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JP4784444B2 - 車両用差動装置 - Google Patents

車両用差動装置 Download PDF

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JP4784444B2 JP2006230705A JP2006230705A JP4784444B2 JP 4784444 B2 JP4784444 B2 JP 4784444B2 JP 2006230705 A JP2006230705 A JP 2006230705A JP 2006230705 A JP2006230705 A JP 2006230705A JP 4784444 B2 JP4784444 B2 JP 4784444B2
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Description

本発明は、車両用デフケース及びこれを備えた車両用差動装置に関し、特にシャフトレス型の複数のピニオンギヤを摺動自在に支持する複数のピニオンギヤ支持部を有する車両用デフケース及びこれを備えた車両用差動装置に関する。
従来の車両用差動装置として、例えば、シャフトレス型の1対のピニオンギヤを備えたものがある(特許文献1)。
この車両用差動装置は、この1対のピニオンギヤと、1対のピニオンギヤに噛合する1対のサイドギヤと、これら1対のサイドギヤ及び1対のピニオンギヤを回転自在に収容するデフケースとから構成されている。
1対のピニオンギヤは、全周にわたって被支持部とするギヤ外周部及び1対のサイドギヤに噛合するギヤ噛み合い部を有し、デフケースの回転軸線と直角な軸線上に配置されている。1対のサイドギヤは、ピニオンギヤの外径より大きい外径を有する略環状の傘歯車からなり、デフケースの回転軸線上に配置されている。1対のサイドギヤの内面には、左右の車軸がそれぞれスプライン嵌合によって連結されている。デフケースには、1対のピニオンギヤのギヤ外周部を摺動自在に支持する第1ピニオンギヤ支持面を有するピニオンギヤ挿入孔が設けられている。ピニオンギヤ挿入孔の内側開口周縁には、ピニオンギヤのギヤ噛み合い部の一部を摺動自在に支持する第2ピニオンギヤ支持面を有する延出部が設けられている。
以上の構成により、車両のエンジン側からのトルクがドライブピニオン及びリングギヤを介してデフケースに入力されると、デフケースが回転軸線の回りに回転される。次に、デフケースが回転されると、この回転力が1対のピニオンギヤに伝達され、さらに1対のピニオンギヤから1対のサイドギヤに伝達される。1対のサイドギヤにはそれぞれ左右の車軸がスプライン嵌合によって連結されているため、エンジン側からのトルクが車両の走行状況に応じて左右に分配され、分配されたトルクが左右の車軸に伝達される。
車両の走行中、例えばデフケースに大トルクが伝達されている状態で旋回すると、ピニオンギヤはピニオンギヤ挿入孔の第1ピニオンギヤ支持面及び延出部の第2ピニオンギヤ支持面に押し付けられながら摺動する。この際、ピニオンギヤの摺動面(ギヤ噛み合い部の一部及びギヤ外周部)とピニオンギヤ挿入孔の第1ピニオンギヤ支持面及び延出部の第2ピニオンギヤ支持面との間に発生する摩擦熱の一部は、ピニオンギヤの摺動面とピニオンギヤ挿入孔の第1ピニオンギヤ支持面及び延出部の第2ピニオンギヤ支持面との間に供給される潤滑油によって冷却される。すなわち、特許文献1の車両用差動装置によると、主としてデフケースの回転による潤滑油の流動によってピニオンギヤの摺動面とピニオンギヤ挿入孔の第1ピニオンギヤ支持面及び延出部の第2ピニオンギヤ支持面とを潤滑し、発生する摩擦熱を放散する。
特開2006−46642号公報
しかしながら、特許文献1の車両用差動装置によると、ピニオンギヤの摺動面とピニオンギヤ挿入孔の第1ピニオンギヤ支持面及び延出部の第2ピニオンギヤ支持面との間に潤滑油が十分に存在していないため、ピニオンギヤの摺動面とピニオンギヤ挿入孔の第1ピニオンギヤ支持面及び延出部の第2ピニオンギヤ支持面との間、特にピニオンギヤの被支持部としてのギヤ外周部に潤滑油が十分に供給されず、ピニオンギヤのギヤ外周部が焼き付く恐れがあった。このことは、ピニオンギヤのギヤ径が大きくなる程顕著である。
従って、本発明の目的は、ピニオンギヤにおける被支持部としてのギヤ外周部に潤滑油を十分に供給することができ、もってピニオンギヤのギヤ外周部の焼き付きを抑えることができる車両用デフケース及びこれを備えた車両用差動装置を提供することにある。
