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JP5262617B2 - 流体制御弁および流体制御回路 - Google Patents

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JP5262617B2 JP2008298392A JP2008298392A JP5262617B2 JP 5262617 B2 JP5262617 B2 JP 5262617B2 JP 2008298392 A JP2008298392 A JP 2008298392A JP 2008298392 A JP2008298392 A JP 2008298392A JP 5262617 B2 JP5262617 B2 JP 5262617B2
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Description

この発明は、スプールなどの弁体やこれを動作させるプランジャーなどの可動部材が動作することにより、圧油などの圧力流体の供給あるいは排出もしくは流動を制御する制御弁およびその制御弁を利用した回路に関するものである。
従来、車両のエンジンから車輪に至る動力伝達経路に変速機を設け、変速機の変速比を制御する場合に、その変速機を油圧制御装置により制御することが知られており、車両用の油圧制御装置の一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された車両においては、エンジンに変速機構が接続されている。また、エンジンにオイルを供給するエンジン用機械式オイルポンプ、および変速機構にオイルを供給するミッション用機械式オイルポンプを有している。このオイルポンプは、いずれもエンジンの動力によって駆動されてオイルパンからオイルを吸入し、かつ吐出するように構成されている。
さらに、電動モータによって駆動される電動オイルポンプが設けられており、その電動オイルポンプにより吸入および吐出されたオイルを、変速機構に供給するように構成されている。そして、エンジンが運転されている場合は、エンジンの動力で、エンジン用機械式オイルポンプおよびミッション用機械式オイルポンプを駆動する一方、車両の停車時にエンジンを自動的に停止(アイドリングストップ)する場合は、電動オイルポンプを駆動させて、電動オイルポンプから吐出されたオイルを変速機構に供給して、変速機構のクラッチを係合させておくことにより、車両の発進に備える制御が、特許文献1に記載されている。なお、この他に油圧制御装置の一例が、特許文献2ないし6にも記載されている。
特開2008−57676号公報 特開2005−226802号公報 特表平8−510032号公報 特開2006−300022号公報 特開平9−222074号公報 特公昭63−44386号公報
しかしながら、特許文献1に記載された発明においては、ミッション用機械式オイルポンプの他に、電動モータおよび電動オイルポンプを設けているのでその分の製造コストが上昇するとともに、電動モータおよび電動オイルポンプを設ける分、油圧制御装置が大型化する問題があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、製造コストの上昇を抑制でき、かつ、全体としての構成の小型化を図ることのできる流体制御弁および流体制御回路を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、可動部材が往復動されてポートを開閉することにより流体を制御する流体制御弁において、前記可動部材が往復動作することにより容積が増減するポンプ室と、そのポンプ室に連通され、そのポンプ室の容積が増大する際に閉弁しかつそのポンプ室の容積が減少する際に開弁する吐出弁と、前記ポンプ室に連通され、そのポンプ室の容積が増大する際に開弁しかつそのポンプ室の容積が減少する際に閉弁する吸入弁とを備えていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の流体制御弁を有し、前記ポンプ室を、圧力負荷を生じさせない開放部に選択的に連通させる切替弁を備えていることを特徴とする前記流体制御弁を有する流体制御回路である。
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記可動部材を往復動させるための推力を発生する電磁コイルを更に備えていることを特徴とする流体制御弁または流体制御回路である。
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記電磁コイルによる推力に対抗する弾性力を前記可動部材に与える弾性部材と、その弾性部材と共に前記可動部材の一方の端部を収容している収容室とを更に備え、その収容室が前記ポンプ室とされていることを特徴とする流体制御弁または流体制御回路である。
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記可動部材は、二つのランド部の間にバリー部が形成されていて往復動することにより前記ポートを開閉するスプールを含み、前記ポートは、元圧が入力される入力ポートと、圧力流体を出力する出力ポートと、圧力流体をドレーン箇所に導くドレーンポートとを含み、さらに前記出力ポートから出力された流体圧を前記可動部材に対して該可動部材を往復動させる力として作用させるフィードバック室が設けられ、前記切替弁は、前記入力ポートに作用する流体圧を制御圧として動作し、前記入力ポートに流体圧が作用している場合には前記ポンプ室を前記開放部に連通させ、かつ前記入力ポートに流体圧が作用していない場合には前記ポンプ室を前記吸入弁を介して圧力負荷を生じさせない開放部に連通させまは前記吐出弁を介して所定の流体供給部に連通させるように構成されていることを特徴とする流体制御回路である。
請求項6の発明は、請求項1または3の発明において、前記可動部材は、二つのランド部の間にバリー部が形成されていて往復動することにより前記ポートを開閉するスプールを含み、前記ポートは、元圧が入力される入力ポートと、圧力流体を出力する出力ポートと、圧力流体をドレーン箇所に導くドレーンポートとを含み、さらに前記出力ポートから出力された流体圧を前記可動部材に対して該可動部材を往復動させる力として作用させるフィードバック室が設けられ、そのフィードバック室が前記ポンプ室とされていることを特徴とする流体制御弁である。
請求項7の発明は、請求項6に記載の流体制御弁を有し、前記フィードバック室は、相対的に大径のランド部と相対的に小径のランド部との間に形成され、そのフィードバック室には、前記出力ポートから出力された流体圧を導くフィードバックポートが形成され、そのフィードバックポートを前記出力ポートに連通させた状態と前記圧力負荷を生じさせない開放部に前記吸入弁を介して連通させた状態とに切り替える第2の切替弁を備えていることを特徴とする前記流体制御弁を有する流体制御回路である。
請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記第2の切替弁は、前記フィードバックポートを前記出力ポートに連通させている状態では前記吐出弁を介した前記フィードバック室からの圧力流体の吐出を遮断し、かつ前記フィードバックポートを前記圧力負荷を生じさせない開放部に連通させている状態では前記フィードバック室を前記吐出弁を介して所定の圧力流体供給部に連通させるように構成されていることを特徴とする流体制御回路である。
請求項9の発明は、請求項8の発明において、前記第2の切替弁は、前記入力ポートに作用する流体圧を制御圧として動作し、前記入力ポートに流体圧が作用している場合には、前記フィードバックポートを前記出力ポートに連通させるとともに前記吐出弁を介した前記フィードバック室からの圧力流体の吐出を遮断し、かつ前記入力ポートに流体圧が作用していない場合には、前記フィードバックポートを前記圧力負荷を生じさせない開放部に連通させるとともに前記フィードバック室を前記吐出弁を介して所定の圧力流体供給部に連通させるように構成されていることを特徴とする流体制御回路である。
請求項10の発明は、請求項6の発明において、前記フィードバック室は、前記スプールの軸線方向での一端部側に形成されかつそのスプールを軸線方向に押圧する弾性部材が収容されている収容室によって形成されていることを特徴とする流体制御弁である。
請求項11の発明は、請求項6または10に記載された流体制御弁を有し、前記フィードバック室には、前記出力ポートから出力された流体圧を導くフィードバックポートと、流体を吸入する吸入ポートとが形成され、前記フィードバックポートを前記出力ポートに連通させている状態では前記吸入ポートを遮断し、かつ前記フィードバックポートを所定の流体供給部に前記吐出弁を介して連通させている状態では前記吸入ポートを前記吸入弁を介して圧力負荷を生じさせない開放部に連通させる第3の切替弁を更に備えていることを特徴とする流体制御回路である。
請求項12の発明は、請求項11の発明において、前記第3の切替弁は、前記入力ポートに作用する流体圧を制御圧として動作し、前記入力ポートに流体圧が作用している場合には前記フィードバックポートを前記出力ポートに連通させるとともに前記吸入ポートを遮断し、かつ前記入力ポートに流体圧が作用していない場合には前記フィードバックポートを所定の流体供給部に前記吐出弁を介して連通させるとともに前記吸入ポートを前記吸入弁を介して圧力負荷を生じさせない開放部に連通させるように構成されていることを特徴とする流体制御回路である。
請求項13の発明は、請求項3の発明において、前記可動部材は、二つのランド部の間にバリー部が形成されていて往復動することにより前記ポートを開閉するスプールを含み、そのスプールの軸線方向での一方の端部に、前記電磁コイルによる電磁力を受けて前記スプールを軸線方向に押圧する押圧部材が当接して設けられ、かつ前記スプールの軸線方向での他方の端部側に、前記押圧部材側に前記スプールを押圧する弾性部材が配置され、前記ポンプ室は、前記スプールにおける前記一方の端部側に、該一方の端部を収容し、かつ該一方の端部が前後動することにより容積が増減するように構成されていることを特徴とする流体制御弁または流体制御回路である。
請求項14の発明は、請求項13の発明において、前記ポートは、元圧が入力される入力ポートと、圧力流体を出力する出力ポートと、圧力流体をドレーン箇所に導くドレーンポートとを含み、さらに前記出力ポートから出力された流体圧を前記スプールに対して該スプールを往復動させる力として作用させるフィードバック室が設けられ、前記切替弁は、前記入力ポートに作用する流体圧を制御圧として動作し、前記入力ポートに流体圧が作用している場合に前記ポンプ室を圧力負荷を生じさせない開放部に連通させるように構成されていることを特徴とする流体制御回路である。
請求項15の発明は、請求項1または2の発明において、前記可動部材は、電磁力と該電磁力に対抗する弾性力とで往復動させられるプランジャーを含み、前記ポートは、元圧が入力される入力ポートと、該入力ポートに選択的に連通される出力ポートとを含み、さらに前記プランジャーが後退することにより該プランジャーに押されて前記入力ポートを閉じる弁体を備えるとともに該弁体が前記吐出弁を構成しており、前記ポンプ室は、前記プランジャーが前進することにより該プランジャーによって容積が減少させられかつ前記プランジャーが後退することにより該プランジャーによって容積が増大させられるように構成されるとともに、前記出力ポートが前記ポンプ室に連通していることを特徴とする流体制御弁である。
請求項16の発明は、請求項15の発明において、前記ポンプ室に連通された連通路と、前記プランジャーが前進して前記ポンプ室の圧力が上昇した場合に前記連通路を閉じかつ前記プランジャーが後退して前記ポンプ室の圧力が低下した場合に前記連通路を開くように動作して前記吸入弁として機能する第1逆止弁と、前記ポンプ室と前記出力ポートとの間に介装され、かつ、前記プランジャーが前進して前記ポンプ室の圧力が上昇する場合に開放されて前記ポンプ室と前記出力ポートとを接続し、前記プランジャーが後退して前記ポンプ室の圧力が低下する場合に閉じられて前記ポンプ室と前記出力ポートとを遮断するように動作して前記吐出弁として機能する第2逆止弁とを更に備えていることを特徴とする流体制御弁である。
請求項17の発明は、請求項15または16に記載の流体制御弁を有し、前記流体制御弁は、単位時間当たりのオン・オフの割合であるデューティ比が制御されて前記電磁力を発生しそのデューティ比に応じた圧力を前記出力ポートに生じさせるデューティソレノイドバルブを含み、前記出力ポートを、前記デューティ比に応じた圧力を供給するべき第1供給部と、前記プランジャーが前進して押し出された圧力流体を供給するべき第2供給部とに切替えて連通させる第4の切替弁を備えていることを特徴とする流体制御回路である。
請求項18の発明は、請求項17の発明において、前記ポンプ室の容積が減少させられて前記ポンプ室から吐出されたオイルを流入させる吸入室を更に備え、その吸入室には、ドレーンポートが設けられ、前記第4の切替弁は、前記出力ポートを前記第1供給部に連通させている状態で前記ドレーンポートを開き、かつ前記出力ポートを前記第2供給部に連通させている状態では前記ドレーンポートを閉じるように構成されていることを特徴とする流体制御回路である。
請求項19の発明は、請求項18の発明において、前記第4の切替弁は、前記入力ポートに入力された元圧を制御圧として動作し、前記入力ポートに元圧が作用している場合に前記出力ポートを前記第1供給部に連通させるとともに前記ドレーンポートを開き、かつ前記入力ポートに元圧が作用していない場合には前記出力ポートを前記第2供給部に連通させるとともに前記ドレーンポートを閉じる弁を含むことを特徴とする流体制御回路である。
請求項20の発明は、請求項1の発明において、前記可動部材は、電磁力と該電磁力に対向する弾性力とで往復動させられるプランジャーを含み、前記ポートは、元圧が入力される入力ポートと、該入力ポートに選択的に連通させられる出力ポートと、その出力ポートに選択的に連通させられるとともに圧力負荷を生じさせない開放部に連通している他のポートとを含み、さらに前記プランジャーが後退することにより該プランジャーに押されて前記入力ポートと前記出力ポートとの連通を遮断するとともに前記出力ポートを前記他のポートに連通させる弁体を備え、前記ポンプ室は、前記プランジャーが後退することにより容積が増大しかつ前記プランジャーが前進することにより容積が減少するように構成され、前記他のポートが開口しかつ前記ポンプ室の容積が増大することによる負圧によって前開放部から流体を吸入させる吸入室が設けられ、その吸入室から前記ポンプ室に向けて流体が流れる場合に開く第3逆止弁が前記吸入弁として設けられていることを特徴とする流体制御弁である。
請求項21の発明は、請求項20に記載の流体制御弁を有し、前記ポンプ室から前記吐出弁を経由して吐出された圧力流体を、圧力負荷を生じさせない開放部と前記ポンプ室で加圧された圧力流体を使用する流体受容部とに切り換えて連通させる切替弁を備えていることを特徴とする流体制御回路である。
請求項22の発明は、請求項21の発明において、前記切替弁は、前記入力ポートに入力される元圧を制御圧として動作し、前記入力ポートに元圧が作用している場合に前記ポンプ室を前記開放部に連通させ、かつ前記入力ポートに元圧が作用していない場合に前記ポンプ室を前記流体受容部に連通させるように構成されていることを特徴とする流体制御回路である。
