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JP4643725B2 - 工作機械の制御装置 - Google Patents

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JP4643725B2
JP4643725B2 JP2009101275A JP2009101275A JP4643725B2 JP 4643725 B2 JP4643725 B2 JP 4643725B2 JP 2009101275 A JP2009101275 A JP 2009101275A JP 2009101275 A JP2009101275 A JP 2009101275A JP 4643725 B2 JP4643725 B2 JP 4643725B2
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Description

本発明は、マシニングセンタなどの工作機械を制御する工作機械の制御装置に関する。
ワークの加工時の消費電力を抑えるようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1記載の装置では、軸送り用のサーボモータの加速時間を延ばして必要電流の最大値を低下させ、これにより消費電力を抑えるようにしている。
特開平6−161535号公報
しかしながら、この種の工作機械では、ワーク加工時に軸送り用モータだけでなく、切削油供給用の油圧ポンプ等、一定の電力にて動作する機器も同時に駆動される。したがって、上記特許文献1記載の装置のように、軸送り用のサーボモータの加速時間を延ばす構成では、サイクルタイムが長くなって上記機器の消費電力が増加し、工作機械全体の消費電力を最適に抑えることが難しい。
本発明による工作機械の制御装置は、送り軸駆動用モータまたは主軸駆動用モータの加速時間および減速時間の少なくとも一方と相対関係を有する時定数をパラメータとして、送り軸駆動用モータまたは主軸駆動用モータの消費電力を算出する第1の消費電力算出手段と、時定数に応じて変化する、ワーク加工のサイクルタイムを算出するサイクルタイム算出手段と、サイクルタイム算出手段により算出されたサイクルタイムに基づき、工作機械に設けられた一定電力にて動作する機器の消費電力を算出する第2の消費電力算出手段と、第1の消費電力算出手段により算出された電力と第2の消費電力算出手段により算出された電力との総和に基づいて目標時定数を決定し、この目標時定数に基づき送り軸駆動用モータまたは前記主軸駆動用モータを制御するモータ制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、送り軸駆動用モータの消費電力と一定電力にて動作する機器の消費電力との総和に基づき、送り軸駆動用モータの加速時間および減速時間の少なくとも一方と相対関係を有する目標時定数を決定し、この目標時定数に基づき送り軸駆動用モータを制御するようにしたので、工作機械全体の消費電力を最適に抑えることができる。
本発明の実施の形態に係る制御装置が適用される工作機械の全体構成を概略的に示す図である。 本発明の実施の形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。 加工プログラムの一例を示すタイムチャートである。 加工プログラムの異なるパターンを示す図である。 本実施の形態の制御装置により得られる加減速時定数とサイクルタイムおよび総消費電力量との関係を示す図である。 図1のコントローラで実行される処理の一例を示すフローチャートである。 図5の変形例を示す図である。 変形例により時定数を設定する際の係数の関係を示す図である。
以下、図1〜図8を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態が適用される工作機械の全体構成を概略的に示す図である。
図1に示す工作機械は、主軸を鉛直方向に配置した、いわゆる立型のマシニングセンタである。主軸は主軸モータ10sにより回転駆動され、主軸モータ10sの駆動により工具11が回転駆動される。工具11は、エンドミル、カッタ、ドリルなどの切削工具あるいは研削工具であり、主軸頭12に着脱可能に装着されている。工具11の下方にはテーブル13が横設され、テーブル13上にワーク14が固定されている。