(1)本発明は、上記目的を達成するために、円柱状の基端部及び円周方向に交互に並列する凸歯と歯溝とを有するギヤ部が形成された複数のピニオンギヤと、前記複数のピニオンギヤとギヤ軸線を直交させて前記複数のピニオンギヤのギヤ部に噛合する傘歯車からなる1対のサイドギヤと、前記1対のサイドギヤ及び前記複数のピニオンギヤを回転自在に収容するデフケースとを含み、前記デフケースは、前記複数のピニオンギヤをそれぞれ摺動自在に支持する複数のピニオンギヤ支持部と、前記複数のピニオンギヤ支持部の一部に形成された切り欠きに連通して潤滑油を貯溜する潤滑油貯溜部とを備え、前記潤滑油貯溜部は、前記複数のピニオンギヤ支持部の軸線と直角な回転軸線の回りに沿う円弧状の凹部からなり、その内部に貯留された前記潤滑油を前記複数のピニオンギヤの前記切り欠きに対応する部位における前記基端部の外周面のギヤ軸線方向の全体に供給するように形成されていることを特徴とする車両用差動装置を提供する。


本発明によると、ピニオンギヤにおける被支持部としてのギヤ外周部に潤滑油を十分に供給することができ、ピニオンギヤのギヤ外周部の焼き付きを抑えることができる。
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る車両用差動装置を説明するために示す分解斜視図である。図2は、本発明の実施の形態に係る車両用差動装置を説明するために示す縦断面図である。図3は、本発明の実施の形態に係る車両用差動装置を説明するために示す横断面図である。図4は、本発明の実施の形態に係る車両用差動装置のピニオンギヤの組付状態を示す斜視図である。図5は、本発明の実施の形態に係る車両用差動装置のピニオンギヤの組付状態をデフケースの回転軸線と直角に切断して示す断面図である。図6は、本発明の実施の形態に係る車両用差動装置のピニオンギヤの組付状態をデフケースの回転軸線と平行に切断して示す断面図である。図6(a)は全体を、図6(b)は一部をそれぞれ示す。図7は、本発明の実施の形態に係る車両用差動装置のデフケースを示す斜視図である。図8は、本発明の実施の形態に係る車両用差動装置のデフケースの潤滑油導入部を説明するために示す断面図である。図9は、本発明の実施の形態に係る車両用差動装置のデフケースの潤滑油貯溜部を説明するために示す断面図である。図10は、本発明の実施の形態に係る車両用差動装置のピニオンギヤを説明するために示す斜視図である。図10(a)はピニオンギヤを斜め上方から見た状態を、また図10(b)はピニオンギヤを斜め下方から見た状態をそれぞれ示す。図11は、本発明の実施の形態に係る車両用差動装置のサイドギヤと車軸の連結状態を示す断面図である。図12は、本発明の実施の形態に係る車両用差動装置の車軸移動規制部材を説明するために示す斜視図である。図13は、本発明の実施の形態に係る車両用差動装置の潤滑油供給動作を説明するために示す断面図である。
〔車両差動装置の全体構成〕
図1〜図3において、符号1で示す車両用差動装置は、エンジントルクを受けて回転するデフケース2と、このデフケース2の回転軸線Oと直角な軸線方向に沿って互いに並列する上下2つのピニオンギヤ3,4と、これら上下2つのピニオンギヤ3,4に噛合する左右2つのサイドギヤ5L,5Rと、これら左右2つのサイドギヤ5L,5Rの背面側に位置するスラストワッシャ6L,6Rとから大略構成されている。
(デフケース2の構成)
デフケース2は、図2及び図5・図6に示すように、ピニオンギヤ3,4及びサイドギヤ5L,5R・スラストワッシャ6L,6Rを収容するための空間部2Aと、この空間部2Aに連通する膨出部2Bと、ピニオンギヤ3,4の摺動面(後述する基端部Bの第1被支持部3a,4a及びギヤ部Cの第2被支持部3b,4b)とピニオンギヤ支持部10,11のピニオンギヤ支持面(後述するピニオンギヤ背面孔10A,11Aのピニオンギヤ支持面10a,11a及び延出部10B,11Bのピニオンギヤ支持面10b,11b)との間に潤滑油を導入する潤滑油導入部7,8と、ピニオンギア3,4の摺動面に潤滑油を供給する潤滑油貯溜部30とを内部に有し、全体が1ピースの部材によって形成されている。
潤滑油導入部7,8は、図5に示すように、デフケース2の回転によって潤滑油(デフオイル)を掻き揚げる突起7a,8aとピニオンギヤ3,4とによって構成されている。突起7a,8aは、図4及び図7・図8に示すように、延出部10B,11B(後述)にピニオンギヤ支持面10b,11bからデフケース2の回転軸線側に延出して一体に形成され、ピニオンギヤ3,4(先端部)におけるデフケース2の回転方向両側にそれぞれ配置されている。突起7a,8aとピニオンギヤ3,4とで形成される空間7b,8bは、デフケース2の回転軸線側及びピニオンギヤ支持部10,11の軸線回りに開口し、潤滑油を導入するように構成されている。