請求項23の発明は、請求項6の構成に加えて前記ポンプ室と前記吸入弁とを接続する吸入ポートと、前記ポンプ室を前記吐出弁と所定の流体供給部とに切り替えて接続するフィードバックポートを兼ねた吐出ポートが設けられており、前記吐出ポートの径よりも吸入ポートの径が大きいことを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、可動部材が前後動することによりポートが開閉されて流体の供給あるいは排出もしくは流通経路などが制御される。また、そのポートに流体圧が作用し、もしくは作用していない状態で可動部材が往復動作すると、ポンプ室の容積が大小に変化する。ポンプ室の容積が増大するとその内部の圧力が低下するので、吐出弁が閉じるとともに吸入弁が開いてポンプ室に流体が吸入され、またポンプ室の容積が減少するとその内部の圧力が上昇するので、吸入弁が閉じるとともに吐出弁が開いて流体が吐出される。すなわち、流体の制御機能だけでなく、ポンプ機能を奏し、流体制御弁が複数の機能を備えることにより、必要とするポンプなどの流体用機器の数を少なくし、低コスト化や流体制御装置の全体としての構成の小型化などを図ることができる。
請求項2の発明によれば、ポンプ室を開放部に連通させることにより、可動部材に対してその往復動作を制限する方向の負荷が低下し、したがって流体の制御機能を円滑化でき、例えば圧力制御の場合にはその制御精度が良好になり、あるいはその制御が容易になる。
請求項3の発明によれば、いわゆるソレノイドバルブを制御弁およびポンプとして機能させることができる。
請求項4の発明によれば、電磁コイルをオフ状態にした場合に可動部材を押し戻す弾性部材が収容室に配置されており、その収容室がポンプ室として機能するので、新たにポンプ室を追加して設ける必要がなく、そのためポンプ機能が付加されている流体制御弁あるいは流体制御回路の小型化や低コスト化を図ることができる。
請求項5の発明によれば、電磁コイルへの通電量に応じて調圧レベルを連続的に変化させることのできるいわゆるリニアソレノイドバルブを流体圧ポンプとして機能させることができるだけでなく、調圧弁として機能させる場合には、ポンプ室の圧力の影響を回避もしくは抑制できるので、調圧の精度を良好に維持できる。
請求項6の発明によれば、出力圧をフィードバック圧とした調圧弁のフィードバック室を利用して、その調圧弁にポンプ機能を付加することができる。
請求項7および請求項8の発明によれば、第2の切替弁を切り替え動作させることにより、調圧弁およびポンプのいずれかに切り替えて機能させることができる。
請求項9の発明によれば、調圧弁として機能する場合、入力ポートに流体圧が作用し、出力ポートには調圧された流体圧が現れる。その場合、入力ポートに作用する流体圧が、第2の切替弁に対して制御圧として作用し、フィードバックポートが出力ポートに連通されかつフィードバック室からの圧力流体の吐出が止められるので、本来の調圧機能を生じる。これとは反対に入力ポートに流体圧が作用していない場合には、フィードバック室が出力ポートに対しては遮断され、かつ吐出弁を介した圧力流体の吐出が許容されるので、ポンプとして機能する。すなわち、制御弁とポンプとの切り替えを自動的におこなうことができる。
請求項10の発明によれば、スプールを押し戻すための弾性部材が収容されている収容室をポンプ室およびフィードバック室として機能させることができるので、より小型化を図ることができる。
請求項11の発明によれば、第3の切替弁が設けられていることにより、フィードバック圧を利用した調圧機能とポンプ機能との切り替えをおこなうことができ、そのため調圧精度が阻害されたり、低下したりすることを回避できる。
請求項12の発明によれば、上述した請求項9の発明と同様に、制御弁とポンプとの切り替えを自動的におこなうことができる。
請求項13の発明によれば、弾性部材がスプールを押し戻すことによりポンプ室の容積が減少し、流体が吐出させられる。したがって、ポンプとして機能する場合の流体に対する加圧力を弾性体によって発生させることになるので、高い吐出圧を得ることができる。
請求項14の発明によれば、フィードバック室に出力圧を作用させて調圧を行う場合、ポンプとしての機能が生じず、ポンプ室の圧力が特には高くならないので、圧力制御を良好におこなうことができる。
請求項15の発明および請求項16の発明によれば、入力ポートと出力ポートとの連通およびその遮断、すなわち圧力流体の出力のオン・オフを行うためにプランジャーが前後動することにより、ポンプ室の容積が大小に変化し、その結果、流体の吸引と吐出とが生じ、オン・オフ弁をポンプとして機能させることができる。
請求項17の発明および請求項18の発明によれば、圧力制御の可能なデューティソレノイドバルブにポンプとしての機能を付与することができる。
請求項19の発明によれば、調圧弁としての機能とポンプとしての機能とを元圧の有無に応じて自動的に切り替えることができる。
請求項20の発明および請求項21の発明によれば、調圧のためのドレーンポートが開口している箇所を吸入室として構成し、プランジャーの往復動作によってその吸入室に吸入した流体を、吸入室とは反対に容積が増減するポンプ室に送り、ここから流体を吐出させるように構成されているので、いわゆるデューティソレノイドバルブにポンプの機能を付加することができる。
そして、請求項22の発明によれば、請求項19の発明と同様に、調圧弁としての機能とポンプとしての機能とを元圧の有無に応じて自動的に切り替えることができる。また、請求項23の発明によれば、ポンプ室に流体を吸入するときに、流体の吸入抵抗を相対的に低下させることができ、キャビテーションの発生を抑制できる。
この発明における流体の流通方向とは、ポンプから吐出された流体の流れ方向が含まれる。この発明における可動部材には、バルブのポートを開閉する弁体、および弁体に接触して弁体の動作を規制する軸部材(プランジャー、シャフト、ピン)が含まれる。弁体の形状は、ボール形状、または軸形状、板形状のいずれでもよい。この発明における弾性部材には、バネおよびゴム状弾性体(エラストマー)が含まれる。この発明における流体および圧力流体は非圧縮性流体であり、具体的には、オイル、作動油、潤滑油、冷却液、不凍液、水などが含まれる。この発明における吐出弁および吸入弁は、流体制御弁自体の内部に設けられていてもよいし、その流体制御弁を有する流体制御回路に設けられていてもよい。また、請求項15の発明において、プランジャーの「前進」および「後退」は、プランジャーの動作する向きが異なること、発生する作用が異なることを向きで表すものであり、「前進」および「後退」という文言自体に技術的意味があるわけではない。すなわち、「何に対して前」、あるいは、「何に対して後ろ」という基準位置があるわけではない。
(第1具体例)
つぎに、この発明の流体制御弁および流体制御回路の第1具体例を、図1および図2に基づいて説明する。図2は、この発明の流体制御回路の具体例である油圧制御装置(油圧回路)5を有する車両1の概念図、図1は油圧制御装置5の構造を示す模式図である。図2において、車両1には駆動力源としてエンジン2が搭載されており、そのエンジン2の動力が、動力伝達装置3を経由して車輪4に伝達される構成である。車輪4は前輪または後輪の何れでもよい。エンジン2は燃料を燃焼させた時に生じる熱エネルギを運動エネルギに変換して出力する動力装置であり、エンジン2としては内燃機関、例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどを用いることが可能である。
前記動力伝達装置3は、歯車伝動装置、または巻き掛け伝動装置、またはトラクション伝動装置、または流体伝動装置などの組み合わせ、あるいは、これらの装置のいずれかが単独で用いられる。前記歯車伝動装置には、遊星歯車式変速機、選択歯車式変速機、常時噛み合い式変速機などの有段変速機が含まれる。有段変速機とは、入力回転数と出力回転数との比、つまり変速比を段階的(不連続)に変更可能な変速機である。例えば、遊星歯車式変速機では、クラッチおよびブレーキなどの摩擦係合装置が設けられているとともに、摩擦係合装置に作用する油圧を制御する油圧室が設けられている。この摩擦係合装置の係合および解放を制御することにより、遊星歯車式変速機の変速比および伝達トルクが制御される。前記動力伝達装置3として遊星歯車式変速機を用いるとき、これらの摩擦係合装置を制御するアクチュエータとして、油圧制御装置5が設けられる。
前記巻き掛け伝動装置には、ベルト型無段変速機が含まれる。このベルト型無段変速機は、第1プーリおよび第2プーリにベルトを巻き掛けて構成され、変速比を無段階(不連続)で変更可能である。例えば、第1プーリにおけるベルトの巻き掛け半径を制御することにより、ベルト型無段変速機の変速比が制御され、第2プーリからベルトに加えられる挟圧力を制御することにより、伝達トルクが制御される。動力伝達装置3としてベルト型無段変速機を用いるときは、第1プーリにおけるベルトの巻き掛け半径、および第2プーリからベルトに加えられる挟圧力を制御する油圧室が設けられており、その油圧室の油圧を前記油圧制御装置5により制御することが可能である。
さらに、前記トラクション伝動装置には、トロイダル型無段変速機が含まれる。このトロイダル型無段変速機は、入力ディスクと出力ディスクとの間にパワーローラを介在させて構成され、オイルのせん断力で動力伝達をおこなう伝動装置である。このトロイダル型無段変速機でも、変速比を無段階(不連続)で変更可能である。動力伝達装置3としてトロイダル型無段変速機を用いるときは、その変速比および伝達トルクを制御する油圧室が設けられており、その油圧室の油圧を油圧制御装置5により制御することが可能である。
一方、トロイダル型無段変速機またはベルト型無段変速機を用いる場合、入力側回転部材の回転方向に対して、出力側回転部材の回転方向を正逆に切り替える前後進切換装置が設けられる。この前後進切換装置としては、遊星歯車機構式、または平行軸歯車式のものを用いることができる。この前後進切換装置も前記歯車伝動装置に含まれる。そして、前後進切換装置の動作を制御するアクチュエータとして、油圧制御装置5を用いることができる。
さらに、上記の流体伝動装置は作動流体の運動エネルギにより、入力回転部材と出力回転部材との間で動力伝達をおこなう装置であり、油圧制御装置5から流体伝動装置に作動油が供給される。また、流体伝動装置の入力回転部材と出力回転部材との間で、摩擦力により動力伝達をおこなうロックアップクラッチが設けられている場合は、そのロックアップクラッチの係合および解放を制御する油圧室の油圧が、油圧制御装置5により制御される。なお、この第1具体例およびその他の具体例では、動力伝達装置3として、遊星歯車式変速機(有段変速機)が用いられているものとして説明をおこない、便宜上、「変速機3」と記す。
つぎに、前記油圧制御装置5の構成例を、図1に基づいて説明する。この油圧制御装置5は、変速機3の下部に取り付けられている。油圧制御装置5は、具体的には金属製のバルブボデーに、油路およびポートおよび貫通孔を形成し、かつ、バルブボデーに各種のバルブを取り付けて構成されている。また、エンジン2により駆動されるオイルポンプ6が設けられている。そのオイルポンプ6の吸入口はオイル保持部7に接続され、オイルポンプ6の吐出口が油路8に接続されている。オイル保持部7は、オイルが貯留される部位であり、タンクまたはオイルパンにより構成されている。以下、オイル保持部7を、便宜上、タンク7と記す。タンク7のオイルが外部に持ち出された場合、または外部のオイルがタンク7に供給された場合でも、タンク7では圧力負荷が生じない。この油路8には、油路9および油路10を介在させて圧油供給対象部11が接続されている。圧油供給対象部11はオイルを作動流体として動作する油圧サーボ機構、オイルにより潤滑および冷却される潤滑系統が含まれる。油圧サーボ機構は、変速機3の変速比または伝達トルクを制御する油圧室(図示せず)が含まれる。上記の潤滑系統には、変速機3の回転要素を支持する軸受、歯車同士の噛み合い部分、などが含まれる。そして、油路9と油路10との間に電磁弁、より具体的にはリニアソレノイドバルブ12が介在されている。このリニアソレノイドバルブ12が、この発明における流体制御弁である。
このリニアソレノイドバルブ12は油路10の油圧を制御する圧力制御弁であり、リニアソレノイドバルブ12は、電磁部13および調圧部14を有している。まず、調圧部14の構成について説明すると、この調圧部14はいわゆるバルブとして機能する構成部分である。この調圧部14は、油圧制御装置5を構成するバルブボデー(図示せず)の取付孔(図示せず)に埋め込まれており、その調圧部14は円筒形状のケーシング(シリンダ)15を有している。このケーシング15には、入力ポート16および出力ポート17およびドレーンポート18およびフィードバックポート19および吸入ポート20および吐出ポート21が形成されている。そして、入力ポート16が油路9に接続され、出力ポート17およびフィードバックポート19が並列に油路10に接続されている。また、ドレーンポート18はタンク7に接続されている。
さらに、ケーシング15には、大径孔22および小径孔23が連続して形成されている。この大径孔22の内径は小径孔23の内径よりも大きく構成されている。この大径孔22および小径孔23は、ケーシング15の中心線B1を中心として形成された孔であり、その大径孔22および小径孔23に亘って弁体が挿入されている。この弁体は、軸形状のスプール24で構成されており、このスプール24はランド部25,26,27を有している。また、スプール24の動作方向で、ランド部25とランド部26との間にはバリー部24Aが形成され、ランド部26とランド部27との間にはバリー部(谷部)24Bが形成されている。ランド部25,26は外径が同一であり、バリー部24A,24Bの外径は、ランド部25,26の外径よりも小さい。上記構成のスプール24は、ケーシング15内で中心線B1を中心として、かつ、中心線B1に沿った方向、つまり、図1の上下方向に往復移動が可能である。そして、ケーシング15内において、ランド部26とランド部27との間にフィードバック室28が形成され、そのフィードバック室28とフィードバックポート19とが接続されている。
また、ランド部26は大径孔22内に沿って動作可能であり、ランド部27は小径部23に沿って動作可能である。このフィードバック室28の油圧により、スプール24に中心線B1に沿った方向の力が与えられる。さらに、ランド部26には受圧面29が形成され、ランド部27には受圧面30が形成されている。フィードバック室28の油圧を受ける受圧面29の面積は、フィードバック室28の油圧を受ける受圧面30の面積よりも広い。このため、フィードバック室28の油圧により、スプール24を図1で上向きに押圧して、入力ポート16を閉じようとする力が発生する。さらに、入力ポート16と出力ポート17とドレーンポート18とがケーシング15内で接続されており、スプール24が動作すると入力ポート16が開閉されるとともに、ドレーンポート18が開閉される。
一方、前記ケーシング15内にはストッパ31が固定されており、ケーシング15内におけるストッパ31とランド部25との間にバネ室32が形成されている。つまり、スプール24の一部であるランド部25により、バネ室32が区画形成されており、バネ室32には、中心線B1に沿った方向でスプール24の一方の端部が配置されている。このバネ室32には、スプール24に中心線B1に沿った方向の力を与える弾性部材として、金属製の圧縮コイルばね33が設けられている。この圧縮コイルばね33からスプール24に加えられる力の向きは、入力ポート16を開放する方向にスプール24を動作させる向きである。また、バネ室32は吸入ポート20および吐出ポート21に接続されている。
