JP5120113B2 - 車両用差動装置 - Google Patents
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Description
図1は、本発明の実施の形態に係る車両用差動装置の全体を説明するために示す斜視図である。図2は、本発明の実施の形態に係る車両用差動装置の全体を説明するために示す断面図である。図3は、本発明の実施の形態に係る車両用差動装置のピニオンギヤとその支持面との間のクリアランスについて説明するために示すグラフである。図4は、本発明の実施の形態に係る車両用差動装置においてピニオンギヤの軸線とピニオンギヤシャフトの軸線とが一致した状態を模式化して示す断面図である。図5は、本発明の実施の形態に係る車両用差動装置においてピニオンギヤの軸線がピニオンギヤシャフトの軸線に対して傾斜した状態を模式化して示す断面図である。
図1及び図2において、符号1で示す車両用差動装置は、エンジントルクを受けて回転するデフケース2と、このデフケース2の回転軸線Oと直交する軸線上に位置するピニオンギヤシャフト50と、このピニオンギヤシャフト50上で互いに並列する1対のピニオンギヤ3,4と、これら1対のピニオンギヤ3,4にギヤ軸を直交させて噛合する1対のサイドギヤ5L,5Rと、これら1対のサイドギヤ5L,5Rの背面側に位置する1対のスラストワッシャ6L,6Rとから大略構成されている。
デフケース2は、図1及び図2に示すように、ピニオンギヤ3,4及びサイドギヤ5L,5R・スラストワッシャ6L,6Rを収容する収容空間2Aを内部に有し、全体が1ピースの部材によって形成されている。
ピニオンギヤシャフト50は、図2に示すように、ピニオンギヤ3,4のシャフト挿通孔3D,4D(後述)の内周面による摺動によってピニオンギヤ3,4を回転自在に支持する第2ピニオンギヤ支持面50A,50Bを有し、ピニオンギヤ3,4(シャフト挿通孔3D,4D)を挿通してデフケース2(ギヤ・シャフト支持部10,11)のピニオンギヤシャフト支持面10B,11Bに支持されている。この場合、ピニオンギヤシャフト50は、その外周面がピニオンギヤシャフト支持面10B,11Bとの間に実質的に空隙が存在せず、デフケース2に対して移動不能に固定される。そして、後に詳述する図3に示すように、第2ピニオンギヤ支持面50A,50Bの摩擦摺動等に起因する温度上昇による常温時(20°)と比較した場合の熱膨張量に対応する径方向寸法D2が、シャフト挿通孔3D,4Dの第2摺動面30A,40Aとピニオンギヤシャフト50の第2ピニオンギヤ支持面50A,50Bとの間の常温におけるクリアランスを寸法C2(図4に示す)とすると、この寸法C2よりも小さい寸法に設定されている。なお、寸法C2は、ピニオンギヤ3のギヤ軸とピニオンギヤシャフト50の中心軸とが一致した場合におけるクリアランス寸法である。
ピニオンギヤ3,4は、略同一の構成であるため、例えばピニオンギヤ3のみについて説明する。なお、ピニオンギヤ4については、各部位の符号をピニオンギヤ3の各部位の符号に対応して付し(例えば、ピニオンギヤ4のギヤ胴部にはピニオンギヤ3のギヤ胴部3Aに対応して4Aを、またピニオンギヤ4のギヤ鍔部にはピニオンギヤ3のギヤ鍔部3Bに対応して4Bをそれぞれ付す。)、その説明は省略する。
サイドギヤ5L,5Rは、図1及び図2に示すように、各外径が互いに異なるボス部5La,5Ra及びギヤ部5Lb,5Rbを有する略環状の歯車(ピニオンギヤ3,4の外径より大きい外径を有し、単一の歯先円錐角をもつ傘歯車)からなり、デフケース2の収容空間2Aに回転自在に支持され、ピニオンギヤ3,4に噛合するように構成されている。
スラストワッシャ6L,6Rは、図2に示すように、サイドギヤ5L,5Rとピニオンギヤ3,4との噛み合いを調整する環状のワッシャからなり、サイドギヤ5L,5Rの摺動部5Lc,5Rcとスラストワッシャ受部9La,9Raとの間に介装されている。そして、左右の車軸をそれぞれ挿通させてサイドギヤ5L,5Rのスラスト力を受けるように構成されている。スラストワッシャ6L,6Rには、ワッシャ内周部からワッシャ外周部に潤滑油を導入する潤滑油導入路(図示せず)が設けられている。
車両のエンジン側からのトルクがドライブピニオン及びリングギヤを介してデフケース2に入力されると、デフケース2が回転軸線Oの回りに回転する。デフケース2が回転すると、この回転力がピニオンギヤシャフト50を介してピニオンギヤ3,4に伝達され、さらにピニオンギヤ3,4からサイドギヤ5L,5Rに伝達される。この場合、左右のサイドギヤ5L,5Rにはそれぞれ車軸(図示せず)がスプライン嵌合されているため、エンジン側からのトルクがドライブピニオン及びリングギヤ・デフケース2・ピニオンギヤシャフト50・ピニオンギヤ3,4・サイドギヤ5L,5Rを介して左右の車軸に伝達される。