潤滑油貯溜部30は、図6及び図9に示すように、デフケース2の回転軸線Oの回りに沿う円弧状の凹部からなり、ピニオンギヤ支持部10,11(図5に示す)の近傍に位置し、その内部に貯溜された潤滑油(デフオイル)Lがピニオンギヤ3,4の摺動面における第1被支持部3a,4aの一部に流出する位置(回転軸線Oと第1被支持部3a,4aとの間の寸法aと回転軸線Oと潤滑油貯溜部30との間の寸法bとが略同一の寸法となる位置)に配設されている。そして、デフケース2の回転によって遠心力を受けた潤滑油(デフオイル)Lが図6(b)に示すようにその内部に貯溜される。これにより、ピニオンギヤ3,4の第1被支持部3a,4aに潤滑油が供給され、その第1被支持部3a,4aが潤滑される。また、ピニオンギヤ支持部10,11の根元部に発生する応力が潤滑油貯溜部30で分散されるので、デフケース2の機械的強度を高めることができる。
デフケース2には、図2及び図5に示すように、回転軸線Oに沿って開口する左右2つの車軸挿入孔9L,9Rと、これら車軸挿入孔9L,9Rの軸線と直角な方向に軸線をもつ上下1対のピニオンギヤ支持部10,11とが設けられている。また、デフケース2には、図5及び図8に示すように、回転軸線Oに関して対称な領域であって、ピニオンギヤ支持部10,11から円周方向に等間隔をもって離間する部位に位置するサイドギヤ通過孔12L,12Rが設けられている。デフケース2の左方車軸側には、図1〜図3に示すように、回転軸線Oと直角な平面内で円周方向に沿う円環状のリングギヤ取付用フランジ13が一体に設けられている。
車軸挿入孔9L,9Rは、図2及び図3に示すように、均一な内径をもつ貫通孔によって形成されている。車軸挿入孔9L,9Rには、それぞれ左右の車軸29(一方のみ図11に示す)が挿通されている。車軸挿入孔9L,9Rの内側開口周縁には、スラストワッシャ6L,6Rを受ける球面からなるスラストワッシャ受部9La,9Raが設けられている。
ピニオンギヤ支持部10,11は、図5及び図8に示すように、ピニオンギヤ背面孔10A,11A及び延出部10B,11Bによって形成されている。
ピニオンギヤ背面孔10A,11Aは、図6に示すように、潤滑油貯溜部30に連通する切り欠き10d,11dを有する段状の貫通孔によって形成されている。そして、ピニオンギヤ支持孔及びピニオンギヤ加工用孔として機能するように構成されている。ピニオンギヤ背面孔10A,11Aの内側の開口サイズは、ピニオンギヤ3,4の外径と略同一の内径(サイドギヤ5L,5Rの外径より小さい内径)をもつサイズに設定されている。ピニオンギヤ背面孔10A,11Aの内面は、それぞれピニオンギヤ3,4の第1被支持部(サイドギヤ噛み合い部を除く部位)3a,4aの少なくとも一部を回転自在に支持するピニオンギヤ支持面10a,11aで形成されている。
ピニオンギヤ背面孔10A,11Aの第1段状面には、図8及び図9に示すように、遠心力が作用するピニオンギヤ3,4を受け止め、かつ所定の曲率をもつ球面で形成されたピニオンギヤ受部(頂部)m,nが設けられている。ピニオンギヤ背面孔10A,11Aの第2段状面には、栓体としてのワッシャ21,22を受けるワッシャ受部10C,11Cが設けられている。ワッシャ21,22は、図5及び図6に示すようにピニオンギヤ3,4の背面とワッシャ受部10C,11Cとの間に介装されている。そして、ピニオンギヤ背面孔10A,11Aを閉塞し、デフケース2の回転によって遠心力を受けた潤滑油を堰き止めるように構成されている。これにより、デフケース2内の潤滑油がピニオンギヤ背面孔10A,11Aを経てデフケース2外に流出することが回避される。
ピニオンギヤ背面孔10A,11Aの内側開口周縁には、図5及び図8に示すように、円周方向に等間隔をもって並列し、かつデフケース2の回転軸線側(ケース内部)に延出する延出部10B,11Bが一体に設けられている。延出部10B,11Bには、ピニオンギヤ支持面10a,11aに連接し、かつピニオンギヤ3,4の第1被支持部3a,4aの一部及びピニオンギヤ3,4の第2被支持部(サイドギヤ噛み合い部の一部)3b,4bを支持するピニオンギヤ支持面10b,11bが設けられている。
サイドギヤ通過孔12L,12Rは、図3〜図5に示すように、平面非円形状の開口部を有する貫通孔によって形成されている。そして、その開口サイズは、ピニオンギヤ3,4及びサイドギヤ5L,5Rをデフケース2内に挿入し得るようなサイズに設定されている。
(ピニオンギヤ3,4の構成)
ピニオンギヤ3,4は、略同一の構成であるため、例えばピニオンギヤ3のみについて説明すると、ピニオンギヤ3は、図10(a)及び(b)に示すように所定の外径をもつ周面を有する基端部B及び円周方向に交互に並列する凸歯C1と歯溝C2を有するギヤ部Cがその外周部に形成された略円柱状のシャフトレス型の歯車からなり、図5に示すようにピニオンギヤ背面孔10Aのピニオンギヤ支持面10a及び延出部10B,11Bのピニオンギヤ支持面10b,11bに回転自在に支持されている。