さらに、吸入ポート20には油路34が接続されており、その油路34には切替弁35を介在させて油路36,37が接続される。油路36,37は並列にタンク7に接続されている。また、切替弁35は、入力ポート38,39と出力ポート40とを有している。さらに、切替弁35はスプール41を有しており、そのスプール41に動作力を与える弾性部材として、圧縮コイルばね42が設けられている。さらに、切替弁35は信号圧ポート43を有しており、信号圧ポート43に入力される信号圧(制御圧)により、圧縮コイルばね42の力とは逆向きの力がスプール41に加えられる。
上記の信号圧ポート43に入力する高圧または低圧の信号圧を発生する機構として、公知のオン・オフ型のソレノイドバルブ170を用いることができる。このソレノイドバルブ170は、高圧の信号圧または低圧の信号圧を切り替えて出力する。また、ソレノイドバルブ170に代えて、油路8または油路9の油圧を信号圧ポート43に伝達する油路146を設けることもできる。なお、図1では、便宜上、油路8と信号圧ポート43とを接続する油路146を示している。この構成を採用すると、エンジン2の動力でオイルポンプ6が駆動されて圧油が油路8または油路9に吐出された場合に、信号圧ポート43に高圧の信号圧が入力される。これに対して、オイルポンプ6が停止された場合は、信号圧ポート43に入力される信号圧が低圧となる。
そして、信号圧ポート43に入力される信号圧が高圧である場合は、スプール41の動作により、入力ポート39が遮断され、かつ、入力ポート38と出力ポート40とが接続される。これに対して、信号圧ポート43に入力される信号圧が低圧である場合は、スプール41の動作により、入力ポート38が遮断され、かつ、入力ポート39と出力ポート40とが接続される。さらにまた、油路37には逆止弁(チェックバルブ)44が設けられている。この逆止弁44は、タンク7のオイルが切替弁35に向けて流れる場合は開放され、油路34のオイルがタンク7に向けて流れようとすると閉じられる構成である。
さらに、吐出ポート21には油路45を経由して圧油供給対象部46が接続されている。圧油供給対象部46は、圧油供給対象部11と同じ理由によりオイルが供給される。さらにまた、油路45には逆止弁(チェックバルブ)47が設けられている。この逆止弁47は、吐出ポート21のオイルが圧油供給対象部46に向けて流れる場合は開放され、圧油供給対象部46のオイルが吐出ポート21に向けて流れようとすると閉じられる構成である。なお、圧油供給対象部11と圧油供給対象部46とは、物理的に同一箇所でもよいし、物理的に異なる箇所でもよい。圧油供給対象部11と圧油供給対象部46とが物理的に同一箇所である場合は、油路45または油路10のオイルのうち、いずれか一方(高圧である)のオイルを圧油供給対象部に供給するように切り替え動作される切替弁(図示せず)を設ける。
一方、前記電磁部13はスプール24の動作を制御するアクチュエータとしての機能を有する。この電磁部13は、有底円筒形状のホルダ86と、このホルダ86内部に設けられたボビン49と、ボビン49に巻き付けられた電磁コイル48と、ボビン49内に移動可能に挿入されたシャフト50と、シャフト50に接続されたプランジャー51とを有している。ボビン49およびプランジャー51は共に磁性材料で構成されている。この磁性材料としては、鉄を用いることができる。上記シャフト50およびプランジャー51は中心線B1を中心として同軸に設けられており、シャフト50およびプランジャー51は中心線B1に沿った方向に一体的に動作可能である。また、圧縮コイルばね33により押圧されたスプール24の端部が、前記シャフト50の端部に接触している。
また、ホルダ86内には円筒形状のガイド87が設けられており、ガイド87に沿ってプランジャー51が動作する構成である。そして、電磁コイル48に通電されてボビン49およびプランジャー51を通る磁気回路が形成されると、その吸引力によりプランジャー51がボビン49に近づく向きで動作する構成である。電磁コイル48に通電する電流値はリニアに制御可能である。なお、ケーシング15内において、ボビン49とランド部27との間には流体室53が形成され、ケーシング15には、流体室53に接続する通路54が設けられている。この通路54は大気側に連通されている。なお、上記の油圧制御装置5には、各種の油路、リニアソレノイドバルブ12、切替弁35、タンク7などが含まれ、オイルポンプ6および圧油供給対象部11,46は、油圧制御装置5には含まれない。
一方、車両1には電子制御装置52が設けられており、電子制御装置52には、イグニッションキーの操作状態、シフトポジション、車速、アクセル開度、エンジン回転数などを検出するセンサおよびスイッチの信号が入力される。これに対して、電子制御装置52からは、エンジン2の運転および停止を制御する信号、エンジン2を運転する場合の回転数およびトルクを制御する信号、油圧制御装置5を制御する信号などが出力される。より具体的には、電磁部13に通電する電流値が、電子制御装置52により制御される。また、切替弁35に信号圧を入力するオン・オフソレノイドバルブを設ける場合は、そのオン・オフソレノイドバルブのオン・オフの切り替えが、電子制御装置52によりおこなわれる。
つぎに、上記のように構成された車両1の制御および作用を説明する。例えば、イグニッションキーがスタート位置に操作され、かつ、ブレーキペダルが踏み込まれ、かつ、パーキングポジションが選択されると、停止しているエンジン2を始動させる条件が成立する。すると、エンジン2で燃料の噴射および燃焼がおこなわれてエンジン2が自律回転する。そして、ドライブポジションが選択されると、車速およびアクセル開度に基づいてエンジン出力が制御されるとともに、変速マップに基づいて変速機3の変速比が制御される。具体的には、変速機3で達成するべき変速段で係合される摩擦係合装置に作用する油圧が高められる。
さらに、摩擦係合装置に作用する油圧を制御する油圧制御装置5の作用について説明する。前記のようにエンジン2が運転されている場合は、そのエンジン2の動力でオイルポンプ6が駆動される。このため、タンク7のオイルがオイルポンプ6を経由して油路8に吐出される。油路8のオイルは油路9を経由してリニアソレノイドバルブ12の入力ポート16に至る。このリニアソレノイドバルブ12では油路10の圧油を制御するために、電磁部13の電磁コイル48に通電される電流値が制御される。まず、油路10の油圧が相対的に低圧であり、電磁コイル48に電流が流されていない(ノーマル)ときは、圧縮コイルばね33の弾性力でスプール24が図1で下向きに押圧される。
そして、プランジャー51がホルダ86の底部に接触した瞬間、または、スプール24の端部がボビン49に接触した瞬間におけるスプール24の位置が下死点である。ここで、スプール24の位置とは、中心線B1に沿った方向の位置である。スプール24が下死点にある場合は、入力ポート16と出力ポート17とが接続され、かつ、ドレーンポート18が遮断されている。このため、オイルポンプ7から吐出された圧油が、油路8および油路9を経由して入力ポート16に供給され、さらに、出力ポート17から油路10に排出される。その油路10に排出された圧油が、圧油供給対象部11に供給される。具体的には、摩擦係合装置に作用する油圧を制御する油圧室に供給されて油圧室の油圧が上昇し、変速機3の摩擦係合装置が係合される。また、軸受が潤滑される。あるいは、歯車同士の噛み合い部分が潤滑および冷却される。このように、リニアソレノイドバルブ12は、ノーマル時に入力ポート16と出力ポート17とが接続される、いわゆるノーマルオープン式のソレノイドバルブである。
そして、油路10の油圧が上昇すると、フィードバックポート19を経由してフィードバック室28に伝達される油圧が上昇する。すると、スプール24を図1で上向きに押圧する力が増加して、スプール24が圧縮コイルばね33の押圧力に抗して動作し、入力ポート16が遮断され、かつ、出力ポート17とドレーンポート18とが接続される。すると、油路10のオイルの一部がタンク7に排出されて、油路10の油圧が低下する。このように、油路10の油圧が低下すると、フィードバック室28の油圧が低下して、スプール24を図1で上向きに押圧する力が低下するため、圧縮コイルばね33の弾性力でスプール24が図1で下向きに動作して、入力ポート16と出力ポート17とが連通され、かつ、ドレーンポート18が遮断される。上記のようなスプール24の動作が繰り返されて、油路10の油圧が制御(調圧)される。
また、電磁コイル48に通電されてボビン49およびプランジャー51を通る磁気回路が形成されると、その吸引力によりプランジャー51を図1で上向きに押圧する力が生じる。すると、シャフト50がスプール24に押し付けられて、スプール24を図1で上向きに押す力が生じる。つまり、フィードバック室28の油圧に基づく力、および磁気吸引力(電磁力)が、スプール24に対して同じ向きで加えられる。そして、電磁コイル48に通電する電流値を相対的に高めるほど、発生する磁気吸引力が高くなる。このため、電磁コイル48に通電する電流値を相対的に高めるほど、油路9のオイルが油路10には供給されにくくなり、かつ、油路10のオイルがタンク7にドレーンされやすくなる。つまり、電磁コイル48に通電する電流値が相対的に高くなることにともない、油路10の油圧が低圧に制御され易いという特性を、リニアソレノイドバルブ12が有している。より具体的には、油路9の油圧よりも、油路10の油圧の方が低圧となる。つまり、リニアソレノイドバルブ12は減圧弁として機能する。
さらに、また、リニアソレノイドバルブ12の調圧特性は、次式で表すことができる。
Pout×(A1−A2)+Fi−Fsp=0
ここで、Poutは油路10の油圧であり、A1は受圧面30の面積であり、A2は受圧面29の面積であり、Fspは圧縮コイルバネ33からスプール24に加えられる力であり、Fiは電磁部13でスプール24に与えられる磁気吸引力である。なお、第1具体例において、スプール24が動作すると、流体室53の容積が拡大(増加)および縮小(減少)するが、流体室53に空気が吸入され、かつ、空気が排出されるため、スプール24の動作が妨げられることなくスムースに動作する。
上記のように、エンジン2の動力でオイルポンプ6が駆動されている場合は、前記リニアソレノイドバルブ12が油路10の油圧を制御する圧力制御弁として機能(作用)する。そして、リニアソレノイドバルブ12が圧力制御弁として機能するときは、前記切替弁35の信号圧ポート43に、高圧の信号圧が入力される。すると、切替弁35の入力ポート39が遮断され、かつ、入力ポート38と出力ポート40とが接続される。このようにして、タンク7が、油路36および油路34を経由してバネ室32と接続される。ここで、前記のようにスプール24が図1で上下方向に動作してバネ室33の容積が拡大および縮小を繰り返す。バネ室33の容積が拡大する過程で、タンク7のオイルが油路36,34を経由してバネ室33に吸入される。ついで、バネ室33の容積が縮小する過程では、圧油供給対象部46の油圧が高く、逆止弁47が閉じられているため、バネ室33のオイルは、油路34,36を経由してタンク7に戻される。つまり、タンク7からバネ室33に吸入されたオイルが、圧油供給対象部46に供給されることはない。言い換えれば、リニアソレノイドバルブ12はオイルポンプとしては機能していないことになる。
ところで、車両1においてエンジン2を停止させる条件が成立した場合について説明する。例えば、エンジン2が運転されているときに、イグニッションキーは操作されず、ドライブポジションが選択されかつ、アクセルペダルが戻され、かつ、ブレーキペダルが踏み込まれ、かつ、車速が零である場合に、エンジン2を停止させる条件が成立する。これは、エコラン制御と呼ばれるものであり、エンジン2における燃料消費量を相対的に少なくするための制御である。
このようにして、エンジン2が停止された場合、アクセルペダルが踏み込まれたこと、またはブレーキペダルが戻されたことのいずれか一方が検出されると、エンジン2を停止させる条件が不成立となり、エンジン2が始動される。このような制御をおこなうとき、エンジン2の停止中は、オイルポンプ6が停止しており、変速機3の摩擦係合装置に作用する油圧を制御する油圧室にオイルが供給されなくなるため、エンジン2を始動させて車両1が発進しようとすると、摩擦係合装置の係合が相対的に遅れる可能性がある。このような不具合を未然に防止するため、この第1具体例では、エンジン2が停止されている場合も、油圧室にオイルを供給可能とするものである。これは、リニアソレノイドバルブ12をオイルポンプとして機能させることで達成することができ、リニアソレノイドバルブ12をオイルポンプとして機能させる制御例を、以下に説明する。
前記エンジン2が停止しているときに、前記切替弁35の信号圧ポート43に低圧の信号圧が入力される。これにより、前記タンク7とバネ室33とが、油路37および油路34を経由して接続され、入力ポート38が遮断される。また、前記リニアソレノイドバルブ12の電磁コイル48に通電する電流値を、上昇および低下させる制御を繰り返す。このように、電磁コイル48に通電される電流値が制御されると、スプール24が図1で上下方向に動作し、バネ室33の容積の拡大および縮小が交互に繰り返される。具体的には、スプール24が図1で上向きに動作し、ついで、スプール24が下向きとなるときの折り返し点をスプール24の上死点とすると、スプール24が上死点から下死点に向けて動作して、バネ室33の容積が拡大する過程でバネ室33が負圧となる。すると、逆止弁47が閉じられるとともに、逆止弁44が開放され、タンク7のオイルが油路37および油路34を経由してバネ室33に吸入される。
これに対して、スプール24が下死点から上死点に向けて動作してバネ室33の容積が縮小する過程で、バネ室33の圧力が上昇する。すると、逆止弁44が閉じられるとともに、逆止弁47が開放され、バネ室33のオイルが油路45を経由して圧油供給対象部46に供給される。以下、スプール24が図1で上下方向に連続して往復動する動作が繰り返されて、圧油供給対象部11,46に供給する圧油の流量が確保される。このように、リニアソレノイドバルブ12がオイルポンプとして機能するため、エンジン2が停止し、かつ、オイルポンプ6が停止しているときにも、摩擦係合装置の油圧を制御する油圧室の油圧を、予め定められた値に保持しておくことができる。したがって、車両1の発進時に変速機で所定の変速段を迅速に達成できる。
また、第1具体例によれば、単一(単数)のリニアソレノイドバルブ12が、圧力制御弁としての機能と、オイルポンプとしての機能とを兼備しており、圧力制御弁状態と、オイルポンプ状態とを切り替え可能である。したがって、リニアソレノイドバルブ12の他に、オイルポンプを新たに設けずに済み、リニアソレノイドバルブ12自体の製造コスト、さらには油圧制御装置5の製造コストの上昇を抑制できる。より具体的には、特開2006−300022号に記載されているような電磁弁を用いたオイルポンプを設ける場合に比べて、この具体例の方が電磁弁の数が1個少なくて済む。