テーブル13には、ナット15を介してボールネジ16が螺合されている。ボールネジ16は送り軸モータ10fにより回転駆動され、送り軸モータ10fの駆動によりテーブル13が水平方向(例えばXY方向)に移動する。図示は省略するが、これと同様の送り機構は主軸側にも設けられ、送り軸モータ10fの駆動により主軸頭12が上下方向(Z方向)に移動する。すなわち、工作機械には直交3軸の送り軸の方向(XYZ方向)に対応して複数の送り軸モータ10fが設けられ、これら送り軸モータ10fの駆動により工具11に対しワーク14が相対移動する。
主軸モータ10sはACスピンドルモータにより構成され、送り軸モータ10fはACサーボモータにより構成される。これらモータ10s,10fは、アンプを介して供給される電源からの電力により駆動する。なお、主軸駆動用モータ10sと送り軸駆動用モータ10fの構成はこれに限らない。電源からの電力は、切削油を供給する油圧ポンプなどの周辺機器17にも供給される。この周辺機器17は、ワーク14の加工中に一定の電力により動作する。
主軸モータ10sおよび送り軸モータ10fの駆動は、コントローラ20により制御される。コントローラ20は、CPU,ROM,RAM,その他の周辺回路などを有する演算処理装置を含んで構成される。コントローラ20には、ワーク14の加工に関する各種指令を入力する入力装置31と、コントローラ20で実行された処理に基づいて各種情報を表示する表示装置32とが接続されている。入力装置31は、キーボードやタッチパネルなどで構成できる。
図2は、本実施の形態に係る制御装置の構成を示すブロック図であり、主にコントローラ20の内部構成を示している。データ設定部21は、入力装置31からの指令により、送り軸の駆動による送り速度(目標送り軸速度)vfや目標移動量X、主軸の回転速度(目標主軸速度)vs、初期の時定数、モータ固有の物理特性、主軸および送り軸の摩擦トルク、周辺機器17が単位時間当たりに消費する消費電力P0などの各種データを設定するとともに、加工プログラムに含まれるデータを設定する。速度、移動量、時定数等は、加工プログラムの形で設定されてもよい。目標送り軸速度vfと目標主軸速度vsをそれぞれ設定速度とも呼ぶ。
図3は、データ設定部21にて設定される加工プログラムの一例を示すタイムチャートである。図では、加工プログラムの開始から加工プログラムの終了までのサイクルタイムTをt1〜t13に分けて示している。図3を詳述すると、加工プログラムの開始から時間t1後に主軸が駆動し、時間t2後に主軸速度は設定速度vsとなる。さらに時間t3後に送り軸が一方向に駆動し、時間t4後に送り軸速度は設定速度vfとなる。その後、送り軸は、設定速度vfで時間t5だけ駆動した後、減速し、時間t6後に停止する。さらに時間t7後に送り軸は反対方向に駆動し、時間t8後に送り軸速度は設定速度−vfとなる。その後、送り軸は、設定速度−vfで時間t9だけ駆動した後、減速し、時間t10後に停止する。一方、主軸は、時間t11後に減速し、時間t12後に停止して、時間t13後に加工プログラムが終了する。
なお、この例では、送り軸の加速時間t4,t8と減速時間t6,t10を全て等しい値に設定するとともに、設定速度vf,−vfで駆動する時間(一定速度時間)t5,t9も互いに等しい値に設定している。主軸の加速時間t2と減速時間t12も互いに等しい値に設定している。
以下では、送り軸速度が設定速度vfに到達するまでに要する時間を加減速時定数tfと定義し、主軸速度が設定速度vsに到達するまでに要する時間を加減速時定数tsと定義する。図3の例では、加減速時定数tfは加減速時間t4,t6,t8,t10に等しく、加減速時定数tsは加減速時間t2,t12に等しい。なお、加減速時定数tf,tsを単に時定数と呼ぶこともある。加減速時定数tf,tsは、後述するように工作機械全体の消費電力量を考慮して決定される。
加減速時定数tf,tsを用いると、送り軸の加速度afはvf/tfとなり、主軸の加速度asはvs/tsとなる。すなわち、加速度af,asは加減速時定数tf,tsをパラメータとした変数である。なお、図3の加減速時間t2、t4,t6,t8,t10,t12と一定速度時間t5,t9は、加減速時定数tf,tsに応じて決定されるのに対し、他の時間t1,t3,t7,t11,t13は、予め固定時間として設定されている。