ピニオンギヤ3には、延出部10Bのピニオンギヤ支持面10bの一部及びピニオンギヤ背面孔10Aのピニオンギヤ支持面10aに対する摺動面としての第1被支持部3aに開口する潤滑油流入部としての複数の凹溝3C,3C,…が設けられている。
凹溝3C,3C,…は、ピニオンギヤ3の円周方向に所定の間隔をもって並列して配置されている。そして、ピニオンギヤ3の公転(デフケース2の回転)時にその内部に潤滑油を流入させ、ピニオンギヤ3の第1被支持部3aと延出部10Bのピニオンギヤ支持面10bの一部及びピニオンギヤ背面孔10Aのピニオンギヤ支持面10aとの間に潤滑油を介在させるように構成されている。これにより、ピニオンギヤ3の摺動面としての第1被支持部3aに十分に供給することができ、その第1被支持部3aが焼き付く恐れを解消することができる。また、凹溝3C,3C,…は、ピニオンギヤ3の公転時に作用する遠心力によって潤滑油がデフケース2の回転軸線側からピニオンギヤ3の背面側に流動するようにその長手方向をピニオンギヤ3の自転軸と平行させてピニオンギヤ支持部10,11のピニオンギヤ受部側及びデフケース2の回転軸線側に開口されている。
また、ピニオンギヤ3には、図10(a)及び(b)に示すように、ギヤ軸線方向に開口する貫通孔3Aが設けられている。これにより、ピニオンギヤ3の外面のみならず貫通孔3Aの内面にも熱処理を施すことができ、ピニオンギヤ3の機械的強度を一層高めることができる。また、貫通孔3Aは、ピニオンギヤ形成時の芯出し用孔及び差動装置使用時の潤滑油供給孔・ピニオンギヤ保管時のギヤ支持棒挿入孔として機能し得るように構成されている。
基端部Bは、ピニオンギヤ3のサイドギヤ側端部と反対側の端部であって、サイドギヤ5L,5Rに噛合するサイドギヤ噛み合い部を除く部位に形成されている。基端部Bの外周面には、ピニオンギヤ背面孔10Aのピニオンギヤ支持面10a及び延出部10Bのピニオンギヤ支持面10bの一部に対応する第1被支持部3a(ギヤ外周部)が設けられている。ピニオンギヤ3の背面には、図10(a)及び(b)に示すように、ピニオンギヤ背面孔10Aのピニオンギヤ受部mに適合する球面で形成された摺動部3Bが設けられている。
ギヤ部Cは、図10(a)及び(b)に示すように、ピニオンギヤ3,4の第2被支持部3bを含むストレート部Csとこのストレート部Csに連接するテーパ部Ctとからなり、デフケース2の回転軸線側でサイドギヤ5L,5Rに噛合するように構成されている。ストレート部Csにおける凸歯C1の歯先面c(基端部Bの外周面に連続するギヤ噛み合い部の歯先面一部)は、所定の外径をもつ周面で形成されている。テーパ部Ctにおける凸歯C1の歯先面cは、ギヤ基端部からギヤ先端部に向かって小さくなる周面で形成されている。
(サイドギヤ5L,5Rの構成)
サイドギヤ5L,5Rは、図2に示すように、各外径が互いに異なるボス部5La,5Ra及びギヤ部5Lb,5Rbを有する略環状の歯車(ピニオンギヤ3,4の外径より大きい外径を有し、単一の歯先円錐角をもつ傘歯車)からなり、デフケース2内に回転自在に支持され、ピニオンギヤ3,4に噛合するように構成されている。サイドギヤ5L,5Rの歯数は、ピニオンギヤ3,4の歯数の2.1倍以上の歯数(例えばピニオンギヤ3,4の歯数7に対しサイドギヤ5L,5Rの歯数15)に設定されている。サイドギヤ5L,5Rの外径は、ピニオンギヤ3,4の外径及び延出部10B,11B間の寸法より大きい寸法に設定されている。
サイドギヤ5L,5Rの背面には、スラストワッシャ受部9Lc,9Rcにスラストワッシャ6L,6Rを介して適合する球面からなる摺動部5Lc,5Rcが設けられている。サイドギヤ5L,5R内には、図11に示すように、それぞれ車軸29が車軸挿入孔9L,9Rに挿通してスプライン嵌合されている。サイドギヤ5L,5Rの内周面と車軸29の外周面との間には、スプライン嵌合部5Lc,5Rcに欠歯による空間G(スプライン突起のない領域)を形成することにより潤滑油供給路28がデフケース2の回転軸線Oの回りに等間隔もって複数個設けられている。サイドギヤ5L,5R間には、図2及び図3に示すように、車軸移動規制部材としてのアクスルスペーサ23が介装されている。
アクスルスペーサ23は、主として図12に示すように、両端部に左右の車軸(図示せず)の先端部が嵌合する凹部23a,23bを有し、デフケース2の回転軸線O上に配置されている。そして、全体が略円柱状体によって形成されている。これにより、サイドギヤ5L,5Rと左右の車軸との連結(スプライン嵌合)が円滑かつ確実に行われる。アクスルスペーサ23の凹部23a,23bの底面は、車軸29の先端面が係合する係合面23A,23Bで形成されている。アクスルスペーサ23には、その軸線を含む仮想面と平行な切り欠き面24a,25aを有する切り欠き24,25が設けられている。