また、切替弁35を設け、かつ、逆止弁44,47を設けるという小規模な改良で、リニアソレノイドバルブ12が、圧力制御弁としての機能に加えて、オイルポンプとしての機能を発揮できる。したがって、油圧制御装置5の部品点数の増加を抑制でき、油圧制御装置5の体格が大型化することを回避できるとともに、油圧制御装置5の配置スペースが拡大することを回避でき、車載性が向上する。また、第1具体例によれば、バネ室33を、オイルを吸入して一時的に保持するポンプ室として有効に利用できるため、油圧制御装置5の体格の大型化を一層回避できる。また、スプール24が動作してバネ室33の容積が拡大および縮小したときに、スプール24の動作を妨げる力が生じることを抑制するために、元々、バネ室33に通じる孔がケーシング15に設けられており、その孔を吸入ポート20および吐出ポート21として利用するため、ケーシング15に新たな加工を施さずに済む。さらに、切替弁35の動作切り換えをおこなう機構として、油路8または油路9の油圧を信号圧ポート43に入力する油路146を設ける構成を採用すると、オイルポンプ6が停止して信号圧ポート43に入力される信号圧が低圧になると、自動的に切替弁35の動作が切り替えられるため、切替弁35の動作を人為的に制御せずに済む。また、ソレノイドバルブ170を設けずに済むため、シンプルな構成で切替弁35の動作を切り替えることができる。
この第1具体例は、請求項1および請求項2および請求項3および請求項4および請求項5および請求項13および請求項14に対応する例であり、第1具体例で説明した構成と、この発明の構成との対応関係を説明すると、油圧制御装置5が、この発明の流体制御回路に相当し、リニアソレノイドバルブ12が、この発明の流体制御弁に相当し、入力ポート16および出力ポート17およびドレーンポート18が、この発明のポートに相当し、スプール24が、この発明の可動部材に相当し、バネ室32が、この発明の収容室およびポンプ室を兼ねており、圧油供給対象部46が、この発明の流体供給部に相当する。また、電磁部13が、この発明のアクチュエータに相当し、圧縮コイルばね33またはゴム状弾性体が、この発明の弾性部材に相当し、タンク7が、この発明の開放部に相当し、プランジャー50が、この発明の押圧部材に相当する。
さらに、逆止弁44が、この発明の吸入弁に相当し、逆止弁47が、この発明の吐出弁に相当する。なお、この第1具体例においては、電磁部13および切替弁35および電子制御装置52が、リニアソレノイドバルブ12を、ポンプ状態と圧力制御弁状態とに切り替える制御装置として機能する。また、信号圧ポート43に信号圧を入力するソレノイドバルブ170が設けられている場合は、そのソレノイドバルブ170も、上記制御装置に含まれる。
(第2具体例)
つぎに、油圧制御装置5の第2具体例を、図3に基づいて説明する。図3において、図1と同じ構成については、図1と同じ符号を付してある。第2具体例は第1具体例と略同じに構成されており、第2具体例と第1具体例とでは、切替弁35の構成が異なる。第2具体例では、信号圧ポート43の信号圧でスプール41に加わる力が、第1具体例とは逆向きであり、第3具体例では、圧縮コイルばね42からスプール41に加わる力が、第1具体例とは逆向きである。また、第2具体例では、信号圧ポート43に入力される信号圧を高低に制御するオン・オフ型のソレノイドバルブ170が設けられており、そのソレノイドバルブ170から出力される信号圧が、電子制御装置52により制御される構成である。この第2具体例においては、切替弁35が、信号圧ポート43に入力される信号圧が低圧であるときに、入力ポート38と出力ポート40が接続され、かつ、入力ポート39が遮断される構成である。また、切替弁35は、信号圧ポート43に入力される信号圧が高圧であるときに、入力ポート39と出力ポート40とが接続され、かつ、入力ポート38が遮断される構成である。
つぎに、この第2具体例の制御を説明すると、エンジン2の動力でオイルポンプ6が駆動されているときは、切替弁35の信号圧ポート43に入力される信号圧が低圧に制御される。すると、第1具体例と同様にして、リニアソレノイドバルブ12が圧力制御弁として機能する。これに対して、エンジン2が停止されて、オイルポンプ6がオイルを吐出しなくなると、切替弁35の信号圧ポート43に入力される信号圧が高圧に制御される。すると、第1具体例と同様に油路37と油路34とが接続され、かつ、リニアソレノイドバルブ12に供給する電流値が、第1具体例と同様に制御されて、リニアソレノイドバルブ12がオイルポンプとして機能する。したがって、第2具体例においても第1具体例と同じ効果を得ることができる。この第2具体例は、請求項1および請求項2および請求項3および請求項4および請求項13および請求項14に対応する例である。第2具体例の構成と、この発明の構成との対応関係は、第1具体例の場合と同じである。さらに、第2具体例においても、リニアソレノイドバルブ12の調圧特性は、第1具体例で説明した数式で表すことができる。
(第3具体例)
つぎに、油圧制御装置5の第3具体例を、図4に基づいて説明する。図4において、図1と同じ構成については、図1と同じ符号を付してある。第3具体例は第1具体例と略同じに構成されており、第3具体例と第1具体例とでは、油路34および油路45が接続されるポンプ室の位置が異なる。この第3具体例では、ケーシング15に、流体室53に接続された吸入ポート55および吐出ポート56が形成されている。また、第3具体例では、ケーシング15に、バネ室33に接続された空気孔57が設けられている。なお、第3具体例において、油路34に切替弁35を介して油路36,37が接続され、その油路37に逆止弁44が設けられている点は、第1具体例と同じである。さらに、油路45が圧油供給対象部46に接続され、その油路45に逆止弁47が設けられている点も、第1具体例と同じである。
この第3具体例において、エンジン2が運転され、そのエンジン2の動力でオイルポンプ6が駆動されて、オイルポンプ6からオイルが油路9に供給され、かつ、リニアソレノイドバルブ12が圧力制御弁として機能する場合に、油路10の圧力が制御される作用は、第1具体例と同じである。また、リニアソレノイドバルブ12が圧力制御弁として機能するとき、スプール24が図3で上向きで動作する過程で流体室53の容積が拡大するとともに、スプール24が図3で下向きで動作する過程で流体室53の容積が縮小する。この第3具体例において、リニアソレノイドバルブ12が圧力制御弁として機能するときに、切替弁35の動作も第1具体例と同じである。このため、タンク7のオイル油路36および油路34を経由して流体室53に吸入され、その流体室53のオイルがタンク7に戻る。したがって、タンク7のオイルが流体室53を経由して圧油供給対象部46に供給されることはない。
これに対して、第3具体例でエンジン2が停止したときの制御を説明する。この場合は、切替弁35が第1具体例と同様に制御されて、油路34と油路37とが接続され、入力ポート38が遮断される。そして、リニアソレノイドバルブ12の電磁部13に供給される電流値を第1具体例と同様に制御する。すると、スプール24が図3で上向きに動作する過程で、流体室53の容積が拡大するとともに、スプール24が図3で下向きに動作する過程で、流体室53の容積が縮小する作用を繰り返す。このように、流体室53の容積が拡大される過程では、その流体室53が負圧となり逆止弁44が開放され、かつ、逆止弁47が閉じられる。また、流体室53の容積が拡大される過程では、その流体室53が負圧となり逆止弁44が開放され、かつ、逆止弁47が閉じられる。このため、タンク7のオイルが油路37および油路34を経由して流体室53に吸入される。これに対して、流体室53の容積が縮小する過程では、その流体室53の油圧が上昇して、逆止弁47が開放され、かつ、逆止弁44が閉じられる。すると、流体室53のオイルが油路45を経由して圧油供給対象部46に供給される。
このように、第3具体例においても、リニアソレノイドバルブ12を、圧力制御弁として機能させるか、オイルポンプとして機能させるかを切り替え可能であり、第1具体例と同じ効果を得られる。また、ケーシング15に設けられた吐出ポート55,56は、元々、ケーシング15に空気孔として設けられているものを流用しており、新たにケーシング15に設けたものではないため、第1具体例と同じ効果を得られる。
さらに、第3具体例では、リニアソレノイドバルブ12がオイルポンプとして機能するとき、電磁部13でスプール24に加えられる磁気吸引力と、圧縮コイルばね33からスプール24に加えられる押圧力との差が、流体室53に圧油を吸入する力となる。また、流体室53の圧油を圧油供給対象部46に導くときに、スプール24を図4で下向きに動作させる力は、圧縮コイルばね33により発生する。ここで、流体室53に圧油を吸入する場合に必要な力の方が、流体室53から圧油を吐出する場合に必要な力よりも小さくて済む。これは、圧油の流れ方向で、下流側に「狭い油路」が位置する向きで圧油が流れる方が、「広い流体室」が位置する向きで圧油が流れる場合に比べて、流通抵抗が高いからである。そして、第3具体例では、流体室53に圧油を吸入する場合に必要な力の一部を、電磁部13で発生させる構成であるため、流体室から圧油を吐出する場合に必要な力の一部を、電磁部で発生させる構成に比べて、消費電力を相対的に少なくすることができる。また、第3具体例において、スプール24が図3で上下方向に動作するとき、バネ室22には空気孔57を経由して空気が吸入され、ついで、バネ室33の空気がバネ室33から吐出される。このため、スプール24の動作が阻害されることを回避できる。
この第3具体例は、請求項1および請求項2および請求項3および請求項13および請求項14の発明に相当するものである。第3具体例の構成と、この発明の構成との対応関係は、第1具体例の構成と、この発明の構成との対応関係と同じである。さらに、第3具体例においても、リニアソレノイドバルブ12の調圧特性は、第1具体例で説明した数式で表すことができる。
(第4具体例)
つぎに、油圧制御装置5の第4具体例を、図5に基づいて説明する。図5において、図1および図4と同じ構成については、図4と同じ符号を付してある。第4具体例は第3具体例と略同じに構成されており、第3具体例と第4具体例とでは、切替弁35の構成が異なる。第4具体例では、信号圧ポート43の信号圧でスプール41に加わる力が、第3具体例とは逆向きであり、第4具体例では、圧縮コイルばね42からスプール41に加わる力が、第3具体例とは逆向きである。また、第4具体例では、信号圧ポート43に入力される信号圧を高低に制御するオン・オフソレノイドバルブ170が設けられており、そのオン・オフソレノイドバルブ170から出力される信号圧が、電子制御装置52により制御される構成である。この第4具体例においては、切替弁35が、信号圧ポート43に入力される信号圧が低圧であるときに、入力ポート38と出力ポート40が接続され、かつ、入力ポート39が遮断される構成である。また、切替弁35は、信号圧ポート43に入力される信号圧が高圧であるときに、入力ポート39と出力ポート40とが接続され、かつ、入力ポート38が遮断される構成である。
つぎに、この第4具体例の制御を説明すると、エンジン2の動力でオイルポンプ6が駆動されているときは、切替弁35の信号圧ポート43に入力される信号圧が低圧に制御される。すると、第1具体例と同様にして、リニアソレノイドバルブ12が圧力制御弁として機能する。これに対して、エンジン2が停止されて、オイルポンプ6がオイルを吐出しなくなると、切替弁35の信号圧ポート43に入力される信号圧が高圧に制御される。すると、第3具体例と同様に油路37と油路34とが接続され、かつ、リニアソレノイドバルブ12に供給する電流値が、第3具体例と同様に制御されて、リニアソレノイドバルブ12がオイルポンプとして機能する。したがって、第4具体例においても第3具体例と同じ効果を得ることができる。この第4具体例は、請求項1および請求項2および請求項3および請求項13および請求項14の発明に相当するものである。第4具体例の構成と、この発明の構成との対応関係は、第3具体例の構成と、この発明の構成との対応関係と同じである。さらに、第4具体例においても、リニアソレノイドバルブ12の調圧特性は、第1具体例で説明した数式で表すことができる。
(第5具体例)
つぎに、油圧制御装置5の第5具体例を、図6に基づいて説明する。この第5具体例において、第1具体例と同じ構成部分については図1と同じ符号を付してある。この第5具体例では、フィードバック室28がポンプ室として機能する点で、第1具体例と相違している。具体的に説明すると、ケーシング15には、フィードバック室28に連通するフィードバックポート19および吸入ポート55および吐出ポート56が設けられている。このフィードバックポート19および吸入ポート55が接続された切替弁58が設けられている。この切替弁58は、リニアソレノイドバルブ12を、圧力制御弁としての状態と、オイルポンプとしての状態とに切り替えるために設けられている。
この切替弁58は、ポート59,60,61,62,63,64と、ポート同士を接続または遮断するように動作するスプール65と、スプール65に動作を与える圧縮コイルばね66と、圧縮コイルばね66の力とは逆向きの力をスプール65に与える信号圧ポート67とを有している。この信号圧ポート67に入力される信号圧を制御する構成は、第1具体例で信号圧ポート43の信号圧を制御する構成と同じである。上記のポート59は油路68を経由して吸入ポート55に接続され、この油路68には逆止弁69が設けられている。この逆止弁69は、ポート59から吸入ポート55に向けて圧油が流れる向きで開放され、かつ、吸入ポート55からポート59に圧油が流れる向きで閉じられる構成である。また、ポート60はフィードバックポート19に接続され、ポート61は油路45に接続されている。さらに、ポート62は圧油供給対象部46に接続され、ポート63はタンク7に接続されている。さらに、ポート64は油路10に接続されている。なお、第5具体例では、第3具体例と同様に、ケーシング15に空気孔57が形成されている。
つぎに、この第5具体例の制御および作用を説明する。エンジン2のトルクでオイルポンプ6が駆動されているときは、第1具体例と同様に、リニアソレノイドバルブ12を圧力制御弁として機能させるための制御がおこなわれる。具体的には、切替弁58の信号圧ポート67に高圧の信号圧が入力される。すると、切替弁58ではスプール65の動作により、ポート60とポート64とが接続されるとともに、その他のポートは全て遮断される。そして、オイルポンプ6から吐出された圧油が、油路8および油路9を経由し、かつ、リニアソレノイドバルブ12の入力ポート16および出力ポート17を経由して油路10に吐出され、油路10の圧油が圧油供給対象部11に供給される。ここで、油路10の油圧が相対的に低圧であるときには、ドレーンポート18が遮断されている。また、切替弁58のポート60とポート64とが接続されているため、油路10の油圧はフィードバックポート19を経由してフィードバック室28にも伝達される。
このようにして、油路10に圧油が供給されて油路10の油圧が上昇すると、フィードバック室28の油圧が上昇するため、スプール24を図6で上向きに押圧する力が増加する。そして、入力ポート16が閉じられ、かつ、出力ポート17とドレーンポート18とが接続されると、油路10の圧油の一部がドレーンポート18を経由してタンク7に排出されて、油路10の油圧が低下する。油路10の油圧が低下すると、フィードバック室28に作用する油圧が低下するため、スプール24は圧縮コイルばね33の押圧力で、図6において下向きに動作し、ドレーンポート18が閉じられ、かつ、入力ポート16と出力ポート17とが接続される。以下、同様の作用を繰り返し、油路10の油圧が制御される。
また、リニアソレノイドバルブ12では電磁部13に供給する電流値を制御することにより、スプール24を図6で上向きに押圧する磁気吸引力を制御することが可能であり、その電流値の制御により、油路10の調圧特性を制御できることは、第1具体例と同じである。この第5具体例においても、電磁部13に供給する電流値を高めるほど、スプール24を図6で上向きに押圧する力が増加し、油路10の油圧が相対的に低下する特性となることは、第1具体例と同じである。このようにして、リニアソレノイドバルブ12が圧力制御弁として機能する。