図2の加減速時間算出部22は、データ設定部21からのデータを用いて、以下のように送り軸および主軸の加減速時間tf1,ts1をそれぞれ算出する。一定速度回転時間算出部23は、データ設定部21と加減速時間算出部22からのデータを用いて、以下のように送り軸および主軸の一定速度時間tf2,ts2をそれぞれ算出する。
送り軸の加速度af(mm/sec2)、移動量X(mm)、設定速度vf(mm/sec)を用いると、移動量Xが多く、図4(a)に示すように送り軸速度が設定速度vfに到達しているとき、つまりX>vf/afのときの送り軸の加減速時間tf1および一定速度時間tf2は、それぞれ次式(I)により求めることができる。
tf1=vf/af
tf2=X/vf−vf/af (I)
一方、移動量Xが少なく、図4(b)に示すように送り軸速度が設定速度vfに到達しないとき、つまりX≦vf/afのときの送り軸の加減速時間tf1と送り軸の最高速度vf1は、それぞれ次式(II)により求めることができる。
tf1=sqrt(X/af)
vf1=sqrt(X・af) (II)
主軸の加速度as(rad/sec2)、設定速度vs(rad/sec)を用いると、主軸の加減速時間ts1は、次式(III)により求めることができる。
ts1=vs/as (III)
主軸の一定速度時間ts2は、サイクルタイムT内における送り軸の加減速時間tf1と、一定速度時間tf2と、予め定めた固定時間(図3のt3,t7,t11)とを加算することにより求めることができる。
図2のサイクルタイム算出部24では、加減速時間算出部22と一定速度回転時間算出部23からの信号に基づき、加工のサイクルタイムT(図3のt1〜t13)を算出する。サイクルタイムTの算出にあたっては、予め定められた加工プログラムを考慮する。図3の例では、例えば主軸および送り軸の加減速時間tf1,ts1と、送り軸の一定速度時間tf2と、固定時間(t1,t3,t7,t11,t13)とを加算し、あるいは主軸の加減速時間ts1と、主軸の一定速度時間ts2と、固定時間(t1,t13)とを加算することにより、サイクルタイムTを求めることができる。
第1消費電力量算出部25では、データ設定部21と加減速時間算出部22と一定速度回転時間算出部23からの信号に基づき、以下のようにして各モータ10f,10sの消費電力量を予測する。モータ固有の物理特性として、送り軸モータ10fの巻線抵抗(一相分)をR(Ω)、トルク定数をKt(Nm/A)、負荷イナーシャをJ(kgm)、設定速度vfにおける送り軸モータ10fの回転数をω(rad/sec)、送り軸の摩擦トルクをTf(Nm)とする。このとき、送り軸モータ10fの加速時の電流I(A)は次式(IV)により求めることができる。
I=(J×a)/Kt (IV)
モータ損失として銅損のみを考慮すると、送り軸モータ10fの加速時の消費電力量Ea(Ws)は、加減速時間tf1を用いて次式(V)により求めることができる。
Ea=1/2×J×ω+3×R×I×tf1
=J・ω/2+(3R・J・ω/Kt)×a (V)
運動エネルギーが回生される割合を表す係数をKrとすると、送り軸モータ10fの減速時の消費電力量Ed(Ws)は、次式(VI)により求めることができる。
Ed=−1/2×J×ω×Kr+3×R×I×tf1
=−J・Kr・ω/2+(3R・J・ω/Kt)×a (VI)
送り軸モータ10fが一定速度で回転しているときの消費電力量Ecは、一定速度時間tf2を用いて次式(VII)により求めることができる。
Ec=Tf×ω×tf2+3×R×(Tf/Kt)×tf2
=Tf・ω・tf2+3R・tf2×(Tf/Kt) (VII)
サイクルタイムT内において加減速および一定速の領域が複数ある場合には、これら複数の領域の各消費電力量を加算すればよく、その場合の送り軸モータ10fの消費電力量Emは次式(VIII)により求めることができる。
Em=ΣEa+ΣEd+ΣEc (VIII)
主軸モータ10sについても同様にして消費電力量Emを求めることができる。
第2消費電力量算出部26では、データ設定部21とサイクルタイム算出部24からの信号に基づき、サイクルタイムT内における周辺機器17の消費電力量E0(Ws)を予測する。周辺機器17で消費される電力をP0(W)とすると、消費電力量E0は、次式(IX)により求めることができる。
E0=P0×T (IX)