切り欠き24,25は、その内部が潤滑油供給路28に連通し、かつアクスルスペーサ23の円周方向に等間隔をもって並列する部位に配置されている。そして、デフケース2の回転時に潤滑油を攪拌するように構成されている。また、延出部10B,11Bのピニオンギヤ支持面10b,11bの一部とピニオンギヤ背面孔10A,11Aのピニオンギヤ支持面10a,11aとの間にサイドギヤ5L,5R内の潤滑油を導入するように構成されている。これにより、ピニオンギヤ3,4の第1被支持部3a,4aに対する潤滑油を十分に供給することができる。また、切り欠き24,25内にはデフケース2外から車軸挿入孔9L,9Rの内周面と車軸29の外周面との間に流入した潤滑油が潤滑油供給路28を介してデフケース2内に導入されるため、ピニオンギヤ3,4の第1被支持部3a,4aに対する潤滑油の供給量を増加することができる。
(スラストワッシャ6L,6Rの構成)
スラストワッシャ6L,6Rは、図1〜図3に示すように、サイドギヤ5L,5Rのスラスト力を受けるワッシャ本体6La,6Raを有する環状のワッシャからなり、サイドギヤ5L,5Rの背面とスラストワッシャ受部9Lc,9Rcとの間に介装されている。そして、サイドギヤ5L,5Rとピニオンギヤ3,4との噛み合いを調整するように構成されている。スラストワッシャ6L,6Rの外周縁には、円周方向に等間隔をもって並列する塑性変形可能な略杓文字状の係止片26,27が一体に設けられている。
係止片26,27は、塑性変形してサイドギヤ5L,5Rの外周面に係止され、かつサイドギヤ5L,5Rの回転を許容する位置に配置されている。そして、サイドギヤ5L,5Rに対するスラストワッシャ6L,6Rの径方向の位置ずれを防止するように構成されている。これにより、スラストワッシャ6L,6Rの組付時に係止片26,27を塑性変形させてサイドギヤ5L,5Rに係止すると、スラストワッシャ6L,6Rがサイドギヤ5L,5Rに一体化されるため、サイドギヤ5L,5Rに対する車軸29の連結時にスラストワッシャ6L,6Rの径方向の位置ずれを修正する必要がなくなり、車軸連結時の工程数を削減して車軸連結作業の簡素化及びコストの低廉化を図ることができる。係止片26,27の厚さは、ワッシャ本体6La,6Raの厚さより小さい寸法に設定されている。これにより、係止片26,27が塑性変形し易くなり、サイドギヤ5L,5Rに対するスラストワッシャ6L,6Rの組付作業を簡単に行うことができる。なお、係止片26,27はサイドギヤ5L,5Rに対する車軸29の連結後には不要であるため、車軸29の連結後には除去することも可能である。
〔車両用差動装置1の動作〕
先ず、車両のエンジン側からのトルクがドライブピニオン及びリングギヤを介してデフケース2に入力されると、デフケース2が回転軸線Oの回りに回転される。次に、デフケース2が回転されると、この回転力がピニオンギヤ3,4に伝達され、さらにピニオンギヤ3,4からサイドギヤ5L,5Rに伝達される。この場合、左右のサイドギヤ5L,5Rにはそれぞれ車軸29がスプライン嵌合されているため、エンジン側からのトルクがドライブピニオン及びリングギヤ・デフケース2・ピニオンギヤ3,4・サイドギヤ5L,5Rを介して左右の車軸29に伝達される。また、デフケース2が回転されると、次の(1)〜(4)に示すようにピニオンギヤ3,4及びピニオンギヤ支持部10,11が潤滑される。
(1)図13に示すように、突起7a,8a(図13では一方のみ示す)を含む潤滑油導入部7,8をデフケース2内に有する構造であるため、デフケース2が回転されると、遠心力又は重力によって飛散又は流入した潤滑油Lが空間7b,8bに貯溜される。そして、空間7b,8bの潤滑油Lが突起7a,8aによって掻き揚げられ、ピニオンギヤ3,4(一方のみ図示)の摺動面(基端部Bの第1被支持部3a,4a及びギヤ部Cの第2被支持部4b)とピニオンギヤ支持部10,11のピニオンギヤ支持面(ピニオンギヤ背面孔10A,11Aのピニオンギヤ支持面10a,11a及び延出部10B,11Bのピニオンギヤ支持面10b,11b)との間に導入され、基端部Bの第1被支持部3a,4a及びギヤ部Cの第2被支持部3b,4bとピニオンギヤ背面孔10A,11Aのピニオンギヤ支持部10a,11a及び延出部10B,11Bのピニオンギヤ支持面10b,11bとの潤滑が行われる。
(2)デフケース2の回転軸線Oの回りに沿う円弧状の凹部からなる潤滑油貯溜部30をデフケース2内に有する構造であるため、デフケース2が回転されると、遠心力を受けた潤滑油が潤滑油貯溜部30において貯溜され、ピニオンギヤ3,4の第1被支持部3a,4aが潤滑油貯溜部30から切り欠き10d,11dを介して潤滑油の供給を受けその潤滑が行われる。