上記のように、リニアソレノイドバルブ12が圧力制御弁として機能しているとき、油路10の油圧変化により、スプール24が中心線B1に沿って往復動する。このため、フィードバック室28の容積が拡大および縮小する作用を交互に繰り返す。具体的には、スプール24が図6で上向きに動作する過程でフィードバック室28の容積が拡大し、スプール24が図6で下向きに動作する過程でフィードバック室28の容積が縮小する。このように、フィードバック室28の容積が拡大する過程では、フィードバック室28が負圧となり、逆止弁69が開放され、かつ、逆止弁47が閉じられるが、切替弁58のポート59が閉じられているため、このポート59を経由して圧油がフィードバック室28に吸入される作用は生じない。
これとは逆に、フィードバック室28の容積が縮小する過程では、フィードバック室28の圧力が上昇して逆止弁47が開放され、かつ、逆止弁44が閉じられるが、切替弁58のポート61が閉じられているため、フィードバック室28の圧油が圧油供給対象部46に供給される作用は生じない。さらに、第3具体例においても、リニアソレノイドバルブ12の調圧特性は、第1具体例で説明した数式で表すことができる。
つぎに、第5具体例において、エンジン2が停止してオイルポンプ6が停止した場合にリニアソレノイドバルブ12をオイルポンプとして機能させる場合の制御および作用を説明する。まず、切替弁58の信号圧ポート67に入力される信号圧が低圧となり、スプール65が動作して、ポート63とポート59とが接続され、かつ、ポート61とポート62とが接続され、かつ、ポート60およびポート64が共に遮断される。そして、第1具体例と同様にして、リニアソレノイドバルブ12の電磁部13に供給する電流値を制御して、スプール24を図6で上下方向に往復動させる。スプール24が往復動すると、フィードバック室28の容積が拡大および縮小する作用を交互に繰り返す。スプール24の動作によりフィードバック室28の容積が拡大する過程では、フィードバック室28が負圧となり、逆止弁69が開放され、かつ、逆止弁47が閉じられる。
すると、タンク7のオイルが、切替弁58および油路68を経由してフィードバック室28に吸入される。これに対して、スプール24の動作によりフィードバック室28の容積が縮小する過程では、フィードバック室28が上昇して逆止弁47が開放され、かつ、逆止弁69が閉じられる。このため、フィードバック室28から吐出されたオイルが、油路45、および切替弁58のポート61,62を経由して、圧油供給対象部46に供給される。以後、スプール24を往復動させることにより、圧油供給対象部46に供給される圧油量を制御できる。
このように、第5具体例においても、リニアソレノイドバルブ12を、圧力制御弁として機能する状態と、オイルポンプとして機能する状態とに切り替えることができる。したがって、エンジン2が停止してオイルポンプ6が停止している場合でも、タンク7のオイルを圧油供給対象部46に供給することができる。また、第5具体例において、リニアソレノイドバルブ12がオイルポンプとして機能するとき、電磁部13でスプール24に加えられる磁気吸引力と、圧縮コイルばね33からスプール24に加えられる押圧力との差が、フィードバック室28に圧油を吸入する力となる。また、フィードバック室28の圧油を圧油供給対象部46に導くときに、スプール24を図6で下向きに動作させる力は、圧縮コイルばね33により発生する。ここで、フィードバック室28に圧油を吸入する場合に必要な力の方が、フィードバック室28から圧油を吐出する場合に必要な力よりも小さくて済む。そして、第5具体例では、フィードバック室28に圧油を吸入する場合に必要な力の一部を、電磁部13で発生させる構成であるため、スプールを動作させて圧油を吐出する場合に必要な力の一部を電磁部で発生させる構成に比べて、消費電力を相対的に少なくすることができる。
さらに、第5具体例では、リニアソレノイドバルブ12をオイルポンプとして機能させるとき、フィードバック室28をポンプ室として利用しており、プランジャー51およびシャフト50が配置されている空間と、フィードバック室28との間にはランド部27が配置されている。そして、そのランド部27の外周面が小径孔23の内周面に接触した状態でスプール24が往復動し、ランド部27と小径孔23の内周面との接触部分がシール面として機能する。このため、フィードバック室28に吸入された圧油が、プランジャー51およびシャフト50が配置されている空間に漏れることを回避でき、フィードバック室28に吸入された圧油の殆どを、圧油供給対象部46に供給することができる。つまり、スプール24の動作に使用されたエネルギに対して、リニアソレノイドバルブ12のポンプ効率が向上する。
なお、第5具体例において、リニアソレノイドバルブ12がオイルポンプとして機能するかまたは圧力制御弁として機能するかに関わりなく、スプール24が図6で上下方向に動作するとき、バネ室22には空気孔57を経由して空気が吸入され、ついで、バネ室33の空気がバネ室33から吐出される。また、スプール24が図6で上下方向に動作するとき、流体室53には空気孔54を経由して空気が吸入され、ついで、流体室53の空気が空気孔54から吐出される。このため、スプール24の動作が阻害されることを回避できる。
この第5具体例は、請求項1ないし請求項3の発明、請求項6ないし請求項14の発明に相当する具体例である。この第5具体例では、逆止弁69がこの発明の吸入弁に相当し、逆止弁47が、この発明の吐出弁に相当し、フィードバック室28が、この発明のポンプ室を兼ねている。この第5具体例のその他の構成と、この発明の構成との対応関係は、第1具体例の構成と、この発明の構成との対応関係と同じである。
(第6具体例)
つぎに、油圧制御装置5の第6具体例を、図7に基づいて説明する。この第6具体例は、フィードバック室28をポンプ室として機能させる点で、第5具体例と共通している。なお、第6具体例において、第5具体例と同じ構成部分については、図6と同じ符号を付してある。この第6具体例では、ケーシング15に吸入ポート55は設けられているが、第5具体例で述べた吐出ポート56は設けられていない。その意味は後述する。また、このフィードバックポート19は、リニアソレノイドバルブ12に元々設けられていた孔であり、吸入ポート55は新たに追加した孔である。この吸入ポート55の内径は、フィードバックポート19の内径よりも大きい。そして、吸入ポート55およびフィードバックポート19および油路10接続された切替弁70が設けられている。
この切替弁70は、リニアソレノイドバルブ12を、圧力制御弁またはオイルポンプとして機能する場合に切り替え制御されるものである。切替弁70は、ポート71,73,74,75,76と、ポートの接続および遮断をおこなうスプール77と、スプール77を動作させる力を与える圧縮コイルばね78と、圧縮コイルばね78とは逆向きの力をスプール77に与える信号圧ポート79とを有している。この信号圧ポート79に入力される信号圧を高低に制御する機構は、第1具体例で切替弁35の信号圧ポート43の信号圧を制御する機構と同じである。
そして、ポート71が油路80を経由して吸入ポート55に接続され、ポート73が油路81を経由してフィードバックポート19に接続されている。また、ポート75が油路10に接続されている。さらに、ポート74には油路82を経由して圧油供給対象部46が接続されている。この油路82には逆止弁83が設けられている。この逆止弁83は、ポート74から圧油供給対象部46に圧油が流れる向きで開放され、圧油供給対象部46からポート74に圧油が流れる向きでは閉じられる構成である。さらに、ポート76とタンク7とが油路84により接続され、油路84には逆止弁85が設けられている。この逆止弁85は、タンク7からポート76に圧油が流れる向きで開放され、ポート76からタンク7に圧油が流れる向きでは閉じられる構成である。
つぎに、第6具体例における油圧制御装置5の制御および作用を説明する。まず、エンジン2の動力でオイルポンプ6が駆動されるときは、リニアソレノイドバルブ12を圧力制御弁として用いる。リニアソレノイドバルブ12を圧力制御弁として用いるときは、切替弁70の信号圧ポート79に高圧の信号圧が入力される。すると、切替弁70のスプール77が動作して、ポート73とポート75とが接続され、その他のポートが全て遮断される。そして、オイルポンプ6から吐出された圧油が、油路8および油路9を経由し、かつ、リニアソレノイドバルブ12の入力ポート16および出力ポート17を経由して油路10に吐出され、油路10の圧油が圧油供給対象部11に供給される。ここで、油路10の油圧が相対的に低圧であるときには、ドレーンポート18が遮断されている。また、切替弁70ではポート73とポート75とが接続されているため、油路10の油圧はフィードバックポート19を経由してフィードバック室28にも伝達される。
このようにして、油路10に圧油が供給されて油路10の油圧が上昇すると、フィードバック室28の油圧が上昇するため、スプール24を図7で上向きに押圧する力が増加する。そして、入力ポート16が閉じられ、かつ、出力ポート17とドレーンポート18とが接続されると、油路10の圧油の一部がドレーンポート18を経由してタンク7に排出されて、油路10の油圧が低下する。油路10の油圧が低下すると、フィードバック室28に作用する油圧が低下するため、スプール24は圧縮コイルばね33の押圧力で、図7において下向きに動作し、ドレーンポート18が閉じられ、かつ、入力ポート16と出力ポート17とが接続される。以下、同様の作用を繰り返し、油路10の油圧が制御される。
また、リニアソレノイドバルブ12では電磁部13に供給する電流値を制御することにより、スプール24を図7で上向きに押圧する磁気吸引力を制御することが可能であり、その電流値の制御により、油路10の調圧特性を制御できることは、第1具体例と同じである。この第6具体例においても、電磁部13に供給する電流値を高めるほど、スプール24を図7で上向きに押圧する力が増加し、油路10の油圧が相対的に低下する特性となることは、第1具体例と同じである。このようにして、リニアソレノイドバルブ12が圧力制御弁として機能する。
上記のように、リニアソレノイドバルブ12が圧力制御弁として機能しているとき、油路10の油圧変化により、スプール24が中心線B1に沿って往復動する。このため、フィードバック室28の容積が拡大および縮小する作用を交互に繰り返す。スプール24が図6で上向きに動作する過程でフィードバック室28の容積が増大すると、フィードバック室28が負圧となるが、切替弁70のポート71が閉じられているため、タンク7の圧油がフィードバック室28に吸入される作用は生じない。さらに、第6具体例においても、リニアソレノイドバルブ12の調圧特性は、第1具体例で説明した数式で表すことができる。
つぎに、第6具体例において、エンジン2が停止してオイルポンプ6が停止した場合にリニアソレノイドバルブ12をオイルポンプとして機能させる場合の制御および作用を説明する。まず、切替弁70の信号圧ポート79に入力される信号圧が低圧となり、スプール77が動作して、ポート71とポート76とが接続され、かつ、ポート73とポート74とが接続され、かつ、ポート75が遮断される。そして、第1具体例と同様にして、リニアソレノイドバルブ12の電磁部13に供給する電流値を制御して、スプール24を図7で上下方向に往復動させる。スプール24が往復動すると、フィードバック室28の容積が拡大および縮小する作用を交互に繰り返す。スプール24の動作によりフィードバック室28の容積が拡大する過程では、フィードバック室28が負圧となり、逆止弁85が開放され、かつ、逆止弁83が閉じられる。
すると、タンク7のオイルが、切替弁70および油路80を経由してフィードバック室28に吸入される。これに対して、スプール24の動作によりフィードバック室28の容積が縮小する過程では、フィードバック室28が上昇して逆止弁83が開放され、かつ、逆止弁85が閉じられる。このため、フィードバック室28のオイルが、フィードバックポート19および油路81,82を経由して、圧油供給対象部46に供給される。ここで、第6具体例では、第5具体例で述べた吐出ポート56が設けられていない理由を説明すると、第6具体例では、フィードバック室28の圧油を圧油供給対象部46に供給するとき、フィードバックポート19が、吐出ポートとして機能するからである。
このように、第6具体例においても、リニアソレノイドバルブ12を、圧力制御弁として機能する状態と、オイルポンプとして機能する状態とに切り替えることができる。したがって、エンジン2が停止してオイルポンプ6が停止している場合でも、タンク7のオイルを圧油供給対象部46に供給することができる。また、第6具体例においても、フィードバック室28に圧油を吸入する場合に必要な力の一部を、電磁部13で発生させる構成であり、第5具体例と同様の原理により、スプールを動作させて圧油を吐出する場合に必要な力の一部を電磁部で発生させる構成に比べて、消費電力を相対的に少なくすることができる。
さらに、第6具体例では、吸入ポート55の内径がフィードバックポート19の内径よりも大きい。このため、タンク7からフィードバック室28に圧油を吸入するときに、吸入ポート55を通る圧油の吸入抵抗を相対的に低くすることができ、オイルポンプとしての効率を向上することができる。さらに吸入ポート55の内径が相対的に大きいため、キャビテーションの発生を抑制できる。さらに、フィードバックポート19は元々設けられているものであり、その内径がスプール24の動作による調圧応答性を考慮して決定されている。そして、この具体例ではフィードバックポート19はそのまま用いている。これに対して、吸入ポート55は吸入効率が相対的に高くなるように、その内径を決定し、かつ、新たに設けたものである。したがって、第6具体例では、リニアソレノイドバルブ12を圧力制御弁として機能させる場合の調圧応答性の維持と、リニアソレノイドバルブ12をオイルポンプとして機能させる場合のポンプ効率の向上とを両立できる。なお、第6具体例において、その他の作用効果は第5具体例と同じである。
この第6具体例は、請求項1ないし請求項3の発明、請求項6ないし請求項14の発明、請求項23の発明に相当する具体例である。この第6具体例では、逆止弁85が、この発明の吸入弁に相当し、逆止弁83が、この発明の吐出弁に相当し、フィードバック室28が、この発明のポンプ室を兼ねており、フィードバックポート19が、この発明の吐出ポートを兼ねており、吸入ポート55が、この発明の吸入ポートに相当する。この第6具体例のその他の構成と、この発明の構成との対応関係は、第1具体例の構成と、この発明の構成との対応関係と同じである。
(第7具体例)
つぎに、油圧制御装置5の第7具体例を、図8に基づいて説明する。この第7具体例は、バネ室33をポンプ室として機能させる点で、第1具体例と共通している。なお、第7具体例において、第1具体例と同じ構成部分については、図1と同じ符号を付してある。この第7具体例では、ケーシング15の構成が第1具体例とは異なる。まず、ケーシング15には一定内径の支持孔88が設けられており、その支持孔88内にスプール24が動作可能に配置されている。また、第7具体例のスプール24は、第1具体例のスプール24とは構成が異なる。第7具体例では、スプール24に2個のランド部89,90が形成されている。また、スプール24におけるランド部89とランド部90との間にはバリー部(谷部)24Aが形成されている。ランド部89,90の外径は同一であり、バリー部24の外径は、ランド部89,90の外径よりも小さい。そして、ケーシング15内において、ストッパ31とランド部90との間にバネ室32が形成されている。