総消費電力量算出部27では、第1消費電力量算出部25と第2消費電力量算出部26からの信号に基づき、サイクルタイムT内における工作機械全体の総消費電力量Eを算出する。本実施の形態のようにモータが複数ある場合には、各モータ10f,10sの消費電力量Emを加算すればよく、総消費電力量Eは次式(X)により求めることができる。
E=ΣEm+E0 (X)
加減速時定数選択部28では、総消費電力量Eが最小となるような目標時定数taを求める。図5は、送り軸モータ10fの加減速時定数tfとサイクルタイムTおよび総消費電力量Eとの関係を示す図である。この図は、加減速時定数選択部28が、予めデータ設定部21に定められた下限値tminと上限値tmaxとの間で加減速時定数tfを所定間隔Δtで変更し、各時定数tf毎に、上述のように総消費電力量EとサイクルタイムTを算出することにより得られる。なお、tmin,tmax,Δtは加工条件等に応じて例えば経験等に基づき定められる。図より、総消費電力量Eは下に凸の特性となり、サイクルタイムTは右上がりの特性となる。この図から総消費電力量Eが最小となる目標時定数taを求めることができる。主軸モータ10sについても同様にして目標時定数taを求めることができる。
図2のモータ制御部29では、加減速時定数選択部28で求められた目標時定数taに基づいて各モータの駆動を制御する。すなわち目標時定数taを用いて加減速時間tf1,ts1と一定速度時間tf2,ts2を設定し、加減速パターンを算出する。さらに、モータ制御部29は、算出した加減速パターンに基づき各モータ10f,10sに制御信号を出力し、ワーク加工時の各モータ10f,10sの駆動を制御する。
図6は、コントローラ20のCPUで実行される処理、とくに加減速時定数tf,tsの設定に関する処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、ワーク14の加工前に行われるものであり、例えば入力装置31により時定数設定指令が入力されると開始される。なお、初期状態では加減速時定数tf,tsとして下限値tminが設定されている。
ステップS1では、加減速時定数tf,tsの設定に必要な各種データを設定する。これはデータ設定部21における処理であり、設定されるデータとしては、目標送り軸速度vf、目標移動量X、目標主軸速度vs、モータ固有の物理特性(モータの巻線抵抗R,トルク定数Kt,負荷イナーシャJ等)、主軸と送り軸の摩擦トルクTf、周辺機器17が単位時間当たりに消費する消費電力P0などである。
ステップS2では、加工プログラム(図3)を解析し、求めるべき加減速時間tf1,ts1と一定速度時間tf2,ts2の変化のパターン(加工パターン)、すなわち加工の順序や設定速度などを把握する。
ステップS3では、上述した加減速時間算出部22での処理により、加減速時定数tf、tsに応じた各モータ10f,10sの加減速時間tf1、ts1を算出する。この場合、上述したように移動量Xとvf/afとの大小に応じた場合分けをして加減速時間tf1,tsを算出する。
ステップS4では、上述した一定速度回転時間算出部23での処理により、加減速時定数tf、tsに応じた各モータ10f,10sの一定速度時間tf2,ts2を算出する。
ステップS5では、上述したサイクルタイム算出部24での処理により、加減速時定数tf,tsに応じたワーク14の加工に要するサイクルタイムTを算出する。このサイクルタイムTはメモリに記憶される。
ステップS6では、上述した第1消費電力量算出部25での処理により、サイクルタイムT内における各モータ10f,10sの消費電力量Em(第1消費電力量)を算出する。
ステップS7では、上述した第2消費電力量算出部26での処理により、サイクルタイムT内における周辺機器17の消費電力量E0(第2消費電力量)を算出する。
ステップS8では、上述した総消費電力量算出部27での処理により、サイクルタイムT内における工作機械全体の総消費電力量Eを算出する。この総消費電力量Eはメモリに記憶される。
ステップS9では、加減速時定数tf,tsが上限値tmaxであるか否かを判定する。上限値tmaxでないと判定されると、ステップS10に進む。
ステップS10では、現在の加減速時定数tf,tsに予め定めた所定の時定数増分Δtを加算し、これを新たな加減速時定数tf,tsに設定し、ステップS3に戻る。この新たな時定数tf,tsを用いてステップS3〜ステップS8の処理が繰り返される。