(3)延出部10B,11Bのピニオンギヤ支持面10b,11bの一部及びピニオンギヤ背面孔10A,11Aのピニオンギヤ支持面10a,11aに対する摺動面としての第1被支持部3a,4aに開口する複数の凹溝3C,3C,…がピニオンギヤ3,4に設けられているため、デフケース2が回転されると、凹溝3C,3C,…内に潤滑油が流入し、ピニオンギヤ3,4の第1被支持部3a,4aと延出部10B,11Bのピニオンギヤ支持面10b,11bの一部及びピニオンギヤ背面孔10A,11Aのピニオンギヤ支持面10a,11aとの間に潤滑油が介在し、ピニオンギヤ3,4の第1被支持部3a,4aと延出部10B,11Bのピニオンギヤ支持面10b,11bの一部及びピニオンギヤ背面孔10A,11Aのピニオンギヤ支持面10a,11aとの潤滑が行われる。この際、凹溝3C,3C,…がその長手方向をピニオンギヤ3、4の自転軸と平行させてピニオンギヤ背面孔10A,11Aのピニオンギヤ受部側及びデフケース2の回転軸線側に開口されているため、ピニオンギヤ3,4の公転時に作用する遠心力や重力によって潤滑油がデフケース2の回転軸線側から凹溝3C,3C内に流動した後、ピニオンギヤ3,4の第1被支持部3a,4aに到達する。
(4)両サイドギヤ5L,5R間に介在するアクスルスペーサ23には、その軸線を含む仮想面と平行な切り欠き面24a,25aを有する切り欠き24,25が設けられているため、延出部10B,11Bのピニオンギヤ支持面10b,11bの一部とピニオンギヤ背面孔10A,11Aのピニオンギヤ支持面10a,11aとの間にサイドギヤ5L,5R内の潤滑油を導入することができ、ピニオンギヤ3,4の第1被支持部3a,4aに対する潤滑油を十分に供給することができる。また、切り欠き24,25内にはデフケース2外から車軸挿入孔9L,9Rの内周面と車軸29の外周面との間に流入した潤滑油が潤滑油供給路28を介してデフケース2内に導入されるため、ピニオンギヤ3,4の第1被支持部3a,4aに対する潤滑油の供給量を増加することができる。
ここで、左右の車軸上における各車輪に加わる負荷が等しい場合には、エンジン側からのトルクがデフケース2に伝達されると、ピニオンギヤ3,4がサイドギヤ5L,5R上を公転し、ピニオンギヤ3,4及びサイドギヤ5L,5Rがデフケース2と共に一体に回転されるため、エンジン側からのトルクが左右両車軸に等分に伝達され、左右各車輪が等しい回転数で回転される。
一方、走行中に車両が例えば左方に旋回したり、あるいは右側の車輪がぬかるみに落ち込んだりした場合には、ピニオンギヤ3,4がサイドギヤ5L,5Rと噛み合いながら自転し、エンジン側からのトルクが左右の車軸(車輪)間で差動分配される。すなわち、左側の車輪がデフケース2の回転速度より低い速度で回転され、右側の車輪がデフケース2の回転速度より高い速度で回転される。
また、デフケース2にトルクが作用した状態でピニオンギヤ3,4が自転すると、第1ピニオンギヤ支持面10a,11a及び第2ピニオンギヤ支持面14a,15aで摺動するため、これら第1ピニオンギヤ支持面10a,11a及び第2ピニオンギヤ支持面14a,15aとの間に摩擦抵抗を発生し、これら摩擦抵抗によってサイドギヤ5L,5Rの差動回転が制限される。
この場合、ピニオンギヤ3,4の回転によってサイドギヤ5L,5Rとの噛み合い面で各々のギヤの回転軸方向のスラスト力が発生する。サイドギヤ5L,5Rに発生するスラスト力によりサイドギヤ5L,5Rが互いに離間する方向に移動してスラストワッシャ6L,6Rをスラストワッシャ受部9Lc,9Rcに圧接するため、スラストワッシャ6L,6Rとスラストワッシャ受部9Lc,9Rcとの間に摩擦抵抗を発生し、これら摩擦抵抗によってもサイドギヤ5L,5Rの差動回転が制限される。また、ピニオンギヤ3,4に発生するスラスト力によりピニオンギヤ3,4の摺動部3B,4Bがデフケース2のピニオンギヤ受部m,nに圧接するため、ピニオンギヤ3,4の自転に対する摩擦抵抗が発生し、これによってもサイドギヤ5L,5Rの差動回転が制限される。
次に、本実施の形態に係る車両差動装置の組立方法について説明する。本実施の形態に示す車両用差動装置の組立方法は、「ピニオンギヤの組み込み」及び「サイドギヤの組み込み」・「ピニオンギヤ・サイドギヤの噛み合わせ」の各工程が順次実施されるため、これら各工程を順次説明する。
「ピニオンギヤの組み込み」
サイドギヤ通過孔12L,12Rからピニオンギヤ3,4をデフケース2内に挿入した後、その摺動部3B,4Bがピニオンギヤ受部m,nに当接するまでピニオンギヤ支持部10,11に支持する。この場合、ピニオンギヤ3,4はピニオンギヤ支持部10,11内に支持されると、デフケース2内の所定の位置に組み込まれる。
「サイドギヤの組み込み」