また、ケーシング15には、バネ室32に連通する吸入ポート20および吐出ポート21が形成されている。この吐出ポート21は、ケーシング15に元々設けられていた孔であり、吸入ポート20は、ケーシング15に新たに形成した孔である。さらに、吸入ポート20の内径は、吐出ポート21の内径よりも大きい。さらに、ケーシング15には、入力ポート16および出力ポート17およびドレーンポート18が形成されており、スプール24が動作すると、出力ポート17がランド部90により開閉され、かつ、ドレーンポート18がランド部89により開閉される構成である。さらに、第7具体例では、ケーシング15内において、ランド部89とボビン49との間に、流体室53が形成されている。そして、ケーシング15には流体室53に連通する通路54が形成されている。
一方、第7具体例においては、吸入ポート20および吐出ポート21と、圧油供給対象部11,46との間の油路に切替弁91が設けられている。この切替弁91は、リニアソレノイドバルブ12を、圧力制御弁またはオイルポンプとして機能させるために設けられている。切替弁91は、ポート92,94,95,96,97と、ポートの接続および遮断をおこなうスプール98と、スプール98を動作させる力を与える圧縮コイルばね99と、圧縮コイルばね99とは逆向きの力をスプール98に与える信号圧ポート100とを有している。この信号圧ポート100に入力される信号圧を高低に制御する機構は、第1具体例の信号圧ポート43の信号圧を高低に制御する機構と同じである。
そして、ポート92が油路101を経由して吸入ポート20に接続され、ポート94が油路102を経由して吐出ポート21に接続されている。また、ポート96は油路10に接続され、ポート97は油路103を経由してタンク7に接続されている。この油路103には逆止弁104が設けられている。この逆止弁104は、タンク7からポート97に圧油が吸入される向きで開放され、ポート97からタンク7に圧油が流れる向きでは閉じられる構成である。さらに、ポート95と圧油供給対象部46とが油路105により接続され、油路105には逆止弁106が設けられている。この逆止弁106は、ポート95から圧油供給対象部46に圧油が流れる向きで開放され、圧油供給対象部46からポート95に圧油が流れる向きでは閉じられる構成である。
つぎに、第7具体例における油圧制御装置5の制御および作用を説明する。まず、エンジン2の動力でオイルポンプ6が駆動されるときは、リニアソレノイドバルブ12を圧力制御弁として用いる。リニアソレノイドバルブ12を圧力制御弁として用いるときは、切替弁91の信号圧ポート100に高圧の信号圧が入力される。すると、切替弁91のスプール77が圧縮コイルばね99の力に抗して動作し、ポート94とポート96とが接続され、その他のポートが全て遮断される。この切替弁91の動作により、油路10とバネ室3とが、油路102を経由して接続される。
一方、リニアソレノイドバルブ12を圧力制御弁として用いるとき、電磁部13に電流が供給されるとともに、磁気吸引力でスプール24が図8で上向きに押され、圧縮コイルばね33の押圧力に抗して図8で上向きに動作する。このスプール24の動作により入力ポート16と出力ポート17とが接続され、かつ、ドレーンポート18が遮断されると、オイルポンプ6から吐出された圧油が、油路8および油路9を経由し、かつ、リニアソレノイドバルブ12の入力ポート16および出力ポート17を経由して油路10に吐出され、油路10の圧油が圧油供給対象部11に供給される。また、油路10の油圧は、油路102を経由してバネ室33に伝達されており、そのバネ室32の油圧により、スプール24を圧縮コイルばね33と同じ向きで押圧する力が発生する。ここで、油路10の油圧が相対的に低圧であるときには、スプール24は図8で下向きには動作せず、入力ポート16と出力ポート17とが接続され、かつ、ドレーンポート18が遮断された状態に維持される。
そして、油路10の油圧が上昇してバネ室32の油圧が上昇すると、スプール24を図8で下向きに押圧する力が増加する。すると、スプール24が図8で下向きに動作して、出力ポート17が閉じられ、かつ、入力ポート16とドレーンポート18とが接続される。このため、オイルポンプ6から吐出された圧油は油路10には供給されることなく、タンク7に戻される。その後、油路10の油圧が低下すると、バネ室32の油圧も低下するため、スプール24は磁気吸引力で図8において上向きに動作し、ドレーンポート18が閉じられ、かつ、入力ポート16と出力ポート17とが接続される。つまり、オイルポンプ6から吐出された圧油が、油路10に供給される。以下、同様の作用を繰り返し、リニアソレノイドバルブ12により油路10の油圧が制御される。
また、リニアソレノイドバルブ12では電磁部13に供給する電流値を制御することにより、スプール24を図8で上向きに押圧する磁気吸引力を制御することが可能であり、その電流値の制御により、油路10の調圧特性を制御できることは、第1具体例と同じであるが、第1具体例と第7具体例と比べると、リニアソレノイドバルブ12の油圧制御特性が異なる。この第7具体例では、電磁部13に電力が供給されない時(ノーマル時)は、圧縮コイルばね33の押圧力でスプール24が図8で下向きに押圧されて、出力ポート17が遮断され、かつ、入力ポート16とドレーンポート18とが接続される。つまり、第7具体例のリニアソレノイドバルブ12は、いわゆるノーマルクローズ型のリニアソレノイドバルブである。そして、第7具体例のリニアソレノイドバルブ12は、電磁部13に供給する電流値が高くなるほど、スプール24を図8で上向きに押圧する力が増加し、油路10の制御油圧が相対的に高くなる特性である。
上記のように、リニアソレノイドバルブ12が圧力制御弁として機能するとき、スプール24が図8で上向きに動作すると、バネ室32の容積が縮小し、スプール24が図8で下向きに動作すると、バネ室32の容積が拡大する。スプール24が図8で下向きに動作する過程でバネ室32の容積が増大すると、バネ室32が負圧となるが、切替弁91のポート92が閉じられているため、タンク7の圧油がバネ室32に吸入される作用は生じない。
つぎに、第7具体例において、エンジン2が停止してオイルポンプ6が停止した場合にリニアソレノイドバルブ12をオイルポンプとして機能させる場合の制御および作用を説明する。まず、切替弁91の信号圧ポート100に入力される信号圧が低圧となり、スプール98が動作して、ポート92とポート97とが接続され、かつ、ポート94とポート95とが接続され、かつ、ポート96が遮断される。そして、リニアソレノイドバルブ12の電磁部13に供給する電流値を制御して、スプール24を図8で上下方向に往復動させる。スプール24が往復動すると、バネ室32の容積が拡大および縮小する作用を交互に繰り返す。スプール24の動作によりバネ室32の容積が拡大する過程では、バネ室32が負圧となり、逆止弁104が開放され、かつ、逆止弁106が閉じられる。すると、タンク7のオイルが、切替弁91および油路101を経由してバネ室32に吸入される。これに対して、スプール24の動作によりバネ室32の容積が縮小する過程では、バネ室32が上昇して逆止弁106が開放され、かつ、逆止弁104が閉じられる。このため、バネ室32のオイルが、油路102,105を経由して、圧油供給対象部46に供給される。
このように、第7具体例においても、リニアソレノイドバルブ12を、圧力制御弁として機能する状態と、オイルポンプとして機能する状態とに切り替えることができる。したがって、エンジン2が停止してオイルポンプ6が停止している場合でも、タンク7のオイルを圧油供給対象部46に供給することができる。さらに、第7具体例では、吸入ポート20の内径が吐出ポート21の内径よりも大きい。このため、タンク7からバネ室32に圧油を吸入するときに、吸入ポート20を通る圧油の吸入抵抗を相対的に低くすることができ、オイルポンプとしての効率を向上することができる。さらに吸入ポート20の内径が相対的に大きいため、キャビテーションの発生を抑制できる。さらに、吐出ポート21は元々設けられているものであり、その内径がスプール24の動作による調圧応答性を考慮して決定されている。
そして、この具体例では吐出ポート21は元々の内径のまま用いている。これに対して、吸入ポート20は吸入効率が相対的に高くなるように、その内径を決定し、かつ、新たに設けたものである。したがって、第7具体例では、リニアソレノイドバルブ12を圧力制御弁として機能させる場合の調圧応答性の維持と、リニアソレノイドバルブ12をオイルポンプとして機能させる場合のポンプ効率の向上とを両立できる。なお、この第7具体例では、リニアソレノイドバルブ12が圧力制御弁として機能するとき、吐出ポート21がフィードバックポートとしての役割を果たしている。これに対して、リニアソレノイドバルブ12がオイルポンプとして機能するとき、吐出ポート21は、バネ室32の圧油を吐出する油路としての役割を果たす。
この第7具体例は、請求項1の発明、請求項1ないし請求項5の発明、請求項13および請求項14の発明に相当する具体例である。この第7具体例では、逆止弁104が、この発明の吸入弁に相当し、逆止弁106が、この発明の吐出弁に相当し、バネ室32が、この発明のポンプ室を兼ねている。この第7具体例のその他の構成と、この発明の構成との対応関係は、第1具体例の構成と、この発明の構成との対応関係と同じである。
(第8実施例)
つぎに、油圧制御装置5の第8具体例を、図9に基づいて説明する。図9において図1と同じ構成部分については、図1と同じ符号を付してある。この図9において、圧油供給対象部11に供給する圧油の油圧を制御するバルブとして、デューティソレノイドバルブ107が設けられている。デューティソレノイドバルブ107は、予め定められた所定時間内に、コイルへの通電(オン)と非通電(オフ)とを繰り返し、その所定時間内におけるオン時間の割合と、オフ時間の割合とを任意に制御できる、公知のものである。具体的に説明すると、デューティソレノイドバルブ107は、ケーシング108を有している。ケーシング108は磁性材料、例えば鉄により構成されている。このケーシング108は円柱形状を有し、かつ、内部が中空に構成されている。このケーシング108内には電磁コイル109が設けられており、ケーシング108内における電磁コイル109が設けられていない空間に油室110が形成されている。また、ケーシング108には油室110と連通したドレーンポート111が設けられている。さらに、ケーシング108には油路112が形成されており、この油路112と油室110とを接続するポート113が形成されている。さらに、ケーシング108には、油路112と油路9とを接続するポート114が形成されている。そして、油路112内には弁体であるボール115が配置されている。このボール115は油路112内で動作可能である。
一方、ケーシング108における、前記ポート114とは反対側の箇所には、ポート116が形成されている。さらに、ケーシング108内には固定部材117が設けられている。固定部材117は、円筒部の一端に円板部を連続して形成したものである。この固定部材117はケーシング8内に固定されている。この固定部材117の円板部には油路118が形成されており、固定部材117の内部空間117Aには、ポート116を開閉する弁体であるボール119と、ボール119をケーシング8に押し付けて、ボール119によりポート116を閉じる向きの力を加える圧縮コイルばね120が設けられている。前記ポート116には、油路125およびストレーナ126を介在させてタンク7が接続されている。このボール119および圧縮コイルばね120により逆止弁128が構成されている。この逆止弁128は、タンク7のオイルが内部空間117Aに流れる向きで開放され、内部空間117Aのオイルがタンク7に流れる向きでは閉じられる構成である。
さらに、ケーシング108内には、ガイド(図示せず)により支持されたプランジャー121が設けられている。プランジャー121は、ガイドに沿って、円柱形状のケーシング108の中心線(図示せず)に沿った方向に動作可能である。プランジャー121は磁性材料、例えば鉄により構成されており、電磁コイル109への通電により形成される磁気吸引力(電磁力)で、図9で上向きに吸引される。このプランジャー121と固定部材117との間には油室127が形成されている。この油室127には圧縮コイルばね122が設けられており、圧縮コイルばね122の力により、プランジャー121がボール115に向けて押圧されている。さらに、プランジャー121は中空に形成されており、プランジャー121には、プランジャー121の内部空間121Aに連通する油路123が形成されている。上記内部空間121Aは、ポート123および油室127を経由して内部空間117Aに連通している。
さらに、プランジャー121が円柱形状に構成されており、前記内部空間121Aに接続された油路124が形成されている。この油路124はプランジャー121の外周面に開口されている。その油路124の開口部は、ケーシング8の油室110に連通している。さらにまた、内部空間121Aには、ポート123を開閉する弁体であるボール129と、ボール129をプランジャー121に押し付けて、ボール129によりポート123を閉じる向きの力を加える圧縮コイルばね130が設けられている。このボール129および圧縮コイルばね130により逆止弁131が構成されている。この逆止弁131は、油室127のオイルが内部空間121Aに流れる向きで開放され、内部空間121Aのオイルが油室127に流れる向きでは閉じられる構成である。さらに、プランジャー121と一体的に動作するピン141が設けられている。このピン141は、プランジャー121と一体成形されたものでもよいし、プランジャー121とピン141とを別部品で構成し、そのプランジャー121とピン141とをねじ結合、溶接などの構成により連結してもよい。このピンの先端は前記ポート113内に挿入されている。
さらに、油路112を、前記圧油供給対象部11または圧油供給対象部46のいずれかに接続する切替弁132が設けられている。この切替弁132は、ポート133,134,135,136,137と、これらのポートを接続または遮断する弁体であるスプール138と、スプール138に所定方向の力を与える圧縮コイルばね139と、圧縮コイルばね139力の向きとは逆向きの力をスプール138に与える信号圧ポート140とを有している。そして、ポート133が、油路142を経由して油路112と接続され、ポート134が、油路143を経由してポート111と接続され、ポート135がタンク7と接続され、ポート136が、油路144を経由して圧油供給対象部11と接続され、ポート137が、油路145を経由して圧油供給対象部46と接続されている。上記の信号圧ポート140に入力する高圧または低圧の信号圧を発生する機構として、第1具体例で述べたソレノイドバルブ170または油路146が設けられている。この油路146は、油路8または油路9の油圧を、信号圧ポート140に伝達する油路である。