以上説明した実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
2…デフケース、2A…空間部、2b…ピン取付孔
3,4…ピニオンギヤ、3A,4A…ギヤ胴部、30a,40a…第1ギヤ胴部、31a,41a…第2ギヤ胴部、30A,40A…第2摺動面、31A,41A…非摺動面、31a,41a…テーパ面、32a,42a…曲面、3B,4B…ギヤ鍔部、30B,40B…第1摺動面、31B,41B…第3摺動面、3C,4C…ギヤ部、3D,4D…シャフト挿通孔
5L,5R…サイドギヤ、5La,5Ra…ボス部、5Lb,5Rb…ギヤ部、5Lc,5Rc…摺動部
6L,6R…スラストワッシャ
9L,9R…車軸挿通孔、9La,9Ra…スラストワッシャ受部
50…ピニオンギヤシャフト、50A,50B…第2ピニオンギヤ支持面、50D…ピン挿通孔
10,11…ギヤ・シャフト支持部、10A,11A…第1ピニオンギヤ支持面、10B,11B…ピニオンギヤシャフト支持面、10C,11C…ピニオンギヤ受部
12L,12R…サイドギヤ通過孔
13…リングギヤ取付用フランジ
a…交点
C…ギヤ軸線
S…ピニオンギヤシャフトの軸線
C1,C2,C´1,C´2…クリアランスの寸法
V1,V1,V´1,V´2…仮想線
L1,L2,L´1,L´2…仮想線の長さ
O…回転軸線
L…荷重
F1,F2…反力
Claims (5)
- 1対のサイドギヤと、
前記1対のサイドギヤにギヤ軸を直交させて噛合し、軸心部にシャフト挿通孔が設けられた少なくとも1対のピニオンギヤと、
前記少なくとも1対のピニオンギヤ及び前記1対のサイドギヤを回転自在に収容する収容空間を有し、前記1対のピニオンギヤをそのギヤ外周面による摺動によって回転自在に支持する少なくとも一部が円弧面からなる第1ピニオンギヤ支持部を有するデフケースと、
前記デフケースに前記シャフト挿通孔を挿通して支持され、前記シャフト挿通孔の内周面による摺動によって前記少なくとも1対のピニオンギヤを回転自在に支持する第2ピニオンギヤ支持部を前記第1ピニオンギヤ支持部よりも前記デフケースの回転軸線に近い位置に有するピニオンギヤシャフトとを備え、
前記少なくとも1対のピニオンギヤは、そのピニオンギヤ軸と前記第1ピニオンギヤ支持部の前記円弧面の中心軸とが一致した場合における前記ギヤ外周面と前記第1ピニオンギヤ支持部との間のクリアランスを寸法C1とするとともに、前記ピニオンギヤ軸と前記ピニオンギヤシャフトの中心軸とが一致した場合における前記シャフト挿通孔の内周面と前記第2ピニオンギヤ支持部との間のクリアランスを寸法C2とすると、前記寸法C1が前記寸法C2よりも大きい寸法に設定されている
ことを特徴とする車両用差動装置。 - 前記デフケースは、前記ピニオンギヤシャフトの軸線方向において前記第1ピニオンギヤ支持部が前記少なくとも1対のピニオンギヤと前記1対のサイドギヤとの噛み合い中心点よりも前記回転軸線から遠い位置に配置され、
前記ピニオンギヤシャフトは、その軸線方向において前記第2ピニオンギヤ支持部の少なくとも一部が前記少なくとも1対のピニオンギヤと前記1対のサイドギヤとの噛み合い中心点よりも前記回転軸線に近い位置に配置されている請求項1に記載の車両用差動装置。 - 前記少なくとも1対のピニオンギヤは、前記第1ピニオンギヤ支持部に対応する第1被支持部、及び前記第2ピニオンギヤ支持部に対応する第2被支持部を有し、前記デフケースの回転軸線と前記ピニオンギヤシャフトの軸線とが交わる点を交点aとするとともに、前記交点aと前記第1被支持部とを結ぶ仮想線の長さを寸法L1とし、かつ前記交点aと前記第2被支持部とを結ぶ仮想線の長さを寸法L2とすると、前記寸法C2が前記寸法L1に、また前記寸法C1が前記寸法L1にそれぞれ比例して設定されている請求項1に記載の車両用差動装置。
- 前記少なくとも1対のピニオンギヤは、前記第1被支持部と前記第2被支持部とが前記ピニオンギヤシャフトの軸線方向において所定の間隔をもって配置されている請求項3に記載の車両用差動装置。
- 前記少なくとも1対のピニオンギヤは、前記ギヤ外周面の焼き付きによる熱膨張量に対応する径方向寸法が寸法C1よりも小さい寸法に設定され、
前記ピニオンギヤシャフトは、前記第2ピニオンギヤ支持部の焼き付きによる熱膨張量に対応する径方向寸法が寸法C2よりも小さい寸法に設定されている請求項1に記載の車両用差動装置。
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