サイドギヤ5L,5Rをスラストワッシャ受部9Lc,9Rcに沿って互いに異なる方向からそれぞれ摺動させながらサイドギヤ通過孔12L,12Rからデフケース2内に挿入し、そのギヤ軸線を回転軸線Oに合致させる。この場合、サイドギヤ5L,5Rは、回転軸線Oに合致すると、デフケース2内に組み込まれる。
「ピニオンギヤ・サイドギヤの噛み合わせ」
スラストワッシャ受部9Lc,9Rcとサイドギヤ5L,5Rとの間の軸線方向寸法を調整しながら、サイドギヤ5L,5Rの摺動部5La,5Raと車軸挿入孔9L,9Rのスラストワッシャ受部9Lc,9Rcとの間にスラストワッシャ6L,6Rを介装した後、係止片26,27を塑性変形させてサイドギヤ5L,5Rの外周部に係止する。この場合、スラストワッシャ6L,6Rがサイドギヤ5L,5Rとスラストワッシャ受部9Lc,9Rcとの間に介装されると、サイドギヤ5L,5Rとピニオンギヤ3,4とが噛み合わされる。また、サイドギヤ5L,5Rと車軸29との連結(スプライン嵌合)を円滑かつ確実に実行するために、ピニオンギヤ3,4とサイドギヤ5L,5Rとの噛み合わせにあたり、左右両サイドギヤ5L,5R間にアクスルスペーサ23を介装する。
[実施の形態の効果]
以上説明した実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
(1)ピニオンギヤ3,4の第1被支持部3a,4aと延出部10B,11Bのピニオンギヤ支持面10b,11bの一部及びピニオンギヤ背面孔10A,11Aのピニオンギヤ支持面10a,11aとの間、特にピニオンギヤ3,4のギヤ外周部(基端部Bの第1被支持部3a,4a)に潤滑油を十分に供給することができ、ピニオンギヤ3,4のギヤ外周部の焼き付きを抑えることができる。
(2)潤滑油導入部8の突起8aが放熱フィンとしての機能を発揮するため、デフケース2の回転時に基端部Bの第1被支持部3a,4aと延出部10B,11Bのピニオンギヤ支持面10b,11bの一部及びピニオンギヤ背面孔10A,11Aのピニオンギヤ支持面10a,11aとの間で発生した摩擦熱を潤滑油に放出することができる。
(3)潤滑油貯溜部30がデフケース2の回転軸線Oの回りに沿う円弧状の1対の凹部からなることにより、ピニオンギヤ支持部10,11の根元部に発生する応力が潤滑油貯溜部30で分散されるので、デフケース2に作用する応力を分散させることができ、デフケース2の機械的強度を高めることができる。
(4)スラストワッシャ6L,6Rはサイドギヤ5L,5Rに塑性変形可能な係止片25,26を有するものであるため、スラストワッシャ6L,6Rの組付時に係止片26,27を塑性変形させてサイドギヤ5L,5Rに係止すると、スラストワッシャ6L,6Rがサイドギヤ5L,5Rに一体化される。これにより、サイドギヤ5L,5Rに対する車軸29の連結時にスラストワッシャ6L,6Rの径方向の位置ずれを修正する必要がなくなり、車軸連結時の工程数を削減して車軸連結作業の簡素化及びコストの低廉化を図ることができる。
(5)サイドギヤ5L,5Rの内周面と車軸29の外周面との間には、スプライン嵌合部5Lc,5Rcに欠歯による空間G(スプライン突起のない領域)を形成することにより潤滑油供給路28が設けられているため、デフケース2外から車軸挿入孔9L,9Rの内周面と車軸29の外周面との間に流入した潤滑油が潤滑油供給路28を介してデフケース2内に導入され、ピニオンギヤ3,4の摺動面(基端部Bの第1被支持部3a,4a)と延出部10B,11Bのピニオンギヤ支持面10b,11bの一部及びピニオンギヤ背面孔10A,11Aのピニオンギヤ支持面10a,11aとの間に対する潤滑油の供給量を増加することができる。
以上、本発明の車両用差動装置を上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
(1)本実施の形態では、延出部10B,11Bがピニオンギヤ3,4の第1被支持部3a,4aの一部及びピニオンギヤ3,4の第2被支持部3b,4bを摺動自在に支持する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、ピニオンギヤ3,4の第2被支持部3b,4bのみを摺動自在に支持する延出部であってもよい。この場合、ピニオンギヤ3,4の第1被支持部3a,4aは全体がピニオンギヤ背面孔内に摺動自在に支持される。
(2)本実施の形態では、デフケース2が1ピースの部材によって形成されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、複数のケースエレメントからなるデフケースであっても勿論よい。
(3)本実施の形態では、サイドギヤ5L,5Rに噛合するピニオンギア3,4が2個(1対)デフケース2内に配置する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、ギヤ径を小さい寸法に設定することにより3個以上のピニオンギヤをデフケース内に配置することができる。