つぎに、第8具体例の制御および作用を説明する。前記エンジン2が運転され、かつ、オイルポンプ6が駆動される場合は、信号圧ポート140に入力される信号圧が高圧となる。すると、ポート133とポート136とが接続され、かつ、ポート134とポート135とが接続され、かつ、ポート137が遮断される。また、デューティソレノイドバルブ107に電流が供給され、オン時間の割合と、オフ時間の割合、つまり、デューティ比が制御される。まず、電磁コイル109に通電されて磁気吸引力が形成されると、プランジャー121およびピン141が、圧縮コイルばね122の押圧力に抗して図9で上向きに動作(前進)する。すると、油路9の油圧によりボール115が押圧されてポート114が開放され、オイルポンプ6から吐出されたオイルが油路112に供給される。これに対して、電磁コイル109に通電されない場合は、プランジャー121およびピン141が、圧縮コイルばね122の押圧力により、図9で下向きに動作(後退)する。すると、ボール115によりポート114が閉じられる。そして、電磁コイル109への通電および非通電が繰り返されて、プランジャー121およびピン141が図9で上下方向に往復動することで、油路112の油圧が制御される。このようにして、油路112の油圧が制御され、その圧油がポート133,136を経由して圧油供給対象部11に供給される。
一方、上記のようなプランジャー121およびピン141の動作中、ポート137が遮断されているため、オイルポンプ6から吐出されたオイルが圧油供給対象部46に供給される作用は生じない。また、ピストン121が図9で下に向けて動作する過程では、油室127の容積が拡大する。これとは逆に、ピストン121が図9で上向きに動作する過程で、油室127の容積が縮小する。油室127の容積が拡大すると、油室127および内部空間117Aが負圧となり、逆止弁128が開放される。そして、タンク7のオイルがストレーナ126およびポート116を経由して内部空間117Aおよび油室127に吸入される。なお、油室127の容積が拡大するとき、逆止弁131は閉じられている。
そして、油室127の容積が縮小する過程では、油室127および内部空間117Aの油圧が上昇するため、逆止弁128が閉じられ、かつ、逆止弁131が開放される。このため、油室127の圧油が、ポート123を経由して内部空間121Aに吐出され、ついで、内部空間121Aの圧油が、油路124を経由して油室110に吐出される。内部空間121Aの圧油が、油路124を経由して油室110に吐出されるときには、前記ポート113がボール115により閉じられるため、油室110の圧油はドレーンポート111およびポート134,135を経由してタンク7に戻される。
つぎに、エンジン2が停止した場合の制御および作用を説明する。この場合は、切替弁132の信号圧ポート140に低圧の信号圧が入力される。すると、ポート134が遮断され、かつ、ポート136が遮断され、かつ、ポート133とポート137とが接続される。また、デューティソレノイドバルブ107に電流が供給され、かつ、そのデューティ比が制御される。すると、前記と同様にプランジャー121およびピン141が図9で上下方向に往復動する。ここで、プランジャー121が図9で下向きに動作して油室127の容積が拡大する過程では、上記と同様にタンク7の圧油がストレーナ126およびポート116を経由して、内部空間117Aおよび油室127に吸入される。
これに対して、プランジャー121が図9で上向きに動作して油室127の容積が縮小する過程では、上記と同様に油室127の圧油が、内部空間121Aおよび油路124を経由して油室110に吐出される。ここで、前述のようにオイルポンプ6が停止しているため、油室110にオイルが供給されると、油路9の油圧よりも油室110の油圧の方が高くなり、油室110の油圧によりボール115が押し付けられてポート113が開放される。このため、油室110のオイルが、ポート113および油路142を経由して圧油供給対象部46に供給される。
このように、第8具体例においても、デューティソレノイドバルブ107を、圧力制御弁またはオイルポンプとして選択的に切り替えることができる。したがって、第1具体例と同様の効果を得られる。また、単独の電磁コイル109を用いて、デューティソレノイドバルブ107の機能を切り替えることができるため、部品点数の増加を抑制でき、第1具体例と同様の効果を得られる。
この第8具体例は、請求項1および請求項2の発明、請求項15ないし請求項19の発明に対応するものである。この第8具体例と、この発明の構成との対応関係を説明すると、逆止弁119が、この発明の吸入弁および第1逆止弁および第3逆止弁に相当し、逆止弁123が、この発明の第2逆止弁および吐出弁に相当し、プランジャー121およびピン141が、この発明の可動部材に相当し、デューティソレノイドバルブ107が、この発明の流体制御弁に相当し、油室127が、この発明のポンプ室に相当し、ポート114が、この発明の入力ポートに相当し、油路112が、この発明の出力ポートに相当し、油室110が、この発明の吸入室に相当し、ポート116が、この発明における連通路に相当する。また、切替弁132が、この発明の切替弁に相当し、圧油供給対象部11が、この発明の第1供給部に相当し、圧油供給対象部46が、この発明の第2供給部および流体受容部に相当し、ドレーンポート111が、この発明のドレーンポートに相当する。
(第9具体例)
つぎに、油圧制御装置5の第9具体例を、図10に基づいて説明する。第9具体例は第8具体例と同様の構成を有しており、この第9具体例と第8具体例とを比較すると、油路112を、前記圧油供給対象部11または圧油供給対象部26のいずれかに接続する切替弁の構成が異なる。第9具体例の切替弁147は、ポート148,149,150,151,152と、これらのポートを接続または遮断する弁体であるスプール153と、スプール153に所定方向の力を与える圧縮コイルばね154と、圧縮コイルばね154の力の向きとは逆向きの力をスプール153に与える信号圧ポート155とを有している。そして、ポート148が、油路156を経由して油路112と接続され、ポート149が、油路157を経由してポート111と接続され、ポート156がタンク7と接続され、ポート152が、油路159を経由して圧油供給対象部11と接続され、ポート152が、油路159を経由して圧油供給対象部11と接続されている。上記の信号圧ポート155に入力する高圧または低圧の信号圧を発生する機構は、第1具体例の信号圧ポート43に入力される信号圧を発生する機構と同じである。
つぎに、第9具体例の制御および作用を説明する。前記エンジン2が運転され、かつ、オイルポンプ6が駆動される場合は、信号圧ポート155に入力される信号圧が高圧となる。すると、ポート148とポート152とが接続され、かつ、ポート149とポート150とが接続され、かつ、ポート151が遮断される。そして、デューティソレノイドバルブ107に電流が供給され、オン時間の割合と、オフ時間の割合、つまり、デューティ比が制御されたとき、第8具体例と同様にプランジャー121およびピン141が往復動する。さらに、プランジャー121の動作により油室127の容積が拡大および縮小するとともに、オイルポンプ6から吐出されたオイルが、油路112およびポート148,152および油路159を経由して圧油供給対象部11に供給される。
つぎに、エンジン2が停止した場合の制御および作用を説明する。この場合は、切替弁147の信号圧ポート155に低圧の信号圧が入力される。すると、ポート148が遮断され、かつ、ポート150が遮断され、かつ、ポート149とポート151とが接続される。また、デューティソレノイドバルブ107に電流が供給され、かつ、そのデューティ比が制御される。すると、第8具体例と同様にして、油室110から油路157に吐出されたオイルが、ポート149,151および油路158を経由して圧油供給対象部46に供給される。
このように、第9具体例においても、デューティソレノイドバルブ147を、圧力制御弁として機能させること、オイルポンプとして機能させることを、選択的に切り替えることができる。したがって、第1具体例と同様の効果を得られる。また第9具体例において、第8具体例と同じ構成部分については、第8具体例と同様の効果を得られる。この第9具体例は、請求項1および請求項2の発明、請求項15ないし請求項19の発明に対応するものである。第9具体例のその他の構成と、この発明の構成との対応関係は、第8具体例の構成と、この発明の構成との対応関係と同じである。
(第10具体例)
つぎに、油圧制御装置5の第10具体例を、図11に基づいて説明する。図11において、第9具体例と同じ部品については、図10と同じ符号を付してあるが、同じ部品であっても、第9具体例と第10具体例とでは、作用および技術的意義が異なる部品について、説明する。第10具体例においても、ケーシング117の内部空間117Aに逆止弁128が設けられている。この逆止弁128は、圧縮コイルばね120によりボール119を、固定部材117の円板部に押し付けて構成されている。この逆止弁128は、ポート118を開閉するバルブである。この逆止弁128は、内部空間117のオイルが油室127に向けて流れる向きでは閉じられ、オイルが油室127から内部空間117Aに流れる向きでは開放される構成である。
さらに、第10具体例では、プランジャー121内に内部プランジャー171が設けられている。この内部プランジャー171は、円筒部の一端に円板部を連続して形成したものであり、内部プランジャー171の円板部が固定部材117に最も近い位置となる向きで配置されている。そして、内部プランジャー171の円板部と、固定部材117の円板部との間に圧縮コイルばね122が介在されている。これにより、圧縮コイルばね122の弾性力が内部プランジャー171に伝達されて、内部プランジャー171がプランジャー121に押し付けられ、ピン141がボール115に押し付けられている。そして内部プランジャー171の円板部と、固定部材117の円板部との間に、油室127が形成されている。なお、油室127を液密にシールする密封装置(図示せず)が設けられており、プランジャー121が動作しても油室127の液密性が保持される。
さらに、プランジャー121には、油路124と連通するポート173が形成されている。また、内部プランジャー171の円板部にはポート172が形成されており、このポート172により、内部プランジャー171の内部空間174と油室127とが接続されている。また、内部空間174はポート173に接続されている。そして、内部空間174には、ポート173を開閉する逆止弁131が設けられている。逆止弁131は圧縮コイルばね130およびボール129により構成されている。この逆止弁131は、内部空間174のオイルが油路124に向けて流れる向きでは閉じられ、オイルが油路124から内部空間174に流れる向きでは開放される構成である。
一方、この第10具体例では、油路112に油路175を経由して圧油供給対象部11が接続されている。また、油室110にはポート187およびストレーナ126を介在させてタンク7が接続されている。さらに、ポート116には油路176を介在させて切替弁177が接続されている。切替弁177は、ポート116から吐出されるオイルを、タンク7または圧油供給対象部46のいずれか一方に切り替えて供給するバルブである。切替弁177は、ポート178,179,180と、ポートを接続または遮断するスプール181と、スプール181に動作力を与える圧縮コイルばね182と、圧縮コイルばね182とは逆向きの力をスプール181に与える信号圧ポート183とを有している。この信号圧ポート183に入力される信号圧を制御する機構は、第1具体例の信号圧ポート43に入力される信号圧を制御する機構と同じである。そして、ポート178が油路184を経由してポート116に接続され、ポート179が油路185を経由して圧油供給対象部46に接続され、ポート180が油路186を経由してタンク7に接続されている。
つぎに、第10具体例における制御および作用を説明する。前記エンジン2が運転され、かつ、オイルポンプ6が駆動されて、オイルポンプ6から吐出された圧油が油路9に供給される。また、デューティソレノイドバルブ107に電流が供給され、オン時間の割合と、オフ時間の割合、つまり、デューティ比が制御されると、磁気吸引力が発生してプランジャー121およびピン141が往復動する。また、圧縮コイルばね122により内部プランジャー171がプランジャー121に押し付けられているため、内部プランジャー171およびプランジャー121が一体的に往復動する。油路9に圧油が供給されているときに、ピン141が往復動すると、ボール115によりポート114が開閉され、油路112を経由して圧油供給対象部11に供給されるオイルの油圧が制御される。
また、プランジャー121が往復動すると、油室127の容積が拡大および縮小する。第10具体例では、プランジャー121が図11で下方に動作する過程で油室127の容積が拡大し、プランジャー121が図11で上方に動作する過程で油室127の容積が縮小する。油室127が拡大する過程では、油室127が負圧となるため、タンク7のオイルがストレーナ126を経由して油室110に吸い込まれる。油室110に吸い込まれたオイルが油路124に吸い込まれると、逆止弁131が開放され、オイルが内部空間174およびポート172を経由して油室127に吸い込まれる。これに対して、油室127が縮小する過程では、油室127の油圧が上昇するため、逆止弁131が閉じられ、かつ、逆止弁128が開放される。これにより、油室127のオイルが、ポート118および内部空間117Aおよびポート116を経由して油路184に吐出される。
一方、オイルポンプ6が駆動される場合、信号圧ポート183に入力される信号圧が高圧となる。これにより、ポート178とポート180とが接続され、かつ、ポート179が遮断される。このため、油路184のオイルは油路186を経由してタンク7に戻される。つまり、タンク7からソレノイドバルブ107の油室127に吸入されたオイルを、圧油供給対象部46に供給する作用は生じない。このように、エンジン2が駆動されてオイルポンプ6が駆動される場合、ソレノイドバルブ107は、油路175の油圧を制御する圧力制御弁として機能する。
つぎに、エンジン2が停止され、かつ、オイルポンプ6が停止する場合について説明する。この場合も、デューティソレノイドバルブ107に電流が供給され、オン時間の割合と、オフ時間の割合、つまり、デューティ比が制御されると、プランジャー121およびピン141が往復動する。そして、プランジャー121の動作により油室127の容積が拡大する過程で、上記と同様の原理により、タンク7のオイルがストレーナ126油室110および内部空間174を経由して油室127に吸い込まれる。また、プランジャー121の動作により油室127の容積が縮小する過程で、上記と同様の原理により、油室127のオイルが内部空間117Aを経由して油路184に吐出される。
そして、オイルポンプ6が停止している場合、信号圧ポート183に入力される信号圧が低圧となる。これにより、ポート178とポート179とが接続され、かつ、ポート180が遮断される。このため、油路184のオイルは油路185を経由して圧油供給対象部46に供給される。このように、エンジン2が停止してオイルポンプ6が停止している場合、ソレノイドバルブ107は、タンク7のオイルを吸い込み、かつ、吸い込んだオイルを圧油供給対象部46に供給するオイルポンプとして機能する。
このように、第10具体例においても、デューティソレノイドバルブ107を、圧力制御弁として機能させること、オイルポンプとして機能させることを、選択的に切り替えることができる。この第10具体例は、請求項1および請求項2の発明、請求項20ないし請求項22の発明に対応するものである。この第10具体例と、この発明の構成との対応関係を説明すると、油室127が、この発明のポンプ室に相当し、弁体115が、この発明の弁体に相当し、油室110が、この発明の吸入室に相当し、逆止弁131が、この発明の第3逆止弁および吸入弁に相当し、逆止弁128が、この発明の吐出弁に相当し、圧油供給対象部46が、この発明の流体受容部に相当し、切替弁177が、この発明の切替弁に相当する。この第10具体例におけるその他の構成と、この発明の構成との対応関係は、第8具体例の構成と、この発明の構成との対応関係と同じである。