ステップSで、時定数tf,tsが上限値tmaxと判定されると、ステップS11に進む。ステップS11では、メモリに記憶された総消費電力量Eを用いて、上述した加減速時定数選択部28での処理により、総消費電力量Eが最小となるような加減速時定数tf,tsを選択する。そして、選択した時定数tf,tsを目標時定数taに設定し、処理を終了する。なお、処理の終了を例えばランプ等の点灯により報知するようにしてもよい。これによりオペレータはワーク14の加工を適切な時期に開始できる。
本実施の形態の動作をまとめると次のようになる。例えば図3の加工プログラムに基づき目標時定数taを設定する場合には、まず、時定数tf,tsをパラメータとした加減速時間tf1,ts1および一定速度時間tf2,ts2を算出するとともに、サイクルタイムTを算出する(ステップS3〜ステップS5)。次に、これら算出値を用いてモータ10f,10sの消費電力量Emを算出する(ステップS6)。さらに、サイクルタイムTを用いて周辺機器17の消費電力量E0を算出する(ステップS7)。
これらの計算は、時定数tf,tsを下限値tminから上限値tmaxにかけて所定の増分Δtで変更する度に行い、加減速時定数tf,tsと総消費電力量EおよびサイクルタイムTとの関係を示す特性(図5)を得る。この特性から総消費電力量Eが最小となるような時定数tf,tsを選択し、これを目標時定数taに設定する(ステップS11)。この目標時定数taを用いて加工プログラム実行時の加減速時間tf1、ts1および一定速度時間tf2,ts2が決定される。決定された加減速時間tf1,ts1および一定速度時間tf2,ts2に基づき各モータ10f,10sを制御し、ワーク14の加工を行う。
本実施の形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)加減速時定数tf,tsをパラメータとしてモータ10f,10sの消費電力量Emを予測して算出するとともに、周辺機器17の単位時間当たりの消費電力P0にサイクルタイムTを乗じて周辺機器17の消費電力E0を予測して算出し、これら消費電力Em,E0の総和である総消費電力量Eが最小となるよう目標時定数taを設定し、目標時定数taに基づきモータ10f,10sの加減速を制御するようにした。これにより工作機械全体の総消費電力量Emを考慮してモータ10f,10sの駆動を最適に制御できる。
(2)総消費電力量Eが最小となるようにモータ10f,10sを制御するので、消費電力量Eを最小限に抑えることができ、節電の効果を最大限に発揮できる。
なお、上記実施の形態では、加減速時定数選択部28で、総消費電力量Eが最小となるように目標時定数taを設定したが、時定数taの設定はこれに限らない。例えば図7に示すように総消費電力量Eの制限値Eaを設定し、この制限値Ea内で時定数Δtaのうち、サイクルタイムTが最短となる時定数を目標時定数taとして設定してもよい。これにより消費電力量Eを抑えつつ、短いサイクルタイムTでの加工動作が可能となり、効率よくワーク14の加工を行うことができる。
加減速時定数tf、tsと総消費電力量Eとの関係を表す関数をf(t)、加減速時定数tf,tsとサイクルタイムTとの関係を表す関数をg(t)、これら関数を加算した関数をP(t)とし、P(t)が最小となるような時定数tf,tsを目標時定数taに設定してもよい。その際、係数k1,k2(>0)を用いて、次式(XI)によりP(t)を算出してもよい。
P(t)=k1×f(t)+k2×g(t) (XI)
上式(XI)の係数k1,k2については、例えば図8に示すような組み合わせを用意し、目的に応じていずれかを選択するようにしてもよい。これにより総消費電力量EとサイクルタイムTの重みを可変にし、P(t)を最適値とすることが可能である。図5のtaと図7のtaの間で、オペレータにより時定数を選択可能としてもよい。
ところで、主軸モータ10sは、送り軸モータ10fよりもサイクルタイムT内の一定回転時間ts2の割合が大きい。この点を考慮し、一定回転時間ts2に対し加減速時間ts1を無視できる場合には、主軸モータ10sを一定電力にて動作する機器とみなし、第1の消費電力量算出手段としての第1消費電力算出部25において送り軸モータ10fの消費電力量Emのみを算出するようにしてもよい。したがって、第2の消費電力算出手段としての第2消費電力量算出部25において、主軸モータ10sの消費電力量10mを算出し、周辺機器の電力E0に含めるようにしてもよい。油圧ポンプや主軸モータ10sだけでなく、一定電力にて動作する他の機器(例えばセンサやライト等)を周辺機器17に含めることもできる。なお、本願の送り軸駆動用モータには、軸方向の送り速度が変化する送り軸モータ10fだけでなく、回転送り速度が変化する主軸モータ10sも含まれる。