本発明の実施の形態に係る車両用差動装置を説明するために示す分解斜視図。 本発明の実施の形態に係る車両用差動装置を説明するために示す縦断面図。 本発明の実施の形態に係る車両用差動装置を説明するために示す横断面図。 本発明の実施の形態に係る車両用差動装置のピニオンギヤの組付状態を示す斜視図。 本発明の実施の形態に係る車両用差動装置のピニオンギヤの組付状態をデフケースの回転軸線と直角に切断して示す断面図。 (a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係る車両用差動装置のピニオンギヤの組付状態をデフケースの回転軸線と平行に切断して示す断面図。 本発明の実施の形態に係る車両用差動装置のデフケースを示す斜視図。 本発明の実施の形態に係る車両用差動装置のデフケースの潤滑油導入部を説明するために示す断面図。 本発明の実施の形態に係る車両用差動装置のデフケースの潤滑油貯溜部を説明するために示す断面図。 (a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係る車両用差動装置のピニオンギヤを説明するために示す斜視図。 本発明の実施の形態に係る車両用差動装置のサイドギヤと車軸の連結状態を示す断面図。 本発明の実施の形態に係る車両用差動装置の車軸移動規制部材を説明するために示す斜視図。 本発明の実施の形態に係る車両用差動装置の潤滑油供給動作を説明するために示す断面図。
符号の説明
1…車両用差動装置、2…デフケース、2A…空間部、2B…膨出部、3,4…ピニオンギヤ、3A,4A…貫通孔、3B,4B…摺動部、3C…凹溝、3a,4a…第1被支持部、3b,4b…第2被支持部、5L,5R…サイドギヤ、5La,5Ra…ボス部、5Lb,5Rb…ギヤ部、5Lc,5Rc…摺動部、5Ld,5Rd…スプライン嵌合部、6L,6R…スラストワッシャ、7,8…潤滑油導入部、7a,8a…突起、7b,8b…潤滑油供給源、9L,9R…車軸挿入孔、9Lc,9Rc…スラストワッシャ受部、10,11…ピニオンギヤ支持部、10A,11A…ピニオンギヤ背面孔、10a,11a…ピニオンギヤ支持面、10B,11B…延出部、10b,11b…ピニオンギヤ支持面、10C,11C…ワッシャ受部、10d,11d…切り欠き、12L,12R…サイドギヤ通過孔、13…取付用フランジ、14,15…延出部、14a,15a…ピニオンギヤ支持面、21,22…ワッシャ、23…アクスルスペーサ、23A,23B…係合部、24,25…切り欠き、24a,25a…切り欠き面、26,27…係止片、28…潤滑油供給路、29…車軸、30…潤滑油貯溜部、L…潤滑油、m,n…ピニオンギヤ受部、Cs…ストレート部、Ct…テーパ部、B…基端部、C…ギヤ部、C1…凸歯、C2…歯溝、c…歯先面、O…回転軸線

Claims (4)

  1. 円柱状の基端部及び円周方向に交互に並列する凸歯と歯溝とを有するギヤ部が形成された複数のピニオンギヤと、
    前記複数のピニオンギヤとギヤ軸線を直交させて前記複数のピニオンギヤのギヤ部に噛合する傘歯車からなる1対のサイドギヤと、
    前記1対のサイドギヤ及び前記複数のピニオンギヤを回転自在に収容するデフケースとを含み、
    前記デフケースは、
    前記複数のピニオンギヤをそれぞれ摺動自在に支持する複数のピニオンギヤ支持部と、
    前記複数のピニオンギヤ支持部の一部に形成された切り欠きに連通して潤滑油を貯溜する潤滑油貯溜部とを備え、
    前記潤滑油貯溜部は、前記複数のピニオンギヤ支持部の軸線と直角な回転軸線の回りに沿う円弧状の凹部からなり、その内部に貯留された前記潤滑油を前記複数のピニオンギヤの前記切り欠きに対応する部位における前記基端部の外周面のギヤ軸線方向の全体に供給するように形成されている
    ことを特徴とする車両用差動装置。
  2. 前記複数のピニオンギヤ支持部は、前記複数のピニオンギヤの摺動面の一部を摺動するピニオンギヤ背面孔をそれぞれ有し、
    前記複数のピニオンギヤ支持部の前記ピニオンギヤ背面孔は栓体によって閉塞されている請求項1に記載の車両用差動装置。
  3. 前記複数のピニオンギヤは、それぞれシャフトレス型のピニオンギヤである請求項1又は2に記載の車両用差動装置。
  4. 前記複数のピニオンギヤ支持部は、前記複数のピニオンギヤの少なくともギヤ噛み合い部の一部を摺動自在に支持する部位が前記デフケースの内面にその回転軸線側に延出して設けられている請求項1乃至のいずれか1項に記載の車両用差動装置。
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