なお、第1具体例ないし第7具体例と、第8具体例および第9具体例および第10具体例とを比較すると、第1具体例ないし第7具体例では、逆止弁がケーシング15の外部に設けられており、第8具体例ないし第10具体例では、ケーシング108の内部に逆止弁が設けられている点が相違する。そして、第1具体例ないし第7具体例においても、ケーシング15の内部に、吸入弁としての逆止弁、および吐出弁としての逆止弁を設けることも可能である。具体的には、ポンプ室に設けることが可能である。なお、この発明の具体例であるソレノイドバルブは、ノーマル(非通電)状態で入力ポートと出力ポートとが遮断される、いわゆるノーマルクローズ式のソレノイドバルブにも適用可能である。また、上記の具体例ではエンジンの停止時、より具体的には車両が停止してエンジンを停止するアイドリングストップ制御をおこなってオイルポンプ(流体圧源)が停止したときに、そのオイルポンプに代わる補助圧力源としてソレノイドバルブを使用しているが、車両以外の機械、または機器において、オイルポンプ(流体圧源)が停止したときに、そのオイルポンプに代わる補助圧力源としてソレノイドバルブを使用してもよい。
この発明の油圧制御装置の第1具体例を示す回路図である。 この発明の具体例であるリニアソレノイドバルブおよび油圧制御装置を示す概念図である。 図2に示された油圧制御装置の第2具体例を示す回路図である。 図2に示された油圧制御装置の第3具体例を示す回路図である。 図2に示された油圧制御装置の第4具体例を示す回路図である。 図2に示された油圧制御装置の第5具体例を示す回路図である。 図2に示された油圧制御装置の第6具体例を示す回路図である。 図2に示された油圧制御装置の第7具体例を示す回路図である。 図2に示された油圧制御装置の第8具体例を示す回路図である。 図2に示された油圧制御装置の第9具体例を示す回路図である。 図2に示された油圧制御装置の第10具体例を示す回路図である。
符号の説明
5…油圧制御装置、 6…オイルポンプ、 7…タンク、 11,46…圧油供給対象部、 12…リニアソレノイドバルブ、 13…電磁部、 15,108…ケーシング、 16…入力ポート、 17…出力ポート、 19…フィードバックポート、 24…スプール、 28…フィードバック室、 32…バネ室、 33,122…圧縮コイルばね、 35,58,91,147…切替弁、 44,47,69,83,85,128,131…逆止弁、 55…吸入ポート、 111…ドレーンポート、 114,116,118,123,187…ポート、 115…弁体、 117A,121A,174…内部空間、 109…コイル、 110,127…油室、 112…油路、 121…プランジャー、 141…ピン。

Claims (23)

  1. 可動部材が往復動されてポートを開閉することにより流体を制御する流体制御弁において、
    前記可動部材の一部により区画形成され、かつ、前記可動部材が往復動作することにより容積が増減するポンプ室と、
    そのポンプ室に連通され、そのポンプ室の容積が増大する際に閉弁しかつそのポンプ室の容積が減少する際に開弁する吐出弁と、
    前記ポンプ室に連通され、そのポンプ室の容積が増大する際に開弁しかつそのポンプ室の容積が減少する際に閉弁する吸入弁と
    を備えていることを特徴とする流体制御弁。
  2. 前記ポンプ室を、圧力負荷を生じさせない開放部に選択的に連通させる切替弁を備えていることを特徴とする請求項1に記載の流体制御弁を有する流体制御回路。
  3. 前記可動部材を往復動させるための推力を発生する電磁コイルを更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の流体制御弁または請求項2に記載の流体制御回路。
  4. 前記電磁コイルによる推力に対抗する弾性力を前記可動部材に与える弾性部材と、
    その弾性部材と共に前記可動部材の一方の端部を収容している収容室と
    を更に備え、
    その収容室が前記ポンプ室とされていることを特徴とする請求項3に記載の流体制御弁または流体制御回路。
  5. 前記可動部材は、二つのランド部の間にバリー部が形成されていて往復動することにより前記ポートを開閉するスプールを含み、
    前記ポートは、元圧が入力される入力ポートと、圧力流体を出力する出力ポートと、圧力流体をドレーン箇所に導くドレーンポートとを含み、
    さらに前記出力ポートから出力された流体圧を前記可動部材に対して該可動部材を往復動させる力として作用させるフィードバック室が設けられ、
    前記切替弁は、前記入力ポートに作用する流体圧を制御圧として動作し、前記入力ポートに流体圧が作用している場合には前記ポンプ室を前記開放部に連通させ、かつ前記入力ポートに流体圧が作用していない場合には前記ポンプ室を前記吸入弁を介して圧力負荷を生じさせない開放部に連通させまは前記吐出弁を介して所定の流体供給部に連通させるように構成されている
    とを特徴とする請求項4に記載の流体制御回路。
  6. 前記可動部材は、二つのランド部の間にバリー部が形成されていて往復動することにより前記ポートを開閉するスプールを含み、
    前記ポートは、元圧が入力される入力ポートと、圧力流体を出力する出力ポートと、圧力流体をドレーン箇所に導くドレーンポートとを含み、
    さらに前記出力ポートから出力された流体圧を前記可動部材に対して該可動部材を往復動させる力として作用させるフィードバック室が設けられ、
    そのフィードバック室が前記ポンプ室とされていることを特徴とする請求項1または3に記載の流体制御弁。
  7. 前記フィードバック室は、相対的に大径のランド部と相対的に小径のランド部との間に形成され、
    そのフィードバック室には、前記出力ポートから出力された流体圧を導くフィードバックポートが形成され、
    そのフィードバックポートを前記出力ポートに連通させた状態と前記圧力負荷を生じさせない開放部に前記吸入弁を介して連通させた状態とに切り替える第2の切替弁を備えている
    ことを特徴とする請求項6に記載された流体制御弁を有する流体制御回路。
  8. 前記第2の切替弁は、前記フィードバックポートを前記出力ポートに連通させている状態では前記吐出弁を介した前記フィードバック室からの圧力流体の吐出を遮断し、かつ前記フィードバックポートを前記圧力負荷を生じさせない開放部に連通させている状態では前記フィードバック室を前記吐出弁を介して所定の圧力流体供給部に連通させるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の流体制御回路。
  9. 前記第2の切替弁は、前記入力ポートに作用する流体圧を制御圧として動作し、前記入力ポートに流体圧が作用している場合には、前記フィードバックポートを前記出力ポートに連通させるとともに前記吐出弁を介した前記フィードバック室からの圧力流体の吐出を遮断し、かつ前記入力ポートに流体圧が作用していない場合には、前記フィードバックポートを前記圧力負荷を生じさせない開放部に連通させるとともに前記フィードバック室を前記吐出弁を介して所定の圧力流体供給部に連通させるように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の流体制御回路。
  10. 前記フィードバック室は、前記スプールの軸線方向での一端部側に形成されかつそのスプールを軸線方向に押圧する弾性部材が収容されている収容室によって形成されていることを特徴とする請求項6に記載の流体制御弁。
  11. 前記フィードバック室には、前記出力ポートから出力された流体圧を導くフィードバックポートと、流体を吸入する吸入ポートとが形成され、
    前記フィードバックポートを前記出力ポートに連通させている状態では前記吸入ポートを遮断し、かつ前記フィードバックポートを所定の流体供給部に前記吐出弁を介して連通させている状態では前記吸入ポートを前記吸入弁を介して圧力負荷を生じさせない開放部に連通させる第3の切替弁を更に備えている
    ことを特徴とする請求項6または10に記載された流体制御弁を有する流体制御回路。
  12. 前記第3の切替弁は、前記入力ポートに作用する流体圧を制御圧として動作し、前記入力ポートに流体圧が作用している場合には前記フィードバックポートを前記出力ポートに連通させるとともに前記吸入ポートを遮断し、かつ前記入力ポートに流体圧が作用していない場合には前記フィードバックポートを所定の流体供給部に前記吐出弁を介して連通させるとともに前記吸入ポートを前記吸入弁を介して圧力負荷を生じさせない開放部に連通させるように構成されていることを特徴とする請求項11に記載の流体制御回路。
  13. 前記可動部材は、二つのランド部の間にバリー部が形成されていて往復動することにより前記ポートを開閉するスプールを含み、
    そのスプールの軸線方向での一方の端部に、前記電磁コイルによる電磁力を受けて前記スプールを軸線方向に押圧する押圧部材が当接して設けられ、かつ
    前記スプールの軸線方向での他方の端部側に、前記押圧部材側に前記スプールを押圧する弾性部材が配置され、
    前記ポンプ室は、前記スプールにおける前記一方の端部側に、該一方の端部を収容し、かつ該一方の端部が前後動することにより容積が増減するように構成されている
    ことを特徴とする請求項3に記載の流体制御弁または流体制御回路。
  14. 前記ポートは、元圧が入力される入力ポートと、圧力流体を出力する出力ポートと、圧力流体をドレーン箇所に導くドレーンポートとを含み、
    さらに前記出力ポートから出力された流体圧を前記スプールに対して該スプールを往復動させる力として作用させるフィードバック室が設けられ、
    前記切替弁は、前記入力ポートに作用する流体圧を制御圧として動作し、前記入力ポートに流体圧が作用している場合に前記ポンプ室を圧力負荷を生じさせない開放部に連通させるように構成されている
    とを特徴とする請求項13に記載の流体制御回路。
  15. 前記可動部材は、電磁力と該電磁力に対抗する弾性力とで往復動させられるプランジャーを含み、
    前記ポートは、元圧が入力される入力ポートと、該入力ポートに選択的に連通される出力ポートとを含み、
    さらに前記プランジャーが後退することにより該プランジャーに押されて前記入力ポートを閉じる弁体を備えるとともに該弁体が前記吐出弁を構成しており、
    前記ポンプ室は、前記プランジャーが前進することにより該プランジャーによって容積が減少させられかつ前記プランジャーが後退することにより該プランジャーによって容積が増大させられるように構成されるとともに、前記出力ポートが前記ポンプ室に連通している
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の流体制御弁。
  16. 前記ポンプ室に連通された連通路と、
    前記プランジャーが前進して前記ポンプ室の圧力が上昇した場合に前記連通路を閉じかつ前記プランジャーが後退して前記ポンプ室の圧力が低下した場合に前記連通路を開くように動作して前記吸入弁として機能する第1逆止弁と、
    前記ポンプ室と前記出力ポートとの間に介装され、かつ、前記プランジャーが前進して前記ポンプ室の圧力が上昇する場合に開放されて前記ポンプ室と前記出力ポートとを接続し、前記プランジャーが後退して前記ポンプ室の圧力が低下する場合に閉じられて前記ポンプ室と前記出力ポートとを遮断するように動作して前記吐出弁として機能する第2逆止弁と
    を更に備えていることを特徴とする請求項15に記載の流体制御弁。
  17. 前記流体制御弁は、単位時間当たりのオン・オフの割合であるデューティ比が制御されて前記電磁力を発生しそのデューティ比に応じた圧力を前記出力ポートに生じさせるデューティソレノイドバルブを含み、
    前記出力ポートを、前記デューティ比に応じた圧力を供給するべき第1供給部と、前記プランジャーが前進して押し出された圧力流体を供給するべき第2供給部とに切替えて連通させる第4の切替弁を備えている
    ことを特徴とする請求項15または16に記載の流体制御弁を有する流体制御回路。
  18. 前記ポンプ室の容積が減少させられて前記ポンプ室から吐出されたオイルを流入させる吸入室を更に備え、その吸入室には、ドレーンポートが設けられ、
    前記第4の切替弁は、前記出力ポートを前記第1供給部に連通させている状態で前記ドレーンポートを開き、かつ前記出力ポートを前記第2供給部に連通させている状態では前記ドレーンポートを閉じるように構成されていることを特徴とする請求項17に記載の流体制御回路。
  19. 前記第4の切替弁は、前記入力ポートに入力された元圧を制御圧として動作し、前記入力ポートに元圧が作用している場合に前記出力ポートを前記第1供給部に連通させるとともに前記ドレーンポートを開き、かつ前記入力ポートに元圧が作用していない場合には前記出力ポートを前記第2供給部に連通させるとともに前記ドレーンポートを閉じる弁を含むことを特徴とする請求項18に記載の流体制御回路。
  20. 前記可動部材は、電磁力と該電磁力に対向する弾性力とで往復動させられるプランジャーを含み、
    前記ポートは、元圧が入力される入力ポートと、該入力ポートに選択的に連通させられる出力ポートと、その出力ポートに選択的に連通させられるとともに圧力負荷を生じさせない開放部に連通している他のポートとを含み、
    さらに前記プランジャーが後退することにより該プランジャーに押されて前記入力ポートと前記出力ポートとの連通を遮断するとともに前記出力ポートを前記他のポートに連通させる弁体を備え、
    前記ポンプ室は、前記プランジャーが後退することにより容積が増大しかつ前記プランジャーが前進することにより容積が減少するように構成され、
    記他のポートが開口しかつ前記ポンプ室の容積が増大することによる負圧によって前開放部から流体を吸入させる吸入室が設けられ、
    その吸入室から前記ポンプ室に向けて流体が流れる場合に開く第3逆止弁が前記吸入弁として設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の流体制御弁。
  21. 前記ポンプ室から前記吐出弁を経由して吐出された圧力流体を、圧力負荷を生じさせない開放部と前記ポンプ室で加圧された圧力流体を使用する流体受容部とに切り換えて連通させる切替弁を備えていることを特徴とする請求項20に記載の流体制御弁を有する流体制御回路。
  22. 前記切替弁は、前記入力ポートに入力される元圧を制御圧として動作し、前記入力ポートに元圧が作用している場合に前記ポンプ室を前記開放部に連通させ、かつ前記入力ポートに元圧が作用していない場合に前記ポンプ室を前記流体受容部に連通させるように構成されていることを特徴とする請求項21に記載の流体制御回路。
  23. 前記ポンプ室と前記吸入弁とを接続する吸入ポートと、前記ポンプ室を前記吐出弁と所定の流体供給部とに切り替えて接続するフィードバックポートを兼ねた吐出ポートが設けられており、前記吐出ポートの径よりも吸入ポートの径が大きいことを特徴とする請求項6に記載の流体制御弁。
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