所定の搬送速度よりも遅い搬送速度に対応した第二の定着目標温度に切り替える場合、
    切替前の作像条件による作像ジョブが終了し、次の作像ジョブの実行が可能となった作像可能時から出力予定の画像の種類に基づいた可変の値である所定時間が経過した後に、前記作像部における作像開始を許可することを特徴とする画像形成装置。
  6. 前記出力予定の画像が所定の光沢性が要求されないものであるときの前記所定時間は、前記出力予定の画像が所定の光沢性が要求されるものであるときよりも小であることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
  7. 前記作像部における作像条件の切替に対応させて、第一の定着目標温度から該第一の定着目標温度よりも温度の低い第二の定着目標温度に切り替える場合、前記作像可能時から所定時間が経過する前であっても前記第二の定着目標温度よりも所定の差分温度だけ高い作像許可温度以下になっていれば、前記作像部における作像開始を許可することを特徴とする請求項またはに記載の画像形成装置。
  8. 前記定着部材、加圧部材の少なくても一方が、複数のローラに掛け回された無端状ベルトであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の画像形成装置。
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