上記実施の形態では、総消費電力量Eが最小となるように(図5)、または総消費電力量Eが設定値Ea以下の範囲内でサイクルタイムTが最短となるように(図7)、モータ10f,10sの加減速を制御するようにしたが、第1消費電力量Emと第2消費電力量E0との総和Eに基づき目標時定数taを決定し、この時定数taに基づきモータ10f,10sを制御するのであれば、モータ制御手段の構成はこれに限らない。モータ10f,10sの加速のみまたは減速のみを制御するようにしてもよい。
上記実施の形態では、送り軸速度および主軸速度が設定速度vf,vsに到達するまでに要する時間を加減速時定数tf,tsとして第1消費電力量Emを算出するようにしたが、送り軸モータ10fの加速時間および減速時間の少なくとも一方と相対関係を有する他の時定数を用いて第1消費電力量Emを算出してもよい。サイクルタイムTに基づき第2消費電力量E0を算出するようにしたが、サイクルタイムTの算出は加工プログラムに応じて異なる。したがって、サイクルタイム算出手段としてのサイクルタイム算出部24の構成も上述したものに限らない。
上記実施の形態では、データ設定部21にてあらかじめ設定した各種データを用いて、加減速時定数tf,tsに応じた総消費電力量およびサイクルタイムを計算し、予測しているが、実際に加工プログラムを実行し、総消費電力量およびサイクルタイムの計算に実測データを用いることも可能である。
以上の実施の形態では、マシニングセンタに本発明の制御装置を適用するようにしたが、送り軸駆動用モータを有する他の工作機械にも本発明を同様に適用できる。すなわち、本発明の特徴、機能を実現できる限り、本発明は実施の形態の工作機械の制御装置に限定されない。
10f 送り軸モータ
10s 主軸モータ
17 周辺機器
20 コントローラ
22 加減速時間算出部
23 一定速度回転時間算出部
24 サイクルタイム算出部
25 第1消費電力量算出部
26 第2消費電力量算出部
27 総消費電力量算出部
28 加減速時定数選択部
29 モータ制御部

Claims (3)

  1. 送り軸駆動用モータまたは主軸駆動用モータの加速時間および減速時間の少なくとも一方と相対関係を有する時定数をパラメータとして、前記送り軸駆動用モータまたは前記主軸駆動用モータの消費電力を算出する第1の消費電力算出手段と、
    前記時定数に応じて変化する、ワーク加工のサイクルタイムを算出するサイクルタイム算出手段と、
    前記サイクルタイム算出手段により算出されたサイクルタイムに基づき、工作機械に設けられた一定電力にて動作する機器の消費電力を算出する第2の消費電力算出手段と、
    前記第1の消費電力算出手段により算出された電力と前記第2の消費電力算出手段により算出された電力との総和に基づいて目標時定数を決定し、この目標時定数に基づき前記送り軸駆動用モータまたは前記主軸駆動用モータを制御するモータ制御手段とを備えることを特徴とする工作機械の制御装置。
  2. 請求項1に記載の工作機械の制御装置において、
    前記モータ制御手段は、前記一定電力にて動作する機器を動作しつつ、前記送り軸駆動用モータまたは前記主軸駆動用モータを駆動してワークを加工する際の、前記第1の消費電力量算出手段により算出された電力量と前記第2の消費電力量算出手段により算出された電力量との総和が最小となるように、前記送り軸駆動用モータまたは前記主軸駆動用モータの加速および減速の少なくとも一方を制御することを特徴とする工作機械の制御装置。
  3. 請求項1に記載の工作機械の制御装置において、
    前記モータ制御手段は、前記一定電力にて動作する機器を動作しつつ、前記送り軸駆動用モータまたは前記主軸駆動用モータを駆動してワークを加工する際の、前記第1の消費電力量算出手段により算出された電力量と前記第2の消費電力量算出手段により算出された電力量との総和が設定値以下の範囲で、前記サイクルタイム算出手段により算出されたサイクルタイムが最短となるように、前記送り軸駆動用モータまたは前記主軸駆動用モータの加速および減速の少なくとも一方を制御することを特徴とする工作機械の制御装置。
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